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Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
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1139冊目 人形のBWH
人形のBWH (文春文庫)人形のBWH (文春文庫)
(2012/05/10)
丸谷 才一

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評価:☆☆☆☆☆


 ブクレコで懇意にさせて頂いているあかつきさんに勧めて頂いたので手に取った。著者の丸谷才一さんは文学畑の人なので当然の如くに私の視界には入っていなかった人物なのだが、訃報で知性とユーモアが讃えられていたこともあり、読んでみようと思っていたところでもあったので調度良かった。

 さて、本書は『オール読物』に連載されていたエッセイを集めたもの。

 替え歌について思うところを述べてみたり、ミシュラン東京の文章が酷いと批判してみたり、戦国武将の真理を推理してみたりと、評判通りに知性とユーモアをまぶしながら縦横無尽に語っている。

 私が気に入ったのは、千一夜物語。なぜ千夜ではなく、千一夜なのかに始まり、千一夜物語の構造へ進む。ご存じかも知れないが、ちょっとだけさわりを。

 妻の不貞を目にして女性不信に陥った王様が、毎晩処女と床を共にして、朝になったら裏切られないように女性を殺してしまう。そんな暗黒時代が続いたある日、宰相の娘シェラザードは自分が王のもとへ赴くと言う。彼女は王と時間を過ごした後で、傍らに控えていた妹に聴かせる形で不思議な物語を語りだす。この物語が、また実に良い所で途切れてしまう。王様は続きが気になってシェラザードを殺さず、次の夜も同じ事を繰り返すのである。

 この物語、途中で王とシェラザードがどうやら寝ていないように見える回がある。それはなぜか?という謎(そんなことを勘ぐらなくても良いだって?いえいえ、面白さは細部にこそ宿るのです)を解き明かすのに、シェラザードの月経と出産を見て、そうだとすると~とやたら細かく解説してくれる。決して役に立たないであろう、そんな知に挑むところが素敵だ。

 それにしても、王様、たった1001夜で3人の子供を産ませているとはなかなかの遣り手ですね。。。

 随所に性愛についてのかなり肯定的な意見が挟まれるのが良い。それが下品にならないのであるからなおさら。知識とユーモアに感心しながら、気がつけば読み終えていた。うん、評判通りに面白い方です。お亡くなりになってから知ったのが、ちょっと残念。
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エッセイ | 2013/01/30(水) 20:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1138冊目 日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない

日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない (講談社プラスアルファ新書)日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない (講談社プラスアルファ新書)
(2008/03/20)
山本 謙治

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評価:☆☆☆☆


 食品添加物の多い食べ物と少ない食べ物、どちらが好きですか?あるいは、農薬を使った野菜と、無農薬野菜ならどちらが好きですか?

 こう聞かれて、添加物の多いものや農薬を使った野菜をより好ましいと思う人はいないだろう。私もそうだ。しかし、実際にスーパーに行って買い物をするときに見るのは何か。値段であろう。私もそうだ。

 安さを追求しすぎた一つの結果として、スーパーには異様に安い食品が並ぶことになった。どこが異様か?それは、国内で真面目に添加物や農薬を減らそうとする、あるいは伝統的な食品づくりをしていたのなら、採算割れが確実な値段であるということだ。

 本書では、多くの食品がありえないほど安いという現実が示されている。漬物、豆腐、納豆、伝統野菜、ネギ、牛肉、豚肉、ハム、卵、牛乳、ラーメン、ハンバーガー、山菜そば、椎茸、酢。これらを題材に、美味しいものを真剣に作るとどれくらいの値段になるか、そして、それらがどれほど美味しいかを熱く語っている。

 本書の良いところは、だからといって安易な添加物・農薬の排撃にはなっていないところ。添加物の規制やら農薬使用禁止に走るのは得策ではない。都市生活者の胃袋を満たすには、日持ちする食べ物が必須である。産地から離れたところに大量の食料を運搬するということは、添加物や農薬を必要とする、という意味だ。

 しかしながら、もっとできることはあるはず。添加物や農薬が嫌なら、それらが極力少ないものを買えば良い。不可能ではない。ちょっと余分にお金を出して、生産者を支えればよいのだ。自分が良いと思うものを作ってくれる人たちへの、ちょっとしたインセンティブ。それは、自分が欲しい物を入手しやすくする手段でもある。食品について話すのであれば、同時に国内の生産者を守ろうという話にもなろう。なにせ、遠距離輸送は自動的に保存料の使用を意味するからだ。

