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あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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1071冊目 慰安婦と戦場の性

慰安婦と戦場の性 (新潮選書)慰安婦と戦場の性 (新潮選書)
(1999/06)
秦 郁彦

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評価:☆☆☆☆☆


 現代史は、とかく歴史学よりもイデオロギー的な側面で語られることが多い。共産主義のように思想を全面に押し出したものだけではない。例えば南京事件。死者30万人はデタラメである(当時、南京にいたとされているのは軍民併せて30万人)としても、その先、数万人規模なのか、虐殺など無かったのか、今でも論争が続いている。

 なぜこのような神学論争が展開されるのかというと、祖父母のように自分の知る人々が過ごした時代であるため突き放して見ることが難しいこと、愛国心のように判断力を鈍らせる心の働きがあることが原因ではないだろうか。

 いわゆる従軍慰安婦も同じである。強制連行の有無や軍の関与を巡って今も論争が絶えない。

 しかし、事実だけで言うのであれば、著者が国連の調査官であるクマラスワミに説明した以下の事実が、この問題の全てではなかろうか。
(略)(1)慰安婦の「強制連行」について日本側で唯一の証人とされる吉田清治は「職業的詐話師」である、(2)暴力で連行されたと申し立てられた慰安婦の証言で、客観的裏付けがとれたものは一例もない、(3)慰安婦の雇用契約関係は日本軍との間にではなく、業者(慰安所の経営者)との間で結ばれていた
(P.268)


 上記にも拒否反応を示される方がいらっしゃるかもしれない。しかし、(1)の吉田清治証言が全く裏が取れないのは事実である(出版社や韓国側の人々も認めている)、(2)の慰安婦証言は強制性を示すものはあっても官憲が関与した証拠はない、(3の雇用関係は軍属扱いをされていなかった等の事実がある。これらを覆すことは困難だ。加えて、下記のような証言もある。

 いずれにせよ、平時と同じ身売り方式で女性集めが可能なら、植民地統治が崩壊しかねないリスクをはらむ「強制連行」に官憲が乗り出すはずはないとかんがえられる。
 それを裏書するのは、四四年夏テアニン島で米軍の捕虜になったリー・パクドら三人の朝鮮人による陳述である。略「もし女性たちを強制動員すれば、老若を問わず朝鮮人は憤怒して立ちあがり、どんな報復を受けようと日本人を殺すだろう」
(P.380)


 嘆かわしことに、歴史を紐解けば戦争とそれに伴う強姦・売春は付き物だ。ヨーロッパでも、看護婦や商人を兼ねた売春婦集団が軍の後をついて回っていた。売春を止めて看護に特化しようと唱えたのがナイチンゲールだ、という事実は知っておいた方が良い。

 そして、本書に記されている通り、日本軍を追い払って新たに慰安所の主人となった欧米人たちは、そのまま慰安所を居抜きの形で使い続けた。きっとそれが全般で見ると男の性なのであろう。東欧からの出張から帰って、売春宿に行かなかったことを行ったら「お前、何のために外国行ったんだ」と言われたことを思い出す。今の世でもそうなのだ。命がけの戦場では尚更かも知れない。

 親が子を売らなければならない事態は悲劇である。女衒に騙されて(前借金等で)売春を強いられる女性も哀れである。しかし、それは全てが日本の責任ではない。国が保障しなければならないことでもない。こうした哀れさと、法理論的な立場を混同させることは、徒に事態を混乱させるだけだ。

 事実な何なのか。冷徹に突き詰める上で、広く慰安婦とは何だったのかを論じた本書は役に立つに違いない。慰安婦を論じたいのであれば、まずは本書を紐解かれることをお勧めしたい。
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太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2012/07/30(月) 23:57 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1070冊目 お言葉ですが…〈2〉「週刊文春」の怪

お言葉ですが…〈2〉「週刊文春」の怪 (文春文庫)お言葉ですが…〈2〉「週刊文春」の怪 (文春文庫)
(2001/01)
高島 俊男

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評価:☆☆☆☆


 文藝文春。読みは、ぶんげーしゅんじゅー。あれ?でも文春だったら”ぶんしゅん”だよな。な疑問に迫る表題作を始め、週刊文春で連載されていた”お言葉ですが…”を集めたエッセイ集。

