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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
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1589冊目 巨大彗星-アイソン彗星がやってくる
巨大彗星-アイソン彗星がやってくる巨大彗星-アイソン彗星がやってくる
(2013/10/23)
渡部潤一

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評価:☆☆☆☆


 2013年、天文ファンの心を踊らせたのが、アイソン彗星である。本書のタイトルにもなっている通り、巨大な彗星となり、明るく輝く核と見事な箒状の尾を持つだろうと予想されていた。最終的には太陽に近づいた際に巨大な潮汐力によってバラバラになり、多分溶けて蒸発してしまったのではないかとされている。

 このアイソン彗星が来る前に、それがどのようなもので、どうやったら楽しめるかを解説しているのが本書である。従って、本書の使命という点だけで言えば、本書はその価値を終えている、という見方もできる。だがしかし、アイソン彗星の楽しみ方については既にその役割を終えているにしても、本書は彗星の振る舞い全般を丁寧に解説してくれているので、価値は減じたといえどもまだまだ読む価値ありと言える。

 例えば、彗星の明るさの予想はどうやっているのか?余りにも複雑な要素が絡み合っているので、正確に予想する事こそ難しいことが、著者自身の失敗例を材料に語られている。予想は外れると思った方が実際的であると言いたくもなるが、そうした困難を乗り越えて我々ファンのために予想してくれる人々はありがたいものだ。

 他にも、彗星の尾は進行方向の反対側にできるわけではなく太陽の反対側にできるが、不思議なことに太陽側にそれらしきものが見える場合もあることについて教えてくれていたり、彗星の尾は一度核から離れたらあとは離散するばかりだと思っていたのが、一度離れてからまたコアに近づいてきて、軌道を交差させたあとは永遠に離れていくといった挙動を教えてくれるのも嬉しい。

 全体的に見れば、知らなかったことを沢山教えてくれているので、読んで楽しかったというのが素直な感想である。ここで得られた知識は、次回の彗星接近でも生きるだろう。次の彗星を迎えるのが楽しみになった。早く来ないかなあ^^
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素粒子・宇宙論 | 2014/11/30(日) 19:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1588冊目 気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
気になる科学 (調べて、悩んで、考える)気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
(2012/12/21)
元村有希子

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評価:☆☆☆☆


 毎日新聞の科学部記者元村有希子さんによるコラム集。科学部にいるのに、ご本人は学生時代理系科目には全然関心を持てなかった、という。それなのに、何の因果か科学部に回されてしまったというのが、いかにも文系偏重の新聞社らしい(苦笑)。まあ、理系出身者の方が生涯賃金が低いという、技術立国を自称するにはお粗末かつ恥ずべき状況にあるので、これは毎日新聞だけの悪弊ではないだろうが。

 閑話休題、本書は上述の通り科学報道の記事を集めたものではなく、コラム集である。そのため、はっきり言ってしまえば、深く掘り下げられていない、レベルの低い話題が多いのも事実だ。一方で、科学報道に携わるジャーナリストが何を考えて仕事をしているのか、あるいは、記事にはならねども取材の現場で起こる面白いことを、自由に書いているので、構えずに読めるのは良い。

 職業柄、また、ご本人の関心の向きから、東日本大震災と福島原発事故に関する記事が多い。確かに、原発は使わなくて済むのであればそれに越したことはない。しかし、原発の代替技術も全てノーリスクではないのだ。火力などは多数の死者を生むのが確実視されていて、福島原発事故が起こっても放射線障害による死者は統計上無視できるとされるのとは大きな違いがある。そういう冷静な取材は無いのだろうか?

 面白かったのは、科学者とのふれあいについて。iPS細胞の発見でノーベル賞を受賞した山中教授。彼の持ちネタは自らの髪の薄さを、iPS細胞の技術を使えば解消できるかもしれないというもので、記者は笑っていいのか悪いのか悩むという。流石は関西人、そこは笑ってあげましょう(笑)

 また、最後に『性転換する魚たち』からの引用の形で、ファインディング・ニモが実は物凄い話であることに触れられている。笑いなしでは読めないと思われるので、是非こっそりと読んで頂きたい。私はこの本を読みたいリストに入れておきました。

 こんな感じで、本当に気軽に読めるので、軽い読み物としてもどうぞ。
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ノンフィクション | 2014/11/29(土) 21:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1587冊目 ガンバとカワウソの冒険
ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
(2000/09/18)
斎藤 惇夫

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評価:☆☆☆☆


 『冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間』でイタチのノロイを何とか打ち破り、居心地の良い我が家へ帰ってきたガンバ。しかし、彼に安寧の日は訪れなかった。前作で仲間になったシジンに探し人(探しネズミ?)がいるのだが、どうもワケありらしいので一緒に探そうとマンプクたちが誘いに来たのである。

 ジャガイモが沢山ある部屋で、まさにカウチポテト族的な生活を送ろうと思っていたガンバは一度は断るのだが、半分は引きずり出されるような格好で再び旅に出ることになる。シジンの想い人を探す旅に。

 タイトルから分かる通り、物語にはカワウソが大きく関わってくる。ガンバの向かった島では、カワウソはもう居ない。いや、そう思われていた。人と犬に逐われて、もう暫くの間、誰もその姿を見たものは居なかった。ところが、どうやらシジンの想い人であるところのナギサはカワウソと一緒にいるのではないかと思われるのである。

 この設定を見た瞬間、ニホンカワウソのことが頭をよぎった。彼らはその良質の毛皮を狙われて数が激減し、遂に絶滅したとされている(生存を信じる者もいる)。隴を得て蜀を望む、人間のどうしようもなさを教えてくれているようだ。

 ガンバたちの向かった島も同じ。ここでは、人に加えて趣味で動物を殺す野犬がカワウソを噛み殺していた。

 ナギサは偶然に生き残ったカワウソと出会い、彼らと行動を共にしていた。恋するものの一念で何とかナギサを見つけたガンバたちは、野犬から逃げるのと同時に他の生き残りのカワウソを探して新たな冒険にでかける。

 野犬のスパイを疑われるネズミ、毒舌を吐いてはガンバたちをあざ笑うカモメ、どこまでも執拗に追ってくる野犬。前作でも明らかなように、著者は子供向けの作品だからと誰も死なないようなぬるい物語を書くわけではない。冒険者達はどうなるのか、気になって一気に読み進めてしまった。

 それにしても、著者のカワウソへの思い入れがこれでもかと言わんばかりに詰まっている。カワウソが泳ぐ姿は優雅で、ネズミたちが見惚れる程だというが、これは絶対に著者の想いだ。カワウソは絶滅してしまったかもしれないが、同じ轍を踏まないようにしていかなければならない。対象年齢が小学校4、5年生以上となっているのは、丁度そういうことが分かり始める頃の子供たちを対象にしたからだろう。目を話せないストーリー展開に加え、メッセージ性にも優れた一冊。



関連書籍:
冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫 (044))冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫 (044))
(2000/06/16)
斎藤 惇夫

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その他小説 | 2014/11/27(木) 19:42 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1586冊目 ダイオウイカ、奇跡の遭遇
ダイオウイカ、奇跡の遭遇ダイオウイカ、奇跡の遭遇
(2013/10/18)
窪寺 恒己

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評価:☆☆☆☆


 子供の頃、深海を扱った本でマッコウクジラとダイオウイカが戦っている挿絵を見た記憶がある。あれは何の本だったか。今にして思えば、あれは戦いなどではなくて食われかけているダイオウイカの必死のあがきだったわけだけど。

 見てきたようなシーンであるが、実はこの決定的なシーンを目にした人類は、存在しない。映像すら無い。では、それは想像の産物なのかというと、そうでもないのが面白いところ。マッコウクジラは哺乳類の宿命として肺呼吸を行わなければならないため、水面に浮上する。畢竟、人の目に触れるチャンスがある。そうして人目に触れた彼らの顔に、巨大な吸盤の跡があることから、深海に於ける戦いが想像されるのだ。

 彼らが捕食されるシーンについて述べたが、実は、ダイオウイカが自然界で生きている姿を捕らえたことはほぼ皆無であった。光のほとんど届かないことに加えて猛烈な水圧がかかることを考えれば不思議ではないかもしれない。だからこそ、研究者たちはいつかその姿を拝みたいと知恵を振り絞ってきた。

 序において、ダイオウイカの生息数を試算しているのだが、その数たるや数十億に上るというのには心底驚いた。触腕を入れれば10メートルを超える(最大の記録は18メートルとも言われる!)巨大イカが、数十億も深海に棲んでいるとは!これだけ沢山のダイオウイカが生息しているからには、映像に収めることは不可能ではない!

