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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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1163冊目 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて
国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)
(2007/10/30)
佐藤 優

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評価:☆☆☆☆☆


 出張費を巡る背任と北方領土支援にからむ偽計業務妨害で逮捕され、有罪とされた元外交官の著者が、一連の逮捕劇とその後の獄中での生活を綴ったノンフィクション。

 考えてみれば不思議な不思議な話だ。なにせ、本書を読むと、そこに犯罪と見られることはないのだから。

 鈴木宗男議員を最終ターゲットとした政治劇。それが、著者の到達した答え。その結論に辿り着くまでに辿った思索と、犯罪とされたことについての著者の視点からの事実が述べられている。

 『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』を読んだ時も感じたが、日本の司法は検察しか向いていないように見える。事実関係だけから追えば、とても犯罪が行われていたとは思えないことを、裁判所は有罪にしてしまう。

 本書において当時の上司東郷和彦の証言(「外務省が組織として実行しており、佐藤被告が罪に問われることはあり得ない」)、『私はなぜ~』では詐欺の被害者とされたノルウェー側は詐欺に遭ったとは思っていないとはっきり述べていることを考えれば、どちらも検察の主張には無茶があると思う。

 私のような一般人には”国策捜査による事実を無視した取り調べ”についての真偽は、真の意味では分からない。その点で制限付きでしか信じるべきではないであろう。

 それはあるとしても、罪状認否でやっていないからと否定を続けると、裁判所は反省していないとより重い判決が下されるという。なるほど、それでは検察のストーリーを受け入れてしまうのが楽だ。それが、独裁政権下での支持率調査のような、異様に高い有罪率を生んでいる。つまり、検察に不利な極めて強固で知られた証拠が無い限り著者の指摘するような国策捜査故では有罪となることは決まってしまうのだろう。

 そうした国策捜査とはどのようなものであるかに加えて、著者が当たっていたロシアとの過酷な北方領土に関する外交が、本書のもう一つの魅力であろう。結局、外交についてニュースで報じられるのは、著者のような人々が裏で働いた結果の、そのほんの一部に過ぎないのだから、こうしたことを垣間見ることができるのは利点。そして、忘れてはならないのが獄中記としての性格であろう。大物左翼の死刑囚の話や、取調べ中の心の動きなどが縦横に語られていて、知られざる世界を覗かせてくれた。

 なによりも、本書を貫く明晰な思考と明晰な文章に痺れる。知的好奇心を刺激してやまない、凄いノンフィクションである。




関連書籍:
私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫)私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫)
(2007/10/16)
島村 英紀

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自壊する帝国 (新潮文庫)自壊する帝国 (新潮文庫)
(2008/10/28)
佐藤 優

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ノンフィクション | 2013/03/29(金) 20:39 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1162冊目 カトリーヌ・Mの正直な告白
カトリーヌ・Mの正直な告白 (ハヤカワ文庫NF)カトリーヌ・Mの正直な告白 (ハヤカワ文庫NF)
(2008/05)
カトリーヌ ミエ

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評価:☆☆

 フランスの現代美術誌”アート・プレス”の創始者にして編集者であるカトリーヌ・ミエが、自らの性生活を開けっぴろげに公開して世界の度肝を抜いたのが本書。

 そりゃあ驚くだろう。知識人階級に属する女性が、乱交やらアナルセックス(肛門性交というより生々しくないカンジがするのはなんでだろう?)やら同性との交渉やら屋外での行為やらと言った、所謂アブノーマルな行いを赤裸々に語っているのだ。

 大衆の覗き見趣味を刺激したこともあって過剰な報道が為された東電OL殺人事件も、注目される理由という観点からは同じ論理構造なのかもしれない。

 大勢の男達と体を重ねる時の思いやら、フェラチオする時の気分やらを克明に書いているので、そういうことに興味がある方には堪らないのではないか。

 ……ただ、私は性的にアクティブではないにしても、アブノーマルな行為も含めて性に興味はあるし、好きでもあるが(好きじゃなかったら『匂える園』やら『Fの性愛学』なんかのレビューはしません)、そうした私の琴線に触れる行為に乱交は無いんだなぁ。と、心の底からしみじみと感じさせてくれたものである。

 私が許せる3人以上の行為というのであれば女性2人と自分、というくらいだろう。その場合、私は満足するだろうが、女性たちは満足しないに違いない。何故かは聞かないで下さい。しくしく。

