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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
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1097冊目 南極越冬隊タロジロの真実

南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)南極越冬隊タロジロの真実 (小学館文庫)
(2012/09/25)
北村 泰一

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評価:☆☆☆☆☆


 今回は自分語りが多く入るので、訪問してくださっている方には申し訳ないのですが、どうぞお付き合い下さい。


 映画『南極物語』は、私の記憶する、映画館で見た初めての映画だ。何故犬達が残されたのか、そこは綺麗に記憶から消え去ったが、人間の去った南極に残された15匹の犬が生き、死んでいく姿が強く心に残っていた。経緯は忘れ去っていたため、どうしてせめて鎖を離してやらなかったのかと思う気持ちがあった。もう一つ記憶に残った理由は、北大を卒業した母が、帰国したタロが生きているうちに巡り会っていたため(もう晩年だったため、母曰く「ただの年取った犬に見えた」とのこと)、映画の中のヒーローが身近に居た感じがしたためだ。

 本書には、越冬開始から、タロジロとの再会までの経緯が当事者の立場から詳しく書かれている。

 著者の北村さんは、一番の若手として第一次越冬隊に参加している。越冬隊員には希望者が殺到したという。その中で著者が選ばれた理由は、不可欠とされるであろう犬係を狙った準備にあった。犬・オーロラ係に選ばれた著者は、(映画では高倉健さんが演じた主人公のモデルである)菊池徹さんと共に、犬との生活を送ることになる。

 犬ぞりが必要とされた理由。往路の宗谷では、暑さに弱い樺太犬を守るために犬の部屋にだけクーラーが付けられたこと(日本で初めて南極探検に赴いた白瀬隊は航海中に暑さで多くの犬を喪ったという)。吠える40度狂う50度絶叫する60度と言われる過酷な海で、床と壁が入れ替わるほど激しく揺れる船。

 ようやく南極に辿り着く。犬たちは大活躍だった。訓練時はてんでバラバラで、足を引っ張るかのような犬ぞり隊は、最終的には雪上車よりも踏破した距離が長かったのだ。

 昭和基地周辺は、人跡未踏の地だった。越冬も冒険要素がかなり強く、基地の建設すら現地に着くまではっきりしたことは決まっていなかったくらいだ。だから、地理をはっきりさせるための遠征があり、未踏破だったボツンヌーテンの登頂があった。犬ぞりの活躍があってこそのことだ。犬たちの奮闘と、その成果には心が踊った。

 悲劇も起こる。越冬中、樺太犬のベックとテツは病を得て死去する。2頭とも、体調を崩した時には犬係の著者は遠征に出ていたが、その帰りを見届けて安心したかのように世を去った、という。

 こうしたことから著者は犬への愛情を育んでいくことになる。

 だからこそ、その後の悲劇は深さを増す。

 著者は、第二次越冬隊が昭和基地に来られない可能性を考え、せめて犬の鎖を外したいと主張する。同じく犬係だった菊池隊員は、自分一人でも犬と一緒に南極残してくれと頼み込んだと言う。一緒に過ごした仲間を失いたくなかったのだろう。

 犬を救えなかった断腸の思いは、やがて著者を第三次越冬隊に駆り立てる。せめて自分の手で葬ってやりたいと望んだのだ。犬係で再び越冬を希望したのは、著者だけだった。そして、それが著者をタロ・ジロとの再会に立ち会わせることになる。

 再会は、感動のシーンとはならなかったようだ。丸々と子熊のように太った樺太犬に、置き去りしたことの負い目もあって、恐れの気持ちがあったのだろう。犬たちには、もしかしたら置き去りにされたことの怨恨があったかもしれない。思い当たる順に名を呼ぶ。タロの名で、犬の尻尾が僅かに触れた。


 本書の結びは、犬たちの物語に相応しく、著者が彼らを葬るシーン。

 三月の彼岸の日、私は彼らを思い出のソリに載せて、基地と大陸の間のオングル海峡の中ごろまで曳いていった。そこで一頭ずつ海に葬った。その日は風雪が舞い、陰鬱な日であったが、犬たちを葬るのにふさわしい日であった。最後の一頭が、暗い海にゆっくり沈んでゆくのを見て、私の魂はつぶれた。私の魂はつぶれた。
 私の魂はつぶれた……。
(P.322より)


