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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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1298冊目 世界の食材探検術―比較食文化論 食糧・野菜編
世界の食材探検術―比較食文化論 食糧・野菜編世界の食材探検術―比較食文化論 食糧・野菜編
(1995/07)
吉村 作治

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評価:☆☆☆☆


 つい目に止まった文字列を眺めてみたら、吉村作治さんではありませんか。著者が吉村さんで比較食文化論なんてサブタイトルを見たら読まないわけには行かないでしょう?

 読んでみたらやっぱり面白い。食材がどのように世界に広まったか、それはつい先日読んだ『食の500年史』のメインテーマでもあったが、あちらは歴史に関心の中心があった。むしろ本書は、この美味しい食べ物はこうやって広まったんだよ、という気楽な楽しさに満ちている。

 タロイモや小麦、米、とうもろこし、じゃがいものように人類史で欠くべからざる働きをした食べ物もあれば、砂糖や香辛料や嗜好品のように歴史に大きな影響を与えたが栄養学的に不可欠ではないものもある。面白いことに、歴史の表層だけを追いかけていると後者が目立つようにみえることだろう。紅茶への課税がきっかけとなった独立戦争に見られるように。

 食材が広まった歴史は、将に人類の歴史。それなのに、正面切って歴史に向かい合うのではないというズレ方が素敵だ。また、タマネギやトマトやナス、大根といった身近な食材が取り上げられているのも嬉しい。

 加えて、吉村流料理術と称してレシピが載っているのが良い。読んでいて、著者が食べ物を喜びながら食べているのが分かる。食への愛情が、取り上げられる食材を更に美味しく見せてくれるのだ。ご馳走じゃなくていいから何か美味しいものを食べたいな、と思ってしまった。ついでに、たまにエジプト話が出てくるのも楽しい。古い本ではあるが読み物として面白かった。

 















関連書籍:
食の500年史食の500年史
(2011/02/25)
ジェフリー・M・ピルチャー

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ノンフィクション | 2013/10/31(木) 20:08 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1297冊目 魔法戦争
魔法戦争 (MF文庫J)魔法戦争 (MF文庫J)
(2011/11/23)
スズキ ヒサシ

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評価:☆


 ブクレコで知り合った方とオフ会をやってきました。"教授"との渾名を頂いているのだが、そこでNobuo Shimodaさんから「はい、教授にはラノベ」と渡して頂いた課題図書。実はワタクシ、子供の頃から本読みではあったのだけど、課題図書は嫌いだった。好きでもない本を読まなきゃいけないところが。そんなわけで、安心の低評価です(笑)

 正直、書くべきことが何もないくらいの出来で、最大の感想はこの人、このレベルの文章書いていてやっていけるのかなぁというものだったのですが、流石にそれでは手を抜き過ぎなので、手抜きレベルまでは書いておこうかなと。

 ええと、平凡な日常を送る高校生が突然トンでもない事件に巻き込まれるという、ラノベではよくある物語。魔法使い同士の戦いの巻き添えを食った挙句に自分まで魔法使いとなってしまうことで当事者へ変貌してしまう。

 で、幼なじみ(お約束!)と新たな刺客、じゃなかった、魔法使いとの間の微妙な三角関係。そして幼なじみはちょいとツンデレ風味。うん、お約束だ。炸裂するご都合主義。良いか、ラノベだからといって差別する気はないしファンタジーはファンタジーで良いけど、世界観はしっかり作っておけ!

 萌えとかツンデレとかの記号的なキャラに走る小説は私にはダメだ。粗製濫造で、これではラノベの市場自体も持たないよ。。。
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その他小説 | 2013/10/30(水) 19:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1296冊目 動物の言い分 人間の言い分
動物の言い分 人間の言い分 (角川oneテーマ21)動物の言い分 人間の言い分 (角川oneテーマ21)
(2001/05)
日高 敏隆

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評価:☆☆☆☆


 動物の行動を見ていると、どうして彼らはこのような振る舞いをするのだろうと思うことがある。勿論、それは人間側の勝手な思いであり、彼らには彼らなりに理由があるのだ。その理由を知るのは、やはり動物学者であろう。本書は動物学者でありかつ名エッセイストとしても知られた著者による、動物についてのエッセイ集。

 イヌやネコについてのエッセイ、それも自分が飼っている愛犬・愛猫についての愛と妄想溢れるものは沢山あるのだが、他の動物についてであったり科学的に正しい姿を追うエッセイは中々見られないので貴重だ。

 というわけで、本書で取り上げられている動物は実に多い。キリン、セイウチ、ヘビ、アリ、タコ等のなかなか取り上げられない動物の姿を面白く教えてくれるので、読み進めるのが楽しい。

