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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
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1079冊目 寒暖 700年周期説

寒暖 700年周期説寒暖 700年周期説
(2008/07/23)
西岡 秀雄

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評価:☆☆☆☆


 タイトルの通り、地球は700年に及ぶ寒暖のサイクルを繰り返している、と指摘するのが著者。

 土器の底面に葉の痕跡を残す、”葉底土器”を研究している際、その端緒を掴んだという。葉の痕跡があるからには、土器が作られた場所にその植物はあったと推測される。なので、環境の影響を強く受ける植物の葉が土器に痕跡を留めていれば、当時の環境を推測する手段と成りうるのだ。

 著者が発見したのは、トチノキの葉痕。今なら、(平地ならば)盛岡あたりまで北上しなければ見られないこの葉の痕が、福島で見つかった。それどころか、後にはもっと南でトチノミまで発見されたことで、当時の日本はもっと寒冷だったことが明らかになる。

 その他の証拠から見るに温暖の周期は700年、と著者は導く。

 遮光器土偶のあの特徴的な目は防寒具を表していたのではないか、屋根勾配が環境史を語ってくれる、記録に残るアシカの不思議、日本でも見られたオーロラの記録等々、実に広い分野から700年周期の証拠を拾ってきている。話が広がるようでありながら然るべき終着点に収束する様はお見事。

 読み物として楽しめながら、自然の不思議さを感じさせられた。

 と同時に、今が寒冷期ではないことに、心底感謝したい。恐らくはこの700年周期も相まって温暖化が進んでおり、それを騒ぐ向きもあるが、寒冷期の方が多くの人が死ぬ。社会リスクとしては温暖化の方が遙かにマシなのだ。

 なぜ700年周期なのか。その謎は明らかになっていない。これからの研究の進展が楽しみだ。
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環境 | 2012/08/28(火) 22:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1078冊目 社内犯罪講座

社内犯罪講座 (新潮文庫)社内犯罪講座 (新潮文庫)
(1993/04)
浅川 純

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評価:☆☆


 何とも評価が難しい。まずジャンル分けからして難しい。ミステリに分類されているようだが、所謂ミステリを期待すると残念な結果になる。社会派ともまた違う感じ。

 会社を舞台にした小説で、困った事件に対して部長クラスの人物がもみ消し含めどう活躍するかを描いているのだが、いずれも、会社のために良かれとやったことが裏目に出てしまう。「会社のため」とか「出世のため」に一生懸命な感じが虚しい。


 食中毒のもみ消し、取引先からの無茶な値引き圧力を躱す際どいやり口、リフレッシュ休暇を導入しつつその裏に別の狙いを仕組む、インサイダー取引疑惑等々の事件。自分の上役達を見て、ああ、有り得そうと思ってしまうのが残念なのか、小説を楽しめて良いねと思うべきなのか。

 著者はかつて日立に勤めていたようで、本書にもその経験が生きているのだろう。

 しかし、ちょっと古いかな。多分、今の会社はちょっと雰囲気が変わってきているとは思う。ワークライフバランスが語られるようになっているのは良い傾向であろう。本書にはそんな雰囲気は無く、社員寮に電話回線がひとつしか無いことが不満の種になっていたりする。携帯が無い、というのはもう現実感覚に即さないので、古さが際立つ。

 舞台装置は古い。それなのに、長時間残業なんかは今も残る悪習で、それだけに身につまされることもあった。変わったようで変わっていないことを晒しているのが魅力。
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その他小説 | 2012/08/23(木) 22:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1077冊目 ミミズクとオリーブ

ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)
(2000/10)
芦原 すなお

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評価:☆☆☆


 語り手である主人公の奥さんは、実に料理が上手な人である。季節の食材を絶妙に料理しては、どうにも甲斐性なしに見えてしまう主人公に振舞っている。多分、中高生はそそられないだろうけど、中高年は口内に涎を沸かせてしまうだろう。おっさんであるところの私もそそられた口です、はい。

 焼いたカマスのすり身と味噌をこねあわせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物(俺が作るなら甘みはミリンで出すけどなあ)、殻付きの小エビと拍子木に切った大根の煮しめ、新じゃがと小ぶりの目板ガレイの唐揚げ。ああ、どれも美味しそうだ。このメニューだと日本酒だなあ。

