カレンダー
03 | 2012/04 | 05
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
プロフィール

Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


宣伝目的以外のあらゆるコメント、TBを歓迎します。

↓ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してください。


にほんブログ村 本ブログへ


kids goo弾かれサイトですので閲覧はご注意を。頭が悪いのが伝染する恐れがあります。
notforkids.jpg

FC2カウンター
最近の記事
Tree-Arcive
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
巡回先

にほんブログ村 本ブログへ



うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

Skywriterさんの読書メーター

ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
ブログ内検索
RSSフィード
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 | --/--/--(--) --:-- | |

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1039冊目 ヘッピリムシの屁―動植物の化学戦略
ヘッピリムシの屁―動植物の化学戦略ヘッピリムシの屁―動植物の化学戦略
(1997/09)
ウイリアム アゴスタ

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 ヘッピリムシをご存知だろうか。ミイデラゴミムシの俗名で、捕まえようとするとあたかもスカンクのように臭いガスを発射する。その正体はキノンと過酸化水素を反応させたもので、なんと100℃にもなる刺激性のものだ。気体が発生する時に、屁のような音がすることからその名を冠されている。

 生物がこれほどの高温の武器を使用するというのは驚きだ。

 武器の背後には、これまでの説明で明らかな通り、化学がある。そうやって自然界を見渡してみると、多くの生物が化学を上手に利用していることには驚くばかり。配偶者を見つけるための手段として、フェロモンを利用する蝶や光の信号を使うホタルがいる。捕食者への防御として毒を持つ生き物もいれば、寄生主を誤魔化すために偽装を図る種もある。

 色も光も匂いも免疫も毒も、コントロールしているのは化学なのだから当然だろう。

 逆に言えば、化学という切り口から、生物の生存戦略を知ることができるということになる。だから、本書は魅力的な自然界のガイドになっている。ふと気がつけば、ヘッピリムシの屁の威力に驚き、クモが配偶者を得る方法に目を見張り、ホタルを捕食する生き物の不思議に感じ入ることになっている。

 おまけに、本書はどのような現象が起こっているかについてはきっちりと述べている一方で、(多くの人が敬遠したいであろう)化学反応については触れていない。だから、化学について知りたければ専門書に当たらなければならないだろうが、まずは興味を持つための入門としては実に優れていると思う。ルシフェリンの化学式を知らなくても、ホタルの光の幻想的な雰囲気を楽しむことは可能なのだから、生物の不思議を語る本書にはふさわしい方法であろう。

 生物に興味がある方には、表面からは窺い知れない奥底にまで自然の妙が隠されていることに感心させられるに違いない。進化の奥深さを改めて教えて貰った。

 それだけではない。マラリアの特効薬であるキニーネ、細菌感染と戦うための格好の武器である抗生物質も、生物由来の化学物質だ。今も人知れぬまま秘められている化学物質の数は、想像も及ばないほどだ。それが、主に熱帯雨林の破壊によって永遠に失われていく。その危険性を指摘することで、本書は優れた環境保全運動の啓蒙書にもなっている。多くの人に読んでもらいたい一冊。


関連書籍:
ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジーヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
(2007/03)
ピーター フォーブズ

商品詳細を見る


眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
(2006/02/23)
アンドリュー・パーカー

商品詳細を見る

関連記事
スポンサーサイト
生物・遺伝・病原体 | 2012/04/30(月) 20:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1038冊目 ファントム・ピークス

ファントム・ピークス (角川文庫)ファントム・ピークス (角川文庫)
(2010/12/25)
北林 一光

商品詳細を見る



評価:☆☆☆


 山菜採り中の女性が失踪した。人一倍用心深かった彼女がどうして事故あるいは事件に巻き込まれたか。夫はそこに疑問を抱く。その半年後、白骨化した遺体の一部が発見される。なんと、失踪した地点から1キロも離れた地点で。

 女性の死は事故として片付けられようとしてたが、そこに更なる失踪事件が重なる。その近くで、遊びに来ていた女性が失踪する。大事にしていたカメラを残して。

 何が事件の背後に潜んでいるのか。

 アルプスという広大な地で、神出鬼没に襲いかかってくる謎の存在に慄きながら読み進めると、事件を起こすに至るおぞましい過去が立ち現れてくる。

 パニック小説で、”犯人”についてはネタバレとなるのを避けるためここでは書かないが、人智を超えたモンスターではないところに安心感がある。

 ”宮部みゆきが絶賛”の文字が帯に踊っていたので、ミステリかと思ったら違った。犯人はAだと思っていたのにBだったのか!的な驚きは無いし、伏線というよりも雰囲気を盛り上げるための怪しい気配レベルの前触れがあるくらいで、かなり素直なストーリー。捻りが聞いているわけじゃないし、犯人(?)の意外性も無い。淡々と事件が起こって、犯人が分かって、あとはどうやって敵を倒すか、という流れ。

