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Author:Skywriter
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お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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1280冊目 ルワンダ中央銀行総裁日記
ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)
(2009/11)
服部 正也

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評価:☆☆☆☆


 ルワンダと言えば、1994年のルワンダ・ブルンジ両大統領暗殺事件を機に勃発したルワンダ虐殺がすぐに頭に浮かぶ。わずか3ヶ月余りという短期間に、国民の1割が虐殺されるという、恐るべき事件である。

 その印象が余りに強すぎ、失敗国家としてのイメージが頭にあった。『ブラックホーク・ダウン』で描かれた、失敗国家としてのそれだ。

 そんなルワンダが独立して間もない頃、国際通貨基金(IMF)の要請を請け、ルワンダの中央銀行へ総裁として赴任した日本人が居たことを、私は全く知らなかった。『アフリカ 苦悩する大陸』を読んでアフリカへ興味を感じていなければ、あるいは本書のタイトルを見ても何も感じることがないまま素通りしていたかもしれない。

 軽い驚きと共に読み始め、驚いたのが、独立当時のルワンダが、新興国としての希望と熱意に満ちた国だったことだ。確かに、高学歴の人材は居ない。それは、技術や事務能力の高い人間が居ないこと、管理職になれる人材に欠けることを意味する。だからこそ、著者のような方々が援助に行く必要があったのだ。

 著者は着任するや、備品すらろくに無いところで仕事を始める。

 読んでいて、著者の恐るべき有能さに戦慄した。細かいところまで目が届くこと。ルワンダの人々と対等に付きあおうとするその姿勢。そして、やると決めたことに対して徹底的にやりぬく迫力。

 当初5ヶ月の予定は、こうした彼の能力と人格を見込んだ大統領らの遺留にあって、結局6年に渡ることになる。

 その間の経緯をまとめたのが本書であり、希望に満ちた国が新たなる道を拓こうとする姿が克明に書かれている。多くの独立国では、権力を握った人物が私腹を肥やし、国民は窮乏状態に置かれるといったことがしばしば見られるが、ルワンダは違う。大統領も大臣も、農民の生活をいかに安んじるかに心を砕くのである。だからこそ、著者がその路線にそって助言したことは、彼らの熱心な賛同を得ることになる。

 手腕の見事さと、どんなことでも極力平易に噛み砕いて説明してくれる文章のお陰で、経済には完全な門外漢たる私にも実に分かりやすく読み進めることが出来た。このような人物が居たことを嬉しく思う。そして、それだけに後の悲劇が悲しくなってしまった。

 扱っている時期は古いかもしれないが、埋もれさせるのは勿体無い書である。これが2009年に増補版として世に残ったことを嘉すべきと感じさせてくれた。

 尚、ルワンダは虐殺事件を乗り越えて、復興を遂げつつある、という。本書において、随所で著者はルワンダの人々の熱心さを褒めている。それが贔屓目ではなかったことを感じさせてくれる話だ。彼の国は未だ開発独裁の段階にはあるようだが、上手いこと発展していってほしいものだ。それこそが悲劇を乗り越える唯一の方法だろうから。


関連書籍:
ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
(2002/03)
マーク ボウデン

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ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
(2002/03)
マーク ボウデン

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アフリカ 苦悩する大陸アフリカ 苦悩する大陸
(2008/05)
ロバート ゲスト

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ノンフィクション | 2013/09/30(月) 19:30 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1279冊目 サボテンと捕虫網―ソノーラ砂漠のフィールドノート
サボテンと捕虫網―ソノーラ砂漠のフィールドノートサボテンと捕虫網―ソノーラ砂漠のフィールドノート
(1988/08)
ジョン アルコック

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評価:☆☆☆☆


 アメリカからメキシコにかけて広がるソノーラ砂漠。そこは、砂漠と聞いて思い浮かべるような不毛の地ではなく、過酷な環境に対しても見事に適応した多くの生物が生きる大地である。

 本書はソノーラ砂漠でのフィールドワークをまとめたもの。我々にとって過酷なのは冬であり、この時期を乗り越えるために食料を確保するのに苦心してきたわけだが(その様子は『保存食品開発物語』に詳しい)、砂漠では最も過酷なのは夏である。

 夏の前、数少ない降雨の機会をとらえ、植物が一度に芽吹く。なにせ、その時に得られた水で成長し、子孫を残さなければならないのだ。その植物を糧にする動物たちもまた、活発に動き始める。各種のトカゲ、チョウ、ヘビ、昆虫、鳥、そして小型哺乳類。

 思った以上に様々な生き物がそこで生を育んでいる。繁殖を遂げるために、なんとか縄張りを死守しようとする雄の努力に目を見張り、暑さと乾燥に適応できたことの凄さを実感できる。

 しかし、適応したと言っても、自ずと限界がある。

 サボテンは、成長速度が極めて遅く、なんとか生き延びるために水分蒸発を防ぐワックスを表面に発達させる。子孫を残すために、凄まじい数の種を撒き散らす。しかし、それらのほとんどは、別の生き物の胃に収まってしまうのだ。多くの偶然をくぐり抜けた種だけが芽吹くことが出来、そして更に試練を乗り越えた個体だけが成熟し、次世代へと命をつなぐ。そんなサボテンを、遊び半分で銃撃する人がいるというのは情けない話だ。

 砂漠の、想像以上に豊かな生物の世界を上手に伝えてくれるのが魅力。あの針だらけのサボテンにも、感情を通わすことなどできないであろう昆虫や爬虫類にも、気づけば頑張れとエールを送りたくなる。極地といえばついつい寒い方ばかりに注目していたが、砂漠という極地への興味をかきたててくれたことに感謝。


関連書籍:
保存食品開発物語 (文春文庫)保存食品開発物語 (文春文庫)
(2001/11)
スー シェパード

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生物・遺伝・病原体 | 2013/09/28(土) 23:29 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1278冊目 沖縄幻想
沖縄幻想 (新書y 219)沖縄幻想 (新書y 219)
(2009/07/04)
奥野 修司

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評価:☆☆☆


 沖縄にはどのようなイメージが有るだろうか?豊かな自然?長寿?南国情緒?あるいはゴーヤやミミガーといった、普段とは違う食べ物?あるいは、基地問題を巡る厄介な問題?

