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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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BK1書評の鉄人31号。
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869冊目 イラスト図説「あっ!」と驚く動物の子育て 厳しい自然で生き抜く知恵
イラスト図説「あっ!」と驚く動物の子育て (ブルーバックス)イラスト図説「あっ!」と驚く動物の子育て (ブルーバックス)
(2006/05/18)
長澤 信城

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評価:☆☆☆☆


 生物が生きる目的は、子孫を残すためである。それゆえ、子孫を残すための様々な手段が編み出されてきた。

 表紙にあるエンペラーペンギンは、厳冬の南極で生まれ、子育てをして、死んでいく。しかも、何を考えたか、その繁殖地は餌場から50キロほども離れたところだという。ヨチヨチ歩きで50キロを歩こうとすると、当然物凄い時間がかかる。そのため、卵を産み終わったメスが食事に行く間、なんとオスは120日間もの間、飲まず食わずで抱卵するという。

 120日の絶食ダイエットの効果は抜群で、オスは見る影も無くやせ細る、という。ダイエットをしたい皆さん、決してマネしてはダメですよ。人間なら死にます。

 それはともあれ、このやせ細った配偶者を、メスは確実に見分けることができるという。その後、雛は雛だけの集団を作るのだが、ここに親が餌を運んでくると、雛はきちんと自分の親のところに行き、親は子を見分けるという。その見分けるメカニズムは、鳴き声を聞き分ける点にあるというから驚きだ。しかも、このシステムは雛がまだ卵から孵る前に働き始めるという。

 こうした、両親が子育てをする動物もいれば、片親だけに世話を頼るものも居る。カッコウのように托卵して赤の他鳥に子を育ててもらうものも知られているが、肴でも同じことをするのが居るとは知らなかった。親が死んでしまったらヘルパーが代わってくれるという鳥も居れば、シャチはオスが若者の訓練に当たるという。かと思えば、ハヌマンラングールやライオンのように、新しくリーダーになったオスが群れの赤ん坊を殺してしまう場合すらある。

 改めて生物の奥深さに凄さを感じた。知れば知れほど、これほどまでに精緻なシステムを生み出した自然に感服する。写真と絵で、子育ての姿を実感できるのも嬉しい。生物の面白さと美しさを知るのに、実に手ごろな一冊だと思う。
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生物・遺伝・病原体 | 2010/09/28(火) 23:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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867冊目 & 868冊目 ロケットボーイズ2  上下
ロケットボーイズ2〈上〉ロケットボーイズ2〈上〉
(2002/02)
ジュニア,ホーマー ヒッカム

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ロケットボーイズ2〈下〉ロケットボーイズ2〈下〉
(2002/02)
ジュニア,ホーマー ヒッカム

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評価:☆☆☆☆☆


 好評を博した『ロケットボーイズ』を受けて書かれた続刊。炭鉱町を舞台に活躍したロケットボーイズたちの活躍が面白く、時に胸を打つ話に溢れていて一気に読んでしまったのが思い起こされる。が、正直、前作『ロケットボーイズ』で、ロケット打ち上げについての話は書き終わったように感じられたので、本書には余り期待をしていなかった。

 そんな予想は見事に裏切られた。

 予想通り、ロケット打ち上げについての話は、副次的なものとなっている。その代わりに、前作では魅力を感じさせながらも中心には据えられていなかった人間模様が語られる。

 ティーンエイジャーである著者が抱える親との葛藤、兄弟との軋轢、そして、恋。どれもが実に瑞々しく、何十年も前の話とは思えない。ただ、流れる曲のタイトルが古さを感じさせるだけだ。それはエヴァリー・ブラザーズだったり、エルビス・プレスリーだったりするのだが。

 取り分け、前作でも触れられていた父親との緊張関係には、一部胸が締め付けられるようなシーンもあった。アメフト選手である兄ばかりを自慢し、自分が無視されていると感じてしまう著者。その緊張がマックスに達したときの、著者が感じた怒りと、父の、双方の気持ちのすれ違いが悲しい。不器用な男同士の悲しい物語だと思う。父が不器用なりに著者を愛していたことは明らかになるから、余計に。

 いつの世代の若者も抱える、こうした葛藤がストレートに語られているのが魅力になっている。繰り返すが、本当に何十年も前の話とは思えない程。だから古臭さを感じさせずに、今も読者を魅了しているのだと思う。ロケットボーイズたちの活躍をもう一度見たいという方は、絶対に読むべき。


