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Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

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1500冊目 動物ウソ?ホントの話
動物ウソ?ホントの話 (新潮文庫)動物ウソ?ホントの話 (新潮文庫)
(1999/01)
ロルフ ハリス

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評価:☆☆☆☆


 記念すべき1500冊目。思えば遠くに来たものだ。次の目標2000冊に向けてまた頑張ります。

 本書は、ブクレコ仲間のFumikoさんから貸して頂いたもの。動物というか犬が好きな私の心の琴線に触れまくりの本で、物凄く可愛い蔵書印が捺してる素敵なもの。

 さて、著者のロルフ・ハリスはイギリスBBCのパーソナリティを務めている。そんな彼のもとに集まってきた動物にまつわる不思議な話、面白い話、心を打つ話、その他もろもろを集めたのが本書。

 350にも及ぶエピソードを見ていると、動物もしっかり心を持っていて、それぞれが個性的に生きている、ということ。例えば、あるゴリラは誤って動物園の檻の中へ転落してしまった3歳の人間の子供を、ゴリラ仲間に襲撃されないように守って飼育係へ届けたという。こうした心温まる話もあれば、インドでゾウが酒に味をしめて倉庫を襲撃するという実に恐ろしい話もある。

 クレムリンの円屋根を滑り台にしてしまうカラスも居れば、自分が迷子になってしまう救助犬も居る。何度も撃たれながらもしっかりと最前線からメッセージを届けた伝書鳩もいるし、パラシュート降下をこなす犬もいる(!)。

 心を動かされるのは、なんといっても人間と動物の深い絆を見た時だ。命がけで主人を守ろうとする犬、遥かな距離をもものとせず家族のもとに戻る猫。森で迷子になった子供を守った熊や狼と、俄には信じがたい話まで収められている。

 有名ドコロでは、テディ・ベアの生まれるきっかけとなったルーズベルトの狩りや、帰らぬ主人をいつまでも待ち続けた忠犬ハチ公(焼き鳥目当てに通っていたという俗説があるが、ウソですから!)

 おまけに、シロクマの毛は白ではなく透明で光の乱反射で白く見えるとか、ウミガメの遊泳は何万キロにも及ぶといったトリビアまで載っていて、動物に関する面白いネタを広く渉猟しているというのはウソではないことが分かる。

 本当に、動物は面白いものだ。まずは、身近な動物である、最近一緒に暮らし始めた犬を良く眺めてやることにしよう。
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生物・遺伝・病原体 | 2014/07/30(水) 19:37 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1499冊目 コンゴ・ジャーニー〈下〉
コンゴ・ジャーニー〈下〉コンゴ・ジャーニー〈下〉
(2008/04)
レドモンド オハンロン

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評価:☆☆☆☆


 相棒のラリーはアメリカに戻り、著者は雇ったアフリカ人たちと更に奥地を目指す。謎の怪物が待つかもしれないテレ湖へ。

 しかし、ここで問題が起こる。ずっと案内をしてきたマルセランが、どうしてもテレ湖には行きたくないというのだ。彼はかつてテレ湖を訪れた際、近隣の村で賄賂を要求されていた。公務員の掟により、その事実をしっかり報告書に書いてしまったせいで、村長の息子は逮捕されたという出来事があったのである。

 いや、それだけだったら良いのかもしれない。しかし、ここはアフリカだ。そして、その村は、ちょっと気に食わない相手がいれば殺すのなんか当たり前、という北斗の拳な世界であった!つまるところ、マルセランはその村に行けば殺されてしまうかもしれない。まったく、なんちゅう国だ。

 マルセランを宥めすかして何とかテレ湖に向かう著者ら一行。その間にも、日本における旅からしたら想像もつかないことが色々と起こる。賄賂を要求されるのは当たり前、同行の人々は、村に着けば必ず娼婦のもとへ通い(それがとんでもなく安い)、実際に著者の目の前でも性病にかかる。で、しっかり薬を貰っておきながら、お前の薬は効かない、呪いのほうがずっと効くなどと憎まれ口を叩く。

 なぜアフリカでエイズが猛威をふるうのか、その一端が見えた気がした。タダ同然で体を売る女たち、セーフセックスなど考えもしない男たち。教育がどれほど大切か、しみじみと実感する。

 どう考えても謎の生物を見つけることはできないと思うのであるが、それなのに著者はテレ湖の怪獣と思われるものの正体を推測するところまで辿り着く。時に呪術を深く信じる人々に莫迦にされながらも(笑)

 旅の途中、アフリカ人の同行者たちがみな呪いを信じるのを醒めた目で見る著者へ、マルセランが激高するところが面白かった。

 「信じていようがいまいが、おまえの頭の中にはあるんだよ。おれはずっと考えてきた。(略)おまえらは理性と科学の人間で、昼は白人のもの、夜がアフリカ人のものだと言う。確かに、おれもそう思うよ。おまえらは自動車を作り、モーターボートを作り、飛行機を作った。おれたちは作っていない。だが、おまえらの三位一体ってのはいったい何なんだ。一つの体に三つの神様?それに精霊なるものはどこにでも行けるんだって?翼を生やして、頭からぴかぴか光を放っている何千という霊もいるな。あれはいったい何なんだ。それにあの邪悪な動物は?ヤギみたいな足をして、長い尻尾の末端が二つに割れているというやつ。自分でもそんな有象無象を抱えていて、よくアフリカ人をあざわらえるものだ。言ってみろよ。それのどこがボロより優れているんだ。それのどこが科学的なんだ。(略)」


 一緒に旅をしていても、同行者はこうした想いをずっと抱いてたのだと思うと、彼我の間に横たわる様々なものの大きさに気付かされる。

 著者の視点から語られる、アフリカ人のいい加減さ、迷信に惑う様、そして暴力が身近にある社会に、つい非文明の社会を見てしまう自分がいるのは事実だ。だが、そう思ってしまうのは、我々が著者と同じ側の社会にいるからに過ぎないからかもしれない。著者と同じたぐいのいい加減さ、迷妄、暴力に慣れていて、アフリカ人のそれには慣れていないだけなのかも。

 あと、この巻の見どころは、ゴリラの子供と共に旅をするところだろう。子供のゴリラが単独で動くことはあり得ない。ということは、違法行為になるが、母ゴリラが殺され、子供が独りぼっちになってしまったということを示している。そして、野生で子供のゴリラが生き延びる機会など、万に一つもない。だから、著者は自分が母親代わりになって、ゴリラの保護区まで赤ん坊ゴリラを連れて行こうとするのである。

 このゴリラとの珍道中もまた面白い。ゴリラに向かって著者が語りかけるウンチクにもしびれる。

 取り留めもない旅で、起承転結があるわけでもなく明確なゴールがあるわけでもない。それなのに、どうしてか面白い。どのようにして旅が進んでいくのか、楽しく読み進めるうちに読み終わってしまった。

 気になることといえば、結局ゴリラの赤ちゃんはどうなったのか?ということかな(笑)
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ノンフィクション | 2014/07/29(火) 19:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1498冊目 数学は歴史をどう変えてきたか: ピラミッド建設から無限の探求へ
数学は歴史をどう変えてきたか: ピラミッド建設から無限の探求へ数学は歴史をどう変えてきたか: ピラミッド建設から無限の探求へ
(2013/05/25)
アン ルーニー

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評価:☆☆☆☆


 数学を嫌う人は多いが、人類が文明を発達させることが出来たのは間違いなく数学のおかげである。古代遺跡、例えばストーンヘンジは円の知識がなければ出来なかっただろうし、ピラミッドは錐体を作るための知恵が必須だ。西洋文明の直系の先祖であるギリシアでは驚くほど数学が進んでいた。彼らが地球の直系はおろか、地球と太陽の距離までほぼ正確に推測していた事実には脱帽するしか無い。

 その営みは、数を数えるところから始まった。ローマ数字も漢数字も計算に用いるには恐ろしく不便であったが、アラビア数字という位取りに優れた記法が現れたことで、数学は一気に発展する。

 エラトステネスやピタゴラス、そして忘れる訳にはいかないエウクレイデス(ユークリッド)ら天才だけではなく、数えきれない程の人々が初期数学の発展に携わってきたのだと思わされる。

 この時代に大切なのは、なんといってもゼロの発見。これによって、位取りが完璧になった。そして、おそらくそれはマイナスへの道をも切り開いただろう。本書はこうした数学の黎明期から、マイナスや小数、無理数、果ては虚数に至るまでの扱う手段の発展と、数学の発展によって得られた事跡、数学者に関するエピソードをバランスよく述べていくところが本書の面白いところ。

 気がついたら相対性理論の語る宇宙の姿やら、ゲーデルの不完全性定理で数学は完璧であることを示すことは原理的にできないこと、フェルマーの最終定理が解けた話、デカルトの不運な死と、数学にまつわる様々な話を読み進んでいることになる。

