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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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938冊目 アニメと思春期のこころ
アニメと思春期のこころアニメと思春期のこころ
(2004/08)
西村 則昭

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評価:☆☆


 アニメは時代を映す鏡になり得る。売れるアニメには、視聴者へ訴えかける何かが無ければならないためだ。

 本書はカウンセラーとして多くの少年少女たちと接してきた著者が、アニメが彼ら・彼女らに与える影響を探った本である。取り上げられているアニメは、『美少女戦士セーラームーン』、『新世紀エヴァンゲリオン』等々。

 ユング派という時点で、既に精神をまっとう(≒科学的)ではないことは明らか。この辺りは、精神分析が実際にはどのようなものなのかを論じた『フロイト先生のウソ』や『精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落』に詳しいので、興味がある方は当たって見て欲しい。

 そうした背景があるので、分析の内容はまともに相手をしない方が良い。そもそもユングは大のオカルト好きで、精神の原型だとかなんだとかといった、証拠の存在しないけれども、受け取り方によっていかようにも牽強付会ができる概念に捕らわれていた人だ。本書にもその手のインテリぶっただけで実証性に欠けた怪しい単語が山盛りで、正直なところ、私としてはこの類の人が若者に影響を与えるような事態は避けて欲しいと思う。(上述の本に拠れば、精神分析による治療効果は自然治癒率を下回る=精神分析は有害無益である、という)

 精神分析には興味は無いので、私はアニメを著者がどう受け取っているかを中心に読んだ。つまり、どこがアニメの”売れる”ところと著者が判断しているのか、というところだ。そこにあるのは、昔ながらの命がけの戦いであったり別れであったり恋愛であったりと、複雑怪奇な単語を使わなければ分からないようなものでないように思えてならなかった。

 ただ、エヴァンゲリオンが精神分析的な概念をかなり取り込んでいるといった点で、興味深い話はあった。まだまだこれらオカルトが知的アクセサリになり得ることを知れただけでも収穫。

 精神分析というよりも、精神分析論者のアニメ分析というのが実情になっているので、そうしたアニメ論に興味がある方は読んでみても楽しいかもしれない。

関連書籍:
フロイト先生のウソ (文春文庫)フロイト先生のウソ (文春文庫)
(2003/01)
ロルフ デーゲン

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精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落
(1998/05)
H.J. アイゼンク、H.J.Eysenck 他

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評論 | 2011/05/30(月) 21:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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937冊目 そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学
そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学 (ブルーバックス)そうだったのか!―見慣れたものに隠れた科学 (ブルーバックス)
(1999/08)
ジェイ イングラム

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評価:☆☆☆☆☆


 世の中、知らないことが多い。知らないことを探すには、何も宇宙の彼方や遙かな地中、海底やら極寒の極地に赴く必要はない。ちょっと注意して周りを見渡してみれば、実は知らないことばかりであることに気づく。

 例えば、どうしてあくびは伝染してしまうのか。本書のこの項を読みながら、あくびが止まらなかったことを告白しなければならないだろう。面白かったのに、何故かあくびが止まらなかった。あるいは蚊柱。春先に良く遭遇する、あの現象は何故起こるのか。野球のナックルボールは、スローボールに見えながらどうして打てないのか。渡り鳥のガンは、なぜあの特徴的なV字型の編隊を組むのか。

 科学に一番大切な物は、冷静な観察眼やら論理的な思考力やらではなく、まず好奇心を持つことである、と思わされた。なぜだろう?と思うところから探求は始まり、それは強力な快楽である、”そうだったのか!”をもたらしてくれる。その点で、このタイトルは上手いと思う。アルキメデスが風呂に浸かっているときに、後にアルキメデスの原理と呼ばれることになる法則を見出した時、「ユーレカ!」(分かった!)と叫んで、興奮の余り素っ裸で街を走り回ったという伝説もむべなるかな、といった感じだ。

 本書は多くの、身近なものの奥にある科学を取り上げている。いずれも、”そんなの当たり前”という態度では見逃してしまうようなことばかりだが、一度好奇心を持ってみてみれば、そこには深いものがあることを教えてくれるのは特筆すべきであろう。