 そのどれもが、実は単純な問題ではない。

 例えば風光明媚な自然と思われるもの。その少なからずが無残にも破壊されていっている。基地の移転のため?違う。沖縄にジャブジャブと注がれている補助金を使用し切るためだ。あるいは長寿日本一というのも、女性の寿命こそ長いが、男性では平均以下に転落している。しかも、自殺率も高い。

 そして、それほどのカネを投入しても、沖縄は貧しい。失業率は全国トップクラス。それなのに、資産家の数は少なくない。基地問題が極めて歪な形で現れているのだろうが、何千万もの不労所得を手にするものも居れば、基地がないから補助金が入らずに青息吐息の自治体もある。

 そう。本書は、楽な本じゃない。沖縄の苦しみを基地のせいだけにして良しとするのでもなく、本土の強欲な人間に責任を負わせるのでもない。等身大の沖縄を見つめ、どのような問題があって、それが何故発生していのかを真摯に追いかけている。

 スケープゴートを見つけて叩くだけならどれだけ楽だっただろう。そんな安易な逃げをしなかったお陰で、本書は過剰に持ち上げるのでもなく、あるいは幻想が冷めた反動で沖縄をバッシングするのでもなく、冷静であろうとする。

 何故こんな大変なことをやるのか。それは、著者が沖縄を心の底から愛しているからであろう。随所で沖縄料理や、景色や、何よりも沖縄の人々を愛する気持ちが文章から溢れている。沖縄に良くなってほしいと思うからこそ、時に批判の言葉もでる。

 だからだろうか、幻想を覚ます文章が並ぶにもかかわらず、古き良き沖縄を見たくなってしまった。あるがままの沖縄を知るのには向いているかもしれない。
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ノンフィクション | 2013/09/25(水) 19:08 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1277冊目 コーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔か
コーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔かコーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔か
(2010/02/25)
小澤 卓也

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評価:☆☆☆


 ほとんど好き嫌いのない私の数少ない苦手なものが、コーヒーである(他は心太)。どうにも匂いが好きになれない。タバコを吸ってコーヒーを飲んだ人の口臭ともなると、もう殺人級だという感じだ。それでも、コーヒーという飲み物そのものには興味が湧いてしまう。きっと、抜群に面白かった『世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史』の影響であろう。

 さて、本書はコーヒーの背景についてかなり深く踏み込んだノンフィクションである。

 飲酒を禁じられたイスラーム圏で生まれたこの飲料は、ヨーロッパで酔わずに議論するための貴重な飲み物として世界を席巻した。フランス革命あたりで知識人達が集ったのもカフェである。飲み物が世界史に現れるのは、何もアメリカがイギリスから独立するきっかけになったボストン茶会事件だけではないのだ。

 アフリカ原産のコーヒーは、人類の恥ずべき歴史である奴隷貿易と共に、南アフリカへと渡った。ブラジル、コスタリカ、コロンビアについては、そこでの栽培方法含め、かなり細かく書かれている。本書を読むと、人々を豊かにするべきコーヒー産業も、一部の国では貧農の搾取に結びついていることが分かる。世界のどこでも行われていることではあるが、資本家による富の独占は社会を不安定化させるリスクが高すぎるように思う。アメリカ型の資本主義が行き過ぎであることは間違いなかろう。

 閑話休題、ブラジルでは低品質で安価なコーヒー(その最大の仕向先はアメリカ)を大量に作る一方、コロンビアは高品質で高価なコーヒーを少量作るという違いがあるのは面白い。その背景には天候と清浄な水の量の違いがあるという。日干しのコーヒーは匂いを拾ったり雨に濡れるリスクがあったりで質が低くなるので、高品質には水洗が欠かせないとは知らなかった。

 アメリカでのコーヒー需要の歴史に、コーヒー有害論という珍妙なものがあったというのも面白い。読書有害論なんて世界中にあったし、聖書を英語に翻訳するのも命がけだったという。日本では野球有害論なんてものもあったことを考えると、新しいことを受容したくない人は世界中に居るのだとつくづく思う。

 そして、第二次世界大戦もコーヒーの歴史に大きな影響を与える。兵士へ補給する飲み物として重用されたとは、さもありなんという話だ。そして、南米でドイツ人が得ていた農園をアメリカが奪ったというのも、熾烈な争いの1ページにもコーヒーが現れるのは意外であった。

 最終章は日本のコーヒー事情に触れている。インスタントコーヒーとしてネスカフェを取り上げたり缶コーヒーについての章を設けたりと、いまや国民的な飲み物となっているこの飲み物の受容の歴史が分かるのは良い。

 世界中で飲まれるだけのことは有り、世界史に深く関わっているのがわかったのは収穫。そして、搾取をめぐってはフェアトレードという新たな動きがあることを書いているのも嬉しい。一方で文章が読みづらかったのは残念だ。折角面白いテーマなのだから、もっと読み易い書き方をしてくれたらもっと評価が高かったのだが、残念。

 コーヒーに興味は湧いたけどもうちょっと軽い読み物の方が良いという方には前述の本の他には『コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液』がお勧めです。



関連書籍:
世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
(2007/05)
トム・スタンデージ

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コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)
(1992/10)
臼井 隆一郎

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ノンフィクション | 2013/09/22(日) 19:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1276冊目 人間はどこまで耐えられるのか
人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)
(2008/05/02)
フランセス アッシュクロフト

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評価:☆☆☆☆


 灼熱の砂漠にも、極寒の極地にも、富士山山頂を上回る高度にも近代文明が発達する遥か前に人は進出してきた。そして、今では宇宙にまでその滞在可能な地域を広げている。だが、どこまで人は耐えられるのだろうか?