 また、本書の良い所は図版が多いところ!美しいものも、歴史的な価値を感じさせるものも、宇宙の不思議を感じさせるところも揃っている。

 やや残念なのは、個々の話については浅い点であろうか。深く突き詰めながらも読み物として面白いという、恐るべきサイモン・シンの本を知った後では物足りなく感じてしまうのは仕方のないところであろう。絵と数学史を楽しむ、といった読み方が正しそうだ。
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数学 | 2014/07/28(月) 22:21 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1497冊目 完全なる首長竜の日
【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
(2012/01/13)
乾 緑郎

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評価:☆☆

 戦国時代、宋の思想家荘周(荘子)は、夢の中で蝶となって遊んだ。起きた後に、"不知、周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与"(荘周が蝶の夢を見たのか、それとも蝶が荘周の夢を見ているのか、知ることは出来ない)と言ったことが胡蝶の夢の故事である。

 我々が生きているこの世界は、客観的に存在するのだろうか?誰かの夢にすぎない、あるいはコンピューターシミュレーションに過ぎないのではないか?こうしたテーマは胡蝶の夢以外にも実に多く語られてきた。本書もその1つに当たる。

 意識障害となった人と、コンピューターを介して交流することができるようになった世界。漫画家の和淳美は、自殺未遂後意識不明の状態が続く弟と対話を続ける。何故彼は自殺しようとしたのか?問いかけても彼は答えない。代わりに、淳美の前で自殺することで凄惨なイメージだけを彼女に与える。

 そんな淳美が弟について持つ一番の記憶は、子供の頃に海で溺れたもの。深みに嵌った弟を助けようとした淳美は共に波にさらわれ、そして彼女は母親に助けだされる。その時に握っていた手の記憶が強く記憶に残る。

 ある時、やはり自殺した彼女の元ファンの母親を名乗る人物から電話を受けてから、世界が歪む。意識不明のはずの弟が現実世界に出てきたような強い錯覚。だが、それはいつものコンピューターを介しての接触であった。

 敢えて通常の世界と仮想世界での交流を明示しないで書くことで、主人公が味わう現実感の喪失を再現しようとしているのは上手い。眠り続ける弟にとって、世界はコンピューターが作り上げたものでしか無い。姉という、客観世界とつながる窓口があるとしても。

 世界とはなんであるのか?我々が見ているものは本当に目に映るがままの世界なのか?それを考えさせる。

 のではあるが、これって誰もが考えることだろう。私なりの結論は、自分の意識が実はコンピューターシミュレーション上の仮想の存在であったとしても、その実態を知ることは不可能であり、であるからにはこの世界が現実のものとして受け入れる以外のことはナンセンスであるということ。だから、どうにも本書の問いかけ自体がうだうだしているだけに見えるんだよなあ。

 弟がどうして現実世界にまで浸透してきたか、その謎が回収できただけでよしとするか。このミスで大賞を取ったというので読んでは見たが、それほど面白い本ではなかった。


 それにしても、"まぎゃく"とかいうおぞましい言葉が使われていてげんなり。勿論、日本語には真逆という言葉はある。それは"まさか"の当て字であるというのが私の住む宇宙に於ける言語である。市井の一般人が使うなら、いやーな気分を押し殺して我慢もするが、なんでそんなレベルの輩が本を書いているのか。

 それから、何度も言うけど首長竜は恐竜じゃないぞ。恐竜の定義は直立歩行する爬虫類だ。海生爬虫類が直立歩行するわけがない。従って、彼らは恐竜と同時代に生きていたが、恐竜ではない。以後、勉強するように。
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推理小説 | 2014/07/25(金) 19:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1496冊目 三国志 第十一巻
三国志 第十一巻三国志 第十一巻
(2012/09/15)
宮城谷 昌光

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評価:☆☆☆


 三国志は人気があると言えども、孔明が死んだらそこで終わりである。蜀が、魏が、そして呉が滅んで晋が統一するという流れは知っていても、その間となるともう完全にマイナーな世界になる。恐らく、その理由はこの11巻の時期にあると、私は思う。

 暗い時代だ。いや、三国志自体が、東アジア全域を覆った寒冷化とそれに伴う農民の流動化に端を発する戦乱の時代で、実は暗い時代なのは分かっている。しかし、それでも英雄豪傑が戦場を疾駆し、知謀の士は謀略を競い合う、どこか陽性なところがあった。だが、ここではその陽性さは姿を消し、多くの人の命は掛かっているものの陰険な政治的策謀ばかりが目立つ。

 まずは、呉。孫権の老害は愈々著しくなる。三国志だけでもウンザリするほど見た、後継者に関する問題が呉を二分する。きっかけは、将来を嘱望された皇太子が若くして死んでしまったことだ。次男の孫和が皇太子として立てられたのは順当だが、この時に四男の孫覇を皇太子と同等に扱ったところからおかしくなる。当然、孫権の心の内を察して孫覇を次期皇帝に、と唱える一派が現れる。それは必然的に皇太子派との争いを生む。

 その結果、少なからぬ名臣が死んだり権力中枢から追われたりすることで、呉は一気に弱体化する。かの陸遜も、皇太子を支持したが故に、左遷させられた挙句に孫権から次々と問責の使者が遣わされたため、憂憤のうちに死去してしまうのである。

 赤壁で乾坤一擲の大勝負を挑んだ、若き孫権からは信じられない姿だ。

 一方の魏。明帝曹叡が死に、幼い曹芳が立つ。しかし、幼帝が政治力を発揮できるわけがない。曹丕によって王族は権力を奪われ、外戚もまた力を持たない。そのため、皇帝を補佐する人物が権力を握る。ああ!それが選りにも選って曹爽だとは!

 魏を支え続けた名将曹真(三国志演義だと孔明の引き立て役に過ぎないが、孔明が陳倉に出ることを予想して予め手を売っておくような優れた将軍だった)の息子という血統の良さだが、彼は浮華の徒と呼ばれる軽佻な人々ばかりを侍らせた。戦いは司馬懿に任せ、自分は遊び呆けていたために権威が落ちかけ、それを快復せんと蜀へ進行したが惨敗を喫した。これが前巻まで。

 曹爽は懲りずに、司馬懿から権力を奪う策を練り続ける。しかし、相手のほうが遥かに上手だった。ボケた振りをして警戒を解いた司馬懿は、千載一遇のチャンスを待つ。曹爽一派が皇帝とともに都を出た時に、司馬懿は一族とクーデターを起こす。この後は、もうひたすら血なまぐさい世界だ。

 最後に、蜀についても触れておこう。孔明の後を継いだ蔣琬は死に、天才費褘が劉禅を支える。しかし、その費褘が、魏の降将郭循によって刺殺される。こうして、孔明が目をかけた姜維が蜀を背負って立つようになるのだ。費褘は彼を警戒して軍を与えなかったのだが、掣肘の外れた姜維は孔明の北伐を再開させる。それは次巻の話になるが。

 どこの国も暗い話が覆い、三国時代の終わりを予感させる。
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その他小説 | 2014/07/24(木) 19:32 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1495冊目 吾輩はシャーロック・ホームズである
吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)
(2009/09/25)
柳 広司

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評価:☆☆☆☆


 "吾輩はシャーロック・ホームズである。名前はまだ、ない。"に始まり、ホームズが酔っ払って瓶に落ちて溺死するまでの名推理を追いかけている訳ではないミステリ。

 ご存じの通り、夏目漱石はロンドンに留学してすっかり気鬱を病んでしまうわけであるが、本書はそこからちょっとアレンジして、僧籍はおかしくなった挙句に自分をホームズだと思い込む始末。時期はホームズがライヘンバッハの滝から転落死したと見せかけて表舞台から姿を消し、空き家の冒険で復活したちょっと後。

 肝心のホームズは所要があって別の場所に行っているお陰で、自分をホームズだと信じ込んでいる漱石(作中ではナツメ)がベーカー街に転がり込んでくる。この設定だけでも十分に面白い。物語を盛り上げるアイテムとして、『坊っちゃん』ネタが出てきたり、漱石のロンドン日記が出てきたりするところは漱石ファンにも楽しめる。

 さて、ホームズが出てくるからには事件が起こらなければならない。勿論、事件は起こる。しかも、因縁の人物の名前が出てくるのがファンには嬉しい。その名も、アイリーン・アドラー。女嫌いのホームズが畏敬の念を込めて"あの女"と呼ぶ人物である。その妹に、どうやらナツメは惚れてしまったらしい。彼女が出席する降霊会で、事件は起こる。霊媒師が殺害されるのだ。

 オカルトに興味がある方はご存知だろうが、この時代は降霊会が物凄く流行った時期。コナン・ドイルもころりとやられているのだが、勿論、これらは全てインチキ。本作でも、霊媒師は実は詐欺師にすぎない事が明かされる。

 我らがナツメ・ホームズ氏はなんとか事件を解決しようと推理を繰り広げるが、どうにも珍妙な推理ばかりで正解にたどり着きそうもない。それなのに、暴漢に襲われかけるところがおかしい。で、そのおかしなところもきっちり回収しているところが読んでいて楽しいところ。