関連書籍:
ロケットボーイズ〈上〉ロケットボーイズ〈上〉
(1999/12)
ホーマー ヒッカム・ジュニア

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ロケットボーイズ〈下〉ロケットボーイズ〈下〉
(2000/02)
ホーマー・ジュニア ヒッカム

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ノンフィクション | 2010/09/23(木) 23:06 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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866冊目 嘘発見器よ永遠なれ
嘘発見器よ永遠なれ嘘発見器よ永遠なれ
(2008/04/22)
ケン オールダー

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評価:☆☆☆☆

 アメリカの映画やドラマで広く取り上げられているこの装置を知らない方は少ないだろう。その嘘発見器を取り上げた本書のタイトルから、強烈にアメリカの物語であることが伝わってくる。それもそのはず、嘘発見器はアメリカで生まれ、事実上アメリカでしか用いられていない技術なのである。

 なぜ、嘘発見器はアメリカ以外の国で広く使われないのか。一つには、嘘発見器がその名に反して、嘘を見抜く装置ではないことが挙げられよう。本書でも繰り返し説かれているが、嘘発見器が示すのは、嘘発見器に掛けられた人物が信じているかどうかを明らかにする装置に過ぎない。要するに誤ったことでも確信さえ持っていれば嘘発見器では見破れない、ということだ。加えて、嘘を付くときのストレスを計測する技術であることの限界もある。つまり、嘘を付いていなくとも、質問にストレスを感じれば嘘発見器は反応してしまう。

 催眠療法により捏造された記憶を元に、娘から性的虐待を訴えられた父親が、記憶を”回復”(実際は作られた記憶に過ぎない)した際に、荒唐無稽な話を嘘発見器は見破れなかったことが『悪魔を思い出す娘たち』で明らかにされている。

 そのため、社会に浸透しているかに見えるアメリカでも、裁判で嘘発見器の記録を証拠として提出することはできないのである。

 本書は、この誰もが知り、社会に広く拡散していながらも未だに科学ではないとされてしまう不思議な装置、嘘発見器の歴史を追っている。

 嘘発見器を開発したのは、ジョン・ラーソンというアメリカ初の博士号を持つ警官だった。だが、それを広めたのはレナード・キーラーという、ラーソンの一番弟子だった。二人は嘘発見器の驚くべき力と、その限界を把握していた。その上で、ラーソンは精神病への治療に用いることができないかと考え、キーラーは嘘やはったりを用いてでも捜査に用いられるよう骨を折った。二人により嘘発見器は世に放たれ、皮肉なことに二人の人生は嘘発見器に振り回されてしまったように見える。

 著者は徹底した取材で、ラーソンとキーラーの人生をあぶりだしている。嘘発見器に何を見て、嘘発見器がどう用いられるべきか、二人の意見は悉く食い違う。厄介なのは、どちらにもそれなりの筋があり、論理があることだろう。読者もどちらの側に好意を感じるか、あるいはどちらを正しいと考えるかの判断は分かれるだろう。そして、嘘発見器がなんともアメリカらしい発明であることに驚かされると思う。

 私が驚いたのは、アメリカ内で嘘発見器が実に多様な使われ方をしてきた、ということ。警察での取り調べについては勿論知っていたが、企業が従業員の忠誠度を計るためにまで使用していたのは知らなかった。政府機関からゲイを追放するために使われたことも。嘘発見器が恐るべき踏み絵と化していた事実には多少の恐ろしさも感じずには居られなかった。心の中を測定する機械の恐ろしさを知らしめるのに、嘘発見器は先陣を切ったのだろう。嘘発見器よりも洗練されたように見える技術は次々開発されていく。しかし、そこには常に解釈が絡んでいるという現実を忘れないようにしたいと思った。


関連書籍:
万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測
(2006/03/23)
ケン オールダー

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悪魔を思い出す娘たち―よみがえる性的虐待の「記憶」悪魔を思い出す娘たち―よみがえる性的虐待の「記憶」
(1999/03)
ローレンス ライト

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ノンフィクション | 2010/09/21(火) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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865冊目 アメリカ流 7歳からの微分積分―こんな学び方があったのか!
アメリカ流 7歳からの微分積分―こんな学び方があったのか! (ブルーバックス)アメリカ流 7歳からの微分積分―こんな学び方があったのか! (ブルーバックス)
(1998/08)
ドナルド・コーエン新井 紀子

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評価:☆☆☆


 まず、タイトルにはかなりの偽りがある。確かに、本書で取り上げられているのはアメリカの事例で、7歳の子供が微分積分の概念を理解している場合のあることが示されている。

