カレンダー
01 | 2012/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 - - -
プロフィール

Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


宣伝目的以外のあらゆるコメント、TBを歓迎します。

↓ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してください。


にほんブログ村 本ブログへ


kids goo弾かれサイトですので閲覧はご注意を。頭が悪いのが伝染する恐れがあります。
notforkids.jpg

FC2カウンター
最近の記事
Tree-Arcive
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
巡回先

にほんブログ村 本ブログへ



うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

Skywriterさんの読書メーター

ブロとも申請フォーム
ブロとも一覧
ブログ内検索
RSSフィード
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 | --/--/--(--) --:-- | |

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1018冊目 昆虫の誕生 ―― 一千万種への進化と分化
昆虫の誕生―一千万種への進化と分化 (中公新書)昆虫の誕生―一千万種への進化と分化 (中公新書)
(1996/10)
石川 良輔

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 世界で最も反映している生物の種類は、まず間違いなく昆虫であろう。余りにも多様性に富んでいて分化が進んでいるため、まだまだ未発見のものが多いと言われているにも関わらず、現時点で分類されているのは80万種。既知の動物種の半分を占めている。最大では、サブタイトルに見られるように1000万種と見積る人もいるようだ。

 世界を制した昆虫の本書が記された時点で分類されていた全ての目を網羅しているのが本書。主な昆虫の名前と、それが分類される理由をざっと述べているため、昆虫全体の姿を大雑把に知ることができる。

 蚊と蝿が同じ種に分類される理由、トンボ目はイトトンボ亜目、ムカシトンボ亜目、トンボ亜目に分類され、どのような形態的違いがあるのか、白蟻と蟻が全然異なる種であること等、身近な昆虫についてもその進化の道を辿れるのが嬉しい。昆虫に留まらず、生物に興味を持っている方には楽しめる本だと思う。かなり詳細な図版も多用されていて、精巧さを味わえるのも魅力である。


関連書籍:
死体につく虫が犯人を告げる死体につく虫が犯人を告げる
(2002/07)
マディソン・リー ゴフ

商品詳細を見る

関連記事
スポンサーサイト
生物・遺伝・病原体 | 2012/02/28(火) 22:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1017冊目 秘密とウソと報道

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)
(2009/07/28)
日垣 隆

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 ジャーナリズムに一定以上の興味を持つ方には常識に属することだが、大手新聞社等のネタ元は、記者クラブという談合組織にある。ここはクラブに属さない者を排除した上で、立法・行政からの情報を恵んでもらうところだ。当然のことながら政府や官僚に都合の悪い情報など出ないし、記者クラブの面々もそんな情報を得ようとしない。そんなことをしようものなら、記者クラブから排除されてしまうからだ。

 本来なら自分たちで得なければならない情報を与えてもらうことと引き換えに、官製ジャーナリズムに堕している、と言っても間違いない。反発するのは骨の髄まで記者クラブの”恩恵”に浸っている人だけだ。

 しかし、それだけでは満足行かない、本義で言うところのジャーナリストだって、いる。彼らは広く深く果敢に情報を得ようと日夜務めているのだ。

 ところが、一方でネタを取るためならどんなことでもしてしまう、という困った御仁もいる。山崎朋子は『サンダカン八番娼館』を書く際に、お世話になった情報提供者から大切な遺品を盗み出した。佐木隆三は警察の資料をまるまるコピーして、ほぼ調書そのままの『復讐するは我にあり』を著した。草薙厚子とカメラマンはやるなと言われていたにも関わらず、精神鑑定を始めとする資料を撮影しまくり、それを元に『僕はパパを殺すことに決めた』を世に問うた。毎日新聞の西山記者は外務省の審議官秘書と情を結んで情報を得た。公開方法が適切ではなかったこともあり、秘書は失業し家庭を崩壊させ、しかもその責任など取らなかった。

 秘密をどうやって暴くか。その過程で、どんなウソなら許されて、どんなウソは許されないのか。報道にあたって、全てのジャーナリストが深く考えなければならないことだろう。それが、なされていない。