 例えば、カエルはヘビをどう認識しているか?認識論というのは人ですら難しいのに、カエルのように言葉を持たない生物のそれをどうやって知れば良いだろう。それには、カエルの威嚇行動の観察が必要だ。カエルはヘビに出会うと、体を思い切り膨らませて自分を大きく見せて"お前には俺を飲み込む事なんて出来ないぞ"と示す。そこで、ヘビの絵を見せる。カエルが示威行動を取るギリギリまで絵を単純化させていく。

 明らかになった、カエルにとってのヘビの像はご想像できるだろうか?イメージとしてはこんな感じだ。

 ●

___


 カエルにとってはこれこそがヘビのイメージ。なぜ紐のように長くないのか?それは、ヘビがカエルに襲いかかる時には必ずトグロを巻いている。だから、その形を効率よく見分けるための進化なのである。

 このように面白い話題が山盛りで、読むのが本当に楽しいエッセイ。動物に関する軽い読み物でありながら、しっかり中身もあるというとても嬉しい1冊だ。
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エッセイ | 2013/10/28(月) 19:18 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1295冊目 食の500年史
食の500年史食の500年史
(2011/02/25)
ジェフリー・M・ピルチャー

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評価:☆☆☆


 ちょっと外国に行くと、帰国した後の日本食が本当に美味しい。特に、寿司や刺し身を食べると日本人でよかったとまで思ってしまう(笑)。外国に行かなくても同じ。ちょっと外食が続いて和食から遠ざかると、醤油の味が恋しくなる。舌は保守的なのだ。

 それは私だけではない。誰もが、そうした傾向を持っている。だから、人々の移動に伴って、食材や調理法も世界各地へ広まっていった。その最も顕著な例は新大陸由来のトマトやジャガイモであり、和食に欠かすことが出来ないコメである。

 本書はミネソタ大学の歴史学教授が、料理がこの500年でどのように世界へ広がっていったかを追っている。近代史における最悪の愚行の1つ(複数あるのが本当に嫌だが)、黒人奴隷制度にあっても、黒人たちは何とか自分たちのルーツの食事を守り通そうとした。それは食材面の制限から完全にオリジナルの再現にはならなかったが、一方で料理の変化に結びついた。

 同じことは、より豊かな生活を求めたり、出身地から逃れざるを得ずに外国へ移住した人々の間でも見られた。そうした人々はしばしば社会的に低い地位に甘んじるしか無かったため、料理も蔑まれる傾向があったのが、二世三世と社会に溶け込み、一部では高い地位に昇る人も現れると、料理の地位も向上する(高級感を感じるようになる)というのは面白い。

 こうした伝播によって、今では我々は大抵の国の料理を国内に居ながらにして楽しむことができる。カジュアルに美味しく楽しめるイタリア料理、フォーマルな場が似合うフランス料理、手っ取り早く満腹感は得られるアメリカ発祥のバーガーチェーン、多種多様な食材が魅力の中国料理、異国情緒溢れるトルコ料理、ETC……。

 いろいろな国にきちんと配慮されているのが良い。外国料理は舌に合わないこともあるが、著者はそれで評価を左右することは無いのは魅力。ただ、他の料理にも均等に目配りしようとする余りにちょっと贔屓の引き倒しになっている点もある。

 例えば中国料理のところで、南北朝時代に北朝が遊牧民の食生活を受け入れたとあるが、そもそも北朝が遊牧民の王朝なのだから彼らの料理が地域を広げただけの話であろう。それに新の王莽が暗殺されたとか書いているけど、あれは暗殺じゃあないだろ(笑)

 おまけに訳者が悪いのか、"殷の創設者はお抱えの料理人であった伊尹を宰相に任命し、彼が使っていた料理用の大なべを政府の重要なシンボルに掲げたという"って、その大なべが鼎であることは書いても良いんじゃない?。ついでに、殷の創始者が湯王であることに触れても良かったのではなかろうか。。。

 と、やや怪しげな記述はあるが、全体としては面白い話題であった。


関連書籍:
保存食品開発物語 (文春文庫)保存食品開発物語 (文春文庫)
(2001/11)
スー シェパード

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その他歴史 | 2013/10/27(日) 19:10 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1294冊目 カブトムシとクワガタの最新科学
カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)
(2012/06/29)
本郷儀人

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評価:☆☆☆☆


 昆虫界のヒーローは、何と言ってもカブトムシだろう。虫が苦手、という人でもカブトムシは平気であることだってある。ゴキブリともなると大騒ぎなのに。うちにも2人ほど該当者が居ます(笑)

 まず驚いたのが、カブトムシのあのツノが戦いに使われると判明したのが1970年台ということ。たった40年前のことではないですか!恐竜滅亡が巨大隕石の衝突によるものという説と同じくらいの歴史しか無いというのは、ちょっと不思議だ。

 武器ともなれば、大きいほど強くなるはずだ。だとすれば、ツノが大きい個体ほど子孫を残しやすいだろう。そうして見てみると、やはりその傾向はあるらしい。ところがここからが面白い。なんと、体が大きくツノが小さい個体と、ツノが大きくて体が小さい個体にパターンが分かれるらしい。何故か?