 中国文学者である著者の言葉の一つ一つへのこだわり、思索の深さは驚くべきもので、それがこのエッセイを面白くしている。そして、文章は平易で読みやすい。

 ふと気づけば著者の指摘通りに漢字の簡略化だとか常用漢字のデタラメさに憤ってしまう自分がいる。

 余りのことに、ああ、自分は本当に日本語すら良く分かっていないのであるなあと思ってしまうのが良い。その一方で、言葉は生き物の如くに変化するのは当たり前のことだし、旧い言葉や解釈に慣れ親しんだ人が不快感を持つものだ。だから、著者の博識に驚嘆しつつ、面白い話を教えてもらった、といった程度に読むのが楽しいかもしれない。
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エッセイ | 2012/07/25(水) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1069冊目 ジェイムズ・ジョイス殺人事件

ジェイムズ・ジョイス殺人事件 (角川文庫)ジェイムズ・ジョイス殺人事件 (角川文庫)
(1994/12)
バーソロミュー ギル

商品詳細を見る


評価:☆


 ブンガクに憧れる気持ちが私にも残っていたのであろうか。ジェイムズ・ジョイスの名に反応して読んでしまった。が、ジョイスを読んだことのない私には、かなり珍紛漢紛だった。

 物語は、警官である主人公の自宅にみすぼらしい中年女性が訪ねてきたところで幕を開ける。どう見ても労働者階級の妻としか見えないその女性は予想通り労働者の街に住んでいるというのだが、なんとその夫は大学教授、それもジョイスの世界的な研究者だと言う。

 夫が行方不明になったと言いながらも夫の死を確信した様子の女性を問い詰めると、驚いたことに自宅には夫の刺殺体がある、というのだ。

 誰が、何のために殺したのか。それよりも、なぜ女性は夫の死を隠していたのか。

 捜査を進めるうちに出てくるのは、被害者のグルーピーやら同僚かつライバルやらの怪しい人々。ついでに、どうやらジョイスの代表作『ユリシーズ』と現実の事件になんらかの関係がありそうで、捜査のために小説を紐解かなければならぬとあって、主人公の苦労は絶えない。

 といった感じで、ジョイスの作品を好む方であれば十分に楽しめるのではないだろうか。不幸にして無教養な私には理解できないというより、世界観が合わなかった。

 それにしても文章が酷い。勿体ぶった文章で、倒置法がやたらと多用されているので読みづらいことこの上ない。まさか、原文を構文の順に訳したんじゃないだろうな。それさえマシだったらもう少し評価が高くなっただろうに。
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推理小説 | 2012/07/21(土) 23:17 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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1068冊目 ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる
ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ)ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ)
(2009/03)
木村 英紀

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評価:☆☆☆☆☆


 資源の無い日本は、ものつくりで生きていくしか無い。しかし、製造業の現場でも空洞化が進んでいるのが現実だ。ほんの少し前まで、ジャパン・アズ・ナンバーワンを誇っていたというのに。

 なぜ日本の製造業は強かったのか。そして、なぜ今の製造業は苦しんでいるのか。著者が出した答えは、これまでの日本は労働集約型の体制を取ることで上手くいっていたが、時代がシステム・理論・ソフトウェアへ趨勢が変わったのに対応できていないということだ。

 例えばiPod(私も愛用しているが)を考えてみると、部品単位では日本でも全て開発も供給もできたはずだ。ところが、ソニーもパナも失敗した。私もその失敗作を持っている。iPodと比べると、何故アップルが勝ち、パナは凋落、ソニーは方向転換でなんとか付いて行っているというのが分かる。

 私が持っているのはパナのポータブルオーディオプレーヤーであるが、こいつの不便なところは、著作権を保護するために専用ソフトで特殊なファイル形式に変換しなければならず、転送は面倒臭い。致命的なのは多くの人が使っているであろうmp3形式のファイルが使えないことだ。

