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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
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1111冊目 イギリス人のユーモア―日本人には思いつかない
イギリス人のユーモア―日本人には思いつかないイギリス人のユーモア―日本人には思いつかない
(2003/05)
北村 元

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評価:☆☆☆☆


 「神が女性を創造した。だから、誤りは誰にでも許される」(P.105より)

 ジョークが発達した国では、何でも笑いのネタになる。民族性を笑うエスニック・ジョークもあれば、特定の職業(取り分け政治家)をコケにするものもあれば、冒頭で引用した通り、男女の違いを笑うものもある。そして酒が入れば、ちょっと暴力的だったり性的だったりするジョークも出てくるものだ。

 共に笑う経験は、笑いあった人々に親近感をもたらす。だから、あちこちでジョークが交わされる。スピーチには必ずジョークを織り交ぜ、前日には必死になってジョークを暗記する。ジョークは教養であり、社会を潤す潤滑剤なのだ。

 願わくば、日本のにも上質なジョークが広まって欲しい。お笑いの、ネタに頼るようなものじゃなく、頭の回転で勝負するようなものが。例えば、チャーチルにはこんなジョークがある。

 「チャーチル殿、もしあなたが私の夫でしたら、私はあなたの飲み物に毒を盛ったでしょう」
 チャーチルは、いとも簡単に答えた。
 「マダム、もしあなたが私の家内だったら、私はそれを飲みましたよ」
 (P.93より)


 日本だったら生真面目に、毒を盛るなんて不適切だとかなんとか、そんな流れになるのではないだろうか。確かに問題の有りそうな発言ではあるが、チャーチルの発言で一気に喜劇へと変わる。これほどの切り返しができるだけの知性と、一歩引いた冷静さはあって悪くないだろう。

 と、つい固いことを書いてしまったが、本書にはこの手のジョークが多く取り上げられている。お約束のイングランド人とアイルランド人とスコットランド人もあるし、無人島ジョークもある。下ネタも勿論ある。勿体無いのでつい少しずつ読んでいたおかげで、ここ暫くは笑いに事欠かなかった。

 ただ、電車の中で読むのはオススメしない。ええ、そりゃあもうオススメしませんとも。。。
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ノンフィクション | 2012/11/30(金) 21:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1110冊目 新書で名著をモノにする 平家物語

新書で名著をモノにする 平家物語 (光文社新書)新書で名著をモノにする 平家物語 (光文社新書)
(2011/12/16)
長山 靖生

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評価:☆☆☆☆☆


 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理ををあらわす。おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。

 言わずと知れた、平家物語の冒頭である。そして、私が知る平家物語のほぼ全てでもあった。なにせ、国語の時間、何故必要なのか全く理解できないまま「文学史だ、覚えろ」的なノリで叩きこまれただけだから仕方あるまい。正直、あの教わり方では興味など持てなかった。文学史はとっくに死んだ知識だと思う。

 余談だが、良く三角関数やら微積やらで数学が分からなくても人生困らない等と抜かす人がいるが、数学ができなくて社会に出てから困ったことは一杯あるが、文学史が分からなくて困ったことなど一度もない。数学が苦手な人は現実を知るべきだ。

 文学史が死んだ知識というのは、もうブンガクが力を持ってなど居ないからだ。方丈記も源氏物語も、記紀だって。恐らく、これらが死んだのは、古語のまま読ませようというどうかしている教育が原因であろう。魅力を教えれば、読む人は居るのだ。断片的なトリビアに切り刻んで、しかも強制的に暗記させれば、そんなもの嫌いになるに決まっているじゃないか。

 さて、それでも本書を手に取ったのは、長山靖生さんの名を見たからである。『千里眼事件―科学とオカルトの明治日本』が面白かったため、その名前が何でもかんでもすぐ忘れる私の頭の片隅にもしっかり残っていたようだ。

 で、これも面白い。

 優れた古典は、現在に通じる何かを持っている。多くは人と人との関わり、取り分け愛憎、忠誠(信頼と言い換えても良い)と裏切り、野望と競争あたりが、真に人間の有り様を捉えていることだろう。そして、物語を彩る彼ら・彼女らが、何を思い、どのように行動し、何を為し、そして何ができなかったのか。夢を叶えた者と、失意に沈む者とのコントラスト。

 平家物語にも、その全てがある。源氏と平家の攻防で見せた平家のしたたかさが、覇を唱えたと思えばすぐに没落していく様には、確かに諸行無常を感じさせる。最終的に勝利を手中に収めた源氏にしても、親子や兄弟が相争った血塗られた歴史を持っているし、たった3代で権力は北条家に奪われてしまう。

 両家の興亡は物語に魅力を与えるのに十分だ。古文で書かれた原文を読む気は全くないが、少なくとも言文一致体で書かれた作品を読んでみたいと思うようになっていた。それだけ平家物語に魅力があるということであろうし、加えて著者が魅せ方を知っているからだと思う。