 著者は、2004年に世界で初めてダイオウイカの生きた姿を写真に捉えることに成功した科学者である。そして、2012年、NHKとディスカバリーチャンネルが出資するプロジェクトにおいて、遂に彼らの生態映像をビデオに捉えることに成功した。その成果が実った時のことを興奮とともに記しているのが本書である。

 プロジェクトが動き出すまで、多くの国の科学者たちの、知恵を振り絞っての作戦立案、そして深海へ向かう旅。どれも、冒険記のような興奮に溢れている。本当に好きでやっているのだなあと思わされて、こちらにもその興奮が伝わってくるのが良い。ダイオウイカの撮影に成功したところではこちらまで嬉しくなってしまった。

 また、深海に向かう旅については、以前に読んだ『深海のパイロット』を思い出した。本書でも、研究者と運用者がしばしば意見を戦わせたとあるが、深海探査の難しさについてはほぼ触れられていないので、興味がある方はこちらを参照してみて欲しい。

 ダイオウイカの姿を捉えたとは言っても、まだまだ研究は途についたばかりである。まだまだダイオウイカの生態は分かっていないことばかり。今後の研究が愉しみだ。

 後半は、著者の研究生活について書かれている。研究者、特に水産学の分野で研究を行うとはどのようなことなのかが分かるので、進路として考えている方には参考になるだろうし、そうではない人は苦労話にしながら読めると思う。正直、クジラの胃の内容物調査で、消化中のものの匂いが凄まじいなんていう記述に"うへぇ"と思いながら読んだのは事実だ。そう感じつつも、面白そうと思ったのも事実だが。深海に生きる生物の謎に興味を持たせてくれるのが嬉しい一冊だ。


関連書籍:
深海のパイロット (光文社新書)深海のパイロット (光文社新書)
(2003/07/17)
藤崎 慎吾、田代 省三 他

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ノンフィクション | 2014/11/26(水) 22:25 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1585冊目 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘
櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘 角川文庫櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘 角川文庫
(2013/10/09)
太田 紫織

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評価:☆☆☆☆


 美人でお嬢様で人格破綻者の櫻子さんを探偵役に据えるシリーズ3作目。シリーズ物らしく、過去の作品に登場した脇役が顔を出すのがファンには嬉しい。

 前作で迷子の家を主人公の館脇正太郎と一緒に探した内海刑事が、友人が市の不安に取り憑かれているので不安を取り除いて欲しいと無茶なことを言い、櫻子さんと主人公をその友人のもとへ連れて行く一作目。早死にが多い一族出身のその友人は、"呪われた犬"を半ば義務感で飼い始めた頃から死の妄想に取り憑かれたようだった。

 で、この犬がバスカヴィル家の犬みたいな凶悪そうなのだったらまだ呪われているという話は分かるかも知れないけれど、白くてモフモフした大型犬で人懐こいというもの。毛皮に顔を埋めたくなるぞぅ。ところが、この犬は何度も飼い主と死別している。呪いだとか因縁だとかに怯えるその友人を、しかし櫻子さんは笑い飛ばす。そんな非科学的な、と。素晴らしい。お友達になってください!彼女が唯一困ったのは、この犬がやたらと櫻子さんに懐いてベロベロと舐め回すことか。

 早死一族の謎は?呪われた犬の正体は?その友人の不安は?

 二作目は、主人公が高校の文化祭に櫻子さんを誘うもの。彼女は案の定、理科室へ入り込む。そこに骨があるから。しかも、少し前に亡くなった理科教師がやたらと骨を好きだったらしく、完成度の高い標本が並ぶのに加えて未処理の骨が大量に眠っているという、櫻子さんならヨダレを垂らして喜びそうなシチュエーション。

 そこに現れた現在の理科教師が、整理を手伝ってくれというものだから、櫻子さんは趣味と実益を兼ねて引き受けることに。ところが、その中から出てきてしまったのだ。人骨が。誰の骨なのか?なぜここにあるのか?櫻子さんの推理が冴える。

 これまでの作品同様、残念美人の櫻子さんの活躍の影にあってひっそりと読者の心に訴えかけてくるのが美味しそうな食べ物の話。ああ、出張で行った時、時間を取って堪能してくればよかったなあ、と今になって後悔してしまった。続きも楽しみ。
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推理小説 | 2014/11/25(火) 19:32 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1584冊目 コメの嘘と真実 新規就農者が見た、とんでもない世界!
コメの嘘と真実  新規就農者が見た、とんでもない世界!  (角川SSC新書)コメの嘘と真実 新規就農者が見た、とんでもない世界! (角川SSC新書)
(2013/07/10)
近正 宏光

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評価:☆☆☆


 不動産会社に勤めたはずが、米どころ新潟出身だから、というたったそれだけの理由で社長から米作りを命じられた著者。そこから苦しい日々が始まる。何が?まず、農地を手に入れることが出来ないのである。

 奔走する中で浮かんでくるのが、田舎の排他性と役所の無能さと管理指向。そして、成長意欲も危機感もないのに多額の補助金を得ている兼業農家というおかしな姿。読んでいるこちらが憤りを感じるレベルである。たらい回しをするしか能がない役人どもには、こいつらを養うために税金を払うのはイヤだ、跡継ぎも居ないのによそ者に土地を渡すのは嫌だというケチな田舎者にはこいつらに都市部住民は税金を搾取されているのはウンザリだと思ってしまう。少しは『奇跡を起こした村のはなし』を見習え!とイライラした。

 閑話休題、著者はなんとか協力者を得て、農業を始める。すると、今度は販路がない、初年度はなんと白鳥の餌に寄付するハメになる。そこでもまた、問題が山積みだったのだ。

 新規就農者だからこそ見えてくる、異常な世界がそこにある。そして、日本の農業行政は、安全で美味しいコメを消費者に届けようなんて露ほどにも思っていない、ということも知ることができる。農協も、新しいことにチャレンジしようという意欲を削ぐばかりであるということも。

 だから、著者は日本の農政が破綻していることを指摘した上で、TPPに関してこう訴える。
 既存のおかしな制度を見直し、日本の農業を立て直す意味でもTPPはまたとないチャンスです。そんな思いから、私は込め作農業に携わる農家として「TPP参加賛成」を表明しています。


 私には、彼の言葉には物凄く説得力があるように思えてならなかった。

 妻の実家方面から届いた、農家が自分たち向けに作るコメを初めて食べた時、今まで俺が食ってたのはコメを詐称しているがコメ以外の何かだと思った記憶が蘇ってきたのだが、それは故無きことではなかったのだなあ。

 米作りの問題点を洗い出し、美味しい米を消費者に届けるためには何が必要かという提言に満ちているので、農政のあり方を考える参考になる。こんな莫迦莫迦しい制度に捕らわれず、美味しい米を作る生産者と、それを消費者に届けてくれる流通業者と、せめてそれを邪魔しない税金泥棒役人を得たいものだとつくづく思わされた。俺は、美味しいコメを食べたいのだ。
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ノンフィクション | 2014/11/24(月) 19:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1583冊目 都市伝説と犯罪―津山三十人殺しから秋葉原通り魔事件まで
都市伝説と犯罪―津山三十人殺しから秋葉原通り魔事件まで都市伝説と犯罪―津山三十人殺しから秋葉原通り魔事件まで
(2009/04)
朝倉 喬司

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評価:☆☆☆


 世間を震撼させた数々の大事件がある。大量殺人、通り魔事件、連続自殺。時代を象徴するようなこうした事件の現場を訪れるルポルタージュが本書。サブタイトルにある通り、津山三十人殺しから秋葉原通り魔事件まで、血生臭い事件を多く追いかけている。

 こうやって纏まったものを読むと、悲惨な事件が多いように感じられてしまう。2009年の作品なので、もう5年以上前の事件しか無いにも関わらず、強烈な記憶を残しているものもある。個人的には、秋葉原の通り魔事件と宅間守の池田小学校事件が強く記憶に残る。劣等感に満ちていたであろう犯人が、己の勝手なエゴを満たすためだけに起こした事件だ。どちらも凄惨で悲惨なものだった。

 他にも何人もの死者を生んだ事件がある。本書は、その核心に迫ろうというものではない。むしろ、現場や犯人が暮らしていた場所を訪れ、その雰囲気を追体験しよう、というものだ。また、その地に語り継がれてきた伝承等で、雰囲気やら様相が似ている話を収めている。それを著者は都市伝説としているようだが、明確に事件そのものに関連するような都市伝説が収められている訳ではない。むしろ、オドロオドロしい雰囲気を醸し出すための道具として使われているようだ。

