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1097冊目 南極越冬隊タロジロの真実

南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)
(2012/09/25)
北村 泰一

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評価:☆☆☆☆☆


 今回は自分語りが多く入るので、訪問してくださっている方には申し訳ないのですが、どうぞお付き合い下さい。


 映画『南極物語』は、私の記憶する、映画館で見た初めての映画だ。何故犬達が残されたのか、そこは綺麗に記憶から消え去ったが、人間の去った南極に残された15匹の犬が生き、死んでいく姿が強く心に残っていた。経緯は忘れ去っていたため、どうしてせめて鎖を離してやらなかったのかと思う気持ちがあった。もう一つ記憶に残った理由は、北大を卒業した母が、帰国したタロが生きているうちに巡り会っていたため(もう晩年だったため、母曰く「ただの年取った犬に見えた」とのこと)、映画の中のヒーローが身近に居た感じがしたためだ。

 本書には、越冬開始から、タロジロとの再会までの経緯が当事者の立場から詳しく書かれている。

 著者の北村さんは、一番の若手として第一次越冬隊に参加している。越冬隊員には希望者が殺到したという。その中で著者が選ばれた理由は、不可欠とされるであろう犬係を狙った準備にあった。犬・オーロラ係に選ばれた著者は、(映画では高倉健さんが演じた主人公のモデルである)菊池徹さんと共に、犬との生活を送ることになる。

 犬ぞりが必要とされた理由。往路の宗谷では、暑さに弱い樺太犬を守るために犬の部屋にだけクーラーが付けられたこと(日本で初めて南極探検に赴いた白瀬隊は航海中に暑さで多くの犬を喪ったという)。吠える40度狂う50度絶叫する60度と言われる過酷な海で、床と壁が入れ替わるほど激しく揺れる船。

 ようやく南極に辿り着く。犬たちは大活躍だった。訓練時はてんでバラバラで、足を引っ張るかのような犬ぞり隊は、最終的には雪上車よりも踏破した距離が長かったのだ。

 昭和基地周辺は、人跡未踏の地だった。越冬も冒険要素がかなり強く、基地の建設すら現地に着くまではっきりしたことは決まっていなかったくらいだ。だから、地理をはっきりさせるための遠征があり、未踏破だったボツンヌーテンの登頂があった。犬ぞりの活躍があってこそのことだ。犬たちの奮闘と、その成果には心が踊った。

 悲劇も起こる。越冬中、樺太犬のベックとテツは病を得て死去する。2頭とも、体調を崩した時には犬係の著者は遠征に出ていたが、その帰りを見届けて安心したかのように世を去った、という。

 こうしたことから著者は犬への愛情を育んでいくことになる。

 だからこそ、その後の悲劇は深さを増す。

 著者は、第二次越冬隊が昭和基地に来られない可能性を考え、せめて犬の鎖を外したいと主張する。同じく犬係だった菊池隊員は、自分一人でも犬と一緒に南極残してくれと頼み込んだと言う。一緒に過ごした仲間を失いたくなかったのだろう。

 犬を救えなかった断腸の思いは、やがて著者を第三次越冬隊に駆り立てる。せめて自分の手で葬ってやりたいと望んだのだ。犬係で再び越冬を希望したのは、著者だけだった。そして、それが著者をタロ・ジロとの再会に立ち会わせることになる。

 再会は、感動のシーンとはならなかったようだ。丸々と子熊のように太った樺太犬に、置き去りしたことの負い目もあって、恐れの気持ちがあったのだろう。犬たちには、もしかしたら置き去りにされたことの怨恨があったかもしれない。思い当たる順に名を呼ぶ。タロの名で、犬の尻尾が僅かに触れた。


 本書の結びは、犬たちの物語に相応しく、著者が彼らを葬るシーン。

 三月の彼岸の日、私は彼らを思い出のソリに載せて、基地と大陸の間のオングル海峡の中ごろまで曳いていった。そこで一頭ずつ海に葬った。その日は風雪が舞い、陰鬱な日であったが、犬たちを葬るのにふさわしい日であった。最後の一頭が、暗い海にゆっくり沈んでゆくのを見て、私の魂はつぶれた。私の魂はつぶれた。
 私の魂はつぶれた……。
(P.322より)


 きっと、一頭一頭の名を呼び、体を撫で擦り、苦労を労い、涙ながらに詫びながらの別れだったのだろう。著者の苦しかった胸の内が伝わってきて、こちらまで苦しかった。

 今、南極には犬を連れて行くことは出来ない。だから、彼らを見舞った悲劇は、もう起こることはない。今でも毎年毎年越冬隊の方々は新たな知見を積み上げている。その礎を築いてくれたのは、越冬隊の人々と、この犬たちだ。彼らの労に報いるためにも、こうした事実を当事者の立場から伝えてくれる本書は貴重だと思う。


関連書籍:

世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
(2002/12)
アプスレイ チェリー・ガラード

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面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
(2004/09)
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ノンフィクション | 2012/10/29(月) 22:42 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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