 平家物語の流れがどうなっているのかを知るには必要にして十分であると感じられた。文章は平易で、前後の事情も丁寧に書かれているので、初学者も安心して読める。参考文献も挙げられているので、新書らしくまさに入門書にうってつけの一冊。


関連書籍:
千里眼事件―科学とオカルトの明治日本 (平凡社新書)千里眼事件―科学とオカルトの明治日本 (平凡社新書)
(2005/11)
長山 靖生

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未分類 | 2012/11/28(水) 23:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1109冊目 吾輩は猫である
吾輩は猫である (新潮文庫)吾輩は猫である (新潮文庫)
(2003/06)
夏目 漱石

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評価:☆☆☆☆

 論じるまでもない、漱石の傑作。

 英語教師の珍野苦沙弥に拾われた猫が、主に苦沙弥先生の周りの人間たちを眺めては、その奇妙さに呆れるという体裁の風刺小説。

 長編ではあるが、作品を通したストーリーがあるわけではない。博識な漱石らしく、方々に薀蓄を散らしてくれるので、雑学好きには堪らない。アイスキュロスの悲劇に頭髪の多寡による人生の危難を思い、アリストテレスに結婚の是非を問いかける。諧謔に満ちて面白い。短編だったのが人気が出て連載になったというのもうなずける。

 また、苦沙弥先生も書生たちも尽くダメ人間だったりで猫が皮肉が冴え渡るのも良い。特に、教師とはなんと楽な職業だろうかと猫に言わせるあたり、自分の職業までネタにしていて楽しい。読み継がれている理由がわかった。

 なお、本書は著作権切れにより青空文庫で無料で読むことができますので、時間がある方は『吾輩は猫である』をどうぞ。ただ、かなり長いので、ネット上で読むのは疲れると思いますが。
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その他小説 | 2012/11/25(日) 20:56 | Trackback:(2) | Comments:(0)

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1108冊目 日々の経済ニュースがすぐわかる本
日々の経済ニュースがすぐわかる本 (講談社SOPHIA BOOKS)日々の経済ニュースがすぐわかる本 (講談社SOPHIA BOOKS)
(2000/07)
池上 彰

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評価:☆☆☆


 恥ずかしながら、経済が分かってない。理系出身で技術者をやっていると知る必要すらないので、まあ不自然とは言えない訳ではあるが、威張れることでもないだろう。

 そんなわけで、今をときめく池上彰さんの入門書を読んでみた。

 さすが子供ニュースのキャスター、私のような門外漢でも分かり易く経済の仕組みを教えてくれている。平均株価やらTOPIXやらといった指標や、為替や株の値動きがどのような意味を持つのか。簡潔に、ニュースを織り交ぜながら解説してくれているので分かり易い。

 読んだ目的は達成できたのだが、意外と入門レベルのことは分かっていた。どうやら経済関係について、中学生でも知っているレベルのことは私にも分かっているようでちょっと安心。いや、安心してちゃダメなんだろうけど。

 でもねえ、マルクス主義経済学がどれほど悲惨に予想を外したか、記憶に新しいところですよね?ケインズはもう古くて役に立たないそうです。こうしたことを考えると、多分、経済学者はこれからも悲惨なほどに未来を読み違え、そして時が過ぎてから過去の動きを説明できる画期的なモデルを持ち出してくる(そのモデルはやっぱり未来を当てられない)というのが続くと、私は勝手に思っている。そうした点で、経済は積み重ね型の学問なんかじゃなくて、恐らくは信仰の一形態に過ぎないのではないか。

 それでも何らかの狙いを持って経済政策を選ばなければならない以上、経済学が不要になることはないのだろう。そして、一般人も最低限のことを押さえておいた方が良いこともまた事実と思われる。であるからには、こうした入門書の存在はありがたい。


関連書籍:
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
(2009/08/30)
マーク・ブキャナン

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ノンフィクション | 2012/11/23(金) 22:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1107冊目 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史

怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)
(2010/10/13)
鹿島 茂

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評価:☆☆☆☆☆


 ナポレオンと、外相タレーラン、警察長官フーシェの3人を軸に据えた『情念戦争』が、信じられないほど面白かったことから本書も迷わず購入したのではあるが、しかしナポレオンⅢ世が主人公となるとなかなか読み始めるに至らなかった。が、読み始めたらいつもの通り我が身の不明を恥じることとなった。

 面白いのである。

 本書を読み始めるまで、ナポレオンⅢ世について知っていることなど、普仏戦争で敗北して囚われの身となり、第二帝政は破綻、自身はイギリスに亡命して最後の日々を送ったという程度。新婚旅行で訪れたロンドンで縁の品を眺めたことがなければそれすら記憶から抜けていたかもしれない。

