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![]() | 犬とぼくの微妙な関係 (2012/12/28) 日高敏隆 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
動物行動学者として、また、エッセイの名手として知られた著者が色々なところで発表した文章を集めたもの。一貫しているのは、生物の持つ魅力、凄さに素直に心打たれ、それを世に伝えようとする熱意であろうか。
表題作の犬との関係については、著者は犬に噛まれてからずっと犬が苦手で猫と暮らしてきたのだが、そうした暮らしの中から見えてきた犬と猫の違いと、それをもたらした進化の妙について。犬が人間に従うのは、狼だった時代に群れのリーダーに絶対服従していたのが起源というのは知られているだろうが、猫が人間の言うことなどちっとも聞かず自由に振る舞うのは子猫が母猫に対して振る舞うのと同じと指摘されると面白い。
そして何より、動物行動学が解き明かしてきた性戦略の面白さについて、具体的な例を数多く織り交ぜながら紹介してくれるのが嬉しい。ミツバチが自分で子を生まず、妹達を育てることのメリットはもう知られているだろうが、交尾した相手の生殖器を固めてしまうチョウや、確実に自分の精子で受精した卵を生ませようとメスをがっちりホールドしたまま産卵に適した地を探すトンボは実に興味深い存在だ。
必死に自分の子孫を残そうとする生物たちの姿は微笑ましくも有り必死さに心打たれもしで、面白かった。動物と学習から人間の教育方法について疑義を呈するところも。こなれた文章で読みづらいところは全く無いので、生物に興味がある方にはお勧めできる。
ただ、同じ話が何度も繰り返されるのは感心しない。何種かの雑誌に載せた短文を寄せ集めたものであることと、著者がお亡くなりになっていることを考えれば多少は仕方のない点はあるかも知れないが、それなら編集の段階で極力内容が被らないようにするとくらいの手はあったと思う。
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