 多くの野生動物がオス同士で争うが、取っ組み合いの喧嘩にはなかなかならない。何らかのディスプレイで勝敗が決する。カブトムシも同じで、どうやらツノのサイズでその判断をしているそうなのだ。だから、前哨戦で勝つか、本戦で勝つか、どちらを有利にするかで成長戦略が異なるという。

 他にもメスとの邂逅と交尾も面白い。ひたすらじらすメス、それを何とか交尾に持ち込むオス。ところが、応じてくれたメスを、行為が終わったオスはあっけらかんと餌場から追い出してしまうという。オスとメスの性戦略の違いだが、何とも割り切れない感じだ(笑)

 そして、クワガタについて触れられているのも良い。昆虫界の二大ヒーローを一冊で楽しめる豪華仕様ではありませんか。

 クワガタでは、関西でミヤマクワガタが減ってノコギリクワガタが増えているように見える背景として、両者の戦い方の違いがあることを示してくれている。また、あの立派なハサミがあるにも関わらず、なんとカブトムシのメスにも餌場争いで敗北するというのだから、カブトムシは強いのであるなぁと改めて思う。

 カブトムシ、クワガタの戦いの取組み結果を何百も集めての解析というのだから、かかった時間はかなりのものであろう。その成果がこうして簡単に読める新書で得られるのは有難い。昆虫好きにはオススメの一冊。

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生物・遺伝・病原体 | 2013/10/26(土) 19:16 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1293冊目 寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち
寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち (飛鳥新社ポピュラーサイエンス)寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち (飛鳥新社ポピュラーサイエンス)
(2013/08/10)
公益財団法人 目黒寄生虫館

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評価:☆☆☆☆


 そこに行けば多くの寄生蟲がいると言うよ。誰もみな行きたがらないが貴重な世界。その地の名は目黒寄生虫館。本書は、"世界でただ一冊の寄生虫のビジュアルブック"を名乗る本である。

 寄生虫とは不思議な生き物だ。彼らの先祖は独立した生計を営む生物だったはずなのに、他の生物の体内に潜り込み、免疫等の抵抗を掻い潜って生き続ける。酷い場合には宿主に死をもたらして。彼らは、人をも狙っている。例えばマラリアは現在も人類最大の問題である。

 本書では多くの寄生虫を取り上げ、彼らがどのような環境で、どうやって生きているかを解説してくれている。

 サナダムシ、ギョウチュウ、カイチュウといった有名どころ、マラリアやツェツェバエが媒介する致死的な眠り病の原因であるガンビアトリパノソーマの姿もある。あるいは、漢方薬として使われる冬虫夏草や、世界最大の花であるラフレシア(花粉の媒介にハエを使うので、とても臭いらしい)も。そして、日本でも多くの死者を出していた日本住血吸虫にも多くのページが割かれている。

 特におぞましい思いをさせられるのは、他の生物を体内から食い尽くす種であろう。本書ではゴキブリの天敵であるエメラルドゴキブリバチが取り上げられているが、コヤツはゴキブリを刺して大人しくさせると巣穴に引きずり込み、その体に卵を産み付ける。孵化した幼虫は、行きたままのゴキブリを貪り食って成長するのだ。狩り蜂にしばしば見られる生態ではあるが、こんな話を聞くと我らが天敵Gにも同情する気持ちが湧いてくる。とか言いつつ、部屋に出たら毒ガス戦で殲滅するのだけど(笑)

 生活環の複雑さ、不思議さで言えば日本住血吸虫も捨て難い。この凶悪な寄生虫は人間を最終宿主とするが、中間宿主はミヤイリガイである。生活環の特定の時期に、特定の宿主の中に居なければ成長できない。そんな幸運を掴めるのは(寄生された人には大変な不幸に遭遇するのは)、確率的には極めて低い。だから、彼らは猛烈な数の卵を生む。それが体内に出るために血管を傷つけるのだ。

 こうした寄生虫病と戦うためにこそ、寄生虫博物館は存在する。敵を知り己を知れば百戦危うからずと言うが、そのための貴重な最前線、寄生虫の本拠へ攻め込むための貴重な橋頭堡と言えよう。疫病を制圧する営みに興味が有る方は読んでみては如何だろうか。

 尚、本年は日本住血吸虫の中間宿主がミヤイリガイであることが発見されて100年に当たる年だという。日本は唯一この寄生虫を排除した国だ。その成果を、是非とも他国のためにも役立ててほしい。それこそ意義のある国際協力だと思う。



 本書はブクレコの輝ける星、樽井さんのレビューで知りました。ありがとうございます。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/10/25(金) 19:43 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1292冊目 フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験
フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験フーコーの振り子―科学を勝利に導いた世紀の大実験
(2005/10)
アミール・D. アクゼル

