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![]() | カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス) (2007/10) 平山 廉 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
鈍重で、ちょっと突くと首と四肢を甲羅に仕舞いこんでしまうカメと戯れたことのある人は多いだろう。斯く言う私もその1人である。カメにとっては遊びになってないどころか、単なる恐怖体験だっただろうが。
甲羅が捕食者に対する防御であることは見るからに明らかだ。では、カメはどうやってこの戦略を進化させてきたのだろう?鎧竜(正式には曲竜類という)のアンキロサウルスを彷彿とさせる姿からは、遥か過去からカメは甲羅を背負ってきたように見える。
実際のところ、2億年ほど前のカメの先祖だとハッキリしている爬虫類の化石には、既にほぼ完成された甲羅があったことが分かっているらしい。ということは、どうやってあの甲羅が進化してきたのかは全く分かっていないということだ。今後の発展が楽しみになるではないか。
スタートは分かっていなくとも、途中はかなり分かる。本書は、カメが甲羅を背負うようになってからの2億年の進化を見るのと同時に、その進化の結果として、カメがどのように生きているかを記した、カメまみれの一冊となっている。
一ヶ月もの断食に耐えうるエネルギー効率の高さ、乾燥地帯から海にまで至る生息域の広さにまず驚くべきであろう。硬い卵という、乾燥に強い形で産卵することは、彼らの先祖が進化した場所は乾燥していたことが分かる。それが海に棲むようになっている。まるで海竜や首長竜みたいだ。
しかも、ウミガメは深海に潜ることもできる。それを当たり前のように思ってきたものだが、深海の低温に爬虫類が適応するのは並大抵のことではない。防御なしに深海に潜ったら、体温が下がって動けなくなってしまうではないか。そうした不具合を避けるため、カメは運動し続けることで体内に熱を蓄えている、という。面白い!
卵の硬さはまた主竜類とのつながりを思わせるとか、白亜紀末の大絶滅でもカメ類はほとんど影響を受けていないとか、オサガメはクラゲばかりを食べているが食性に合わせた進化を遂げているとか、興味深い話題が多く、楽しかった。ただ、寿命が人間に匹敵する(大型のカメでは人間を遥かに凌駕する)カメは、どうやらペットには出来そうも無さそうだ。
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