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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
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1053冊目 防衛黒書
防衛黒書 (ちくま文庫)防衛黒書 (ちくま文庫)
(2008/09/10)
林 信吾

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評価:☆☆


 「国防問題の全貌を解き明かす」と銘打っていたが、そこまで大風呂敷を広げて良いのか?というのが正直な感想。

 敗戦から現在までの自衛隊の歴史についてはひと通りまとまっているので、そういった点では一冊読んで戦後史の流れを知りたいくらいの方には得る点も多いかも。

 終盤になって、ようやく本書が目指していた防衛政策の無定見さに辿り着く。自衛隊の武器調達が単年度会計の弊害を抱えているとか、車両の開発がお粗末なのではないかという指摘については、散々縦割り行政の弊害を見させられてきたところから、さもありなんという感じは受ける。

 しかし、一方で中国が経済的な結びつきの強い日本を攻撃するわけがない、というような、強引な主張が目に付くのが残念。だったら日本はアメリカに戦争を売ったはずが無いし。中国の軍拡が実は高騰する人件費やら兵器の更新代というのは一つの側面であろうが、では空母建造はどう理解すべきか。国内の矛盾を解決するために軍事行動が有効なオプションであれば、それを選択するのが”普通の”国でしょう?だからアメリカだってアフガニスタンやらイラクに戦争ふっかけたわけで。

 困ったことに、事実についても誤認が多いらしく(amazonのレビュー参照のこと)、どこまで信用できるかは未知数。私としては、それを判断するだけのバックボーンとなる知識があるわけではないので、大まかな状態の把握とするに留めることにする。
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ノンフィクション | 2012/05/30(水) 21:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1052冊目 ボトムズ
ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2005/03/24)
ジョー・R・ランズデール

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評価:☆☆☆☆


 老人ホームで死を待つばかりのハリーの思いは過去に飛ぶ。1930年代、まだ自分が11歳で妹のトマシーナ(男の子っぽいのでトムと仇名されていた)が9歳だった頃。

 怪我を負ってしまった飼い犬を安楽死させるために向かった森で、ハリーとトムは裸で全身を切り裂かれた黒人女性の無残な遺体を発見する。子供たちは伝説のゴート・マンの仕業を疑い、闇の中を這々の体で逃げ帰る。

 治安官である父親は捜査に乗り出すが、激しい黒人差別がその前に立ち塞がる。『奇妙な果実』そのままに、黒人が白人相手に何かをしでかしたらリンチされた上に木に吊るされ、燃やされるのが当たり前の社会。まだKKKの影が見え隠れする頃のこと。黒人女性が、それも後に判明するが、売春婦の黒人女性が殺されても、誰も興味など持たないのだ。

 主人公の父はそんな黒人差別を良くないものとし、常々そう振る舞ってはいる。しかし、それでも社会の風潮から完全に自由ではなく、黒人だからという理由でどこか疑いを持ってしまう面もある。

 こうした矛盾を抱えているのが普通の人間で、著者はそれを見事に活かしている。

 大学教育など受けていなくても、自分の子供と向きあって人生はいかにあるべきか教えようとする姿には胸が打たれるシーンも多い。

 低湿地帯(ボトムズ)を舞台にした、濃密な湿度と闇が恐怖を盛り上げる。群れなすヌママムシ、ゴート・マンの影、そして殺人犯。主人公たちの感じる怖さが伝わってくる。

 本書はハリー少年の成長物語であると同時に、親密でありながらも緊張がある(普通の家庭はそうだと思うが)の再生の物語でもある。ミステリに分類されながら、殺人事件の謎解きと言うよりも、時代の雰囲気を切り取った人間ドラマとして面白かった。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞というのも頷ける。ミステリの枠を超えた社会派小説。
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推理小説 | 2012/05/28(月) 22:43 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1051冊目 風の中のマリア
風の中のマリア (講談社文庫)風の中のマリア (講談社文庫)
(2011/07/15)
百田 尚樹

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評価:☆


 異色の小説である。なにせ、本書の主人公であるところのマリアはオオスズメバチなのだ。昆虫界で最大級の捕食者であるこの狩り蜂の生涯を通して、オオスズメバチの生態を記したのが本書。