 色々な視点でみてもきっちり楽しめる物語になっている。ドタバタだけどミステリ。そしてホームズのパスティーシュ。おまけに探偵が漱石で、ボーア戦争ネタが散りばめられているため歴史ファンまで楽しめる。最後に本物のホームズが登場して謎を回収してくれるところも素晴らしい。なんとも贅沢な作品であった。
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推理小説 | 2014/07/23(水) 19:31 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1494冊目 深海生物学への招待
深海生物学への招待 (幻冬舎文庫)深海生物学への招待 (幻冬舎文庫)
(2013/08/01)
長沼 毅

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評価:☆☆☆☆


 高温、高圧、そして漆黒の闇。生命とは最も縁遠いように感じられるそんなところにも生物は満ちている。いや、むしろ、大洋のド真ん中と比べたら、生物密度は遥かに高いのだ。極限環境下に生物が居ないというのは、人類の偏見に満ちた思い違いであった。我々がそこに到達できないから、存在すら知らなかっただけ。

 いざ潜水技術が発達してみると思いもよらないほど極限環境には生物の姿があった。本書は、そんな深海の生物学入門編として、海の底にはどのような生物が潜んでいるかを書いたもの。1996年に単行本として出たものを昨年文庫化したということで、最新の研究成果を知るには向いていないが、研究者としての人生を歩き始めた人物が深海に潜れるという貴重な経験を興奮を交えながら綴っているところは新鮮で良い。

 まず、深海に潜るシーン。常人は体験できないこの体験が興味深い。プランクトンの死骸が海底へ落ちていくマリンスノーよりも潜水艇の方が潜行速度が早いため、マリンスノーが上がってくるように見えるという。暖房は積んでいないため、4℃くらいになる室内で暖かい格好をしながら外を眺めるなんて裏話はなかなか聞けるものではない。この点、『深海のパイロット』に通じるところがあって楽しく読める。

 深海は生物が居るとはいえ、それでもやはり栄養素には乏しい。そこで生きるために、生物は様々な工夫を凝らしている。それをエッセイ風に軽く教えてくれながら、話題は深海で最も興味深い領域へと進んでいく。熱水噴出孔がそこだ。

 生命誕生の地と目される熱水噴出孔は、生物の宝庫である。人間から見れば、300℃を超える熱水だけでも十分に過酷なのに、この噴出するガスは地中を通るなかで還元され、硫化水素に満ちたものになっている。高温+毒ガス。人間なら即死間違いない。ここの生物は、太陽エネルギーが無くても生きていける。ということは、エンケラドゥスやエウロパといった、液体のある衛星にも生物が居るかもしれないというところにまで話が及ぶのが楽しい。

 特に興味深かったのは、光合成細菌についての話。熱水噴出孔のスペクトルを取ると800~900nmと1000~1150nmにピークがある。なんと、光合成バクテリアの持つバクテリオクロロフィルの利用する波長は800~950nmと1000~1150nmで重なるという。もしかすると、バクテリオクロロフィルは深海で前適応してた機能を光合成に振り替えたのだろうか。進化は面白い!

 他にもクジラの死骸や沈没船の周辺に形成される生態系のように、興味深い話が沢山ある。後者ではタイタニックが鉄を利用する最近の棲家になっている模様を教えてもらえる。

 深海という、目にすることはまず出来ない、近くて遠い世界を覗き見させてくれる、そんな本。深海のサメやイカといった、最近になって研究の進んだネタについてもますます興味が湧いてきた。タイトルに偽りなしの一冊。

関連書籍:
深海のパイロット (光文社新書)深海のパイロット (光文社新書)
(2003/07/17)
藤崎 慎吾、田代 省三 他

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生物・遺伝・病原体 | 2014/07/22(火) 19:04 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1493冊目 〈生きた化石〉生命40億年史
〈生きた化石〉生命40億年史 (筑摩選書)〈生きた化石〉生命40億年史 (筑摩選書)
(2014/01/14)
リチャード フォーティ

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評価:☆☆☆☆☆


 著者は大英博物館で三葉虫の研究に打ち込んでいる人物。なんと、一冊丸々三葉虫という、その名も『三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態』、その前に書かれた地球生命の壮大な歴史を語る『生命40億年全史』で名を馳せたリチャード・フォーティが、"生きた化石"を求めて世界中を駆け巡った旅を描いたノンフィクション。

 まず訪れるのはアメリカの東海岸。ここには、カブトガニ(その名に反してカニの仲間ではない)の産卵地がある。オスが次々にメスに群がっては、自分の子孫を残すべく果敢な戦いを繰り広げる。きっと、数億年も昔から毎年毎年絶えることなく続いてきたこと。

 産卵シーンを皮切りに、著者の専門の三葉虫に話を持って行ったり、カブトガニの血液がグラム陽性菌と呼ばれる細菌ファミリー検出に用いられ、その特殊な力ゆえに乱獲されかかった時期があること等、広い話題を取り上げている。

 この調子で、カンブリア紀にまで遡れる可能性のあるカギムシ、地球に酸素をもたらしたシアノバクテリアが作るストロマトライト、極限環境下で生きる不思議な微生物であり地球生命の祖かもしれない古細菌、我々脊椎動物の直系のご先祖様に当たる無顎類の一員ヤツメウナギ、肺魚や卵を生む哺乳類や鳥類、両生類と話を進めていく。

 彼らがほぼ姿を変えずに数億年の間、種を絶やさずに生き続けてきたことを思うと、その完成度の高さに驚かされる。

 私としては、特に有毒で卵を生む哺乳類、ハリモグラとカモノハシが興味深い。彼らがどのタイミングで他の哺乳類と袂を分かったのか、どうやって生き延びてきたのかはそれだけで関心を引くではないか。

 こうした、"生きた化石"と呼ばれる生命が繁殖する場を訪れ、そこがどのような環境なのか、目的とする生き物はどのように暮らしているのかを追いかけている。生物学者としての生き生きとした好奇心と、人類が希少種をどんどん絶滅へと追いやっている現状への深い絶望が読者の心に訴えかける。

 生命が辿ってきた遥かな歴史を感じながら、生き残ってきた生物の強さを知ることができる本。生物好き、とりわけ古生物が好きという方はきっと引き込まれるであろうと思う。

関連書籍:
三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態
(2002/09)
リチャード フォーティ

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生命40億年全史生命40億年全史
(2003/03)
リチャード フォーティ

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地球史・古生物・恐竜 | 2014/07/20(日) 19:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1492冊目 地底から宇宙をさぐる
地底から宇宙をさぐる (岩波科学ライブラリー (23))地底から宇宙をさぐる (岩波科学ライブラリー (23))
(1995/05/22)
戸塚 洋二

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評価:☆☆☆☆


 地底と宇宙。我々人類からすれば、足元と頭上という正反対の方向にあり、なかなか結びつくことのない2つを上手く繋げたタイトルに惹かれた。そして、著者名。戸塚洋二さんと言えば、日本の誇る巨大実験設備スーパーカミオカンデでニュートリノに質量があることを証明し、ノーベル賞確実の呼び声高かったにも関わらず、若くして亡くなってしまった人物ではないか。

 本書は、まだまだスーパーカミオカンデが建設中で、そこで得られることになる多くの知見についても期待レベルにとどまっていた頃に書かれている。

 宇宙線の発見から、宇宙の姿を知るために地底の研究設備が必要な理由まで丁寧に説明してくれているのがまず嬉しい。カミオカンデの建設秘話ではノーベル賞を受賞した小柴昌俊教授との逸話が語られ(戸塚さんは小柴さんの弟子に当たる)、いよいよ魅力的な発見の話へと進む。

 特に面白いのが、恒星内で起こっている本当のことは何なのかを、地底の設備でなければ捉えられないところ。太陽の内部で水素が核融合でヘリウムに変わるというのは、こうした実験がなければ単なる推測に過ぎなかったのが、実証できるというのは凄い。

 カミオカンデと言えば欠かすことの出来ない、超新星爆発時のニュートリノ発見も、当時の興奮が伝わってくるような文章。やはり、楽しいからやっている人の文章は迫力が違う。

 最後には、ニュートリノに質量があると起こると言われたニュートリノ振動(ニュートリノのタイプが変わる)を調べるための実験について展望が語られるが、これはその後の進展を知っている人にはニヤリとさせられる話だ。

 本当に分かりやすく書かれているので、ニュートリノ宇宙論に興味がある方には入門書として格好の書であると思う。そして、これだけ才気に溢れた人物が、若くして亡くなってしまったことが惜しまれてならない。
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素粒子・宇宙論 | 2014/07/19(土) 19:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1491冊目 戯史三國志 我が槍は覇道の翼
戯史三國志 我が槍は覇道の翼 (講談社文庫)戯史三國志 我が槍は覇道の翼 (講談社文庫)
(2013/09/13)
吉川 永青

