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1203冊目 シロアリ――女王様、その手がありましたか!
シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)
(2013/02/07)
松浦 健二

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評価:☆☆☆☆


 ブクレコで、Daisuke Okamotoさんが書かれた素晴らしいレビューを拝見して、余りの面白そうな紹介に一も二もなく飛びついた本。

 分かっているとは思いますが、虫が苦手な人は読んではいけない。写真が幾つも載っているから。虫の写真を我慢出来る人。それならば是非とも読んで見ることをお勧めしたい。何故かって?シロアリの意外で面白い生態を知ることができるから。

 まず、シロアリが生物の中でどのような位置にあるのかから本書は始まる。と言っても、難しそうと気構える必要はない。これだけ押さえれば良い。シロアリは、アリの仲間ではなくゴキブリの仲間だ、と。

 アリやハチと同じく、群れを作る社会性昆虫でありながら、シロアリはアリとは全く異なる進化を遂げてきたのだ。社会を作ることは人間のみならず、このような虫の世界にあっても大きな役割を持つことが分かる。

 え?ゴキブリの仲間と知ってますます嫌いになったって?そんなことをおっしゃらずに。

 確かに、人間から見たら、彼らは害虫に過ぎないかもしれない。しかし、森林の分解者として、シロアリは地球環境の維持に欠かせない生き物でもある。個人規模で見たら厄介な害虫でも、地球規模では欠かすことの出来ない益虫になるなんて、面白いではないか。もう、仲間のゴキブリなんかとは一線を画していると思われないだろうか。

 アリやハチはワーカーが全てメスなのに対してシロアリではそうではないとか、シロアリは未分化のためワーカーが状況に応じて分化して専門職になるとか、巣立ったメスは同性同士で巣作りすることもあるとか、そこにオスがやってきたらあぶれたメスは死んでしまう(ハーレムにはならない)とか、その生態はかなり面白い。

 アフリカには高さ数メートルにも及ぶ巨大な蟻塚を作る種もいるが、この巣は空気の流れが精密にコントロールされており、温度が一定に保たれているなんて、自然界の生み出した知恵に感嘆する。用済みになった羽を捨ててしまう時の原理なんていうのも驚きに満ちている。

 よくもまあこの小さな体にこれだけの知恵が宿ったものだと感心しながら読んだ。駆除の役に立つからと読む人もいるかもしれないが、私としてはこんなにも脅威に満ち溢れた生物の姿を知ることが出来たことだけで十分満足だ。

 シロアリたちの知られざる生活を見事に紹介してくれている本。社会性昆虫の魅力を多く伝えてくれるので、昆虫好きの方や、自然界の驚異に興味が有る方には強くお勧めしたい。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/05/30(木) 20:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1202冊目 新編 後藤田正晴―異色官僚政治家の軌跡
新編 後藤田正晴―異色官僚政治家の軌跡 (中公文庫)新編 後藤田正晴―異色官僚政治家の軌跡 (中公文庫)
(2008/12)
保阪 正康

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評価:☆☆☆


 カミソリの異名で存在感を示した後藤田正晴の生涯を追ったノンフィクション。

 旧制水戸高等学校、東京帝国大学法学部卒業を経て内務省に入ったという、エリートコースを約束された若者は、この頃から安易な付和雷同などせず、しっかりした自分の軸を持っていた。その姿勢は、法務官僚としての資質に満ちたものであったと言える。

 警察庁長官に上り詰めた時には、よど号ハイジャック事件やあさま山荘事件で解決に向けて辣腕を振るった。本書に拠れば、左翼グループの爆弾闘争のターゲットともされ、自宅に何度か危険な郵便物が送られてきたという。(そういう場合、決して紐を持ってはいけないらしい)

 その後は政界に打って出、自民党の重鎮として活躍する。

 彼が異色であるのは、ある時には血も涙もないタカ派の警察官僚と言われることもあれば、自衛隊を決して海外に出そうとさせなかったハト派の議員と評されることもあったこと。

 こうした異色の政治家が、どのようにして生まれたのか。その時々で何を考え、何を判断基準にしてきたかを記している。

 本書から見えてくるのは、自身が非常に優秀で、自分にも他人にも厳しい切れ者のイメージ。どんな時でも納得するまで突き詰めて物を考え、安易な妥協など決してしない。そして、筋を通す。彼が田中内閣や中曽根内閣において重責を担うことになった理由が分かる。

 その政治生活の原点に、敗戦時に居た台湾で、日本の統治に納得していると思っていた台湾人たちが敗戦を爆竹で祝うところを見たことがあるようだ。軍隊は無茶をやる。だから、そのコントロールをどうするか。それを真摯に考え続けたのだろう。それが、自衛隊を軍隊として他国に派遣しないという彼の姿勢に現れたというのが分かった。

 自民党の金権腐敗政治を批判し、自民を割って出た人々からも慕われたといったところに、思索を重ねた彼の面目躍如があるように感じた。

 この手の政治家の評伝はヨイショに溢れているので、どこまで信を置くべきかは分からない。しかし、巷間に流布する相異なるイメージを統合する役に立ったのは間違いない。そして、彼のように、しっかりした芯を持った政治家にこそ、国政を委ねたいと思わされた。次の選挙は、よく考えて投票しよう。
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ノンフィクション | 2013/05/29(水) 19:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1201冊目 腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち
腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち (中公新書ラクレ)腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち (中公新書ラクレ)
(2006/10)
杉浦 由美子

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評価:☆☆☆


 男性同士の性愛を描いた創作が、本屋の一角を占めるようになったのは何時の頃からだろうか。綺麗な絵の表紙のこれらの本は、それまでも存在した実写系のものとは違い、その販売対象が女性である。こうしたBL(ボーイズラブ)あるいはやおい(ヤマなしオチなしイミなしの略ともやっぱりおしりがいいかんじの略とも言われる)と呼ばれる一群の作品を好む女性たちを、誰が名付けたか腐女子という。

 ブログのランキングなどを見ると、その分野にかなりのレビュアーがいて、人気もあることは分かる。たまに池袋に行けば、そうした女性たちを眺めることが出来る。いや、特に見たいというわけではないのだけど、キャリーバックを転がしている若い女性の少なからずはそうだと言うのだから、目に入ってくると言うのが正しいか。

 なぜ彼女たちが、イメージの中であっても自分が介在しない男同士のカップリングに萌えるのかに迫ったノンフィクション。

 女性の消費志向を論じ、単一のモノサシで個人の価値観を図れる時代は終わったと宣言し、BL小説の内容を分析する。そのいずれも、私がこれまで興味を持って眺めてきたことのない世界なので、なかなか面白かった。