 一方、文章は読みやすく、情景が目に浮かぶような上手さがある。特に終盤、息詰まる攻防と疾走感は面白かった。
続きを読む
関連記事
その他小説 | 2012/04/25(水) 20:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1037冊目 読書の腕前
読書の腕前 (光文社新書)読書の腕前 (光文社新書)
(2007/03)
岡崎 武志

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 フリーライター・書評家の著者が読書について思うがままに綴った本。

 腕前などという単語がタイトルに冠されてはいるが、昇段試験があるわけでもなし、あの本は面白かったとか、どうして本を読むようになったかとか、そういう個人的な話が多い。随所で本への愛情が感じられるのが良い。

 読書家なら知ってるはず、みたいにして紹介されている本が尽く私の知らない本で(文学は読まないのでそれも当然なのだけど)、俺も人よりはほんのちょっと本を読む方だと思ってはいたけれどまだまだだと思わされた。もっとも、今の100倍のペースで100年ほど読書の時間があっても手に取らないだろうけど。

 事ほど左様に挙げられている本が詩と文学と文学者のエッセイに偏っているので、私が感銘を受けてきた偉大なノンフィクションの数々はあたかも存在すらしないかのような錯覚に陥る。事実の面白さはたかだか個人が作り上げた小説世界よりずっと面白いことだって多いわけで、それらが顧みられていないのは寂しい。

 そうした思いはあるのだが、本は読めば読むほど読みたい本が増える等、頷ける話題も多い。ジャンルは違えど、本を読む楽しみを知る人には共通の思いがあるのだろうなあ。どちらかと言うと、文学畑の人の方が楽しめるかなとは思うが、迫りくる本に圧倒される人なら同感に思う点が多いだろう。

 それにしても、蔵書が年間3,000冊増えていくというのは脅威だなあ。私がせいぜい年に100ちょいしか読まないのにあっという間に本棚は容量オーバーするのだから、恐ろしさにぞっとするのと、それだけの本に囲まれることの羨ましさが去来したものである。
関連記事
エッセイ | 2012/04/23(月) 22:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1036冊目 騎馬民族は来なかった

騎馬民族は来なかった (NHKブックス)騎馬民族は来なかった (NHKブックス)
(1993/09)
佐原 真

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 本書が扱っている話題は、ちょっと古い。

 江上波夫が唱えたのが騎馬民族征服王朝説。朝鮮半島を経由した騎馬民族によって古代の日本は征服された。その証拠として、魏志東夷伝に記される倭人の条においては牛馬なしとされているが5世紀以降から見られ有用になること、古墳への埋葬方法や副葬品が急激に変化すること等を挙げている。

 その騎馬民族征服王朝説に真っ向から立ち向かったのが本書。江上の挙げた根拠はいずれも決定的なものとはいえず、粗が目立つとする。こういうのは、批判する方が微に入り細を穿つ傾向があるため、面白さは細部に宿ると思う人にとってはより楽しめることになる。

 本書でも、かなり細かい論点まで踏み込んで、副葬品の変遷やら古墳への埋葬方法やらを語っているので、そうした知識をほとんど持たない私にとってはなかり知的好奇心を刺激された。

 特筆されているのが、去勢について。騎馬民族と言ってもどのような馬に乗るかは異なる。牡なのか、去勢牡なのか、牝なのか。雄を使うとなると、発情した雄が戦場では手に負えなくなる場合があるので細心の注意が必要となる。発情した牡は牝に強く誘引されてしまうため、獰猛となり人間にした側亡くなってしまうのだ。だから、騎馬民族は基本的に去勢文化を持つ。日本に去勢文化がなかったことは逆に日本に騎馬民族が来なかったことを意味するわけだ。

 批判するために、様々な分野に話題が移るのが楽しい。気がついてみると文化論やら技術論やらになっていて、世界史と文化史を合わせた感じになってくる。血の結びつきの面白さだろう。