 本書の面白さは、生物が生きる上で取る、時に残酷だったり時に感動的だったりする行動そのものにある。

 例えばニホンミツバチが編み出したスズメバチへの対抗策である蜂球。これは、スズメバチが46℃までしか耐えられないがニホンミツバチは48℃まで耐えられることを生かし、筋肉運動で48℃に体温を高めたニホンミツバチがスズメバチを取り囲んで蒸し殺す手段だ。この僅か2℃の差を見つけ出し、防衛戦略として用いるのだから自然の妙には驚かされるばかりだ。

 また、社会性昆虫と言われるハチやアリ、シロアリがなぜ女王を中心とした群れを作り、ワーカーが自分の子供を残さないのかという不思議。これも、遺伝の理論で説明がつく。なんと、子を生むより自分の姉妹を育てる方が自分の遺伝子を広めるには役に立つのだ。

 こういった事実が小説内において、昆虫同士の会話として出てくる。

 いや、事実としては面白いよ?でも、小説としてはどうなの?と何度も思わされた。ハチ同士がゲノムを残すための戦略を話し合うシーンなんて、面白いか面白く無いかというよりも、唖然とするか茫然とするかの選択に過ぎない。

 致命的だったのは、私はこのあたりの事実については知っていたということ。面白さが事実をトリビア的に紹介する点にある小説で、事実の部分を知っていたら、何を楽しめば良い?

 あとは、ハチに限らず、虫をいちいち擬人化してあるのが私の好みではない。

 事実の面白さを広めたいなら、もっと客観的な書き方もあったと思うのだが、そういう手段を著者は取らなかった。だから小説としては酷評されて然るべきである。ただ、虫の生態に興味はあるが知識はないという段階の人には向いているかもしれない。例えば、子供が10歳位だったら与えれば自然の不思議に感激しながら読むのではないか。

 著者の想定している読者の知識量と、私の知識量に乖離がありすぎただけかもしれないが、少なくとも私はこの小説を高く評価はできない。ただ、巻末に幾つか資料的に事実を連ねてあるページがあるので、そこだけは評価したい。
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その他小説 | 2012/05/25(金) 20:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1050冊目 後宮小説

後宮小説 (新潮文庫)後宮小説 (新潮文庫)
(1993/04/25)
酒見 賢一

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評価:☆☆☆


 中国をモチーフにした架空国家・素乾国の物語。

 物語は素乾国のラストエンペラー、双槐樹の即位にあたって後宮を整備するところから始まる。主人公の銀河は、”三食昼寝付き”という噂を信じ、田舎に留まるよりも面白そうと後宮に応募する。

 意外なことに、その最初のお仕事は、皇帝のお相手となるに相応しい女性を育てるための教育を受けること。房中術は勿論だが、どちらかというと哲学的な教科が多い。しかし、そこは田舎育ちで三食昼寝付きに眩んで応募した女性だけのことはあり、天真爛漫な振る舞いをすることになる。

 その場違いな振る舞いと、それが架空の歴史書『素乾書』、『乾史』、『素乾通鑑』ではどれほど異なるかを、引用文と実際を比較することで物語を面白おかしくさせている。

 宮廷での陰謀(嫪毐の乱を彷彿させる)、宦官の跳梁、後継者争い、そして皇帝の寵を巡る争い。後漢末期(三国志の冒頭)のような背景で後宮に入ってしまった銀河の運命を描き出す、架空歴史小説。

 かなり強引なところもあるが、まあ目を瞑っても良いかな、というレベル。生き生きとした銀河の活躍をもうちょっと見たくなる。

 半分はストーリーというよりも設定に割かれている。なんというか、科学論文パロディー『鼻行類』のような感じで、凝ってるなあとは思うのだけれども、時にくどい程の表現に段々飽きてくるのも事実。デビュー作だからの未熟さだろうか、個人的には『墨攻』の方が読みやすさ・完成度・面白さで優っているように思う。それでも、これがデビュー作とは凄いものだ。



関連書籍:

墨攻 (新潮文庫)墨攻 (新潮文庫)
(1994/06)
酒見 賢一

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その他小説 | 2012/05/23(水) 21:27 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1049冊目 青春を山に賭けて