 それよりも、格差社会の実態を記したパートは凄い。昔は専業主婦が当たり前だったのに、今は専業主婦として生きていける女性は少数派だ。共働きするのは、自己実現のためなんかではない。生活のためだ。そして、そのあらゆるシーンで勝ち組・負け組の熾烈な競争があるという。出産まで、その道を選べる女性が少ないのが少子化に繋がっているという指摘をみると、まるで佐藤優さんの評論を読んでいるかのようで、腐女子についての本を読んでいたのになぁと思ってしまう程だった。

 こうした、閉塞した社会のはけ口として、現実味のないBLが求められているというのは、それはそれで頷けるものではある。

 一方で、これらが彼女らが腐女子という生き方を選択した理由なのかというと、疑問が残る。ノンフィクションであるならば、少なくとも仮説を検証する作業が必要であろう。しかし、実例として幾つかのインタビューはあるけれども、まっとうな統計的データは無い。なので、結論を素直に受け取ることはできない。その後の研究が待たれるところである。
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ノンフィクション | 2013/05/27(月) 20:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1200冊目 アメリカNIHの生命科学戦略―全世界の研究の方向を左右する頭脳集団の素顔
アメリカNIHの生命科学戦略―全世界の研究の方向を左右する頭脳集団の素顔 (ブルーバックス)アメリカNIHの生命科学戦略―全世界の研究の方向を左右する頭脳集団の素顔 (ブルーバックス)
(2004/04/21)
掛札 堅

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評価:☆☆☆


 アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health;NIH)は、世界屈指の生命科学研究の拠点である。

 パプアニューギニアで多くの住民の命を奪っていたクールーが感染症であることを突き止め、その拡大防止に活躍したダニエル・カールトン・ガジュセックを始め、ノーベル賞に輝いた科学者もいる。ガジュセックの研究は後にタンパク質病原体プリオンの発見でスタンリー・B・プルシナーのノーベル賞に結びつく。他にも驚くほど多くのノーベル医学賞受賞者や、著名な科学者がNIHの直接的・間接的にNIHの資金で研究を行なってきた。

 NIHで主任研究員を務めていた著者が、NIHとはどのような組織で、何を成し遂げてきたのかを語っているのが本書。

 触れられている話題の多さや、明らかにされた事実の多さが、NIHの信じ難いほどの存在感を際立たせる。あらゆると言っても過言ではないほど、広く深く生物化学分野の研究が為されている。

 なぜそんなことが可能なのか。それは、NIHという組織のあり方にも関わるだろう。政治からの独立であったり、優秀な研究者を育てようとする気概。しかも、これらが大したグランドデザインが無い中で生まれ育ってきたことには驚かされる。研究資金が組織ではなく人に付くというのも面白い。それは、研究者の自立を生み、組織の枠にとらわれない人材を生み出す。

 生命の根幹に関する、あるいは我々を脅かす病との戦いに関する話題では、明らかにされた事実そのものが魅力的。そして、こうした功績を挙げるための組織論という視点からも楽しめるという点で、ユニークな読み物になっている。多くの本はどちらかに偏りがちだから。

 もう一つは、科学者同士の交友だろう。熾烈な争いを繰り広げる人もいれば、寡黙に研究に取り組む人もいる。そうした多様な個性が、全体としては確実に科学が明らかにする地平を広げているのが面白い。

 多様な話題に触れているので、寄り道が多いようではあるが、楽しむことができた。日本の科学研究のあり方についても考えさせられる、そんな一冊。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/05/25(土) 19:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1199冊目 宇宙から恐怖がやってくる! ~地球滅亡9つのシナリオ
宇宙から恐怖がやってくる! ~地球滅亡9つのシナリオ宇宙から恐怖がやってくる! ~地球滅亡9つのシナリオ
(2010/03/24)
フィリップ ・ プレイト

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評価:☆☆☆☆☆


 6500万年前、ユカタン半島。直径10キロ強の小惑星が、この地を襲った。その爪あとは、巨大なチクシュルーブ・クレーターとして残されているが、この衝突は地球規模で大掛かりな絶滅をもたらした。そう。恐竜の絶滅である。

 困ったことに、この程度の天体は宇宙にゴロゴロある。そして、そのうちの少なからずは地球の軌道と交差する。それは必然的に、この巨大な破壊が再び地球を襲うことを示しているのだ。

 宇宙の恐怖はそれだけではない。太陽活動も地球に多大な影響を与える。あるいは、(天文学的に)地球のすぐ近くで超新星爆発があれば、地球はガンマ線やニュートリノで焼きつくされてしまう。それには25光年以内での超新星爆発という極めて稀な事件が必要だが。

 あるいは、ガンマ線バーストの高出力ビームが地球を直撃したらどうだろう。ブラックホールが地球を丸呑みしたら?SFでさんざん取り上げられた、宇宙人の脅威は?

 ああ、しかし、これらは起こる可能性が低いのでまだ良い。残念なことに、100%確実に地球を破滅に追いやる危機がある。それは、太陽の寿命である。あるいは、我々の銀河系は、アンドロメダ銀河と急接近している。20億年ほどで衝突するのは確実だ。

 待て、それは遥か未来だから人類の科学・技術でなんとか対処できるかもしれない。しかし、星が無くなってしまうのは如何ともし難い。恒星の誕生は、1兆年程で終わってしまう。その後で何十億年か経てば、宇宙に煌めきは無くなってしまうのだ。

 怖がることは無いのではないかと思う方、貴方は正しい。

 本書は、こうしたありうる恐怖のシナリオを丁寧に分析することで、宇宙の深遠さと不思議を語るものになっている。

 例えば、太陽系の成り立ちであったり、太陽系の銀河系内での振る舞いであったり、ガンマ線バーストやブラックホールや超新星爆発といった超巨大質量の天体の不思議であったり。特に後半、太陽の死では恒星の一生を追いかけ、宇宙の死では宇宙誕生からの進化を追う。一冊で、天文分野を広く漁りながら魅力的な歴史を語る、とてもおもしろい本。

 宇宙の不思議をつくづく感じさせられた。SFレベルであろうと、宇宙に興味が有る方には是非ともお勧めしたい。ついでに、こうした事実を解き明かしてきたことや、今の時点でできることの多さに感心できる、盛り沢山な一冊。
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素粒子・宇宙論 | 2013/05/22(水) 23:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1198冊目 新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異
新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異 (ブルーバックス)新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異 (ブルーバックス)
(2003/05/17)
浅島 誠、木下 圭 他