 きっと、一頭一頭の名を呼び、体を撫で擦り、苦労を労い、涙ながらに詫びながらの別れだったのだろう。著者の苦しかった胸の内が伝わってきて、こちらまで苦しかった。

 今、南極には犬を連れて行くことは出来ない。だから、彼らを見舞った悲劇は、もう起こることはない。今でも毎年毎年越冬隊の方々は新たな知見を積み上げている。その礎を築いてくれたのは、越冬隊の人々と、この犬たちだ。彼らの労に報いるためにも、こうした事実を当事者の立場から伝えてくれる本書は貴重だと思う。


関連書籍:

世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
(2002/12)
アプスレイ チェリー・ガラード

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面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
(2004/09)
西村 淳

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ノンフィクション | 2012/10/29(月) 22:42 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1096冊目 妻の王国―家庭内“校則”に縛られる夫たち

妻の王国―家庭内“校則”に縛られる夫たち (文春文庫)妻の王国―家庭内“校則”に縛られる夫たち (文春文庫)
(2002/09)
中国新聞文化部

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評価:☆☆


 周りにいませんか?飲み会に来られない男あるいは職場の飲み会で「飲んで帰ると嫁さんの機嫌悪いんだよなぁ……」とボヤく男。私の周りには、居る。飲み会となると不機嫌になるので、家事をやってご機嫌取りをしているそうな。

 ええと、それは一体どんな恐怖政治ですか。我が家では喩え妻が食事を作り終えた後の時間に急遽飲み会になってしまったとしても、連絡を入れればOK。だって、職場の飲み会って、仕事ですよ?カネ払って気を使ってストレスは溜まる。しかも、今日明日の役には立たない。一緒に笑って、仕事と関係のないことを話して、詰まるところ自分はどのような人間なのかを知らせ合う事で同僚に自分は仲間なのだということを示すことが仕事を円滑に進めることに繋がるのだ。

 妻に拠る支配に怯える世の夫の苦しみを抉ったのが本書。

 洋式トイレでは座って用を足せという妻の命令に従い、専業主婦の妻が何十万ものヘソクリを握る横で如何に安く昼食を済ませるかに戦々恐々とし、休日も自由時間はなく、それなのに家に居場所も無い。

 そうした恨み言が溢れていて、読み始めは呆れながらも所詮他人ごとと笑っていたのだが、そのうち段々と腹が立ってきた。

 男も女も自立してない。

 結婚は、他人同士が一緒に暮らすことだ。夫婦は制度上は結婚という結びつきを得てはいる。そんな制度を取っ払って客観的に見れば、別々に育った別の思想・嗜好・趣味・宗教を持つ2人が共同生活を送ることこそ結婚に他ならない。だったら、相手には礼が必要だし、認め合わなくちゃ行けない。

 自分の時間が欲しい?そりゃあ当たり前だよ。お互い様でしょ?じゃあ、相手にはその時間を与えてる?相手の自由時間は束縛しようとしたら自分の自由時間が無くなるのは当然だよね。

 子供のことは妻に任せっぱなし、家事はやらず、自由時間と使えるカネは増やせ、では単なるガキの我儘だろう。○○をやるから××はやって、という交渉もできないのは情けないぞ。いや、うちの妻は話を聞いてすらしてくれないのだというなら離婚を考え給え。あなたは奴隷じゃないのだ。

 等と思うのだが、こんな記述を見ると絶望が這い寄る。
 心理学専攻の松原秀樹エリザベト音大教授(49歳)に会う。明快だった。
 「そうです。自分の感情をてこでもかえないのが女性の一般的な性格特徴の一つです。かなりのキャリアウーマンなら、問題解決のために自分の態度を変えていくという社会的なトレーニングを受けていますが、そうでなければ、いくら説明してもイヤなものはイヤ、ダメなものはダメ。ものを相談するにしても、耳の痛いことを言ったり、態度の変更を迫られそうな人のところには行きませんね。男の感覚からすれば、異星人と思ってつき合った方がいい」
(P.43~44より)


 妻が物分かりの良い女性で良かった。そうじゃなければとっくに離婚してたな。。。
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ノンフィクション | 2012/10/26(金) 20:44 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1095冊目 ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件
(2011/08/04)
七尾 与史

