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Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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BK1書評の鉄人31号。
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1028冊目 隠蔽捜査

隠蔽捜査 (新潮文庫)隠蔽捜査 (新潮文庫)
(2008/01/29)
今野 敏

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評価:☆☆☆


 東京で一人の男が銃殺された。今日日、それだけなら珍しい話ではないかも知れない。しかし、その男には前科があった。未成人時代、女子高生コンクリート詰め殺人事件を彷彿させる、卑劣な犯罪を行なっていた男だ。たった数年だけ少年院に送られたただけで、彼はシャバに出ていたのだ。(これは現実のコンクリート詰め殺人事件も同じ)

 警察庁キャリア官僚である主人公の竜崎伸也は、警察庁長官官房総務課課長として、被害者は既に出所していることから過去は被害者のプライバシーに属するものとして報道機関に加害者の過去を報道しないよう、自粛を申し入れる。

 その配慮は成功し、過去の事件については情報が広まらなかった。次の事件が起こるまでは。なんと、同じ手口で、同じ事件に関与していた人物が殺害されたのだ。

 話はこうして幕を開ける。これ以上書いてしまうとネタバレになるので自粛するが、現実に起こった複数の事件を織り交ぜ、(改正前の)少年法がどれだけ問題を孕んでいるかを指摘する。社会批評を含む点では『
13階段』に似ていると言えるだろう。

 何故、隠蔽捜査と名付けられたか。主人公は何と戦うのか。そのメッセージは示唆に富んでいる。読み終わった後で清々しい気分になるのが良い。ただ、最初のうちは状況説明が余りにもわざとらしいタイミングで入るのがちょっと気になった。
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その他小説 | 2012/03/29(木) 22:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1027冊目 レッドムーン・ショック―スプートニクと宇宙時代のはじまり
レッドムーン・ショック―スプートニクと宇宙時代のはじまりレッドムーン・ショック―スプートニクと宇宙時代のはじまり
(2009/01)
マシュー ブレジンスキー

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評価:☆☆☆☆☆


 ゲーリングの誇るドイツ空軍がバトル・オブ・ブリテンに敗れたことで、ヒトラーのドイツはイギリスへの侵攻の道を絶たれた。そこでナチスが頼ったのは、制空権を無視してイギリスを攻撃できる兵器、V2である。(バトル・オブ・ブリテンの経緯については『戦略の本質』が参考になります)

 本書はV2の飛翔で幕を開ける。それは、宇宙時代の始まりを意味すると同時に、宇宙にまで戦争の暗い影が忍び寄っている事実を示すものでもあった。

 やがて、ヒトラーが自殺し、ドイツ全土が連合軍に占領される。この時、既に米ソの戦いは始まっていた。優秀なロケット科学者を手にいれんとする戦いが。ドイツの遺産を元に、2人の科学者が宇宙を目指すことになる。一時は強制収容所で過酷な労働を強いられた、ソ連のコロリョフ。そして、ドイツでV2を開発した実績を持ってアメリカに移ったフォン・ノイマンである。

 本書を読むと、宇宙開発が熾烈な米ソ対立を背景とした軍事拡張路線に沿ったものであることが深く理解できる。爆撃機と核兵器の組み合わせによるアメリカの覇権に、ソ連はどうやっても対抗できなかった。ミサイルは、圧倒的な戦力不均衡を打破し得る唯一の手段だったのだ。フルシチョフがそれを的確に把握していたことは特筆に値するであろう。そして、アメリカはそれに気づいていなかった。自分の有利な立場に胡坐をかいていたと言われても仕方がない。

 こうした中で、コロリョフはミサイル開発を進めていく。一方のノイマンはアメリカで飼い殺しに近い状態の中で。遂に、コロリョフはミサイルを発射し、誘導し、狙い通りの位置に着弾させることに成功する。ドイツの到達点に、ソ連が先に辿り着いたのだ。