 しかし、アメリカ流という言葉からイメージされるような、アメリカ全体で行われているというイメージは本書を読めば打ち砕かれる。著者は私塾の経営者であり、そこで特殊な数学教育を行っている。その中で微積に繋がる概念を理解した子供が出た、ということが書かれている。

 微分や積分といったテクニックがどのような考えに支えられているのかが明らかにされているのは、本書の魅力であることは疑いを挟む余地はないと思う。数列や二項定理、πや自然対数eなど、7歳どころか17歳になっても理解が難しいことまで取り上げられていて、それを理解する子供たちには驚かされる。

 それでも、この本を読んで自分の子供が7歳になったら微積を教えられるぜ!と思えるかと言えば、とてもそうは思えなかった。一般論として見るには厳しいというのが正直な感想である。私としては、秀才の中学生が背伸びしたら学べるくらいのレベルが適切な難しさなのではないかな、と思えてならなかった。
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その他科学 | 2010/09/16(木) 23:57 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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864冊目 馬の世界史
馬の世界史 (講談社現代新書)馬の世界史 (講談社現代新書)
(2001/07)
本村 凌二

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評価:☆☆☆☆

 人間の歴史を左右した動物という意味では、馬を超えるものはいないかもしれない。ユーラシアの平原を、戦車や騎兵が駆け巡り、歴史は大きく動いてきた。

 ラムセス二世のエジプトがヒッタイトと衝突した戦いや、中国の春秋時代には戦車が活躍している。時代が下り、ハンニバル率いるカルタゴとローマのスキピオの戦いを頂点とするポエニ戦争では騎兵が戦争の帰趨を決するほどの活躍を見せた。

 それほど重要だからなのだろう。アレクサンドロス大王が愛馬に名づけたブケパロスや、項羽が跨った騅のように、名の残る馬も少なくない。

 本書はそんな馬が辿ってきた歴史を追いかけることで、結果として中国北方からヨーロッパにかけて広がっていた騎馬遊牧民の歴史を追うこととなっている。フン族や匈奴といった文字を持つ文明から恐れられた人々、そして、馬を手に入れて騎馬遊牧民と対抗した文明の興亡が実に面白かった。

 一箇所、ローマ人がフン族を見下して、「鞍の下においた腐りかけの肉を食う」などと書かれていたという記述は面白かった。これは『保存食品開発物語』に拠れば、馬の汗に含まれる塩分によって肉を腐らないようにさせていたというものであり、馬が哺乳類にしては珍しく汗をかくことを利用した賢明な方法なのだ。保存食が他の食生活を営む人々に理解されないのは今も昔も変わらないのだなあ。

 最終章の競馬となるとこれはもう私の興味から完全に外れてしまうので読まなかったが、競馬ファンはサラブレッドに至るまでの馬の歴史、という観点からも面白いのではないだろうか。

 洋の東西に広がる人々を扱うが故に、話題の広さが面白さを際立たせている。ポエニ戦争、汗血馬、といったキーワードに興味をひかれる方には是非お勧めしたい。


 ただ、アラブ馬を褒め称える中で、この純潔の故にアラブ馬にはことのほか優性遺伝の力が備わった(P.160)なんて書いちゃうのはどう見ても勇み足だよなあ。優性遺伝の意味間違ってるし。


関連書籍:
保存食品開発物語 (文春文庫)保存食品開発物語 (文春文庫)
(2001/11)
スー シェパード

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ウマ駆ける古代アジア (講談社選書メチエ)ウマ駆ける古代アジア (講談社選書メチエ)
(1994/03)
川又 正智

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その他歴史 | 2010/09/14(火) 23:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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ご報告
 第二子誕生しました。今度は娘です。

 嫁の人は、前回は悪阻が酷かったのですが、今回は悪阻に加えてその後も大変で、「安定期?なにそれ美味しいの?」的な状態だったので、まずは一安心、といったところです。

 産まれたらその後もまた大変なので、助け合いながら子育てをしていこうと思います。長男はマイペースなおっとりさん。次はどうなるか楽しみです。

 大人げの無い我々夫婦は、せめて笑うようにならないと子育ては大変なばかりだよね、と言い合う仲。まずは三ヶ月、笑顔が見られるようになるまでの間を乗り切ろうと思います。


 しかし、私は男兄弟で従兄弟も男ばかり、幼馴染も男ばかりで男子校から理系大学へと、男の園みたいなところで育ってしまったので、女の子の遊びが分からない・・・・・・。とりあえずは息子と一緒にウルトラマンかな(笑)
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雑記 | 2010/09/12(日) 23:16 | Trackback:(0) | Comments:(7)