 ともあれ、日常見慣れた光景の背後にも科学が隠れていて、それを知ることで更に世界が複雑で面白くなることを教えてくれている点で、本書は実に貴重であると思う。取り上げている話題が実に日常的で、本当に?と思わされるため、科学には興味が無いと思っている方にも十分訴求力を持つのでなおさら。科学にはちょっと近寄りがたいところがあると思われている方にこそ、是非オススメしたい一冊。
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その他科学 | 2011/05/27(金) 22:34 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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936冊目 「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒
「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒
(2005/12)
マーク カーランスキー

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評価:☆☆☆☆


 あらゆる生物が生きていくのに必須の成分である、ナトリウム。その補給方法は簡単。塩を摂取すれば良い。だが、その一方で塩分濃度が高くなりすぎると、生物は生きていけなくなる。塩分が水をがっちりと保持してしまうため、生物が更に重要とする水分を使えなくなってしまうためだ。

 それ故、塩は食べ物を保存するのに使われてきた。微生物の増殖を抑える=腐敗しない=食べ物を保存できる、ということだから。冷蔵という手段が発達する以前、収穫期を過ぎてから再び暖かくなって食料を手に入れられるまでどう食いつなぐか。人類の永い課題に、塩は絶好の回答を与えてきたのである。

 そんなわけで、世界中で塩を手に入れるための努力が重ねられ、そして塩を利用した様々な料理が開発されてきた。醤油やチーズといった発酵食品もそうだし、ハムや塩漬けの魚もそうだ。これらの食品は、今になっては栄養学的に必須のものではない。しかし、これら保存食品が無くなってしまったら、我々の食卓はどれほど寂しいものになってしまうであろうか。

 本書はタイトルどおり、塩がどのように得られ、使われてきたかを追いかけている。”世界史”を名乗るだけのことはあり、アジア、新大陸、アフリカ、ヨーロッパ、そして日本と、実に広い地域のことを扱っているのが面白い。

 食料の確保がどれだけ重大なものだったか。近くのスーパーに行けば季節を問わず物が溢れる時代に生きる我々には想像も付かないだろう。驚くべきことに、多くの発展途上国でも深刻な問題は飢餓では無く肥満である、とされている。本書を読めば、それがどれほど恵まれた状態であるか分かるだろう。

 塩を切り口に、世界史の捉え方にも様々な断面があり得る、という貴重な教訓を与えてくれていると思う。類書として、保存食品にのみ話題を絞った『保存食品開発物語』があるが、本書は、塩の食料品以外への使われ方や、塩の精製方にも触れられていることが大きな違いである。

 例えば、インドの解放には塩を求める運動があった。独立戦争でも塩を巡って苛烈な戦いが行われてきたこともある。人類が生きるために必須のものだから、そこには様々なドラマがあったのだ。

 また、ところどころで塩を使った料理のレシピが出てくるのが興味を引かれる。それは、そのレシピが書かれた地域の、書かれた時代で、どのような物が手に入り、人々が何を好んだかを映し出すからだ。そうした文化面に興味を持つ方にもお勧めしたい。

関連書籍:
保存食品開発物語 (文春文庫)保存食品開発物語 (文春文庫)
(2001/11)
スー シェパード

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その他歴史 | 2011/05/21(土) 23:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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935冊目 科学の扉をノックする
科学の扉をノックする (集英社文庫)科学の扉をノックする (集英社文庫)
(2011/03/18)
小川 洋子

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評価:☆☆

 幼い頃からなんとなく科学に興味はあったが知識は全然無い、という著者が、好奇心を満たすために研究者に話を聞きに行ってみた、という本。

 訪ねた先は、天文学者の渡部潤一、鉱物学者の堀 秀道、分子生物学者の村上和雄、Spring-8の研究者の古宮 聰、植物学者竹内郁夫、比較形態学・遺体科学の遠藤秀紀、阪神タイガースのトレーニングコーチ続木敏之と、錚々たるメンバー。