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評価:☆☆☆


 三国志で船が燃えているシーンといえば、やはり赤壁である。曹操の野望を挫いた大会戦は、三国志の腫瘍登場人物が揃っていることと、燃え盛るの炎で船が焼け落ちる迫力のシーンで、多くの人が題材としてきたテーマだ。例えば豚の角煮を編み出したことで知られる蘇東坡先生の赤壁賦のように。

 本書もそれら先達に加わる一冊。異色なのは、主人公にマイナーと言って良いであろう程普を据えたところ。

 そう思って読み始めたのだが、赤壁をクライマックスに持ってくるにあたって、程普という選択は悪くない。孫堅に付き従って董卓と争ったあたりで後漢末の動乱を説明できるし、孫堅と孫策の横死を受けて即位した孫権の事情も書ける。しかも、彼は自分の子供の世代に当たる周瑜を激しく嫌っていたのが、周瑜を認めてからは熱心に従うようになったというところも絵になる。まるで戦国末、刎頸の交わりで知られた廉頗と藺相如を見るかのようだ。

 読み始めて上手いと思ったのは、程普を役人崩れの黄巾賊あがりとして描いたところ。後漢末の腐敗した官吏と、飢えから叛乱に踏み切った黄巾賊(実際はそうでもないのだけどね)の対比が面白い。加えて、程普がどのような理想をもって生きたのかも、伺うことができる。

 上手くないと思ったのは、幾つかの事実を取り上げなかったり些細ではあっても間違いが含まれるところ。反董卓連合で集まった袁紹を冀州牧と書いているが、彼が韓馥から強引にその地位を奪ったのは、連合軍解散後だ。それはまだ些細かもしれないが、孫権が董卓軍にボロ負けしたところを描かないのは何故だろう?祖茂が孫堅の身代わりを引き受けなかったら孫堅は死んでいたかもしれないシーンなのに。

 祖茂は正史を見るとこの後も生きていたようだが歴史書にその行跡が残っていない。本書では孫静の配下となっているようだが、正史に生き残ったことが書かれているところを見ると、孫一族の元に戻ったとする辺りは納得だが。

 また、劉備を如何にもガラの悪い武辺者にしているのは面白い試みだ。大人っぽく描かれることもあるが、彼の実情は任侠だったことを考えると、まあ納得。関羽、張飛との"桃園の誓い"の「生まれた時はバラバラでも死ぬ時は一緒」なんて、知識人の言うことではない。このフィクションを生んだ人物(必ずしも羅貫中とは限らないと思う)は人物像をよく理解していたと言えよう。尤も、劉備は盧植の元で学業についていた(博打と音楽と女にかまけて勉強はしていなかったようだが)ので、きちんとした名乗りは出来ただろうけど、創作としては良いかな、と。

 こうしたマイナス点はあっても、成り上がりかけの孫一族の栄光と悲劇を1人の武将を通じて表現しているところは中々に面白かった。
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その他小説 | 2014/07/18(金) 19:06 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1490冊目 売国奴
売国奴売国奴
(2007/10/12)
黄 文雄、呉 善花 他

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評価:☆☆☆


 この手の本は手に取らないようにしているのだが(なんとなれば、売国という行為についても私は価値中立であるからだ)、ブクレコで敬愛する式部太夫さんのレビューで高く評価されているのを拝見し、手に取った。

 一党独裁でネットにも厳しい制限をかける中国が情報統制を強いた国であることは分かっていたが、民主主義国家を自称する経済的には先進国である韓国でも事実上の言論統制が敷かれていることが明らかにされているのは重要だ。

 日本において、中国や韓国の愚かしい主張に与することは自由だ。本書でも弾劾されている通り、中国には媚びへつらうのに安全な日本では民主主義が大切だと声高に主張する大江健三郎の醜態を見ても分かろう。そんなに民主主義を大切だと思うなら、むしろそれを弾圧する中国で毅然として述べれば良いのに。文革や大躍進で6000万人以上の死者を強要した毛沢東を避難すれば良いのに。

 だが、韓国ですら、日本の統治を正当に評価しようとする人は投獄される。所謂歴史問題においても、日本の主張を是とすると逮捕される。あるいは、ネットでは圧力をかけられて沈黙を余儀なくされる。それが民主国家を自称するとは笑止だ。

 こうした、中韓のデタラメを指摘するのに、中国人や韓国人ほど適した人は居ないだろう。なにせ、彼らは皮膚感覚で自国の異常さを知っているのだから。

 主に中国で民主化運動に取り組んでいた石平氏、米国に渡るための足がかりとして来日して日本にすっかり馴染んだ呉善花氏の2人から、台湾人の黄文雄氏が意見を引き出す形で鼎談を行っているのが本書。彼らが国家・民族・歴史・文化・日本・反日について、日本と中韓・台湾における状況を語り合っている。

 日本への恨みが国是になっているという韓国。この国は、日本側の戦略からすれば、どうあっても地政学的に大陸からの防波堤になってもらわなければならないと思うのだが、反日どころか侮日が幼少時から刷り込まれているとなると、呆れるのを通り越してウンザリする気持ちを抑えられない。

 従軍慰安婦を認めろ等と言うが、韓国人の女衒が暗躍した証拠はあっても日本軍の強制連行の証拠は全く存在しない。そりゃあ、放っておいたら女衒が勝手にかき集めてくるものを軍隊を出す意味など無いのだから当然だろう。日本国内だって苦しくて娘を身売りする家が幾らでもあった。同じ日本だった半島で状況が同じであっても不思議はない。

 慰安婦については秦郁彦さんの労作『慰安婦と戦場の性』が詳しいので是非読んでいただきたいが、韓国はまず日本がこの問題で悪かったことを認めなければその先の話など出来ない、という。それは、どう言い繕っても学問の姿勢ではない。教会が正しいと認めないなら焚刑だという二分法に等しく、唱える側の愚かさを露呈するだけ。

 他にも、日本では原初的なアニミズムがあって、唯一の天を奉じてきた韓国からすると、儒教倫理の観点からも蔑視の対象になるというのは驚きだった。儒教なんて言ったって、論語も読んでないくせに。私も適当にしか読んでいないが、儒教を信じているわけではないので問題なし。あ、法治主義者なので韓非子は全部読みました。

 中国でも韓国でも騙されたものが悪いという価値観が有り、韓国はその影響か窃盗より詐欺が多いという世界的にも珍しい国というのは失笑するしか無い。

 本書を読むと中韓には本当に問題が山積みで、容易なことではまっとうな付き合いなどできないと思わされる。為政者は毅然としてこの嘘つき国家どもと対して欲しいものだ。


関連書籍:
慰安婦と戦場の性 (新潮選書)慰安婦と戦場の性 (新潮選書)
(1999/06)
秦 郁彦

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評論 | 2014/07/17(木) 19:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1489冊目 扉は閉ざされたまま
扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
(2008/02/08)
石持 浅海

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評価:☆☆☆


 倒叙物と言われる、冒頭に完全犯罪に思われる犯行が描かれ、僅かな証拠から探偵が全容を解き明かしてしまうタイプのミステリ。

 歴史のある洋館で、大学のサークル仲間の同窓会が開かれた。卒業後は一堂に会したことのないメンバーたちが久闊を叙す場で、犯行は行われる。ぐっすりと眠りこける参加者を、他の人物が風呂で溺死したように見せかけて殺してしまうのだ。

 扉は円筒錠と呼ばれる、内側から押し釦でロックを掛け、回転させるとロックが外れるタイプ。これでは勿論密室というには弱い。内側からロックを掛けて、外に出てから扉を閉めれば良いだけだから。だから、そこに扉どめが使われる。斯くして、密室の完成。

 凶器はないし、そもそも遺体には殺人の証拠が残っているわけではない。部屋は密室。もう完璧ではないか。

 犯人は、やたらとタイムテーブルを気にして、死体が発見されるのを遅らせようとする。それが本作を貫く謎になっている。あとは、探偵役がどうやってこの完璧に見える犯罪を見破るか。

 謎解きも完全に論理的で、突飛なことは行われていないし、物的な証拠に関しては、きちんと探偵が答えを知るに至ったカギも読者の前に提示される。犯人の性格からいってこの行動はおかしい、というようなものは一部に見られるが。なので、ああ、あそこに穴があったのか!と思いながら読むことができる。

 また、キャラクターもしっかり作られているところも魅力。探偵と犯人だけではなく、他のメンバーも生きた人間であることが感じられる。

 と、べた褒めに近いようだが、本作には巨大な欠点もまた存在する。それは、動機である。動機がどうにも合理的ではない。ずっと合理的に考え続ける犯人であるが故に、その欠点は余りにも巨大であると思わざるを得ない。

 殺人に至った理由は、被害者のライフスタイルと死生観に関連するものであるが、犯人が犯行に至る最終的な分岐点で、殺害を決意させたものが、ライフスタイルを変える気がないとういことだが、この時点では既にモゴモゴなので、犯人がやるべきは死生観を変えろということになる。つまり、最後に背中を押したとあるのは、有り体に言えば間違いなのだ。他にももう1つ、犯人の愚かな見落としがあるのだが、ネタバレ防止で書くのはやめておくことにする。