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評価:☆☆


 ある晩、ヤクザと情婦が焼殺される。主人公の代官山は、警察幹部の娘で人格破綻者である黒井マヤと無理やりコンビを組まされて事件解決に当たることになる。

 事件は部屋に火炎瓶4本が投げ込まれる手口で、捜査を進める内に、犯人が周到な準備をしていたことが分かる。苦しみの大きい手段でのコロシに犯人の強い意思を感じる主人公。しかし、厄介なる上司マヤは捜査などどこ吹く風。むしろ被害者の”焼き加減”を気にする始末だ。

 そうこうしているうちに次の事件が発生してしまう。今度の犠牲者はイケメンのスケコマシ。第一の事件との繋がりが見えないものの、火炎瓶を使った焼殺という同一の手口から、連続殺人であることが分かる。

 殺人の連鎖は、しかしこれだけでは終わらない。犠牲者が次々と出てしまうので警察中がピリピリするが、お嬢様は相変わらずの役立たず。それなのに、どこか事件の全貌を感づいている風でもある。

 と言う感じで、マヤの破綻した人格と、それに振り回される哀れな主人公を悼む小説。全貌が見えると、サブタイトルの「風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件」というのは上手く付けられたものだと思う。


 それにしても、キャラクター小説はどこへ行こうというのだろうか。無理に個性化を図るせいで奇抜な設定ばかりが独り歩きしてしまっているように感じられてならない。この手のは、ちょっと前までヲタの占有物だったはずなんだけどなぁ。ホント、それなんてエロゲ?という感じだ。

 ついでに、読む人の勢いをぶった切るところに余計な描写があって、どうにもノレなかった。文章も上手いとは言えず、奇抜なアイディアに頼りっぱなしのところがあるのは否めず、ちょっと残念であった。
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推理小説 | 2012/10/23(火) 21:47 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1094冊目 累犯障害者

累犯障害者 (新潮文庫)累犯障害者 (新潮文庫)
(2009/03)
山本 譲司

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評価:☆☆☆☆


 犯罪を犯して刑に服す人と聞けば、どのような人を思い浮かべるだろうか。凶悪あるいは狡猾な犯罪者?確かにそうした犯罪者が多数居ることは事実だ。しかし、少なからずが障害者であると聞くと意外な思いに捕われる。

 確かに、統合失調症は全人口の1%程度の発症率と言われるが、殺人や放火ではその率が跳ね上がる。(こちらの統計http://homepage2.nifty.com/k-todo/syakai/koureisya/hannzai/toukei.htm)をご覧いただければ、殺人者の内、失調症を含む精神病患者の占める率は10%を越す。放火でも10%近くである。(但し、殺人・放火の再犯率となると、精神病ではない者の方が高くなる)

 が、御存知の通り、殺人や放火は犯罪の総数としては多くない。だから、刑法犯全体から見ると、精神疾患を病む人の割合は低くなる。一方で、増えてくるのが知的障害。

 (知的障害者である)彼ら彼女らでも、罪を犯せば、その責任を問われ、結果的に刑務所に入ることもある。法務省が毎年発行している『矯正統計年報』に、「受刑者の知能指数」という項目がある。細心の統計結果、2004年の数字で例示すると、新受刑者総数32,090名の内7,172名(全体の約22%)が知能指数六九以下の受刑者ということになる。測定不能者も1,687名おり、これを加えると、実に3割弱の受刑者が知的障害者として認定されるレベルの人たちなのだ。
(P.13より引用。原文は漢数字を使用、リンクは引用者が設定)


 著者の山本譲司は、元民主党の衆院議員である。秘書給与の詐取および政治資金規正法違反で起訴され、懲役刑を務めた人物である(個人的にはナントカ還元水と同レベルと思う)。彼は監獄の中で多くの障害者と触れ合うことで、福祉に関わってきたとの己の自負が、どれほど現実を把握していないのかを痛感した、という。

 刑務所がセーフティーネットの、最も底辺として組み入れられている現実。犯罪とは何かすら理解していない者が、ただ日々の糧と寒暖を凌げる場所を求めて再び犯罪に手を染めることすらある。

 例えば、浅草で女子短大生が刺殺されたレッサーパンダ帽男殺人事件の犯人である山口誠や、下関駅放火事件を起こした福田九右衛門は知的障害を抱えていた。

 彼らに必要なのは薬物治療でも教育刑でもなく、然るべき保護施設であるという著者の指摘に賛同する。浅草事件の山口は、凄惨なイジメに遭い、前歯がほとんど失われていた。この事実を、我々はどう受け止めるべきだろうか?もし彼がきちんと保護されていたのなら、この事件は起きなかったかも知れない。下関事件の福田は、生活保護を申請したが住所がないために訳書から門前払いされ、その足で事件を起こした。再び刑務所に戻りたい一心で。彼が生活保護を認められていたら、事件は起きただろうか?