 著者はオックスフォード大学の生理学部教授。この話題を語るのに最適な人物と言えよう。

 本書はまず、著者がキリマンジャロに登って猛烈な高山病に襲われるところから始まる。標高5896mのこのアフリカ大陸最高峰は、ルートとしては単純で、わずか3日で登ることができるらしい。短期間で登れることが、むしろ高山病を誘発している。

 ところが、キリマンジャロはおろか、世界最高峰のエベレストの山頂ですら人跡未踏後ではない。むしろ、エベレスト山頂は登山シーズンには渋滞ができるほどだ。(史上初のエベレスト登頂を果たしたエドモンド・ヒラリーに因んで名付けられたヒラリーステップと呼ばれる隘路がある)

 どうして人は高山病にかかるのだろうか?それは、人の体が低圧による酸素吸収能力の低下に耐えられなくなるからだ。エベレストより高い山があれば、そこはもう生理学的に人間の手の届くところではなくなる。

 高みを極めたら、次は深さだ。人はどこまで深く潜れるのか。暑さには?寒さには?あるいは、どれくらいまで速く走ることができるのだろう?宇宙空間ではどのような困難があるのか?

 こうした問題に、著者は実に丁寧に答えていく。本書を読むと、やはり極地に生きるのは相応の苦労がひつようなのだとつくづく感じる。高地に生きる人々も、潜水を職業とする人も、人間が日常生活を送るにはぎりぎりの状況にあるのだ。

 危険と隣り合わせであるという、生体的なメカニズムをとても丁寧に説明してくれているのが良い。しかも、専門知識を生かしつつ、専門的になり過ぎないという絶妙なバランス感覚と、話題を広く世界から漁ってきているので、読んでいて飽きることがない。冒頭のキリマンジャロ登山もそうだが、日本の海人や温泉の話が出てきたり、宇宙滞在の筋力低下以外の問題点を教えてくれたりと、自室に居ながらにして世界を冒険した気分になれる。

 最終章では、人間という括りではなく、生物がどこまで耐えられるかにも踏み込んでいる。人間なら即死しそうな高温、極低温、乾燥、高圧、強酸、強アルカリ、真空。極限に耐えられるのは勿論ほとんどが微生物なのだが、生物のしぶとさと、彼らの先祖が辿ってきた過酷な道のりについつい思いが行ってしまう。

 人間の強さと限界を教えてくれるので、冒険物語が好きな方ならとても楽しく読めると思う。
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医学・脳・精神・心理 | 2013/09/19(木) 00:34 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1275冊目 ”文学少女”と飢え渇く幽霊
”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)
(2006/08/30)
野村 美月

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評価:☆☆☆☆


 文学作品を文字通り食べて味わう天野遠子さんを探偵、ではなくてその引き立て役に据えた"文学少女"シリーズの2作め。遠子さんは事件に首をつっこみたがるけれど、洞察力は余りないのだ。それなのに行動力はあるから困ってしまう(笑)

 そんなわけで、遠子さんによって無理やり文学部に引きずり込まれた井上心葉が事件解決に巻き込まれ、探偵役として活躍する。

 このシリーズの特色は、事件のモチーフとなる文学作品があること。それなら安心して読める。なにせ、文学がベースなら私にとってネタバレは無い。

 本作では、学校で怪談話が持ち上がる。文学少女の遠子さんはお化けが苦手なのに首を突っ込み、1人では怖いからと当然心葉を巻き込む。お化けの正体は何なのか?

 遠子の弟が出てきたり、心葉に心を寄せるっぽい同級生が出てきたりと、新キャラが登場するので物語に幅が出てきているかな。

 途中まで全く役に立たない遠子が、最後の最後で持てる文学知識を駆使して事件のあらましを語るシーンはなかなかの迫力。ウンチクが好きな方にもたまらないかも。本作では世界的な名作がモチーフになっているので、それが何なのかを想像しながら楽しむのが良いと思います。

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推理小説 | 2013/09/16(月) 19:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1274冊目 これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義
これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義
(2012/10/13)
ウォルター ルーウィン

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評価:☆☆☆☆☆


 マサチューセッツ工科大学で、物理を専攻しない学生たちにも物理の楽しさを教えようと魅力的な授業をすることで定評のあるルーウィン教授の講義録。

 評判に違わず、読んでいて実に面白い。何が物理の本をこんなにも面白く感じさせるのか。それは、著者が物理学を心の底から楽しんでいて、しかも聴講生を楽しませることに喜びを見出していることにあるだろう。

 難しい概念を難しく説明するなんて2流のやること。ましてや内容の空疎さを誤魔化すために簡単な概念を難しく延べるような奴は物書きとしてクズだ。では一流は?それこそ、難しい内容を面白く、楽しく書くことだろう。そして超一流とは、一流に加えて知の深みにおいて容赦無いことではなかろうか。そう定義したとしても、確実に著者は超一流であると断言できる。