 しかし、彼は忘れられるべき人物ではなかった。

 主人公のナポレオンⅢ世は、ナポレオン弟・ルイ・ナポレオンの息子である。従って、ナポレオンの甥に当たる。ナポレオン没落後、共和制に戻ったフランスで稚拙な一揆を起こして鎮圧されるだけの、野心に燃えた若者は、監獄からの脱出やがて大統領の地位を得るに至る。立法府との対立からクーデターで実権を握ると、伯父の跡を襲うかのように、帝位に上った。1852年のことである。

 ここまでの略歴を見ると、野心に燃えた成り上がり男が権力を握ってやりたい放題をやるのだろうと想像がつく。そしてその通り。彼は、絶大な権力を背景に自分の望むことをやりだす。その望むことが民衆の生活レベルを上げること、というのだ。当時にあって、これがどれほど左派的だったか。フランス革命、あの自由・平等・平和を旗印にしたあの革命でさえ、その後の第一次共和制では過酷な刑罰が横行(ラヴォアジエ始め、多数の人材の首が胴から離れた)し、民衆の暮らし向きは決して楽にはならなかったことを考えれば分かろう。

 では、彼は傑出した開明的な君主だったのか。

 その答えも単純ではありえない。なにせ、豪奢な生活を送りながら、高級娼婦から庶民の娘、果ては部下の奥さんに至るまで、多くの女性に分け隔てなく愛を注いだ漁色家でもあるのだ。皇后ウージェニーと結婚したのも、お堅い彼女が愛人となるのを拒み、関係を持つなら結婚をと迫ったからだ。(うージェニーは旦那の出征中に他所の男と懇ろになっていたジョセフィーヌとは偉い違いだ)

 出版や集会も厳しく制限された。クーデターにあっては、血を流す場面もあった。

 だが、出版や集会の自由というものは近代社会でこそ当たり前のものではあるが、当時では当然の権利ではなかったことを考えれば、欠点と言い募るのも悪い気がする。

 加えて、都市計画で公園や市場を作り出してパリの街を整備したことも忘れるべきではない。彼がいなければ今のパリは無かった可能性が高いのだ。ナポレオンⅢ世が先を見通す目と高い能力を持った部下に恵まれたこと、そして彼らの案を実行に移させる行動力を持っていたこと

 こうしてみると、少なくとも大衆にとっては、彼は素晴らしい君主であったと言って良いだろう。色好みが非難されるかもしれない。私だって羨ましさから妬む気持ちが無いではないが、所詮ルサンチマンに過ぎない。

 残念なのは、晩年である。ビスマルクつけた栄光から没落への道筋は、同時にナポレオンⅢ世が後世軽んじられる道をもまた同時に拓いた。伯父に似ず、軍事的な才幹には恵まれなかったナポレオンⅢ世の没落には悲劇の香りが漂う。

 本書はこのとても一言では言い表すことのできない怪人物の野心に燃える日々、クーデター、社交界、都市計画、外交政策等、足跡を丁寧に追うことでフランスがどのようにして今ある姿になったのかを解き明かしている。広い視野と深い知識が組み合わされている上に文章の巧みさが加わるので、面白くないわけが無い。歴史に興味があるあらゆる方に強くお勧めしたい。

 ナポレオンⅢ世にはそれまで興味の無かった私だったが、読み始めたらとまらず、何百ページにも続く文章を一気呵成に読ませてくれた。そして、ナポレオンⅢ世についてもっと知りたくなった。本当に著者の腕前は破格のものであると思う。エッセイも好きなのではあるが、こうした本格的な歴史の本をまた楽しみに待ちたい。


関連書籍:
ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)
(2009/08/10)
鹿島 茂

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その他歴史 | 2012/11/21(水) 21:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1106冊目 灰色の北壁
灰色の北壁 (講談社文庫)灰色の北壁 (講談社文庫)
(2008/01/16)
真保 裕一

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評価:☆☆☆


 冬山を舞台にした短篇集。『ホワイトアウト』の著者が新たに紡ぐ山の物語はどのようなものかと思って手に取った。収められているのは、黒部の羆、灰色の北壁、雪の慰霊碑の3編。

 山に命を賭ける、と言えば格好良く聞こえるかもしれないが、実際に山はただ安全な場所というわけではない。かの植村直己はマッキンリーで消息を絶ち、八甲田山やエヴェレストでの大量遭難は広く知られている。私の知人もまた、山で命を落とした。

 ただ一本のロープが命を支える世界。仲間とつないだロープは、文字通りの命綱となることもあれば、仲間を共に死へと引きずり込む罠ともなりうる。だからこそ、山の物語は友情の物語ともなる。だが、そこに人の心の昏さが入りこめば、途端にその閉鎖された空間は犯罪の舞台にもなる。

 本書でも、命の瀬戸際が何度も立ち現れる。遭難者と救助者を繋ぐ物語の黒部の羆。表題作の灰色の北壁は、ホワイト・タワーと呼ばれ、挑戦者たちを尽く跳ね返し続けた山を制した天才クライマーの真実に迫ろうとする作品。そして、最後の雪の慰霊碑は、雪山で息子を亡くした父が、息子の死んだ場所をある決意を持って訪れようとする物語。