 ともあれ、読んでいて、余りエロティックさを感じさせなかったのは、この手の本にしては致命的なのではなかろうか。なんというか、こう、ちょっと足りない感じがする。具体的に言えば恥じらいだとか、こう、見えそうで見えないこのもどかしさ的な何かというか。それはきっと、先祖代々大切にしてきた侘び寂びという概念に違いない。ないったらない。

 北斎がなぜタコに絡まれる女性の絵を書いたのか。きっと、そうした想像の世界に最大のエロティックさが眠っていると思っていたのだろう。その精神的な伝統を引き継ぐだけあって、”触手”でグーグル画像検索をすると大変なことになっちゃうのだ(春画は芸術とか言う阿呆もいるが、アレは当時のポルノです)。

 とかいうようなことを思う人には向いてない本かもしれません。


 ……そういえば、かつて人気を誇ったニガシオというサイトでも、管理人が赤裸々に性体験を語っていたけど、エロティックではなかったなぁ。笑いはあったけど。
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ノンフィクション | 2013/03/27(水) 20:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1161冊目 イラク大量破壊兵器査察の真実
イラク 大量破壊兵器査察の真実イラク 大量破壊兵器査察の真実
(2004/04)
ハンス ブリクス

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評価:☆☆☆☆

 2003年、アメリカはイラクが国連決議に違反して大量破壊兵器を保有し続けているとしてイラクへ侵攻した。世界最強の国が万全を期して挑んだ戦いにイラクはひとたまりもなく、戦線はたちどころに破られバグダッドは陥落、フセインが指揮するバース党による一党独裁政権は崩壊した。その後、フセインは処刑され、アメリカの狙いは完遂された。

 ただ一点、あると確信していた大量破壊兵器が全く見つからなかったことを除いて。

 戦争前、イラクの大量破壊兵器排除の確認にあたっていたのが、著者の率いる国連の査察官だった。結論から先に言ってしまえば、下記の主張によってアメリカは安保理決議1441号を根拠にイラクとの戦端を開いた。

(略)米国は次のように――誤って、そして内部に多少の反対意見を留保しながら――結論づけていた。まず、イラクは確かに生物・化学兵器を保有していること。それも移動式設備で製造することさえできること。そして生物・化学兵器を撒布できる長距離型無人機を製造していること。さらに過去の核兵器開発計画を復活させていること。
(P.345より)


 但し、安保理の国々のほとんどは、当時の状況において1441号決議違反を理由に開戦するには無理があると見ていた。査察は効果を上げているとしていたのである。

 本書は、開戦直前まで行われていた査察がどのようなものであったのかを、当事者が振り返った貴重な証言である。

 読み進めるにつれ、イラクが取った数多くの不合理な行為や、欧米が査察など無くとも自分たちはイラクに大量破壊兵器が存在することを知っているとの立場から苛立ちを募らせていく様が良く分かる。

 特にアメリカの傲慢が戦争を生んだのは事実であろうが、イラクの愚かさもまた、同じ程度に寄与してたように見える。

 私はイラク戦争には反対であったが、正直に言って、フセインが大量破壊兵器を完全に廃棄していたとは思っていなかった。査察という活動を尊重はするが、それは100%確実に大量破壊兵器の不在を証明できるようなものではないという思いもあった。だから、大量破壊兵器が見当たらなかったという事実は、私にも驚きをもたらしたものだ。

 それはなによりも、査察に非協力的な態度を取り続けて身の破滅を招いたフセインの非合理さを示しているから。恐らく、欧米に屈したと判断されることをフセインは嫌ったのだろう。

 現代史の貴重な証言以外にも、査察についての知識を得るという点で、本書は古臭くなってはいまい。残念なことに、世界にはまだまだ独裁的な指導者が強大な軍事力を持ち、他国に脅威を与えている国がある。日本のすぐ近くにだって、ある。そうした国に対抗するのに何ができるのか。その1つの答えが、本書にはあるように感じた。
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太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2013/03/24(日) 22:34 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1160冊目 参謀の戦争
参謀の戦争参謀の戦争
(1987/11)
土門 周平

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評価:☆☆☆


 既に中国との泥沼の戦いに飲み込まれながら、それでも日本はアメリカと戦う道を選んだ。ハル・ノートのような過酷な文書を出されてしまったら仕方がない、という意見もある。実際、私もあの時点においては、開戦は不可避であったと思う。