 その著者が物理学の面白さをこう説明している。

 物理学は説明してくれる。
 虹の美しさと儚さを、ブラックホールの存在を、惑星がそれぞれ独自の動きを示す理由を、星が爆発するとき何が起こっているのかを、アイススケートの線種が腕を体に引き寄せると回転速度が上がるわけを、宇宙飛行士が宇宙空間で無重力になるわけを、宇宙はどんな要素から成り、いつ始まったかを、フルートが音楽を奏でる仕組みを、人間の生み出した電気が人体を動かし、経済を動かすその原理を、ビッグバンの際、ほんとうに"バン"という音が鳴り響いたのかを……。物理学者たちは、原子以下の最小の空間単位から宇宙の最果てに至るまでの精密な学理の地図を作り上げてきたのだ。


 仰るとおり!科学が、科学だけがそれを成し遂げたのだ。そこに面白さがあり、そこに続々するほどの知的興奮がある。加えて、美しさが溢れている。それなのに、世人が科学を無味乾燥なものと受け取りがちなのは真に残念なことだと思う。だが、その問題を、著者は軽々と打ち破ってくれる。

 虹の美しさ、振り子の不思議等からそれらの背後にある物理を数式を使わずに説明する。物理学的にきっちり説明していながら、むしろその美しさを語ることに中心があるような感じを受ける。

 本書の白眉は、何と言っても著者の専門である天文学、それもX線天文学が解き明かした宇宙の不思議の数々について語るところであろう。中性子星やブラックホールがそれだ。読めば読むほど、自然は奥深いところに不思議を隠していると思う。

 最終章で美術について語っているのが、著者がどのような立場から本書を論じているかを表しているだろう。兎に角、自然界の美しさに魅せられ、その謎の解明に情熱を燃やしてきた著者ならではの熱い感情が迸る。ああ、こんな授業を受けていたら、私ももっと物理の勉強が好きになっていただろうに!

 物理は難しいと思っている人にこそ読んで欲しい。きっと、自然界の美しさに目を見張ることだろう。そして、気がついたら読み終わっているくらい、引き込まれることと思う。
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素粒子・宇宙論 | 2013/09/15(日) 19:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1273冊目 脳とダイエットの危険な関係
脳の栄養失調―脳とダイエットの危険な関係 (ブルーバックス)脳の栄養失調―脳とダイエットの危険な関係 (ブルーバックス)
(2005/12/19)
高田 明和

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評価:☆☆☆☆


 ○○は健康に良いという話があったり、☓☓を摂らないでダイエットが出来る、という話があったりする。しかし、それはトータルで見た時に人を幸せにするのだろうか?

 例えば、多くの人がダイエットに励む。では、どのくらいの体重が適正なのだろうか?実は、長生きするために最適なのは、BMI(Body Mass Index 体重[kg]/身長[m]の2乗)で25~26である。一般に信じられている、もっと低い数字では死亡率が上がる。そう。低レベル放射線より痩せが怖いというのが現実だ。

 何故か?それは、貪欲な脳が必要とする栄養素は多く、それを満たせば痩せてなんか居られないから、である。

 例えば糖分。ああ、恐ろしいその響き。身に良く付く、恐怖の存在糖分。それなのに、あの蠱惑的な魅力には逆らえない。斯くして、気づけばアイスクリームやら炭酸飲料なんかが喉を通り過ぎていくわけです。

 しかし、これほどまでに糖分が我々を捕らえて離さないのは、糖分を脳が必要とするからだ。脳の栄養は、糖分しか無い。だから、糖分をカットすると、脳が栄養失調となる。その結果、なんとか血中の糖濃度を上げようとする力が働き、ひいてはそれが糖尿病を引き起こすリスクを孕む。

 あるいは、脂肪酸。霜降り肉、美味しいですよね。おっさんになると天罰覿面、たちどころに胃もたれをもたらすわけですが、なんと、脂肪酸は脳の健康に欠くべからざる良質な栄養素であり、欠けると鬱のリスクをもたらす。だから、脂肪酸を効率よく摂取できる肉類は、きちんと食べるべきなのだ。それも、青魚等の魚肉ではなく、肉類を。

 コレステロールもそうだ。アルツハイマーのリスクを侵してまで、低コレステロールにする必要はない。しかも、長生きするのに適したコレステロール濃度は、日本では高脂血症と診断される240程度だったりする。

 健康に関する指数は統計的なデータに基づくべきであり、医者や製薬会社を儲けさせるために適した数値であるべきではなかろう。

 と、低体重低中性脂肪低コレステロールのうち、毎年大体2冠を占める(三冠王にはなかなかなれない)私が言っても説得力はないなぁ。やはり今の自分の状態はマズイと思うわけであります。なにせ、ボケ、鬱(それに付随する自殺)、糖尿病、ガン等々のリスクを抱えているとなれば困ったものだ。

 というわけで、健康と幸福のために肉を増やして、赤ワインとナッツ(不飽和脂肪酸が豊富)を摂ろうと思うわけでありますが、実のところ、それらは既に実行済みなのであります。どうやら抜本的な食生活改善が必要なのはワタクシメのようであります。。。

 取り敢えず、私の頭が絶望的に悪いのは、自分の能力のせいではなく、栄養素のせいであるということに出来ただけでも本書を読んだ価値はあったと思うことにしよう、うん。それと、特定の栄養素をカットする健康法をやろうとする人が周りにいたら、取り敢えず止めようと思う。人は自分の意見の間違いを指摘されてもそれを受け入れることができない生き物だから無駄に終わるだろうけど^^;。