 ただ、トリックとその解決は面白いので、ミステリがお好きな方は楽しめると思う。
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推理小説 | 2014/07/16(水) 19:16 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1488冊目 蛇女の伝説―「白蛇伝」を追って東へ西へ
蛇女の伝説―「白蛇伝」を追って東へ西へ (平凡社新書)蛇女の伝説―「白蛇伝」を追って東へ西へ (平凡社新書)
(2000/10)
南條 竹則

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評価:☆☆☆


 蛇が美女に化け、人と恋に落ちる。だが、それは導師によって見破られ、蛇は元の姿に戻って封じられてしまう。中国で大変な人気を博した『白蛇伝』は、日本でも取り上げた作家が多いらしく、少しく哀調を帯びた物語として知られている。

 実は、これと同じような話がギリシアにもあった、という。著者が引用を始めるのはキーツの詩。そこでは『白蛇伝』と全く同じようにハンサムな青年に恋した蛇が美女に化け、こちらは青年の師である賢者アポロニアス老人に正体を見破られ、姿を消してしまう。

 あまりにも筋の似通った物語が、洋の東西で語られているというのは面白い。同様にそっくりな話としては、ギリシア神話でで愛妻エウリュディケを失ったオルフェウスが地獄へ行って妻を生き返らせようとするエピソードが、日本神話でイザナギがイザナミを生きかえらせるために黄泉の国へ行くのとそっくりであるのが挙げられよう。

 死者を生き返らせようとして足掻いた主人公が、望み果たせず愛するものを喪ったことを受け入れなければならないというモチーフは、世界最古の物語ギルガメッシュ叙事詩からして同じであり、死の不条理と愛する人の死を受け入れられない人の弱さという普遍的な心が生んだ物語である。しかしながら、蛇が美女に化けるのは必然性が無く、更に特殊な力を持つ人物によって退治されるというのも、これまた普遍的な物語とは言い難い。

 となると、実は2つの物語は、同じ物語あるいは先行する単一の物語から枝分かれしたものなのだろうか?

 本書はその謎を追ってユーラシア大陸の物語を広く渉猟しながら考察を進めていく。とは言え、科学とは違って誰もが受け入れざるをえない確固たる証拠は出てきようがない。従って、読者は著者の主張を受け入れるかどうかに掛かっているが、その上で私には十分に説得力のある結論を得られているように感じられた。

 また、ヘラクレスの冒険のように蛇の関わるその他の物語に言及されているのも良い。こうしてみると、蛇が人に化けるというストーリーは意外と多い。進化の過程で手足を失い、人の目からは異形に見える特殊性がそうさせているのだろうか。人が蛇を意識することの甚だしきにも考えが向かう。

 軽い読み物ふうに書かれているにも関わらず、参考文献リストを見れば広く知識を漁り深い思索を重ねたことが感じられる。神話・伝承とそれが伝わるルートについて色々と考えさせる本であった。
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神話・伝承 | 2014/07/15(火) 19:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1487冊目 街角の科学誌
街角の科学誌 (中公新書ラクレ)街角の科学誌 (中公新書ラクレ)
(2007/08)
金子 務

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評価:☆☆☆


 科学史家である著者が、世界各地を訪ねてはそこで活躍した科学者に思いを馳せる、科学をネタにしたエッセイ集。

 ギリシアでは古代の思想家たちを偲び、昔の中国の驚くべき文明度の高さに思いを馳せ、近代ヨーロッパの生んだ様々な発明や発見に感嘆し、日本の科学者技術者の系譜を辿る。この話題の広さが本書の魅力の1つ。

 まず、ギリシアの賢人たちは近代科学の直系の先祖であることが分かる。とはいっても、実験を行うための道具を持たなかった彼らのこと、その思考の深まりは思索を通じてのみ得られたものであり、それなりの限界がある。しかし、それでも世界は何で出来ているのかとして火や水を考えていったことは後の原子論へと繋がっていく。

 中国は、何と言っても兵馬俑。そこに収められた銅車馬は、精巧な作りであったことが知られる。が、著者が注目するのはその車輪。この頃には既に円盤形ではなく、スポークで中抜して軽量化されたものが使われていたことが分かる。この頃の馬車の作りはユーラシア大陸全体でほぼ同一だったらしいので、文明間の交流は想像以上に行われていたのだろう。

 他にも龍の仔についての物語、編鐘と呼ばれる楽器、黄河や銭塘江の雄大な光景と、著者の好奇心が赴くままに様々なトピックが語られる。

 日本人の活躍としては、高峰譲吉博士のタカジアスターゼ(漱石も飲んでおり、『吾輩は猫である』にも苦沙弥先生が服用するシーンが有る)、西洋の麻酔よりも先に手術に麻酔術を用いた華岡青洲、惜しくもノーベル賞を逃した寺田寅彦さんの話題が興味深い。まあ、麻酔については三国時代に麻彿散と呼ばれたものが使われていたので、西洋に先駆けたと言っても世界一にはなれないのではあるが……。

 このように、多くの事柄に関心をもつ人のエッセイなので、話題の選び方や話の広がり方が面白い。科学ネタが好きな方は楽しめると思う。
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その他科学 | 2014/07/14(月) 19:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1486冊目 三国志〈第10巻〉
三国志〈第10巻〉三国志〈第10巻〉
(2011/09)
宮城谷 昌光

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評価:☆☆☆☆


 諸葛亮はまたも祁山に出る。それを迎え撃つのは司馬懿。だが、ここでは戦いらしい戦いが起こらない。過去、兵糧不足によって撤退の憂き目を見た諸葛亮は長期戦に備えて屯田体制を敷き万全の構え。対する司馬懿は、皇帝から戦うことを厳に戒められている。斯くして五丈原では両軍が対峙するだけの奇妙な状態が続いた。

 諸葛亮は仕事を下に回さない人であったようだ。朝早くから夜遅くまで精勤し、しかも食は細い。となると、どうなるかは分かるだろう。司馬懿の予想通り、諸葛亮は対陣中に帰らぬ人となる。あるいは過労死に近かったのかもしれない。

 諸葛亮が今に至るも愛され続けるのは、蜀のほぼ全軍を率いて政治的にも中心に居たのでいつでも劉禅を逐って自分が至尊の位に就くことも出来たであろうに、最後の最後まで劉備の恩顧に報いようとしたことにある。私としても、やはり大きな時代の変わり目がここにあったと思う。

 撤退する蜀軍だが、ここに大きな危機が訪れる。従来より犬猿の仲であった魏延と楊儀の半目が遂に行き着くところまで行ってしまうのである。劉備が目をかけた魏延は、この時期の蜀軍きっての猛将だっただろう。漢中を制した劉備は彼を抜擢し、そして魏延はその期待によく応えていた。彼の将才を、諸葛亮は遂に活用することができなかったことに原因は求められるかもしれない。

 最も、諸葛亮からしたら乾坤一擲の勝負に出て敗北すれば直ちに蜀の敗亡に結びつくのに、仮に大勝利を得てもそれは魏にとっては一地方の失陥でしかないという戦力の非対称性に基づいた現実的な判断だったかもしれないのだが。

 この内訌の史実ベースの話は切なくなる。

 西部戦線はこうして蜀の撤退によって戦いは幕を閉じる。この頃、呉も東西から魏を討つべく出兵していた。だが、西に司馬懿あれば、東には満寵がいる。演技が蜀中心に描くものだから彼もイマイチ注目されていないが、洞察力に富んだ名将である。父や兄に似ず用兵が得意ではない孫権ではとても歯が立つ相手ではない。一蹴された呉は撤退して、時代は次のシーンへ移る。

 次の舞台は、北方。半分独立王国風であった遼東の公孫淵が叛くのである。ここでも活躍するのは司馬懿。こうして司馬懿は当代随一の名将へと変貌していく。この遼東の政権が倒れたことで倭の使者は魏へたどり着くことができるようになり、結果としてその存在が魏志東夷伝倭人条(魏志倭人伝などというものは存在しない)に記されることになる。倭の使者が謁見したのは曹叡であった。

 このままで行けば、あるいは魏の統一もあったやもしれぬ。全てを上手く回らなくしたのは、曹叡が若くして死んでしまったこと。明帝と諡された彼の後継者は、養子である曹芳。後見人を巡って、佞臣の劉放と孫資が暗躍したことが魏には痛恨事であった。

 一方の呉では、孫権の老害が愈々国家を蝕むようになっていく。

 三国志演義が諸葛亮の死で実質終わりで、後は蜀の滅亡をあっさり描いて終わりなのはとても理解しやすい。この後は魏において権謀術数の限りを尽くした権力争いが行われ、呉は孫権の迷妄に続いて更に酷い後継者が待つ。蜀は劉禅が親政し、特に評すこともない(ということは、民にとっては安寧で過ごしやすい日々だったということだ)時期である。諸葛亮の燃えるような衷心からの楽さが激しすぎる。その後も面白いことはあれども、親世代の手に汗握る活躍に胸を躍らせた身には、どちらかというと寒々とした時代に感じられてならない。