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評価:☆☆☆☆


 生物の不思議は、一つの精子と一つの卵子が出会ってから、受精卵が猛烈な勢いで分裂し、親とほぼ同じ姿の個体を作り上げていくところにある。

 そこでは、体の方向を決めたり、細胞がそれぞれの専門職へと分化したりと、その後の一生を決定づけることが起こっている。脳の代わりに筋肉ができてしまったら困る。そんなことが起こらないのは、発生が緻密にプログラミングされている証拠だ。

 発生学とは、受精卵が辿る不思議と驚異に満ちた一連の変化を調べる学問である。

 まず、遺伝子には何が書かれているのか?という問がある。答えは、タンパク質を作ること、である。遺伝子には4種類の文字が使われていて、それが3つで1つのアミノ酸を指定する暗号となっている。DNAに記されたその暗号は、mRNAというパシリを使って合成工場へ指令を伝える。すると、工場では次々とアミノ酸を組み合わせ、タンパク質を作っていくのだ。遺伝子がやっているのは、たったこれだけ。

 では、タンパク質が出来たらどうやってこんな複雑な体ができるのか?その問題が面白いのだ。

 濃度勾配を作って、それが体の軸を作るとか、ホメオボックスと呼ばれる、体の構造を大きく左右する遺伝子の存在だとか、それらがかなり細かく書かれている。

 本書を読むと、生物が発達させてきた遺伝暗号システムの驚異に感嘆する。個々の遺伝子の詳細にまで踏み込んでいるので、ややレベルは高いと思うが、面白さは細部に宿るので、考えながら読んだ。

 もう1つ、私達がこうも上手く組み立てられていることに感動する。どこにでもプログラミングミスは起こりえそうだから、本当に見事なシステムが進化してきたものだ。

 プログラムミスと言うよりも、エラーによって発生するのがガンである。なので、本書ではガンではガンについても触れられているのが魅力。遺伝子の不思議を感じるのには向いている。ただ、ちょっと上級者向けなので、じっくり時間を取って読むことをお勧めします^^。
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医学・脳・精神・心理 | 2013/05/20(月) 19:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1197冊目 かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべてかくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
(2009/08)
ニール・ドグラース タイソン

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評価:☆☆☆☆


 子供の頃、私の最初の科学教師であった母から、太陽系の惑星の並びを教えられた。「今はいつもは水金地火木土天海冥なんだけど、今は水金地火木土天冥海なんだよ。もう少ししたら戻るんだよ」、と。英語圏では、My Very Excellent Mother Just Stirred Us Nine Pies.(わたしのひじょうによくできた母が、まさに今われわれのためにパイを9枚焼いてくれた)のように覚えるらしい。各大文字が惑星の頭文字になっているのね。

 ところが、長らく親しんだその知識は、もう古いものになってしまった。

 2006年8月、プラハで行われた国際天文学連合 (IAU) 総会で、この手の総会では珍しいほどの注目の中で、惑星の定義が決められた。注目されたのは他でもない。冥王星が惑星に留まるか、はたまたその地位を奪われるかが問題だったからだ。

 御存知の通り、冥王星は降格され、準惑星となった。

 何故だろう?

 それは、太陽系内の天体の起源を考えていくと、冥王星は他の惑星とは明らかに異なるから、だ。それでも、ただ起源が異なるというだけでは、惑星の地位を保てたかもしれない。しかし、冥王星を惑星と言うには、この星は小さすぎる。そして、近傍に同程度の天体がありすぎる。冥王星に止めを刺したのもこの特徴だった。"軌道上の他の天体を排除していること"という構成要素を、冥王星は満たせなかったのだ。

 しかも、海王星軌道より遠くを回る小惑星天体で、冥王星よりも大きな天体も発見されている。その名はエリス。不和と対立の女神に由来する名である。女神の方はペレウスとテティスの結婚式に呼ばれなかったことに腹を立てたことがトロイア戦争につながった。冥王星の立場を揺らがせた小惑星にはうってつけだとしているのに同感。

 本書は、パーシヴァル・ローウェルの提言と、それを受けたクライド・トンボーによる発見と、奇しくもローウェルのイニシャルを頂くことになる命名に始まり、冥王星が降格に至るまでの流れと、その際の論争をまとめている、

 それにしても、アメリカにおける冥王星の人気には驚くべきものがある。一番好きな惑星ランキングで、地球を抑えて冥王星が一等賞というのだ。ローウェルがアメリカ人であり、アメリカ人に発見された唯一の惑星だったとしても行き過ぎな感がある。

 大いに注目されていたために、降格に対する反対もかなり大きかったようだ。ある人々は怒り、ある人々はジョークにした。そこまで科学の話題に社会が熱中するというのは、好ましいものだ。この問題を考えれば、どうやっても太陽系の起源へと探究心は向く。ただ名前を覚えるだけの営みと比べて、それはどれほど楽しいことか。 

 私も、冥王星が惑星ではなくなってしまったことが残念ではある。しかし、本書を読めば、冥王星が惑星ではない理由がはっきりすると思う。太陽系の起源を考えさせてくれる、楽しい一冊。


 最後に、思わず笑ってしまったネタ。天王星Uranusは音の上からyour anusを連想させるらしい。世界中どこでもシモに結び付けたがる人はいるものですね(笑)。
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素粒子・宇宙論 | 2013/05/18(土) 22:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1196冊目 知らないと恥をかく世界の大問題
知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)
(2009/11)
池上 彰

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評価:☆☆☆


 今をときめく池上彰さんの本。でも、このタイトルはどうかなぁ?生きていく上で重要な知識は確かにあるとは思う。でも、知らなくても生きては行けるものだし、知らないからといって恥じ入らなければならないものでもない。知識が多いのがえらいと言うなら、ジャーナリストが一番偉いという話になるではないか。

 と、タイトルを腐してしまったが、やはりこの人の文章は分かりやすくて良い。経済学にはとんと縁がなかったし、さして興味もない私でも分かったつもりに慣れるのだから偉大である。

 世界全体で眺めた時の資金の流れ、アメリカの次の覇権国、テロが起こる理由などを分かりやすく説明してくれている。ブッシュ前大統領の失政のツケがどれほど大きなものなのかも分り易い。

 知らないと恥をかくというのは言い過ぎだとしても、世界で今何が起こっているのかを大まかに知るには良いと思う。浅く広く、本当に色々なことを取り上げているから。

 ただ、環境問題として二酸化炭素による地球温暖化が喫緊の問題であるかのように書いているのは残念。私はこれに信を置いてはいないが、仮に本当だったとしても、実のところはそう大した問題ではない(『地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す』で詳述されている)。

 一方、"発展する国かどうかは、書店を見ればわかる"との指摘には、普段私自身が考えていることとも一致して、素直に納得できた。日本ではどんどん書店が潰れている。この先の日本の知が、ちょっと心配になった。まずは自分と、子どもたちに本を読ませることから始めてみよう。
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ノンフィクション | 2013/05/17(金) 20:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1195冊目 マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実
マインドコントロール  日本人を騙し続ける支配者の真実マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実
(2009/12/07)
池田整治