 3キロに渡って垂直に切り立った壁を登ろうというのはイマイチ私の理解を超えているわけだが、因縁の相手である2人のクライマーの物語はミステリ風味もあってなかなかに面白かった。家族を亡くした者の気持ちは、我が身に置き換えると身を切られるようなものだと伝わってくる。

 それでも、人は山に魅せられる。私も、動かざること山の如くと謳われるあの圧倒的な存在感は好きだ。暖かい部屋で紅茶かワインでも片手に本を読んでいて、たまに顔を上げると窓の外に雪山が、というシチュエーションが一番好きだったりするのだけど。とりあえず、冬になったらスキーに行こう。



関連書籍:
ホワイトアウト (新潮文庫)ホワイトアウト (新潮文庫)
(1998/08)
真保 裕一

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空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)
(2000/12)
ジョン クラカワー

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青春を山に賭けて (文春文庫)青春を山に賭けて (文春文庫)
(2008/07/10)
植村 直己

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その他小説 | 2012/11/18(日) 21:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1105冊目 階段途中のビッグ・ノイズ

階段途中のビッグ・ノイズ (幻冬舎文庫)階段途中のビッグ・ノイズ (幻冬舎文庫)
(2010/05)
越谷 オサム

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評価:☆☆☆☆☆


 そういえば高校時代って、青春だったのかなあ。付き合う女性の居るわけでもなく、同級生にドキドキ、なんて経験も無かった。男子校だったので、周りの多くも同じだったはずだ。どうやらカップルもあったという話を卒業後に聞いたが、私にはそちら方面の素養はないらしく、私鉄でいつも同じ車両に乗り合わせる美人に見惚れていたくらいの思いでしか無い。

 ついでに、音楽。歌うのは、子供の頃から好きだった。高めのキーで、ソフトに歌うのが特に。Art Garfunkelに魅せられたのは、そうした自分の好みがあったからだと思う。でも、楽器には音楽の授業以外では触れることのないまま過ごしてきた。デュオで、きっちりとハーモニーが重なった時のぞくぞくする快感を知ったのは、社会人になってからだ。斯くして、私が歌って解消したストレスを、聞かされた側に押し付けることに今も勤しんでいるわけです。

 同性の友達と読書ばかりだった若かりし日を思い返すと、「なにこれずるい」的なのが青春小説というヤツだ。ましてやバンドだって?リア充爆発しろとはこのことだ。それなのに、幾つかの絶賛コメントをみていたら読みたくなってしまった。私もまだまだ修行が足りない(何の?)

 というわけで、主人公は実質3人しか居なかった軽音楽部が、主人公以外の2名が覚醒剤取引の現場を差し押さえられて退学を食らうという最悪のところから始まる。不祥事に加え、部員がたったの1人ともなれば、お取り潰しは必至。

 ところが、洋楽マニアに加えて幽霊部員である同級生は、その状況に激怒した。必ずやこの暴虐な沙汰を除かんと決意した。主人公を連れて校長室に乗り込むと、廃部は断固反対であると主張したのである。校長は思ったより簡単に折れてくれ、斯くして成果をだすために、文化祭に向けた取り組みが始まるのだった。

 仲間を得て、ついでに得体のしれない顧問も得て、淡い恋心も抱いちゃったりしながらバンド活動を始めてみたは良いけれど、意地悪な教師の横槍は入るわ仲間割れは起こすわ周りからは五月蝿いと言われるわ部室はないから暑苦しい階段が部室代わりだわ恋はうまく進まないわで大変にめでたい、もとい、大変な状況に陥ったりもする。しかしそこは青春小説、多少のご都合主義も織り交ぜて、ストーリーは進んでいく。

 良い意味で、奇を衒ったりどんでん返しがあったりしない小説。先の展開がかなり読めるわけだけど、ミステリではないのでそれも瑕疵には感じなかった。最後のシーンはなかなかにカタルシスが得られて楽しかった。読みやすくて良い小説であった。
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その他小説 | 2012/11/16(金) 22:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1104冊目 スギハラ・ダラー
スギハラ・ダラースギハラ・ダラー
(2010/02/26)
手嶋 龍一

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評価:☆☆☆


 1940年、リトアニア。バルト三国の一角を占めるこの国は、風前の灯に晒されていた。ヒトラーとスターリンの同盟はポーランドを分割して二次大戦が始まると、リトアニアにはヒトラーの魔手が迫っていたのである。国家が危機に瀕する中、少なからぬ人々もまた、命の危機に直面していた。ユダヤ人である。

 全土を占領される直前にポーランドから逃れた一家は、ポーランドに張り巡らされたインテリジェンス網を駆使し、生き残るためのか細い糸を手繰り寄せる。それこそ、杉原千畝に他ならない。彼は寸暇を惜しんでユダヤ人たちにヴィザを発行し続けた。リトアニアからの退去の日、電車が動き出すまでその努力は続けられた。それによって6,000人を超える人々が助かったと言われる。