 しかし、そこに至るまでの過程を眺めると、明らかな過ちが見受けられる。それも、うっかりミスのようなものではない。国家としての根幹に関わる、重大なミスが。

 本書は様々な時点における日本の迷走の一部始終を追っている。

 例えば、ノモンハン事件における統制の無さ(死傷者数ではソ連側の方が被害が大きかったが)。あるいは、日中和平のための”桐工作”の好い加減さ。首相となった近衛の無定見。全て、相手のことを考えず、自分に都合の良いことばかりを見ていたことに失敗の原因がある。

 その致命的な現れは、三国同盟締結であり、ドイツの快進撃を目の当たりにしての対ソ連戦争の準備(関東軍特種演習)であり、もたらす影響を甘く見積もり過ぎた仏印進駐であった。

 本書を読めば、どれほど軽はずみに戦争へと進んでいったかが分かって慄然とする。軍はテクノクラートであることを忘れ、政治家は言葉の重みを軽んじる。そして、目の前の利益を得ることにだけは貪欲である。加えて全体最適を考えないとなれば、その先が暗いことなど言わなくても分かろうというもの。

 読むほどに暗い気分になってしまった。それでも、戦争に至るプロセスが、どれほど淡々としてもので、だからこそどれほど気をつけなければならないかを感じさせてくれたことに感謝。

 せめて日本の近くにある、ちょっとどうかした国々が、こんな程度のノリで戦争に踏み切らないで欲しいと思わずに居られなかった。

 著者は陸軍士官学校を卒業し、戦車隊中隊長で終戦を迎えた後は自衛隊に所属し、軍事史研究を重ねた人物。だから、その言葉には重みがあった。いささか古い本でもあるし、読みづらい文章でもあるのだが、太平洋戦争への無軌道なプロセスを知るにはうってつけと感じた。
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未分類 | 2013/03/21(木) 21:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1159冊目 シモネッタのデカメロン
シモネッタのデカメロン―イタリア的恋愛のススメ (文春文庫)シモネッタのデカメロン―イタリア的恋愛のススメ (文春文庫)
(2008/02/08)
田丸 公美子

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評価:☆☆☆☆☆


 イタリア語同時通訳にして、シモネッタの称号を欲しいままにする著者の、抱腹絶倒間違いなしのエッセイ(※但し、シモネタOKの人に限る)。酒と煙草と女をこよなく愛するイタリア人たちが、これでもかとばかりに打ち明けてくれたシモの話を面白おかしく書いている。

 彼ら・彼女らが自由奔放に悦びを交わす姿には、正直うらやましいと思うところもある反面、彼の国に生まれなくて良かったとも感じさせてくれるところが面白い。

 なにせ、既婚婦人に聞いた寝てみたい相手の栄えある1位は、息子の友達だというのだから凄い。

 奥さんの同級生を食いまくっては同級生名簿に攻略完了の☓印を刻む夫もいれば(その夫婦げんかの様はぜひ本書でご覧頂きたい!)、観光地でよその奥さんと交渉を持った挙句に上手く逃げ切った若者等々、同じ男として羨ましい、ああいや、けしからん話が多い。

 所謂不倫と呼ばれる関係も多々あるのだが、そこに暗さを感じさせないのはイタリア人のラテン気質か著者の筆の運びか。行為を楽しんでいる雰囲気がある。セックスをコミュニケーションツールとしても活用してきた人類の、ある意味で究極の進化形とでも言おうか。

 タイトルの由来でもあるボッカチオの『デカメロン』も艶笑譚を集めたものというが、その名を借りたのに相応しい、シモへの愛に満ちた一冊。

 そう思わせておいて、しんみりさせる話も挟まれているから注意。私は脳梗塞で体が不自由になってしまった奥さんと旦那さんのエピソードに思わず涙しましたよ。

 盟友、米原万里さんとのことも書かれているので、彼女のファンにとっても楽しめる点が多いと思う。
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エッセイ | 2013/03/18(月) 20:21 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1158冊目 ワニはいかにして愛を語り合うか

ワニはいかにして愛を語り合うか (新潮文庫)ワニはいかにして愛を語り合うか (新潮文庫)
(1992/01)
日高 敏隆、竹内 久美子 他

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評価:☆☆☆☆


 ワニが愛を語り合うって?あの爬虫類に愛なんてあるの?と思ってしまうが、少なくとも母性愛や父性愛に見える行為をとる。孵化に至るまで絶食に耐えながら子供を見守る。あるいは、孵化する直前に、あの大きな歯で卵を割って子が出てくるのを助ける。それらは本能に根ざしたものであることは間違いない。しかし、そこに愛を見ることもできる。