 この人、科学分野については何にも知らないんだなあ、というのが素朴な感想。

 宇宙論や遺伝学というよりも、宇宙や遺伝についての雑談的な話(宇宙はビッグバンで始まって130~150億歳くらい)であれば、理科系の授業を少しでも高校で受けていれば知っていると思うのだが、著者は全然知らなかったらしい。表現上のことかもしれないけれど、この程度の知識で最新の知見を探ることなどできようはずも無い。なので、科学の営みやら成果を知るというよりも、作家のきままなエッセイ的な読み方が正しいのだろう。

 違和感が強すぎて不快だったのは村上和雄さんの話。命が偶然から生まれたわけが無いとして、”サムシンググレート”なるものの存在を考えた方が合理的、と彼は主張する。要するに、生物の誕生や進化については神がある程度コントロールしている、とするインテリジェント・デザイン(ID)の1亜種だ。

 IDは、その性格上、証明できない。証明できないことを信じるのは信仰である。信仰を悪いこととは言わないし、科学者が篤い信仰心を持つのも構わないが、それを合理的などと称してこいう場で広めようとするのは絶対に止めて欲しい。それをホイホイとただ聞くだけの著者の姿勢にも不満。科学に興味があったとか、日系サイエンスを捲ってみると~なんてことを言うなら、それくらいのリテラシーは持とうよ。

 また、粘菌の話では、粘菌が植物的だったり動物的だったり、胞子を作る時には柄になって死ぬ個体と胞子を作って生き残る個体に分かれる、という大変に面白い話を紹介したあとで、うかうかとこんなことを書いてしまう。
 柄が発揮する犠牲の精神には、人間的な温かみがある。むしろ現代の日本で失われつつある高度な精神性を、森の奥に隠れた粘菌が人知れず発揮しているようにも思える。


 あーはいはい。良くある、”昔の日本人は礼儀正しくてなんちゃらで素晴らしくって、それと比べると今の若者はクズでどうしようもなくて嘆かわしい”的なアレですねー。この手のボヤキができるのは年寄りの特権なので、小川さんがやるには早すぎです。ついでに、少年の凶悪犯罪やら乳幼児殺害やらは激減しているんですが、それも日本人が人間的な温かみを無くしたからなんですね、そうに決まってます(棒読み)。

 まあ、科学を嫌いだと公言するような方が、とっかかりとして読む分には悪くは無いかもしれない。ただ、本当に科学に興味を持ってもらうには、ID亜種のようなものには批判の目を向けて欲しいと思わずに居られなかった。なので、余りオススメできません。


 それにしても、似顔絵がご本人にそっくりで笑える。私には絵心が絶望的に欠落しているので、この表現力は羨ましい。



※村上和雄さんは熱心な天理教の信者であるとの由。
 天理教について特に思うことは無いが、それが前提にあって合理的に考えるってことは不可能だと思うのだが・・・・・・。


関連書籍:
最新・月の科学―残された謎を解く (NHKブックス)最新・月の科学―残された謎を解く (NHKブックス)
(2008/06)
渡部 潤一

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人体 失敗の進化史 (光文社新書)人体 失敗の進化史 (光文社新書)
(2006/06/16)
遠藤 秀紀

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パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)
(2005/02/08)
遠藤 秀紀

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科学者 | 2011/05/18(水) 22:26 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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934冊目 千里眼事件―科学とオカルトの明治日本
千里眼事件―科学とオカルトの明治日本 (平凡社新書)千里眼事件―科学とオカルトの明治日本 (平凡社新書)
(2005/11)
長山 靖生

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評価:☆☆☆☆


 明治時代の日本に超能力者の女性が現れた。彼女の名を、御船 千鶴子という。彼女は、封をされた封筒の中に入れられた紙片に書かれた文字を読み取った、という。今で言うところの透視というものだが、当時はこれを千里眼と呼んだ。御船千鶴子に続く、一連の千里眼能力者たちの発生は、千里眼事件と呼ばれている。