 著作権だけを考えたら、それは優れたシステムなのかもしれない。しかし、ユーザーの使い勝手からしたらどうだろう?私はとにかく不快で仕方がなかった。

 それと比べると、iPodは操作が楽だ。音源を簡単に圧縮できて(iTuneを立ち上げて音楽CDを挿入すれば良い)、PCからのデータ転送が楽(iTuneを立ち上げてiPodを繋げば良い)で、既にPCに取り込み済みの音楽も同じように扱える。その段階で、勝ちがどちらに転ぶか分かろうというもの。

 人の欲求を満たすためにモノを開発する時代は終焉を迎えつつある。むしろ、ハードではなく、ソフトで何ができるかが問題なのは明らかだろう。だからこそ、スマートフォンは売れているのだ。

 本書の指摘から、私の頭には上記のことが去来した。

 日本の製造業の弱さ。著者は普遍性を求めることの弱さをその原因に求め、背景にあるのがシステム・理論・ソフトウェアと喝破する。加えて、暗黙知的な、直感と経験に頼った匠の技に流れがちで普遍性が無いとも。

 私も技術者として働いているが、その指摘には耳が痛かった。確かに標準化という掛け声はあるけれども、実際のところはモグラ叩きになっている。あっちに問題があれば潰し、こちらで問題が発生すれば火消しをし、と日々忙しいのではあるが、その忙しさは、実は何も生まない。今の仕組みが変わらなければ、5年後だろうと100年後だろうと誰かが同じような事をやっているだろう。それでは勝てないんだ。

 どうやって技術職として生きていくかを考えなければ行けない気にさせられた。明日を今日より良くするために何ができるか。後戻りしないために、問題の本質がどこにあって、何をすれば解決ができて、自分が担当を外れた後でも知が残るためにはどうすれば良いか。それを暗黙知ではない形で残せるように頑張ってみようと思った次第です。



 本書は、2009年6月に紹介した『たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て』『なぜ、日本は50年間も旅客機をつくれなかったのか』へ記事に、もきちさんがコメントを寄せて下さった際、面白かったと推挙頂いたもの。ずっと気にはなっていたのですが、ようやく最近手に入れました。もっと早くに読んでおくべきだったと今になって後悔しております。もきちさん、ありがとうございました。
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技術 | 2012/07/17(火) 23:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1067冊目 裁判長!話が違うじゃないですか-国民に知らされない裁判員制度の「不都合な真実」

裁判長!話が違うじゃないですか-国民に知らされない裁判員制度の「不都合な真実」 (小学館101新書)裁判長!話が違うじゃないですか-国民に知らされない裁判員制度の「不都合な真実」 (小学館101新書)
(2009/04/02)
池内 ひろ美、大久保 太郎 他

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評価:☆☆☆


 日本の裁判の異様さ(起訴されればほぼ100%有罪だったり、刑が社会常識とかけ離れて軽かったり)は、改善を求める国民の声となり、それは裁判員制度を含む司法改革となって結実した。

 しかし、その行き着いた先は、理想とは掛け離れた稀代のダメ法となってしまった。

 裁判員には負担が大きく、しかも被告にも不利な点が少なくない。3日を目処に一つの事件を区切るとなると、複雑な事件は全容を解明するなどできないだろう。となると、検察の作り上げたストーリーを追認するか棄却するか、どちらかしか無くなる。どちらに比率が傾くか、ちょっと想像してみて欲しい。

 裁判員への負担は、過酷な守秘義務に代表されるだろう。なにせ、そこで知ったことは生涯に渡って口外してはならないのだ。違反したら6ヶ月以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑に処される。酔っ払って、「俺、こないだの裁判員裁判で死刑に賛成したよ」と言おうものなら前科者だ。それだけの覚悟が要求されるのでありながら、裁判員は拒否できない。しかも、遭遇するのは殺人や放火といった重大犯罪だ。

 問題だらけのこの法律を、優しい語り口で批判しているのが本書。おそらく、一通りのダメなところが分かるようになっている。問題の在り処を知るにはうってつけだろう。

 タイトルは明らかに『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』を意識している。柳の下に、はてドジョウは何匹いるのやら。読みやすいのは評価できるが、やや感情的になりすぎているようなところが気にはなった。