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863冊目 論破できるか!子どもの珍説・奇説
論破できるか!子どもの珍説・奇説 (ブルーバックス)論破できるか!子どもの珍説・奇説 (ブルーバックス)
(2002/02/20)
松森 靖夫

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評価:☆☆☆

 子供は子供なりに世界を理解している。しかし、子供ならではの勘違いをしていることも多い。そして、子供はいかにもそれが当然であるかの如くに、勘違いしたことをまくし立てることになる。そうなったとき、正しい答えをすることができるだろうか。

 というわけで、まさにそんな感じの本書を手にとって見た。

 取り上げられているのは、月は太陽と同じく自ら光を発しているとか、分数の足し算で起こりがちな勘違い(分母同士と分子同士を足してしまう)とか、沸騰したお湯から立ち上る白い煙が水蒸気だとか、へその緒はお母さんのおへそと繋がっているんだ、といった、確かに子供が勘違いしそうなことが沢山。中には大人になっても勘違いしていそうな人もいそうな気がするものもあった。

 子供の珍問に対して、彼らを納得させられるよう、丁寧に答えが書かれているのが魅力だろうか。

 ただ、惜しむらくは、本書のターゲットが科学を深く知らない方であるところ。理系出身で、科学関係の本をそれなりに読む人には先刻承知、というものも少なくないと思う。少なくとも、私はそうだった。ただ、子供の頃、そんな勘違いをしていたよなあ、と懐かしい思いになった。そういった意味で、ノスタルジーを楽しむのにも良いかもしれない。
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その他科学 | 2010/09/10(金) 22:31 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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862冊目 アムンゼン―極地探検家の栄光と悲劇
アムンゼン―極地探検家の栄光と悲劇アムンゼン―極地探検家の栄光と悲劇
(2002/09)
エドワール・カリック

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評価:☆☆☆☆☆


 アムンゼンは初めて南極点を制覇した人物として知られている。南極点を争ったイギリスのスコット隊が全滅の悲劇に見舞われたことも有り、その対照的なあり方が語られることが多い。そのアムンゼンに”悲劇”の二文字が冠されているのを見て驚いた。私にとって、アムンゼンは南極点を制覇した栄光の人物としてしか存在しなかったためだ。

 悲劇は、南極から帰った後のことになる。まず、資金面のこと。当時は極地探検は国家的な期待を担わされつつも、個人が行うものに過ぎなかった。そのため、探検に要する資金も個人が集めなければならなかった。その過程で国がある程度の資金を出すことはあったとしても。

 そして、なによりもアムンゼンを悲劇的にしているのはその最期である。本書は、その最期に繋がるシーンから始まる。北極を飛行船で横断しようとしたイタリアの冒険隊がSOSを送ってきたのだ。飛行船が墜落して壊れ、隊員達が氷上に取り残されている、というのだ。隊長はアムンゼンと激しい争いを繰り広げた人物。しかし躊躇することなくアムンゼンは救援に向かう。それが、アムンゼンの最期の冒険となった。救援に向かったその飛行機が二重遭難となり、幾多の冒険を成し遂げたアムンゼンは遂に帰らぬ人となったのである。

 本書はそのアムンゼンの伝記。探検家になることを夢見た少年時代から、カナダ北方の北極航路を切り開き、南極を征服し、更には北極を飛行船で横断した初の人物となった。その冒険の事実だけでも物凄いことになっていて、素晴らしいノンフィクションになっている。

 加えて、アムンゼン個人の魅力が引き立っている。これは『そして奇跡は起こった』のシャクルトンもそうなのだけれども、過酷な土地へ長い期間に渡って部下を連れて行くのだから、隊長を務めるには必須の特性かもしれない。彼らの探究心や気概が地球科学を作ってきたと思う。彼らが得た知識だけを見ていれば抜け落ちてしまう探険家本人の素顔おw、こうやって眺めることができるのは嬉しい。

 特筆すべき個性を持った人物の伝記と、その活躍によって明らかにされた事実とを上手く組み合わせた良書だと思う。

 最初に翻訳されたのが随分昔の1960年代ということもあり、エスキモーを土人(一発で変換できなかった^^;)と呼ぶなど”政治的に正しい”表現になっていないのが逆に新鮮。著者も役者も意図していないだろうが、そこはかとなく差別的な雰囲気が漂っているのが、本文で描かれる有色人種へも暖かい目を向け続けたアムンゼンとのギャップで、そこもまた面白かった。