青春を山に賭けて (文春文庫)青春を山に賭けて (文春文庫)
(2008/07/10)
植村 直己

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評価:☆☆☆☆


 日本人初のエヴェレスト登頂、南極を除く5大陸最高峰の最初の制覇者等々、数々の冒険で知られる植村直己さんが半生を振り返る自伝。

 大学で山岳部に入り、山に魅せられた著者は部活仲間からアラスカの話を聞き、ヨーロッパアルプスへ氷河を見に行きたいとの夢を抱く。

 卒業後、就職のままならなかった著者は、夢を叶える資金がないため賃金水準の高いアメリカへ入国、農園で働くが不法就労が発見されて強制帰国を言い渡される。ここで諦めないのが植村直己。自分がどうしてヨーロッパへ行きたいかを切々と語り、遂には強制送還を免れてフランスへ渡ることに成功する。

 幸運はこの後も続く。というよりも、困難にぶつかる度に、理解者なり協力者に巡りあう事ができて冒険を続けられた、という感じ。

 フランスでは言葉も喋れないのに、なんとか仕事を得ることができる。スキー場のアルバイトだが、なんと植村さん、スキーは初心者。しかも雇い主は滑降の金メダリストだったりする。ここをベースにモンブランやマッターホルン、キリマンジェロを制覇。

 南米に行っては粘り強く軍に掛けあって最高峰アコンカグアへの入山許可を得、登頂を果たす(この時、許可を得ずこっそりと登頂を目指す外国人と巡りあっている)。次いでアマゾン川を下り、そして日本に帰国する。

 驚くのは、赴いた先の言葉をろくに喋れなかったこと。情熱が先にあっての行動らしく、その大胆さには感服させられる。ここまで全てを賭けているからこそ、著者意気込みに打たれて周りの人たちは協力したくなってしまったのだろうと思ったものだ。

 冒険者としてだけではなく、人間として魅力のある人だったのだなあとしみじみ感じた1冊。



関連書籍:

空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)
(2000/12)
ジョン クラカワー

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ノンフィクション | 2012/05/21(月) 20:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1048冊目 UMA解体新書

UMA解体新書UMA解体新書
(2004/12)
実吉 達郎

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評価:☆☆☆


 UMAとは、 Unidentified Mysterious Animal の略語で、未確認動物を指す和製英語である。

 未確認動物って何だよと思われる方も居るだろう。分かりやすく言ってしまえば、ネッシーツチノコのように、目撃談は数あれど未だにその実在性には疑いが残る生き物のことを言う。

 今時ネッシーかよ、写真は偽物だって撮影した人が言ってたじゃないか。なんて声もあるかも知れない。しかし、実はネッシー伝説は写真技術が生まれるよりも前、遙か6世紀まで遡るという。一つの証拠あるいは証言がウソだと分かったからといって、その他全ての証拠や証言を覆せるものではない。

 こうした未確認動物は世界中に居る。アメリカのビッグフット(サスクワッチ)、ヒマラヤのイエティ、アフリカのモケーレ・ムベンベ等々。

 地球上にはまだまだ分類どころか発見すらされていない生物が沢山いるのは事実であり、こうしたUMAが目撃通りの姿の、知られざる動物としてどこかに棲息している可能性はある。

 そうした観点から、UMAの全てが見間違いやでっち上げであるとするのは早計に過ぎるだろう。

 本書はそんなUMAたちを取り上げて、どこで目撃されたか、どのような振る舞いをしていたか、その正体は何か、ということについて解説している。中には見間違いだろうというものや、既知の動物の誤認であろうとするものもあれば、はっきり言うには時期尚早というものもある。

 著者は動物学者らしく、無闇矢鱈とUMA実在説に飛びつくことはない。誤認と思われるものには誤認であると指摘する等、冷静に存否を語っている。

 それなのにどこか熱意を感じられてならないのは、恐らく”居たら面白いのにな”的な考えを持っているからだろう。こうした情熱を持ちながら冷静であるというのは、こうした現実との境界上にある分野を面白く語るには適している。