 この辺りの事情を、著者はこう語る。


(略)安い食を求め続けるということは、身近な日本国内の生産者・製造業者を生活できない状態に追い込んでいくということでもあるのだ。
(P.40)

 食品加工業界にいる友人は、コンビニやファストフードなどで食品を見るときには、必ず頭の中で原価計算をするという。そして、自分が基準値として持っている「ヤバイ線」を越えて安すぎるものは、絶対に買わないそうだ。
 「安いってことは、どこかにしわ寄せがいってるってことだよ。で、どこにそのしわ寄せがいくかといえば、食品の場合は、だいたい人の体さ」
(P.138)


 どれも頷ける主張だ。

 本書を読んで、もうちょっと食品にお金をかけて、美味しいものを食べるのも良いなと思った。ちなみに、私は添加物やら農薬やら防カビ剤を安全上の問題から避けるような愚は犯したくない。あくまで、美味しいかどうかに主眼があり、美味しいものは高いのであるから、そこにもっと価値を置くのも良いな、という意味である。

 興味を持たれた方は、まずは著者のサイト『やまけんの出張食い倒れ日記』を訪問して見ることをおすすめする。
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ノンフィクション | 2013/01/28(月) 21:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1137冊目 ぼくには数字が風景に見える
ぼくには数字が風景に見えるぼくには数字が風景に見える
(2007/06/13)
ダニエル・タメット

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評価:☆☆☆☆☆


 著者は10ヶ国語を操り、円周率22,500桁の暗唱の世界記録を持つ。それだけなら、天才の自伝に過ぎなかっただろう。しかし、彼が映画『レインマン』で有名になったサヴァン症候群であり、しかも他人の感情を理解するのが難しいアスペルガー症候群であり、しかも数字を見れば風景が鮮やかに頭に浮かぶ共感覚者でもある。いや、だからこそ先に述べた能力を持った、というべきか。

 他人の感情を理解するのが困難なアスペルガー症候群を持つことは、特に子供社会ではさぞ受け入れられなかったであろうと思う。

 本書の前半で描かれる子供時代は、決して暗澹とした雰囲気ではない。だが、文章から当時の苦しみが強く浮かび上がる。いじめられていたわけではない。いじめようとする相手も、著者が思ったような行動を取らないがためにいじめられない。ということは、いじめっこからすら相手にしない、ということでもある。著者の孤独はものすごいものがある。

 それでもダニエル少年は愛情豊かな両親に恵まれ、友人も得ながら成長していく。その間の、アスペルガー症候群ならではの拘りでてんとう虫やらチラシを集めまくる様には微笑ましいやら感心するやら。

 前半でのサヴァンとアスペルガーの様を見ると、中盤から終わりにかけての著者の成長には本当に眼を見張るものがある。

 単身リトアニアに趣いて英語を教えるボランティアとなり、帰国してからはパートナーも得る。著者が才能を発揮できているのは、成長する過程で著者が多くの理解者に巡り会えたことが大きいのだろうと勝手に思わされた。2人の子の親として、著者の両親のように全てを受け入れ、愛する人間でありたいものだ。

 映画好きには、『レインマン』のモデルとなったサヴァン症候群の男性に会いに行ったところが興味をひくだろう。

 豊富な話題に包まれながら、共感覚という不思議な能力を持つ人から見た世界像を教えてくれている。人間の存在の不思議さに思いを馳せる、そんな一冊。


 なお、私がアスペルガー症候群の方の文章に触れたのは、『ずっと「普通」になりたかった。』だったと思う。他人の感情をほぼ全く理解できずに苦しむ女性の半生だった。もうちょっと軽いのだと、『僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活』。どれもアスペルガーという、これまた不思議な症状を持つ人には世界がどう見えているか教えてくれていた。興味が有る方にはお勧めしたい。


関連書籍
僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)
(2008/06/30)
泉 流星

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ずっと「普通」になりたかった。ずっと「普通」になりたかった。
(2000/04)
グニラ ガーランド

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なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異
(1990/10)
ダロルド・A. トレッファート

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ノンフィクション | 2013/01/26(土) 21:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1136冊目 ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)
(2008/05/09)
古川 日出男