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評価:☆


 こ、このままでは日本は破滅してしまう!な、なんだってーーー!な本。分かっていて手に取ったので別に驚きや失望はなかったのだけど、どうせダメな本ならもっと徹底してダメな本であって欲しかったなぁ。中途半端だ。

 さて、ハッキリ言って、30を過ぎた人で、この本を読んで悲惨な事実誤認を10個すら見つけられないようなら、過去の人生経験を恥じなければならない。それくらい酷いレベルの本で、日本人がマインドコントロールを受けている等という寝言を言うのがいたら、こんな程度の本が出版を許されるんだからそんな事実はねぇよと言ってやるのが良い。

 間違いを指摘するにも、ページを繰る毎に現れるくらいなので付き合うのは避ける。取り敢えず、笑ったところをご紹介。一緒に笑いましょう。

 まずはコレ。

 ちなみにインスタントのカップ麺に使われている化学添加物の凄さがシンプルにわかる例としては、二〇〇食分を一気に食べると人間は即死するそうだ。天然のものなら食べ過ぎで死ぬことはあり得ない。(P.35)


 嘘こけ(笑)。200食分も食ったらなんだって死ぬわ。水だって飲み過ぎたら水中毒で死亡する。血液中の浸透圧が不足して赤血球が破裂するから。塩だって、300gも食ったら死ぬ。てか、カップラーメンを一杯200gだとして、200食分って40キロだぞ?一気に食べたら即死するって分かるだろ?ステーキだろうが米だろうがパンだろうが同じ。

 この人の論、粗雑なんだよなぁ。

 出雲の国でヤマトタケルが王になったころ、九州の高千穂地方に大陸から稲作文化を持って来た呉の人々が、新興国家「邪馬台国」を作っていた。そしてヤマトタケルは、その邪馬台国を勢力下に収めるために遠征した。(略)ヤマトタケルは、邪馬台国の女王である卑弥呼と結婚。二人の間に出来た息子が大和に行き、やがて大和王朝、つまり日本国を建国するのである。
(P.100)


 ええと、魏志東夷伝が書かれた頃の呉ってことは三国志の時代だぞう。なんで呉にそんな記述が無いんだよ(笑)。余談だが、呉は人員不足に苦しんで日本(と言われる)へ人狩りに行かせたのに、むしろ兵士が疫病にかかって人口を減らしてしまったというアレなエピソードを持ってたりする。ついでに、勿論のこと、卑弥呼の息子については史書に姿が見えない。

 大和朝廷の時代の人口について中国と比較しているのだけど、"ちなみに当時の中国の中原の漢民族でさえ、約一五万人程度だったと見積もられている。"って、いつの時代だよ(笑)。三国統一時で800万人余りだったことが知られる。高句麗ですら滅亡時に70万戸弱と言われるんだぜー。

 "少数の漢民族だからこそ異民族の侵入・支配を受けやすく、その反動で「怒髪天を突く」等、儒家の誇大妄想的な表現にならざるを得なかったとも思われる"ってさあ、怒髪天を衝くの表現は既に史記の廉頗・藺相如列伝にある表現だと思うのだが。"完璧"と"刎頚の交わり"の故事の起源となった伝で、面白いのでお勧めですよ。

 イルミナティ、フリーメーソン等の陰謀組織がお約束のように姿を表して、証拠もなしに悪役と決めつけられているのは、この手の本ではお約束。もうちょっと新たな視点が欲しかったぞう。エシュロンもそりゃあもう凄い秘密兵器みたいに取り上げられているけど、情報が集まりすぎて処理能力が絶望的に足りていないので無用の長物と化している現実は書かれないのね。もうちょっと勉強しようぜ。

 というわけで、著者には科学書と歴史書とノンフィクション各100冊くらいは読んで出直してこい、と。

 恐ろしいのは、著者が陸上自衛隊小平学校の元人事教育部長だったということ。自衛隊も、こんなアレな人を将官にまで昇進させてたらまともな組織かどうか疑われまっせ。というわけで、自衛隊への(別の意味での)危惧がちょっと湧いてしまったのだったのだった。


 興味が有る方は正気を疑われる池田整治一等陸佐のトンデモ主張の数々と疑似科学ホメオパシーをご覧ください。
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未分類 | 2013/05/16(木) 20:17 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1194冊目 有機化学が好きになる―"カメの甲"なんてこわくない!
有機化学が好きになる―有機化学が好きになる―"カメの甲"なんてこわくない! 〈新装版〉 (ブルーバックス)
(2011/06/21)
米山 正信、安藤 宏 他

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評価:☆☆☆


 ゴムはどうして伸びるのか?このシンプルな問いに答えること、できますか?

 実は、この問題の答えを知るには、化学の世界、それも有機化学の世界に深く入り込まなければならない。炭水化物、脂肪、糖、食物繊維といった食品類、衣服に使われる絹や綿やウール、ポリエチレン、容器やら何やらに使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、我ら活字中毒者に欠かすことの出来ない(偏見)紙。身の回りにある多くのものが、炭素を骨格に作られている。それらを扱うのが有機化学である。

 大学時代にやっていたので、懐かしくなって読んでみたのだが、思ったより専門的で驚いた。

 有機化学で扱う分子が極めて複雑なのは、炭素の高く豊かな反応性に拠るものだが、それを説明するには炭素の電子軌道を説かなければならないのです。というわけで、本書では(そこまで深くではないにしても)炭素の電子軌道がs軌道やらpx軌道やらを通っているということや、反応が進むにつれて軌道が変わることも説明している。

 有機化学物質が生物を形作り、広く利用されている理由を分かりやすく教えてくれる好著。ただ、苦手な人がこれを読んですぐに好きになるかというと疑問だなぁ^^;。

 尚、本書は大分古い本である。元の本は1981年に初版が出たというが、ロングセラーとして長く版を重ねたもの。

 子ども(男女)に物識り博士の組み合わせ。なんというか、案内役のお姉さんが居れば、もうまんま小学生向けの理科番組的な感じである。この組立に時代を感じる。時たま織り交ぜられるオヤジギャグは、ちょっとでも雰囲気を軽くさせようとしているのだろけど、脱力させて肩の力を抜けさせようとしているのかと問いたくなる。と、ちょっと残念なところはあるのだけれども、有機化学の魅力を広げようとする意欲作として評価したい。
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その他科学 | 2013/05/15(水) 19:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1193冊目 宇宙で地球はたった一つの存在か
宇宙で地球はたった一つの存在か (ウェッジ選書―「地球学」シリーズ)宇宙で地球はたった一つの存在か (ウェッジ選書―「地球学」シリーズ)
(2005/12)
松井 孝典

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評価:☆☆☆☆


 科学的とはどういうことか。それは、普遍性を求めることだ。では、地球は普遍的な存在なのだろか?我々は生命を普遍的なものと考える。しかし、地球の生物だけを見て普遍性を語って良いのだろうか?