 だが、コロリョフの成功は顧みられることはなかった。彼の名がトップシークレットだったためだけではない。誰もその衝撃を真には分かっていなかった。加えて、彼のミサイルには、兵器としての致命的な欠陥があった。再突入の際、弾頭が燃え尽きてしまうことである。

 コロリョフはそこで、政治生命を賭けた(それは共産圏では同時に自分の命を賭けたことを意味する)博打を打つことになる。失敗を目立たせないために弾頭を再突入させないで、かつ成功をアピールすることだ。即ち、弾頭を人工衛星にしてしまうのである。後に言う、スプートニクだ。

 本書はこのスプートニクの衝撃と、それが世界に何をもたらしたかを、綿密な取材によって臨場感たっぷりに描き出す。当事者のセリフにはいちいち注が付いていることから、記録としてかなり正確であることが分かるのだが、本書の素晴らしい点は、無味乾燥な事実の羅列にはなっていないことだ。そこに生きて、野望を抱き、夢に生きた男たちの姿を克明に描き出しているところに、本書の魅力がある。

 もう一つは、米ソそれぞれの熾烈な政治権力闘争が描かれているところだろう。フルシチョフの追い落とし未遂事件、人気絶頂だったアイゼンハワーの失墜(それは後に民主党のケネディを大統領に押し上げることに繋がる)、そしてロケット開発を主導しようとする科学者や軍人たちの思惑。その複雑に絡み合った糸を見事に一つの絵として見せてくれるのだから脱帽ものだ。

 評判に違わぬ、見事なノンフィクション。宇宙開発に興味がある方には是非とも読んで頂きたい。



関連書籍:
アポロとソユーズ―米ソ宇宙飛行士が明かした開発レースの真実アポロとソユーズ―米ソ宇宙飛行士が明かした開発レースの真実
(2005/05)
デイヴィッド スコット、アレクセイ レオーノフ 他

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月をめざした二人の科学者―アポロとスプートニクの軌跡 (中公新書)月をめざした二人の科学者―アポロとスプートニクの軌跡 (中公新書)
(2000/12)
的川 泰宣

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ロケットボーイズ〈上〉ロケットボーイズ〈上〉
(1999/12)
ホーマー ヒッカム・ジュニア

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ロケットボーイズ〈下〉ロケットボーイズ〈下〉
(2000/02)
ホーマー・ジュニア ヒッカム

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ノンフィクション | 2012/03/26(月) 21:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1026冊目 三国志と日本人

三国志と日本人 (講談社現代新書)三国志と日本人 (講談社現代新書)
(2002/12)
雑喉 潤

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評価:☆☆☆☆


 三国志はいつから日本に入ってきたのか。魏志倭人伝(正確には、烏丸鮮卑東夷伝倭人)の名は広く知られているが、こちらはあくまでも中国側が日本を記録していたもので、日本側の記録ではない。と思っていたら、何とも意外、日本書紀に三国志の影響が見て取れると指摘されているのを知って吃驚した。なんと、名詞を変えたらそっくり三国志、という記述がある、というのだ。本文が簡潔で、異説を幾パターンも併記する記し方が三国志と同じであり、渡来人が編纂に影響を与えた可能性がある、という指摘は目からウロコ。

 やがて太平記に至り、引用がかなり激しくなる。ストーリーとは無関係に(ついでにかなり過ちを含みながら)三国志の紹介をしている話があるなんて、作者は三国志にハマってたんだなあとにんまりさせられるではないか。

 そして江戸時代。翻訳に挿絵が付いて、三国志は本格的に民衆の間に広まっていった。読み物として人気を博していったことが、芝居で見る中国とは意識の違いを生んだのではないか、という指摘には頷かされる。芝居だと、どうしても正義のヒーローと悪役を色分けしてしまうから。だから中国では今も曹操は人気がなく、日本では曹操人気がある、というのは頷ける。吉川英治さんや横山光輝さんの三国志では、曹操は悪人には見えない。マキャベリストで癖が強いのは事実だとしても。