 私としては、去勢が日本には導入されなかったことから、騎馬民族の征服説は怪しいと思う。秦氏に代表されるような、大陸に起源を持つ有力者が日本にやってきたことは事実だろうし、個人的には天皇家の先祖がそうであったとしても不思議はないと思う。というか、天皇の一族はどう転んでもアフリカ起源だし、何処を経由したかという問題だろうし。

 ともあれ、壮大な仮説で、それはそれで魅力のある騎馬民族征服王朝説がなぜ定説となっていないのか、上手く説明できていると思う。興味がある方には是非お勧めしたい。



 それにしても、去勢についての話には参った。手段についてもきっちり書かれていて、その手の痛い話が苦手な私は慄きながら読んだのだけれど、その章が過ぎたら腕に全然力が入らなくなっていた。きっと、昔の日本人も、同じような理由で去勢を導入しなかったんじゃないかなあ。と、適当な妄想を抱いてみたり。


関連書籍:

ウマ駆ける古代アジア (講談社選書メチエ)ウマ駆ける古代アジア (講談社選書メチエ)
(1994/03)
川又 正智

商品詳細を見る

関連記事
その他歴史 | 2012/04/21(土) 21:48 | Trackback:(0) | Comments:(2)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1035冊目 受難

受難 (文春文庫)受難 (文春文庫)
(2002/03)
姫野 カオルコ

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 米原万里さんの書評で大絶賛されていたので手にとって見た。評価通り、ついつい笑いに引きこまれて大変困ったことになった。なぜなら、電車の中だったから。

 一人暮らしをしている女性のおまんこに人面瘡ができてしまった、というトンデモ無い設定の物語。彼女はその人面瘡に”古賀さん”と名前を付けているのだが、こやつが宿主を罵るわグルメにはなるわオナニーを強制するわで大変なのだ。

 唯一(?)大変じゃないのは、そうなっても彼女は困る立場じゃない、ということ。恋人も居ないし、出来る見込みもない不遇の女性。なにせ、少女を強姦しようとして男ですら、彼女が触れたら瞬時に萎えるという、男として恐ろしい能力の持ち主なのだ。

 という感じの、破天荒でぶっ飛んだ設定、憚ることもなくシモネタを炸裂させながらもエロティックな感じにはならない、なんとも形容しがたい小説。

 下品だから面白い、というわけじゃないし、プロットが素晴らしいというわけでもない。それなのに、読んでいて面白く、余韻も良い、とても不思議な物語だった。

 でも、これ、男性が書いてたら引かれるだろうなあ(笑)
関連記事
その他小説 | 2012/04/19(木) 21:23 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1034冊目 ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジーヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー
(2007/03)
ピーター フォーブズ

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 昆虫は飛べない。ご存知だろうか。いや、飛ぶじゃん!蚊も蠅も、ゴキブリだって飛ぶじゃん!と思われるかもしれない。しかし、昆虫が飛べないのは事実。少なくとも、航空力学では、昆虫はどうやっても飛べないはずなのだ。それなのに、ご存知のとおりに虫は空を飛ぶ飛行機を飛ばすのには成功を収めている理論も、昆虫には適用できないのである。

 これは自然界には人間がまだ理解していないメカニズムが、まだまだ沢山あることを示している。どうやら、数十億年に渡る進化の妙は、人間にとっての知の世界より遙かに広いのだろう。

 タイトルのヤモリの指にしてもそうだ。

 ちょっとした郊外なら、窓の外にヤモリが張り付いているところも珍しくはないだろう。その姿を気持ち悪いと思う人も少なくはないと思う。しかし、そこに凄さを見出すことも、また容易なことである。まるで重力の桎梏から解き放たれたかのように、垂直なガラス面をよじ登る。もし彼らが室内に居たのであれば、そのまま天井を這いまわるところも観察できるだろう。

 どうしてそんなことができるのだろうか?