 この巻は、曹爽が司馬懿に対抗して武勲を上げるべく蜀へ侵攻し、敢え無く敗退するところまでを描く。こうして曹爽の権威が失墜したことは、司馬懿の立場を強めるばかりだった――。
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その他小説 | 2014/07/13(日) 19:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1485冊目 身近な妖怪ハンドブック
身近な妖怪ハンドブック身近な妖怪ハンドブック
(2012/07/28)
川村 易、OSAmoon 他

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評価:☆☆☆


 小さい子がいる家のご多分に漏れず、我が家でも妖怪ウォッチが大人気である。日常生活に忍び寄る不可解なことは全て妖怪の仕業だったんだよ!な、なんだってーー!!な感じだが、思うに妖怪は科学的な思考が生んだ賜だと思うのです。

 昔の人々には、不思議なことがなぜ起こるのか、知るすべなど持たなかった。例えば、雷はどうして光るのだろう?あの音はなんだろう?鍛冶の神トールが振るうハンマーから出た火花が雷だ、というのは、理解できない自然現象の裏に目には見えないが単一の原因があると仮定し、その原因を探る行為である。そこから合理的な思考へはあと一歩だ。まあ、ギリシア時代には既に雷の正体が静電気であることは分かっていたんですけどね。推測だけで正解に辿り着いた賢人たちの偉大さにはただただ感心するばかり。

 閑話休題、雷を起こすものとして北欧神話ではトールが、ギリシア神話ではゼウスが、インド神話ではインドラが、ロシア神話ではイヴァン雷帝が居るならば、日本ではドリフターズがいる。高木ブーさんのコーナーだったなあ。面白くなかった。

 再び閑話休題、空を駆けるアイツ、海を守るアイツ、大地を走るアイツ、皆みんな生きているんだ妖怪なんだ。世界にあふれる妖怪を「理系の目」で分類してやろうというのが本書。その心意気たるや良し!

 斯くして、有名な妖怪たちが分類された上で記載されている。例えばこんな感じで。河童(水神河童目類人スッポン科)やらぬらりひょん(サル目入道科)一つ目小僧(小僧目メカゴサル科)やら鵺(スズメ目声ダケツグミ科)、エトセトラエトセトラ。

 何と言っても妖怪が懐かしい。親が読み聞かせてくれた昔話だったり、ゲゲゲの鬼太郎やまんが日本昔ばなしに出てきた妖かしが沢山収められている。絵もカラフルで楽しい。なので、眺めているだけでなにやら童心に帰った気がしてくる。

 一方で、分類の正確性には疑問が残る。いや、意欲作なのは分かる。でも、例えばイヌもネコもクマもタヌキもキツネも食肉目として共通の生物だ。これほど多様な進化を遂げたのであれば、妖怪も一見違うように見えながら実は共通項を持つということがあっても不思議はないと思うのです!

 やや悪乗りしている感じもして興ざめなところもあるが、試みとしては面白い。懐かしさもあって、眺めるのは楽しかった。
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未分類 | 2014/07/12(土) 19:44 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1484冊目 波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘
波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘
(2013/09/13)
近藤 滋

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評価:☆☆☆☆


 タイトルがまず良い。いきなりフィボナッチと言われても難しそうなイメージかもしれないが、組み合わさると不思議と面白そうになる。表紙も言いねえ。波紋の横にシマウマの、螺旋の右下にはアンモナイトの、フィボナッチの上には花の写真があしらってある。それぞれの概念を使って説明できる現象だ。

 しかも、ついつい手に取ってパラパラとページを捲った私の目に飛び込んできたのは、ガラモン、ダダ、カネゴン、モチロンという4体のウルトラ怪獣。一体全体どういうこと?しかも、どうやらその章のタイトルは"白亜紀からの挑戦状"であり、意外な切り口に感服する。因みに、この章の本当のテーマはアンモナイトの異常巻き。

 無秩序というか混沌というか、そもそもどうしてこんな珍妙な形をしないと行けないのかと問い詰めたくなるような異常巻だが、同じ種では異常巻が常に同じパターンを示すという。知らなかった!どうやら、運動しやすいように重心をコントロールしようとすると必然的にあの形になるらしい。

 他の章も、自然界に隠された形の不思議の背後を数学的な視点で見るとこんなに面白い!というネタが多くて、読んでいてとても楽しい。

 シマウマのシマでは、20世紀が産んだ鬼才の一人、アラン・チューリングの予言したチューリング波が正しそうだと結論する。しかも、それを示したのは熱帯魚の研究。意外なところにつながりがあって面白い!フィボナッチでは、花の並びがフィボナッチ数列になっていると言われるのは実は正しくないというのも教えてくれる。その上で、一見フィボナッチ数列に従うように見える花や葉の付き方は、もっと簡単な仕組みによって制御されているかもしれない、と説く。

 通り一遍ではない、著者が納得できるまで考えた結果は、それまでの通念を打ち破ってくれる。良いねぇ、発見の面白さは思い込みを打ち砕くことにあるのだ。

 しかも、数学的な視座には立っているが、数学的に記述しているのではないところも良い。波紋のところではJOJOの奇妙な冒険までネタにして、数学には興味が無い読者にもとっかかりやすくしてくれているのも評価が高い(ただ、やや過剰に思われるところもあるのは事実ではある)。ついでに、研究の成果を語る中で研究者がどのようにして知の世界を切り開いていくかも書かれているのも。

 書かれている事実も面白かったし、読み物として読むのも楽しかった。満足の一冊。
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数学 | 2014/07/10(木) 19:34 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1483冊目 コンゴ・ジャーニー〈上〉
コンゴ・ジャーニー〈上〉コンゴ・ジャーニー〈上〉
(2008/04)
レドモンド オハンロン

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評価:☆☆☆☆☆


 モケーレ・ムベンベをご存じだろうか?私がその存在を知ったのは高野秀行さんの快作『怪獣記 (講談社文庫)』から。この手のマニアックネタが好きな私が知らなかったということは、モケーレ・ムベンベを知っているとしたら、高野秀行さんのファンか、相当コアなUMAファンか、はたまたその両方かのどれかであろう。

 コンゴのジャングルの奥にある湖に棲むと伝えられるこの幻獣あるいは怪獣は、現地の人に描かせると竜脚類のように見える、という。その時点で湖の中に居ないことは確実(竜脚類は水中に潜れない)なのだが、それでも"遥かジャングルの彼方に謎の巨大生物が潜む"というのは実に絵になるし、人を引き付ける力がある。

 いや、だからと言ってですね、全財産を叩いて幻獣を見に行くっていうのはどうかしていると思うんですよ。傍から見てる分には面白そうですけどね。

 そんなわけで、本書ははるばるコンゴまで幻獣を探しに行ってしまった生物学者兼冒険家の著者が語る探検記である。と言っても、例えば『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』のような命懸けのものではないし、『
そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還』のように優れたリーダーシップが仲間を救う奇跡のような話でもないし、まして史上初の南極点到達を目指したスコット隊が全滅した悲劇にまつわる『世界最悪の旅―スコット南極探検隊』のようなものでもない。

 何か物凄いことに遭遇して、知力と気力の限りを尽くして危難を乗り越えるのではない。むしろ旅の間に目にし、耳にしたものをだらだらと綴っているように見える。

 そこから見えてくるのは、呪術やアニミズムに満ちた未開の地であり、人の命が鴻毛のように軽いという現実であり、貧困であり、その中でもたくましく生きていく人々の姿である。占い師に2ヶ月以上ジャングルに入り続けたら死ぬと予言されるという幸先の良いスタートからして呪術の世界だ。

 文化人類学の語るところによれば、呪術で人が死んだ事例は枚挙に暇がないほどであるという。もちろん、本当は呪術で死んだのではない。力のある呪術師に呪いをかけられたと信じることが死を導くことがある、ということだ。本書でも、そうした呪術を退けようとしながらも突き放せない人物が出てくる。

 マラリアになってみたり、フランス礼賛とイギリス罵倒を聞かされたり(著者はイギリス人)、吐瀉物の香りのする枕をあてがわれてげんなりしたり、ベッドの中から大量の虫がでてきたりと、とりとめのない旅はどこまでも続く。

 はっきり「ここが面白い!」というシーンがあるわけではないのに、読んでいるとついつい笑ってしまったり情景が目に浮かんだりする不思議が満ちている。まるで、安全な場所から著者の旅を追体験できるかのような感じ。

 自分で冒険に出る気には全くならないのだが、続きは読んでみたくなった(笑)


関連書籍:
怪獣記 (講談社文庫)怪獣記 (講談社文庫)
(2010/08/12)
高野 秀行

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空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)
(2012/09/20)
角幡 唯介

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そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還
(2000/09)
ジェニファー アームストロング

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ノンフィクション | 2014/07/08(火) 22:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1482冊目 わが名はヴィドック―犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代
わが名はヴィドック―犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代わが名はヴィドック―犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代
(2006/04)
ジェイムズ モートン

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評価:☆


 ヴィドックの名を聞いたことがあるだろうか?無い?それは勿体無い。こんなにも面白い経歴を持つ人物のことを知らないとは!