 私としては、大型の生物はこれまでの開拓のなかでほとんど発見されて来たであろうから、今後発見されるものは極稀であろうと思う。従って、証言の多くは見間違いであろうと感じているが、私の考えが間違いで、人類の目をすり抜けて未知の動物たちがこっそりと闊歩しているとは何とも素敵だとも思うのだ。だから、ちょっと夢を見る積りで読んだ。ノンフィクションでありながらフィクションを読む感覚、とでも言おうか。なんにせよ、夢のある話ではあると思う。


 ツチノコ誤認の一つとしてアオジタトカゲ説があることをウィキペディアで知った。こりゃあ見間違えるわ。ホント、色々な生き物が居るなあ。
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未分類 | 2012/05/19(土) 20:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1047冊目 要するに

要するに (河出文庫)要するに (河出文庫)
(2008/02/04)
山形 浩生

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評価:☆☆☆☆


 要するに、大事なことって何なの?その議論、難しげにこねくりまわしてるみたいだけど、本質は何なの?

 枝葉を無視して核心に斬りこむのは難しい。枝葉が繁茂しすぎていて本質が分からなくなってしまうことすらあるし、複数の議論がまぜこぜになってしまっている場合もある。だから本質を衝いた議論のできる論客は貴重である。

 著者の山形さんは、その点で稀有な人物だ。訳書の異様なまでの読みやすさから想像していた事だったが、こうして改めて彼が方々で書いた文章を読むとそのことが良く分かった。

 様々な話題を縦横に切り取り、問題の在り処を晒し、そこに自分なりの意見をびしっと叩きつける。明快かつ論理的で読みやすい。衒学的にならず、様々なことを斬りまくるのが見事。読者の側まで爽快感がある。

 ソースをしっかり調べる努力も行なっているので、独りよがりになっていないことも特筆すべきだろう。

 10年以上前に書かれた文章でありながら、古さをほとんど感じさせない。それは彼が予言者だからというよりも、本質を衝いた議論はそうそう旧くはならないことを意味するのだろう。

 表現が稚拙だなどとする意見もあるようだが、小説じゃないのだから、文章に必要なのは技巧ではなく明快さだ。難しい表現を有難がるような幼稚な真似はすべきじゃない。こうした点も、私は著者を高く評価している。自分で何かを考える際にも、この「要するに何なの?」ということを念頭に置いてやって行きたいものだ。
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エッセイ | 2012/05/17(木) 21:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1046冊目 ぼくと1ルピーの神様
ぼくと1ルピーの神様 (ランダムハウス講談社文庫)ぼくと1ルピーの神様 (ランダムハウス講談社文庫)
(2009/02/20)
ヴィカス スワラップ

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評価:☆☆☆☆☆


 主人公の、学のない貧しい少年ラム・ムハンマド・トーマスは、インド版のクイズミリオネラ(ミリオネラはイギリス発祥で世界中に広まったクイズ番組)で10億ルピーを獲得する。ところが、クイズ番組製作者側は、こんなにも早く全問正解者が現れるとは予想すらしていなかったため、賞金が準備できない。そこで、不正だとして警察に訴えでてしまう。

 警察は公正な捜査など行わない。トーマスに拷問を加えて不正を”自白”させようとするのだ。なにやら、強きを助け弱きを挫く日本の警察を彷彿させる(例えば足利事件)が、きっと警察は世界中でこんなことをやっているのであろう。

 トーマスが今にも”自白”する直前、救世主が現れる。女性弁護士が乗り込んでくると、逮捕も取り調べも不当であることを指摘し、釈放させてくれたのだ。幸運の1ルピーを使ったコイントスの結果に従い、トーマスは彼女に、全問正解できた理由を語ることになる。

 その前に、我々日本の読者には彼の名前について説明が必要だろう。”ラム”はヒンドゥー教、”ムハンマド”はイスラム教、”トーマス”はキリスト教の、それぞれ典型的な名前である。生まれてすぐに親に捨てられ、神父に引き取られた。そこから更に紆余曲折を経て、この奇妙な名前を持つに至ったのである。