 特に、高級パブの女将が焼殺された後に、同じ地域で同年代の人々が次々に焼身自殺を遂げたり、若者が相次いで死んだりという、近くに住むものには何かがありそうだと思わせられるネタを上手く使っているので、ホラーを読んだ時のように背筋が寒くなる気分を味わえる。勿論、これは心霊現象やら何やらのオカルティックなことではなく、人間がランダムネスを正しく評価できないことの証左でしか無いのであるが。

 有名な事件が網羅されているというわけではないが、事件のあらましを知るには良いかもしれない。また、津山三十人殺しの犯人に対し、地元では同情的な声も多いといった、意外な話があるのも、現場に訪れた者ならではの語りだと思わされた。そうした点で、欠点はあれども読む価値はあると言えそうだ。

 それにしても、こうした本を読む度に思うことだが、本当に恐ろしいのは心霊だの宇宙人だのではない。人間である。
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ノンフィクション | 2014/11/23(日) 19:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1582冊目 まおゆう魔王勇者 2忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
まおゆう魔王勇者 2忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀まおゆう魔王勇者 2忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
(2011/01/31)
橙乃 ままれ

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評価:☆☆☆


 ヨーロッパ中世を思わせる世界ながら知識は現代という巨乳魔王と力は山を抜き気は世を覆う勇者が手を組んで乗り出した改革は順調に進んでいた。ジャガイモやトウモロコシといった、新大陸由来の食材は魔界からきたという設定で、実際にヨーロッパが慢性的な食料不足から開放されたのと同じように、寒冷地では次々と人々の生活は豊かになっていった。

 しかし、それは大国の干渉を呼び込まずには済まなかった。

 斯くして、大国は主人公たちと結んだ小国に攻め寄せてくる。といっても、大国には思わぬ敵が居た。こっそりと経済戦争を仕掛ける商人(先物取引まで行っている)、魔王の薫陶を受けた若き軍人たち、そして魔王と共にある勇者とそのご一行。彼らは侵攻を食い止めることには成功するが、一難去ってまた一難、今度は後背に問題を抱えることになる。

 魔物たち。彼らら氏族制で、全体としての動きは各氏族の長の寄り合いで決まる。このあたり、連合王国的な性格で、古代中国のような絶対的な王朝を想定すると読み誤るな。さて、魔族の間では勝手に侵攻を始めてきた人間と共存共栄など望まない勢力もある。魔王はこの氏族の長を集めるクリルタイを開き、共存共栄の道を探ろうとするが――。

 ヨーロッパを背景にしながら無節操なまでにアジア地域で発達した技法を取り入れるところも面白い。前巻では羅針盤が出てきたが、この巻ではクリルタイと屯田制がその代表的な事例であろう。小切手なんかは西アジアなので、これがでてきても面白いかも。

 文明史をなぞるようなファンタジー、続きはどうなるか?また、ちっとも進展の見られない勇者と魔王の仲はどうなる?というか、勇者がモテモテで、それなんてエロゲ的な感じ。ずるいぞ、勇者。
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SF・ファンタジー | 2014/11/22(土) 19:39 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1581冊目 NHKスペシャル 北極大変動―加速する氷解/資源ビジネスの野望
NHKスペシャル 北極大変動―加速する氷解/資源ビジネスの野望NHKスペシャル 北極大変動―加速する氷解/資源ビジネスの野望
(2008/11)
NHK「北極大変動」取材班

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評価:☆☆☆


 北極において、驚くほどの変化が起こっている。地球温暖化の影響をより受けやすい極地故の現象であり、中緯度地域に住む我々にはなかなか実感が湧いてこない。この大異変の実像を描いたのが、本書。

 北極圏を象徴するホッキョクグマの姿を収めるべく、スバルバル諸島に向かった取材班は驚くべき現象を目の当たりにする。氷が、無いのである。北極の氷量は、短期的にはともかく長期的には減少傾向にあることが知られる。これはワモンアザラシの営巣地を奪い、ワモンアザラシを捕食するホッキョクグマを危地に追いやる。

 平等を期して言っておけば、過去極地は今よりも3度以上暖かかった時代もあり、ホッキョクグマはその時期を生き延びている。むしろ、人間による乱獲が問題なのだが、残念なことにNHKはそうした平等さを訴えることはなく、ただただ温暖化が問題だ、ホッキョクグマはこのままでは絶滅してしまう!な、なんだってーーー!!に終始してしまうのは困ったものだ。

 氷が解けてしまうと、氷より海水は太陽光を吸収するため、更に温暖化が進み氷が更に解ける、と正のフィードバックによって破局が起こると警告している。確かに、このフィードバックは夙に指摘されることで、逆方向に向かわせるためには何らかの大きな変動が必要なのかもしれない。

 こうした、極地の大変動を探ったのが前半なら、後半はむしろ大変動が一部の国や企業には役立っているという意外な側面を描く。化石燃料の採掘、である。

 北極圏には膨大な地下資源が眠る。厚い氷が覆ってたほんの僅か過去の時代、アクセスは困難を極めていたが、氷が解けたことで開発が急速に進んでいる、という。水深4000メートル級のところから化石燃料を掘り出すことができると聞くと、その技術力の高さには驚かされるばかり。

 一方で、こんなところまで開発しなければならないということの深刻さも感じるべきだろう。簡単に得られる化石燃料は、もうほとんど採り尽くされてしまった。代替エネルギーの開発が必要なのはそうした事情にもよる。二酸化炭素による温暖化が事実だろうと誤りだろうと、化石燃料を湯水のように使う現在のエネルギー政策からは早急に抜けだす必要がある。原発もまた、核燃料は遅かれ早かれ枯渇するのだから、最終的な解決にはなり得ない。我々が生きている時代は大丈夫だとしても。再生可能エネルギーの開発が大切なのは間違い無さそうだ。

 変わりゆく北極の姿と、そこから派生した資源ビジネスの姿から、人類文明の行く末を考えさせられた。
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環境 | 2014/11/21(金) 19:35 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1580冊目 原発事故と放射線のリスク学
原発事故と放射線のリスク学原発事故と放射線のリスク学
(2014/03/14)
中西準子

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評価:☆☆☆☆


 著者は下水道行政で国を厳しく批判し、後に化学物質のリスク評価を行う等、リスク分析で広く知られた人物である。ともすれば、リスクがあるから禁止という極端な方向に流れがちな中にあって、コストと得られる効果を比較すべきであるとか、社会が受け入れ可能なリスクがあると唱える彼女はやや異端に属するかも知れない。

 社会が受け入れ可能なリスクと言っても、そのレベルは人によって異なる。だから、毀誉褒貶が伴うのは当然といえば当然だろう。ただ、彼女は自説の正しさを声高に唱えるのではなく、冷静な分析で行っているところが良い。『環境リスク学―不安の海の羅針盤』において余すところ無く述べたそうした考えを、放射線のリスクへ敷衍したのが本書である。

 まず、著者は放射線はどんなに低線量でも害であるとするしきい値なし仮説(LNT)に立つ。そうした上で、年間100mSv とはどういう意味か、除染で目指すべき線量レベルはどの程度か、福島原発で目立った害が生じるか、といったことを述べている。

 どうしてこんなに説得力があるのだろうと思っていたら、中で「今後の研究が待たれる」といった類の、結論を出さない調査を批判していること、きちんと結論を示して外れた時には責任を取ることを提言するわかり易さが原因だろうと思った次第である。玉虫色に逃げる背景についても触れられているのだが、アメリカでは社会の許容レベルについて官民一体となって深く議論している様を見せられると、彼我の差に悲しくなるほどだ。一方であの国は理科系教育が弱いという不思議な現象も呈しているのだけど。ノーベル賞受賞者は多いけど、かなりの部分は移民だし。

 閑話休題、低線量放射線の害は過大に見積もっているように感じられる。

 LNTが正しいか間違っているか論争になるのは、100mSvの以下の低線量では統計的に害がはっきり出ないからだ。それは害がないことの証明にはなり得ない(証拠がないのは不在の証明ではない)。しかし、LNTに基づいて受動喫煙による肺がんのリスクを52mSv被曝と同等と評価している(p.267)のを見ると、受動喫煙の肺がんは統計に現れるのだからぜんぜん違うと思ってしまう。

 また、LNTはラムサールのように年間100mSv 以上とも言われる自然放射線レベルの高い地域で発ガン率の上昇が見られないことと矛盾するし、原爆被災者の追跡調査においても、低線量被曝者の寿命はむしろ伸びている事実が報告されており、これらはLNTに対して強力な反対材料と思う。

