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![]() | 文庫 犬たちの隠された生活 (草思社文庫) (2011/06/02) エリザベス・マーシャル・トーマス 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
科学は色々なことを明らかにしてくれた。星の動きも、輝きも、瞬く理由さえ。星が動くのと同じ理由で私の落としたパンはジャムを塗った面を下にして床に落ちる。生命現象に目を転じても、臓器の働きや、それらが活動する、あるいは破壊される要件が分かってきている。それなのに、まだまだ科学が踏み込めないのは、心の世界。人間であれば、それでもまだ自分の思いを言葉で説明できる。が、動物ときたらお手上げだ。
そんなわけで、動物のことなんて全然分かっちゃいないというのが現実だったりする。最も身近な動物である犬が、どうして電柱ごとにおしっこを引っ掛けるのか、それすらハッキリしたことは分からない。
犬が求めているものは何なのかを、10匹以上の犬と暮らす中で著者が悟ったことを述べているのが本書。
多頭飼いの経験に加え、狼の観察をしていたことが、著者の指摘に説得力を与えている。本書を見れば、犬が狼の子孫であり、その性格を今も色濃く残していることに納得がいくだろう。
具体的には、犬同士の挨拶、散歩の際に会う犬会う犬ごとに繰り返されるあの儀式が、群れの中での序列を決めるのと同じであることは説得力がある。狼の群れの場合、発情期が来ても孕むのは序列1位のメスだけ。そうでなければ、群れが崩壊してしまうから。だから、序列を決めることは彼らにとって死活的に重要なのだ。
犬が本当に求めているのは何なのか。著者が見出したその答えは、もしかしたら犬好きの人間には納得行かないものかもしれない。それでも、犬たちが自由に過ごす姿をこうして垣間見れば、きっと犬への意識が変わると思う。犬好きの一員として、楽しく読むことができた。そして、愛犬に家の中での自由は与えられたが、同族の仲間を与えられなかったことや、屋外での自由を与えられなかったことが、ちょっと残念になった。
本書はその性格上、絶対に正しいと言える性格のものではない。だから、著者の意見に同意するかどうかは、各個人に委ねられている。そして、私はその指摘の多くを、価値あるものだと思った。
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