 しかし、この奥方は料理が上手いだけじゃない。鋭い洞察力で、客の会話から家に居ながらにして事件を解決してしまう、安楽椅子探偵でもあったのだ。

 本書はこの奥様の縦横無尽の活躍を描いた短篇集である。

 その多くにおいて、事件の話を持ってくるのは主人公の旧友である警察官の河田。彼が主人公と美味しいものを食べ、酒をかっくらいながら事件の話をすると、奥様の一言で解決の端緒を掴んでしまう。もう警察官いらないんじゃないのか的な流れになりそうでありながら、実働部隊としては必要と、猟師と猟犬というか、鵜飼と鵜というか、そんな話である。

 友人が突然配偶者に逃げられてしまったとか、やり手のキャリアウーマンが殺害され不仲の夫が捜査戦場に浮かんでいるとか、資産家が撲殺された(実際は意識不明なだけなのだが、語り手が撲殺という言葉が好きだから撲殺されたことになっている)とか、不思議な事件を鮮やかに解決してしまう。


 でも、安楽椅子探偵ものって、ちょっと苦手だ。限られた情報から如何に驚くべき結論を導き出すかがこのジャンルの見せ所だと思うのだけれども、意外であれば意外であるほど強引さを感じてしまうのだ。

 そんなわけで、好きではないジャンルでも、この人の文章はどこか味があって良い。同窓会で四半世紀前の同級生と会う時には、「生い茂った雑木林の頭はサラ地となり、紅のリンゴの頬は下に垂れて西洋梨となった」という。こんな表現が、殺人の多いストーリーでありながらどこか間延びした雰囲気を感じさせる。きちんと伏線は張られていて、卑怯だとは感じられないのもポイントが高い。

 軽い感じのミステリを読みたい方にはオススメである。
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推理小説 | 2012/08/21(火) 21:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1076冊目 ミスをしない人間はいない―ヒューマン・エラーの研究
ミスをしない人間はいない―ヒューマン・エラーの研究ミスをしない人間はいない―ヒューマン・エラーの研究
(2001/11)
芳賀 繁

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 人間誰しもミスをする。ゴミの日を忘れてしまったとか、ズボンを洗濯に出すときにお尻のポケットから駅で貰って突っ込んでおいたポケットティッシュを出し忘れてしまったとか、メールで”髪梳かしてる”と書こうとして”神と化してる”とやってしまったりとか、そんな些細な問題であれば良い。問題は、命が掛かるシーンだ。車を運転していて、”止まれ”の標識を見落として交差点に侵入し、歩行者を跳ねてしまう、あるいは出会い頭に他の車と衝突してしまえば、死者がでてもおかしくない。

 だからミスを犯してはいけないのだ、気合でゼロにしろ!と言っても、それは無理だ。決してミスをしないなど、新年の決意の中にはあり得ても、現実には存在しない。ミスの少ない人と多い人(残念ながら、私は多い方の人だ)がいるのだから、鉄の意志でミスをゼロにできた人が居たとしても、社会全体としてはミスは無くならない。

 ではどうするか?答えは、ミスと付き合うしか無い、に尽きる。

 例えば、システムとしてミスをしても危険にならないようにする。これはミスゼロとは異なる。ミスをしても大丈夫にする、ということだから。

 本書は、人間のやることはミスから逃れられないという現実に立脚した上で、ミスに拠る多大な損害から逃れるにはどうすれば良いかを論じている。

 取り上げられている例は、著者やご家族が実際にやってしまったミスだったりするので、どれも可笑しい(ご家族との仲の険悪化が懸念されはしますが)。ミスをしちゃった、次から気をつけようではなく、どうしたらミスを防ぐシステムが作れるかを考える方が建設的なのは事実。こうしたことを念頭に置いて明日から頑張ろう。



 ああええと、明日からというのは、今日で夏休みが終わりだからですよ。ダメ人間の永遠の座右の銘「明日頑張る」とは違うんですよ。……多分。
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その他科学 | 2012/08/19(日) 20:25 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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光の道
 愛犬の散歩中、ふと空を見ると不思議な道があった。私の頭上に、周囲と比べてちょっと暗い影が走っていた。あたかも飛行機雲が明暗入れ替わったかのよう。