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評価:☆☆☆☆


 20世紀は犬の世紀でもあった。1957年11月、地球を周回した初の哺乳類は、スプートニク2号に乗ったライカ犬の、その名もライカだった(一説にクドリャフカと言われることもあるがよく分からない)。ライカは、しかし死ぬべき運命だった。スプートニクは大気圏突入に耐える設計になっていなかったためだ。

 宇宙開発だけではない。彼らは、軍事面においても、人間の友だった。体よく使われた、というべきやも知れぬ。

 1943年、キスカ島。日米が争ったこの地には4頭の犬がいた。いや、日本軍が撤退した後に取り残されたと言うべきであろう。日本軍の北海道犬3頭と、日本軍の捕虜(?)だったジャーマンシェパード1頭。ここから物語は始まる。本書の主人公は、この4頭の犬に起源を持つ犬達である。

 第二次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争・ソ連のアフガニスタン侵攻。相次ぐ戦争の中にも彼らの姿があった。ある犬は英雄的な働きをし、ある犬は人間の愚かさにより窮地に立たされ、またある犬は平和な世界に生きる。

 一方、ソ連が崩壊し、ロシアとなった地域で一人の秘密工作員が目覚める。大主教を自称する男。彼の持つ地球儀の中には、犬の頭蓋骨が埋められていた。彼が姿を見せた時から、ロシアと日本の裏社会に激震が走る。彼の側には、犬の姿があった。

 二次大戦の犬からソ連崩壊前後のロシアの犬を結ぶラインの他にも、分岐した枝は世界中に散っていく。ベトナム、アラスカ、南米。彼らの中には、東遠に当たる仲間と殺しあう者もいれば、愛情で結ばれる者もいる。世界の問題を見事に取り込んで融合させる贅沢さが本書の魅力である。殺し合いやらドッグショーやら麻薬取引やら。本当に、扱われている題材の多さには圧倒される。

 文章は、かなり下手くそだと思う。くどいし、美しさに欠ける。しかし、それすらも味のある文章に感じさせる力が本書にはある。うんざりするほどややこしい現代史を読みやすくまとめてくれているからかもしれない。そして、そこにたった4頭に起源を持つ犬がいるという物語の見事さに魅せられるからかもしれない。残虐な描写も多少あるのではあるが、それが平気で犬が好きな方は読んでみてはいかがだろうか。『南極物語』とはまた違った形で活躍する犬達を見ることができるであろう。
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その他小説 | 2013/01/24(木) 21:46 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1135冊目 江戸の妖怪事件簿

江戸の妖怪事件簿 (集英社新書)江戸の妖怪事件簿 (集英社新書)
(2007/06/15)
田中 聡

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評価:☆☆☆


 江戸。それは、まだ合理主義が世を覆う前の時代(今も覆っているとは言い難いのはあるけど)。

 合理主義はなくとも、不思議な出来事をなんとか自分たちの理解できる範疇に持ち込もう、という人の努力は、あった。その説明に用いられたのが、妖怪であり、狐や狸による化かしであった。今でも死後の世界だとか霊魂だとかといった類の言葉が囁かれることはあるが、さすがに狐狸を犯人とするかのような言説はまず聞かれない。彼らは、歴史の奥へをその姿を没してしまったのだ。

 本書は、まだまだ妖怪が力を持っていた江戸時代、どのような妖怪にまつわる事件が起きて、どのように解決されたかを事件簿の如く示している。事件そのものが興味深いのはあるが、それよりも人々が怪異をどう捉え、どう対処してきたかが面白い。

 著者も指摘しているが、摩訶不思議な出来事に対して「死者が蘇ったことなど無いのだ」という合理主義を唱える一方で「だからアレは狐や狸の仕業である」と結論するのは面白い。理解できないことの原因を不思議なことで説明するのは、不気味さを失わせるための魔力にはなれたとしても、現実を説明する力にはなり得ない。

 現代的な目で見れば、脳の機能的あるいは器質的な機能不全こそが原因ではないかと思われる事件もある。あるいは、怪異に事寄せての社会的な不満の表明に見えるものもある。そして、妖怪なんかよりも人間こそが最も恐ろしいと思わせるものも。

 一方、厄除けにぼた餅が必要とされたら餅米が市場から消えるといった話は、怪しげな健康食品情報に踊らされる現在の社会を彷彿とさせる。怪異のあった場所に物好きが集まってくるところもそう。