 子への愛があるなら、配偶者への愛もあろう。愛などと擬人化するのが気に喰わないのであれば、性戦略と言い換えても良い。本書は、ワニに限らず様々な動物の性戦略を語ったエッセイである。

 春になると低い声で愛を語るカエル。ゲコゲコと騒がしい、あの低音にも進化の妙がある。ゲーム理論に基づいて、鳴かずに間男的な行為に走るカエルも居る。あるいは、洞窟の中で暮らすコウモリの群れ。彼らは一斉に子育てに突入するのだが、きちんと親子で”会話”をすることで、確実に親は子へ給餌をしている。

 同じように、蛾やら類人猿も、複雑な行動を取って、愛を語り合っている。そこで活動しているのは、”ワニの脳”、つまり進化的には古くからある部分である。我々は高等なことを考えているつもりでありながら、実はこの”ワニの脳”に踊らされているところがある、というのは面白い。比喩的な話ではあっても、生理的な好き嫌いなんかは、こうした直感に根ざしているのだろうから、あながち無視もできないだろう。

 この、ワニの脳からの視点も大事だという指摘も面白いが、上述の通り、多くの生物の性戦略を語っているのも魅力。ハチの代替わりで、新たな女王蜂が、まだ成人していない妹達を殺してしまうのだって、残酷に見えるが合理的だ。

 こうした様々な話題を、軽いエッセイで読めるのが魅力。まだ竹内久美子も面白い概念を人間社会へ適当に当てはめるという悪癖を発揮していないのも良い。生物の複雑さを改めて感じさせてくれる、素敵なエッセイ。


関連書籍:
脳とセックスの生物学脳とセックスの生物学
(2004/02/27)
ローワン・フーバー、調所 あきら 他

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生物・遺伝・病原体 | 2013/03/15(金) 23:19 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1157冊目 犬たちの隠された生活

文庫 犬たちの隠された生活 (草思社文庫)文庫 犬たちの隠された生活 (草思社文庫)
(2011/06/02)
エリザベス・マーシャル・トーマス

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評価:☆☆☆☆


 科学は色々なことを明らかにしてくれた。星の動きも、輝きも、瞬く理由さえ。星が動くのと同じ理由で私の落としたパンはジャムを塗った面を下にして床に落ちる。生命現象に目を転じても、臓器の働きや、それらが活動する、あるいは破壊される要件が分かってきている。それなのに、まだまだ科学が踏み込めないのは、心の世界。人間であれば、それでもまだ自分の思いを言葉で説明できる。が、動物ときたらお手上げだ。

 そんなわけで、動物のことなんて全然分かっちゃいないというのが現実だったりする。最も身近な動物である犬が、どうして電柱ごとにおしっこを引っ掛けるのか、それすらハッキリしたことは分からない。

 犬が求めているものは何なのかを、10匹以上の犬と暮らす中で著者が悟ったことを述べているのが本書。

 多頭飼いの経験に加え、狼の観察をしていたことが、著者の指摘に説得力を与えている。本書を見れば、犬が狼の子孫であり、その性格を今も色濃く残していることに納得がいくだろう。

 具体的には、犬同士の挨拶、散歩の際に会う犬会う犬ごとに繰り返されるあの儀式が、群れの中での序列を決めるのと同じであることは説得力がある。狼の群れの場合、発情期が来ても孕むのは序列1位のメスだけ。そうでなければ、群れが崩壊してしまうから。だから、序列を決めることは彼らにとって死活的に重要なのだ。

 犬が本当に求めているのは何なのか。著者が見出したその答えは、もしかしたら犬好きの人間には納得行かないものかもしれない。それでも、犬たちが自由に過ごす姿をこうして垣間見れば、きっと犬への意識が変わると思う。犬好きの一員として、楽しく読むことができた。そして、愛犬に家の中での自由は与えられたが、同族の仲間を与えられなかったことや、屋外での自由を与えられなかったことが、ちょっと残念になった。

 本書はその性格上、絶対に正しいと言える性格のものではない。だから、著者の意見に同意するかどうかは、各個人に委ねられている。そして、私はその指摘の多くを、価値あるものだと思った。
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生物・遺伝・病原体 | 2013/03/11(月) 23:34 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1156冊目 世界の特殊部隊

