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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
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974冊目 四畳半神話大系
四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)
(2008/03/25)
森見 登美彦

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評価:☆☆☆☆☆


 高校あるいは大学に入学した時、人は何かしらの期待を抱くものではないだろうか。これまでとは違う何かが待っているのではないか、という漠然とした期待を。

 主人公も勿論その一人。大学入学時、散々配られたサークル勧誘のビラのうち、主人公が気になったのは映画サークル「みそぎ」、弟子求むという謎のチラシ、ソフトボールサークル「ほんわか」、そして秘密結社「福猫飯店」の4つ。

 本書は平行世界で、主人公がこの4つのサークルに属した時の、それぞれの人生を描いている。

 しかし、主人公はどの世界でも厄介な人物と知り合ってしまう。工学部電気電子工学科に所属しながら工学も電気も電子も苦手、他人の不幸で飯を3杯食えるという、小津である。小津と交友が始まってしまったためなのか、あるいは本人の資質の向いた結果なのか、いずれにしてもダメ人間としての生活を送っている。そして、他のサークルを選んでいたら違う道があったのではないのだろうかと煩悶としているのではあるが、読者には分かる通り、どれを選んでいてもダメだったんだな、これが。

 平行世界とはいえ共通したところもある。その共通したところが絶妙に織り交ぜられているのが本書の魅力と言おうか、はたまた、主人公&小津のダメなところがひたすら楽しいと言おうか。いずれにせよ、二人のダメなところが面白い。大学生はすべからく真面目であるべしという向きには向いていないかも知れないが、今を持って尚、ダメ人間を卒業していない私には身につまされるというかなんというか、とにかく楽しい本であった。
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その他小説 | 2011/09/29(木) 22:49 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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973冊目 隗より始めよ―小説・郭隗伝
隗より始めよ―小説・郭隗伝隗より始めよ―小説・郭隗伝
(2002/10)
芝 豪

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評価:☆☆☆


 戦国時代。北方の小国・燕は乱れに乱れた。

 混乱のきっかけは、王が聖人気取りにハマったこと。古の聖人・堯や舜が自分の後継者に子を据えずに優れた人間に後を継がせたことから、大臣の子之に禅譲してしまう。これを機に混乱する燕に、隣国の斉が介入。燕全土を支配下に置き、一時的に滅亡へと追いやってしまう。結局、子之は公子に倒され、他国も斉を攻撃する動きを見せたため、斉は燕から兵を引く。

 収まらないのは、その跡を継いだ昭王である。なんとか斉への復讐を遂げるべく、日夜頭を悩ませることになる。その昭王が、配下の郭隗に名士を招くには如何にすべきかと問うた。郭隗の答えは、「私を大事に扱うことから始めてください(まず隗より始めよ)」。その心は、自分のような浅学非才の者が大事に扱われるなら、もっと才能のある者はこぞって燕にやって来てくれるだろう、というもの。

 この逸話が事実だったかどうかは不明だが、その後、燕には陰陽家の騶衍、縦横家の蘇代(蘇秦の弟)、かの諸葛孔明が憧れた名将の楽毅らが続々と集結。富国強兵を遂げた燕は趙や楚を始めとする5ヶ国連合軍を率いて斉を大破し滅亡の縁に追いやることに成功する。

 郭隗という人物について知られているのは、この”隗より始めよ”の言葉だけだ。だが、著者はこの言葉と、燕の辿った歴史から、一つの小説を作り上げた。

 ここでは、郭隗は諸国を漫遊して知識を高め、祖国の窮状に心を痛めながらも、復讐には疑問を抱き続ける憂国の士として描かれている。その旅の途中で出会うのが、例えば荘子や孟子といった諸子百家だったり、孟嘗君や平原君といった名士だったりする。秦へ行っては法家の残した趙を訪れては胡服騎射の改革を進める若き武霊王と出会う。