 日本で三国志が受容されるに至る流れはかなり要領よく纏められている。前述の日本書紀に始まり、『蒼天航路』や宮城谷さんや北方さんの三国志等、最新の話題までカバーしているので、三国志受容の歴史を辿るにはもってこいだ。それは即ち、日本文化に見られる三国志の影響、とでもなろうか。

 吉川英治から横山光輝、光栄のシミュレーションゲームと辿って来た自分の三国志遍歴分が、実に同世代の典型でおかしかった。

 これからも、三国志に魅せられた人が、新たなる三国志をもたらしてくれることだろう。ファンとして、その未来が楽しみである。
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未分類 | 2012/03/22(木) 22:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1025冊目 打ちのめされるようなすごい本
打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
(2009/05/08)
米原 万里

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評価:☆☆☆☆☆


 ああ、やっぱりこの本は読んではいけなかった。何故か?それは、読みたい本が大量に増えてしまったためである。

 ロシア語同時通訳者として活躍し、エッセイストとしても知られた米原さん。彼女はその素晴らしい感性で傑作『オリガ・モリソヴナの反語法』を著してもいる。

 小説を書くにはインプットが大切、というわけで彼女も物凄い読書家だった。そうして読んだ本を、様々な場所で書評として紹介していた。本書はその集大成である。

 私は(見て分かる通り)小説は余り読まないし、興味も余り持っていないのだが、彼女は違う。物凄い勢いでノンフィクション、フィクション問わずに読みまくり、それを魅力的に表現してしまう。そのエネルギーに当てられたのか、こちらまで小説を、それも大量に読みたくなってしまうのが本書の魅力であり、同時に困ったところだ。

 ガンの闘病の末に、惜しくも亡くなった米原さんが最期まで冷静で明晰な頭脳を持ち続けた記録にもなっている。書評の形で、ガンとの戦いに挑んだ経過が綴られているためだ。死から逃れるために情報を集め、自らの身体を実験台にしているかのような記述の中に、この命ある世界への愛情と、代替医療を含む医療への思いが綴られていて胸が熱くなった。彼女の死が返す返すも残念である。

 というわけで、出会える本のジャンルの広さと量の多さは本当に魅力的。面白そうな本を携帯電話のメモ機能で登録していたら、リストが長大になって困った。ただでさえ読みたい本はいっぱいあるのに・・・・・・。


関連書籍:
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
(2005/10/20)
米原 万里

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未分類 | 2012/03/17(土) 23:56 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1024冊目 地球環境を映す鏡 南極の科学

地球環境を映す鏡 南極の科学 (ブルーバックス)地球環境を映す鏡 南極の科学 (ブルーバックス)
(2009/11/20)
神沼 克伊

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評価:☆☆☆☆


 南極。2000メートルを超える氷の下に眠る大陸は、その余りの氷の重さから、標高を平均するとマイナス150メートルになる、と言う。雪と氷に閉ざされた、平均気温マイナス40℃の、地球最後の秘境。そこは、地球環境を知るための格好の観測所でもある。日本を始め30カ国以上が基地を設けているのはそのためだ。

 南極の氷には、氷ができた時の空気が封入されている。だから、南極の氷を調べることは地球の過去の環境を調べることにもなる。オゾン層の破壊を示すオゾンホールは南極で最大の大きさになる(なぜ人口のほとんどが集中している北半球ではなく、南半球の南極でオゾンホールができるのかもきちんと説明されている)。地球が温暖化すれば南極に降る雪が増えるため、その規模を知ることもできる。

 環境に加え、南極ならではの大発見もある。氷の奥深くに眠るボストーク湖(最近、ロシア隊のボーリングが湖に到達したらしい)、大量の隕石(中には火星からの隕石も含まれる)がそうだ。なぜ南極で大量の隕石が発見されるかは本書に譲るとして、発見につながるメカニズムは確かに南極ならではと思わせてくれる。

 こうした環境面、科学面の発見を一通りなぞっていることに加え、越冬隊員たちの生活や、南極を訪れる方法についても触れているので、まさに南極に関する様々なことを一堂に集めた観がある。南極の魅力を見せるのに成功している理由に、著者が観測隊員として何度も南極の地を踏んでいることもあるだろう。記述が活き活きとした魅力に溢れている。