 かなり大上段に構えた問いかけである。しかし、人類の来し方行く末を考える際、あるいは我々人類と地球との関わり方を考える際には、そうした問題の捉え方が重要になってくる。

 まず最初のトピックは、比較惑星学。太陽系内の惑星や、衛星についての話題が来る。土星ではヘリウムが沈降しつつあるとか、木星のあの色合いは水素とヘリウムのガスに混ざる水蒸気やアンモニア等の物質が反応しているのに対して、天王星や海王星では水にアンモニアが溶けたために青く見えるとか。

 なにより面白いのは、土星の衛星タイタン。メタンの霧雨が降るので、炭素循環ができているのなら、生物が居るかもしれない。ドキドキする話題ではないか。

 地球では当たり前のプレートテクトニクスも、磁気圏も、太陽系内の惑星や衛星の観測からは普遍的なものではない。地球はかなり特殊なのだ。

 では系外惑星はどうかとなると、本書が記された時点ではまだホット・ジュピターと呼ばれる、母星の至近距離を巡る大型ガス惑星くらいしか知られていなかったので、ちょっと古い話しになってしまっている。今では系外でも地球規模の惑星が、それも生物の生息可能なハビタブルゾーンから見つかっているので、他の宇宙生物の可能性も高い(ちょっと前、太陽系外に地球サイズの惑星 NASA発見、表面に水?なんてニュースがあった)。今後も注目したい話題だ。

 他にも環境問題の本質は何かとか、地球が全球凍結した時の話(『スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結』がお勧めです)、地下の遥か深くまで広がっている生物圏とそこに暮らす奇妙な生物等、興味深い話題が沢山。宇宙や地球に興味が有る方にはお勧めです!

関連書籍:
スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
(2011/10/07)
ガブリエル ウォーカー

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異形の惑星―系外惑星形成理論から (NHKブックス)異形の惑星―系外惑星形成理論から (NHKブックス)
(2003/05/01)
井田 茂

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素粒子・宇宙論 | 2013/05/14(火) 19:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1192冊目 ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで
ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで (文春文庫)ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで (文春文庫)
(2012/09/04)
福岡 伸一

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評価:☆☆☆☆


 『生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)』で一世を風靡した(大げさ?)福岡ハカセのエッセイ。なんとも素敵なタイトルだ。ハカセがはっきり記憶している子供の頃のセンス・オブ・ワンダーはルリボシカミキリの青色だった、という。

 虫少年だったハカセは、その感動を抱き続けて研究者への道を歩み、今の立場を得ている。好きなことを仕事に、というのとはちょっと違うけれど、関心を持ったことにずっと繋がっているのは著者の財産だと思う。文章から愛が溢れているもの。

 大好きな虫の話もあれば、大変な下積み時代のこともある。研究についての話題も、生徒たちに教える話題もある。楽しい事ばかりでは済まないはずなのに、そして大変だと書いてあるのに、それなのに生き生きとした好奇心と、知ることの楽しさが伝わってくる。

 元々は週刊文春の連載コラムだっただけあって、一回ごとの文章は短く、読みやすく、分り易い。加えて、本当に色々な話をしているので、こちらの世界まで広げてくれそうな気になる。

 そして、やはり面白さは細部に宿るのだなと思う。

 自然界の美しさだってそうだ。多くの人は誤解しているだろうけれども、自然をそのままの姿で愛でるより、分解してその奥に潜む驚嘆すべき成り立ちを知って、大いなる畏敬の念に打たれつつ、今の姿を美しいと思う方が楽しかったりする。

 自然科学を愛する人は勿論、苦手な人にもお勧めしたいエッセイ。



関連書籍:
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
(2007/05/18)
福岡 伸一

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エッセイ | 2013/05/12(日) 19:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1191冊目 この6つのおかげでヒトは進化した―つま先、親指、のど、笑い、涙、キス
この6つのおかげでヒトは進化した―つま先、親指、のど、笑い、涙、キスこの6つのおかげでヒトは進化した―つま先、親指、のど、笑い、涙、キス
(2007/08/24)
チップ・ウォルター

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評価:☆☆☆☆


 なんとも気になるタイトルではないか。ヒトを進化させたもの。それはつま先、親指、のど、笑い、涙、キスだというのだ。

 上手いなぁと思う。何故なら、つま先がは直立歩行を、親指は道具を作ったり物を投げたりする器用な手を、のどは社会を作るにあたって欠かすことのできない会話をもたらしてくれた物だ。そう言われてしまえば、前3つの重要性を争おうという人は居なくなるだろう。

 次の笑い、涙、キスはちょっと様子が異なる。なんとなれば、これらは無いならないで別に構わないのではないかと思わせるから。ところが、これらがあることで、人と人とは高度な社会性を作ることができたとなるとどうだろう。

 つまり、前3つは人がジャングルを離れて人としての進化を始めるにあたって不可欠だったもの、後3つは複雑な社会を作るにあたって役立ったと思われる項目となっている。はっきりと雰囲気が分かれるのだ。そして、前者はまだ化石に証拠が残り得るが、後者はそうではないという違いもある。

 かくして、まずは人類の辿った歴史を追うことになる。目覚ましい発展を遂げる人類学の最新の知見を覗いているので、こんなにも多くのことが分かっているのかと驚く。遠い先祖のホモ・ハビリスで既にウェルニッケ野が育ちつつあったなんて、どっきりして楽しくなりませんか?