 光の道というよりも影の道という感じ。一体何事かと思って、橋まで行ったら美しい景色が広がっていた。

 雲が絶妙に太陽を隠しているため、雲の影が空を駆けていた。この光景に巡りあうのは夕方か明け方しかあり得ないわけで、夕焼けも美しい。

 不思議というか、珍しい光景。天体ショーというには規模が小さい(地球だけの話だからね)のだけど、レアな体験をした。ちょっと幸せな気分になる。

 ふと見ると、周りで他にも写真を撮っている人がいて、この滅多にない機会を楽しんでいた。

 残念なことにデジカメは持っていなかったので、携帯のしょぼいカメラで撮影。この後、太陽の位置が変わっていくに連れて影の形も刻々と姿を変えて行くのが楽しかった。

 たまにはゆっくり空を見上げる時間を作ろう。
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雑記 | 2012/08/17(金) 00:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1075冊目 危機管理最前線
危機管理最前線 (文春文庫)危機管理最前線 (文春文庫)
(2007/06)
佐々 淳行

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評価:☆☆☆☆


あさま山荘事件で広報担当幕僚長を務め、後に三重県警察本部長や衛施設庁長官を歴任した人物である。本書はその著者が『諸君!』で連載していた”インテリジェンス・アイ”を集めている。その性格から、かなり雑多な話になっているため、統一感はやや損なわれている一方、一話ごとのページ数が少ないので読みやすい利点がある。

 本書を貫いているのは、日本の安全への危機感となんとかしなければという責任感。

 話題は広く、国会での論戦、少年犯罪、PKO活動、イラク戦争、議員の汚職事件等、実に幅広い。


 警察組織に身を置いてきた者ならではの視点が感じられることが多い。即ち、秩序維持に向けた意見が中心を占めている。そういう点では、警察がどう考えているのかを知るには向いているかもしれない。中には身につまされるものもあるし、著者の指摘をもっともと思うところもある。

 しかし、少年犯罪を凶悪化・低年齢化しているように描いているところは如何なものか。google先生に「少年犯罪&凶悪化」を尋ねると、まっさきに挙がるのがその”定説”に疑問符を突きつけるもの。そうした懐疑的な視点を与えてくれるサイトの一つ少年犯罪は凶悪化しているかで批判されている、凶悪化を言い立てて取り締まりの強化や管理強化をすればいいという立場が著者。

 まず、低年齢化や凶悪化、理解できない犯罪の多発という方向に持って行こうというのは、単に不安に付け込んでいるだけの、感情的な意見に過ぎない。実際には少年犯罪は激減している。凶悪化もしていない。

 巷間囁かれる検挙率の低下も、「検挙率が下がっているから本当は犯罪が増えている」という神話という見方が正しいのであろう。

 しかし、著者はこうしたことには不勉強だ。むしろ、感覚的な物言いで、治安回復などを叫んでいる。それは警察の規模を拡大するので自分の元職場に有利にできるかもしれないが、誤った前提に基いてやるようなことじゃないだろう。個人的には警官は増員して良いと思ってるのだが、粗雑で事実誤認に基づいた暴論に与することは出来ない。

 面白い視点・話題も多いが、鵜呑みにするのはかなり危険と思わされた。

 尚、興味を持たれた方へは、ご本人のウェブサイトを訪問されることをお勧めします。


関連書籍:
反社会学講座 (ちくま文庫)反社会学講座 (ちくま文庫)
(2007/07)
パオロ マッツァリーノ

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 少年犯罪についてはこちらの方が遥かに現実に即しており、参考になる。ついでに読んで面白いので、本書よりむしろこちらをおすすめしたいくらい(笑)
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評論 | 2012/08/15(水) 23:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1074冊目 刑法三九条は削除せよ!是か非か

