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Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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835冊目 戦国名臣列伝
戦国名臣列伝 (文春文庫)戦国名臣列伝 (文春文庫)
(2008/04/10)
宮城谷 昌光

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評価:☆☆☆☆


 春秋、戦国時代に活躍した16人の名臣の姿を描く短編集。16名は以下の通り。

越  范蠡
魏  呉起
楚  屈原
燕  蘇秦、楽毅
斉  孫臏、田単
趙  藺相如、廉頗、趙奢
秦  商鞅、魏冉、白起、范雎、呂不韋、王翦

 こうして国別に見ていくと、圧倒的に秦が多く、1/3以上に当たる6名が取り上げられている。いずれも秦の統一に向けて、無くてはならなかった人物が揃っている。一方、他国に目を転じるとやや寂しさが目に付く。趙の3人は確かに名臣ぞろいだが、彼らが活躍したのは既に秦の一強が成立した後で、つまるところは防衛でしか活躍していない。

 范蠡は呉越の熾烈な戦いを越の勝利に導きながら、主君の人間性を信用できず国を去り、呉起は変法で魏と楚を強国にするべく目覚しい働きをしたが、庇護者である主君亡き後、改革は全て泡と消えた。それどころか、反対派から殺害されるに至る。楽毅は弱国の燕を率いて強国の斉を滅ぼす直前まで辿り着いたものの、これまた主君が死去したことによって失脚。燕は田単の計略によって再び元の版図を取り戻すに至る。その田単も国を追われる羽目に。

 癖の強い人々を上手く使いこなしたことが、秦の統一の理由なのだろうか。秦だけが改革を後戻りさせなかった印象を受ける。勝者による歴史だから他国の事情を貶めているせいかもしれないけれども。

 こうした一癖も二癖もある人物を丁寧に描いている。情報の一つ一つが丁寧に集められているのがはっきりわかるのが魅力だと思う。史記以外からも広く情報が収集されているので、司馬遷が描く姿との違いを楽しむこともできる。

 戦国時代で、なおかつ各国間を人々がかなり自由に往来していたことが、この時代と人々をスケールの大きい魅力的なものにしていると思う。

 ただ、人物の伝記のため、春秋戦国時代の流れを掴むことはできない。背景を一通り知っておいた方が楽しめるだろう。
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中国史 | 2010/06/27(日) 19:36 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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834冊目 精神分析ゲーム
精神分析ゲーム精神分析ゲーム
(1994/08)
バチヤ グール

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評価:☆☆☆


 煽りが振るっている。曰く、”精神分析医の最大のタブーとは何か?”

 そんなの、精神分析が全く効果がない、ってことに決まってるじゃないか(詳細は『精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落』)。

 というわけで、被害者は心理療法を「最悪のペテン」と呼んだノーベル生理学・医学賞受賞者のピーター・メダワーや、『精神分析に別れを告げよう』のアイゼンクのような人に違いない!と思って読み始めたわけです。

 が、残念ながら外れでした。(※当たり前です)

 フィクションなので、精神分析はペテンじゃないということになっていてちょっと残念。そんなペテン師集団精神分析医が、講演の当日に射殺体になって発見された。発見したのは同僚で、こめかみを撃ち抜かれている死体を前にして眠っているのかと思ってしまう、ちょっとというか大分ダメな精神分析医ペテン師で、ようやく脈を触って死んでいることを理解したらしい。

 うーん、このリアリティに満ちた世界、大丈夫かなぁ。結構な血が出てるだろうから、血の匂いするはずだよ?

 そんな読者の心配も何のその、とりあえず突っ走ってくれるので楽しいです。消えた講演の原稿、捜査を撹乱する謎の人物、謎のハンサムさん、そして謎を秘めた美女。精神分析医たちの思惑が交錯する中で、警察は犯人を捕まえることができるだろうか。

 正直、プロット自体はそんなに面白くなかった。面白い小説は、大体”犯人はこのAって奴だろうな”と思わせておいて、最後に大どんでん返し、”なんてこった!犯人はBの野郎だった!!な、なんだってーーー!”となると思うのだけど、本書は違う。途中で怪しいと思ったのがそのまま犯人だし。

 むしろ、イスラエル社会の抱える様々な問題を切り取っているところが面白い。イスラエルの街で、生きて暮らしている人が描かれているように思わせるリアリティがある。ええと、射殺されている人を見ても寝てると間違えちゃうようなのは除いて、ですけど。

 逆に、その手のことに興味がないのなら、翻訳されたのは結構古いので見かける機会は少ないだろうけれども、見つけたからといって特にお勧めすることはありません。


関連書籍:
精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落精神分析に別れを告げよう―フロイト帝国の衰退と没落
(1998/05)
H.J. アイゼンクH.J.Eysenck