 実に豪華な登場人物たちだ。戦国時代後半の、血で血を洗うような抗争劇が進行する最中のことはある。そこにあって時代に流されない、高い理想を持った人物を作り上げたのはお見事。燕に隆盛をもたらした昭王を中心に、その歴史を知ることができるのも嬉しい。血沸き肉踊るというわけではないし、ご都合主義的な点もあるのだが、それを措いてもなお楽しい本であった。
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その他小説 | 2011/09/26(月) 22:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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972冊目 明日葉‐Files―Season〈1〉
明日葉‐Files―Season〈1〉 (幻狼ファンタジアノベルス)明日葉‐Files―Season〈1〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
(2010/04)
本田 透

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評価:☆☆☆☆


 本書の存在を知ったのは、コメントを寄せて下さるゲッターさんのこちらの書評から。それと、先日読んだばかりの『神は沈黙せず』からまたオカルトネタへの興味が湧いてきたので、読んでみた次第。

 で、これが面白い。

 主人公の御陵一郎は徹底した懐疑派、そして曲がったことが大嫌いなジャーナリストである。彼の辞書に空気を読む等という言葉はない。そんな彼は、総理総裁ともあろうものが記者クラブのメンバーを欺き続けることに我慢ならなくなり、つい聞いてしまう。「総理……その髪、かつらですか?」

 斯くして見事に左遷させられた一郎の新たなる上司は、電波系。オカルト雑誌部門の編集長である蹴上明日葉は、もう完全なビリーバー。UFOは当然宇宙人の乗り物だし、モーゼやキリストの墓は日本にあるし、オーパーツが、霊魂が、竹内文書が、と、その手の話が好きな人にはたまらない話題が沢山取り上げられている。これらのネタがどう料理されているかは是非本書を読んでみて欲しい。

 ともあれ、本書は一郎と明日葉の繰り広げる容赦なき論争となってしまうのだった。テンポの良い会話、ネタの数々、ジョークについ笑みが浮かんでしまう。

 個人的にはMMRネタが出てきたので満足。でも、ライトノベルなのにそんな年齢層を選ぶようなネタを出しちゃって良いのかなあ?とちょっと心配になった。確かにキバヤシさんは大人気だけど、あの連載ももう10年以上前の話だし。かの名セリフ「な、なんだってー」も最近の若い人は知らないのでは?でも、逆に言えば、私の世代にはぴったり合うのかも。

 ビリーバーの主張にも懐疑派の主張にもそれぞれ分量が割かれているので、どちらの立場からも楽しめるのではないか。

 オカルトネタに(特に懐疑論的な立場から)興味がある方は、『神は沈黙せず』と共に読んでみては如何だろうか。


関連書籍:
電波男 (講談社文庫)電波男 (講談社文庫)
(2008/06/13)
本田 透

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中空知防衛軍 (アニメージュコミックススペシャル)中空知防衛軍 (アニメージュコミックススペシャル)
(1989/01)
あさり よしとお

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SF・ファンタジー | 2011/09/23(金) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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971冊目 巻き貝はなぜらせん形か―「かたち」を科学する
巻き貝はなぜらせん形か―「かたち」を科学する (ブルーバックス)巻き貝はなぜらせん形か―「かたち」を科学する (ブルーバックス)
(1997/06)
高木 隆司

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評価:☆☆☆


 自然界には、様々な規則的に見える形がある。食塩の結晶のように見事な立方体を為すもの、雪の結晶のように6角形を基本に複雑な形状を持つもの、巻き貝のように螺旋形を持つもの、等々。

 なぜ、かくも美しい形が出来上がるのか。その秘密の奥には、物質の性質が深く関わっている。

 だが、本書はこうした話を小難しく解説しようとするものではない。そうではなく、自然界にみられる魅力的な形を紹介し、その簡単な背景を説明することで、読者に形について興味を感じさせようとしている。

 メビウスの輪の不思議や、雪の結晶を初めて実験室で作った中谷宇吉郎寺田寅彦の弟子)、ゴルフボールの表面に穿たれた凹みの意味、など、話題は多岐に渡る。その中の一つに、タイトルである巻き貝の形も含まれている、というわけだ。