 放射線の作用原理からすれば、LNTは説得力を持つように思うのだが……

 閑話休題、LNTは考えうる中で最もリスクを高く評価しているといえる事は間違い無さそうだ。政策決定にはリスクとベネフィットを比較することが必要なので、その材料としてLNTを使うのは悪くは無さそう。

 その上で、ゼロリスクを求めるのは愚かしい(同じ理由で予防原則も愚かしい思想だ)ことを理解し、許容できるリスクに収めるために何ができるのかを考えていかなければなるまい。この本は、その絶好の機会を与えてくれていると思う。

 原発の意義を考える上でも、読んでおいて損はないと思う。尚、著者は原発やむなしの立場から、福島の原発事故を経て原発反対に意見を変えたというので、反対派の人もしっかり読んでみて欲しい。

関連書籍:
環境リスク学―不安の海の羅針盤環境リスク学―不安の海の羅針盤
(2004/09)
中西 準子

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人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)
(1998/12/18)
近藤 宗平

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ノンフィクション | 2014/11/20(木) 19:08 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1579冊目 浜村渚の計算ノート
浜村渚の計算ノート (講談社文庫)浜村渚の計算ノート (講談社文庫)
(2011/06/15)
青柳 碧人

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評価:☆☆☆☆


 主人公は、中学生の浜村渚。得意な科目は数学。彼女が、天才数学者率いるテロ組織と対決する連作短編集である。

 おいおい、その設定は無理があるんじゃないの?と思われるだろうが、正解です。もう、物語のバックグラウンドは荒唐無稽以外のいかなる単語も浮かばないレベル。

 まず、この小説の中では、少年犯罪急増への対策として理科系教育が徹底して骨抜きにされている。曰く、物事を数値化し、数理現象・物理現象など事実だけを重んじる科目は、心を尊重し他人をいつくしむ人間性を否定しうるから、だそうな。ううむ、理系の人は芸術を解さないなどという、愚劣かつ失笑モノの偏見を大掛かりにした感じだ。

 天才数学者・高木源一郎はこの政策に激烈に反応する。実は、彼は自分が監修し、全国の学校で使われていた数学教育ソフトにちょっとした仕掛けを施していた。なんと、催眠術の一種で、その教材を見た人間は高木の指示に従ってどんなことでもしてしまうのである。たとえそれが殺人であろうと。

 ドクターピタゴラスこと高木はテロ組織"黒い三角定規"(元ネタは黒い三連星かなあ)を結成し、数学の地位向上を狙ってテロを起こすのだ。

 上記の条件があるので、高木は直接手を下したりはしない。誰かに命じれば良い。設定上、日本のほぼ全国で15年程に渡って使われた教材であるからして、彼に対抗できるのは40歳以上か高校生になっていない人しか居ない。なるほど、中学生が引っ張りだされてくるわけだ。

 犯人が天才数学者という設定を活かし、犯罪にもしっかり数学ネタが使われているので、数学に興味がある方はニヤリとさせられるだろう。私の場合には、ドクターピタゴラスやら黒い三角定規という珍妙なネーミングの時点で面白かった。

 本書でネタにされるのは、四色問題、ゼロ除算(阿呆な学校では答えを0だと教えるらしい。そんな狂った教師の教育を子供が受けているとは驚愕だ)、フィボナッチ数、円周率。円周率ネタでは、円周率を10万桁言えるキャラが出てきて笑える。しかも、この人は言えるだけで特に数学が得意ではないというのもアレだ。

 数学が苦手な警官たちは、当然事件の真相に近づくことは出来ない。数学少女の出番です。萌えキャラとしての記号化が余りされていない、彼女の活躍に期待だ!

 と、ユーモア小説として楽しいのだが、これをミステリと謳うのは詐欺に近いと思う(笑)
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その他小説 | 2014/11/19(水) 20:47 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1578冊目 雑食動物のジレンマ 下──ある4つの食事の自然史
雑食動物のジレンマ 下──ある4つの食事の自然史雑食動物のジレンマ 下──ある4つの食事の自然史
(2009/10/23)
マイケル・ポーラン

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評価:☆☆☆☆


 肉を食う。それには前提が必要だ。動物の死、という。

 この上下巻ノンフィクションが我々に語りかけているのは、突き詰めていけばこの現実である。だからこそ、胃酸のpHが異常値となってゲップすら満足にできない状態で肥育される牛。ストレスで共食いすることを防ぐために嘴を切り取られ、外を眺めることも無いままに殺されていく鶏。狭い空間に閉じ込められ、互いの尻尾に噛み付かないように断尾される豚。

 安い肉は、こうした無理が無ければ得られない。製造業に属する人なら分かるだろう。高いのは人件費なのだ。コストを抑えようとしたら、どうしても人手の介入を避け、工業的に行うしか無い。

 上巻が、こうした食欲を失いそうな現場の紹介なら、下巻は別の可能性を探る人々の話である。

 極めて乱暴にまとめてしまうのであれば、それは地産地消と有機農業ということになるのだろう。このような仕組みは上述の過酷な動物の生とはかけ離れた地平に存在する。さほど驚くべきではないだろうが、栄養分の質も量も異なる、という。その分、コストは上がるが。

 肉食について、色々と考えさせられる。菜食主義者がかつてなく増えているというのも分からなくはない。しかし、一方であの味わいは我々を捕らえて離さない。とりあえず、余り安い肉を食べたくはなくなるし、頻度も減らそうか。

 こうした行為につきまとう血生臭さを嫌う人々が菜食主義になるのは構わない。しかし、彼らのうちの過激派は、肉食動物が捕食することですら悪だと断じるようになると疑問しか残らない。『捕食者なき世界』に記された、非捕食者の天国に見えるところは決して自然が豊かで済ますことなどできない現実を知れば、特に。

 閑話休題、肉を巡る旅のクライマックスは、著者が狩りにでかけるところである。食べる分だけを狩るのであれば、それは全く悪いことではないと思う。スポーツハンティングなんて糞食らえと思っているけれども。ともあれ、その模様を知ることができたのは有りがたかった。

 その後、狩猟採集の後半を占める行為として、キノコ狩りの模様を経て、著者は自分が関わったもので料理をつくる。スローフードの極致というべきその食事は美味しそうで、仲間と共に楽しむところに、人類の営みが凝縮されているように思えてならなかった。食べるという行為は仲間とともに楽しむものなのだ。糧を得られたことに感謝しながら。

 まずは、一食一食を味わって食べるようにしよう。肉も、野菜も。雑食動物であることに感謝しながら。
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ノンフィクション | 2014/11/18(火) 19:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1577冊目 素数たちの孤独
素数たちの孤独 (ハヤカワepi文庫)素数たちの孤独 (ハヤカワepi文庫)
(2013/06/06)
パオロ ジョルダーノ

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評価:☆


 誰もが通る道なので、今更アレなのだが、図書館の蔵書検索で、フリーワードのところに"素数"と放り込んで検索してみたのですよ。そうしたらひっかかったのがこちら。面白そうなタイトルではありませんか!

 え?お前がこうやって能書き垂れるからにはどうせ詰まらなかったんだろ、ですって?まあ、話は最後まで聞いてくださいよ。

 スキー場の少女から話は始まる。彼女は半ば父親に無理やりスキーをやらされているのだが、お腹を壊してしまい、粗相をしてしまう。辺りが濃い霧に包まれる中、こっそりと仲間たちと離れて家に帰ろうとするのだが、集中できなかったことと視界の悪さからコースを外れ、崖から転落して怪我を負う。

 少年には、双子の妹がいる。精神が遅滞した妹は、いつも彼にとっては邪魔な存在だった。あるとき、クラスメートが2人を誕生パーティーに誘う。友人の意思ではない。その母親の意向で。彼はパーティーに向かう途中、ふと思いついて、公園に妹を置き去りにする。戻るまで待ってて、と言って。居心地の悪いパーティから逃げるようにして出てきた彼が見たのは、誰もいない公園。妹の姿もまた、どこにも無かった。

 物語は、この心に深いキズを抱えた男女を中心に進む、恋愛小説であった。うぅむ、恋愛小説って、なんのためにあるのだろう?自分の恋愛は喜劇であり悲劇であるが、他人の恋愛なんてものは所詮は三文役者の猿芝居に過ぎないと思うのだがなあ。

 閑話休題、自分の殻に閉じこもりがちな2人は出会う。そして、プラトンの言うところの、生まれる前に天上界で一緒だった魂の片割れのようになる、、、、、、、、わけでもなかった。うぅむ、これはまた何を意図した小説なのだろう。

 傷だらけの心の2人は成長するのか?しない。くっついてめでたしめでたしなのか?そうでもない。美しい思い出として生きるのか?そうでもない。では、リアルな社会を描いているのか?そうも思えない。