 取り分け、裁判員制度を批判するばかりに裁判官に拠る裁判を擁護しすぎている。

 元裁判官だった大久保さんは大威張りで精密裁判だの資料の読み込みで緻密な判断ができるだのと言っているが、ではこの直前で紹介したばかりの『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫)』にあるような、検察以外の誰も詐欺とは思えない事件で100日以上も外界から切り離され、有罪とされてしまう人が出るのをどう説明するのか。裁判員なら検察の言う通りにはならない。なぜなら、検察の意見と対立しても自分の出世には関係ないからだ。

 裁判員制度に問題が山積みなのは間違いないし、その理論的な面はそれこそ大久保さんの指摘する通りではあろう。だから、裁判員制度に反対なのは分かる。でも、こんな愚法が成立するはるか前に、国民の信頼を得られるような判決をきちんと出すのが必要だったのではないか?

 問題のある法律が生まれてしまった背景にまでできれば踏み込んでもらいたかった。それでも、裁判員に選ばれてしまう前に、目を通しておいた方が良い類の本ではある。


関連書籍(?):

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
(2006/07)
北尾 トロ

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ノンフィクション | 2012/07/12(木) 23:37 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1066冊目 私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。
私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫)私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。 (講談社文庫)
(2007/10/16)
島村 英紀

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評価:☆☆☆☆☆


 国際的に有名な地震学者が逮捕された。ノルウェーとの共同研究で、地震計の代金として払われた2000万円を詐取した、という詐欺罪である。

 しかし、実際はノルウェー側は研究資金を得るために機材を購入する形だけは取りたかったため、共同研究費を購入資金っぽくしただけの話であり、共同研究費を受け取って管理するルールが著者の勤めていた北大には無かったため、その資金が個人の口座に振り込まれた、というだけのことだったようだ。

 事実、その後の検察の調べでも、その資金を私的に使用した形跡は見当たらず、それどころか詐欺にあったとされるノルウェー側は詐欺に遭ったとは思っていないとはっきり述べている。

 それなのに、著者は逮捕された。そして、接見禁止のまま保釈もされず、拘留期間は171日にも及んだのである。

 だが、著者はめげない。科学者らしく、自分の身に降りかかった理不尽な事件を冷静に分析している。逮捕の瞬間、取り調べ(幸いなことに、検察お得意の拷問は無かったようだ。拷問についてはこちら参照。机の下に被疑者を蹴れないよう透明な板を巡らしました、なんて威張ってちゃダメだよな)、それに収監中の生活、とりわけ食事事情。

 友人はおろか家族とも連絡が取れない中での唯一の楽しみだからであろうか、食事に何が出たか、かなり詳しく記録にとっているし、豪華だったときのうれしさは素直に伝わってくる。

 驚いたのは、ほぼ監禁されているにも関わらず、そのダメージが少ないように見えるところ。研究で長く船上生活を送った経験が役立ったのだろうか。私だったら、自由がない、本もない、誰とも話もできない、で犯罪を認めろと言われ続けたら心が折れそうだ。

 結局、著者は171日に及ぶ拘禁をなんとかやり過ごし、そして裁判で敗北する。詐欺に遭ったと思う人も居ない、不適切な金のやり取りはない、金の私費への流用はない。どうしてそれで有罪にできるのか。この国の裁判官は検察の方しか見ていないという現実がある。著者が指摘する通り、判決は勿論、起訴に至るまでの流れはほぼ検察の狙い通りになる。濫用される法、被疑者を尊重しない司法。

 この国の司法の現実にぞっとする。罪を犯さないことが重要じゃない。警察に捕まらないことが重要。捕まれば、罪人に貶められる。そんな悪夢のレールから逃れられる人は少ない。著者はその稀有な例外であろう。その強さを見習いたいものだ。
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ノンフィクション | 2012/07/10(火) 22:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1065冊目 世界はこうしてだまされた〈2〉UFO神話の破滅