 超能力と言うには余りにも手品のトリックらしいこの”超能力”だが、マスメディアに取り上げられたこともあり、一気に知名度を高める。御船千鶴子に続いて、長尾郁子が現れ、念じただけで写真乾板に文字を映し出すという新たな能力が”発見”される。

 本書は御船千鶴子、長尾郁子の二人の”超能力者”が、どのような能力を持っているとされ、その能力の真贋がどのように確かめられようとしたのかを追っている。一方的に彼女らをホンモノだという訳でもなく、逆に詐欺師だと糾弾するわけでもない。淡々と事実の紹介に努めているところは好感を持てる。

 もう一人、彼女らと負けず劣らず千里眼事件の中心に居た人物の名も挙げておかねばならないだろう。心理学者として東京帝国大学の助教授にまでなった、福来友吉である。御船、長尾両者の真贋を見極めようとする研究の端緒から、福来は能力は本当だと思っていたようだ。本当であって欲しいという気持ちが、要求されなければならない厳密性を失わせたのかもしれない。

 それでも彼は極力、科学的に研究を進めようとしていた。ところが、その主張は徐々にオカルティックな物へと変貌を遂げていくことになる。その過程は本書に詳しいので、興味が有る方は是非ご覧頂きたいのだが、結果として、二人の女性が非業の死を遂げた後も、福来の研究は明後日の方向へと爆走していくとになる。

 私が彼女らの能力を””付きで記すのは、彼女らの力が真の意味で超能力ではないと考えているためである。二人とも、能力を発揮できるのはトリックを用いる余地がある場合に限られていたことがその強い証左になっている。特に、コントロールされた環境で、手元が見えるようにして能力を確認しようとした試みは、全て失敗に終わっているのだ。そしてお定まりの言い訳、信じない人がいると失敗する、なる珍妙な言い訳が多用されるとなればなおさらだ。

 他の能力はどうだろう。人間は100メートルを10秒以内で走ることなどできないと信じる人ばかりが観客であっても、世界最高のアスリートは10秒を切るタイムで走れる。アスリート、音楽家、科学者と言った人々は、他の人が信じるかどうかと全く関係なく、成果を残すことが可能である。ところが超能力だけはそれを信じる人々の前でしか成功しない、というのは明らかにおかしい。要するに、信じているが故に、”超能力者”のトリックを見破ることができないだけだ。そのようなものは、客観的に存在する能力とは言えず、単なる信仰とするべきだ。

 この最低限の合理性を失う先はオカルトでしかない。オカルトが過去も現在も多くの人を惹きつけているのは事実であり、その忌むべき帰結の一つがオウム真理教事件であった。教祖の超能力を信じた人々は散々に莫迦にされたものだが、江原なんちゃらとか言うスピリチュアリストを嬉々として取り上げるマスコミ、その愚にも付かない妄言を有難がる人々の姿を見ると、人間は成長しないと思わされる。(尚、この場合の人間は、個人のことをさしているのではなく、集団としても人間を指しているので、その点ご理解ください。個人は成長できると思っているので)

 過去に起こった超能力事件は、現代にとっても決して”古く克服された問題”では無いと思わされた。今に至るも人を魅了してしまう非合理な考えに惑わされないためにも、こうした本の存在価値は高いと思う。
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ノンフィクション | 2011/05/15(日) 23:27 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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933冊目 虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか
虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか
(2001/03)
リチャード ドーキンス

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評価:☆☆☆☆


 まず、アンモナイトの化石をあしらった表紙の美しさが目を引く。この美しくも機能的なデザインは奇跡すら感じさせるものだ。自然が長い年月をかけた末に生み出した美には驚嘆させられる。

 次にタイトル。虹の解体とは、なんとも洒落た言葉だ。虹を解体することで、人類は多くの知見を手に入れることに成功してきた。極端な話では、宇宙が何で出来ているか、引いては宇宙がどのようにできたのかに関する知は、光学の発達に負うところが大きい。