 トーマスの半生は、当にインドが抱える社会問題を体現したものだ。貧しいスラムで、身寄りもカネもないことがどういうことなのか、それが良く伝わってくる。

 一服の清涼剤とも感じられるのは、トーマスが次々と襲いかかってくる苦難を知恵で乗り切るところだろう。手に汗握るような活劇もあれば人情ドラマもあり、そして多くの絶望がある。それが全て、クイズの答えに結びついているのだ。彼に出題された問題であれば、彼が解けないわけはない。

 アカデミー賞で作品賞を含む8冠に輝いた他、各国の賞を総嘗めした映画”スラムドッグ・ミリオネア”の原作だけのことはあり、読み始めたら時間を忘れて一気に読める。ご都合主義な点はあるにしても、社会問題をこうも見事に切り取り、小説として成功させる手腕に脱帽。




 余談とはなってしまうが、足利事件で警察が阿呆な逮捕劇で満足せずにきちんと捜査を行なっていれば、北関東連続幼女誘拐殺人事件は解決されていたかもしれない。その結果、栃木小1女児殺害事件は防がれていたかもしれない。なにせ、これは同一人物の犯罪の可能性が指摘されているのだから。最も悪しき存在が犯人であるのは論を俟たないが、警察の動きも批判されなければならないだろう。
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その他小説 | 2012/05/15(火) 21:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1045冊目 思わずニヤリ。「チョット知的な」ことわざ学

思わずニヤリ。「チョット知的な」ことわざ学思わずニヤリ。「チョット知的な」ことわざ学
(2007/03/29)
塩田 丸男、赤星 たみこ 他

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評価:☆


 もうちょっと別の切り口があるような……。

 この手の類の本にはありがちな、色々なことわざを取り上げて紹介してくれている本で、ヨーロッパ、中国、インド等からもことわざをもってきているというので面白いと踏んだのだが、ちょっと残念だった。

 残念なのは、何と言っても著者がことわざに託けて自分のことを語りすぎている点。あなた達の人生に興味があって本を読んでいるわけではないのだから、自分を余り全面に出すのは控えて欲しかった。あと、本書でも多少は紹介されているが、日本のことわざに類似したものがいくらでもあるだろうから、もっとそうした知識を横につなげて広げてくれていれば良くなっていたと思うのだが。

 まあ、妻が媚びるときはなにか悪いことを目論んでいるなるロシアの箴言を教えてもらったのでよしとするか。


関連書籍:

他諺の空似―ことわざ人類学 (光文社文庫)他諺の空似―ことわざ人類学 (光文社文庫)
(2009/05/12)
米原 万里

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未分類 | 2012/05/12(土) 22:25 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1044冊目 戦争学

戦争学 (文春新書)戦争学 (文春新書)
(1998/12)
松村 劭

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評価:☆☆☆


 世界では戦争を大学で教えている。防衛大学のような軍隊と密接な繋がりのある学校だけではない。ごく普通の大学でもそうだ、と本書は指摘する。それほど、戦略や戦術というものは大切であり、未来を背負って立つ若者に学ばせるだけの価値があるものと認識されているのだろう。

 意外なことに、近代戦ばかりではなく、歴史上の戦いも深く研究されている。アレクサンドロスの王国を築き上げたファランクス、アレクサンドロスを深く学びローマの心胆寒からしめたハンニバル、機動力によってユーラシアを一つにまとめあげたモンゴル帝国。

 兵制改革と新たなる戦略思考が時代を作った、と著者は指摘する。

 その観点から見れば、確かに歴史を動かした大事件には戦争が付き物で、そこでは常に新たな技術や方法が取り入れられたようだ。

 何が歴史を変える原動力になったか。戦史を丁寧に追うことで、例えばアレクサンドロスやハンニバルやナポレオン、あるいは南北戦争といった歴史上の名将や事件がどのような意味を持っていたかを教えてくれる。

 戦いを解説する際には地形や彼我のとった戦術とその狙いをかなり細かく取り上げてくれているので、戦いの帰趨をもたらしたものが何だったのか理解しやすい。その上で戦史を研究する意義を伝えてくれるので、とても説得力がある。安易に企業経営と結びつけるのではなく、戦略は戦略として、軍隊や国防がどのようにあるべきかを考えているのが良い。自衛についても考えさせられる本であった。
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ノンフィクション | 2012/05/10(木) 22:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1043冊目 キーワードで読む「三国志」