 本書でも紹介されている、ウォーターゲート事件では、政権側からのリーク元をウッドワードとバーンスタイン記者は完全に守り通した。社主は黙秘することで刑務所に入れられても構わないと覚悟を決めた。そんな、必死な姿が彼らからは感じられない。

 どうやってメディアは生き残っていくのか。一つの処方箋として、本書はあると思う。報道がもっと読み応えのある、しっかりしたものになることを願って止まない。と言うよりも、そうしないとネット時代のマスメディアは生き残れないのではないか。そう思うと、不安と同時に新たな体制のメディアを得られるのではないかという希望も湧いてきた。
関連記事
ノンフィクション | 2012/02/26(日) 21:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1016冊目 ジョークで読むロシア

ジョークで読むロシア (日経プレミアシリーズ)ジョークで読むロシア (日経プレミアシリーズ)
(2011/01/13)
菅野 沙織

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 問「大統領選挙キャンペーンに資金はどのくらい必要ですか?」
 答「一ルーブルあれば十分です。一ルーブルのコインを投げて、表が出ればプーチン、裏ならメドベージェフだ」


 ”はじめに”で見たこのジョークで、ロシアのアネクドート健在なり!と嬉しくなってしまった。

 どんな時代にあっても一歩引いたところから権力者だろうと世界情勢だろうと笑いのネタにしてしまうロシア。BRICsの一角として成長を予想されながら、その後の世界経済の落ち込みの波をモロに食らってしまい、楽観的な予想はどこへやら。

 金は悪なんかじゃない。悪はそんな簡単に消えたりしない。


 著者が経済の研究者であることから、触れられている話題の殆ど全てが経済に関したものである。そのため、ロシア社会全体を知るには適していないだろうが、逆にロシアの国際的な位置づけや、これからの展望について知るには向いている。おまけに、分量としてはやや少ないながらも魅力的なアネクドートが随所に置かれているので、楽しみながら読むことができた。

 崩壊する直前までソ連で暮らし、その後も仕事を通じてロシアを何度も訪れたという著者だけに、現在のロシアを語るに際して、知識に加えて愛情が感じられる。そこがまた良いのかも知れない。
関連記事
ノンフィクション | 2012/02/24(金) 23:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1015冊目 生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
(2007/05/18)
福岡 伸一

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 人間は生き物。犬も猫も生き物。ネズミもシマウマもミミズだってオケラだってアメンボだってメクラチビゴミムシだって生き物。大腸菌とかコレラ菌、マラリア原虫なんかも入れてやっても良いかな。でも、石は生き物じゃない。時計も車も本もパソコンもそう。

 こうやって並べてみると、生物と無生物の違いは明らかに見える。しかし、その違いを明示しようとすると、途轍もない困難にぶち当たってしまう。今でも生物と無生物のあいだをはっきりと分ける境界線について、科学者の間ではっきりと統一された意見は無いのである。

 困難を呼び込んでいるのは、ウイルス。奴らは自分だけでは生物として完結していない。なにせ、自分だけでは増殖できないのだ。その代わり、宿主の細胞に入り込み、自分の複製製造機と化してしまう。ところが、彼らの材料も、材料を指定するための暗号も、全て生物が使うものと共通している。即ち、A、T、C、Gで表される、たった4種類のアミノ酸からなっている。こうした存在があるから、”生命の本質は何か”という問いには誰もが納得する答えは出せないのだ。

 技術的な限界からウイルスの存在に気付けなかった、ある意味で時代に恵まれなかった一人の科学者を追うことから本書は始まる。その人物の名は、野口英世。日本では偉人として取り上げられることの多い彼だが、外国での評価は全く異なる。彼は、何も成し遂げていないとされているのだ。