 しかし、この言葉、元はニュートンを非難するために詩人がこねくりだした物だという。虹を解体することで、その美しさを損なった、というのだ。

 なんと狭量な言葉であろうか。何が美しいか・美しくないかを決められるのは、詩人しか居ないとでも言いたいのかと思わされる傲慢さだ。虹は確かに解体された。それによって、光の不思議な性格が明らかにされた。だが、それは虹の美しさを損なったりはしない。むしろ、新たな不思議をもたらし、そして新たな美を教えてくれているのである。

 ドーキンスはそう強く主張する(私も完全に同意する)。科学が拓いてきた知は、あらたなる視点を人類に与えてくれた。そして、新たな視点は、新たな美しさを見いだせるのである。

 本書は冠絶した科学の語り手の一人であるドーキンスが、科学の広げてきた知の地平について語ったものである。

 まずタイトルの解題に始まり、続いて専門である生物学の分野に留まらない広い分野の話題が語られる。特に、虹の解体から宇宙が分かるようになった、という、一見しただけでは結びつかないような分野が結びつく驚きには知的好奇心を刺激される。

 また、ドーキンスファンにとっては、論敵であるスティーブン・ジェイ・グールドへの批判も収められているので、その点からも読み応えがあるだろう。

 科学の幅広さ、面白さをつくづく実感させてくれる。流石はドーキンス、期待を全く裏切ることのない面白い本だった。
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生物・遺伝・病原体 | 2011/05/12(木) 23:30 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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932冊目 ある日突然、縛られて
ある日突然、縛られてある日突然、縛られて
(1995/11)
大谷 佳奈子

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評価:☆☆☆☆


 フランス文学者であり、エッセイでも知られる鹿島茂さんの『SとM』(多分。『セーラー服とエッフェル塔』だったかな???)で存在を知り、読んでみたいなと思った本。ナポレオンとタレイランと陰謀家フーシェを描いた『ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争』で圧倒されてから、気付けば遠くへ来たものだ(遠い目)

 それはさておき、本書はSMには別に興味は無かった(但し、偏見も持っていなかったと思っていた)著者が、ある男性と付き合ったことから”ある日突然、縛られて”しまった。その男性とは暫くそうした付き合いが続くのだが、いつの間にか縛られるようなことが無くなっていく。一体、何故なのか。

 自分の体験したSM体験がきっかけとなって、SMを巡るルポタージュが始まる。自らの経験を赤裸々に語った後は、SMを楽しめる風俗、AV女優、マニアと対象を広げていく。

 新人SM嬢へのインタビューでは好きでやっている人が意外と居ないのに驚くが、マニアにはマニアの濃い世界があるので、そこを覗くのはそれなりに楽しい。なにせ、マニアの世界はそうそう身近に広がっているわけではないので、覗き見る世界は知らないことで一杯。

 個人的には、SMとは多少マニアックで変態的ではあるかもしれないが、決して人が取る他のコミュニケーションから甚だしく逸脱はしていない、と感じた。縛られる(鞭打たれる)のが好きな人と縛る(鞭打つ)のが好きな人が、縄や鞭を介して行うコミュニケーション。本書で指摘されている通り、それが夫婦間となると長続きしないのは理解できる。

 そう思ったのは、意外なほどに”普通”な感じが離れないからだろう。興味本位で取り上げられる異常な世界、といったあり方とは一線を画している。

 体験者ならではの生々しい話にお腹一杯という方も居るだろうし、もっとぎょっとするような話が見たかった、という方もいるだろう。私には、かなり等身大の世界があるように見えて、それが面白かった。


関連書籍:
SとM (幻冬舎新書)SとM (幻冬舎新書)
(2008/03)
鹿島 茂

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セーラー服とエッフェル塔 (文春文庫)セーラー服とエッフェル塔 (文春文庫)
(2004/05)
鹿島 茂

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ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)
(2009/08/10)
鹿島 茂

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体験記 | 2011/05/08(日) 23:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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931冊目 自然はそんなにヤワじゃない―誤解だらけの生態系
自然はそんなにヤワじゃない―誤解だらけの生態系 (新潮選書)自然はそんなにヤワじゃない―誤解だらけの生態系 (新潮選書)
(2009/05)
花里 孝幸

