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1377冊目 M/世界の、憂鬱な先端
M/世界の、憂鬱な先端 (文春文庫)M/世界の、憂鬱な先端 (文春文庫)
(2003/01)
吉岡 忍

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評価:☆☆☆☆


 子供の頃、親に「知らない人に付いて行っちゃダメだよ」と言われた人は多いだろう。アラフォー世代である私にとっては、親が思い浮かべたのは吉展ちゃん誘拐殺人事件のような身代金目的の誘拐事件だったかもしれない。だが、それよりちょっと後の世代の親がそう言う時、思い浮かべたのは確実にこの男、Mのはずだ。

 1989年7月、幼女を裸にして写真を撮っていたところを父親に取り押さえられた男は、恐るべきことを自供する。それは、東京と埼玉で4人の幼女が次々と行方不明となり、惨殺体で見つかったり、焼かれた骨が自宅に送り届けられたりした異常な犯罪だった。男の名は、宮崎勤。80年代と90年代を画するかのようなこの事件の深層を探ろうと、90年代の10年間を費やした、という著者の集大成とも言えるノンフィクションが本書。

 彼はどう見ても異常者である。4歳から7歳の幼女を、4人も短期間に殺害したこともそうだが、その死体に加えた残虐な仕打ちと、血を飲んだり遺体の一部を喰ったりという異様な関心もそうだ。さらに、遺族に二重三重の苦難を与えようとでもしたかのような、今田勇子名義での犯行声明もまた、そうだ。

 しかし、裁判においては、我々の常識に反する主張が行われた。宮崎勤は正常な人間だとされたのだ。勿論、それは彼を死刑にするための方便である。宮崎の精神鑑定書もまた、検察の主張に沿ったものが出された。そして再鑑定では、更に異なる2つの結論が出された。精神鑑定が科学の仮面を被ったオカルトという面を持つとすべきか、精神鑑定の限界は我々の考えるより遥かに人の本性に迫ることなどできないと諦観すべきか。

 本書は、この3種の鑑定書を何度も何度も読み返し、関係者にインタビューを繰り返すことで、宮崎勤の人生をあぶり出す。究極の問いは、どうしてあのような異常者が生まれたのか、というもの。

 手に障害を抱えていたことが、幼児期からの彼のトラウマだった。家族は機能していなかった。彼を唯一全面的に受け入れていた祖父が亡くなり、彼の精神はタガを失う。その変容が丁寧に描かれているのは、彼を事件へ導いていく流れを知るには良いかもしれない。

 恐ろしいのは、一連の犯行が始まってからだ。そこで行われる事実の連なりは、彼を単なるペドフィリアであるという単純な見方を打ち破る。圧倒的な異常さ。しかし、彼はあの犯行の告白文のように、事件の全体をきちんと理解していたし、それを最大限自分の都合が良いように利用することもできた。責任能力という観点からは、死刑は当然の結論だ。

 著者はこの精神のあり方を、解離性人格障害つまり多重人格であるという鑑定を支持しているようだ。ネズミ人間が現れ、実際に手を下していたなんて供述をそのまま受け取ればそうなるかもしれないが、多重人格なんて所詮は医原病、医師と患者が共同で抱く妄想に過ぎない。だから、彼の異常さに迫ろうとする著者の奮闘は買うが、結論には承服しかねるところもある。

 宮崎勤事件を描いた後に、著者が向かうのは酒鬼薔薇事件。この事件もまた、ひとつの時代を画するようなインパクトを持った事件だった。

 宮崎勤事件と酒鬼薔薇事件を繋ぐ共通した環境を探り、そしてこうした異常な事件は今後も続くという暗澹たる結論に至る。

 しかし、この結論も私の考えとは異なる。確かに、異常な事件は今後も続くはずだ。しかし、それは社会の変容だとか教育の問題というものだけでは済まない問題を内包する。ヒトの存在の根源的なあり方、そして遺伝的な要素も深く絡む問題だ。殺人事件は凶悪化や低年齢化などしていない。昔の事件でも、追いかけてみれば十分に異常で残虐で理解不能だったのだ。昔は経済面の問題があったから事件があっても不思議ではないという思い込みが、現代の事件をより理解不能と思わせているにすぎないだろう。

 そうした観点から、私は著者と結論を同じくしない。しかし、著者の丁寧な取材と、犯罪者を悪として断罪するという正義に酔っていない姿勢、そして流麗な文章には頭がさがる思いだった。知らなかった多くの事実を丁寧にあぶり出し、教えてくれたことには感謝したい。
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ノンフィクション | 2014/02/23(日) 19:28 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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