 不思議を説明する手段は変わっても、人間は変わらないと感じさせられた一冊。



関連書籍:

きつねつきの科学―そのとき何が起こっている? (ブルーバックス)きつねつきの科学―そのとき何が起こっている? (ブルーバックス)
(1993/09)
高橋 紳吾

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ノンフィクション | 2013/01/22(火) 21:09 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1134冊目 傍聞き

傍聞き (双葉文庫)傍聞き (双葉文庫)
(2011/09/15)
長岡 弘樹

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評価:☆☆☆


 救急隊員、警察官、消防隊員、犯罪者の更生保護施設長。いずれも、独り立ちするのに多くの経験が必要とされる仕事だ。

 本書は、彼らを主人公に据えた短篇集。4つの物語が収められており、上記の人々が主人公になって物語が進む。

 ミステリと分類されているようだが、殺人や窃盗といった事件が起こって、それを探偵が解決する類の物語ではない。むしろ、彼らの仕事の日常で起こる、当たり前の出来事を通して彼らの活躍を描き、結論は心暖まるものとなっているのが共通点。

 気に入ったのは、消防隊員の話。シングルマザーに恋してしまった隊員がちょっとヘタレ気味なアプローチをするのがちょっとくすぐったいような感じで、それがある火災がきっかけに大きく姿を変えていくところ。

 それぞれのキャラクターが確立されているし、かといってテンプレートに堕しているわけでもない。

 ページは短いのに、伏線を張ってはそれをきちんと回収しているところはお見事。タイトルとなった傍聞きとは、直接言われるよりも間接的に耳に入ってくることの方が信用できるという、人の難儀な性格からでた言葉。この傍聞きは何かをきちんと説明した上で、それをも伏線にしてしまうところが良い。

 一方で、伏線を多く用いると、結論が見えてしまうという問題もある。読者が結論を分かっているのに、冗長とも思えるような文章が連なっているように感じられたのはちょっとマイナス点かな。

 ハートウォーミングストーリーがお好きな方には向いていると思う。多分、大絶賛しているのは、そうした方だろう。ただ、当方は、できれば事件は殺人とかなんとかが良いなあ。ラストシーンでホッとするのは好きなのだけど(笑)
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推理小説 | 2013/01/19(土) 21:54 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1133冊目 最後の理性―戦争は倫理的な行為である

最後の理性―戦争は倫理的な行為である最後の理性―戦争は倫理的な行為である
(2000/03)
潮 匡人

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評価:☆☆☆


 戦争が倫理的?そんな莫迦なと思って読んでみた。結果、少なくとも戦争が倫理的であると筋道建てて説明してはいないとしか思えなかった。

 日本が平和を享受できているのは憲法解釈は捨ておくとして、国軍たる自衛隊と、その庇護者たる米軍の力によるものであることは間違いのない事実である。しかし、その自衛隊への風当たりは目も当てられない程に酷いものであるとの著者の指摘には、頷かざるをえない。

 例えば北朝鮮の工作船の事件。あの時、自衛官はほぼ丸腰で軍隊規模の武装をしているであろう存在と対峙せざるを得なかった。交戦規定すら整っていなかったためだ。これはPKOの時にも問題となった。幸い、今では状況が変わっているようだが。

 専守防衛という思想にがんじがらめにされて、自衛官をも守れないシステムはおかしい。彼らが職務を遂行するにあたって、被害を最小化するために様々な手段を打つべきなのは当然だし、そう指摘する著者の言には賛同しかできない。法律面や装備面での整備を進めるには理性が必要であるのは論を俟たない。

 一方で、では戦争が倫理的かというと、そうではあるまい。戦争に備えないことで非倫理的な結果をもたらす可能性はあるが、戦争になどならないのが最善に決まっている。孫子の指摘する通り、戦わずして相手を挫かせることが最善であろう。その背後に軍事的なプレゼンスがあるのは当然のこととして。

 その辺りの考察が一足飛び過ぎて残念だった。田中角栄の一連の事件についてもあたかも陰謀論に与するような態度であることも評価を下げる。

 古い本なので、扱うネタが北の工作船やオウム信者の入居拒否等、古い感じがするのは否めない。しかし、国の姿がどうあるべきかを考えるのには、著者の立場に賛成だろうと反対だろうと良いきっかけにはなると思う。読みながら色々と考えさせられたのは良かった。



 それにしても、帯の石川好による推薦文には吃驚した。曰く、"民主主義を真に実践している国は戦争に負けない。なぜなら、よき民主主義国家とは国軍を正しく使う技術を持ち、これを尊敬する国民によって成立しているからだ"。んな阿呆な。寝言は寝てから言え。では、ベトナム戦争で勝者となった北ベトナムは民主主義を実践していたのか?アメリカは国軍を尊敬しない国民から成り立ってるのか?