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評価:☆☆☆


 湖の微生物研究に従事してきた著者が、近年語られることの多い生物多様性はどのようなものか、将来の環境はどうあるべきかを語っている。

 微生物学者らしく、環境の撹乱として紹介されるのが、農薬が入り込んだ時の微生物層の変化。まず、大型のミジンコが死に、中型のミジンコが数を増やす。更に農薬濃度が高まると中型ミジンコが姿を消して小型のミジンコが繁栄の中心に躍り出る、という。

 ここで示されているのは、食物連鎖の上位を占める生き物が撹乱に弱く、食物連鎖で下位に行くほど撹乱に強くなる、という事実である。この中程度の撹乱が生物層を豊かにするという事実は、微生物の世界にのみ見られる現象ではなく、例えば里山のように人の手が加わることで中程度の撹乱が見られる世界における植物・動物相にも見られる、と著者は指摘する。

 環境保護、環境保護と一言に言うが、例えば田園風景を持ってこれを保つべきという意見がある、というのにも驚いた。田園風景なんて、完全に人間が作り上げた環境で、それが望ましいのであれば自然保護と名乗っては行けないだろう。

 その上で、田園風景を保つべきというのは理解できる、と著者は言う。こうした風景というのは文化の所産であり、長年親しんできたために親近感が湧く、というのだ。

 人の手が入った環境であったとしても、そこには安定した生物層ができており、自然に戻すにしても人工化するにしても現存の生物層にとっては破壊に繋がる。では自然保護との関係はどうなるのか。著者が辿り着いた答えは、まずどのような環境にするのが良いのか、定義から必要だというもの。

 大自然のままの状態では人間は生きて行くのが大変だ。一方で、全ての自然が失われてしまっては、これまた人間は生きていけない。そのどこかに最適な解があるのは間違いない。著者は、人間が生きて行きやすい環境を作るべき、という視点に落ち着く。そこまでの流れは是非本書を読んで確かめてみて欲しい。理解のできるストーリーになっていると思う。

 環境保護というと、どうしても”人の手が入らない状態”を思い浮かべてしまうが、生物多様性を優先するならばむしろ人の手が適度に加えられた方が良い、というのは何とも意外。過度の自然保護に偏らず、バランスの取れたあり方を探りたい方にうってつけだと思う。
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環境 | 2011/05/06(金) 22:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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930冊目 現代日本の問題集
現代日本の問題集 (講談社現代新書)現代日本の問題集 (講談社現代新書)
(2004/06/21)
日垣 隆

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評価:☆☆☆☆


 調べ物をしっかりした上で、分かり易く明快な文章を書くことで評価されていジャーナリスト、日垣隆さんが今の日本の抱える病巣についてメスを入れている。

 例えば、アフガニスタンを民間で復興させたいと願ったボランティアとジャーナリストの3人が人質になったことへのバッシング。一方で、地元民の誰もが危険だと知っていたところへ無警戒に出かけて行って銃撃され命を落とした外交官には国葬が営まれた。そこには官尊民卑が見え隠れする、と指摘する。

 確かに、当時は”自己責任”の声が飛び交い、人質になった人々を非難する声が多く聞かれた。私の入っていたメーリングリストでも、国家反逆罪に問えみたいな見当違いの暴論をまくし立てる人が居たことを覚えている。

 しかし、彼らはまず第一に犯罪被害者であり、悪いのは犯罪者であるというのが筋。そして、国は国民を助けることが義務である。従って、国が彼らを助けるのは、国の仕事であり、彼らを非難することはすべきではなかった。また、彼らを非難するならば、同じ文脈で十分な警戒を行わなかった外交官たちにも自己責任の言葉がかけられて然るべきだったという意見は説得力があると感じられる。

 社会不安の問題も指摘している。2003年の歳入は42兆円に対し、公務員への人件費39兆円、国家予算とは別の国民医療費は31兆円といった数字を見るとこの段階で将来の社会不安が大きいのは理解できよう。この人件費率は異常で、赤字国債は未来永劫発行し続けなければならないレベル。人件費削減が急務であることが分かる。