 秘密はその足にあった。顕微鏡でも分からない、ナノメートル(1億分の1メートル)の世界に。電子顕微鏡でその足を見ると、ヒゲのような微小な突起があり、この突起が表面張力でヤモリの体重を支えているのである。

 ナノの世界で見られる不思議にはようやく探求が始まったばかり。そして、その世界を覗き見ることができるようになったからこそ、ハスの葉が泥水の中から現れても美しいことや、クモの糸がしなやかでかつ強靭であること、ヤモリが壁にくっつける理由等が明らかになってきた。

 本書は、生物が生み出してきた素晴らしい機能と、その機能が発揮されるメカニズムを追いかけ、更には人類が如何に自然の秘められたデザインを利用しているかという知のフロンティアを説いている。

 ヤモリの指やオナモミがくっつく原理はマジックテープを生んだ。クモの糸の研究はまだ実用化に至っていないが、素晴らしい世界が広がっていそうな予感を感じさせる。昆虫の飛び方を利用した機械に至っては、夢のテクノロジーだろうが、被災者のに代表されるように期待が大きい。

 自然をつぶさに見ることで、かくも不思議で面白い世界が広がっているというのは、なんとも嬉しくなる話ではないか。まだまだ想像もつかないような、凄い事実を自然は隠しているに違いない。そして、いつか我々がその事実に気づいた時、創造もつかないような世界がやってくるのかもしれない。自然の奥深さと面白さを感じさせてくれる、素晴らしい本。
関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/04/17(火) 21:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1033冊目 世界でもっとも阿呆な旅

世界でもっとも阿呆な旅世界でもっとも阿呆な旅
(2009/11)
安居 良基

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 この人、阿呆だなぁ(あらゆる意味で褒め言葉)。

 本書は一大旅行記であり、その功績はイヴン・バットゥータに匹敵することはないにしても、範囲だけは超えているに違いない。なにせ、著者は世界中を回っているのだから。それも、変な名前の地名を尋ねる、というたったそれだけの目的のために。

 変な地名と言えば、代表的なのがエロマンガ島、あるいはスケベニンゲン。国内であれば、ヤリキレナイ川、下呂、満光寺あたりは私も知っていた。

 が、珍名の多いこと多いこと。そんな地名があるんだと笑いかつ驚くことの連続。変な(少なくとも、日本人には変に聞こえる)地名は実に多い。マルデアホ(アルゼンチン)、チンポー湖(中国)、クサイ島(ミクロネシア)、シリフケ(トルコ)、ヤキマンコ(ロシア)なんて、本書を読むまで知らなかった。金玉落としの谷、首切峠、土居中(どいなか)、半家(はげ)、伊武部(いんぶ)ビーチ、エトセトラエトセトラも同様。

 良くもまあ調べたものだ。そして、変な地名というだけで良くもまあ訪れたものだ。その物好きさ、趣味にかける情熱には感服する。そして、本書の際立った特長は、これらの珍名地点を尋ねるためのガイドにもなっている、ということこだ。行き方から見所までしっかり載っているので、著者の偉業を追いかけ、追い抜くための手引書としても利用できるのである。するかどうかは別だけど。

 こういう、ダメなことを大まじめにやると面白い。旅行ガイドとしても決してお勧めはしないけれども、この手のユーモアが好きな方には堪らないのではないかと思う次第であります。
関連記事
ノンフィクション | 2012/04/14(土) 20:14 | Trackback:(0) | Comments:(2)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1032冊目 災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか
災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)
(2010/12/17)
レベッカ ソルニット

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆



 東日本大震災の際、被災者たちのほとんどが整然とした行動をとったことが諸外国から賞賛を浴びたのは記憶に新しい。私自身、”日本は凄い”という論調の記事を読んで、同胞の素晴らしい立ち居振る舞いに胸が熱くなったことを覚えている。

 しかし、本書によれば、危機にあっても協力し合うのは、何も日本に限ったことではなく、むしろ普遍的に見られる現象だ、と言う。災害の直後、行政が力を失ったその短期間に、人々はコミュニティを作り上げる。

 本書を捲ると、腐らせるよりはと商品を無償で供与する商店主、自らも被災者ながら、不休で(勿論無償で)調理に当たる女たち、救助活動や弱い人たちのガードを引き受ける男たちのエピソードが次から次へと現れては、感動を呼ぶ。人は、こうした危機にあっては性悪説的に振舞うのではなく、自然と助け合いに向かうものらしい。

 一方で、権力側の対応はそれと大きく異なる、と著者は指摘する。秩序が崩壊すると、そこには無法地帯が現れるのではないかと懸念する権力機構によって、被災者はいつのまにか加害者に映るようになってしまうというのだ。

 本書ではその現象を「エリートパニック」と呼ぶ。正しい情報を与えたら制御できないパニックが起こるのではないかとの恐れから、情報が統制される。その指摘は正しいと思えてならなかった。東日本大震災後の原発事故で情報の出し惜しみとしか思われない事象を経験したばかりの我々には、特に。