 指摘しても、どうせ"真の民主主義を実践してない"とかなんとかゴネるのだろうが、だったら民主主義の定義なんていらない。戦争に買った方に"真の民主主義"の名を冠してやれば良い。この手の一見意外性がありそうで、その実は何も言っていない虚しい文章を書かせるなよ、編集。
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評論 | 2013/01/17(木) 22:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1132冊目 半分の月がのぼる空〈2〉waiting for the half‐moon
半分の月がのぼる空〈2〉waiting for the half‐moon (電撃文庫)半分の月がのぼる空〈2〉waiting for the half‐moon (電撃文庫)
(2004/02)
橋本 紡

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評価:☆☆☆☆


 前巻で、病室にとんでもない量(数百冊ではきかない、らしい)のエロ本を溜め込んでいた多田老人が亡くなり、主人公はその遺産を引き継いでいた。まさか1人の人生が詰まったものを無碍にするわけにもいかない。そんなわけで主人公は由緒正しくベッドの下にそのコレクションを溜め込んでいたのであった。

 それが悲劇のもとになるとは、誰が予想しないだろうか。

 お約束通りにコレクションは里香に発見され、主人公はすっかり里香に嫌われてしまう。

 そこに現れたのは、里香の主治医。彼は巧みに主人公に接近すると、なんと無修正のアレをプレゼントしてくれる。勿論、それが呼びこむのは更なる悲劇である。

 良い雰囲気になるたび、誤解か自業自得で気まずくなるのはラブコメの王道と言えよう。

 後半、『銀河鉄道の夜』のジョバンニとカンパネルラを演じる2人。あの物語を知る人であれば、心臓が弱く、いつまで生きられるかも分からない里香がどんな気持ちで自分をキャラクターに重ねているかが分かるだろう。その切なさを主人公が知った時、少年は一歩大人になる。
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その他小説 | 2013/01/15(火) 22:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1131冊目 いい歳旅立ち
いい歳旅立ち (講談社文庫)いい歳旅立ち (講談社文庫)
(2006/02/16)
阿川 佐和子

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評価:☆☆☆


 著者の阿川佐和子さんはタレントとしてだけではなく、エッセイストとしても広く知られている。が、読むのは初めてだったりする。タレントで面白いのは少ないのではないかという勝手な偏見だったのだが、そんな懸念を打ち破る面白さだった。

 彼女の場合、知性よりも感性が魅力を放つ。

 多く出てくるのが自分の年齢ネタ。結婚願望が強く、いつか結婚して子供を産んで平凡な専業主婦になるはずが、思いもかけずタレントになり、結婚とは遂に縁がないままだという半生を笑い飛ばしている文章に味がある。

 なんというか、自虐に成るわけでもなく、悲劇に溺れるでもなく、といった距離感が良い。きっと、楽しく豊かな人生を歩んできたからなせる業なのであろう

 そして、父との関係。『山本五十六』、『米内光政』、『井上成美』の海軍提督三部作で知られる阿川弘之が父なのだから、言葉に厳しい。「とんでもございません」等と言おうものならそれが電話の最中であろうとも「とんでもないことでございます」だと注意されるのは、良くもあり悪くもあり、といった感じだ。

 読んでいて微笑ましくなるようなエッセイなので、短い空き時間等にちょっとずつ読むのも良さそう。

 それにしても、いい歳は兎も角、彼女はこの先どこに旅だろうというのだろうか(笑)
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エッセイ | 2013/01/14(月) 19:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1130冊目 目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇
目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇 (文春文庫)目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇 (文春文庫)
(2011/11/10)
田丸 公美子

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評価:☆☆☆☆


 シモネタを乱発する日伊同時通訳者のシモネッタこと田丸公美子さんのエッセイ。彼女の存在は日露同時通訳者だった米原万里さんの著作で知って以来、いつか読もうと思いつつ他の本にかまけていたのだが、ようやく手に取った。そして、読むのが遅かったと後悔した。