 野口の悲劇から説き起こし、ワトソンとクリックによるDNAの発見、狂牛病など、生物と非生物との間を巡る様々な研究を取り上げている。

 その中で、自らも研究者として関わった新発見に纏わる話が織り交ぜられて研究生活を送る中での緊張感を垣間見せてくれたりと、広い楽しみ方ができるのが特長。

 特定の機能をわざと欠損させたノックアウトマウスが、予想されていた障害を示さずに元気に生きているというトピックのように、生物が発達させた生き抜く力の凄さを感じさせてくれたことも嬉しい。評判に違わぬ素晴らしい作品だった。
関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/02/22(水) 22:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1014冊目 愛と癒しと殺人に欠けた小説集

愛と癒しと殺人に欠けた小説集愛と癒しと殺人に欠けた小説集
(2006/11/17)
伊井 直行

商品詳細を見る


評価:☆


 愛も癒しも殺人も無い小説だって?どうやって盛り上げるんだ???と思って読んでみた。


 ・・・・・・盛り上がりませんでした。

 なんというか、日常の一部が切り取られて、ちょっと不条理を織り交ぜ、笑いのエッセンスは徹底して排除した感じ。6つの短編が収められているのだが、各短編の終わりも「ええっ!?ここで終わりなの!?」的な感じで、梯子を外れた感が凄まじい。

 やっぱり、小説には愛も癒しも無くて良いけど、せめて殺人と名探偵は欲しいなあ、と思った次第であります。ブンガクを読むにはまだまだ読書量が足りないみたいなので、修行して出直します。
関連記事
その他小説 | 2012/02/21(火) 23:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1013冊目 人類の足跡10万年全史

人類の足跡10万年全史人類の足跡10万年全史
(2007/08/31)
スティーヴン オッペンハイマー

商品詳細を見る


評価:☆☆☆


 人類はアフリカで誕生した。今でも、アフリカ以外に住む全ての人よりアフリカに住む人の方が遺伝的多様性に富んでいることがその証拠である。遠い昔に我々の先祖は誕生の地であるアフリカを後にした。そして、ヨーロッパやアジアは勿論、オーストラリアやアメリカまで生息地を広げてきたのだ。

 祖先が辿った遙かな旅路を追跡するには化石や遺物に頼るしか無かった。しかし、木や土から作られた遺物は失われやすいし、海辺の遺跡は海水面の上昇によって海に沈んでしまう。

 新たに登場したのが、遺伝子を使った研究である。とりわけ女系にだけ伝わるミトコンドリアの遺伝子と、男系にだけ伝わる性染色体Y遺伝子によって、多くのことが解き明かされつつあるのだ。

 その一つが、出アフリカは一度だけだったこと。何度か出アフリカは試みられたようだが、様々な要因で、その試みは失敗したという。ここまでは私も知っていたのだが、出発の地がエジプトではなかった可能税の示唆には驚いた。中東の砂漠が人類の進出を阻んだ、というのである。では、どこから人類の雄飛が始まったのか?それは、紅海だ、と著者は指摘する。

 欧米の研究者には、この頃の人類はまだ進化が不十分で、精巧な道具の製作や美術への感心はヨーロッパで花開いたとする一派がいるそうだ。著者はこれらの説を強く批判する。出アフリカが一度きりの出来事だったとすれば、世界中の人類が持つ絵画や音楽への関心や、道具の使用はアフリカ時代にまで遡ると考えるのが自然だろう。どこの地にも偉大なものは全て我々の先祖が産み出したのだと信じる人がいる、ということだと思うとちょっとおかしい。

 遺伝子の変化はどこで起こり、その集団はどこへ移動したのか。これは、例えば日本人の先祖はどのようにしてアフリカから日本までやってきたのか、という問いに換算すればその面白さも分かろうというもの。人類の冒険を解き明かす壮大な営みは推理小説を読むような面白さがある。


 それにしても、この訳文の酷さはなんだろう。無駄に長い文章のせいだろうか、ひたすら読みにくい。はっきり言って、ハードカバーで3行に渡る文章は今ならもれなく悪文です。小説の技法というなら兎も角、ノンフィクションでそれは無い。何度も同じ文章を読み直していたらやたらと時間がかかった。面白い内容を扱っているのにイマイチ引きこまれなかったのは本当に残念。