 後半は難しい。なにせ、証拠が残らないものばかりだから。涙をながすことも笑うことも人間に特有のことだ。そこには何か利点があったはずである。その謎に、心理学から得られた結果を用いて迫っている。そのそれぞれのトピックが面白い。

 キスは、確かに気持ちいいのだけど、ヒトの進化を語るにはちょっと強引かな(笑)。著者も記す通り、キスがない文化だってあるわけだし。

 この手の本が面白いかどうかは、話の切り口が上手いか下手かで決まると思う。例えば『世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史』や『文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎』が成功したのは、取り上げた項目で読者を納得させられたからである。本書も成功例に入るだろう。どの話題も知的好奇心を刺激する、面白いものであった。

 そして、人類学への興味が更に高まってしまった。また何か見繕ってみよう。


関連書籍:
世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
(2007/05)
トム・スタンデージ

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医学・脳・精神・心理 | 2013/05/10(金) 21:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1190冊目 「反」ダ・ヴィンチ・コード―嘘にまみれたベストセラー

「反」ダ・ヴィンチ・コード―嘘にまみれたベストセラー「反」ダ・ヴィンチ・コード―嘘にまみれたベストセラー
(2006/02)
ホセ・アントニオ・ウリャテ ファボ

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評価:☆☆


 世界的なベストセラーになった『ダ・ヴィンチ・コード』(未読ですけど^^;)。そこでは物語と並行して、キリスト教会に関する驚くべき事実が暴露されている、という形式を取っている。

 『ダ・ヴィンチ・コード』が小説なのは当然として、"明かされた真実"については実はフィクションではない、と信じてしまう人が少なくないらしい。その状態に警鐘を鳴らすべく、幾つもの論点を取り上げて批判しているのが本書。

 こういうノリ好きなんですよ。

 え?評価が低いじゃないかって?

 そうなんです。困ったことに、本書はもう完全に教会側の人が、不勉強で不信心で反道徳的な駄作を批判してやろうという雰囲気になってしまっているのです。ダン・ブラウンが不勉強なのは分かる。絵の解釈の拙さを見ればそれだけで十分だ。MMRだとでも思えば良い。

 不信心なのか?それには多少の疑問がある。勿論、正統派キリスト教とは相容れない考えを幾つも持っているだろう。しかし、それはキリスト教内部の問題であって、外部から眺めるなら、不信心とは言えない。

 反道徳、となると大分怪しい。

 困ったことに、本書ではキリスト教を信じない人は個人主義で云々といったレッテル貼りが随所に出てくる。批判が嵩じて非キリスト教徒への論難にまでなってしまっている。

 きっと、同じ世界観を持つ人には気持ちが良いのだろう。しかし、私のようにキリスト教を全く信じていない人間には独善に凝り固まっていて薄気味悪いようにしか見えない。こうした偏狭さが、キリスト教を舞台にした血塗られた歴史を導いたと思ってしまう。

 例えば著者は一次資料を元に魔女狩りで火あぶりになったのは100人に過ぎない等と言って、数百万人とするダン・ブラウンを非難する。しかし、数百万というのはちょっと前までは当然のように持ちだされていた数字であり、著者の不勉強を示しては居るだろうが、それ以上のものではない。

 一方、100人というのはどうだろう。私がぱっと思い浮かぶのでも、ドイツのトリーア市でフラーデ市長が処刑さ
た事件がある。市長の痛ましい手紙は随分前に読んだのに今も心に残る。政争によるでっち上げのようだが、こんな著名人まで巻き込んで100人でしたでは納得されないだろう。(今では最大40,000人と見積もられているそうな)

 独善的な文章でもOKという方や、この手のベストセラーの不勉強を皮肉るのを見るのが好きな方は読んでも良いかも。って、前者は中々居ないでしょうね^^;
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未分類 | 2013/05/08(水) 20:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1189冊目 実証 超科学講座
実証 超科学講座実証 超科学講座
(2007/10)
不明

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評価:☆☆☆☆


 うわ~、メッチャ怪しいタイトル。超科学ですよ、超科学。グーグル先生で超科学を調べたら出るわ出るわ。アレなのばっかり。そんなわけで、トンデモ本を久々に覗いてやろうと思ったのだが、違ったのですよ、これが。

 本書は『ニュー・サイエンティスト』誌で"読者どうしで日常の科学的な疑問について、尋ねたり、答えたりしてもらう"コーナーをまとめたもの。そう。『つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問』のシリーズであった。

 身近なことにも科学的な疑問を抱く余地は沢山ある。それを大切にするかしないかが、こうした企画に参加するかどうかを分けているのだろう。

 それにしても楽しい疑問がいっぱいだ。"毒ヘビの毒は飲めるのか"、"化石になりたいけど、どうすればいいの?"、"なぜハチは迷わないのか"、"黒ビールの泡はなぜ白い"等々。こうした質問とその答えがなんと102もあるのだ。中には専門家が答えてくれたものもある。"クリームの対流の秘密とは"の謎を解くための研究は、『溶質対流における模様形成―曲がりくねった渦巻きと引き離された小片』と題され、専門書に載ったとか。

 中にはちょっとピントがずれていたり、知識自慢と感じられるものも無いではないが、全体的に知的好奇心に答えようとする気概とユーモアが溢れていてニヤリとさせられる。面白いし、質問の回答を見ることで自然科学の楽しさを感じさせてくれる良書。続編が出たら読んでみよう。
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その他科学 | 2013/05/07(火) 21:21 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1188冊目 移り気な太陽―太陽活動と地球環境との関わり
移り気な太陽―太陽活動と地球環境との関わり移り気な太陽―太陽活動と地球環境との関わり
(2010/11/15)
桜井邦朋

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評価:☆☆☆☆☆


 ちょっと前に読んだ『太陽に何が起きているか』が面白かったため、太陽に興味が湧いて読んでみた。

 アメリカの科学雑誌『サイエンス』の2009年10月12日号に、"What Happened to Global Warning?(地球温暖化に何が起こったか?)"と題する記事が載った。IPCCの不吉な予言に反して、1999年以降は地球の温暖化が止まっている現実の報告だった。奇妙な話である。なにせ、2000年以降の二酸化炭素排出量は、中国の化石燃料使用量の激増に伴ってこれまで以上に激しくなっているのだ。

 二酸化炭素が増えれば温室効果によって地球が温暖化する。それが、二酸化炭素による地球温暖化論の骨子である。しかし、現実はその仮説に従わない。つまり、この説は既に破綻している。破綻した仮説は捨て去るのが科学である。にも関わらず、環境学者達はマウンダー極小期の寒冷化も中世温暖期も無かったことにして、ついでに現在のデータを捏造(『地球温暖化スキャンダル−2009年秋クライメートゲート事件の激震』に詳しい)して、自分たちの教義を守ろうとしている。こんなものは科学ではない。論理的でもない。あるのはただ政治だけだ。マルクス主義が正しいとされたような。

 一方で、地球が受け取る太陽からの熱放射に温暖化の原因を求めるのはナンセンスである。なにせ、その量は極めて安定で、過去の観測でわずか0.2%しか変動しないのだ。

 では、太陽活動は地球環境に影響を与えないのだろうか。

 そうではないところが、宇宙規模の科学の面白いところ。太陽活動は、確かに地球に影響を与えているのだ。それも、決定的な。

 本書では、その魅力的な仮説である、太陽活動の増減に伴う、地球への宇宙線侵入の増減が環境に影響を与えるという説を解説している。この仮説の見どころは、マウンダー極小期のような太陽活動の低調だった時期と地球の寒冷化をきちっと関連付けて説明できるところだ。説明できないからといって無かったことにする詐欺師どもとは大違いである。(環境学者達のメールには、"トリックを使った"等という信じ難い文言まで入っている)

