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9冊目 八甲田山から還ってきた男
八甲田山から還ってきた男

高木 勉著

文芸春秋 (1990.2)


評価:☆☆☆

 1902年1月、行李輸送演習を行うため1泊2日の予定で八甲田山を目指した歩兵第五連隊210名は、日本史上屈指の悪天候の中道に迷い、遭難、199名の犠牲を出した。山中にて193名が死亡し、6明は救助後病院で死亡。この6名のうちには指揮官であった山口少佐も含まれていた(一説に責任を取っての自殺といわれるが、凍傷にかかった状態で自らを撃つことができるか疑問も呈されている)。後に”死の彷徨”として有名となったこの事件のことをご存知の方も多いであろう。概要は毎日新聞内の「八甲田山死の行軍」ページから追える。

 これと同じ時期、福島泰蔵大尉率いる38名が八甲田山に入っていた。こちらは9泊10日の日程で雪中行軍の実施に必要な情報集め等、軍事的な情報収集を目的とした一隊であった。そして、悪天候に幾度かの危機を迎えながらも38名全員が目的地に達する、という偉業を成し遂げる。当初の予定よりも日数こそかかり、また全員に凍傷や極度の疲労などが見られながらも命に別状のあるものは居なかった。この差は、どこから出たのであろうか。

 ちょっと調べただけでも両隊には多くの差があったことが分かる。それは指揮であったり、計画性であったりするが、やはり指揮官の統率力、というのも無視することはできない。本書は福島大尉の甥にあたる著者だからこそ目にし得た福島の遺稿を駆使しつつ、福島の一生を追いかける。そのあたり、八甲田山の遭難事件にのみ興味を持つ人には物足りなく思えるかもしれない。しかし、なぜ故に福島隊が全く被害を出さずに生還できたのか、ということを知りたいのであれば彼の生涯を追いかけるのは非常に重要なことである、ということが実感させられる。

 本書によると、福島は稀に見る勉強家であり、知識倒れに終わることなく用意周到、あらゆる点に気を配っていたことが分かる。福島の訓示は以下のように具体的かつ多岐に渡るものであった。


 河川を渡るときは、はだしで渡り、渡りおえてから水分をよく拭きとり、靴下を穿くこと。濡れた足のまま靴を穿いてはならない。
 凍って寒さの厳しい折、雪中で睡眠すると凍死する恐れがある。それで、小休止のおりの睡眠を禁止する。
 多量の雪を食べたり、氷を咬んだりして、胃を冷やしてはならない。
 放尿の後は釦はもちろん、褌、袴下で陰部を十分につつむこと。これは決して忘れてはならない。

(同書p16-18から該当箇所のごく一部を抜書き)


 この本を読むと、福島がどれだけ”万が一”に備えて準備を行ったかが実によく伝わってくる。そして、山口隊と比較して考えざるを得なくなる。山口隊はなぜ失敗したのか。福島隊はなぜ成功したのか。その判断は各々考えるべきであろう。そして、危機管理というものがどのようにあるべきなのか、ということも注目すべきなのではなかろうか。

 本書の半分ほどは福島の生涯に光を当てている。幼少時代から、日露戦争への出征、そして戦死までを事細かにしるしているのではあるが、親族であるがゆえの贔屓目(ひいきめ)が感じられてそれはそれで微笑ましくはあるが、一部割り引いて考えなければならない点も多いように思われた。それでも、気骨にとみ、度量が深く、実直で反骨精神に溢れていたことは実によく分かる。それがあったからこそ、過酷な雪中行軍において自分だけではなく部下も救われたのではなかろうか。

 本書は絶版のようであり、手に入れるのは難しいかもしれない。もし八甲田山の遭難事件に興味が沸いたのであれば、新田 次郎著の『八甲田山死の彷徨』を参考にするのが一番手っ取り早いのでは?(ただし、こちらは事実を基にしたフィクション。また、未読のため堂々とはお勧めできないのであるが・・・)
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ノンフィクション | 2004/03/06(土) 18:05 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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