 しかし、杉原千畝を善意に溢れただけの人物と考えるのは事実を過小評価することになる。彼は当時随一のソ連の専門家であり、そしてインテリジェント・マスターとして情報工作へ辣腕を振るっていた。ソ連は彼を恐れ、前妻が白系ロシア人だったことを利用して赴任を拒否した程だ。

 その杉原に救われた少年は、神戸の地で2人の友人を得る。1人は神戸のガキ大将、もう1人は同じくポーランドから逃げてきた美少女。3人の出会いは、それぞれの運命を変える。そして、やがて世界までも変わっていく。

 杉原によって生み出されたインテリジェント網や、神戸を経てアメリカに渡った多くの人とその子孫たちが今に至るまで大きな影響を持ち続けているという事実。これらを縦横に組み合わせ、インテリジェントの深い闇を感じさせてくれる作品。


 ジャーナリストとしての活動で得たであろう、数多の事実の面白さは特筆モノである一方で、話がぶつ切れになっているように感じられ、どうしても一本芯が通っているようには思えなかった。恐らくは、ネタとなった事実を多く詰め込みすぎたため、設定ばかり細かい小説と同じ失敗をしてしまったように思える。それでも、911等の世界の闇を垣間見せる出来事の背景を教えてくれるのは貴重なので、インテリジェントに興味が有る方は楽しめると思う。


関連書籍:
ウルトラ・ダラー (新潮文庫)ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
(2007/11)
手嶋 龍一

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その他小説 | 2012/11/14(水) 22:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1103冊目 敗因の研究 決定版
敗因の研究 決定版 (日経ビジネス人文庫)敗因の研究 決定版 (日経ビジネス人文庫)
(2002/01)
日本経済新聞運動部

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評価:☆☆☆☆


 スポーツは、必ず勝敗が決まるようになっている。引き分け試合があったとしても、それは長いレースの通過点でしかないのだから、例外ではない。そして、栄光を掴み取るのは、その勝負で勝ちを手に入れた者だけだ。

 では、何が勝敗を分けるのか。実力?勿論それは大事だ。しかし、実力だけの勝負で済むのなら、わざわざ試合をやらなくても、世界ランキングを眺めれば良い。しばしば起こる大番狂わせは、実力だけではなく、環境や試合当日までの調整や精神的な問題、果ては運といった要素も複雑に絡む。

 だから、勝利を約束されたと思っていた者が信じられない要因で完敗することもある。手のひらにまでやってきた勝利が、それを掴む僅かな間にこぼれ落ちる、あるいは掠め取られることもある。

 そして、その理由は見向きすらされないことが多い。なにせ、その時にはメディアの、ひいては我々の関心が勝者へと向けられるからだ。

 本書は日本経済新聞で連載されていた『敗因の研究』を編集したものであり、上記のような敗者に光を当てている。何故彼らは敗れたのか。敗北という決定的な瞬間が訪れる前に何があったのか。敗北からこそ学べることは多い。

 後書きに、こうある。

勝利を約束されたはずの選手がなぜ敗れ、敗れることで何を失い、あるいは何を手にするのか、知ろうという目論見で始まった。


 事実、敗北を通して、敗北を繰り返さないために何が必要なのかのヒントが多く隠されている。『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』が貴重であるのと同じように、本書からも学べることは多い。

 取り上げられているのは、野球、ソフトボール、サッカー、バレーボール、ゴルフ、ラグビー、水球、柔道、ボクシング、相撲、フィギュアスケート、スキーのジャンプ、相撲、体操、競馬、競輪、競泳、マラソン、スピードスケートと幅広い。横綱栃錦の敗北もや巨人のV9の影で敗れ去った阪神といった、古い話題があれば、リレハンメル五輪でジャンプをしくじった原田選手やシドニー五輪で判定にも恵まれずに敗れた篠原選手といった比較的最近の話題もある。だから、どの年代の方も、どのスポーツが好きな方も、きっと興味のある話題が見つかるものと思う。

 重圧に耐えぬいて勝負の僅かな時間にベストな状態を持って行くことの困難さが伝わってくる。困難に挑み、勝利を得ようとする方こそ、学べることは多いだろう。


 それにしても、マスコミの思い上がりには慄然とさせられた。五輪を取り上げた少なからぬ話題で、マスコミの応対で神経をすり減らせる選手の姿がある。競泳の長崎宏子選手は、練習に集中すらさせてもらえず、「我々は国民の代表として取材している。それを拒否することは、国民全員を拒否することだ」等と恫喝を浴びせかけられ、そして負ければ心ない人々から侮蔑を投げかけられる。思い上がりを排し、節度のある取材をして欲しいものだ。



関連書籍:
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
(1991/08)
戸部 良一、寺本 義也 他

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失敗学のすすめ (講談社文庫)失敗学のすすめ (講談社文庫)
(2005/04/15)
畑村 洋太郎