 地球環境や、南極に興味をもつ方はきっと楽しめることだろう。


 これで2^10冊目だ^^

関連書籍:

面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
(2004/09)
西村 淳

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世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
(2002/12)
アプスレイ チェリー・ガラード

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そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還
(2000/09)
ジェニファー アームストロング

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環境 | 2012/03/13(火) 22:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1023冊目 「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー

「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー
(2009/01/23)
佐藤 優

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評価:☆☆☆☆


 インテリジェンスの世界に身を置いていた著者が身につけた、その世界で生きるルールを紹介してくれているのが本書。著者自身の言を借りると、内容は大きく分けて4つになる。

1.新聞、書籍などの公開情報を用いて情報力をアップする方法
2.人脈構築の技法
3.危機管理の技法
4.窮地からの脱出法
(P.3-4)


 項目を見るだけで興味が湧いてくる。勿論、たかだか一冊の本でそのエッセンス全てを伝授してもらうことは叶わないが、キーとなる概念は十分にあると思うので、興味を持ったらまず読んでみて欲しい。

 情報をどのようにして得たら良いか、他人の信用を得るにはどうすれば良いか、憎まれずに嫌われる方法など、その世界のプロの見方を知ることができるのは魅力。

 加えて、村上正邦、田中森一、鈴木宗男、筆坂秀世、アントニオ猪木といった異色の人々との対談も魅力だ。

 対談では特に、『蟹工船』が等身大に受け取られるような社会は異常であり、危機に面していると繰り返し指摘が為されている。これは他の著書でも述べられていることから、著者がそこにどれほど危機感を抱いているかが分かる。ソ連崩壊を目の当たりにした著者の、この指摘は痛い。ワーキング・プアという異常事態を招かないよう、社会の変革が急務なのは事実だろう。

 博識と多彩な敬虔が、相変わらず広い視点を持った態度を生み出しているように感じられた。私もインプットをしっかり行って、もっと広い視野を持ちたいものだ。


関連書籍:

モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」
(2007/11/22)
エフライム・ハレヴィ

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ノンフィクション | 2012/03/10(土) 22:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1022冊目 大事故の予兆をさぐる―事故へ至る道筋を断つために
大事故の予兆をさぐる―事故へ至る道筋を断つために (ブルーバックス)大事故の予兆をさぐる―事故へ至る道筋を断つために (ブルーバックス)
(1998/03)
宮城 雅子

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評価:☆☆☆☆


 ハインリッヒの法則という経験則がある。目立ちやすい1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故と300件の事故には至らないヒヤリ・ハットがある、というものだ。交通事故で例えれば、1件の死傷事故の裏には29件の被害程度の小さな事故があり、間一髪で事故にならなかった300件のヒヤリがあった、ということになる。

 つまり、大失敗になるかどうかは、実のところ運の問題に過ぎない。だから、目に付いた重大事故にだけ注目して対策を講じることは、実は大した対策にならないのである。それよりもむしろ、背後に潜む膨大なヒヤリ・ハットを減らしていくことが重要だ。なぜなら、大事故を起こす土壌はそこに存在している、ということだから。

 本書では航空分野において行われている事故防止の取り組みから、大事故を防ぐために必要な事は何かを探っている。

 なぜ航空分野なのか。航空機事故は一度発生すれば大勢の命が失われること、人と機械と偶然が複雑に絡み合っていること等が挙げられている。そして、だからこそ、航空機事故については膨大な情報が集められてきた。例えば金属疲労の現象は、飛行機が謎の空中分解を起こしたことから発見されている。

 特にアメリカでは、事故に至らなかったヒヤリ・ハット(=インシデント)をかなり集めている。そこで大切なのは、インシデントは匿名の報告にすること、人事上で不利な扱いをしないことである。そうしなければ誰もインシデント情報を上げたりはしない。