 各々のトピックはやや分量が少なめながら、面白いものが多いので、興味を持つには持って来いではなかろうか。やや古い本ではあるが、読む機会があればどうぞ。

 残念なのは、ブラキオサウルスのような異様に首の長いカミナリリュウ(雷竜)類が、首を支えるのに必要な筋力を算出した上で、水中で生活する時間が長かったと推測するあたりは、推論としてお見事なのは認めるが、化石の産地が当時乾燥していた地域であることや、水中に入ると水圧で肺が潰れるといったことから現在では否定されている。こうした点があるのはちょっと残念。ちょっと古い本なのでそれを責めるのは酷かもしれないけれども。


関連書籍:
キリンのまだら―自然界の統計現象をめぐるエッセイ (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)キリンのまだら―自然界の統計現象をめぐるエッセイ (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
(2003/12)
平田 森三

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その他科学 | 2011/09/21(水) 22:00 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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969冊目 & 970冊目 神は沈黙せず 上下
神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)
(2006/11)
山本 弘

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神は沈黙せず〈下〉 (角川文庫)神は沈黙せず〈下〉 (角川文庫)
(2006/11)
山本 弘

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評価:☆☆☆☆


 神はいるのだろうか。

 この古くからある問いに、はっきりと答えが出されたことはない。いると信じる人はいるが、語られる神の姿は信じる人によっててんでバラバラだ。一神教の掲げる全知全能の神がいるとすれば、例えば生物に見られる凄まじいまでの行き当たりばったりの構成を説明するのは困難だ。盲腸や男性の乳首を思い浮かべていただければ簡単に分かることだろう。これらは、削除するのにより大きな投資が必要とされるから残っている痕跡器官に過ぎず、もしこんなものを意図して埋め込んだデザイナーが居るとしたら、そいつは余程の無能だ。

 考えれば考えるほど、神が何らかの統一的なデザインに従ってこの世界を創り上げたとするには無理がある。

 それでも、神は存在し得る。そして、全知全能であり得る。では、どのような神なら存在し得るのか。それを追求しているのが本書。

 世界に神が顕現し、神の存在を予言していた男が謎めいた言葉を残して姿を消す。

 この出だしを見ただけで、この小説世界において神が存在することは分かる。では、その神はどのようなものなのか。それを徹底して詰めていったのが本書。

 なにこれ?資料集?と思ってしまうほどの薀蓄。UFO事件やら怪奇現象、惑星探査機パイオニアが想定外の減速を見せている事実等の不思議を神からのメッセージに結びつけるやり方には圧倒される。

 一方で、コンピューターの計算(浮動小数点)についての薀蓄はかなり余計。薀蓄は垂れればいいというものでもないと思う。なので、オカルト現象とされるものに一定の関心がある方には楽しめると思うのだけれども、そうではない人にとっては薀蓄から成り立っているだけに思われても仕方が無いだろう。

 プロットは練られているとは思うが、キャラクターが魅力的かとか、生きた人間を感じさせるかというと、そうでも無い。トンデモ本の世界的な読み方をするのが良いかも知れない。


 尚、本書にくどいほど出てくる、神が世界を見ているならなぜこんなにも世界は不条理なのかという悲痛な嘆きを見て、どうしてもこの曲が思い浮かんできた。

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SF・ファンタジー | 2011/09/19(月) 21:48 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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968冊目 物語 大英博物館―二五〇年の軌跡
物語 大英博物館―二五〇年の軌跡 (中公新書)物語 大英博物館―二五〇年の軌跡 (中公新書)
(2005/06)
出口 保夫

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評価:☆☆☆


 大英博物館。人類の至宝と言っても過言ではない数多の品々を展示する世界最大クラスの博物館として、その名を馳せている。

 例えば、古代エジプトで用いられていた象形文字を解読するきっかけとなった、ロゼッタストーン。これもナポレオン敗走のドサクサでイギリスに渡り、今では手で触れられるくらいの距離で展示されている(ケースに収納されているので、実際に触れるのは不可能だが)。