世界はこうしてだまされた〈2〉UFO神話の破滅世界はこうしてだまされた〈2〉UFO神話の破滅
(1995/03)
高倉 克祐

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評価:☆☆☆☆


 1巻から先に読むつもりではあったが、手に入ってしまったからには仕方ない(?)。

 困ったことに、世の中には既に宇宙人が地球にやってきていて地球上でピラミッドやストーンヘンジを建設してみたり畑のど真ん中にミステリーサークルをこしらえてみたり空から不思議なものを落としてみたりケネディを暗殺してみたり牛を解剖してみたり(キャトルミューティレーション)それなのに(とりわけ絵が下手な人には)良く目撃されてみたりと我が物顔に振舞っている、等という事を信じてしまっている人が居る。

 本当に困ったことに、視聴者を莫迦にすることでは定評のあるテレビ局があれも宇宙人の仕業、これも宇宙人の仕業と莫迦莫迦しい番組を濫造してきたこと、怪しげな出版社がその存在意義を示すためにか怪しげな本を多数世に送り出してきた。

 一方で、様々な情報を集めて冷静に分析する、懐疑的(否定的という意味ではない) な立場は余り評価されてこなかった。テレビでビリーバーと対決する機会があったとしても、せいぜい”夢をぶちこわしにする空気の読めない人”的な扱いだ。

 本書を読めば、宇宙人がUFOに乗って地球にやってきているという考えがどれほど脆いか分かる。UFOの証拠とされている写真や映像がそもそも捏造であったり、単純な勘違いであったりする。(最も多いのは、月や火星といった天体の見間違いと言われる)

 俎上に載せられているのは矢追純一やコンノケンイチといったちょっと古い面子で、批判されている写真にはテレビ番組で流れてしまったものもあるが、かなりマニアックなものもある。しかし、こうした地道ながらも丁寧な反論は大切だと思う。そうでなければ言った者勝ちになってしまうから。

 本書を読むと、捏造は論外として、人間が見たいものを見てしまう能力に長けていることを改めて思い知らされる。EVAカメラをドラゴン型UFOと勘違いした写真等でそれは歴然とする。UFOと見間違える人間が特別愚かなのではない。誰しもが嵌る可能性のある陥穽である。人間の認識力の限界を知る上でも懐疑的な姿勢は役に立つ。それはきっと、自分が変な考えに迷い込むリスクを少しでも下げる方に働いてくれるだろう。
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反疑似科学・反オカルト | 2012/07/05(木) 21:27 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1064冊目 鼻行類
鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)
(1999/05)
ハラルト シュテュンプケ

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評価:☆☆☆☆


 1957年、核実験による地殻変動により、ハイアイアイ群島は水没した。惜しまれるのは、この時にハイアイアイ群島にしか棲息しない、奇妙な哺乳類が絶滅してしまったことだ。

 その哺乳類は、鼻が極端な進化を遂げ、なんと脚の代わりに鼻で歩行するのだ。それが、鼻行類(別名、ハナアルキ)の名の元になっている。

 今では絶滅してしまったこの鼻行類について、当時の学者が残した貴重な論文が本書。本書を読めば、進化がどれほど変わった影響を生物に及ぼすかが分かる。

 奇妙ではあるがなかなかに愛らしいこの生き物に惚れた人も少なくない。なんと、ファンがフィギュアを作ったりもしているので、興味が湧いた方はモルゲンシュテルン・オオナゾベームのあたりを見て頂けると、発見者たちの驚きを分かって頂けるだろう。

 こうして記録が残っているために我々は絶滅してしまった動物について詳しく知ることができる。絶滅危惧種については、少なくともその情報を後世に伝えるためにも、こうした記録を残しておくように強く願うものである。




 尚、本書は完全なるフィクションで、鼻行類らの生態や解剖学的な特徴をいかにも学術論文っぽく書いている。言わば、論文のパロディであり、その手の世界(どんな世界だ)では超弩級に有名。論文っぽく書いているので読み物としては面白いものではないが、パロディとして見ると細かい設定やらもっともらしさを出すための演出(引用元を明示しているとか)がおかしくなる。
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未分類 | 2012/07/02(月) 20:43 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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