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評価:☆☆☆☆


 かのガリレオ・ガリレイは宗教裁判にかけられ、地球の周りを太陽が回っているという教会が認める概念を受け入れざるをえない立場に追いやられた。その無念さを慮った人が、ガリレオが「それでも地球は回っている」と呟いたという話を作り上げたのは無理もないことであろう。だが、それでもジョルダーノ・ブルーノよりはマシだと言わねばならない。なにせ、彼は異端の罪で生きながら焼かれたのである。

 地球が太陽の周りを回っているという事実が世に受け入れられるようになるまで、多くの苦痛があったのだ。何故か?それは、地球が回っているという確たる証拠が存在しなかったからだ。は精々、他の惑星の謎めいた逆行からの推論が正しさへの道につながっていた。そう。かの有名な、フーコーの振り子の実験までは。

 本書は、地球の自転を鮮やかに示したフーコーの生涯に迫るノンフィクションである。物語は振り子を作り上げるところから始まり、時を遡る形で過去のフーコーの研究と、その後の生涯を描く。

 驚くべきなのは、フーコーが実に多彩な才能を発揮していたこと。写真術や通信でも多大な功績を上げていたとは知らなかった。

 それなのに、彼は不遇だった。それは、彼が科学の専門家として認められていなかったからだ。その偉大な功績を思えば、科学界が示した度量の狭さには呆れるばかりである。彼らの姿は真理の探究者等ではなく、既得権益にしがみつく排他的な特権階級のそれに見える。皮肉なことに、元々は彼らが教会に独占されていた知を人の手に取り戻す原動力なった、言わば反動的な存在だったというのに。

 ともあれ、フーコーの活躍は、人々が持つ宇宙へのイメージを永久に変えることに成功した。そのことに興味を持つ1人の人物が、フーコーの不遇な生涯を一変させる。その人物こそ怪帝・ナポレオン3世である(彼に関しては鹿島茂さんによる素晴らしい評伝『怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史』を強くお勧めします)。

 画期的な実験、不遇からの起死回生の抜擢、そして速すぎる死。どれもドラマチックで、とても面白い評伝になっている。しかも、科学関係の本では定評のあるアミール・D・アクゼルさんが著者なので、調べは十分。子午線計測(こちらに関しては『万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測』がお勧め)等の脇道にそれながら知の世界を広げてくれるのが素晴らしい。

 科学史や天文学史に興味が有る方にはお勧めです。

関連書籍:
怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)
(2010/10/13)
鹿島 茂

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万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測
(2006/03/23)
ケン オールダー

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科学者 | 2013/10/24(木) 19:40 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1291冊目 謎解き 超常現象
謎解き 超常現象謎解き 超常現象
(2009/04/14)
ASIOS

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評価:☆☆☆☆


 宇宙人がUFOに乗って地球にやってきている、FBIは超能力者を捜査に協力させていて恐るべき的中率を誇る者もいる、死後には霊魂の世界があってそれが写真に写ることがある、等々のいかがわしい話を聞いたことが無い、という人はむしろ珍しいだろう。

 だが、この手の話のほとんど全て、お前たちのやっていることはただのトリックで、その不正は全部全てまるっとお見通しである。残念なことに、テレビはこうしたオカルトを面白おかしく放送するばかりで、懐疑的な視点はほとんど見られない。そうしてオカルトは世を跋扈することになる。

 本書ではそうしたオカルト情報がどれほどイイカゲンな代物を明かしている。

 ムーやアトランティス、オオカミ少年、ロズウェル事件、ファフロッキーズ、ロズウェル事件、宇宙人解剖フィルム、メン・イン・ブラック、フィラデルフィア実験、911陰謀説、水晶のドクロ、地震雲といった有名どころが多く取り上げられており、網羅とまでは行かないにしてもかなりのオカルト分野を押さえることができるのは魅力。

 テレビを意識してか、FBIに協力したとされるジョー・マクモニーグル、X線の目を持つというロシアの美少女ナターシャ・デムキナ、的中率9割を誇るゲイル・セントジョーン等も検証されている。実際の彼らの実力が失笑モノなのはまあ良いとしても、テレビ局の捏造・歪曲は本当に酷い。彼らは自分たちが生み出したオウムのあの痛みを全く慮ってなどいないのだ。恐ろしいほどの反知性主義にゾッとする。

 アトランティスの項目の結び"本気でロマンを求めるなら、原典すら読まず、これまでの調査の結果判明している多くの事実を無視したり、都合のいい部分だけを切り貼りするような行為はやめるべきだ"というのは同感。