 ギリシアのパルテノン神殿にあった彫刻を初め、無数のコイン、武具、ケルトの装飾品、土器や食器等々が惜しげもなく飾られている。

 この大英博物館、ハンス・スローンという個人のコレクションがきっかけとなって生まれている。それが、如何にして今の姿に至ったか。その来歴を解説すると共に、収蔵されている展示品の来歴や、訪れた著名人たち、そこで起こった事件や邦人との関わり等々、話題が多岐に渡っているので飽きさせることがない。自然と大英博物館250年の歴史を追うことができるようになっている。
 
 まず意外だったのは、大英博物館のコレクションが、日の沈まぬ帝国を築いていた頃の略奪に起源があると思っていたのが、余り当たっていないということ。そして、開館当初は1時間の制限付きで人数も絞られていたこと。あんな膨大なコレクションを1時間で見て満足しろ等というのはかなりの無理がある。今の、自由に出入りできて何でもかんでも見られるというのがどれほど恵まれていることか。

 イギリス旅行で大英博物館を訪れる予定のある方は、是非本書を読んでから行ってみて欲しい。きっと、何の知識もなかった時より遙かに楽しめると思う。斯く言う私は新婚旅行で訪れたのだが、知識不足もあって十二分に楽しめたとは言い難いと思う。そう思わないためにも、是非どうぞ。

 また、大英博物館公式サイトには日本語の記事もあるので、大英博物館を訪れる予定のある方はこちらもチェックされることをお勧めしたい。尚、一通り概略を知りたい方はWikipediaを御覧下さい。



 因みに、超☆絶☆どうでも良い話だが、私のmixiの写真は、大英博物館で撮影した、Maid in Japanの人魚のミイラ。上半身がサル、下半身がコイのこのミイラ、一時期は日本の特産品だったんですよ。というわけで、もしアレでしたらmixiで”skywriter”で検索してみてください。


関連書籍:
ロゼッタストーン解読 (新潮文庫)ロゼッタストーン解読 (新潮文庫)
(2008/06/01)
レスリー・アドキンズ、ロイ・アドキンズ 他

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ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)
(2009/08/10)
鹿島 茂

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ノンフィクション | 2011/09/14(水) 22:09 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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967冊目 天に梯子を架ける方法―科学奇想物語
天に梯子を架ける方法―科学奇想物語天に梯子を架ける方法―科学奇想物語
(2000/04)
ジェイ イングラム

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評価:☆☆☆☆☆


 少し前に紹介した、『そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学』のジェイ・イングラムさんの本。本書も『そうだったのか!』と同じように、色々なジャンルの話題を取り上げているのが魅力。

 なぜ人間は笑うのか。ウェイトレスの脳が他の人とは異なる使われ方をするのは何故か(ロンドンのタクシー運転手は空間把握に使う脳の部位が通常の人より大きいのと同じ原理だろう)。蛾が光へ飛んでいくのはどうしてか。人類は水中で進化した可能性はあるか。ジャンヌ・ダルクに起こったことは何だったのか。ポエニ戦争で使われたアルキメデスの兵器とはどのようなものか。etc,etc・・・

 これらのどれかに少しでも興味を惹かれた方は、是非読んでみて欲しい。きっと、めくるめく不思議の世界を堪能できることだろう。

 生物関連の話題では、アリジゴクとアリの果てし無き抗争や、バクテリアを食い物にするバクテリオファージの不思議も面白かったのだが、何と言っても印象に残ったのは托卵戦術についての話題。カッコウは、托卵先の卵を全て地面に落としてしまう(カッコウの背中にはそのために使われる卵を載せるための窪みがあるという)ので、他の托卵を行う鳥も同じ戦術だと思っていたら大違い。宿主と共生する者もいるという。しかも、その場合には驚くべきことに托卵されたほうが引き受ける側の雛が生き残る可能性が高くなるというのだ。

 それにしても、ファージの、ロケットを彷彿とさせる機械チックな外見には見る度に感動を覚えさせられる。ウイルスは生物ではないとされるが、それでも進化によって完全な機能美を手に入れているように思えてならない。こうした奇妙なものを生み出した自然の驚異を知らない方は可哀想だ。科学を知ることが、世界の不思議を更に深く知り、自然への畏怖をかきたてることをこれ以上ない形で立証してくれていると思う。