キーワードで読む「三国志」キーワードで読む「三国志」
(2011/02/01)
井波 律子

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評価:☆☆☆


 正史にしろ演義にしろ、『三国志』が扱う時代を黄巾の乱(184年)から呉の滅亡(280年)とすると、およそ100年になる。その間、数多の豪傑が戦場を駆け巡り、智謀の士が策を巡らせてはしのぎを削った。当に多士済々、魅力的なエピソードにも事欠かない。

 そんな三国志を幾つかのキーワードから読み解くとどうなるか。蛮勇とも思われる試みに乗り出したのが著者。井波律子さんは三国志の研究を行なっており、『正史三国志』や『三国志演義』を翻訳者としても知られている。その経歴と知識を生かし、正史と演義を自在に行き来しながら英雄たちを語っている。

 例えば、酒といえば張飛が飲み過ぎて親分である劉備の根拠地を呂布に乗っ取られたことや竹林の七賢がひたすら呑んだくれて政治に関わらないようにしたことが思い浮かぶ。或いは、詩。曹操が詩の分野でも改革者だったことや曹丕が曹植に無理難題をふっかけて見事に切り返される七歩の詩のエピソードが有名だろう。

 こういった感じで、幾つものキーワードから魅力的なエピソードを切り取っている。改めてあの時代に思いを馳せるには丁度良い素材であろう。

 但し、本書の持つ性格上、三国志の流れを通して知るには向いていない。演義に限らず、小説かマンガを読んでこの世界に足を踏み入れ始めてしまった人がターゲットなのかなと感じた。私としては常々感じているのだが、良いとこ取りをしたはずなのに通して読むより魅力が下がってしまうように感じられてならない。
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中国史 | 2012/05/08(火) 20:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1042冊目 異国の客

異国の客 (集英社文庫)異国の客 (集英社文庫)
(2009/08/20)
池澤 夏樹

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評価:☆☆☆


 作家の池澤夏樹さんが、フランスのフォンテーヌブローに移住していた時のエッセイ。タイトル通り、異国の客として感じたことを記したエッセイ。

 まず、著者が住むことになるフランスの街並から始まり、子供たちの学校のこと、食べ物や飲み物のこと、高校生のデモに遭遇したこと等、本当に身近な話題を選んでいる。やや政治的な話題だと、ブルカの着用禁止か。これは当時ホットな話題だったので、意外と身近に感じる話題だったかもしれない。本人にその積もりがなくても、どうして日本とフランスの比較が見えて面白い。

 例えば、高校生のデモ。日本でデモというと、左派あるいは右派にかなり偏った人々が行うものだとか、警察が先頭から最後尾まで付いているとかいうイメージがある。しかし、本書で描かれるのはちょっと違う。普通の高校生が、自分たちに影響を及ぼす法律が成立しそうな時、反対なら反対とハッキリ主張する感じ。

 日本と違うのは、政治への感性なんだろうなあ。フランス革命を経て、権利は自分たちで得て守らなければならないという高い意識が保たれているのか、はたまたそういうところでリーダーシップを取る人間がモテるからなのかは定かではないが、少なくとも若い時期に政治や社会について真剣に考えることは悪いことではないと思う。

 日本だと民青のアレな活動家が、母体の政党が銀行強盗やら殺人やらをやってた過去を隠蔽して自分たちだけが正義だと酔ったことを主張する程度だから、質の違いは明らかだ。

 フランスの良いところが伝わってくる。日本にもその良いところが根付いて欲しいものだ。まずは、自分の子供をそうした素質・感性を良いと思えるような人間に育てるところからチェレンジかな。
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エッセイ | 2012/05/05(土) 22:39 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1041冊目 月のかぐや

月のかぐや月のかぐや
(2009/11/06)
JAXA(宇宙航空研究開発機構)

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評価:☆☆☆☆☆


 日本が打ち上げた、月探査機・かぐや(正式名はSELENE)が月の全球に渡ってハイビジョン撮影を行ったことで、新たなる発見が次々と得られた。例えば、月の極にあるクレーターの永遠に光が差し込まないところに水の氷があるかという疑問。残念ながら水の氷は無いようで、人類が月面に進出したとしてもここの水を当てにすることは出来ないようだ。

