カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


宣伝目的以外のあらゆるコメント、TBを歓迎します。

↓ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してください。


にほんブログ村 本ブログへ


kids goo弾かれサイトですので閲覧はご注意を。頭が悪いのが伝染する恐れがあります。
notforkids.jpg

FC2カウンター
最近の記事
Tree-Arcive
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
巡回先

にほんブログ村 本ブログへ



うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

Skywriterさんの読書メーター

ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
ブログ内検索
RSSフィード
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 | --/--/--(--) --:-- | |

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1529冊目 死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
(2012/11/24)
門田 隆将

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 東日本大震災の、揺れそのものが被災地へ与えたダメージは小さなものではなかったが、破局的なものではなかった。確かに道路や電力網は寸断されたが、建物の倒壊やそれに伴う死者はほとんど出ていない。高い耐震性を見せた形だ。そう。被害のほとんどは、津波によって生じた。最大10メートルと事前に想定されていた高さを遥かに上回る暴力的な波は、多くを飲み込んだ。原発の予備電源のディーゼル発電機まで。

 原発は、核分裂で発生する猛烈な熱で蒸気を作り出すことで発電する。加熱に電力は必要ない。むしろ、冷却に電力を使うのである。その原発で、電力は地震で届かなくなり、バックアップの予備電源は津波によって失われた。そして、予備電源以外のバックアップ手段は、自分たちで作り上げた安全神話に拘泥する余り、講じられることすらなかった。

 事態を放置すれば、行き場を失った熱は大量の蒸気を生み、原発内の圧力は急速に上昇する。やがて高圧に耐え切れなくなった格納容器は圧力に負け、吹き飛ぶだろう。大量の放射性物質をまき散らしながら……。

 予備のディーゼル発電機が止まったところから、吉田所長を始めとする東電メンバーの決死の戦いが始まる。早くから海水注入だけが唯一の解決方法だと喝破した所長の素早い動きによって、ルートそのものは得られた。もしここで後手に回っていたら、周囲は放射線量が高くなりすぎて、幾人もの死者を出さなければ沈静化は不可能だったかもしれない。実際、チェルノブイリでは多くの消防隊員が死亡している。

 とにかく、ここから冷却が回るようになるまではこれでもかとばかりに危機が続く。海水注入をためらう中央、東電との意思疎通の悪さに苛立つ官邸。

 原子炉格納容器の破損を防ぐために、中の圧力を抜くベントの指示が出るが、電力が無いためスムーズに行かない。おいおい、ちょっと待ってくれよ。ベントが必要なのは、こうした緊急事態でしょう?なんでこんなときにもっと簡単にできる方法を構築しておかないのさ。東電の見通しの甘さが感じられてならない。

 とにかく、ベントをやると言いながらいつまでも進まないことに爆発した菅首相は原発を自ら訪問する。リーダーは大局に立たなければならないのに、それを放棄して一番気になるところに赴いてしまったことは、責められて当然のことである。しかも、ここでどう考えてもリーダー失格の態度を取ってしまう。ああ、この危機を迎えるにあたって、冷静さを欠いた首相を戴いていたとは、痛恨事だ。結果論から言えば、彼の行動は致命的な失敗にはならなかった。

 恐らくは、彼以外の人が首相であっても東電は同じくらいのダメージを受けていたし、回復までの時間は少しは短くなったかもしれないが、レベルとしては変わらないものだろう。それでも、不要な危機を招いたことに、未成熟なリーダーの姿が見えて悲しくなる。

 刻一刻と事態が悪化を辿る中、所長は死を決意したそうだ。そして、一緒に死んでくれる人の顔を思い浮かべた、という。現場でも、職長級の人々を中心に、決死の作業を行うことを決めた人々が居た。彼らは文字通り、命をかけて破局を食い止めてくれたのである。

 以前に読んだ『前へ!: 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録』では、東電が消防へ正確な情報を届けない・有能な人間を折衝役に使わないために、意思疎通が不十分だったとされるが、有能な人物を消防の案内より優先度の高い仕事に割り振っていたのであれば無理の無いことだったかもしれない。東電、消防双方の言い分をしることができたのは有難い。

 本書を読むと、現場では本当に死に物狂いの戦いがあったことが分かる。自分の命を捨ててでも大事故を防ごうと悲壮な決意をする人々の姿は胸を打つ。しかし、本来なら、そんな事態を招いては行けないのだ。下っ端にそんな決意をさせないことが、経営者の役割ではなかったのか。アメリカでは911を受けてあらゆる角度から原発を護るための手法が考えられたというのに、日本は「そんなことはありえない」と思考を停止しただけである。その戦略的な過ちを、現場の人間の奮闘で補ってはいけない。

 残念なことに、本書では吉田所長を始めとする幹部や、現場で体を張った作業員を称揚するのと同じ迫力で、中枢を批判してはいない。それでは、いつまで経っても同じようなミスと同じような感動話を生むだけだ。美談などいらない。美談を生む前に、知恵で危機を防ぐことが、危機管理の要諦ではないか。そう思われてならなかった。そして、大事故を防ぐためには、虚心坦懐に、何が起こるかわからないという姿勢で臨むべきだと改めて感じたものである。

 また、一時期ほとんどのメンバーが福島第一から福島第二へ避難した事実を巡り、朝日新聞が事実を歪曲した記事を垂れ流し、大騒ぎとなっている。その背景を知るにもうってつけのノンフィクションである。



関連書籍:
前へ!: 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録 (新潮文庫)前へ!: 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録 (新潮文庫)
(2014/02/28)
麻生 幾

商品詳細を見る
関連記事
スポンサーサイト

ノンフィクション | 2014/09/19(金) 20:40 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。