 ヴィドックは、フランス革命前夜に生まれ、ナポレオン3世の時代に世を去った。その人生は振るっていて、まず名を知られるようになったのは犯罪者として、である。おまけに、何度も何度も何度も何度も刑務所を脱走している。最後の一回を覗いて尽く捕まっているので、この前半生は喜劇の様相を帯びている。

 それが俄然面白くなるのは、彼が警察の協力者となってから。この当時、まだまだ犯罪捜査はろくに行われていない。それでもフランスはまだマシで、イギリスには未だスコットランド・ヤードが生まれていない頃だ。そこに彼は入り込み、過去の人生経験から得た貴重な教訓(?)を元にして、次々と犯罪者を捕まえていく。潜入捜査を行い、犯罪データをまとめて科学捜査の基礎づくりに貢献した。

 彼は警察内部のいざこざから辞職すると、今度は私立探偵となる。え?そんなの珍しくなって?いや、その認識は間違いだ。何故なら、彼以前に私立探偵はただの1人も存在しないのである。つまり、現代のミステリファンは彼に多くを負っているというわけだ。実際、ポーやドイルはヴィドックの影響を受けていると言われる。

 この来歴を簡単に眺めただけで、彼が注目に値する人生を送ったことが分かるだろう。

 しかも、時代は次々と権力者が入れ替わり、政治体制すら二転三転する。鹿島茂さんの名著『ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815』や『怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史』の時代で、それ故に彼のような元犯罪者が活躍できたのかもしれない。

 ヴィドックは興味深い。それはそう思う。しかし、この文章の酷さは何だ。ちょっと前に『捕食者なき世界』のレビューで訳者の野中香保子さんを激賞したが、これはその対極にある。なにせ、時々主語が何か分からなくなるレベル。文章はブツ切りで作品に入り込めない。ヴィドックに興味がなければ絶対に投げ出していた。そこは校正がしっかりしないとダメなのだろうけど、これは校正「が」ダメなのだろう。いや、校正「も」ダメ、か。これで3000弱とは詐欺に近いよ、ホントに。出版社、しっかりしてくれ!

関連書籍:
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(2009/08/10)
鹿島 茂

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(2010/10/13)
鹿島 茂

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ノンフィクション | 2014/07/07(月) 19:17 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1481冊目 「本当のこと」を伝えない日本の新聞
「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)
(2012/07/04)
マーティン・ファクラー

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評価:☆☆☆☆

 著者はニューヨーク・タイムスの東京支局長ということで、日本を悪くいうことについては定評のある新聞社の人が何を言うのだろうかと、半ば怖いもの見たさの気持ちもありながら読み始めたのだが、どうして中々、骨太なジャーナリズム批判の書であった。

 "はじめに"において、まず東日本大震災とそれに続く震災についての報道が「3・11前と変わらず、当局の記者発表やプレスリリースを横流しする報道に終始した」(P.3)と厳しく断罪する。しかも、恐ろしいことにこの姿勢はあらゆるメディアがそうだった。何故か?その原因は、本書で繰り返し批判される通り記者クラブ制度にあるだろう。

 元々は公官庁からの情報を得る際に、各社がそれぞれ取材を行っては時間が掛かり過ぎるために、まとめて取材する場を作ることにあったのだろうが、それは今や単なる公官庁のメディアコントロールの場になっている。それだけではない。記者クラブは基本的に日本のメディアの、そのまた一部だけの集合体で、そこに部外者が入り込むのは不可能である。これを決めたのが記者クラブ、つまりはメディア側というところがおぞましい。

 結局、記者クラブは、彼らだけが情報にアクセスできるようにするというメディア側の都合を優先し、公官庁からのリークがなければ何も報じられないような情けない三流ジャーナリストを量産する役割を果たすようになった。そこでの馴れ合いは外部から見れば異様そのもので、こんなにも情報ソースを権力に依存しているマスメディアが権力を批判などできるわけがないという指摘が実に重たくのしかかる。

 例えば、彼らが特ダネだ何だと騒ぐのは、公官庁のリリースを一日早く報じたかどうかというつまらないレベルであることが多い。おまけに、ソースは匿名が多くて信頼すべきかどうかもわからない。

 経済誌の日本経済新聞も手厳しく批判されている。こちらは公官庁ではなく企業とべったりだ。恐らくはそのせいで、オリンパスの背任事件を巡っては外国メディアが的確な批判をしていたのに日本経済新聞は経営陣の――犯罪を隠蔽しようとした人々だ――の言い分を伝えることに終始した。それがジャーナリズムだって?片腹痛い。

 記者クラブ制についてはかなり前から批判がある。私がこの問題に興味をもったのは20年近く前のことに成るが、それから全く変わっていないのにはウンザリさせられる。だから新聞は読まれなくなるし、マスコミをマスゴミと蔑視する層を増やしてしまうのだ。自浄能力を失った官僚的な組織に未来は無い。どこかで変わっていかなければならないだろう。企業との付き合いも同じ。与えてもらった情報を紙面に起こすだけなんて、どんな莫迦にでもできる。こんな程度のレベルから脱却し、日本のジャーナリズムが世界からも一目置かれるようになって欲しいものだ。
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ノンフィクション | 2014/07/05(土) 23:17 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1480冊目 歪曲報道
歪曲(わいきょく)報道歪曲(わいきょく)報道
(2006/10/06)
高山 正之

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評価:☆☆☆


 マスコミは営利企業である。したがって、彼らは自身の利益を最大化しようとする。株式会社で企業活動を行うということは、彼らが伝えるのは必ずしも事実ではないということだ。読者あるいはスポンサーのゴキゲンを損ねるようなことは絶対に書けない。その基本を知っていれば、そもそもマスコミ情報を鵜呑みにするのは愚かなことであると分かる。

 そんな中でも、目に余る歪曲報道がある。酷い歪曲に目を剥いて怒っているのが、元産経新聞記者であった著者。まえがきで、著者がロサンゼルスに特派員として赴いた時の話が載っていて、これが面白い。米国人スタッフに、日本はアジアで酷いことをしたと言われた著者は、直ちに反論する。

 日本が韓国のインフラを整備したのは紛れもない事実だ。学校を建て、読み書き算盤を教えた。その証拠に、インドネシア進駐軍の司令官、今村均大将は寛大な統治方針で臨んだが、軍中央から「寛大にやり過ぎると朝鮮のように独立心ばかり旺盛になるから厳しくやれ」と命じられている。武力を背景に強引に合併に持ち込んだのは確かだし、それを面白く無いと思うのもまあ妥当なところだろう。が、事実を枉げてはならぬ。

 むしろ酷いのはアメリカによるフィリピン支配だ。独立を約束してスペインと戦わせながら、いざスペインが敗退すると即座に約束を破り、植民地支配に乗り出す。反対する者は殺された。しかも、彼らはインフラになど興味を持たなかった。インドネシアを支配したオランダも同じ。日本軍がインドネシアで捕虜になったオランダ軍兵士を「オランダ人がインドネシア人を捕らえるように作った」建物に収容したら人権無視だと激怒したという。おいおい、お前らこそなにやっとんじゃ!

 自らのことは棚に上げる傲慢な人の鼻をへし折ってやる姿は溜飲が下がる。困ったことに、この先制パンチに多くの日本人記者は仰るとおりと黙ってしまうそうである。勉強不足も甚だしい。

 これに始まり、中国や韓国に阿っているとしか思えない歪曲報道を舌鋒鋭く切って捨てる。

 というのなら格好良いのだけど、どうにも、こう、俺は正しくて他は間違っているんだ、という雰囲気が鼻につく。また、呆れるような話を紹介した後、「日本人ならそんなことはしない」と言うのだが、それって単なる全体主義でしょう?日本人にも高潔な人はいるし、ゲス野郎も居る。どこかの泣きながら記者会見した県議なんかはクズの中のクズだ。出張費に名を借りて公費を横領していたのだから。

 また、NHKを偏向していると批判する中で、荒川静香さんが金メダルをとった後、ウイニングランで日の丸を纏った姿を報道しなかったと鼻息荒く非難するが、政治アナリストの花岡信昭の記事これでいいのか? ブログ世界の理不尽な未成熟さによれば、下記のようだ。

 トリノ五輪ではTOBOという国際組織が共通映像を制作し、これを各国の放送局が受け、それぞれのアナウンサーや解説者の音声を乗せて放送している。日本の場合は、NHKと民放各社がJC(ジャパン・コンソーシアム)という統一組織を編成、女子フィギュアはNHKが中継を受け持っていた。

