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13冊目 13階段
13階段

高野 和明〔著〕

講談社 (2004.8)

\680

評価:☆☆☆☆☆

 13冊目の紹介になるので、十三階段でも紹介する。(今まで紹介してきた中で一番有名かも…)この本は、とある事情により入院していたときに、お見舞いに来てくださったとあるお方から頂いた本である(このときの話は別に書く予定)。なお、ネタバレはしませんのでご安心して読み進めてください。

 過失致死により、同年代の若者を殺してしまった受刑者が、模範囚として”娑婆”に出てきたところからストーリーは始まる。この受刑者こそが本書の主人公で、主人公のいた刑務所の刑務官が、ある仕事を依頼される。それは、老夫婦を殺害した容疑で死刑を宣告された男の、冤罪を晴らして欲しいというものであった。

 この死刑囚は、事件の日に事故を起こして頭部をぶつけたショックにより、事故前後の記憶が失われている。しかし、様々な状況証拠から彼が犯人であるという流れで裁判が進み、結局彼は「反省の色が認められない」(犯したかどうかも覚えていない事件に反省するというのも変な話だが)ということで死刑判決を受けてしまう。死刑囚は事故前に、一体なにをやっていたのか、それすらはっきりしないのに最高裁によって死刑は確定され、異議申し立てによってかろうじて刑の執行を免れているのだが、冤罪だとしたらそれを晴らすのに残された時間は少ない。

 そんな中、死刑囚にある記憶が蘇る。「事件前、真っ暗な中階段を死に物狂いで駆け上っていた」という、雲をも掴むようなものだ。たったこれだけの情報を助けに、冤罪を晴らさなければならない…

 そんな仕事に、刑務官は主人公を誘う。階段をなぜ駆け上っていたのか?事件は本当に冤罪なのか?事件の日、一体何が起こったのか?その謎を解く前に、”十三階段を登る”、つまり死刑が執行されてしまうのか?主人公が決して明かさない事件前の出来事はなんなのか?そして事件が進むに連れて、更なる謎が主人公と刑務官の前に立ちふさがる…。そして明かされる、事件の全貌…

 解決しなければならないタイムリミットがきっちり切られているため、非常に緊迫感がある。このストーリー自身も非常に面白いのであるが、その一方で本書が伝えようとしているのは、日本の刑務のあり方の是非である。このあたりはネタバレにならないので書いてしまうが、例えば死刑制度はどうあるべきなのか?廃止すべきか存続させるべきか?また、日本の異常な再犯率(約50%)であるとか、死刑と無期の間の落差が大きすぎる問題、死刑も成人が2人以上の故殺を犯したら自動的に死刑、未成年では4人以上で死刑が自動的に決まり、その間がボーダーであったり、といった問題の存在である。万人が納得のいく刑の体系を構築するのは困難であろうが、現在の日本がとっている教育刑思想は最早制度的疲労を迎えているのかも知れない。

 私自身犯罪被害者になったことがある(件の入院の件)訳であるし、非常に考えさせられながら読んだ。推理小説が好きなら、まずは読んでみるべし。なお、映画化もされたようであるが私は見ていないのでそちらに関しては何も言及しないことにする。
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推理小説 | 2004/04/25(日) 10:25 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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