 最後の最後に取り上げられる話題が、タイトルの元となっているもの。即ち、軌道エレベータである。この奇抜なアイディアは、近い将来(私が生きているうち、くらいの時間軸)では決して実現しないであろう。それでも、宇宙をものすごく身近に感じさせてくれる点で特筆すべきものだ。加えて、カーボンナノチューブの発見によって実現の可能性が高くなった(※従来比)ことも見逃せない。科学を技術へ展開することからも目が離せなさそうだ。

 どれをとっても読むのが楽しい。自然には不思議が溢れていて、それ故に科学は関心を引きつけてやまないということを、きっと実感できると思う。


関連書籍:
そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学 (ブルーバックス)そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学 (ブルーバックス)
(1999/08)
ジェイ イングラム

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その他科学 | 2011/09/11(日) 21:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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966冊目 ライオンと蜘蛛の巣
ライオンと蜘蛛の巣ライオンと蜘蛛の巣
(2006/11/10)
手嶋 龍一

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評価:☆☆☆


 近年の日本で安全保障やインテリジェンスを語るには、著者の名を避けて通る訳にはいかないだろう。そう言い切れるほど、活発な言論活動を続けている。その背景に、NHKの記者時代に築いた情報網があることは疑い得ない。逆に言えば、その立場を活かした、広くて深いバックボーンがある、ということだ。

 本書は、しかし、本格的なインテリジェンスについての本ではない。著者が世界を巡る中で出会った人々とのことを、軽い筆致で書いている。勿論、登場する人物の背景には、例えば冷戦を戦い抜いたインテリジェンス・オフィサーの姿があったり、ベトナム戦争で負った心の傷に未だ苦しめられ続ける事実があったりする。そういう深さはあっても、筆致としては軽く、読み易い。

 安全保障とな何なのか、戦略とは、インテリジェンスとは何なのか。

 声高に訴えかけてくるわけではない。それでも、読みながら自然と考えさせられた。二次大戦の時もそうだったが、今も安保同盟や経済面で米国に従うことで、大戦略を描けないでいる日本。そこから脱却するために、こうした広い視野を持つ方の意見はとても参考になるのではないかと思う。

 尚、この不思議なタイトルは、以下の理由で名付けられたそうな。
新しい本のタイトル『ライオンと蜘蛛の巣』は、「インテリジェンスのかぼそい糸のネットワークは百獣の王をも捕らえる」という意味をこめてつけました。
オフィシャルサイトより)


 重い話ではないので、身構えて読むよりも、ソファーにでも体を預けて紅茶でも飲みながらページを捲る、という方が良いような気がする。人によってはワイン、ウイスキーでも良いかも知れないが、個人的にはこういう時にビールは向いていないように思う。ついでに、欧米の話題が多いことから、日本酒もちょっと雰囲気じゃないかも。まあ、これは個人の好みの問題ではあるが。


関連書籍:
葡萄酒か、さもなくば銃弾を葡萄酒か、さもなくば銃弾を
(2008/04/25)
手嶋 龍一

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本書に近い感じの本はこちら。
でも、手嶋さんでオススメなのは、何と言ってもこれ。
ウルトラ・ダラー (新潮文庫)ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
(2007/11)
手嶋 龍一

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ノンフィクション | 2011/09/08(木) 22:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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965冊目 寄生虫病の話―身近な虫たちの脅威
寄生虫病の話―身近な虫たちの脅威 (中公新書)寄生虫病の話―身近な虫たちの脅威 (中公新書)
(2010/10)
小島 莊明

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評価:☆☆☆


 寄生虫という響きには、どこか忌まわしいものがある。体内に潜入し、時に宿主を死に至らしめるためだろうか。それとも、免疫系を巧く掻い潜って生き永らえるためか。とにかく、風邪ウイルスなどと比べて、感染したくないという忌避感は強いと思う。