世界の特殊部隊 (宝島SUGOI文庫)世界の特殊部隊 (宝島SUGOI文庫)
(2008/07/17)
別冊宝島編集部

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評価:☆☆☆


 タイトル通り、世界の特殊部隊がどのような特色を持っているかを記した本。

 人口に膾炙するグリーンベレーやデルタフォースと言ったアメリカの特殊部隊、”世界最強の特殊部隊”の名を奉られるイギリスのSAS、フランスの特殊部隊COS、ソ連からロシアへとその力を継承するスペツナズ、等々。特殊部隊は今や世界中に存在する。日本にも、SATやSIT、SSTといった特殊部隊がある。

 これらの組織が存在するのは、警察力・軍事力のあるべき姿が以前とは随分と異なってきてしまったことに起因する、

 軍事組織としては、戦闘に先立って諜報の役割を果たし、いざ戦いに当たっては後方の撹乱や敵の虚を突く作戦に従事する。それはあたかも孫氏に言う、正兵にたいして奇兵を、という要請に沿ったものであるかのようだ。

 一方、治安維持としては、航空機、電車、バスといった公共機関のハイジャック、オウム真理教が行ったような化学戦、アルカイダによるテロリズムと言った問題への対処がある。

 通常の警察あるいは軍隊の対処では無理なのか?との問が生じるのは当然だろう。しかし、本書を読めば、答えが否であることが分かる。

 結局、軍隊や警察は、一般的な問題への対処が要求される。それだけに、大勢の人間を、それなりの時間で訓練しなければならない。一方、特殊部隊は違う。特殊な問題へ対処すべく、厳選された人材を、特別な訓練で育て上げる。本書を見れば、その訓練の徹さと、それ故に彼らが持つ力とを理解することができる。

 ともすれば秘密のベールに覆われがちな彼らの姿を明らかにしてくれているところが魅力。しかも、世界各国の特殊部隊を取り上げているので、百科事典的な面白さは保証する、

 一方で、この少ないページで多くの特殊部隊を取り上げようとする余りに、一つ一つの事例についてはページが足りなように思われてしまう面もある。入門書として楽しむのが最適であろう。
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ノンフィクション | 2013/03/09(土) 22:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1155冊目 テレビじゃ言えない健康話のウソ
テレビじゃ言えない健康話のウソ (文春文庫)テレビじゃ言えない健康話のウソ (文春文庫)
(2010/04/09)
中原 英臣

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評価:☆☆☆☆


 テレビ番組で○○が良いと言ったら、次の日スーパーからその商品が姿を消す。でも、そんなのは一過性で、次の週に☓☓が良いと言われたら、次はその商品を買いにスーパーへ走る。愚かな行為であると少なからぬ人が揶揄しながら、その行為は無くならない。それなのに、日本人はどんどん不健康になっていると言われたら?

 日本人の野菜摂取量は、1960年台に1日360gだったのが今では295g、歩数は8202歩から7011歩へ減少している。なんと、アメリカではガンや心臓疾患での死を減らしているのに、日本では増えているという現実。

 必要なことが欠けているのに、不要な、いや、むしろ有害と言われることは熱心に行われている。それが健康診断。なんと、厚生省の研究班が効果が認められるとしているのは、血圧、身長、体重、飲酒、喫煙、うつ病、糖負荷試験の6項目だけだという。以前から胸部X線撮影に何ら効果は見られないため、有害さはあっても効果はないと囁かれていたのではあるが、ここまではっきり出されると爽快だ。

 本書には、こうした一般人が思い込んでいるが実際には健康を守ることには結びつかないことが多く取り上げられている。

 と言っても、著者は医療に関わるなと言っているのではない。きちんと健康に関わる情報を見分けて、自分の健康は自分で守るという気概が大切であると言っているのだ。その上で、必要な時には速やかに受診し、曖昧さのないコミュニケーションを取るのが大事である、と。

 毎年少なからぬ子供の命を奪うインフルエンザ脳症にしても、大人用の薬を子供に与えてしまうのが原因だとなれば、情報をきちんと得ておくことの重要さは明らかだろう。

 一方で、医療側があたかも金儲けのためであるかの如くに不要な検査や処置を行なっていることに苦言を呈しているのも有難い。なにせ、専門知識が無い身には、医者が手術を受けたほうが良いとかなんとか言えば、同意せざるを得ない気分になってしまうわけだから。(知人の医者は、インフォームド・コンセントとかなんとか言っても、医者が思うとおりに患者に選択させるなんて簡単だ、と警句を発してくれた)

 結局、きちんと運動して、野菜は多めに摂り、タバコは吸わず、飲むなら赤ワインを適量、ついでに笑いが大切です、といった所なのだろう。そして、重要な決断をしなければならない時には、きちんと調べてから。