 NHKの担当者が「日の丸が映る。まずいから切り替えろ」とやったのではないというのである。


 確かに女性国際戦犯法廷を巡るゴタゴタで、NHKもどうにも弁護のしようのない姿を晒している。が、それはそれ、これはこれ。間違いは間違いだ。

 ともあれ、面白いところもあるけれども間違いもまた含まれていて、全体としてみたら余りレベルの高い本ではないと思われる。それでも、某新聞社(サンゴ礁を傷つけて日本人の精神の劣化を嘆いた「あの」新聞社ね)をこてんぱんにやっつけているところは面白かったので、そこだけでも興味がある人は読んでみたら良いかもしれない。

 そういえば、ジャーナリストの日垣隆さんがその新聞社に請われて定期的に良し悪しをチェックし、文章を載せようとしたら「何を書いてくれても良い」と言っていたのにアレは駄目だコレは駄目だ批判してくれるなと、実にお見事な姿を晒してくれたらしい。官僚化しすぎで困ったものだ。
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ノンフィクション | 2014/07/04(金) 19:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1479冊目 歴史の主役はみな病人―歴史を動かすもの、汝の名は病気なり
歴史の主役はみな病人―歴史を動かすもの、汝の名は病気なり歴史の主役はみな病人―歴史を動かすもの、汝の名は病気なり
(2013/10/30)
久次米 義敬

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評価:☆☆☆


 タイトルから『ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀』(小長谷 正明;中公新書)のようなものかと思って見てみると、"指導者の病、蔓延する病……これこそ歴史を動かす決定打ではないのか"とあって、歴史にも医学にも興味のある身としては読まずに居られぬと手に取ったのだが、ちょっと想像していたのとは違ったかな。

 本書は月刊誌『健康』で連載されていた記事を集めたものであるとのことで、短めの記事が沢山収められている形態。確かめずに読んだ私が悪いのだが、この手の面白そうなところを切り貼りした本は余り好きではない。知識はつながりが楽しいので、一つのテーマを掘り下げたり脇道にそれたところで思わぬ発見があるのが好きだ。一方で、雑学ネタは多いので、楽しめない訳ではない。

 さて、本書は7章からなっている。構成は以下。

第1章 歴史の主役はみな病人
第2章 病気こそ人類史の本質
第3章 食べて飲んで歴史を作る
第4章 病気よ、汝の名は人間なり
第5章 病気なくして芸術学問なし
第6章 インスリンは誰が発見……あまりにも人間的な
第7章 忘れられた国民病……鴎外さえいなければ

 おおぅ、ワタクシメが一番興味があったのはたった7分の1しか占めていない(笑)ついでに、やや看板に偽りありの感じがあって、第1章を例に取ると、ヤルタ会談の際のルーズベルトや明治・大正天皇、漱石、キューバ危機のケネディとフルシチョフ、ド・ゴール等の人物が取り上げられているが、"皆"というのはどうだろう?確かに彼らは現代史において大きな役割を果たしてきたわけだが、こうやって見ると重要人物のうち病人を取り出したように見えてしまう。

 むしろ、上述の『ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀』の方が、病気が彼らの行動や意思決定に及ぼした影響を探っており、面白いといえる。

 病気と人類史の関連であれば、天然痘は外していないが黒死病と恐れられたペストは無い。梅毒も触れられているけれども、こちらは『王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史』という抜群に面白い本があるので、ちょっと物足りない。ただ、アトピーや喘息の原因がゴキブリにある可能性を指摘しているのは意外だった。何たること。

 第5章の芸術との関連では、モネが晩年に書いた『睡蓮の池』は、白内障が進んだ人の目に映る世界をうまく表現しているとのことに加え、治療の発達に日本人が絡んでいることも教えてくれるのは嬉しい。

 最終章は脚気について。鴎外は脚気の原因を米食にあると認めず、結局日露戦争で兵士の多くは戦闘ではなく脚気で死んだ。ロシアの最高の味方は日本の食事だったと言っても過言はあるまい。それでも日本が勝ったのは僥倖であった。閑話休題、鴎外は現地の軍医部長という責任ある立場でありながら、海軍が既に禦ぐことに成功していた脚気をむしろ蔓延させた責任は逃れられないだろう。本書はこの経緯にかなり突っ込んだ調査をしているようで、本書全体としてもここが一番読み応えのあるパートだった。結果から言えば、鴎外の責任は免れないが、医学会の重鎮たちの総意でもあったため彼にだけ責任があるとは言えない、といったところのようだ。興味がある方は本書を読んで確かめて欲しい。

 このように、多くのネタが散りばめられているので、広く浅くが好きな方は楽しめると思う。興味を持ったら更に他の本に進めば良いわけだし。ただ、それにしては参考文献が載っていないのは残念だ。優れたノンフィクションには必須のものなので、その分評価は下げるしかあるまい。


関連書籍:
ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)
(1999/05)
小長谷 正明

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王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史
(2003/01)
ビルギット アダム

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ノンフィクション | 2014/07/03(木) 19:31 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1478冊目 三国志 第九巻
三国志 第九巻 (文春文庫)三国志 第九巻 (文春文庫)
(2013/10/10)
宮城谷 昌光

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評価:☆☆☆☆


 物語は終盤に入る。この時期の一番の見せ場は、なんと言っても諸葛孔明の北伐だ。

 蜀は険阻な地にある。桟道を焼き、関を閉ざせば、彼が生きている間は国を保てるだろう。しかしその後は?魏の国力は蜀の5倍近いのである。中原の政治的安定性が増せば、この差は広がる一方である。つまり、何もしないという選択肢は、滅亡への道を緩慢に歩み続けることに外ならないのだ。その現実を誰よりも深く知っていたのは孔明だったに違いない。

 劉備から受けた恩義に始まり、我が身も顧みず宿敵・魏を撃たんとする悲痛な叫びに満ちた出師の表を奉り、孔明は北伐を敢行する。「座して死を待つより、出て活路を見出さん」とのフレーズが、最もその心情を表しているだろう。

 あいやまてよ?南蛮攻略、超適当に流されてないですか?まず間違いなく呉が背後で蠢動しているところとか、半独立王国を築いていた士燮とその一族の物語とか、南方経営にあって優れた手腕を発揮した張嶷の活躍を楽しみにしていたのにぃ。馬超の孤独の中の死も。

 いや、気を取り直して。著者は、孔明の採った行動にかなり批判的である。戦略的になってない、戦術は酷い、所詮は白面の書生が机上で立てた作戦だと、かなりこてんぱんにやっつけている。確かに、そうした面はあろう。しかし、そもそも北伐の軍が壊滅すれば蜀は滅亡するのだ。畢竟、彼の狙いはローリスクハイリターンという、現実的には厳しい路線にならざるを得ない。

 魏延が子午谷を通って長駆長安を衝くべしと訴えたのを却下したのもその現れである。蜀を出て長安を目指すというのは、中原を奪うには唯一のルートである。凡そ400年前、高祖劉邦が漢中から関中を目指したルートそのものだ。秦の都咸陽は、後の長安のすぐ近くだったのだから。

 だから、孔明は東ではなく、西に向かった。涼州を抑えることで遥か西方との交易ルートを確保しようともしたのだろう。蜀の銅銭は有名だ(本作では触れられていないけど)。おまけに、長安に対して漢中からのルートに加えて涼州からのルートからも攻めこむことができるようになれば戦略の幅が広がるというものだ。

 惜しいかな、その大略も、馬謖が街亭で大敗することで砕け散る。戦国末期、秦の将軍白起が趙のボンクラ武将趙括を大破し、40万人を穴埋めにしたと言われる長平の戦いを彷彿とさせる流れだ。

 私としては、馬謖は敗戦後にこっそり逃亡しようとして捕らえられ、処刑されたという解釈を採っている(正史三国志にその説が載っている)ので、泣いて馬謖を斬るの故事に対する感じ方は著者とは異なるが。

 閑話休題、本書では第三次北伐までがメイン。その合間に、老害を示し始めた孫権の呉が語られる。まず記すべきは、孫権が皇帝を自称したことだろう。これでようやく、本来の意味での三国鼎立がなったわけだ。この時期の輝きといえば、周魴が偽降によって大司馬曹休を打ち破ったことくらいだろう。後は、遼東の奸雄公孫淵に良いようにあしらわれたり、東海に艦隊を派遣して失敗したりと、無残なものだ。尤も、この次の巻で語られるであろう二宮の変と比べたらまだマシな部類かも知れないが……。

 一方の魏は、曹丕の後を継いだ曹叡が意外な名君ぶりを見せる。合肥新城を築いて満寵という名臣を配したことが、遂に孫権の野望を打ち砕いたと言って良い。蜀と戦っていないからマイナーだが、彼はもっと注目されて然るべきだと思う。

 だが、そんな中にも後の災いの芽が育ちつつある。魏の軍事を背負って立っていた曹真が死に、曹爽が家を継ぐ。そして、蜀との戦いで司馬懿がいよいよ大活躍を見せるようになる。この後の、彼らの陰惨な戦いが繰り広げられることになるのだ――。

 正史ベースに独自の解釈を織り交ぜながら語っているので、見解が異なるところはどうしても生じるが、それにしても良く調べられたものだ。次巻も楽しみだ。
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その他小説 | 2014/07/01(火) 19:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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