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ノンフィクション | 2012/11/13(火) 21:00 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1102冊目 悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか
悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか
(2009/05/22)
バーバラ・オークレイ

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評価:☆☆☆☆


 本書で指摘されているのは、ずばり、悪と見られる行動を取る人には、遺伝的な要因がある、ということである。性格のほとんどは遺伝で決まることを考えれば取り分け不自然なことではない。

 とりわけ深く言及されているのは。2人の人物。1人は著者の姉であり、もう1人は20世紀最大の殺人鬼毛沢東(彼のために7,000万人が命を落とした。これは二次大戦での総死者をも上回る)。

 前者は、著者の心に深く刻み込まれた謎、つまり、何故人には限りなき善意の人も居れば、平気でウソを吐き、他人を欺き、悪意に満ちた応対をし、他人を自分の思うとおりにコントロールするのか、に迫るきっかけとなった出来事だ。

 後者の、あまりにもおぞましい事実の数々は『マオ―誰も知らなかった毛沢東』等で知られるようになった。本書でもその所業を記しており、読んでいて胸が悪くなるのだが、それでも何故このような人間が生まれてしまうのかを考える著者の旅には不可欠の対象であると思う。

 その結論としては、遺伝か環境かという議論に興味をお持ちの方には今更珍しくはないであろう、性格の基本は遺伝で決まるが、環境による影響も無視できない、ということだ。

 これらは双子の研究から明らかになってきたことでもある。

 悪い環境でも、ある遺伝子を持った人には悪くは働かなくても、別の遺伝子を持った人には悪く働く可能性がある。一方、どんなに素晴らしい環境を整えても、一部の人が悪に走ることを食い止めることはできない。

 こうした事実を、遺伝学を絡めて説明しているので、性格の遺伝について大変分かりやすい本になっている。

 環境がどのような影響を与えるか、詳細は分かってはいないにしても、シリアルキラーの少なからずが幼少時に深刻な虐待を受けている事実(ただし、恐らく彼らも遺伝的な素養がなければ犯罪に走ることはなかっただろう)は、子供が幸せだと思える環境を用意することがどれほど社会にとって重要なことかが分かろう。

 悪の遺伝を論じる中で、人間存在とはどのようなものなのかを考えさせられた。


 翻訳者なのか編集者なのか、その不勉強さに疑問も残る。同じく性格への遺伝の影響を論じたスティーブン・ピンカーの本を『Blank Slate』と紹介しているが、これは邦訳が『人間の本性を考える
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か』として刊行されている。読者の情報源へのアクセスを容易とするこうした点は、少し調べれば明らかになることだろう。情報検索の得意ではない読者よりも、プロである彼らがきちんと仕事をしてくれるべきだと思う。


関連書籍:
人間の本性を考える  ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
(2004/08/31)
スティーブン・ピンカー

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人間の本性を考える  ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)
(2004/08/31)
スティーブン・ピンカー

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人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス)人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス)
(2004/09/30)
スティーブン・ピンカー

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戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
(2004/05)
デーヴ グロスマン

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マオ―誰も知らなかった毛沢東 上マオ―誰も知らなかった毛沢東 上
(2005/11/18)
ユン チアン、J・ハリデイ 他

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医学・脳・精神・心理 | 2012/11/09(金) 21:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1101冊目 アレクサンドロス大王 その戦略と戦術

アレクサンドロス大王 その戦略と戦術アレクサンドロス大王 その戦略と戦術
(2004/01/26)
パーサ・ボース

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評価:☆☆☆☆


 稀代の英雄と言えば、何と言ってもアレクサンドロス大王を外す訳にはいかないだろう。紀元前356年に生まれ、紀元前323年に僅か32歳で急死したこの人物は、ギリシアにとって辺境の地であったマケドニアの王子として生まれ、父フィリッポス王の暗殺により王位に登るやたちまちギリシアを制圧して東方へ向かう。幾度と無くギリシア都市国家と争ったペルシア帝国を滅ぼすだけでは収まらず、エジプトを手中に収め、アフガニスタンを経由し、遂にはインドまでその勢力を伸ばした。史上空前の大帝国と言えよう。

 その版図の広さにおいて彼に匹敵するのは、僅かにチンギス・ハンあるのみかも知れない。

 本書はアレクサンドロス大王の一生を追っている。必然的に、多くの戦いの経緯と、戦いに赴くに当たっての大王の決断に多くのページが割かれている。

 ギリシアを制したカイロネイアの戦い、アケメネス朝ペルシアを滅ぼす一連の戦いであるグラニコス川の戦いイッソスの戦いガウガメラの戦いといった、大王の主要な戦いについての詳細な流れが記されているのは嬉しい。

 なぜ彼は戦いに次ぐ戦いで、勝利を納め続けることができたのか。その答えは、彼の発揮したリーダーシップにある。意思決定と、一度決めたことをやり抜く忍耐力、敵の想定しない方向からの攻撃。全てに大王の果断さが現れている。