 取り敢えず、非喫煙者たる私は赤ワインを楽しもうと思う。
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医学・脳・精神・心理 | 2013/03/07(木) 20:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1154冊目 活力の構造〈開発篇〉
活力の構造〈開発篇〉 (講談社文庫)活力の構造〈開発篇〉 (講談社文庫)
(1990/03)
柳田 邦男

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評価:☆☆☆


 先日読んだ『零式戦闘機』で、その文章力と構成力に改めて感銘を受けて(20年くらい前、よく読んでいたのです)、古本屋で著者の本を漁ってしまった。そのため、やたらと古い本が積読に加わっている。本書もその中の一冊。

 技術で生きていくしか無い日本企業の、それも大企業がどうやって生き残りを賭けて開発に挑んでいるのかを追ったノンフィクション。

 大企業が革新的な技術を追求する中で、下請けとなる中小企業を刺激することで国全体の技術力が上がっていく面が確かに存在することを考えると、大企業に的を絞ったのは正しいといえる。中小企業だと、その業績を検証する資料に欠けることも多いだろうというのもある。

 ソニー、ミノルタ、住友化学、花王、松下(現パナソニック)、ブラザー、日産、富士写真フイルム、任天堂、オリンパス、京セラ、シャープ、NEC、帝人、神戸製鋼所等々の錚々たる企業が並ぶ。どれも技術力あるいはプラスαの何かによって名を馳せた企業だ。

 彼らがどのようにして成長したかを追った本書は、その成功面に学ぶという点では、今に生きるポイントが有る。

 一方で、やはり事例が古すぎることも否めないだろう。特に名を出すことはしないが、上記の中でも凋落著しい企業も少なくない。

 成功から学べることもあれば、失敗から学べることもある。そうした冷静さを持って読むのが良いと思う。そうした視点を持っていれば、きっと新たな発見があると思う。今の仕事をこなしていくのに必要なことと、10年後に仕事を続けるのに必要なことが何かは当然食い違って来るわけだから、もうちょっと考えないとダメかなと思わされた

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ノンフィクション | 2013/03/04(月) 21:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1153冊目 インド三国志
インド三国志インド三国志 (講談社文庫)
(1998/01)
陳 舜臣

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評価:☆☆☆


 三国志といえば中国じゃないか。魏と蜀が争う横で呉が漁父の利を狙うものぢやないか。と思ってしまったらこちらの負け。意外なタイトルに、つい手を出した。

 三国志というからには、3つの勢力がなければならぬ。では、本書におけるその3つの勢力とは何か。1つは、ムガル帝国。”祈る人”の仇名を持つアウラングゼーブが頂点に立つ帝国である。もう1つは、ラージプート族のシヴァージーが率いるマラータ同盟。そして最後の1つは、東インド会社。最後の勢力を見て思い至った人も多いであろうが、強大な力を誇ったムガル帝国が、各地の反乱に手を焼き、最終的にセポイの反乱で滅亡するまでの物語である。

 いや、そうなるはずであった。

 残念なことに、本書は未完である。著者の言葉を借りれば、”長安で董卓が部下の呂布に殺されたあたり”で終わってしまっている。

 そりゃあないぜ。未完の帝王田中☓樹と対談しただけのことは有り、見事なまでの放置っぷり。まあ、歴史の流れを踏襲しなければならない都合上、田中芳☓の小説とは違って無闇矢鱈と人が死ぬわけではないが。などと皮肉りたくもなるが、インドの物語を求める層がそれだけ少ないのかもしれない。

 それでも、ここまで読んだだけでもムガル帝国が滅亡に至った災厄の萌芽が那辺になるかは伝わってくる。それは、インド亜大陸をほぼ統一したアウラングゼーブにある。しかも、その内面に。

 アウラングゼーブは、妥協を知らぬ人間であった。それが政治改革のようなレベルで収まっていれば、まだ良い。しかし、彼の仇名を思い返して欲しい。”祈る人”、である。そうであるからには、彼の熱狂は、信仰にあったのは当然である。そして、熱狂的な信者は、しばしば苛烈な圧制者になる。

 アウラングゼーブが勝者となり得たのが信仰のお陰なら、彼の破滅をもたらした物もまた信仰であった、と思うべきなのであろう。政治の頂点に立つ人物が宗教に凝り固まってしまった時に何が起こるか、その悪しき見本を示してくれる壮大な物語になったであろうに、中途半端な所で終わっているのがとても残念。
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その他小説 | 2013/03/01(金) 22:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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