関連書籍:
世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
(2002/12)
アプスレイ チェリー・ガラード

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そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還
(2000/09)
ジェニファー アームストロング

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ノンフィクション | 2010/09/07(火) 23:02 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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861冊目 リプリー
リプリー (角川文庫)リプリー (角川文庫)
(2000/06)
パトリシア ハイスミス

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評価:☆☆☆


 主人公トム・リプリーは、ひょんなことから、富豪のグリーンリーフからその放蕩息子のディッキーをヨーロッパから連れ戻して欲しい、との依頼を受ける。妻が白血病で、余命幾許も無いというのに、息子は帰ろうとしないのだ。親の言うことを聞かなくても、同年代の友人であれば事態は変わるのではないか、との願いからだった。

 かくしてリプリーはアメリカでの貧困生活を棄てて、一路ヨーロッパへ向かう。そこで出会ったのは、カネにも女にも恵まれた、自分とは全然違う青年だった。彼と共に過ごすうち、リプリーは二人の姿かたちが似ていることに気付く。勿論、親しい人々を騙すことはできない。しかし、異郷の地で、二人を深く知らない人々の間ではどうだろう?

 物語はこのリプリーの内面を微に入り細を穿つように表現していく。ディッキーとの出会い、共に過ごす楽しさ、それが一転、疎遠になっていく様、そして、リプリーが遂に思い切った手段に出て、露見を恐れるようになるところまで。この丁寧さが好きな人には堪らないだろう。

 それにしても、古い。アメリカで出版されたのが1955年、という時代を感じさせる。

 まず、リプリーがヨーロッパに向かうのに使うのは、船である。現代だったら飛行機であっというまに用を足せるので、リプリーがグリーンリーフからこのような依頼を受けることは無かったに違いない。当然、携帯電話など無い。連絡手段が限られることがプロットに大きな影響を与えている。

 そして、決定的なのはセックスに関わる点だろう。なにせ、この放蕩息子ディッキーには恋人がいるのだが、せいぜいキスどまりで、その先に至っては居ないようだ。しかも、この恋人のことをディッキーはそういう意味で好きなわけではないらしい。結局、ディッキーの放蕩とは仕事をせずに親のカネを使いながらぷらぷらしているだけで、今で言うところの放蕩とは随分と雰囲気が違う。性革命が未だ起こっていないとは言え、それはさすがにちょっとどうかなあと思うわけですよ。この恋人の立ち位置も、ディッキーから見れば恋人でもなければセックスの相手でもない。では何のために一緒に居るのだろう???

 こうした古さを感じさせはするが、ホームズやポアロを読むような積りでいれば十分楽しむことができると思う。
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推理小説 | 2010/09/05(日) 22:23 | Trackback:(0) | Comments:(3)

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860冊目 脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ
脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ
(2009/01)
ゲアリー マーカス

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評価:☆☆☆☆


 進化は、とてつもなく素晴らしい構造を作りあげてきた。例えば目。この外界を認識するための器官の精密さを考えれば良く分かるだろう。目と同じように、脳も驚嘆すべきものになっている。色々なことを記憶し、判断し、行動に移る。これらが機能しなくなったらどんなに大変なことになるか。

 だが、その脳は、行き当たりばったりの試行錯誤の上に出来上がった完成形とは程遠いものである、というのが本書の主張である。 著者は人の心を、「エレガントにはほど遠く無様であるにもかかわらず、驚くほど効果的な問題解決法」という意味のクルージであると指摘する。

 例えば記憶。我々の記憶は、正確さという点では落第ものであることが明らかになっている。都合の良いように塗り替えられ、細かなところは忘れ、大事なことさえ思い出せない。特に記憶力の無いわたくしめ、先日は同僚の名前忘れました。

 記憶については好い加減かもしれない。でも、判断力は大丈夫だ。冷静で客観的な判断をしている。そう思う人もいるだろう。しかし、判断も好い加減にやっているようだ。本書では様々な実験を取り上げ、我々の判断がどれほど直感や、その前に刷り込まれた些細な情報に左右されるかを明らかにしている。

 我々が客観的に判断することができない、というのはがっかりな結論に思える。しかし、それを知っておくことで、少しでも理想に近づくことはできるのではないか。その前段階として自分の心の危うさを知っておくのに、本書はちょうど良いと思う。


関連書籍:
抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって
(2000/06)
E.F.ロフタスK.ケッチャム

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医学・脳・精神・心理 | 2010/09/02(木) 23:28 | Trackback:(0) | Comments:(1)

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