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1251冊目 内部被曝の脅威
内部被曝の脅威  ちくま新書(541)内部被曝の脅威 ちくま新書(541)
(2005/06/06)
肥田 舜太郎、鎌仲 ひとみ 他

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評価:☆


 ブクレコやFBで交流させて頂いている樽井さん(なんと、レビュー数で私を圧倒する脅威の方だ)にお勧め頂いたので読んでみた本。

 著者は広島で原爆を体験され、その後6,000人もの被爆者の治療に当たられた方である。そして、善意に基いて、内部被曝や低線量被曝の問題を取り上げている。

 しかし、善意を疑うことはないが、中身はかなり疑わしい。

 ヒロシマの惨禍は許されざるものだと思うが、それでも被災直後の広島で救助活動に当たった方が急性の放射線障害で亡くなられたのを内部被曝だと断じる根拠が不明である。残留放射線はかなりのものであり、外部被曝でも同じ事が起こるはずだ。内部被曝の害を訴えたい気持ちは分かっても、こんな露骨な印象操作をやられると一歩引いてしまう。

 2000年台に入ってからの被曝者のガンも同じ。2人に1人がガンになり、3人に1人ががんで死ぬ時代に、ある特定の被曝者がガンで死んだことが、内部被曝によるガン発生の根拠には成り得ない。ガンの影響を知るには統計的な調査をしなければならないが、逆に『人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用』では広島原爆での低線量被曝者ではむしろ寿命が伸びていることが示されており、整合性に欠ける。

 問題意識として、"「広島・長崎の原爆被害はアメリカ軍の機密であり、何びとも被害の実際について見たこと、聞いたこと、知ったことを、話したり、書いたり、絵にしたり、写真に撮ったりしてはならない。違反したものは厳罰に処す」という厚生大臣の通達があった(P.43)"とあるのには敗戦国の舐める苦渋を思って悔しい思いもするが、だが、それと事実関係は違う。原爆による被曝については全然客観的なデータが示されていないので、後追いのしようもない。

 仰天するのは、自然放射線レベルの高いインドのケララ州で住民の健康被害調査が行われて来なかったという言明。実際には行われている(http://www.taishitsu.or.jp/genshiryoku/gen-1/1-ko-shizen-3.html#3.2 インド)。こちらはガンによる死亡ではなく、罹患でのデータが取られている。男性の肺ガン、女性の甲状腺ガンには発生率の上昇が見られるが、ガン全体では有意な発生率の上昇は見られないとされている。

 人工放射性物質は生体濃縮されるために自然放射性物質より危険であるというのは、妥当であると言えよう。なので、無批判に放射性物質の含まれた食品を摂取すべきではない。ではゼロにすべきかというと、そうではあるまい。本書にある通り、人間の体には放射線カリウムが4000ベクレルほど存在する。こちらは濃縮されることはない代わりに、減ることもない(減る分は新たに取り込まれるため)。

 重要なのは被曝量だ。

 では、被曝量についてはどうか?著者はペトカウ効果を引き合いに出す。これは、低線量の被曝でも多大な害を与えるとするものだ。この実験では、なんと毎分0.00001シーベルトの被曝でリン脂質が破壊された、という。これはものすごく微量に感じる。しかし、これは年間に換算すれば5.3Svに該当する量だ。あらゆる常識から言って、低線量ではない。5mSvを1年や2年浴びても大丈夫であろうという推定をしているところに持ってくるような話だろうか?

 ペトカウ効果に対するこの怪しげな根拠で低線量被曝を論じているのであるが、はて、年間5Svという誰もが害を認めるに違いない高線量のデータを元に低線量を危険というのはどうなのだろう。

 そう思いながら読み進めるうち、"癌に低線量の被ばくが大きな役割を果たしている可能性は高く、研究も進んでいる。たとえ数字となって出てこなくともあるはずだと私は考えている"(P.97)という宣言には唖然とした。この人、科学をやってるんだろうか?数字が出る出ないというのは自説を確かめるための唯一の手段ではないか。それが出ようと出まいと構わないから信じるとは、信仰の告白以外の何だろうか?

 こうした偏った書き方をされている中で、コロンビア川上流の放射性物質汚染の浄化に年間2000億ドルを要している(んなわけねーだろ)等とあるのをみると、どんな事実も針小棒大にしようとしているのかと勘繰ってしまう。実際には20億ドルとのことであるが、これは1ドルを100円換算して、2000億円と書こうとしたのを誤ったのだろうか。しかし、恣意的な引用が続く現実を見ると、なんとしてでも危険を煽りたいのだろうかと思えてしまう。

 また、本書の欠陥は、論拠が示されていないことだ。『人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)』ではしっかり論拠が示されていたし、データも載っていた。だから、解釈が異なるにしても議論は可能だった。しかし、本書ではガンが増えた、というような結論しか書かれていない。

 本書が指摘するように低線量でも各種のガンが凄まじく増えるなら、どんなに原子力の導入側が頑張ってもデータの隠蔽なんて出来ないだろう。まずは冷静になるべきだと改めて思った1冊。



 震災後に出版された『内部被曝』でも傾向は同じようだ。こちらの批判を当たって欲しい。私としては、とても著者を信用することは出来ない。

「内部被曝」(肥田舜太郎)の読み方

「内部被曝」肥田本 その2


 ちなみに、本書は改訂後のものだが、前はもっと酷かったそうな。こちらを参照下さい。
乳癌とセシウムのフォールアウト:肥田舜太郎氏は何を間違ったか

 原発を無くしたほうが良いということには賛同する。しかし、こんな論拠には、とても賛同することはできない。批判されないためにも、冷静で客観的な言説が必要なのではなかろうか。

関連書籍:
人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)
(1998/12/18)
近藤 宗平

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ノンフィクション | 2013/08/13(火) 19:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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