 データも豊富である。太陽活動と気候との相関を、事実に即して語っているので、「おいおい、歴史的な証拠は無視かよ」などと悪態をつかずに読めるのが本当に安心できる。そして、本書を読めば今の穏やかな気候条件の下に暮らしていられるのが幸運だとつくづく感じる。それ程に、太陽活動は大きな変動をするのだ

 宇宙や環境に興味がある方は、是非この知的好奇心を刺激してやまない本を手にとって欲しいと思う。壮大で、魅力的な仮説が目の前にあるから。ワクワクしながら一気に読んでしまった。


 放射線の危険性にしても、二酸化炭素に拠る温暖化にしても、恐怖を煽るだけ煽る人々の存在が不快でならない。クライメートゲート事件は海外では大騒ぎになったのに、日本のマスコミではほぼ無視されている。本こそ出ているが、それを読む人など限られているだろう。彼らの仕事は、目立つネタが必要なのは分かる。しかし、本当のことを伝えて行くことも彼らの使命では無いのか。こうした、冷静な立場もしっかり報じるようになって欲しいし、一般人もしっかり受け止めるようになって欲しいものだと願わずに居られない。

関連書籍:
太陽に何が起きているか (文春新書)太陽に何が起きているか (文春新書)
(2013/01/20)
常田 佐久

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地球温暖化スキャンダル−2009年秋クライメートゲート事件の激震地球温暖化スキャンダル−2009年秋クライメートゲート事件の激震
(2010/06/01)
スティーブン・モシャー、トマス・フラー 他

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環境 | 2013/05/06(月) 19:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1187冊目 南極からのメッセージ―地球環境探索の最前線
南極からのメッセージ―地球環境探索の最前線 (NHKスペシャルドキュメント)南極からのメッセージ―地球環境探索の最前線 (NHKスペシャルドキュメント)
(2003/06)
NHK出版

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評価:☆☆


 大陸全域が平均2000メートル以上の氷で覆われた南極。他の大陸から隔絶されていることもあり、海水の熱循環からも切り離されたこの地は、同時に環境や惑星学の観点から極めて重要な場所でもある。

 『そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還』を読んでからこの地への興味があって、タイトルに"南極"が冠してあるだけで読んでみてしまいたくなる^^;

 日本の南極探索には、本当に色々な分野の人達が参加している。研究テーマが広いものだから当然だろう。本書では、どちらかというと科学者よりもそのバックアップに当たる方々が中心となって、南極がどんなところで何をやっているのかを語っている。

 バックアップは大変だ。『面白南極料理人』でもあったが、例えば料理に関しては、材料は全て年に一度の越冬隊員交代の時に運び込む。什器備品も。その間に発生したトラブルは、全て現場の創意工夫と努力で乗り越えなければならない。

 そんな不便なところ行く理由や、NHKがハイビジョンの送信設備を作るときの苦労、研究内容、南極の単独横断に成功した大場満郎さんのメッセージ等、内容は多岐に渡っている。

 南極の魅力を感じさせてくれるのはありがたいのだが、話題が雑多になっていて深みが足りないのは残念。ついでに、あまり科学に焦点が当てられているわけではないのも。





関連書籍:
そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還
(2000/09)
ジェニファー アームストロング

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地球環境を映す鏡 南極の科学―氷に覆われた大陸のすべて (ブルーバックス)地球環境を映す鏡 南極の科学―氷に覆われた大陸のすべて (ブルーバックス)
(2009/11/20)
神沼 克伊

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南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)
(2012/09/25)
北村 泰一

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面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
(2004/09/29)
西村 淳

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世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
(2002/12)
アプスレイ チェリー・ガラード

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未分類 | 2013/05/05(日) 19:17 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1186冊目 「地球温暖化」神話 終わりの始まり

「地球温暖化」神話 終わりの始まり「地球温暖化」神話 終わりの始まり
(2012/03/09)
渡辺 正

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評価:☆☆☆☆☆


 地球温暖化については今更説明するまでもないだろう。科学者たちは二酸化炭素の増加によって地球が温暖化していることに合意している、とされていることだ。

 しかし、その実態は実にお粗末で、凡そ科学を名乗るに相応しいものではない。

 もし二酸化炭素による地球温暖化が科学なのであれば、過去に起こったことを説明出来るだけでダメで、未来を予想できる、あるいはそれまで説明できなかった現象を新たに説明できるはずだ。例えば相対性理論では水星の動きが万有引力の法則では説明の付かないゆらぎを見せることを説明したり、重力レンズを予言して観測で正しさを実証した。

 しかし、温暖化は違う。予想は外れ、これがないと説明できない現象も存在しない。IPCCのお歴々は恥知らずにも、中世温暖期の存在をグラフから消去するという暴挙も行っている。グリーンランドでトウモロコシが栽培できた、今より遥かに温暖な時期があったことを認めないのだ。逆に、寒冷化のためにテムズ川が凍結した時期のことも無視してしまう。教義に都合が悪いから、だ。

 懐疑派がデータの開示を要求しても認めない。ウソも大量に紛れている。

 こうした姿勢を見ただけで、二酸化炭素による地球温暖化は科学ではないことが分かる。

 本書では、地球温暖化論がどれほど欺瞞に満ちた出鱈目なものかを舌鋒鋭く追求している。例えば、IPCCはその報告書を纏めるに当たり、世界トップの研究者を任じたと主張する。ところが、学位をとる10年前に執筆している人物が居る。おまけに、中立とは言い難い人物が加わっていることも明らかになっている。なにせ、環境保護団体と二足のわらじを履いているのだ。(環境保護団体が悪いというのではない。中立性を担保できないという意味である)

 あるいは、査読をクリアした文献のみを使用するという。ところが、18,531点の文献のうち、5,587点がグレーなのだ。

 これは、彼ら自身が、彼らの信用性を高めるために講じた処置では無かったのか。何故こんなにもルールが破られなければならないのか。

 答えは単純である。そうでもしなければ、二酸化炭素を犯人とする地球温暖化論を守れないからだ。引いては、彼らの研究資金を守れないからだ。

 恐らく、最終的な決着は10年ほど後に明らかになるのだろう。破綻を来たし、パッチワークで何とか命脈を保とうとしているに違いない。それに研究生命を賭けてしまった人がいるから、消え去ることは無いにしても。それまでの時間を短縮するのは、未来に責任を追う人間が果たさなければならない義務ではないだろうか。なにせ、国家予算は有限で、資金を必要とする問題は幾らでもある。マラリア対策のような。