 このテーマに興味を持たれた方には、むしろ『アダムの呪い』と『イヴの七人の娘たち』をお勧めしたい。

関連書籍:

アダムの呪い (ヴィレッジブックス)アダムの呪い (ヴィレッジブックス)
(2006/12)
ブライアン サイクス

商品詳細を見る



イヴの七人の娘たち (ヴィレッジブックス N サ 1-1)イヴの七人の娘たち (ヴィレッジブックス N サ 1-1)
(2006/11)
ブライアン・サイクス

商品詳細を見る

関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/02/19(日) 22:40 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1012冊目 プリオン説はほんとうか?

プリオン説はほんとうか? (ブルーバックス)プリオン説はほんとうか? (ブルーバックス)
(2005/11/18)
福岡 伸一

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 1997年のノーベル医学生理学賞は、脳をスポンジ状にして宿主を死に至らしめる恐るべき病気の原因として、プリオンというタンパク質であることを示したスタンリー・プルシナーに贈られた。同時に3人まで受賞できるノーベル賞において、滅多に無い単独受賞であることは、その功績の大きさを示していると言える。

 プリオン説は異説中の異説と言える。なにせ、病原体の正体は細菌やウイルス等ではなく、タンパク質だと言うのだ。これは、DNAから出た情報がRNAによる伝達を経てタンパク質に合成されるという、所謂セントラルドグマと大きく異なる。なにせ、タンパク質が単独で感染力を持ち、新たな宿主の体内でも増殖して毒性を発揮するというのだから。

 この一風変わった仮説が受け入れられたことには様々な理由がある。一つは、プリオン病とも総称される、脳をスポンジ状にしてしまう病気の病原体が、放射線に対して極めて強い抵抗性を示すこと。加熱にも強く、核酸分解酵素が効かない。そして、感染した犠牲者からは免疫反応が検出されない。これらは、病原体が生物やウイルスではないことを示唆している。加えて、家族性の病気もあるのだ。

 ところが、今や権威ともなった観のあるプリオン説には、まだまだ粗がある、と著者は指摘する。データの再検証、他のウイルス病との比較、そしてなにより、プリオン説で説かれる、異常プリオンのみの摂取による感染が確認されていないという事実。これらを丁寧に眺めることで、プリオン説には無理がある、と言うのである。

 プルシナーの主張を丁寧になぞり、そこにきちんと反論しているので読者に論点が分かりやすいのが魅力。

 私もプリオン説は正しいと思っていたのだが、そう思うのはまだまだ早計だったと思い知らされた。そして、ますますこの恐るべき病への興味が湧いた。なにより、ウイルス性だとすれば、この致死率100%という忌むべき病気に立ち向かう術が得られるかも知れない。今後の研究が楽しみである。




関連書籍:

なぜ牛は狂ったのかなぜ牛は狂ったのか
(2002/05)
マクシム シュワルツ

商品詳細を見る

関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/02/16(木) 22:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1011冊目 人はなぜ裏切るのか ナポレオン帝国の組織心理学

人はなぜ裏切るのか ナポレオン帝国の組織心理学 (朝日新書)人はなぜ裏切るのか ナポレオン帝国の組織心理学 (朝日新書)
(2009/05/13)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 歴史を彩る数多の英雄と同じく、ナポレオンはその波乱に満ちた人生において幾度かの裏切りに遭っている。本書では、その内の7人を取り上げ、どうして彼らがナポレオンを裏切るに至ったかを説いている。取り上げられているのは、下の7人。

 ナポリ国王ミュラ
 警察大臣フーシェ
 元帥マルモン
 外務大臣タレイラン
 警視総監パスキエ
 元帥ベルティエ
 コルシカの英雄パオリ

 彼らが裏切りへと導かれていったのは、ナポレオンの為政者としての姿勢に彼らがとても従えなかったからではないか、と感じさせられた。

 コルシカに生まれた、容姿にも知性にも教養にも恵まれなかった小男が権力を握り続けるには、己の最大の才覚を発揮できる戦争を続けるしか無かった。その一方で、理想の国家を形作る、あるいは安定と平和を希求する者がいる。利害は衝突せざるを得ない。