 大王の急死後、彼の部将たちは後継者戦争に明け暮れ、帝国は急速に瓦解し、大王の親族は尽く戦禍に倒れゆく。後継者のうち、最も成功したのはエジプトに王家を築いたプトレマイオスだろうか。プトレマイオス朝はクレオパトラの代にローマ帝国に滅ぼされるまで13人の王を輩出する。もう一人挙げるとすると、中東一帯を支配したセレウコス朝の始祖セレウコスであろう。

 後継者を眺めても、帝国の大きさともたらした影響の大きさに驚かされる。

 そして、本書ではなぜ帝国がこうもあっけなく崩壊したのかにも触れている。勝利がリーダーシップによって得られたのと同様、崩壊もまた彼のリーダーシップの欠如にあった。

 実際、アレクサンドロスはその生涯において幾つかの大きなミスを犯している。側近の粛清、都市の破壊、追従者の重用、そして後継者を定めなかったこと(享年32歳であることを考えると最後のを責めるのは酷かも知れないが)。一代の英雄も、人間としての限界からは逃れられなかった、というイメージである。

 本書によって、大王の生涯をかなり細かく知ることができるだろう。文化面の影響についてはやや弱いきらいはあるが、それは本書のテーマと異なるため、そちらに興味が有る方は別の歴史書を当たるべきだろうが、その他の点については文句なしである。

 私としては、ビジネス云々にはどうしても興味が向かなかったので、その分だけ評点が辛めだが、そちらに興味がある方には、リーダーシップ論としても勉強になる点が多いのではないだろうか。




 でも、カイロネイアの戦いを、史上始めて戦略的に開戦場所を選んだとするのはちょっとやり過ぎではなかろうか?少なくとも、春秋時代、普が三分割されることになる晋陽の戦い(紀元前453年)の方が前だと思う。こちらは防御側が戦う場所を決めた戦いだけど。

関連書籍:

知識の灯台―古代アレクサンドリア図書館の物語知識の灯台―古代アレクサンドリア図書館の物語
(2003/03)
デレク フラワー

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その他歴史 | 2012/11/07(水) 21:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1100冊目 クリスマスに少女は還る
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
(1999/09)
キャロル オコンネル

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評価:☆☆☆☆


 ニューヨーク州の片田舎、信号が1つしかない小さな町で、クリスマスを前に2人の10歳の少女が行方不明になる。彼女たちが通っていた学校は金持ちと変人しか居ないことで名を馳せているのだが、そこの卒業生であり、今では警官となっているルージュ・ケンダルも捜査に加わる。彼は10歳の頃、双子の妹を誘拐殺人で喪っていた。それ以来、彼の魂も巨大なキズを負っていた。その事件自体はすぐに犯人の神父が捕まり解決はしていたが。

 しかも、事件はこれだけではない。シリアルキラーによる連続殺人が疑われたのだ。その犯人は、クリスマス前に2人の少女を誘拐する。1人目はすぐに殺し、本命である2人目は、クリスマスにその死が明らかになるように仕組むのだ。

 今回の事件で誘拐された少女の1人が州副知事の娘であることから捜査チームが結成され、ルージュもそこに加わる。彼の前に現れるのが顔に大きな傷跡を持つプロファイラー・アリ。この女性は、顔のキズを隠すどころかむしろ誇らしげに強調し、ルージュの前に現れて言うのだ。「私はあなたの過去を知っている」

 一方、囚われの少女たち、ホラー映画フリークのサディーと親友のグウェンは、犯人の魔手から逃れるべく、必死の活動を開始する。

 物語はルージュたちとサディーたちのシーンを交互に織り交ぜる同一時系列としての複線化と、現在の事件とルージュの妹が殺された事件という異なる時間軸という複線化を行っている。そのため、話の深さ・広さは圧倒的だ。

 加えて、丁寧に作りこまれたキャラクターはいずれも魅力的だ。ホラーへの傾倒でこちらをゲンナリさせてくれるサディーが、誘拐された後に見せる勇気と友情に溢れた行動。グウェンの機知と、サディーほど勇敢になれないことへの負い目。過去が及ぼすルージュへの深い影響。いずれも作品に深みを与えている。

 間もなく迫る、クリスマスというデッドライン。後半は物凄い疾走感で、一気に読ませてくれた。ミステリという枠にだけ収めることは出来ない大作。何よりも、顔のキズをアリがまるで誇るかのようにしていたのかの秘密が明らかにされた時、深く掘り下げられた世界観を感じた。もうすぐ街がクリスマスに彩られる季節。興味を持たれた方は是非どうぞ。



 ……でも、ミステリに奇蹟はいらないんだな。
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推理小説 | 2012/11/05(月) 21:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1099冊目 今宵、バーで謎解きを
今宵、バーで謎解きを (カッパ・ノベルス)今宵、バーで謎解きを (カッパ・ノベルス)
(2010/04/20)
鯨 統一郎