 これは、アメリカのスリーマイル島原子力発電所事故でも見られたという。行政側の避難勧告は余りにも遅すぎた、と著者は指摘するが、その背景にあったのは情報を流せば無秩序な避難が起こり、引き起こされたパニックがむしろ悪く働くに違いない、という権力側の誤解だ。それ故、情報を流さないことで被害者が増えることも許容したのだ。ところが、一般市民たちは整然と避難を開始していた、という。そこに大いなる皮肉がある。

 災害や大事故の際の、こうした人々の自然な振る舞いを活用する方向で災害対策は組まれるべきかもしれない。消火活動や救助活動が上手く進むようになるに違いないだろうから。


 それにしても、本書に書かれていることが事実だとすれば、ハリケーンカトリーナの際の行政は酷いの一言に尽きる。根拠も無しに、被災地では暴動、殺人、略奪が繰り広げられているとされたせいで、多くの貧しい人々、とりわけ黒人が二次的な被害にあった。黒人は、ただ歩いているだけで白人富裕層に射殺されるリスクがあったというから驚きだ。彼らの論理は、「彼らは強盗に違いない」、だ。根拠は無い。ニューオーリンズが貧しい黒人の街だからだろうか、行政もそれを放置した。

 日本でここまでの酷いことが起こらなかったことには感謝したい。

 問題はこの先で、風評被害等は今も残る。冷静な比較では、放射線の被害など、外出時に自動車事故に遭うリスクや、喫煙者と同居することで癌等で死亡するリスクよりも遥かに低い。毎日風呂に入ることで死ぬリスクのほうが高いと聞けばどう思うだろう?でも、実際はその程度。だから、冷静に判断して、被災地イジメにならないように気をつけたいものだ。
関連記事
ノンフィクション | 2012/04/11(水) 21:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1031冊目 「ドラキュラ」殺人事件

「ドラキュラ」殺人事件 (講談社ノベルス)「ドラキュラ」殺人事件 (講談社ノベルス)
(1997/08)
仁賀 克雄

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 舞台は19世紀末のロンドン。折しもブラム・ストーカーが大作『ドラキュラ』の執筆に取りかかりはじめた頃のこと。吸血鬼の奇怪な噂がロンドンを席巻していた。東欧発独仏経由でやってきたホラー物語であるはずの吸血鬼の仕業ででもあるかのような事件が起こったのだ。

 墓場が荒らされ、遺体からは血を抜き取ろうとした跡が残されていたのだ。やがて、事件はエスカレートする。霊安室から死体が盗まれ、そして遂には死者まで出る騒ぎとなる。全身から血を抜かれた若い女性の死体が発見されたのである。

 捜査にあたるのはスコットランド・ヤードのマクノートン。後に切り裂きジャックの正体を推測するメモを残した人物である。ブラム・ストーカーも事件に絡みつつ、『ドラキュラ』の構想を練る。

 といった風に、実在の人物や実際の事件を多数登場させ、ヴィクトリア朝らしさを随所に感じさせてくれる。良く調べてあるなあ、というのは正直な感想。

 ただ、ミステリとして読むとどうだろう。警察は事件を追うけれども、うーん、それだけじゃあ、ねえ。

 また、文章もイマイチ。伏線を貼ろうとはしているのであろうけれども、単に今後の出来事を、それも詰まらないやり方で赤してしまうだけに終始してしまっているのは残念。そんな文章、無い方がよっぽど何が起こるかドキドキさせられるのに。妙に技工をこらそうとして失敗した感じがした。

 なので、虚実取り混ぜたストーリーでヴィクトリア朝っぽさを味わうのが一番の読み方かな。
続きを読む
関連記事
その他小説 | 2012/04/07(土) 23:30 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1030冊目 蝶を育てるアリ―わが昆虫フィールドノート
蝶を育てるアリ―わが昆虫フィールドノート (文春新書)蝶を育てるアリ―わが昆虫フィールドノート (文春新書)
(2002/03)
矢島 稔

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆

 矢島稔さんは豊島園昆虫館を創設し、上野動物園水族館館長や多摩動物公園園長を経て群馬県立ぐんま昆虫の森園長を務めている。その著者が、戦後の大変な時期から昆虫に魅せられて、そしてプロとして昆虫と相対し、そこで得られた知的好奇心をくすぐる話題をこれでもかとばかりに披露してくれている。