 本書の突きつける現実はあまりにも重い。

 上記の事件の他、障害者を食い物にするヤクザ、親子二代に渡る知的障害者の売春婦、ろうあ者の事件等が取り上げられている。そのいずれのケースからも、福祉行政の抱える問題点が透けて見える。

 福祉を充実させることは、障害者のためになるだけではない。彼らが犯罪を犯さなくても良いようになれば、社会が受ける利益もある。日本という国が精神的にも文化的にも豊かな国だというのであれば、せめてこうした人々を保護する度量を見せて欲しい。そう思わずに居られなかった、
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ノンフィクション | 2012/10/20(土) 21:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1093冊目 シルクロード全史

シルクロード全史シルクロード全史
(2002/10)
王 鉞

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評価:☆☆☆☆


 絲綢之路。シルクロード。その西の果てはヨーロッパで、東の果ては日本である。将にユーラシア大陸を横断する交易路。その歴史となるとかなり壮大にならざるを得ない。著者には冷静な視点と莫大な知識、さらにそれを上手く纏め上げる能力が必要となる。そう思って恐る恐る手に取ったのだが、心配は杞憂に終わった。面白いのである。

 シルクロードと言えば何が有名だろうか。西方ではアレクサンドロスの東征、東方では前漢の武帝による西域経営や後漢の班超の活躍が知られたところだろう。時代が下っては十字軍の遠征があり、史上空前の大帝国を築き上げたジンギスカンとその一族の物語。日本史で習った、正倉院の宝物の中にもシルクロードを通って来たものがある。

 交易についてつい思ってしまうのは、それが最近のものであろうという誤解だ。古代の移動手段として思い浮かぶ馬。乗馬に欠かせない鐙(あぶみ)が確認されるのは4世紀という。

 ところが、そんな便利な発明が為される前から、人々は絶えず往来していたらしい。アジアの広範囲に渡って見られる彩陶文化、ケルトから中国までほぼ同一の馬に引かせる戦車等が例に挙げられている。南米でもかなり遠方との交易がされていた証拠があるとのことなので、貴重な産物であれば距離を物ともせずに交易が為されるのが普遍的な現象かもしれない。

 話は草原ルートに留まらず、海のシルクロードにも及ぶ。鄭和の大航海は勿論のこと、大航海時代を駆け抜けたエンリケ航海王子コロンブスマゼランベーリングらも取り上げられている。

 近代に至り、日本の鎖国政策や、欧米の植民地化を逃れられた理由にも触れられている。シルクロードに留まらない広がりを持った、満足のヴォリュームだ。地域ごとの歴史をただくっつけただけではなく、相互作用から文明が発展したきたことを述べる、真の意味での世界史の本と感じた。世界史に興味が有る方は、是非。
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その他歴史 | 2012/10/16(火) 20:08 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1092冊目 「反原発」の不都合な真実
「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)
(2012/02/17)
藤沢 数希

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評価:☆☆☆☆☆


 東日本大震災に引き続く福島第一原発事故によって、多量の放射性物質が放出されてしまった。一部の地域には、未だに住民が戻るべきではないレベルの放射性物質が残ってしまっている。

 それはそれで悩ましく、大きな問題ではある。しかし、それを余りにもセンセーショナルに報じてしまったため、まるで原子力発電が諸悪の根源であるかのように捉える人が多数でてしまったことも、大きな問題である。

 本書は、原子力発電をすぐさま廃止してしまったらどのようなことが起こるのかを、エネルギー問題を俯瞰した上で冷静に述べている。

 現実的にすぐさま切り替え可能なのは火力発電だ。しかし、火力発電では空気が汚染される。原発を火力に置き換えたことで、大気汚染を原因とする余計な死は約3,000人にも上ると著者は指摘する。加えて、燃料代だけで少なく見積もって4兆円が余計にかかる。それは個人への負担へ跳ね返る。