 本書では、多くの事故事例を取り上げ、それがどうして起こったのか、どうすれば防ぐことができたのかという問題に取り組んでいる。『失敗学のすすめ』等で事故防止に興味を持たれた方には格好の類書と成るだろう。

 また、こうした努力が行われているから飛行機はこんなにも安全なのだと思うこともできる。実際、自動車事故のほうがリスクは遙かに高い。リスクについても考えを巡らせるきっかけになる一冊。


関連書籍:
最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか
(2006/10/19)
ジェームズ R・チャイルズ

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失敗学のすすめ (講談社文庫)失敗学のすすめ (講談社文庫)
(2005/04/15)
畑村 洋太郎

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ノンフィクション | 2012/03/08(木) 21:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1021冊目 シュメル-人類最古の文明

シュメル神話の世界―粘土板に刻まれた最古のロマン (中公新書)シュメル神話の世界―粘土板に刻まれた最古のロマン (中公新書)
(2008/12)
岡田 明子、小林 登志子 他

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評価:☆☆☆☆


 人類の文明で最も早く都市化を遂げた、シュメル。人類最古の都市の人々はまた、人類最古の物語をも生み出した。ギルガメッシュ叙事詩と呼ばれるものである。

 きっと、ギルガメッシュ以前にも、世界各地で物語が語り継がれていたと思う。しかし、それら口承の物語は、証拠として残らないまま歴史の中で消えて行った。ギルガメッシュ神話が人類最古の物語とされるのは、単にシュメルの人々が最も早くに文字を持ったためにほかならないと思われる。都市を築くには文字が不可欠だろうから、そう不思議なことではない。なお、シュメルで楔形文字が使われた始めたのは、紀元前3500年前頃と推測されている。

 ギルガメッシュ神話が特筆されて然るべきなのは、最古の物語であるという事実に加え、人類の普遍的な価値観を体現している点にあろう。即ち、死への恐怖である。ギルガメッシュは友人のエンキドゥを失ったことから死への恐怖に怯え、不死の妙薬を求めて彷徨う。あと一歩の所で不死を得られるところまで行きながら、結局は手に入れる事叶わず、失意に沈む様は他の文化でも幾らでも見られるものだろう。

 だが、何と言っても、ギルガメッシュの旅の中で語られる大洪水こそが有名だ。神々が洪水で世界を滅ぼすというストーリーは、ユダヤ教を経てキリスト教に受け継がれ、世界中が知るようになっている。

 こうした興味深い数々の神話を生んだシュメル文化はどのようなものだったか。粘土板が残りやすいという性質も手伝い、多くのことが明らかになっている。多神教で、神と都市が密接に結びついていたこと。神はどのような性格付けをされ、何を望み、どのように地上(人類)へ影響を及ぼすか。

 多神教はいずれもそうだと思うが、実に人間らしいのが良い。互いに惹かれ合ったり、揉め事を起こしたり、嫉妬したり。それらの神話的な出来事が、社会を説明するためのツールになっているので、自然観も透けて見える。そこが神話・伝承の面白さだと感じている。人類最古の都市文明を作った人々が、編んだ物語には、今の我々が読んでも面白い点が多々あってもおかしくない。新書らしく、専門に深入りしすぎないように、なおかつ面白さの要点は押さえてある、バランスの優れた好著である。



関連書籍:

シュメル―人類最古の文明 (中公新書)シュメル―人類最古の文明 (中公新書)
(2005/10)
小林 登志子

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その他歴史 | 2012/03/05(月) 22:08 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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1020冊目 走るお婆さん―日本の現代伝説

走るお婆さん―日本の現代伝説走るお婆さん―日本の現代伝説
(1996/11)
池田 香代子、高津 美保子 他

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評価:☆☆☆


 今では”都市伝説”として人口に膾炙している、現代のフォークロア。ちょっと古い本だけあって、懐かしい話題が多くて、幼少の頃を思い出してしまいましたよ。

 例えば、マクドナルドで、「ハンバーガーにミミズの肉を使ってるってホントですか?」と聞いた人が口止め料として1万円貰った、というもの。ミミズなんて砂を吐かせるのに大変だし、量も取れない。なんでもっと安価で現実味のある豚肉を混ぜている、とならなかったのだろう?因みに、アメリカでは猫の肉を使っているという都市伝説があるらしい。ネコだって、商品として出せるだけの量を確保するの、大変だよ?