刑法三九条は削除せよ!是か非か (新書y)刑法三九条は削除せよ!是か非か (新書y)
(2004/10)
呉 智英、佐藤 幹夫 他

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評価:☆☆☆☆

 刑法39条。心神喪失者の犯罪に対し、無罪あるいは罪の軽減を図る条項だ。

 罪に対して罰を与えるとはどういうことかを考えていけば、どうしても罰を与えるべきではない存在に突き当たる。突き詰めてしまえば、それが罪であるとは理解できない人間、である。子どもや精神障害者、知的障害者等がそれに当たる。

 だが、その保護を定めた39条は頗る評判が悪い。犯罪者をきちんと裁かず、かといってまともな受け皿もないまま社会に放擲する。そう考えれてしまえば反対論があるのも無理は無い。

 本書はそんな39条について、様々な意見を持つ人々が思うことを論じている。削除一辺倒でもなければ、擁護に終始するわけでもない。バランスがとれた構成で、読んで考えさせられた。


 刑法39条そのものは、必要であろう。

 司法に復讐や処罰を独占させるのであれば、その目的を達成させなければ意味が無い。何が犯罪なのかも分からないような知的障害者を裁いても、復讐にも処罰にもならないのだから、無理な考えではないだろう。死刑が意味を持つのは死を恐れる人間に対してであり、だからこそ死刑は究極の刑罰として重い意味を持つ。禁錮あるいは懲役によって塀の中の生活を強いるのは、自由を奪われることで復讐あるいは罰を与えられているのだ。死刑の恐ろしさも分からぬような人を死刑にしても仕方がないではないか。

 問題は、39条の濫用にある。ほんの僅かな期間、精神科へ通院した履歴があるだけで罪が軽減されては溜まったものではない。犯罪を行うにあたって計画性がある、あるいはその後に隠蔽が行われている、あるいは犯した罪に対して罰が与えられることを理解してるのであれば、罪を軽減する理由にはならない。

 加えて、何も分からずに罪を犯した場合であったとしても、それを理由にただちに社会復帰とすべきでもなかろう。きちんと彼らを収容し、可能であれば教育を、不可能であれば拘束を可能としなければなるまい。制度を悪用する者を許すべきじゃないし、仮に39条で保護されるべき存在であっても粗暴であればそれなりのところから出すわけには行くまい。


 ある西洋の司法精神医学の専門家の来訪時に「日本では統合失調症者の重大犯罪では責任能力の争いとなることが必至だが、貴国ではどうか」と問うたところ、「責任能力の有無なんて問題じゃない。病院で扱えないような危険な者は刑事施設でみるのが当たり前だ」という即答が帰ってきた。(略)精神障害者の犯罪といえば責任能力の有無の一本槍であり、勝った負けたにうつつを抜かしている我々の業界はやはりどこかおかしいのではないか。
P.163より


 多くの人が39条に抱いている不満がここに凝縮していると思う。

 それにしても、再犯率の高さには改めて慄然とさせられる。

総数(人)再犯(人)再犯率(%)
殺人触法精神障害者 205 14 6.8
一般犯罪者 180 51 28.3
放火触法精神障害者 139 13 9.4
一般犯罪者 185 64 34.6

P.183より


 こういう受け取り方は著者の意図したところではないだろうが、刑法39条よりも何よりも殺人者を再び世に解き放たないことが大切なのではないかと思えてしまう。それほどまでに殺人者の再犯率の高さは高い。こうした人々を平然と社会に復帰させる人権派弁護士やら裁判官やら刑務官は何を考えているのか。

 少年の凶悪犯罪は激減しているにも関わらず、少年法は厳しくなった(厳罰化に、私は全面的に賛成している)。ならば、こうした状況を鑑みて、殺人者への処罰も厳罰化して然るべきではないか。不幸は、刑を軽減するための手法として安易に39条が濫用されていることにあるように思えてならなかった。
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ノンフィクション | 2012/08/10(金) 22:21 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1073冊目 王妃の離婚
王妃の離婚 (集英社文庫)王妃の離婚 (集英社文庫)
(2002/05/17)
佐藤 賢一

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評価:☆☆☆☆☆


 パリの大学密集地カルチェ・ラタンで若くして名を馳せつつあるフランソワは、僧職にありながら、アベラールよろしく愛人を囲っていた。神学の研究者として未来は明るく、愛する女と共に暮す生活は、しかしある事件をきっかけに暗転する。