 本書が述べる世界観は、あなたが聞いてきた"常識"とは違うかもしれない。

 二酸化炭素の増加はそもそも問題ではない。植物が増えるから。地球温暖化も問題ではない。中世温暖期はもっと暖かく、そこでは何も起こらなかった。それに、温暖な時期は文明が栄えた時代だった。

 落ち着いて考えなおすのにうってつけだと思う。薄いし、論理も明快で分り易い。最近のデータも多いので、これからこの問題を知ろうという方にはオススメである。

 『地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す』も併せてお勧めしたい。



関連書籍:
地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す
(2008/06/28)
ビョルン・ロンボルグ

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地球温暖化スキャンダル−2009年秋クライメートゲート事件の激震地球温暖化スキャンダル−2009年秋クライメートゲート事件の激震
(2010/06/01)
スティーブン・モシャー、トマス・フラー 他

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環境 | 2013/05/04(土) 19:57 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1185冊目 督促OL 修行日記

督促OL 修行日記督促OL 修行日記
(2012/09/22)
榎本 まみ

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評価:☆☆☆☆


 カネを貸す人が居れば、借りる人がいる。借りた人の全員がきちんと返済すれば何の問題もない。しかし、中には借りたカネを返さない人がいる。となると、カネを返さない人にきちんと返してくれと連絡を入れる人が必要となる。それが督促である。

 新卒で信託会社に入った著者はコールセンターに配属される。そこは、督促を行う部署だった。そこでの奮闘を綴った督促(トクソク)OLの回収4コマブログを出版化したのが本書。

 カネを返せなんて電話は誰も受けたくない。となると、困ったちゃんたちとの交渉はすんなりとは行くわけがない。ある人からは罵られ、ある人からは泣かれる。だったら返せよという気分にもならないではないが、そうはならないのが困ったところ。

 精神を病んで退職する人が多い。それくらいキツイ職場。ずっと成績の悪かった著者は、やがて高い回収率を誇るようになる。

 読むだけでとても大変そうな職場だ。私もとても耐えられそうにない。それなのに、陰惨なだけではない。どこかユーモアも感じさせる。だから、読者は呆れたり呆然としたり、そして笑ったりしながら楽しく読むことができる。そのバランス感覚は凄い。

 このしんどい部署でも長く勤められる人は本当に強いなと思わされた。特に、著者の先輩たち、歴戦の猛者の姿は凄いの一言。彼らのテクニックもコラムの形で紹介されているのだが、それは督促だけじゃなくて社会生活を送る上で役に立ちそうなことばかりというのも良い。

 こうした本の存在で、クレーマーやら何やらのせいで心を病む人が1人でも減ることを願ってやまない。
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ノンフィクション | 2013/05/03(金) 16:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1184冊目 乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待
乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待
(2011/04/22)
リチャード・フォーティ

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評価:☆☆☆☆


 大英博物館の自然史部門が独立してできたのが、自然史博物館である。著者のリチャード・フォーティは、三葉虫の権威として知られている人物で、2006年まで自然史博物館に奉職していた。その著者が、自然史博物館の裏側、一般客の目に触れない所で何が行われているかを記したのが本書である。

 博物館には、収集された様々なものを展示する役割の他に、科学の最前線としての顔もある。なにせ、集まってくるものも大量だ。だったらそこで研究もやってしまえというのが合理的というものだろう。

 その研究成果は、過去に紹介した『生命40億年全史』と『三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態』(どちらも抜群に面白かったのでお勧めです!)にあるのだが、本書はこれらとはちょっと雰囲気が違う。研究成果を明らかにするというより、収蔵されたものと、それを研究する様々な人の姿を追ったものだから。

 本書を読めば、次から次へと出てくる、一風変わった科学者の姿に驚くだろう。中にはネッシーは首長竜の生き残りであるという異説を唱えて博物館を逐われた人物まで居る。博物館の評判を失墜させかねないような人物も居る。研究で成果を上げる傍ら、異性関係でも絶大な成果を得た人物も。一方で、研究一筋という人もいる。人々の姿も面白い。

 そして、収蔵されている数々の物と、研究テーマが実に幅広い。本書では、魅力に溢れるこうした仕事の内容を見繕って紹介しているので、最新の研究成果だとか、深く掘り下げた知識というよりも、広く浅く、面白そうな話を詰め込んだという感じである。

 博物館の歴史や、進化論の登場(皮肉なことに、館長を務めたリチャード・オーウェンは反進化論者だった)、リンネの命名法に始まり、トリュフ、三葉虫、住血吸虫、ヒトクイバエ、法医生物学(これについては『死体につく虫が犯人を告げる』がオススメ)等々の興味深い話が詰め込まれている。

 おぞましい住血吸虫のライフサイクルは同時に驚嘆すべきものでもあるが、アフリカで生まれて人類の広がりとともに世界に散ったこの病気の最も原始的な種類がアジアで見られることや、隠花植物(cryptogams)の専門家が暗号文(cryptograms)の専門家と間違われてエニグマ暗号の解読チームに回されてしまった話(しかも、きっちり本来の専門知識を生かして役に立ってしまう!)あたりは、知的好奇心を刺激するだけではなく、読んでいて面白い話ではないか。

 博物館が担う仕事への愛が溢れていて、読んでいて本当に楽しい。一方で、直近の改革、つまり、研究者が研究資金を得るための努力をしなければならないという風潮には、著者に同調して嘆いてしまう。役に立つ研究には資金が集まるかもしれない。しかし、そんな近視眼的な役立つ・立たないで研究を二分してしまっては、研究者の視野が狭まるばかりだ。そして、周辺に追いやられた分野は見捨てられ、そこに偉大な知があったとしても誰もそれを知ることができなくなってしまう。

 役に立つ知識の背後には膨大な役に立たない知識がある。そして、どの知識が役に立つ知識に繋がるかなど、研究する前に分かるわけもない。例えば、新種の植物から取れる物質が難病を解決する画期的な薬剤に結びつくかもしれないが、それを事前に知ることなどできないではないか。だから、せめて科学ファンとして、その分野にカネが回るよう、こうした本を読むなり博物展に足を運ぶなりして応援していこうと思う。



関連書籍:
生命40億年全史生命40億年全史
(2003/03)
リチャード フォーティ

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三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態
(2002/09)
リチャード フォーティ

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死体につく虫が犯人を告げる死体につく虫が犯人を告げる
(2002/07)
マディソン・リー ゴフ

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地球史・古生物・恐竜 | 2013/05/02(木) 20:27 | Trackback:(0) | Comments:(1)

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