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推理小説 | 2010/06/25(金) 23:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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833冊目 恋愛の昭和史
恋愛の昭和史 (文春文庫)恋愛の昭和史 (文春文庫)
(2008/03/07)
小谷野 敦

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評価:☆☆☆


 昭和の文学において、恋愛の位置づけがどのように変わって来たかを『もてない男―恋愛論を超えて』で知られる著者が解き明かしている。

 本書を読んで驚いたのが、性的な開放感で言えば戦後よりも戦前の方がゆるやかだったのではないか、というあたり。再確認になったのは、いつの時代の人も性との付き合いには苦労してきたのだ、という点。


 文学史というものに余り興味は無い私ではあったが、恋愛観の変遷は文化の変化でもあるので興味深く読むことができた。

 本書でも指摘されている通り、”オンリーユー・フォーエバー”なんて考えは妄想としてはあっても現実としては成立しがたい。

 結婚生活を半年以上経験した人なら誰でも知っているだろうが、同じ相手とのセックスは飽きる。そりゃあもう飽きる。そして、これまた(少なくとも男は)誰でも知っているだろうけど、セックスそのものには飽きない。それは、結婚したらお腹が空かなくならない、なんてことがないのと同じ理由による。

 いずれにも生殖という本能が深く関わっているのだから当然だろう。これが本能であることは、クーリッジ効果から分かる。

 だから一人の相手との永続的な政敵結びつきを矯正する結婚制度には無理がある。というわけで、風俗産業は隆盛を極め、金持ちは愛人(古くは妾)を囲う。他人が非難しようが何をしようが、こうした振る舞いは変わることなく未来永劫続くに違いない。

 私がキャバクラからソープランドに至るまであらゆる風俗に行かないのは、性欲の発散ができるというだけのことに数千~数万の出費はコストパフォーマンスが悪すぎると思っているからに過ぎない。(一方で愛人を得て維持してしかも妻に隠すだけの甲斐性は無い)

 北村透谷が恋愛結婚を唱えて実践しながら自殺して果てたことに思いを巡らせても良いかもしれない。




関連書籍:
もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)
(1999/01)
小谷野 敦

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帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))
(2005/07/06)
小谷野 敦

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評論 | 2010/06/22(火) 22:20 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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832冊目 皇妃エリザベート
皇妃エリザベート (集英社文庫)皇妃エリザベート (集英社文庫)
(1996/01/19)
M・V・インゲンハイム

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評価:☆


 ご存知ではないでしょうか、シシィと呼ばれた皇妃エリザベートのことは。今でもオーストリア・ハンガリーで愛される、数奇な運命を辿り、悲劇的な最期を迎えた女性である。宮廷では蔑まれがちだったのは、堅苦しい儀礼を嫌ったから。シシィの挑戦に、読者はどきどき。

 ええと、ここまでの文章でうんざりした人は、何があっても絶対に本書をよんじゃダメです。はっきりいって、この本は丸々一冊、上記のような鬱陶しい文章が続きます。

 エリザベート個人には魅せられる点が幾つもあったのに、文章が酷いので、読む気力がどんどん失せていくのが実感できた。要因は恐らく二つ。一つは倒置法であり、もう一つは体言止め。どちらも、単発で使われるなら悪くないと思う。しかし、毎ページ出てくるという頻度はどうだろう。

 評価の全ては訳者にかかっている。エリザベートには興味が沸いたが、このシリーズは二度と手に取ることはない。



 という、文章を離れたところで論じてみる。

 シシィは、今に至るもオーストリアおよびハンガリーで愛されている。彼女は事実上オーストリア帝国のラストエンペラーとなったフランツ・ヨーゼフに見初められる形で皇后になる。しかし、自由を愛したシシィは、宮廷作法に煩い義母たちと衝突し、オーストリアよりもむしろハンガリーに居ることを好んだ。オーストリアの支配を嫌うハンガリーの人々からも彼女が愛される所以である。

 本書では、彼女の幼年時代から、結婚・出産を経て皇后としての地位を確立していくところまでを描いている。後半生は不幸が続くので、前半で終わっているのは読者にとっては少し安堵がある。ともあれ、他国に嫁ぎ味方は夫だけ、それも執務が忙しく滅多に会えないとなれば彼女の苦労は大変なものだっただろう。

 加えて、門閥貴族たちが作り上げた複雑怪奇な典礼のルールに縛られていたとなれば、10代後半の女性にはかなり厳しい生活だったのは想像に難くない。そのため、どうしてもしきたりに煩い義母のソフィーとは対立がちだった。義母がシシィを追い詰めた悪役にされてしまっているのは双方にとって不幸だったといわざるを得まい。

 それでも、時には逃げながらも自分らしさを出していったところが彼女の強さであり魅力だと思う。彼女の人生はなかなか面白そうなので、機会があれば別の本を読んで見たいと思う。