 というわけで、詰まらなかった。オチを期待して読み進めたのであるが、学んだのは素数にも好きではないものがある、というところであろうか。

 あ、念の為に言っておくと、ヘタリアでは大ヒットらしいですよ。何カ国にも翻訳されているそうなのだけど、あの口説き口説かれの国でこういう小説が流行るのはどういうことなのだろう?愛情を信じていない冷笑的な人が多いということなのかなあ。イメージじゃないけど。女でさえ有ればだれでも愛していそうな感じだもん(←偏見;笑)
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その他小説 | 2014/11/17(月) 21:40 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1576冊目 肩胛骨は翼のなごり
肩胛骨は翼のなごり (創元推理文庫)肩胛骨は翼のなごり (創元推理文庫)
(2009/01/22)
デイヴィッド アーモンド

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評価:☆☆


 素敵なタイトルだけど、間違ってます。翼は手の相同器官なので、翼と手が両方あることはありえない。コウモリはどうなんだという話もあるけど、あちらは指の間に膜があるだけなんです。鳥が骨を含気骨に、歯を無くしてまで軽量化していることを考えると、手を持ちながら翼を持つのがどれだけ贅沢か分かろうというものだ。

 なんてことを書いてしまう私は、事実が好きだ。特に、これまで知らなかった意外な事実を知ること、あるいは信じていたことが覆される瞬間が好きだ。そういう私には、本書は合わなかった。

 引っ越しをして新生活を始めたマイケル少年とその家族。妹も生まれて、賑やかで幸せな家族生活がスタートするはずだった。ところが、赤ちゃんの具合は悪くてお母さんは付きっきり、お父さんは新しい家の手入れに忙しい。

 そんな中で、古ぼけたガレージに単身忍び込んだ少年は、そこに一人の男が転がっているのを発見する。欲しいものはある?と聞く少年に、謎めいた男は27番と53番だと言い、他にはアスピリンをという。

 少年は、隣の家に住む少女と仲良くなり、彼の窮状を救おうとするが……

 成長物語という感じもしないし、ミステリでもないし、正直、何を求めて読めばいいのか分からなかった。残念。含気骨について触れてあったのは嬉しいけど、薀蓄を入れるならもっと入れてほしいなあ。。。
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その他小説 | 2014/11/15(土) 23:18 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1575冊目 百足の足をかぞえてみました
百足の足をかぞえてみました―女子中学生の小さな大発見〈2〉百足の足をかぞえてみました―女子中学生の小さな大発見〈2〉
(2001/06)
清 邦彦

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評価:☆☆☆


 科学する心に必要なのはなんだろうか?私は、面白いと思う気持ちと、なんでだろうという疑問を持つ素直な心であると思う。何故世界がこうなっているのか知りたい。謎が解けたら面白い。そんな気持ちが、科学が発展する原動力になって来たと思う。

 本書は、中学校の理科の宿題に対しての、生徒の珍回答や名回答を集めたもの。勿論、中学生の、言わばお子様が観察できること、思いつけること、推論できることなど高が知れている。実際、科学の知識を求めて本書を読んでも、何一つとして得るものはないだろう。

 しかし、子供たちが科学する心を発揮する姿は微笑ましいし、それどころか自由な発想による回答には笑ってしまうほどだ。例えば、髪の毛・足の毛のコーナー。ある生徒はこんな疑問を抱く。

●Iさんは、髪の毛はからだの中の有害物質を貯めておく役割もあると聞いて、髪の毛のない人はからだの中にいつも有害物質があるのかなぁと心配になりました。


 トリビアの部分だけ読んで、そういえばナポレオン毒殺説は彼の遺髪から重金属が検出されたことだったなあ、なんて思っていたらそう来るか!で爆笑してしまった。このセンス、多くの大人は失っていくもののように思う。

 醤油をつけたら10円玉が綺麗になるのはアミノ酸の力ではないかと洞察してみたり、シャボン玉の性質を調べるためにシャボン液にソースを入れてみたり、ビールの役割について考察してみたり(結論は"ビールはいいことなんかひとつもないことがわかりました"だそうです)、中々面白い。

 その調子で、好奇心を持ったまま大きくなってくれ!自分の子供たちも、こうした不思議を感じて自分なりに考えるようになって欲しいものだ。そして、できれば正しく推論することができるように。
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未分類 | 2014/11/14(金) 22:37 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1574冊目 まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
(2010/12/29)
橙乃 ままれ

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評価:☆☆☆☆


 魔王と勇者。剣と魔法。うむ、ファンタジーの王道だ!勇者が艱難辛苦を乗り越えて、絶体絶命の危機を救った女の子と仲良くなっちゃたり、仲間の1人が実は敵のスパイで一度は裏切るけど最後の最後で回心して勇者を救って自分は死んでしまったり、ラスボスは実は身近な人だったりする、そんなファンタジーが好きだ。

 でも、本書はそうした物語とはちょっと、いや、だいぶ違う。冒頭でいきなり魔王(巨乳美女)と勇者(髪の毛がもふもふ)が出会う。そして、サブタイトルにある会話が交わされるのだ。世界の半分を餌にした竜王みたい。

 面白いのは、魔王が頭脳派で、力で解決というマッチョな思想を嫌っているところ。彼女は人と魔物が互いの完全排除のみを目指して相争うことを嫌っている。だから、彼女の目指す世界、力ではなく知が重要で、争いの無い世界を目指すために、人間界の協力者を得ようと勇者と仲良くなろうとする。

 何とも奇想天外なスタート。結局、勇者は敵の王を倒せば終わりというある意味で楽なやり方を捨てて、魔王と結託して世界を変えるという新たな旅に向かう。

 そこは、中世ヨーロッパを思わせる世界。ろくな食料がなく、冬はブタを潰して食いつなぐ。教会が力を持ち、農奴が苦しい生活を強いられる。魔王と勇者がやろうとするのは、この社会を近代化すること。なので、ノンフィクション顔負けに、農政改革やら教育改革が行われる。って、これ本当にファンタジーか?(笑)

 ある程度の世界史の知識があれば、こんな技術やらあんな技法が発達してくるというのを順に追いかけているので、安心感がある。ご都合主義なまでに話が上手く進むのがちょっと気にくわいなところはあるし、萌えキャラに堕した魔王さまにあまり惹かれはしないのだけど、続きは気になる。読んでみよう。
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SF・ファンタジー | 2014/11/13(木) 19:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1573冊目 雪月花の数学
雪月花の数学 (祥伝社黄金文庫)雪月花の数学 (祥伝社黄金文庫)
(2010/06/11)
桜井 進

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評価:☆☆☆☆


 美は理屈ではないと主張する人も居るかもしれない。しかし、それは間違いである。無秩序を美しいと思う人は居ない。私の本棚を誰も美しいと言わないように。意外なところに数学が潜んでいて、そこにある秩序に美を感じるのである。

 まず表紙を見て欲しい。日本を代表する美である、富士山の稜線に、なにやら赤い線が重なっている。これは、ネイピア数eの指数曲線(y=e^π)であり、その一致には驚くばかりだ。また、ヨーロッパでは黄金比が好まれたことも広く知られるが、これは間違いなく数学的な問題である。ちなみに、黄金比は(1+√5)÷2である。

 本書は、まずこの黄金比(約1.6)と近い概念で、白銀比というものを紹介してくれる。不勉強で知らなかったのだが、この白銀比とは日本でよく使われてきたもので、√2(約1.4)を指している。

 これらが実に色々なところに顔を出す。カードの縦横は黄金比、A版B版の紙の縦横は白銀比である。日本で昔から使われてきた直尺、表は通常の尺貫法で記されていたが、裏はその白銀比が刻まれていた、という。何故か?これで丸太の直系を図ると、その目盛りを読んだ数字がそのまま、丸太から切り出した四角柱の辺の長さを尺貫法で表した数字になるのである!古人の知恵には驚くばかり。

 日本美術(例えば見返り美人図)には白銀比が、西洋美術(例えばピラミッドやミロのヴィーナス)には黄金比が使われる、ということから、大胆に比較文化論をぶっている。フラワーアレンジメントの高さと生花の高さも同じ、なんていう全く知らなかった分野からまでネタを引っ張ってきてくれているので、なるほどと思わせられる。

 黄金比を導き出すフィボナッチ数列にも触れられているが、ひまわりの花の付き方がフィボナッチ数列なのは、それが種を最密化できるからだ、と言われると、自然界を記述する言語は数学なんだなと改めて思う。素数ファンには素数定理が語られているところも嬉しい。