 栄養素がトータルとしてどれくらい必要なのかを知るにはもってこいの本。真に健康であるということがどのようなものなのかを知るのにも向いているだろう。
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医学・脳・精神・心理 | 2013/09/13(金) 19:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1272冊目 月は誰が創ったか?
月は誰が創ったか?月は誰が創ったか?
(2007/06)
クリストファー ナイト、アラン バトラー 他

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評価:☆☆☆


 月は不思議な天体だ。ちょっと前まで、その起源は誰にも説明できなかった。余りにも謎に包まれていたため、「月が見えるのは目の錯覚だ」とのジョークを飛ばした天文学者すら居た。

 そして、起源が謎に包まれているからこそ活躍できる人々がいる。オカルトな人々である。

 見て下さい、このタイトル。そして訳者。南山宏といえば、学研の誇るオカルト雑誌『ムー』に深い関わりのある、日本を代表する怪奇現象研究家ではありませんか!こんな怪しい本、読まないでいられましょうか!?うん、いられるな^^;

 閑話休題、月には本当に不思議なことがある。その1つは、間違いなく皆既日食であろう。月の半径は太陽の半径の400分の1だが、地球と月の距離は地球から太陽までの400分の1。だから、日食の時には太陽をきっかり隠す皆既日食の他に、僅かに太陽が大きく見える金環日食が起こる。

 実際には月と地球との距離は年3cm程度の速さで離れているため、この奇跡のような距離感が楽しめるのは地質学的に言えばほんの僅かな時間(数百万年)に過ぎない。このぽっかりとできた絶妙なスポットに人類が生きていることは僥倖である。

 いや、それが僥倖じゃなかったら?つまり、何者かが精緻な計算を行い、今この時代に奇跡のような意図して組み上げたものだったらどうだろう?その証拠が月に隠されていても不思議はあるまい。

 本書では、こんな数値が取り上げられている。

1年間の地球の自転回数:366回
月に対する地球のパーセント率:366%

太陽と月のサイズ比:400
太陽と月の地球までの距離比:400
太陽の1メガリス角度秒に相当するメガリスヤード数:40,000
地球の1日の自転距離のキロ数:40,000
月の1日の自転距離のキロ数:400
月が地球を366公転する日数:10,000
月の1メガリス角度秒に相当するメガリスヤード数:100
地球が月より早く自転する倍数:400

 天体の数値で、こんなにもきれいな数字が並ぶのは不思議である。そう。確かに、並べられた数字を見れば不思議に見える。しかし、忘れてはならないのは、色々な数字の組み合わせから不思議に見えるものが取り出されているということ。

 月を作り上げ、知能を持った生物の誕生にも介入した何者かが、人類にその証拠を残す手段として与えたのが数千年前の巨石文明である、と言われたら、少なくとも私の頭には疑問符が1個師団分くらい押し寄せる。まして、その存在が45億年前に月を創った存在であるとなれば尚更だ。何故彼らは、人類が十分な科学力を備えた時期(遅くとも1900年ごろ)に現れて、疑問の余地のない証拠を突きつけないのだろうか?

 現在、月形成の最有力仮説である、月は原初の地球に火星サイズの天体が衝突したことで生み出されたとする"ビッグホワック仮説"(一般には"ジャイアント・インパクト説"として知られる)をも丁寧に批判しているが、最近の研究成果では本書の主張が否定されていることも注意が必要だ。

 それは、地球と月の酸素同位体比を見れば、地球と月はその形成される時期において太陽からの距離が同じところにあったはず(ジャイアント・インパクト説と矛盾しない)。しかし、何らかの天体が原初の地球に衝突したならば、その天体も月と地球に振り分けられる。となると、酸素の同位体比は地球と月とで異なるはずだ、というもの。

 しかし、衝突した天体も地球の近傍で生まれたとすれば矛盾はない。そして、その考えは降着円盤による惑星系性仮説とも矛盾しない。

 というわけで、本書をノンフィクションとして読むのは極めて危険だ。しかし、月には色々な不思議がある、というくらいの立場で眺めるなら、SFを読むようにして楽しむことはできるだろう。

 正直な話、グレイだのなんだの、もっとぶっ飛んだものが出てくるのかと思っていたが、そんな変な話にはならなかったことは意外だった。
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未分類 | 2013/09/12(木) 20:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1271冊目 ダンゴムシに心はあるのか
ダンゴムシに心はあるのか (PHPサイエンス・ワールド新書)ダンゴムシに心はあるのか (PHPサイエンス・ワールド新書)
(2011/03/19)
森山 徹

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評価:☆☆☆


 子供の頃、ダンゴムシを突付いて丸まらせては、それを転がして遊ぶのが好きだった。そうした記憶を持つ人は多いだろう。ダンゴムシには迷惑な話だっただろうが(笑)。因みに、私の周りでは、丸まらないヤツはベンジョムシと呼ばれ、蔑まれていた。なんという差別主義(笑)。

 そんなダンゴムシに、心があるなんて思ってもみなかった。なにせ、彼らの神経系などたかが知れている。というわけで、タイトルに惹かれて手に取った。

 心とはなにかという設問と、その簡単ではあるが答えるのは難しい問いへの著者なりの答えから本書は始まる。いきなり、「○○という実験結果があるからダンゴムシには心がある、QED」と言われてしまっては納得行かないから、妥当なところではある。

 しかし、これがちょっと長すぎる。心という抽象的なもの、それもダンゴムシのように人間とは全く異なるレベルの神経系を持つ生き物相手にも共通する何かを探ろうとするのだから、大変な営みだ。ただ、私は著者がムリに説得しようとして来ているように感じられて、イマイチ納得はできなかった。ではお前なりに認められる心とは何かを言われたら困ってしまうのだけれども。