 そして、本書のタイトルにもなっている、高速道路を走るお婆さん。時速100キロくらいの車を走って追いぬいてしまう。追い抜きざまにニヤッと笑うとか、追い抜かれると事故に遭うというオマケが付くこともある。

 他に、ナンパして一夜を共に過ごした女性が起きた時には姿を消していて、鏡に”エイズの世界へようこそ”と落書きがしてあった、というもの。私が弟から聞いたのは、それをやる悪女が死んだ、というもので、実在すら危ぶまれる赤の他人が死んだと聞かされてもどうしたものか悩んだものである。ついでに、そんな女性が居たとしても私には縁のない話だし。

 あと、新婚旅行に出かけた先で、奥さんがデパートの試着室に入ったまま行方不明になり、散々探しまわって場末の飲み屋だか見世物小屋に入ったら、”日本達磨”という題目で両手両足を切り落とされたところを見つけた、なんて話もある。

 こうした都市伝説、実は外国からの輸入物もあったりする。マクドナルドだとか、エイズなんかがそう。両手両足を~というのも類話がある。誰もが聞いたことがあるであろう定番の怪談、タクシーから消えた女性(座っていたところがびっしょり濡れていた)というのも、馬車の時代から語り継がれる由緒あるものだったりするのだ。

 本書では出所の怪しい、それでいながら注意を惹きつけて止まない都市伝説を数多く集めている。中には小学生の頃に聞いた記憶のものも含め、私も聞いたことがあるようなネタが多かった。怖がりながら聞いた遥かな過去を懐かしむ気持ちが強くて、怖いよりもどこかほんわりとしてしまった。都市伝説を好きな方は、”ああ、あの時こんな噂があったよな”と思えること必定だと思う。
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ノンフィクション | 2012/03/03(土) 22:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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1019冊目 地震の日本史―大地は何を語るのか

地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)
(2011/05)
寒川 旭

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評価:☆☆☆


日本の歴史は地震の歴史でもある。日本の成り立ちを考えれば当然だろう。なにせ、太平洋プレート、ユーラシアプレート、北米プレート、フィリピン海プレートという4つのプレートが日本の近くでせめぎ合っているのだ。プレートは地球全体で十数枚と言われるのだから、その集中ぶりが分かるだろう。地震の多くはプレートの境界線で発生するのだから、日本が世界でも稀に見る地震多発地帯なのも頷ける。因みに、トルコも同様に4つのプレートに囲まれているため、地震多発地帯である。

 そんな日本であるから、地震の爪痕が多くの地域に残されている。大地を無理やり引き裂いたかの如き断層は、古墳をずらし、遺跡を分断し、都市を崩壊させ、幾つもの集落を廃棄させた。

 本書は地震の記録を辿り、いつ・どのような規模で地震が発生し、社会にどのような影響を与えたかを概括している。関東大震災は勿論、何度も繰り返し発生してきた東海地方・東北沖地震等の被害を見ると、先の東日本大震災は規模の点からも被害の点からも珍しくなかったのだと思わされ、改めて慄然とさせられる。そして、各地、各時代の記録を見ると、日本に住む以上は地震から逃れることができないということも分かる。

 歴史を彩る事件の前後で起こった地震、有名人を恐れさせた地震、そして社会に変革を迫った地震を眺め見ると、嫌でも今一度地震への備えについて考えを巡らさせざるを得ない。これからも日本は地震列島であり続けるのだから、せめて被害を少なくするためにも過去の事例から学ぶことは多いだろう。特に、今は大量の映像記録を残せる時代なのだから、犠牲者の死を無駄にしないためにも、被害を最小限に留める方策を練り続けなければならないと感じた。
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ノンフィクション | 2012/03/01(木) 22:39 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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