 一方で、資源については魅力がある、とも指摘されている。太陽光発電に欠かせないシリコンは純度の高い形で存在すると見られ、表面に吸着された水素を用いれば水を取り出すことも難しくはない。月面基地が現実のものになる可能性があるということだ。そんな事実にワクワクさせられる。

 こうした発見よりも、本書を開いて思わず息を呑むのはハイビジョンで撮影された美しい写真の数々だ。月から見た地球、巨大だったり瓢箪のように連結していたりする、奇妙なクレーター、溶岩の流れた跡、等々。百聞は一見に如かず、という言葉の重さを実感する。とにかく美しく、細部まではっきり分かるのだから、研究者には垂涎モノだろうし、一般人はただ感心して眺めるだけでも楽しい。

 日本の惑星科学は、理論的には世界でもトップクラスだったわけだが、小惑星イトカワや月への観測機打ち上げによって観測技術でも同じ地位を得たことになる。これからの発展が更に楽しみになった。


関連書籍:

最新・月の科学―残された謎を解く (NHKブックス)最新・月の科学―残された謎を解く (NHKブックス)
(2008/06)
渡部 潤一

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地球史・古生物・恐竜 | 2012/05/03(木) 20:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1040冊目 わが家は自閉率40%―アスペルガー症候群親子は転んでもただでは起きぬ
わが家は自閉率40%―アスペルガー症候群親子は転んでもただでは起きぬわが家は自閉率40%―アスペルガー症候群親子は転んでもただでは起きぬ
(2007/06/27)
星空 千手

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評価:☆☆☆☆


 アスペルガー症候群という疾患がある。自閉症の一つで、数字や特定の物事への強い執着、他人の心についての無関心さ等、自閉症に特有の特徴を持ちつつ、高い知能を持つことで障害が表に現れにくい面を持つ。

 著者は、第一子が”どうも他所の子とは違う”ことから、子と自分のアスペルガー症候群を知る。夫と、長女次男はアスペルガーではないのではあるが、家族の中で自閉率40%は確かに高い。ところが、そんな現実すら茶化して始まるのには、笑えば良いのか真剣になれば良いのか分からなくなってしまう。

 深刻ではありながらも単なる苦労話に堕しない、どこか突き放したような筆致が本書を読み易くさせている。文章の理解しやすさだけではなく、その時その時の苦労や、一家の悩み、それをもたらす長男くんの行動がイメージしやすいことも、本書を読み易くさせている。

 成長の遅さ、妙なこだわり等は、子を持つ人には切実なものというのが伝わってくるのではないか。うちの長男は、ちょっと言葉を喋るのが遅れていたため、妻は随分と気に病んでいたものだ。後に取り留めも無いことを延々としゃべり続けるようになって気に病んだことを悔やむようになったが、それが普通の親だと思う。他所の子との些細な違いがものすごい差に見えてしまうわけだ。

 本書は経験談なので、我々もちょっとひいたところから見れば、本書の目的は達成されているのかもしれない。そして、自閉症に限らず、その他の障害を社会がどうやって受け止めていくかを考えさせれば完璧だろう。

 アスペルガーは、障害を知能でカバーしてしまうところが厄介でもある。長男くんもIQで言えば130くらいらしいので、知能の点ではトップクラスに優秀と言える。だからこその苦労もある、という本書の指摘は重い。本書の功績は、こうした事実を広めることにあろう。

 明るさという点では、長男くんが悩みに悩んだ末に入った幼稚園選びが成功し、愛される環境に身を置くことができたことだろう。子供本人が背負った苦労には胸が痛むところもあるけれども、それは”普通の子”の多くも辿る道だ。少なくとも、私は小学生くらいの時にはもう浮いていることはどことなく悟っていたしね。(勿論、苦労の深さも量も自閉症児の方が圧倒的に多いのは確実だし、親子ともども苦労が絶えないのは想像に難くないが)

 啓蒙書というほど重くはなくアスペルガーについて教えてくる本。


関連書籍:
ずっと「普通」になりたかった。ずっと「普通」になりたかった。
(2000/04)
グニラ ガーランド

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ノンフィクション | 2012/05/02(水) 21:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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