 こうした誤りにしがみつかないと不思議を維持できないのかもしれないが、そんなものは不思議でもなんでもない。ただの妄想だ。

 ロマンやら夢やらの前に、まずは正しい知識を得るべきだ。そして、その中にだってロマンや夢はいくらでもある。そちらにこそ、もっと光を当てて欲しいものだ。視聴者の愚かさにつけ込むのではなく。
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ノンフィクション | 2013/10/22(火) 19:13 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1290冊目 宋の検屍官―中国法医学事件簿
宋の検屍官―中国法医学事件簿宋の検屍官―中国法医学事件簿
(1999/09)
川田 弥一郎

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評価:☆☆☆


 まさかの中国宋代を舞台にした、検死官が主役のミステリ。一体どうなっているのかと思って読み始めたら、なんと宋代では既に検死が行われていたということで驚いた。但し、外科的な手法は存在しなかったし、検死に医者が関与することもなかったので限界はあったようだが。

 閑話休題、往時きっての文化人として知られる徽宗の御世、首都開封と蘇州で活躍する検死官・方淵之が主人公。まずは雑劇の人気女優の死体が発見された事件。続いて、女性が梁に吊られて死んでいた事件がありと、7件の事件の謎を追うもの。

 杵作という実際の検死を行う人物からの情報を元に複雑怪奇な事件を解き明かすのだが、検死官が誤った推測をして、それを主人公が推理を重ねて真相に迫っていくので、杵作が哀れになってくる。まるでホームズシリーズのレストレード警部やポワロシリーズのジャップ刑事のようだ^^;

 手法的に限界がある中で、それでもなんとか死体から死因を読み取ろうとするところが面白い。中には白骨死体の検分もあって、海外ドラマのBonesみたいだった。ミステリ好きは楽しめるのではないか。

 それにしてもよく調べられている雰囲気を感じる。捜査手法もそうだし、身につけているものやら風俗やらが、いかにもそれっぽい(当方はその記述の正しさを判断するだけの知識を持たないので本当に正しいかどうかは疑問だが^^;)。それなのに、自然と読めるあたりはお見事であった。
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推理小説 | 2013/10/21(月) 20:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1289冊目 なぜ人はキスをするのか?
なぜ人はキスをするのか?なぜ人はキスをするのか?
(2011/04/19)
シェリル・カーシェンバウム

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評価:☆☆☆


 キスか……。何もかもみな懐かしい。ああいや、自分のことじゃなかった。

 男女の交際において少なからぬ重みを持つ、キス。唇と唇を重ねる行為は、西洋文明が地上を覆うのに伴い世界中に広まっている。しかし、キス的な行為であれば、人々が文明化する遥か以前から行われていた。それがどこまで古く遡れるのかと言えば、ボノボという人間に近縁な霊長類を見れば分かる。彼ら・彼女らはコミュニケーションとしてセックスをすることで知られるが、キスを行うことでもまた有名だったりするのだ。

 では、どうして人はキス、あるいはキス的な行動を取るのか?本書はその謎に迫ろうとする意欲作。

 ぱっと思いつくのは、有名なTシャツの実験(女性にいろいろな男性が着たシャツの匂いを嗅がせて好感度を聞くと、女性は免疫タイプの異なる男性のシャツを好ましいと判断したというもの)。意識に上るかどうかは別に、男女とも相手との相性を判断しているのかもしれない。

 そんなことを考えながら読み始めたら、実に広くキスについて調べられていることが判明。キスの起源や、世界の文化におけるキス、男女におけるキスの考え方の違い、果てはキスを見ている時の脳の反応に至るまで、本当に色々な点からキスを考察している。そして、免疫タイプについての仮説もやっぱりありました。

 ハッキリと答えの出ている問題は少ないが、それでもこの魅力的な行為の裏にどのような利点があるのかは感じることが出来た。キスの写真での反応では、異性間のものより同性間のものに脳が素早く反応するという意外な結果が得られたことのように、続報が気になることもあるので、男女の性戦略に関する分野で続報を見ることができると良いなぁ。
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その他科学 | 2013/10/20(日) 19:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1287冊目 & 1288冊目 昨日までの世界 上下
昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来
(2013/02/26)
ジャレド・ダイアモンド

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昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来
(2013/02/26)
ジャレド・ダイアモンド

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評価:☆☆☆☆☆


 職場から知らない人だらけの電車に揺られて家に帰る。取り敢えずPCをつけてSNSでもチェックして、ご飯を食べて、だらだらと本を読んでいるうちに気がついたら落ちている。日常ありふれた光景だ。しかし、地質学的に言うところの昨日までの世界、つまり、文明化する前の世界ではそれらは当たり前のことではなかった。

 当たり前だ、電気もインターネットも電車もあるわけ無いだろうと思われるかもしれない。しかし、もっと違うところがある。それは、我々が知らない人に囲まれていても、特にマイナスの感情を抱かないところだ。人混みを不快だと思う気持ちはあるかも知れないが。