 そんな寄生虫、実際にはどのような脅威があるのか。それを解説しているのが本書。

 今の日本では、寄生虫病は解決されたと言って過言ではない。サナダムシギョウチュウ等は姿を消し、マラリアも追放された。しかし、世界ではまだまだ寄生虫病が脅威となっている地域が沢山ある。それはマラリアに限らず、日本住血吸虫のように致死率の無視できない病気である。

 これらの病気がどのようなメカニズムで発症するのか。なぜヤツらは免疫から逃れられるのか。寄生虫を体内に宿せば花粉症等のアレルギーを抑制することは可能なのか。これらの問いについて、懇切丁寧に答えてくれている所が魅力である。

 本書を読み、寄生虫はまだまだ世界的な問題であること、その脅威に対して、どのような対抗策を撃ち出すことができるのかを真剣に述べているところに、本書の価値はあると思う。

 日本では根絶された病気であるとしても、海外旅行や赴任の際には無視し得ないものでもあるので、外国へお出かけになる前に読んでいおいて損はないと思う。

 個人的には、目黒にある噂の寄生虫博物館も訪れて、この厄介ながらも不思議に富んだ病について知ってみたいという気になった。



関連書籍:
寄生虫博士トイレを語る―中国・東南アジア体験記 (TOTO BOOKS)寄生虫博士トイレを語る―中国・東南アジア体験記 (TOTO BOOKS)
(1992/11)
鈴木 了司

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生物・遺伝・病原体 | 2011/09/05(月) 22:48 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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964冊目 評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻
評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻 (KCピ-ス)評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻 (KCピ-ス)
(2006/12/07)
皆川 ゆか

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評価:☆☆☆


 私と同年代の男の大半は、ガンダムという響きに懐かしいものを感じるのではないだろうか。私自身はファーストガンダムしか見ていないし、それもそう熱心だった記憶もないのだが、それでもやはりガンダムと聞くと郷愁を感じてならない。

 何故か。(精神年齢的に)坊やだからさ。
 
 不人気で打ち切られたアニメが数十年後にまで語られ続けるのは、恐らくは時代を先取りしすぎていたためだろう。まだアニメの主要な視聴者が子供だった時期に、登場人物は死にまくる、ニュータイプだの独立戦争だのといった観念的な話題が多い、主人公はウジウジしている、変なマスクを被ってると、子供にはウケないことばかりではないか。いや、最後のは別に良いか。

 その一方で、魅力もある。物語にしっかりした骨子があることはその一つだろうが、やはりなんといっても、敵役であるシャア・アズナブルという人物に負う所が多いのではなかろうか。ザビ家への復讐、次の社会のありかたを考えるリーダーとしての面、有能な兵士であり指揮官、そうでありながらニュータイプとしては一流になれなかった悲劇。

 そんなシャアだから、語るべきことが多いのだろう。

 本書では、あらゆる視点からシャアを語っている。ボリュームと深掘りの加減は、一昔流行った謎本を遙かに凌駕していると感じられた。シャアを通して見ることで、改めて1年戦争の様々な麺を知ることができた感じだ。安彦良和さんの『ガンダム the ORIGIN』のオリジナルを交え、かつ整合性を取った物語も魅力だが、こちらは本家アニメに従っているところが特長か。

 私にとっての問題は、シャアが活躍するのはファーストガンダムだけではないということ。従って、1年戦争終結後のことをどれだけアツく語られてもわからないのだった。それはともかく、ニワカが通り一遍のことを語るというのとは一線を画しているので、ガンダムファンには嬉しい一冊ではなかろうか。



関連書籍:
機動戦士ガンダム THE ORIGIN (1) (角川コミックス・エース)機動戦士ガンダム THE ORIGIN (1) (角川コミックス・エース)
(2002/06/01)
安彦 良和、矢立 肇 他

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トニーたけざきのガンダム漫画 (角川コミックス・エース)トニーたけざきのガンダム漫画 (角川コミックス・エース)
(2004/03)
トニーたけざき、矢立 肇 他

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評論 | 2011/09/01(木) 23:17 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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