 数学と日本人という括りで、和算の関孝和や、フェルマーの最終定理に多大な貢献を果たした谷村・志村両名が語られているところも嬉しい。また、彼らが西洋の数学者たちと比べて時代的にも内容的に同等レベルだった、というのは驚きではないか。

 こうしたことを、数式をほとんど全く使わず、むしろ興味深いエピソードで語っているので、楽しく読むことができる。数学の二文字が冠されているからと怯まず、手にとって見て欲しい。

関連書籍:
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
(2006/05/30)
サイモン シン

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数学 | 2014/11/12(水) 21:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1572冊目 「レアメタル」の太平洋戦争: なぜ日本は金属を戦力化できなかったのか
「レアメタル」の太平洋戦争: なぜ日本は金属を戦力化できなかったのか「レアメタル」の太平洋戦争: なぜ日本は金属を戦力化できなかったのか
(2013/07/02)
藤井 非三四

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評価:☆☆☆☆


 太平洋戦争でアメリカに完膚なきまでに叩き伏せられた最大の要因として、物量が挙げられることが多い。石油。確かに、そうした指摘は実に分かりやすい。中国との泥沼の戦争は、彼の地の利権を狙っていたアメリカを刺激し、経済封鎖につながる。石油の禁輸が日本をアメリカとの戦争に向かわせたのだから、石油の差はある。同じように、艦船や戦闘機もそうだ。

 だが、レアメタルに注目している本書はかなり珍しい存在なのではないだろうか。

 冒頭、著者は一次大戦以降の戦争を"爆発物を詰めた鋼鉄の塊を投げつけ合う行為だと総括(p.3)"する。二次大戦末期になってその恐るべき強大な破壊力を露わにした核兵器でさえ、ウランという金属の起こした爆発であると規定すれば、この指摘は乱暴なようでありながら上手くポイントを押さえているのかもしれない。

 では、どのような金属が必要なのだろうか?本書は、銅、鋼、軽金属、レアメタルと論じ、その上で日本がなぜ負けたのかを論じている。しかも、通り一遍ではない。なにせ、各金属の精錬方法にまで踏み入っているのだ。薀蓄をひけらかすためではない。これを論じておかないと、金属材料の持つ特性や重要性が理解できないから、である。同じことは兵器の構造についても言える。構造を知らなければ、勘所が分からない。だが、こちらもきちんと解説されているので安心できる。

 例えば、銃弾。どのような金属が使われているのか?また、その理由は何故か?あるいは戦艦。大和級戦艦はどのような重量構成で、どのような強みを持っていたのか。レアメタルというが、何がレアメタルで何故これが必要だったのか。

 これらを理解した上で、日本が禁輸によって被ったダメージを考えると、もう戦争どころでは無かったことが分かろう。アメリカの干渉だ!と息巻くこともできようが、現在でも世界を不安定化させる国には経済制裁が行われる(日本もそれに参加している)ことを考えれば、アメリカがアメリカの論理で経済制裁を行うのは不思議ではない。問うべきは、どうしてそこまで追い込まれるようなことをしたのか、追い込まれたとして、どうして戦いに立ち上がったのか、であろう。

 また、見方を変えれば、近代文明がどれほど技術に依存しているのかを本書は示している。科学力、技術力の確保が国力に結びつくという現実がある。それを金属材料という観点から教えてくれているのがありがたい。しかも、内容は全然難しくない。資源だけではなく技術でも日本は完敗していたのだと納得の一冊。

 著者がこれだけ詳しいのは材料科学だとか金属工学だとかを専攻していたのだろうと想像して奥付を覗いたら、法学部出身というのには驚いた。大学院の政策研究で朝鮮戦争を研究していたというのが本書に役だっているのかもしれない。なんにしても、意外であった。
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太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2014/11/11(火) 21:54 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1571冊目 給食のおにいさん
給食のおにいさん (幻冬舎文庫)給食のおにいさん (幻冬舎文庫)
(2013/10/10)
遠藤 彩見

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評価:☆☆☆


 妻が「なかなか面白かったよ~」と言って渡してくれたので読んでみた。ちょうど健康と幸福のために赤ワイン(赤ワインに含まれるポリフェノールは抗酸化酵素で長寿効果があるとされる)を少々嗜もうとしていたところでもあったので、軽い読み物は調度良いというのもあった。

 主人公は、長年追い続けたシェフの夢が、叶ったと思った直後に消えてしまい、失意の只中にある。そうは言っても日々の糧は必要で、そのため屈辱感を味わいながら学校給食の調理人に応募したのであった。

 初出勤ではいきなり男の子に泣かれてしまい、そこに現れた上司となる栄養管理士にはケリを入れられて無理やり子供に謝らせられるという波乱のスタート。そこから上述の過去に遡るのだが、自分の店を持つ前には他の店で働いていたが、同僚と揉めて退職を繰り返した過去が語られる。

 ということは、この時点で主人公の成長物語だな、と感じさせる。

 自我の強い主人公は、学校給食に求められる要素と自分がシェフとして目指してきた目標の乖離に愕然として、早速上司と揉めることになる。この上司も一歩も引かない感じで、融通がきかずに我を通すのに、しっかり事前の根回しは欠かさないという嫌な奴。

 しかし、給食を作っていく内に生徒との触れ合いが出てくると、主人公の意識はどんどん変わっていくことになる。そして、それは上司の頑なな態度を和らげる方向にも向かっていく。

 私は主人公が海千山千の仲間に揉まれて成長していくのかと思ったのだが、この上司もしっかり問題を抱えているし、生徒にも問題行動があったり家庭の事情を抱えていたりと色々な都合がある。

 ややご都合主義的な匂いが気にならなくもないが、コンプレックスやらモンスターペアレント問題やらを上手く織り込んだ小説になっていると思う。また秋の夜長にアルコールを摂取しながら読む分にはちょうど良いかもしれない。
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その他小説 | 2014/11/10(月) 19:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1570冊目 植物たちの秘密の言葉―ふれあいの生命誌
植物たちの秘密の言葉―ふれあいの生命誌植物たちの秘密の言葉―ふれあいの生命誌
(1997/04/10)
ジャン‐マリー ペルト

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評価:☆☆☆☆


 植物。それは、我々の目に届く範囲の生物全てを養っていると言って過言はない。ブラックスモーカーに棲息し硫黄をエネルギー源にする生物やら、遥か地底の奥深くでこれまた酸化還元反応で生きている生物は例外だが、そうした生き物を除けば、ミミズだってオケラだってアメンボだって、みんなみんな元を辿れば植物を食べていることになる。

 とは言え、彼らは黙って光合成に励み、大人しく食べられるだけではない。実は、もっと遙かにしたたかに生きているのである。敵の存在を察知し、仲間と会話し、環境をコントロールする。黙っているから知られていないだけの、そんな植物の世界を紹介してくれているのが本書。

 知れば知るほど、植物の戦略には驚かされる。

 まず、毒。明らかに、これは食べられないようにするための武器だ。それが人類に利用されるところがまた面白いし、苦味や辛味といった、忌避させるための武器が調味料として用いられてしまうところも素敵だけど。ここで話題に上がるのがブードゥー教のゾンビ、というところが本書を面白くしているところ。

 彼らの性戦略もまた面白い。中でも、虫媒花はお見事の一言に尽きる。メスそっくりに見えるよう擬態してオスを誘い込むランは進化の面白さ、力強さをこれ以上なく示している。

 他の生き物を捕食する植物もいる。本書ではきのこ類も併せて、動物を食べてしまう植物を紹介している。線虫を捕食する菌類、粘着性の液体、あるいは急速に閉じ合わさる葉を使って昆虫を捕らえる植物は興味を引きつけてやまない。

 葉を食べられ始めると毒物を産出し始めるのも彼らが獲得してきた能力の1つだ。だから、1本の木からのみ葉を食べ続けた動物が死んでしまうこともある。しかも、彼らはエチレンを放出することで、周囲の植物にも脅威の存在を教えるというのだから、凄いではないか!