 それでも長期的に見て、ナポレオンが彼らの目指す社会を作り上げられるのであれば、反逆は起こらなかっただろう。しかし、ナポレオンの自己評価からして、相容れる方法は無かったのではないだろうか。唯一可能だったのは、ナポレオンがヨーロッパ全土を支配することだけだろうから。

 こうしてみると、ナポレオンの凋落は必然に思えてくる。栄光から破滅へ向かう局面で、誰が命を賭して忠誠を尽くすか、誰が新たな路を進むのか、それが分かれただけではないか。そして、新たな道を模索した者には、裏切りの名が冠されてしまう。特にフーシェやパスキエ、ベルティエと言った人々の項を読んでいて、そう思ったものである。

 深く掘り下げながらも、自分の思い込みに流されない冷静な筆致が素晴らしい。本書の性格上、ナポレオンの事績をトータルで知るには向いていないが、ナポレオンの後半生の姿を垣間見るには向いているだろう。

 著者の藤本ひとみさんは、フランス・ナポレオン史研究学会の日本人初会員との由。研究成果も十分に生かされているであろうことを実感させられる、素晴らしい作品。



関連書籍:

ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)
(2009/08/10)
鹿島 茂

商品詳細を見る



ナポレオンを創った女たち (集英社新書)ナポレオンを創った女たち (集英社新書)
(2001/10/17)
安達 正勝

商品詳細を見る

関連記事
その他歴史 | 2012/02/13(月) 22:32 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1010冊目 太陽系の果てを探る―第十番惑星は存在するか

太陽系の果てを探る―第十番惑星は存在するか太陽系の果てを探る―第十番惑星は存在するか
(2004/04)
渡部 潤一、布施 哲治 他

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆


 観測技術の発達により、天文学における新たな発見が続いている。それによって、宇宙観は随分と変わってきたし、太陽系の姿についての認識も大きな変化を遂げてきた。

 例えば、2006年冥王星は惑星ではないとされた。これにより、太陽系の惑星は8つとなった(もっとも、議論は続いているようだが)。

 何故だろうか?それは、冥王星の軌道付近に冥王星よりも大きな天体が見つかったこと、冥王星は惑星と大きな違いがあること、発見当初に思われていたほど冥王星が大きくないこと等の理由による。

 このうち、冥王星が他の惑星と違うということは当初から知られていたことだ。黄道からの傾斜角が大きことや海王星の軌道よりも内側を巡る時期があることが代表的なものであろう。となると、惑星からの格下げは、観測技術の進歩がもたらした物といえる。

 本書では、海王星や冥王星の発見の経緯に始まり、陸続と発見される小規模な天体や惑星形成中と見られる他の恒星の観測結果から、太陽系にはまだまだ冥王星以上の規模の天体が見つかる可能性があることを述べている。

 特に大きく扱われているのが、ハレー彗星に代表される短周期彗星を生んだと見られるエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)。これは太陽系を球状に覆っていると見られる、オールトの雲と違って、黄道に沿って散っていると見られる小惑星である。なんと、冥王星はこの仲間に分類されている。本書を読めば、その理由が実に良く分かる。

 近年になって明らかになった事実の多いことに、まずは驚かされた。そして、太陽系についての理解が深まって、更に謎と興味が深くなったことを感じた。優れた発見物語に付随するものだと思う。まだ冥王星は惑星とされていた頃に記された本なので、少し古いのは否めないが、天文学に興味が有る方の知的好奇心を大いに刺激する本であろう。



関連書籍:

惑星学が解いた宇宙の謎 (新書y)惑星学が解いた宇宙の謎 (新書y)
(2002/05)
井田 茂

商品詳細を見る



始まりの科学 宇宙、銀河、太陽系、種、生命、そして人類まで (サイエンス・アイ新書 36)始まりの科学 宇宙、銀河、太陽系、種、生命、そして人類まで (サイエンス・アイ新書 36)
(2007/09/15)
矢沢サイエンスオフィス

商品詳細を見る

関連記事
素粒子・宇宙論 | 2012/02/09(木) 23:10 | Trackback:(0) | Comments:(0)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ

1009冊目 生命の起源を宇宙に求めて―パンスペルミアの方舟

生命の起源を宇宙に求めて―パンスペルミアの方舟 (DOJIN選書36)生命の起源を宇宙に求めて―パンスペルミアの方舟 (DOJIN選書36)
(2010/11/20)
長沼毅

商品詳細を見る


評価:☆☆☆☆☆


 パンスペルミア説というのをご存知だろうか。地球の生命の起源が宇宙にある、というやや異端の説である。

 御存知の通り、生物は親が子を生む、あるいは分裂して同一個体を増やすことで子孫を残し、時代を超えていく。これからもそうだし、過去もそうだ。しかし、肝心のスタート地点で、我々はその当たり前が使えなくなることに気付かざるをえない。即ち、最初の生命である。

 地球に生まれた最初の生命について、有力なのは雷や紫外線のエネルギーによって複雑な化学物質が作られ、それがやがて生物へと進化したとするものだ。ユーリー-ミラーの実験等で、アミノ酸のような、生命に必須の化学物質が作られ得ることは示されている。

 だが、それで十分だろうか?そんな疑問を唱える人がいる。地球が生命を育めるようになった(地質学的に)直後から、既に生命が居た痕跡が知られている。余りにも早すぎることから、従来囁かれていた化学進化では説明がつかないのではないか?

 では地球の生命はどこで生まれたのか?宇宙からやってきたという仮説なら、早すぎる誕生を説明できるではないか!実際、宇宙空間で生命に必須のアミノ酸やアルコール類が見つかっているのだ。

 本書では、そんな異端ではあるが刺激には富んでいるパンスペルミア説がどのようなものかが解説されている。著者の想定する、生命誕生の場は、宇宙塵。生命誕生は極めて稀な現象だとしても、宇宙塵はそれこそ天文学的な数存在するので、どこかで生物が誕生したのではないか、とするのだ。

 どこまで説得力を感じるかは個人の感性に委ねられるので、興味が湧いたら読んでみて欲しいと思う。私としては、仮説としてはとても面白いと思った。


 ただ、私の感覚では、本書を楽しく読んだ後でも宇宙空間で生物が誕生したとは到底思えない。進化のダイナミクスは、自然淘汰によって適者が効率よく残ることにある。恐らくは、まだ化学進化の段階であったとしても。目のように複雑な構造ですら、進化に要する時間が僅か数百万年で十分だとされることを知れば、化学進化に数億年の猶予があり、地球には様々な環境があることを考えれば、生命が地上で誕生したと信じるに足りると思う。

 宇宙空間は紫外線や重粒子線から逃れらない空間だ。それはエネルギーにも成り得るが、複雑な化学物質にとっては破壊をもたらす影響の方が大きい。だから、宇宙空間での化学進化は、ある程度、せいぜいが炭素鎖で10~20程度が限界ではなかろうか。仮に運良く生命が誕生したとしても、宇宙空間での物質の希薄さから、宇宙で誕生した原初の生物は数を増やせないだろう。それが進化可能な惑星にたどり着く可能性は極めて低い。

 そう思いつつも読んでいて面白いのだから大したものだ。生命の不思議さを実感させてくれたことに感謝。
関連記事
生物・遺伝・病原体 | 2012/02/06(月) 22:53 | Trackback:(0) | Comments:(2)

献本サイト レビュープラス

ランキングに参加しています。面白いと思ったら押してくださいませ。
(ランキングサイトが立ち上がります。不快でしたら無視して下さい)
にほんブログ村 本ブログへ



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。