 面白いエッセイには幾つかの共通項がある。軽妙な語り口?それは確かに重要だと思う。しかし、必須なのは、豊かな感性だと思う。人々、周りのもの、身の回りで起こった出来事を活き活きと伝えること。そこに広い経験や知識が加わると尚良い。これが上手い人には、斜に構えて上手いことを言ったつもりになっている人では到達できない高みを感じる。

 田丸公美子さんもそうした才能を持つ1人ではなかろうか。

 その道30年の大ベテランなので経験は充分。誤訳で"複式簿記"を、選りにも選って"二重帳簿"とやってしまった話には電車の中であるにも関わらず吹き出していしまい、大変に恥ずかしい目に遭った。

 そして、感性。それはくどくど述べても伝わるものではないので読んで実感してもらいたい。私としては、彼女の他の人への視点がしっかりしたものであるところが特に気に入ったことを述べるに留めておく。

 時に爆笑させられ、時にしんみりさせられる。イタリア人のマンジャーレ、カンターレ、アマーレ(食べて歌って愛して)という、人生を楽しむ知恵も素敵。まあ、本書で見られるような軽い生き方は私にはできないだろうけど(笑)

 流石はあの米原万里さんの盟友と思わせてくれた。他の本にも当たってみよう。
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エッセイ | 2013/01/13(日) 20:15 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1129冊目 半分の月がのぼる空―looking up at the half‐moon

半分の月がのぼる空―looking up at the half‐moon (電撃文庫)半分の月がのぼる空―looking up at the half‐moon (電撃文庫)
(2003/10)
橋本 紡

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評価:☆☆☆☆


 ブクレコで紹介されてるのを見て手にとった。

 急性肝炎で入院した戎崎裕一がひょんなことから知り合ったのは、色白で髪の長い同い年の美少女、里香。この一見無敵の女の子の数少ない(けれども致命的な)欠点は、性格がとんでもなく酷い、ということだ。

 無知というのは幸せなことで、裕一はその性格を知らぬままに彼女と親しくなってしまう。それが自分の下僕生活の始まりとも気付かず。

 元暴走族で凶暴なケリを食らわす看護師の亜希子さん。病院をこっそり抜け出して会いに行く、がっちりした巨漢のくせに(差別語)ケーキ作りが得意な友人の司。ギャンブル狂の父親。そして、可愛いけど凶悪な里香。

 どこか普通ではない人々に囲まれて、それなりに大変そうだけど楽しそうな主人公は、しかし気づかざるをえない。里香がどうしてこんなにも我儘なのか。理由を知った時、少年は自分ができる限りにおける限界に挑む。

 ボーイ・ミーツ・ガールものとしては定番で、設定も決して独創的ではないとは思う。それでも、少年なりの考えで、彼にできることを必死に求める姿に、おっさんとなった私は少々胸が熱くなったのでありました。続きも読んでみよう。

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その他小説 | 2013/01/11(金) 20:39 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1128冊目 当った予言、外れた予言

当った予言、外れた予言 (文春文庫)当った予言、外れた予言 (文春文庫)
(1999/01)
John Malone、 他

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評価:☆☆☆


 つい昨年、マヤのものとされている、2012年に人類は滅亡する!なる予言が外れた。ノストラダムスも、エドガー・ケイシーも、ジーン・ディクソンも、調べてみれば外れた予言ばかりだ。

 しかし、本書が取り上げるのは、上述のようなオカルト的な予言に注目した本ではない。科学者であれ新聞の社説であれSF小説であれ市井の人々であれ、未来を予言したのであれば載る価値がある。そんな様々な予言が当ったか、外れたかを検証しているのが本書。

 例えば、アインシュタインを大成しないと罵った教師。例えば、静止衛星を予言したアーサー・C・クラーク。例えば、ゲルマニウムの存在を予言したメンデレーエフ。蓄音機の価値を認めなかったエジソン。あるいは、スエズ運河は不可能だと断じた人物がいれば、タイタニックは決して沈まないと信じた人もいれば、火星に知的生命を夢見る者もいる。