 一方で、原発事故による死者は現実には出ていない。危険が過剰に喧伝されている。そして、稼働反対論を唱える人々は再生エネルギーを使うべきだと声高に訴える。

 再生可能エネルギーの最大の欠点は、エネルギー密度が低すぎることにある。風力発電を考えてみよう。風力発電は風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するものだ。そのエネルギーは、E=1/2mV^2(mは質量、Vは速度)で与えられる。質量と速度の2乗である。これがどれくらいになるだろう。風速は、台風でも30m/s程度だ。(困ったことに、こんな風速では故障してしまう)

 一方、原子力発電はウランが崩壊して安定的な物質に変わる際に減少する質量をエネルギーに変えている。こちらはE=mc^2(cは光速)で表される。cがどれくらいになるかというと、秒速30万km。つまり、300,000,000m/sだ。これが2回も掛けられるとなると、風力発電と比べてどれくらいの差になるか、想像すらできないくらいだ。

 だから、風力発電で原発一基分のエネルギーを賄おうとすると、山手線の内側の面積の3.7倍程度の土地が必要となる。同様に、太陽光発電では山手線の内側とほぼ等しい面積が必要となる。

 加えて、これらの発電は不安定だ。風のない曇った日は発電できない。バックアップ電源が必要だ。つまり、これらは必要電力の足しにはなったとしても、その中心に据えることはできない。

 本書は、原発の利点、代替案の貧弱さ、電気は足りているとの主張のおかしさを、実に冷静に論じている。著者ほど無邪気に原発推進を唱えるわけではないが、それでもやはり、一度社会インフラに深く刻み込まれてしまったものは容易に捨て去ることはできないと感じる。

 原発稼働に反対される方にこそ、政府はなぜ原発を動かそうとするのかを理解するために読んでみて欲しい。そして、代替エネルギーについて、真剣に考えてみて欲しい。この容易には解けない問題を考えるための、格好の材料になるだろうから。背景となる数字、論理を易しく説いてくれているので、著者に賛同するにせよ反対するにせよ、「エライ人がOOと言うから」という思考停止に陥らずに済む。

 国内の雇用が失われ、電気代が跳ね上がり、生活が不便になってでも原発を使うのは止めたいという正義もあると思う。それにはかなりの覚悟が必要だろう。原発を使うべきではないという方は、是非、この負の側面を見据え、社会を納得させて欲しい。少なくとも、現時点で私は私や家族を苦しめることが確実な、即時の原発廃止には与することができない。リスクのない手段はない。原発も、他の発電方法も。原発のリスクは、メリットの大きさの前には霞むと思う。

 原発について考える全ての方に、考えるための材料として手に取ってもらいたい良書。


 余談だが、本書で安定電源としては役立たずであることが詳述されている太陽光発電は、水を電気分解して水素を作り出すために使うのが良いかと思う。不安定というデメリットを極小化できるのではないだろうか。それは原発を廃止することには結びつかなくても、化石燃料の使用を抑える技術にはなると思うのだ。


関連書籍:

環境リスク学―不安の海の羅針盤環境リスク学―不安の海の羅針盤
(2004/09)
中西 準子

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地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す
(2008/06/28)
ビョルン・ロンボルグ

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環境 | 2012/10/13(土) 21:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1091冊目 ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
(2011/03/25)
三上 延

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評価:☆☆☆☆


 祖母の遺産である本を売り払うべく近所の古本屋、ビブリア古書堂を尋ねた主人公だが、応対に出たのは店主の妹であり、生憎と店主は怪我をして入院中と査定を断られてしまう。しかし、入院先は近いので寄っていけと言われ、渋々病院へと向かう。それが、トラウマで本を読めない主人公と、内気で無口だがこと本のこととなると饒舌になる栞子の出会いだった。

 本に刻まれた歴史が好きだという栞子は、主人公が持ち込んだ本を少し捲っただけで、祖母の生きた姿を描き出してしまう。まるで探偵ででもあるかのように。

 それをきっかけに、2人はコンビを組んで幾つかの本にまつわる事件を解決していくことになる。といっても、殺人事件のような大げさなものではなく、もっと小さなもの。そのどれもが古書にまつわるものなので、古書とそれにまつわる薀蓄には、ビブリオマニア(書狂)の人々なら堪らないものがあろう。

