嵐よういち/彩図社
評価:☆☆
旅行記にも色々有り、史跡を巡ったり有名な観光地を独特の感性で渡り歩いたり、それこそ極地探検のようなものもあるが、中には「敢えてそこに行く人はそうそう居ないよね」という場所へ行くものもある。
私が気に入っているのは『世界でもっとも阿呆な旅』で、日本語にすると珍妙な名前に聞こえてしまうオランダのスケベニンゲンやバヌアツのエロマンガ島などに行くというものだ。実は、『世界でもっとも~』には私の自宅近くも含まれており、著者がわざわざこんなところに来たのかとおかしくなったのもいい思い出だ。
本書はその系譜かと思いきや、かなり看板に偽りのあるタイトルだった。なにせ、著者は本書で紹介する複数の場所で日本人にも会っている。「誰も行かない」って、幾ら何でも詐称がすぎる。タイトルを付けたのが著者なのか出版社なのかは知らないが、大げさに釣りをやるのは如何なものか。
ただ、それでも紹介される場所はアクセスが悪かったり、治安が悪かったり、訪れても退屈だったりするので、多くの人は行かないだろう。実際、私もこの本の中に出てくる場所のどこを取っても行きたいと思えない。これは私が基本的にインドア人間だからであって、他の方には旅に誘うものとなるかもしれないが。
気になる場所は、ポルトガルの巨石村モンサント、スペインのハポン村、世界で唯一捕鯨が認められているインドネシアのラマレラ村、クウェート、モロッコの青い町シャウエン、風葬を続けるトルニャン村、東ティモール、ジャカルタのスラム、モロッコのスペイン領メリリャ、バオバブが立ち並ぶマダカスカル、である。
日本人がほとんど行かないということは、まずアクセスしづらいということで、本書の少なからずは現地にたどり着くまでの苦労となる。たどり着いたら着いたで、入国管理でイチャモンを付けられたり乞食集団に襲われたり食あたりしたりと苦労は耐えない。
ただ、どうも肝心の訪問先で何か魅力的なことがあるかというと、本書ではあまり触れられておらず、苦労が中心になっているので、ますますますます現地への魅力が失われることになる。旅に付きまとう万難を排してでも現地に行きたい、という行動力と好奇心を持つ方には行動の参考になりそうだが、そうではない私には心に響かなかった。
私向きではない。そんな本も、当然ある。
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