 それらの予言のうち、あるものはゾッとするほど見事に未来を言い当て、あるものは予言したものを笑いものにした。

 前者の中には、帰納的あるいは演繹的な考えからもたらされたものが多い。隕石衝突による恐竜絶滅説、周期表の穴を埋める未知の元素の予想、反物質やニュートリノの存在等々。そうではないものの中で、最も驚くべきは
ジュール・ヴェルヌの小説かもしれない。なにせ、月への往復を予言した上、アポロが着水したのはヴェルヌの小説からわずか4キロしか離れていない地点だったというのだ。

 オカルト的な予言はほぼ取り上げられていないので、後者としては技術の進歩を読み誤る、あるいは、人間の欲望を認識し損なう形のものが多い。家庭にPCは不要、なんて主張はその最たるものであろう。

 こうした未来予想の結果を見ると、深い知識が無いのであれば、下手に予想などするものではない、ということ。技術でなんとかなる問題の多くは、人類は何とかしてきたのだ。驚くほどに。本書を読めばそれがわかるであろう。未来予想の難しさと、今の文明社会を作り上げた人々の英知を感じることができる本。
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ノンフィクション | 2013/01/09(水) 23:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1127冊目 カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた

カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた (中公新書)カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた (中公新書)
(2010/12)
川口 淳一郎

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評価:☆☆☆☆☆


 2003年5月9日に内之浦から打ち上げられた惑星探査機科学衛星MUSES-C、愛称"はやぶさ"は、2005年に小惑星イトカワへ到達、貴重なサンプルをカプセルに収めた上で、2010年6月13日に地球へ帰還した。その旅路は、60億キロに及んだ。月以外の天体に着陸した探査機が離陸したのは世界初のことだった。まして、サンプルを持ち帰ったことについては言うまでもない。

 そのはやぶさの運用には、トラブルの連続だった。通信途絶もあり、一時は帰還が絶望視されていた。にも関わらず、はやぶさは帰ってきた。技術者たちは度重なるトラブルに負けずにはやぶさを導いたのだ。奇跡にも思える無事の帰還は、技術者の端くれである私の胸を熱くした。

 著者はプロジェクトマネージャーとしてはやぶさに関わった人物。従って、困難に満ちたその旅路を振り返るのに、これほど相応しい人物もいないだろう。

 はやぶさに至るまでの宇宙開発の流れにも触れられているので、日本の宇宙開発におけるはやぶさの位置づけが分かりやすいのが良い。

 そして、はやぶさが宇宙に飛び立つ。日本の持てるあらゆる技術を織り込んで。

 スイングバイによる加速の驚異的な精度に驚かされ、遥か彼方の着陸の困難さに思いを馳せる。読みながら、あたかも自分が宇宙旅行をしているかのような気分になった。はやぶさの旅の全貌を知るのにうってつけの一冊。

 私は自分が技術に携わる身なので、信じられないほどの精度ではやぶさをコントロールできたことに改めて簡単させられた。幾多のトラブルに負けなかったのは、問題が起こることを事前に織り込んだ設計がなされていたことや、火星探査機のぞみで培われた1ビット通信に示されるあらゆるテクニックを駆使しての運用が実を結んだのだ。

 姿勢制御は3持っていたのが2軸が故障。イオンエンジン4基は、通常の状態で使うなら4基とも使えなくなっていた。エンジンと中和器の組み合わせを変えるというアクロバティックな手法が取られた。こうした努力があってはじめて、当初の予定だった4年より3年半も長く宇宙を旅しながらもはやぶさは帰ってこられた。トラブルの内容とその対応が本当に分かりやすく書かれているのも本書の良いところ。NASAと比べて弱いところもはっきり書かれているのも。

 加えて、はやぶさへの愛が溢れているのもこちらの胸を打つ。最期、サンプルを収めたカプセルを放出した後、はやぶさは大気圏に突入して燃え尽き、その旅を終える。その直前、運用スタッフはわざわざはやぶさのカメラを起動させ、姿勢を変えさせて地球を撮影させる。生まれ故郷の地球を見せてやりたいという一心で。非合理かもしれない。しかし、それほどの愛着があったことが、この成功を導いてくれたのではないだろうか。そう思わされた。はやぶさの旅の全貌を知るのに、本当にうってつけの一冊であると思う。宇宙開発に興味が有る方には強くお勧めしたい。

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素粒子・宇宙論 | 2013/01/06(日) 21:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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