 次いでいよいよ、ダンゴムシに心(ここでは個性くらいにしておこう)があるかという主題に移る。ダンゴムシを使った色々な実験が紹介されているのだが、実験結果からはダンゴムシが環境刺激に対して画一的な反応をするわけではないことが明らかにされている。

 通常、迷路に入れられたダンゴムシは右折と左折を交互に繰り返すのだが、わざと行き止まりにさせると、やがて一部の個体は壁をよじ登る行動に出る。一方で、後退りして分岐に戻る個体もいる。

 彼らは彼らなりに、自分のルールで刺激に対する応答を決めているらしいのだ。

 本書を読めば、この実験に限らず、他の実験でも刺激と反応が異なる個体がいるのが面白い。行動を決めるのは、本能と本能に深く根ざした快・不快の認識であろう。だとすれば、彼らには心があるという主張には見るべきものがあるようにも思えてくる。

 何よりも、あの小さな体で学習が出来るというのは驚きだ。生きて子孫を残すためには、あのような未発達の神経系でも、学びに応じて振る舞いを変える。そこに生物の凄さを感じずに居られない。

 後半ではタコを使った実験が紹介されている。こちらもやはり、個体によって振る舞いは様々で、実に面白い。生物の面白さを感じさせてくれる1冊である。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/09/10(火) 19:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1270冊目 図解・地下鉄の科学―トンネル構造から車両のしくみまで
図解・地下鉄の科学―トンネル構造から車両のしくみまで (ブルーバックス)図解・地下鉄の科学―トンネル構造から車両のしくみまで (ブルーバックス)
(2011/02/22)
川辺 謙一

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評価:☆☆☆


 実のところ、鉄道には全く興味が無い(笑)。それでも科学を謳われてしまったら、科学趣味者として読まないですませることができるでありましょうか(反語)。

 まずは、地下鉄であるが故の苦労、つまり地下に鉄道を引くためのトンネルづくりに始まり、車両に用いられる技術まで、タイトル通りに広く浅く纏めた本。

 地下構造の作り方など全然知らなかったので、開削工法やシールド工法等の技術については勉強になった。地下ならではの司会の悪さを乗り越えて安全性を確保するための手段についても。また、車両も地上を走る鉄道とは違うことがそれが役に立つことは一生ないだろうけど(笑)

 車両についても、安全性の確保や利用者の居心地の良さを追求するためにかなりの技術が使われていることも分かった。換気方式だとか、冷房の話だとか、電気の供給方式なんて、建築を専門としているか鉄でもない限り知らないだろうから、目新しいことばかりであった。

 利便性の裏に、技術者のアツい戦いが垣間見えるのだなぁと思ったものである。

 何よりも、既に十分入り組んでいる都心で新たな路線を開発するためにアクロバティックなコースどりをしなければならず、それに応える技術がしっかりあることは覚えておきたい。

 本格的な鉄の人には物足りないかもしれないが、私にはこれで十分であった。
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技術 | 2013/09/08(日) 19:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1269冊目 精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察
精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察
(1999/01)
エルヴィン シュレーディンガー

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評価:☆


 シュレーディンガーと言えば猫殺しで有名な科学者である。いや、思考実験で、ですけどね。

 量子力学の奇妙な振る舞いを上手く言い表したこの思考実験は、コペンハーゲン解釈の1つとして、量子力学黎明期の激烈な論争を生んだ。それまでの物理の常識からかけ離れた量子力学の世界を示すにあたっては、恐らくシュレーディンガーが重ねてきた思索が深く影響しているのであろう。

 本書はそのシュレーディンガーが、物質にすぎない脳がどのように意識を生んでいるかに迫らんと思索を重ねたことの結晶である。

 問題は、内容が古過ぎること。

 なにせ、彼は脳科学が発展する前、1961年に世を去っている。なので、彼が物質を基板にした精神活動について現代的な知識があるわけではない。

 残念なことに、哲学者の言葉の引用と、自身の考えに終始していて、時代の制約であることは分かりながらも残念な思いをしてしまった。

 それよりも遥かに大きな問題は、文章が余りといえば余りにヘボいこと。この訳者、何考えてんだ?無駄に冗長で、簡単な内容ですら難解に書く意図はなんですか?難しそうな文章を書いて、こんな難しいこと書ける俺ってすげーぜ、みたいな感じですか?貴方の文章は難しいのではなくて、単なる悪文です。勉強しなおしてきてください。ま、哲学では中身が無いのを誤魔化すためによくやる手段ではあるけどね。

 というわけで、この訳者の本には二度と手を出すまいと固く決意した次第であります。こういう阿呆なことをやるから哲学が凋落したことを、哲学関係者は深く心に刻んで欲しい。
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未分類 | 2013/09/07(土) 19:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1268冊目 孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生
孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生 (フィールドの生物学)孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生 (フィールドの生物学)
(2012/11)
前野 ウルド浩太郎

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評価:☆☆☆☆☆


 皆さん、この本は本っっっっ当に!面白いですよ!私のレビューなんて読まなくて良いから是非とも、是非とも読んでみて下さい!!つい感動が先走ってしまったが、それくらい面白い。こんなに本を読んで興奮するのは久しぶりだ。

 蝗害をご存じだろうか。天を埋め尽くさんばかりのバッタの群れが嵐のように襲来し、あらゆる植物を食い尽くして去ってしまうという恐怖の災害である。勿論、蝗害が去った後には飢饉が人を襲う。