 本に求めるのは情報であるという実に散文的な私には、初版で美本なら数百万という世界が理解できないところはある。そんな淫靡な世界の一端は『古書店めぐりは夫婦で』で知ったのではあるが、やはり凄い世界だ。

 古本屋が古本について詳しいのは当たり前なので、素直に薀蓄を楽しむことができる。文章も読みやすい。章ごとに小さな事件が解決されていく体裁のため、”連続怪奇殺人事件に隠された驚くべきトリックと大どんでん返し”みたいなストーリーを好む方には少々物足りないかも知れないが、私には十分楽しむことができた。各方面で評価が高いのも頷ける。続きも読んでみたくなった。


関連書籍:
古書店めぐりは夫婦で (ハヤカワ文庫NF)古書店めぐりは夫婦で (ハヤカワ文庫NF)
(1999/09)
ローレンス ゴールドストーン、ナンシー ゴールドストーン 他

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推理小説 | 2012/10/10(水) 20:53 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1090冊目 歌う生物学

歌う生物学歌う生物学
(1993/05)
本川 達雄

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評価:☆☆☆☆☆


 『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』で名を上げた本川さんが、今度は歌を引っさげて帰ってきた(だいぶ前に)。

 なぜ歌なのか。それは、大学生の生徒たちに授業中の注意力を切らさないための苦肉の策である。恐らくは著者の趣味も半分くらいあるのだろうが。

 ちょっとアレなタイトルに積ん読が長かったのであるが、読み始めてすぐに己の愚かな判断を悔やんだ。面白い。とにかく面白い。

 哺乳類は、例えばネズミは拳大で僅か3年で寿命を迎えるが、巨大なゾウは飼育下では70年も生きる。これほどまでにサイズも寿命も大きく違うが、しかし、心臓の鼓動の回数を比較すれば、等しく15億回となる。サイズに関わらず一定の比率で変化する、こうした特性をアロメトリーと呼ぶ。前著において紹介されていたこの考えは、本書においても引き続き大きく取り上げられている。

 ナマコの硬さが変幻自在に変わることに驚き、サンゴの武装に意外さを感じ、イソギンチャクとクマノミの共生に感心し、ナマケモノが合理的な生き方であることに納得する。いずれも、生物が進化の過程で身につけた、生き残るための戦略である。淘汰の篩をくぐり抜けてきただけのことはあり、本当に見事の一言に尽きる。

 そんな魅力的な話の合間合間に挟み込まれるのが、これら生物の不思議を編み込んだ詩である。シンガーソングライターでもある著者の面目躍如といったところだろう。韻を踏みつつ生物学の魅力を伝えるのは凄い。

 本業の生物学と歌に加え、研究生活に関するこぼれ話も読んでいて楽しい。沖縄に赴任した時の家中がアリだらけになってしまう話やら、アメリカの研究生活で感じた日本と欧米の科学の違いやら、恩師への献歌を巡るアレコレやらが面白おかしく紹介されているので、読んで飽きない。読み始めたら止まらず、一気に読んでしまった。

 難点といえば古い本なので手に入りにくいことだけ。生物の不思議と驚異を感じながら楽しめる傑作。興味を持たれたら、ぜひともamaz○nとかbook○ffで手に入れてみて下さい。


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生物・遺伝・病原体 | 2012/10/07(日) 21:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1089冊目 深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち
深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち
(2005/11/01)
北村 雄一

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評価:☆☆☆☆


 最高峰と言われる山も、極地も、密林の奥も、言い換えれば陸上は全て、人の足跡が刻まれていると言って過言はない。各大陸の最高峰を極めた冒険家だって居るくらいだ。ところが、地球上にはまだまだ人類がほとんど到達していないところがある。それこそ深海である。

 陽の光が届かない高圧の海底。意外なことに、生産者である植物が生きられない過酷な環境ではあっても、棲息する生物は実に多い。海面から降ってくる有機物、或いは熱水噴出孔からの化学物質が独特の生態系を形作っているのだ。