 昨日までの世界では、人が知っているのは同じコミュニティに属している親しい者か、敵か、いずれかだ。そうではなくなったのは、せいぜいここ最近の7500年、農耕文明が興ってからのことに過ぎない。

 本書は『文庫 銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』で一世を風靡したジャレド・ダイアモンドが、農耕化文明が生まれる前の人類社会はどのようなものだったかを解き明かす大作である。

 昨日までの社会はユートピアではなかったことがよく分かる。

 何故ユートピアではなかったか?究極的には、それは安定した食料供給が得られないことに帰する。それは必然的に予期せぬ天候不順による飢餓と、栄養失調に伴う感染症による死を意味するわけだ。当然、弱い人間から死んでいく。今の世にあっても、文明化していない社会においては乳幼児の死亡率は極めて高い。それに加え、老人に対しても厳しい社会が多い。その最たるものは老人を殺してしまう社会である。

 一方で、人間関係は旧来の社会のほうが濃密で豊かである(個人的には、そういう濃密な社会は苦手だが)。先進国では忘れ去られたような感染症がしばしば死を招く一方で、糖尿病のような病は存在しない。

 となると、素晴らしいのは先進国と昨日までの社会との良いとこ取りをすることではなかろうか?

 昨日までの社会がどれほど過酷なものなのかを説いた後、著者はそうした視点から先進社会の良い所を認めようとする。裁判にしてもそうだ。昨日までの社会では、裁判によって人間関係を断絶させることは、小さなコミュニティの破壊を招きかねない。だから、人間関係の修復に力が注がれる。それは見習う価値のあるものかもしれない。

 鳥類学者として長年パプアニューギニアの先住民と行動を共にした著者だからこそ持ちえる説得力に、ついつい引きこまれてしまう。著者は昨日までの世界の持つ魅力も大いに語っているが、それでもやはり今の文明化した世界に生まれたことが嬉しくなる。その文明化した世界をより良いものにするのに、もしかしたら昨日までの世界のあり方は力を貸してくれるかもしれない。そう考えるとワクワクする。
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ノンフィクション | 2013/10/18(金) 23:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1285冊目 & 1286冊目 エージェント6
エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫)エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫)
(2011/08/28)
トム・ロブ スミス

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エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)
(2011/08/28)
トム・ロブ スミス

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評価:☆☆☆☆


 『チャイルド44』、『グラーグ57』に続く、レオ・デミドフを主人公に据えたミステリ第三弾。

 『チャイルド44』ではレーニンが作り上げた悪名高いチェーカーの有能な捜査官だったレオはアンドレイ・チカチーロをモデルにした連続殺人犯を追う過程でチェーカーに失望、『グラーグ57』では警察官となっていた。そこでチェキスト時代の過去に苦しめられ、警察も辞める。そして今、彼は小さな工場の工場長だ。

 物語は、レオが最愛の伴侶を得るきっかけとなる出来事で始まる。同じバスに乗り合わせた美女。彼女に声をかけたのが全ての始まりだった。2人を近づけたのは、アメリカの有名な黒人歌手で共産主義者であるジェシー・オースティンが訪ソしたことだった。

 時は流れる。レオとライーサは結婚し、仲睦まじい夫婦となっていた。2人の養女と共に、彼女たちがレオの生きる理由になっていた。ライーサは当初、チェキストである夫を毛嫌いしながらも自分が生き残るために現実に妥協しただけだったのに。

 そんな妻が2人の養女を連れてアメリカへ向かうことになる。国連施設で、子どもたちの合唱コンクールが開かれることになったのだ。

 連帯に善意を見出す人が居る。そして同時に、陰謀を巡らす機会とする者も。イベントで何か血なまぐさい事件が起こることは、物語の雰囲気から明らかである。では何が起こるのか?陰謀を企む者は、何を意図しているのか?

 そして当日、それは起こる。それは、豊かではないが安寧に包まれたレオの生活を一変させるものだ。それがH上巻。下巻でレオは事件の真相に迫ろうと奮闘することになる。

 このシリーズの魅力を高めているのは、次々と事件が起こってレオが窮地に立たされ続けるので、ぐいぐいと物語に引き込まれるところ。読むのを止めるタイミングが掴めないほどだ。

 加えて、ソ連が歩んだ過酷な歴史が背後にあることも特筆すべきだろう。『チャイルド44』ではそれが恐怖政治であり、『グラーグ57』ではハンガリー動乱だった。そして今作ではアフガン侵攻が絡む。ミステリ好きにもノンフィクション好きにも訴求する、つまり私のような者には垂涎の作品。

 ネタバレにならないように核心を書くことはしないので、興味がわいたら読んでみてほしい。


関連書籍:
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
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グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
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推理小説 | 2013/10/11(金) 19:42 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1284冊目 謎解きはディナーのあとで 2
謎解きはディナーのあとで 2謎解きはディナーのあとで 2
(2011/11/10)
東川 篤哉