 タイトルになった蝶を育てるアリの話。アリの中には蝶を育てるものがいる。蝶の幼虫は、甘い汁を出してアリに与え、代わりにアリに食事等の世話を焼いてもらうというのだ。なにやらアブラムシとアリの共生を思い起こさせるが、蝶はアブラムシより一歩先んじているそうな。フェロモンによってアリは蝶の幼虫を完全に仲間だと思い込む、というのだから。なんと、アリの卵や幼虫を食料にして成長する者もいるらしいのには驚かされる。

 ところが成虫になるとフェロモンが切れてしまい、アリに余所者として攻撃される。だから、巣穴の入り口近くで繭となり、成虫になるとそそくさと巣から逃げ出すという。

 そんな魅力的な話の他に、トンボやタガメやホタル等々の昆虫の不思議な生態を描き出している。著者が愛してやまないことだけに、楽しいことをやっている人に特有の、高揚した雰囲気があるのが良い。気がつけば昆虫の不思議に思いを馳せている自分が居た。

 擬態についても調査している。素人目には擬態の効果は明らかだ。だからこそナナフシはあんなにも枝にそっくりなのだし、蛾や蝉は樹に止まれば背景に溶け込んでしまうと思う。しかし、著者はしっかりそこに疑問を感じる。鳥を用いて実験したところ、これらの昆虫はあっというまに食べられてしまう、というのだから驚き。

 考えてみれば、鳥も生きるのに必死で擬態を見抜く方に進化し、昆虫はその鳥から逃れるために更に巧妙に姿を変える。だから、鳥が餌を見つけるのが上手いのも自然なのだろう。そして、擬態は生存の可能性を僅かなりとも高めているのだろう。自然界の、生きるための競争の激しさを改めて感じさせられた。



関連書籍:
脳とセックスの生物学脳とセックスの生物学
(2004/02/27)
ローワン・フーバー、調所 あきら 他

商品詳細を見る


似せてだます擬態の不思議な世界 (DOJIN選書 2)似せてだます擬態の不思議な世界 (DOJIN選書 2)
(2007/01/20)
藤原 晴彦

商品詳細を見る


昆虫の誕生―一千万種への進化と分化 (中公新書)昆虫の誕生―一千万種への進化と分化 (中公新書)
(1996/10)
石川 良輔

商品詳細を見る

関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/04/04(水) 22:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1029冊目 王朝滅亡の予言歌―古代中国の童謡

王朝滅亡の予言歌―古代中国の童謡 (あじあブックス)王朝滅亡の予言歌―古代中国の童謡 (あじあブックス)
(2009/12)
串田 久治

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


千里の草、何ぞ青々たる(青々と茂る千里の草なのに
十日の卜、生くるを得ず(占いは「もうすぐ枯れる」と告げている)


 この童謡の形を借りた予言をご存じの方は、三国志ファンだ。何故か?これは、複雑に言いたいことを隠しながらも、分かる人には分かる言い方をしている。

 ”千里の草”とは”董”の字を示す。草冠と千と里で”董”になるから。”十日の卜”というのはちょっとややこしいが、”卓”現している。卓を分解して下から読めば、”十日卜”となるのが分かるだろう。ここまで読み解ければ完璧だ。この詩は、董卓の支配は間もなく終わる、という予言になっているのである。

 あたかも予言であったかのように、童謡の通りに董卓は呂布に暗殺される。長安では市民がその死を喜んだと伝えられるが、皮肉なことに長安に平和は戻らなかった。董卓の後継者たちと董卓を暗殺した側の争い、更には董卓の後継者内部の争いと、動乱は続くのだ。流石の童謡も、そこまでは見抜けなかったらしい。

 こうした童謡は他にも知られている。どうして今に到るまで伝えられているのかというと、歴史世に未来を見事に言い当てたものとして記録されているから、である。

 著者は童謡を”隠喩やブラックユーモアを駆使して権力者を揶揄し呪う歌”と捉えている。つまり、知識人が権力者に対して悪意を表明すれば命が危ないので、意味を深く埋め込んだ童謡の形を借りて世に伝えた、というのだ。

 著者の指摘が正しいかどうかは、その性格上、はっきり確かめることは困難である。私としては、大事件の後で必ず出てくる、”実は俺、予言しちゃってたんだぜ”という困ったちゃんは何時でも何処でも湧くのではないかと思うのだが。そう思いつつも、異色な立場からの古代中国史解説を楽しめた。個人的に春秋戦国から三国志の時代が好きだなあ。

関連記事
中国史 | 2012/04/01(日) 20:42 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。