 こうした植物にまつわる様々な話を教えてくれている。植物は黙って立っているだけの生き物ではなく、実はアグレッシブに内部の化学物質の調整を行う、強い生命なのだとよく分かる。本書を読めば、きっと貴方も植物への見方を変えることになるだろう。やや怪しげな話にまで、怪しいとしながら言及するところも評価できる、そんな一冊。
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生物・遺伝・病原体 | 2014/11/09(日) 19:57 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1569冊目 武器なき“環境”戦争
武器なき“環境”戦争 (角川SSC新書)武器なき“環境”戦争 (角川SSC新書)
(2010/09/10)
池上 彰、手嶋 龍一 他

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評価:☆☆☆☆


 共にフリーのジャーナリストで、分かりやすい解説で定評のある池上彰、手嶋龍一お二人が、環境問題を優しくかつ深く論じたもの。二人とも、環境問題こそが今後の世界の行方を大きく変えていくものだと認識し、その上でどのような問題があるのかを縦横に論じている。

 まず俎上に乗せられるのは、石油メジャーのBPがメキシコ湾で起こした海底油田の漏出事故。海底油田開発の難しさ、BPが持つ情報戦略の能力の高さと、並みの環境本とは違う視点から述べているところが興味深い。特に、この対応を誤ったオバマ政権が失望を買ったというのは、つい先の中間選挙でオバマ民主党が歴史的な大敗を喫した点からも注意して見るべきポイントだろう。

 問題は、この深刻な問題が日本ではほとんど論じられなかったこと。著者らはそれを批判しているが、ジャーナリズムの限界は国民の限界である。日本人がこうした問題をきちんと把握しようと思わないから、ジャーナリズムも国民のレベルに合わせた報道をやっているのだ。我々はもっと賢くならなければらならない。

 本丸は当然のように二酸化炭素による地球温暖化について。歴史上、二酸化炭素濃度が上昇してから気温が上昇したという事実を踏まえると、私はどうしても懐疑的にはなるが、化石エネルギーからの脱却は喫緊の課題であるのは間違いない。そうした点で、原発の利用は避けられないし、原発で逃げている間に真に重要な核融合エネルギー、その他の代替エネルギーの開発に注力しなければなるまい。

 閑話休題、本書で指摘されているのは、二酸化炭素削減を定めた京都会議が、各国の様々な思惑を丁々発止で戦わせる舞台であったという事実である。日本は、定見がないままにこの会議の議長役を努め、内実はすべてイギリスに握られてしまった、という。実際、削減目標は日本にのみ不利になっていて、排出の取引により日本は今後長期間に渡って凋落傾向となることが確実である。

 こうした国際政治について、きちんと理解しておくことは重要であろう。

 また、懐疑論にもきちんとページを割いている。温暖化論に大きなダメージを与えたクライメートゲート事件(科学者が気温の上昇曲線を作るため手に"トリック"を使った等、捏造を示唆する情報がクラッキングによって明らかになった事件)なんかは、温暖化論の中ではまず出てこない。

 上記のように、本書は環境問題について本当に様々な論点から述べているため、とても勉強になる。新書に求められることは全て満たされていると言って過言はあるまい。そんなわけで、環境に興味を持ち始めた人は入門書として、既にある程度の知識を持っている人は違う視点を知るためとして、格好の本である。
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環境 | 2014/11/08(土) 19:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1568冊目 理系あるある
理系あるある (幻冬舎新書)理系あるある (幻冬舎新書)
(2014/05/30)
小谷 太郎

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評価:☆☆☆☆


 理系っぽいと言われてしまう特長がある。それが正しく理系の男女を表すものではなくとも、ああ、それって如何にも理系っぽいよね、と思われてしまうような。恐らく、ごく一部の偏った人が発揮してしまったおかしな行為や発言が、理系全般に当てはめられているのであろう。そうした偏った人々は、私たち一般的な理系人に謝るべきである。

 本書はそんな理系あるあるネタを集めたものである。のっけから、"4桁の数字を見ると10を作りたくなる"で、ああ、やるよね、それはと共感。理系じゃなくてもやることだよね。ワタクシも運転中、対向車のナンバーでやってます。8115はひと通りしかないというので考えてみたが、敗北。悔しい。解法が気になる人は読んでくださいね~(鬼)

 次、"素数にでくわすと喜ぶ"も、人類に普遍的な愉しみであるわけだけど、強いて言えば理系っぽいと言えなくも無さそうだ。嬉しいでしょ?皆さん?"1000mgの表示に「1gだろ」と突っ込む"は少々理系っぽいかも。タ☓リン1000mgと誇らしげなCMが流れた時、周りの人たちは皆突っ込んでた。"標本の少ないアンケート結果を冷笑する"は、この情報化社会(死語)に生きるには必須の技能です。

 この見出しが楽しい上に、中身もしっかりしているところが嬉しいところ。例えば、標本については有意か有意ではないか、標準偏差、統計的に意味のあるNの設定方法なんかがさらっと述べられている。"地震が起きると震源までの距離を計算してしまう"では大雑把な計算方法(初期微動を感じてから本震が来るまでの秒数×8km)があるので役に立つだろう。

 花火を見れば炎色反応を思い、酒を飲むときには共洗いをし、周期表にはついつい魅入ってしまう。救急車のサイレンを聞けばドップラー効果だと思うし、ブレーキがかかると慣性の法則に思いを馳せる。おまけに疑似科学に厳しいというのまであって、意外なことに当て嵌まる項目多数である。鬱陶しいなあ、こいつら(←自覚なし)。

 こうしたあるあるを、しっかり科学ネタを語りながらやってくれるので、科学ファンも楽しめる。表現もユーモラスで、ついつい笑ってしまうほどなので、人前では読まないほうが良いかもしれない。

 勿論、本書はステロタイプな見方を助長するものではない。それでも、鬱陶しくも愛すべき理系びとの姿の一端を垣間見せてくれることは間違いないと思う。肩の力を抜いて、ちょっと覗いてみてください^^
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科学者 | 2014/11/07(金) 19:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1567冊目 女子の国はいつも内戦
女子の国はいつも内戦 (河出文庫)女子の国はいつも内戦 (河出文庫)
(2014/05/08)
辛酸 なめ子

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評価:☆☆


 子供の頃、女の子同士は実に仲が良さそうに見えた。合従連衡の男どもとは違う感じがした。それは勘違い、それも壮絶な勘違いであったことに気がついたのは何時の頃だったか。

 そうしたグループにおいては、一見すると仲良しだと感じられても、いつ誰かが追い出されるとも知れない恐怖の全体主義社会である。スターリンが笑顔のまま周囲の人を粛清していったように、彼女たちはそれまでの仲間を切り捨てる。これを見ると、政治家は女性の方が向いていると思いますよ。まぢで。

 自分自身の見聞でもこうした裏表のある女性の態度を感じていたので、『女の子どうしって、ややこしい!』を読んだところ、アメリカでも同じであるということで、洋の東西を問わず同じなのであるなあと思ったものである。

 で、こうしたことに関心を持っていたので面白そうなタイトルと思って手にとって見た。

 14歳の女子中学生向けということで、対象年齢も性別も大きく外した私だからだろうか、正直おもしろくない(きっぱり)。どんなグループに入るのが良いかというフローチャート、俺に何の意味があるんだ(笑)

 全体的に、著者がこう思うということと、インタビューからなっているのだが、上述の通りそれなりにドロドロしているアメリカ女子社会をあっさりさっぱりすっきりと言うのを見ると、日本の女子社会の闇に戦慄するばかりである。女に生まれなくて良かったと思ってしまう。が、まず間違いなく、これは話を大げさにしているのだろう。その方が面白いから。

 では、そこを超えた面白さ、つまり事実の意外さ、素晴らしさ、驚きはあるのかというと、残念ながら感じることはできなかった。本書が対象とする性別かつ年齢の人が読めばどうだろう?それを知ることはできないのは嬉しいような残念なような気分である。

 とりあえず、こちらの本よりも『女の子どうしって、ややこしい!』をお勧めしておこう。

関連書籍:
女の子どうしって、ややこしい!女の子どうしって、ややこしい!
(2003/06/15)
レイチェル・シモンズ、鈴木 淑美 他

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ノンフィクション | 2014/11/06(木) 20:27 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1566冊目 去年の冬、きみと別れ
去年の冬、きみと別れ去年の冬、きみと別れ
(2013/09/26)
中村 文則

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評価:☆☆


 女性2人を焼き殺したとして、死刑を宣告された木原坂雄大。彼の元にインタビュアーがやってくることで、この事件で実際には何があったのか、木原坂とはどのような人物なのかが明らかになっていく。

 写真に取り憑かれたかのような木原坂と、その姉でやはりどこか狂ったところを感じさせる朱里。どうにも心を逆なでするようなこの2人と、謎めいたK2なる組織、そして彼らと関わった人々へ、主人公は取材を重ねる。それと平行して、木原坂が姉や他の人に宛てた手紙を記していくことで、事実の輪郭を明らかにしていく。

 そして、合間に資料が挟み込まれることで、主に2件目の事件の真相が明かされる。

 のだが、どうにも話がまどろっこしい。全員が全員、勿体ぶっているところがまた実に気に食わない。で、貴方はどうして・・・・・・で質問を切ってしまって、フラストレーションばかりが溜まってしまった。