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評価:☆☆


 暴言執事の活躍するユーモアミステリ第二弾。

 刑事であるお嬢様に仕えながら、平然と「お嬢様。いくらなんでも予断と偏見が刑事失格レベルでございます」等と放言する。態度は慇懃だが、言葉はとても執事とは思えない。そのギャップが楽しい。

 相変わらず、トリックだけはしっかりしているがキャラクター造形の深みは全く感じさせないまま軽いノリで進む物語だ。風祭モーターズ御曹司の上司は相変わらずいやらしい自慢話を繰り広げながらヒロインに纏わりつき、そしてセレブとしては遥かに格下な彼にヒロインは黙って耐える。彼女は同時に執事の暴言にも我慢しているので、一番かわいそうなのは彼女とも言える。

 というわけで、お約束通りに厄介な事件に頭を悩ませているところを、まずは執事がコケにして、そして語り始める事件の真相。コケにされながらも頼るしか無いお嬢様、それで日本の安全は大丈夫ですか(笑)

 安楽椅子探偵モノに付き物の強引さはまあ良いとして、できれば地の文はおちゃらけないで欲しいなぁ。ユーモアを出そうとする余りにちょっと空回りが感じされるのが残念。まあそれでも、それなりに楽しく読めたから良しとしよう。
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推理小説 | 2013/10/08(火) 19:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1283冊目 リスクとの遭遇
リスクとの遭遇 (日経プレミア)リスクとの遭遇 (日経プレミア)
(2013/05/09)
植村 修一

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評価:☆☆☆☆


 リスクは、どれほど気をつけても決してゼロにはならない。最も安全な交通手段である飛行機でさえ、極めて稀に事故を起こす。しかし、どういうわけか人は飛行機に乗るときには墜落のリスクを過大に気にし、それより遥かに危険な自動車に乗る時には安全だと思い込む。

 本書は日常に潜む様々なリスクを顕在化させ、しっかり認識するためにどのような心構えが必要かを論じている。読み物として面白くさせているのは、1つには紹介したばかりの『錯覚の科学』をはじめ、色々な本から面白い研究を引用していること。そしてもう1つは、歴史コラムとして、多くの歴史上のリスク管理失敗事例を取り上げていること。

 広い分野からのトピックが取り上げられているので、贅沢感がある。ただ、もうすでに丁寧な検証によって否定されている、カマキリが降雪量を予想して産卵する高さを変えるという話を取り上げるのはいかがなものかという気がするが。

 もう1つの歴史コラムが面白い!トロイの木馬、吉良邸討ち入り、アレクサンドロスの陣頭指揮、頼朝の伊豆配流、ポンペイの悲劇、赤壁の戦い、元寇、ナポレオンとヒトラーを滅亡に追いやった冬将軍、生麦事件等々。見て分かる通り、実に色々な地域・時代からトピックを持ってきているので、日本史でも世界史も世界史に興味がある方は楽しめること請け合い。

 リスクの見積もりを誤ったことによる想定外の事象についても述べているが、これは福島の原発事故とその後の悲惨な対応を見ている我々には身につまされる点もある。一般人にとって放射線のリスクもほぼ完全にゼロなのにもかかわらず、他にもっと喫緊の課題があるのを無視して除染に当たるという愚かしい行為も、リスクの見積もりの誤りであると言える。ついでに、東電のように何時までも凝りずに隠蔽を繰り返す体質は、もう経営陣を一掃するとか客観性を担保するための強力な外部監視機関を設ける等の対応が必要じゃないかなぁ。そうしないとそれこそまたまた"想定外"の悲惨な話が出てきそうだ。

 リスクをきちんと評価し、それに備える大切さを考えるには格好の本ではないだろうか。話題が豊富なので読んでいて楽しいところも嬉しい。一読をお勧めします。
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ノンフィクション | 2013/10/07(月) 19:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1282 冊目 錯覚の科学
錯覚の科学錯覚の科学
(2011/02/04)
クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ 他

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評価:☆☆☆☆☆


 2004年のノーベル賞、じゃなかった、イグ・ノーベル賞で、心理学症に選ばれた画期的な研究がある。というよりも、ある実験と言うべきか。

 その実験は、バスケットボールの映像を見せて、白のユニフォームを着た人のパスの数を数えなさいという課題を与える。しかし、その真の狙いはパスの回数を数えさせることそのものではない。なんと、その映像の中にゴリラの着包みを纏った女性が現れ、胸を叩いて画面の外に去っていくのをきちんと把握できるかどうか、だ。

 あなたはゴリラに気づくと思いますか?と聞かれれば誰もが、自分ならそんな明らかな異常を見逃すはずがないと答えるだろう。しかし、実際にはおよそ半数の被験者がゴリラを見逃していた!ゴリラの実験として有名となったこの実験により、人が何かに熱中している時には、眼の前にある明らかな異常にすら見逃しがちであることを明らかにしたものだった。