 20年の時間が流れた。フランソワは今では地方のしがない弁護士として糊口を凌ぐ身である。彼が仕事をほっぽり出して駆けつけたのは、時のフランス王・ルイ12世が妻のジャンヌ・ド・フランスに対して起こした離婚訴訟。

 王の訴えで、教会を統べる教皇と王の間に合意があることは種々の証拠から明らかだった。つまり、裁判がどのように行われようと、結果はわかりきっている。離婚は成立するに決まっているのだ。

 切れ者として知られたフランソワがその裁判をわざわざ見るのは何故か。それは、復讐だった。今の、落ちぶれた自分を慰めるために、恨み重なるルイ11世の娘の無様な姿を眺めることが目的だった。

 しかし、被告ジャンヌ側の承認までが原告ルイ12世側としか思われない証言を重ねるような、余りにもインチキな裁判にフランソワは激怒した。必ずやかの暴虐な裁判を除かなければと決意した。そんなわけで、フランソワは王妃の弁護を引き受けることになる。

 一度仕事に向かえば、『伝説の男』として勇名を馳せた過去の姿そのままに、原告側の主張を斬って捨てる。いつしか裁判は出来レースから、どう転ぶか分からないものへと様相を変えていく。

 絡み合うカルチェ・ラタンでの人間模様。過去の確執。裁判の不利を悟ってなりふり構わぬ手段に出る王。それでも結婚にしがみつく王妃。これらを裁判と巧く絡めているので、裁判ものでありながら推理小説を読むような楽しみもあり、なおかつフランス史をなぞるところもあるという、なんとも贅沢な本。分厚さに負けず、一気に読んでしまった。直木賞受賞も頷ける傑作。


 史実から見れば、相当にアクロバティックな組み立て、つまりはフィクションをかましているようなので、フィクションとして楽しめば良いと思う。
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その他小説 | 2012/08/08(水) 21:04 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1072冊目 エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交
エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交 (新潮文庫)エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交 (新潮文庫)
(2001/05)
西川 恵

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評価:☆☆☆☆


 フランスの大統領官邸・エリゼ宮。そこでは外交と防衛を専権とする大統領が迎える諸外国からの客人をもてなす場でもある。

 その饗宴で、食事やワインのランクがどうも迎える相手によって差がある。それも、同じ国の元首であっても、人によって最高級の扱いを受ける人もいれば、なんでこんな組み合わせを?という扱いを受ける人もいる。そこに気づいた著者は、エリゼ宮の食事は単なる華美なものではなく、政治そのものではないかと見定めて調査を開始する。

 明らかになったのは、エリゼ宮の食卓は、政治そのものという現実だった。

 一強として名を轟かせるアメリカ大統領でも、例えばパパ・ブッシュとクリントンではワインのランクが明らかに違う。何故か。天皇が訪仏した際には、信じられないほどの厚遇を示してくれたという。何故か。

 それらの謎は食事の内容から現れ、そして政治的な背景や個人的な思いから読み解かれていく。西側の一員としてありながら決してアメリカ一辺倒にはならないフランス。独自の外交を担保するため核兵器を保持し、存在感を示し続けるこの国がどれほど緻密な関係性の中で生きてきたか。細心の注意を重ねられた食事からそれが窺われる。

 本書はシラク大統領の時代まで、とりわけジスカール・デスタン、ミッテラン、シラクの各大統領をメインで扱っているが、三者三様でありながらいずれも食事における政治を軽視しない。彼らの意思は厨房へ精確に伝えられ、それを実現するために料理人たちが奮闘する。ダイナミズムとは無縁の、どちらかというと綿密で緻密な準備がものを言う世界。それだけにピリピリとした緊張感が伝わってくる。

 フランスの奥深さを感じさせるのが魅力。なにせ、食事とワインだけではなく、それを演出するための美術や音楽にまで、大統領の指示がくだされるというのだ。無教養な人間では務まるまい。華麗な外交の裏を見せてくれる
一冊。


 それはそれとして、いろいろなワインを飲んでみたくなるのが困る。もちろん、ここで取り上げられるような高級ワインになんか手がでないんだけどさ。
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ノンフィクション | 2012/08/05(日) 22:47 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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