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評価:☆☆☆☆


 怪作『邪馬台国はどこですか?』でデビューした著者の、これまた怪作。

 バーに集う私立探偵の工藤、ライターの山内、マスターの島(これがマスターとは思えないダメっぷり)の中年三人組、厄年トリオがワインとチーズで無駄な雑談に興じていると、話はかなり強引に工藤あるいは山内が仕入れてきた未解決の事件へと向かう。すると、そこに居合わせた桜川東子が、謎めいた事件の全貌を解き明かしてしまうという短篇集。

 まず、最初の雑談。これは好みが別れるだろう。気に入る方の主なゾーンは、厄年トリオと歳が近い人。大変に不本意ながら、私もそこに入りそうだ。もう1つは、ワインが好きな人。こちらも不本意ながら私も含まれる。ついでに、飲んで衒学的なことを語りたがる人。これも私ではないか。

 というわけで、ダメ人間とである厄年トリオの会話が楽しめれば、喩えミステリ部分がアレでも楽しめる。ところが、ユーモアミステリでありながら、事件とそのトリックはなかなか本格的。こちらも十分楽しめる。

 解決に華を添えるのが、ギリシア神話。どこかしら神話とモチーフの重なる事件で、桜川さんが神話と事件を結びつけながら解説をしていると、神話に関する随分と懐かしい記憶が蘇ってくる。

 いささか枕の雑談から事件へ繋げる流れが強引だし、安楽椅子探偵モノ特有の牽強付会さが見え隠れはするが、気負わず空いた時間でパパっと読める短篇集に仕上がっている。本格推理小説を読むには時間が……という方に、特に向いているかも知れない。


 ……そういえば、神話を読んでたのももう20年以上前だ。久々に手を出してみようかなぁ。なんて思わせてくれるのも楽しかった。

関連書籍:
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
(1998/05)
鯨 統一郎

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推理小説 | 2012/11/03(土) 21:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1098冊目 東京裁判

東京裁判 (講談社現代新書)東京裁判 (講談社現代新書)
(2008/01/18)
日暮 吉延

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評価:☆☆☆


 1945年9月2日、ポツダム宣言を受諾して戦争は終わった。その後、多くの軍人や政治家が裁判にかけられ、死刑を含む受けた。特に有名なのが、A級戦犯を裁いた東京裁判だろう。

 その東京裁判には、「勝者の裁き論」と「文明の裁き論」が付きまとう。右派は前者を、左派が後者を唱えているが、その主張は平行線を辿って神学論争と化しており、それも相まって、東京裁判について知るルートすら二分されているかのようだ。

 政治思想と組みで語られがちな東京裁判を冷静に眺めてみようとするのが本書。どのようにして裁判は始められ、何が訴因となり、誰が訴えられ、判事や弁護士はどのように選ばれ、弁護方針はどうだったか。裁判はどのように進み、幕を下ろしたか。巷間取り上げられることの多いパル判事の意見の内容や、なぜそれが生まれるに至ったか。筆致は常に冷静で、事実を淡々と連ねていると感じる。

 それによって、連合国の先走りした正義が浮き彫りになっているのは事実だ。ナチスが政権を実情の全く異なるドイツと同列視されたことは日本の歴史に対する知識不足を示している(ナチスは戦争期間中ずっとナチスが政権を握っていた)し、連合軍各国の思惑が裁判の迷走と独善を生んだのは否めないと感じさせられた。少なくとも、共同謀議についてはそう言えよう。

 パル判事の意見について、なぜかの有名な全員無罪論が出てきたのか。その背景と、前後のインドの動きも政治的。これをインド、ひいてはアジアでの意見だと受け止める訳にはいかない。

 こうした裁判中の動きだけではなく、死刑を免れた被告たちが保釈されるまでを取り上げているのは特筆すべき点。A級/B級/C級の区分といった基本的な問題に始まり、広く深く冷静に、という難しいバランスを保っていると思う。東京裁判を知ろうとする方にはお勧めしたい。


 それにしても、東京裁判には考えさせられる。私に引っかかるのは東條英機のこと。

 戦陣訓によって兵士たちの降伏を封じ、多数の兵士に死を命じた東條が、自身は自殺に失敗するのは嘆かわしいほどのだらしなさだ。他人に死ねというのは簡単でも自分では死ねなかったということで、こんな情けない小人物が権力を握ってしまったことが悔やまれる。他にも、東條は気に入らない人間を最前線に送り込んで死に追いやっている事実もある。権力を一手に握ってのこの狼藉は許されてはならない。

 一方で、被告たちが時に醜いほどの自己弁護を繰り広げる中で、東條独り天皇を守って国家弁護の立場に拠り続けたことも事実。結局、この人は能吏で、課長級クラスだったら有能だったのではないか。その程度の人物が、国政の中心にあったことに不幸があったと思えてならない。
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ノンフィクション | 2012/11/01(木) 20:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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