 著者の2人はこのゴリラの実験がイグ・ノーベル賞に輝いてすっかり有名となったのだが、この実験で見られた錯覚を更に広げ、人間の認識には実態と大きな乖離があることを示すことになる。本書はそうした錯覚についての集大成と言って良いだろう。

 本書にはゴリラの実験と同様に、驚くべきことが幾つも載っている。

 自分を強姦した犯人を必ず見分けようと必死にその特徴を覚えた女性が自信たっぷりに指し示したのは別人だった。しかも、陪審員は彼女の自信を見て完璧な証言だと判断、斯くして無実の男性は残りの生涯を刑務所で送る羽目になった。彼が無実を晴らすことが出来たのは、別の男が犯人だと自白し、そのDNAサンプルが被害者から得られたものと一致したからだ。この科学的な証拠が無ければ、彼はまず間違いなく刑務所で人生を終えただろう。

 我々が持つ、自信たっぷりな人にはそれだけの根拠があるというのは錯覚にすぎないのだ。また、ドライブ中に犯罪現場を目撃した2人の人物は、それぞれ証言が食い違う。些細な事だけではない。決定的なシーンまでもが食い違うのだ。証言は、安易に信じるべきではない。

 認識の誤りは、人類の先祖が統計だの確率だのを気にする必要のない人生を送っていたことによる。ある出来事が別の出来事の前に起これば、それは関係があるように思えてしまうような。

 そうした誤りのうち、最悪に属するものの1つが、予防接種が自閉症の原因になるという説だ。全くの誤りであるこの誤解によって、多くの子供達がしばしば致死的な伝染病に罹患するリスクを高めている。彼らは子供を守ると主張しながら逆に子供を危険に晒しているのである。

 記憶もそうだ。世界に大きな衝撃を与えた、例えば911のようなニュースが流れたとき貴方は何をしていますかという質問は、その直後に聞いた時と時間を置いて聞いた時とで答えが違う。しかも、人はしばしば、後の方の記憶を正しいと思い込む。そんなはずなんて無いのに。

 本書は、人がこうした誤りを犯す生き物であるということを繰り返し実証してくれる。誤りを犯した人が特殊なのではない。誰もがそうなのだ。自覚はないだろうが。

 自分の記憶ですらあてにならない、マルチタスクなんてできないということをしっかり認識するのは、悪いことではないと思う。それは具体的には携帯電話で話しながらの運転が危険であるから避ける、といったように、自分の限界を理解してより安全側に行動をシフトさせることになるかもしれないから。人間の持つ能力の限界と自信過剰に気づかせてくれる貴重な書であり、しかも読んでいて面白い。多くの人に読んでもらいたい1冊。
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医学・脳・精神・心理 | 2013/10/05(土) 11:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1281冊目 犬とぼくの微妙な関係
犬とぼくの微妙な関係犬とぼくの微妙な関係
(2012/12/28)
日高敏隆

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評価:☆☆☆☆


 動物行動学者として、また、エッセイの名手として知られた著者が色々なところで発表した文章を集めたもの。一貫しているのは、生物の持つ魅力、凄さに素直に心打たれ、それを世に伝えようとする熱意であろうか。

 表題作の犬との関係については、著者は犬に噛まれてからずっと犬が苦手で猫と暮らしてきたのだが、そうした暮らしの中から見えてきた犬と猫の違いと、それをもたらした進化の妙について。犬が人間に従うのは、狼だった時代に群れのリーダーに絶対服従していたのが起源というのは知られているだろうが、猫が人間の言うことなどちっとも聞かず自由に振る舞うのは子猫が母猫に対して振る舞うのと同じと指摘されると面白い。

 そして何より、動物行動学が解き明かしてきた性戦略の面白さについて、具体的な例を数多く織り交ぜながら紹介してくれるのが嬉しい。ミツバチが自分で子を生まず、妹達を育てることのメリットはもう知られているだろうが、交尾した相手の生殖器を固めてしまうチョウや、確実に自分の精子で受精した卵を生ませようとメスをがっちりホールドしたまま産卵に適した地を探すトンボは実に興味深い存在だ。

 必死に自分の子孫を残そうとする生物たちの姿は微笑ましくも有り必死さに心打たれもしで、面白かった。動物と学習から人間の教育方法について疑義を呈するところも。こなれた文章で読みづらいところは全く無いので、生物に興味がある方にはお勧めできる。

 ただ、同じ話が何度も繰り返されるのは感心しない。何種かの雑誌に載せた短文を寄せ集めたものであることと、著者がお亡くなりになっていることを考えれば多少は仕方のない点はあるかも知れないが、それなら編集の段階で極力内容が被らないようにするとくらいの手はあったと思う。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/10/01(火) 19:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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