 深海を漂うクラゲやエビ・カイ・グソクムシといった節足動物、魚に貝。彼らは実に巧く環境に適応して生きている。

 意外と知っている生物もいる。メロ(かつては銀ムツと呼ばれた)として知られるマジェランアイナメ、発光器で犠牲者をおびき寄せるチョウチンアンコウ、奇妙な姿と印象的な名前のリュウグウノツカイ、等々。ちなみに、キンメダイのように表面の色が赤い魚は深海魚であることがある。深海では、赤はわずかに残った光を吸収してしまうので、捕食者から見えなくなるのだ。

 深海とはどのような環境なのかという解説に始まり、深海探索の方法や、上記の奇妙な生物たちの生態を紹介してくれているのが本書。熱水噴出孔の周りに形作られる豊かな生物相(中には硫化水素を利用するものもいる)に感嘆させられる。

 写真が多用されているのも良い。なにせ、陽の光の下では見ることが叶わないような生き物ばかりだ。運良く捕らえられた時のスナップは貴重なものである。解説も分かりやすく、また多くの生物種を紹介してくれている。

 最後のフロンティアたる深海の謎を感じさせてくれると共に、そんなところでも生きていける生物の凄さに驚かされる一冊。


関連書籍:
深海のパイロット (光文社新書)深海のパイロット (光文社新書)
(2003/07/17)
藤崎 慎吾、田代 省三 他

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眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
(2006/02/23)
アンドリュー・パーカー

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生物・遺伝・病原体 | 2012/10/04(木) 23:40 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1088冊目 山口多聞―ミッドウェー海戦の闘将

山口多聞―ミッドウェー海戦の闘将 (学研M文庫)山口多聞―ミッドウェー海戦の闘将 (学研M文庫)
(2002/08)
松田 十刻

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評価:☆☆☆


 太平洋戦争の帰趨を決定づけたのは、間違いなくミッドウェー海戦であろう。4隻の空母を擁し、太平洋に橋頭堡を築こうとする作戦は、全ての空母を喪失するという惨憺たる敗北に終わった。これによって、事実上、海軍の力は地に落ちる。

 最後まで戦い続けた空母・飛龍が海中に没する際、艦に殉じたのが本書が扱う山口多聞少将(死後中将に昇進)。海軍の将来を担うことを嘱望されていた闘将である。

 余談ではあるが、アメリカはブーゲンビル上空で山本五十六大将(死後元帥)を葬る際、更に有能な人物が後を継ぐことを恐れた。その可能性を検討したところ、彼よりも優秀なのが山口多聞であるが、既に戦死しているため、作戦遂行をためらう必要はないとされたという。

 そんな山口多聞の生涯を辿っているのが本書。幼少時代からかなり流す感じで進む中で、猛将ではあるが知米派で理性的な人物であることが伝わってくる。

 何よりもページが割かれているのは、当然だろうがミッドウェー海戦。司令部の愚かな判断に反対しながら、遂には抗しきれず、最後まで戦い続けて迎える最期は悲劇である。その悲劇を描き出すため、日本軍の暗号が解読されており米軍は日本軍の標的も攻撃時期も知ってきたことを記す等、海戦の流れを丁寧に描いている。ミッドウェー海戦の流れをざっと知るにも向いているかも知れない。



 それにしても、ミッドウェー海戦は実に愚かな戦いだった。まず、目的が悪い。機動部隊に課された使命はミッドウェー島の攻略と、敵機動部隊の撃滅。この性格が全く異なる2つの目的を持ったことは作戦の遂行に大きな影響を及ぼす。即ち、敵前での2度に渡る兵装転換と、将にその兵装転換の間に蒙った米軍の攻撃である。攻撃がこの最悪のタイミングでさえ無かったら、呆気無く3隻の空母を失うことは無かったかも知れない。(ミッドウェーで仮に勝っていたとしても、日本の敗戦そのものは揺らがなかっただろうが)

 ついでに、山口多聞の最期も、私としては疑問だ。恥を包み、恥を忍はこれ男児。捲土重来を期したほうが日本海軍のためであっただろう。潔いと言えば美談に聞こえるが、玉砕戦と同じく相手に利するばかりの行動と思えてならない。あくまで私の美学に過ぎないのではあるが。
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ノンフィクション | 2012/10/01(月) 21:43 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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