 この蝗害を起こすバッタは、極普通のバッタと同じ生き物だ。バッタの個体密度がある境界を超えると、我々が見る緑色の孤生相と呼ばれる状態から、大型で黒みを帯びた群生相へと変わる。跳躍力は孤生相から大幅に上昇し、遥か遠方にまでその害をもたらす。黒い悪魔と称されるのも無理は無い。

 蝗害が絶大な害を与える故、バッタは様々な研究の対象になってきた。その世界に、1人の頼もしい研究者が加わった。それが著者、前野ウルド浩太郎さんである。

 名前の"ウルド"は、研究で向かった先のモーリタニアで研究所のババ所長から与えられたもので、最高敬意のミドルネームとのこと。アフリカでバッタ研究に身を捧げる覚悟のサムライに与えられた名誉の名である。

 話が逸れた。

 本書は、前野さんがバッタ研究で新たに明らかにしてきたことをメインに、どのような研究生活を送っているかを添えて送る学術系エンターテイメントである。

 バッタはどのような生を送るのか?孤生相から群生相に変わるのに決定的に必要なものは何なのか?

 1つの疑問に対して答えが出てきたと思えば、その過程で次々と新たな疑問が生じてくるようで、読者の前には次々とバッタの不思議な生態が明らかにされていく。定説をひっくり返す知的興奮がこちらにも伝わってくるので、読んでいてワクワクさせられる。

 個人的には、孤生相から群生相に変わるには接触刺激が大切であることを示した実験の件が本当に面白かった。仮説を立て、検証し、反証に備える。どれも丁寧で、しかも分かりやすいのが本当に素晴らしい。

 しかも、文章が一々面白いのだ。バッタのライフサイクルを説明する前の枕はこうだ。"バッタがどのように体内で卵を作り、産卵し、その卵から孵化してくるのかは皆さんすでにご存じかと思うが"

 知ってるのなんて専門家だけでしょう(笑)そう断ってから丁寧に説明してくれるのが良い。


 あるいは、研究で使うために黒のマニキュアを100均に買いに行った時の心の叫び。

"「おばさん違うんです。私には女装する趣味はありません。これはすべて研究のためなんです。信じてもらえないと思いますが、まさかのバッタの複眼を塗り潰すためなんです」"
とか面白すぎる(笑)

 で、買い終わって、"よし、これで目潰しができる"って、どういうことかと(笑)

 兎に角、読者を楽しませようとする気概にも溢れていて、専門性はかなり高いにも関わらず、大笑いしながら一気に読んでしまった。ムシが苦手な方にも、是非とも読んで欲しい。そして、陰ながら著者の研究生活が実り多きものであることを願ってやまない。そして、本書の続編を出して欲しいと切に願うのであった。

 尚、著者はブログを運営されているようなので、興味がわいた方はまずはこちらを訪れてみるのが良いと思います。砂漠のリアルムシキング
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生物・遺伝・病原体 | 2013/09/06(金) 19:47 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1266冊目 & 1267冊目 グラーグ57 上下
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
(2009/08/28)
トム・ロブ スミス

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グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
(2009/08/28)
トム・ロブ スミス

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評価:☆☆☆☆


 1950年台のソ連では、激動としか言い様がないほどの激しい変化が社会を揺るがしていた。1953年にスターリンが死去し、その権力はフルシチョフが継承する。そして1956年、彼は突如としてスターリン批判を発表、スターリン体制で行われた数々の非道な行為を白日の下に晒した。

 それは同時に、ソ連の圧政に苦しむ東側の人々へ自由の到来を予想させた。同年、ハンガリーでは大規模な反ソ連の蜂起が起こる。しかし、ソ連はそんな背信を許さなかった。直ちに戦車隊がハンガリーを制圧、ナジ・イムレ首相は処刑される。蜂起は、西側からも見捨てられたのだ。所謂、ハンガリー動乱である。

 一方、ソ連では諜報機関が名称や規模を変えながら、隠然たる勢力を保持し続けた。チェーカー(反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会)がやがてKGBへと改組されるのが1954年のことである。ただし、強制収容所の余りの多さに『収容所群島』とも皮肉られた状況は、やや改善を見せたのは事実だった。

 つらつらとこんなことを書いてきたのも、本書を理解するにはこの辺りの流れを知っていなければならないからだ。全く、なんという小説だ(笑)

 主人公は、前作『チャイルド44』で、まさかチェーカーの隊員が主人公の物語が出るとは!と世間を驚愕させたレオ・デミドフ。前作のラストシーンを引き継ぎ、新たに生まれた殺人課で活躍している。子供を産めない体の妻と2人の養子。幸せな生活のはずだった。

 印刷工殺人事件の現場に向かったレオは、それが殺人ではなく、自殺を殺人に見せた偽装であることを一瞬で見抜く。そして、彼の慧眼は、気がかりなものを見逃すことはなかった。自殺した印刷工が最後に組んでいた文章のうち、"エイへは拷問を受け"という短い言葉が残されていたことがそれだ。

 ソ連のおぞましい闇い過去。そして、それ同時にレオの闇い過去でもあった。チェキストだったレオは、何人もの人間を反革命分子として捕らえることで大粛清の一翼を担っていたから。

 印刷工は、元チェーカーだった。どうやら何者かが、彼を自殺に追いやったのだ。レオの元上司が脅迫に屈して自殺するに及び、ある可能性が浮上する。これは、チェキストへの復讐なのではないか、との。

 レオが初めてチェキストとして深く関わったある逮捕劇がその奥に見え隠れてしていた。

 読者には、安易な勧善懲悪など与えられていない。チェーカーといえば、民衆の弾圧に当たった恐怖の存在であった。ほんのちょっとした言動が、死や強制労働に結びついた。無実にも関わらず辛酸を嘗めることを余儀なくされた人々が、彼らに復讐したいと思うのは行けないことだろうか?