 ただ、芸術家の持つ、一般人とは異なる精神らしきものは上手く表現できているのかも知れない。と言っても、それも一般人には知ることの出来ないものなのだけど。
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推理小説 | 2014/11/05(水) 19:26 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1565冊目 炎と茨の王女
炎と茨の王女 (創元推理文庫)炎と茨の王女 (創元推理文庫)
(2013/12/21)
レイ・カーソン

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評価:☆☆☆☆


 本格的なファンタジーを久々に読んだ。

 主人公はオロバジェ国の第二王女エリサ。国のことは父親と、その後を継ぐであろう姉に任せていれば良い。そんな気楽な身分のはずだった。しかし、運命は彼女に安寧を許さなかった。4世代に1人、腹部にゴッドストーンと呼ばれる宝石が埋め込まれる。彼女はそれに選ばれてしまった。だから、彼女は赤ん坊の頃から神に選ばれし者として、人々の希望を一身に集めてきたのだ。

 といっても、彼女はなにか目的意識をもって生きてきたわけではない。姉にコンプレックスを抱きながら、趣味の読書に没頭する。もう一つの彼女の楽しみが、食べること。その結果どのような事態になったのかは、とある登場人物のセリフを引用することで明らかになる。即ち、「デブ」。

 物語は、このエリサが祖国に倍する大国の王が彼女を妻に迎えるところから始まる。彼は、自分の国が戦争に巻き込まれそうな状況を憂い、エリサを娶ることでオロバジェ国からの援軍を得ようとしたのだ。政略結婚。他の何者でもない。では、計算だけで彼女を娶う冷酷な王なのかというと、そうではない。彼は優しい。エリサにも丁寧に接してくれる。

 斯くして夫の国へと旅だったエリサだが、その途上に蛮族の攻撃にあって大切な召使を失い、人を殺す経験までしてしまう。ほうほうの体で辿り着いた彼女は、しかし、結婚したことは黙っていてくれと懇願される。様子を見ればなんということはない、夫には愛人が居たのだ。

 結局、彼女は夫と同衾すらしないまま、日を送ることになる。なんて酷い話だ。

 王宮内の権力争いがメインなのかと思わせた頃、エリサが王宮から連れ去られることで、物語は大きな転機を迎える。彼女を攫ったのは、砂漠の民。そして、戦争の最前線に居る人々だった。ここから彼女の本当の苦しい戦いが始まる。

 教養はあっても甘ったれな女性が、真に民のことを考えるようになるまでの成長物語なのだが、その間の艱難辛苦によって無駄な肉を失った彼女が美しくなっていくというのもまた面白い趣向だ(笑)

 キャラの作りは実に丁寧で、どうして夫が優しいのかというと優柔不断だからであったり、彼が前妻との間に得た王子の教育もろくに行わないというのも実に彼らしい感じがして、違和感がない。主人公のエリサも成長していくが、周りの人々だって負けては居ない。エリサに想いを寄せたり反発したりする人々が、いきいきと描かれる。

 ゴッドストーンに期待されている役割は何なのか?そして、エリサの運命は?読み進めるのが楽しい本だった。シリーズ物なので、続きも読んでみよう。
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SF・ファンタジー | 2014/11/04(火) 21:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1564冊目 新版 再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く
新版 再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く (岩波科学ライブラリー)新版 再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く (岩波科学ライブラリー)
(2009/02/10)
松井 孝典

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評価:☆☆☆☆


 6500万年前、地上を破壊し尽くした巨大隕石衝突。恐竜は勿論、アンモナイトのような海洋性生物の多くも絶滅することになったこの大事件の様相に迫ろうとする意欲作。

 隕石が恐竜を滅ぼしたことは知っているけどそれ以上は……という方も安心して頂きたい。本書は、どのようにして隕石衝突説が生まれてきたかという、まさに入り口から、著者が関わった研究まで、丁寧に解説してくれている。

 目玉は何と言ってもキューバでの研究についてである。チチュルブ・クレーターからほど近いこの地では、隕石による津波堆積物がなんと400メートルにも及ぶ、という。日本で最も高いビル、あべのハルカスが300メートルなので、ビルを丸々埋め尽くす堆積物が地上を襲ったことになる。

 もっとも、アメリカからの侵攻に備え続けなければならないキューバゆえの苦労も沢山紹介されているのが面白い。そこら中に軍事施設があって、近づけばすぐに軍人が飛んでくる。これは大変だ。

 まだまだ分かっていないことが多いながらも、間違いがないのは、この隕石衝突が生物の大絶滅に留まらず、地球のあり方に大きな影響を及ぼしたらしいこと。海洋地殻の生成率がこの前後で大きく変わっているというのである。そして、これが海抜を大きく変えたことが指摘されている。なるほど、海面の高さにはこんなメカニズムも関わっていたのか。

 想像を絶する破壊力に驚くばかり。このような大事件は、またいつか必ず起こるだろうが、その時には惨劇を避ける手段を人類が編み出していることを願うしか無さそうだ。
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地球史・古生物・恐竜 | 2014/11/03(月) 19:20 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1563冊目 真実 新聞が警察に跪いた日
真実  新聞が警察に跪いた日 (角川文庫)真実 新聞が警察に跪いた日 (角川文庫)
(2014/04/25)
高田 昌幸

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評価:☆☆☆☆


 北海道新聞が火付け役となった、北海道警察の裏金報道は、幹部がその存在を認め、謝罪することで幕が下ろされた。いや、下ろされたはずだった。

 その後、裏金事件よりも遙かに大きな問題が起こる。後に明らかになったことは、こうだ。暴力団が覚醒剤と大麻を大量に輸入し、を警察は黙認する。代わりに、暴力団は一定数の拳銃を警察に提出する。警察にとっては黙っていても点数が稼げる美味しい話だった。

 麻薬の北海道流入は、しかし報道の段階で全貌を掴めたわけではなかった。その時点で北海道新聞が理解していたのは、警察がおとり捜査をしようとして失敗し、結果として麻薬が入ってきたという、意図的な黙認より遙かにマシなものだった。

 だが、ここに警察は猛反発する。何度も何度も執拗な抗議を行い、情報統制も続けることで、情報面で北海道新聞を締め上げるのだ。同時に、裏金事件についても元幹部は執拗に抗議文書を北海道新聞へ送り続けていた。

 本書は、裏金事件報道に当たってデスクとして指揮を取った記者が記した、この一連の顛末を描いたノンフィクション。

 恐ろしいことは、警察が必死に情報を操作しようとしていること。悲しいことは、新聞社の側もそれに迎合してしまったこと。新聞社側の幹部は、早いうちから警察幹部と接触を図り、手打ちを狙っていた。著者は上司から情報ソースを言え、言えないなら捏造だと何度も迫られたという。

 あっけらかんとソースを明かしたらどうなっていただろう?きっと、良心的な警察官、自分の属する組織の不正をジャーナリストに伝える人物は、組織から逐われる。だから、著者は決して口を割らなかった。

 この点、ウォーターゲート事件でディープ・スロートと名乗った情報ソースの政府高官をなんとしても守ろうとしたワシントン・ポスト紙と北海道新聞の、その意識の差に愕然とする。そういえば、毎日新聞と西山記者も、沖縄密約の情報ソースとなった女性を守らなかった。今回の事件では新聞社が権力に魂を売り渡しながら、記者が最後の一線を踏み越えなかった差があるだけだ。

 新聞は、権力と馴れ合っては行けないのである。それなのに、日本の報道機関は記者クラブという愚かな制度に縛られたままだ。何故か?それは、サラリーマンとしての彼らに都合の良いシステムだから、だ。彼らは楽に情報を得られるし、例え誤報したとしても情報源が間違っていたからだと痛みを感じなくて済む。

 でも、それで誰が得をするのだろう?

 ウォーターゲート事件では、ワシントン・ポスト紙の社主は報道の自由を守るためなら牢屋に入ることも辞さないと決意したという。ああ、自由は、こうした覚悟があってこそ成り立つものなのだ。

 北海道新聞は、見下げ果てた、権力の走狗に成り果てた。そして、警察は卑劣な手段を用いることすら辞さず、自分の過ちを隠し続けた。これは、永久に汚点として残すべき事例だ。警察は力の行使を独占する機関なのだから、力の行使には慎重であらねばならないし、自分たちを厳しく律しなければならないはず。そうした期待を裏切ることが堂々と行われるようなことは、もう終わりになって欲しい。

 残念ながら、そうした未来はまだまだ遠そうだ。
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ノンフィクション | 2014/11/02(日) 23:13 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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