 他にも警官による発砲が増えたのは何故か、刑法改正が骨抜きにされたのはどのような経緯でなのか、好い加減な報道、心神耗弱の濫用、等々の問題が指摘されている。すぐに解決できるような処方箋があるわけでは無いが、まずどういった問題があるかを知るにはうってつけと思う。

 勿論、本書で展開されているのは著者の意見に過ぎないので、誰にとっても賛同できる点と、とてもではないが同意できない点が同居している。読者としては、賛否それぞれについて、何故それに同意できるのか・できないのかを自問することで、今の日本が抱える問題について掘り下げることができるのかもしれない。

 まずは問題点のあり方を提起しているところ、それを読み易い表現でまとめてくれているところに感謝したい。
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ノンフィクション | 2011/05/03(火) 22:16 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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4月のキーワード
4月のキーワード。

1 最強の狙撃手
2 哺乳類型爬虫類
3 人間の本性を考える
4 地政学入門
5 米原万里 死因


 『最強の狙撃手』が何故か常連になっている。確かに面白い本ではあるけど、他にも色々と紹介していると思うんだけどなあ。

 『哺乳類型爬虫類』は、ピンポイントで解説してある本はレアなので、本書はかなり価値が高いと思う。著者の好みが出まくりなのも、個人的には高評価。

 『人間の本性を考える』は、人は環境で変わるという考えを打破するには有効。2人の子を持ってみて、もう生まれながらに個性が違うのは分かるし、この2人が同じように接しても同じように受け取るとは思えない。勿論、環境の影響はゼロにはなり得ないので、バランスの取れた立場が必要なのだろうと思う。

 『地政学入門』も常連。こちらも何でかなあ?中国や北朝鮮と言った、軍事的に不安を抱える国が近くにある状況でこうした本に関心が集まるのは良いことなのだろう。そういう状況があること自体はかなり残念なことだけれども。


 1件だけのキーワードは以下。

蚊が脳にいったら
 すぐに病院に行った方が良いと思います。どこに行くべきだろう。・・・・・・精神科?

木村由美子 体内
 ・・・・・・調べると、ダイズに関する論文とアダルトDVDがヒットするんですが、落差にクラクラさせられますです。どっちを調べようとしてここに辿り着いたのか気になるところですが、どちらにしてもきっと目指す情報は無かったことかと思います。偏ったブログですみません。

片方の鼻が詰まっていると脳の働きが良くなることの証明
 しばしば私目の鼻は両方とも詰まるのですが、そうすると片方しか詰まっていない人の倍くらい働きは良くなるのでせうか。むしろ鼻にばかり意識が行ってしまって頭が悪くなる一方のように思うのですが。

 それはさておき、懐かしの『イグ・ノーベル賞』ですね!本当に世の中には奇抜なことを考える人が居て楽しいものです。

塔 男根
 ・・・・・・フロイトですか、そうですか。

微分積分 畑村 トンデモ
 結構読みやすくて分かりやすいと思うのだけれども。

それから カラス
 どういう繋がりですか???

荀子 人を鉄人
 もう訳が分からない(笑)なのに、google先生で訊ねると、何故だかtopに。世の中には科学では解けないことがいっぱいです。

年収300万 独身女性
 ワーキング・プアとかその手の問題なのでしょうか。こうした社会問題には弱いので、これまたどうして辿り着けたのかが不思議。

漫画の規制について
 規制のように、社会的影響を及ぼしたいならせめて論理が繋がるようにして欲しい。マンガの規制が社会の安定に繋がる証拠が全く無い中でのゴリ押しは、他の意見の弾圧以外の何物でも無い。

ザムシャー
 すみません、親莫迦記事でホントにすみません。息子、ザムシャに握手してもらったの覚えてるかなあ。

skywriter ガーファンクル
 誰が何と言おうと、史上最高の名曲です。



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雑記 | 2011/05/01(日) 23:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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