 そして、もう一つの深い断絶がある。しかも、家庭内に。養子のゾーラは、レオを両親の敵であると思っているのだ。ゾーラは、目の前で両親を殺されている。レオは、それを止めようとした。しかし、彼はその場のリーダーでもあった。罪滅ぼしとしてゾーラの愛情を勝ち得ようとする心は、しかし少女に見ぬかれていたのだった。

  強制収容所への潜入を含め、次から次へとレオを苦難が襲う。レオを狙うのは何者なのか。何が狙いなのか。彼は安寧の日々を手に入れることができるのか。激動期のソ連という、舞台にしにくい時代と国を、上手く表現しているのには相変わらず脱帽だ。

 官僚機構の壁やら何やらで、危機が去ったと思えば新たなるピンチがやってくるので、一度読み始めたらなかなか読むのを止めるのが難しい。

 ただ、これが1冊であればハラハラドキドキで済んだかも知れないが、上下2冊分、一難去ってまた一難を繰り返されると、ドキドキするのに飽きてくるというのは否定出来ない(苦笑)。

 また、前作ではチカチーロをモデルにした殺人犯を捕らえることが目標だったが、今作では遥かに大きなことがテーマ(ネタバレになるので明かしません^^;)で、壮大になった分だけご都合主義も感じられてしまうのはちょっと残念だ。

 それでも十分に面白かった。次作でレオを主人公にした物語は最後のようなので、読んでみようと思う。


関連書籍:
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
(2008/08/28)
トム・ロブ スミス

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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
(2008/08/28)
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その他小説 | 2013/09/04(水) 19:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1265冊目 アフリカ 苦悩する大陸
アフリカ 苦悩する大陸アフリカ 苦悩する大陸
(2008/05)
ロバート ゲスト

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評価:☆☆☆☆


 列強による植民地支配は、将にその植民地を争った第二次世界大戦という巨大な破壊のエネルギーによって終焉を迎えた。荒廃した自国の復興に力を注がなければならなくなったため、権力の空白を衝く形で次々と植民地は独立を遂げる。それは、アフリカも例外ではなかった。1950年台後半からは独立ラッシュと言って過言はない。

 それから凡そ50年が過ぎた。それなのに、アフリカは、まだ貧しいままだ。

 例えばジンバブエ。独立しても、土地の多くは白人が握っていた。ムガベ大統領は、権力掌握直後こそ白人と黒人にバランスをもたらそうとしていたが、やがて白人から無理やり土地を奪う方向へ進む。

 確かに、白人の大土地所有者は、その先祖が武力を背景にその地位を得ていたかも知れない。しかし、彼らには技術と知識があった。その彼らから全てを奪い、黒人だからというだけの理由で技術も知識もない人間に与えればどうなるか。予想通り、大規模な食糧危機が起こってしまった。レーニンとスターリンが進めた自称改革と同じ末路だった。

 本書にはこのジンバブエを筆頭に、苦しみ続けるアフリカの国々の姿を追っている。ある国では独裁者が国中の富を独占し、ある国では汚職が蔓延して行政すら円滑に進まず、ある国では民族や出身地が異なるグループが熾烈な内戦を行い、ある国では疫病の封じ込めに失敗し、またある国ではこれら悲劇が幾つも起こった。

 なぜ、アフリカにはこんなにも失敗国家が溢れているのだろうか。これまでは、その答えは簡単だった。植民地支配を行った国のせいにすれば良かったから。

 しかし、著者はアフリカが貧しいのは為政者のせいだ、と指摘する。

 なぜそう考えるのか?本書にはその実例が、至る所に出てくる。他人を信用するための基板が存在しない社会がある。そこでは、自力であらゆることをしなければならない。家を建て、服を作り、食べ物を取り、調理する。しかし、それでは全てが中途半端になる。それを端的にこう指摘する。

 "私の家は、私が会ったこともない何百万人もの人々のネットワークの産物だ。世界の貧しい人々に必要なのは資本主義だ。"

 貨幣経済の優れたところは、価値を客観的にできるところだ。それによって、労働と金銭を代替できる。金銭は他人にも価値があるから、他人の労力の結果(それは家だったり食べ物だったり家電製品だったりする)を手に入れることができる。つまり、財産が代替性を持つから、我々は今の快適な生活を得ることができている。ということだ。

 援助ですら無駄に終わる。独裁者が独り占めするだけだから。そして、多くの人々も、知らぬ間に自分の首を締めるだけの営みに加担する。『ブラックホーク・ダウン―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録』の世界だ。

 アフリカが、その持てる資源に見合っただけの発展を遂げるには、彼の地の人々たちが自分でなんとかしなければならない。

 著者はそのために、資本主義や門戸開放を強く訴えている。そのグローバルスタンダードへの系統っぷりは、もしかすると読者を鼻白ませるかも知れない。それはむしろ、アフリカを更に搾取することにはならないか、と。しかし、著者の答えはノーだ。『エコノミスト』の著者として7年間アフリカの各地を回った著者だけに、説得力は大きい。

 今の独裁者に、改心など期待できない。であるからには、人々が変わっていくしか無いだろう。そして、前途洋々とは行かないにしても、吉兆は見られるようには思う。アフリカが輝きを取り戻す日が近い将来訪れることを願ってやまない。



関連書籍:
ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)
(2002/03)
マーク ボウデン

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ノンフィクション | 2013/09/02(月) 22:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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