 余談だが、東欧に出張へ行ったとき、オーストリアでもハンガリーでもみやげ物の包装にはシシィが描かれていることが実に多かった。その理由の一端に触れられたことは、個人的に嬉しかった。
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その他小説 | 2010/06/19(土) 23:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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831冊目 霍光
霍光 (徳間文庫)霍光 (徳間文庫)
(2004/04)
塚本 青史

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評価:☆☆☆☆


 渋い。渋すぎる。何がって、霍光である。

 霍光が活躍したのは、漢の武帝の治世後半から昭帝・宣帝にかけての時代である。武帝光も影も巨大な君主だ。光は衛青霍去病といった名将が赫々たる武勲を挙げ、漢の威光を輝かせた。これら外征を支えたのは、武帝に至るまで平和を享受する中で蓄えた資産だった。だが、派手な軍事行動で経済的に困窮し、治世の後半では社会矛盾が大きくなってくる。

 特に、肥大化した宮廷では陰謀が張り巡らされ、皇太子劉拠巫蠱の獄で死に追いやられるなど混乱が続く。武帝の迷信狂いと女狂いが、影を色濃いものにしていくのである。その武帝亡き後、帝位を継いだのは昭帝。即位当時わずかに8歳だった。その後見人に命じられた一人が霍光である。(他の2名は金日?(きんじつてい)と上官桀(じょうかんけつ))

 武帝時代に名を為し、昭帝時代以降に最高権力を握ったのが霍光だった。畢竟、物語は華々しい軍記ものからは離れ、政治劇になる。陰謀とその帰結などは実に丁寧に描かれており、虚構の人物の絡め方も上手いと思う。

 しかし、どうにも淡々とした雰囲気過ぎる。『王莽』のときにも同じように感じたのだが、野望に身を焦がす男の姿が見えてこない。特に、当初は盟友だった上官桀との血で血を洗う抗争が淡々としているのはちょっとどうかなあ。

 それでも、『王莽』と比べると遥かに面白い点が多い。やはり、陰謀が大掛かりになっているところと、栄光と挫折の対比が素晴らしいところか。王莽にはなんというか、光の部分が無いので。(王莽が英邁な君主にされちゃってたら、それはそれで面白いかもしれないけど歴史小説としては”無し”でしょうね)

 なお、蘇武李陵が活躍、史記を著した司馬遷が宮刑に処されながらも膨大な著作を完成させたのもこの時代であるため、登場人物はやたら豪華なのが嬉しい。李広利のフェルガナ遠征等も、この時代に興味がある方にはたまらない話題だろう。

 欲を言えば、霍光の死で終わるのではなく、エピローグでも良いからその後の霍一族について触れて欲しかった。暗い話になってしまうけれども・・・・・・
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その他小説 | 2010/06/14(月) 22:17 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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830冊目 クリムゾンの迷宮
クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
(1999/04)
貴志 祐介

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評価:☆☆☆☆


 著者の本は『黒い家』に続き、2冊目。『黒い家』は同僚に教えてもらったもので、不死の怪物やら幽霊やら宇宙人といった、想像の産物を用いないホラーだった。化け物やお化けなんかより現実に生きる人間の怖さの方が上だと思っている私には、まさにぴったりの怖い小説だった。(高校生時代、コリン・ウィルソン『現代殺人百科』を読んで恐怖に震えた覚えがある)

 今作でもそれは変わらない。勿論、話を怖くするための仕掛けは幾つも張り巡らされているものの、基本的には生きた人間が怖い、という話になっている。

 主人公が一人で目を覚ましたのは見知らぬ土地だった。しかも、そこに来るまでの記憶も失われている。訝しがる主人公だが、同じような境遇の人々と遭遇し、情報を得ていく中で、これは熾烈なゼロサムゲームであると気付いていく。

 ゼロサムゲームとは、複数の人が相互に影響を与えながら進めるゲームのうち、一方の利益や勝利がゲームに参加する他のメンバーの損失や敗北につながるものである。悪意に満ちたゲームはどのように終わりを迎えるのか。

 上手いなあと思うのは、シーンの書き方。ゲームの舞台の雰囲気が伝わってくるようだったし、登場人物たちの行動についてもそう。怖くなってからは、もう一気に読まずにはいられなくなるような、そんな魅力がある。他の本も読んで見ようか、という気になった。


 以下、ネタバレ有りの話題は「続きを読む」で。

関連図書
黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)
(1998/12)
貴志 祐介

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現代殺人百科現代殺人百科
(2004/07)
コリン ウィルソンドナルド シーマン

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(私が読んだのは1988年版ですが、2004年に新装版が出ていたんですね。この手の本、最近は余りチェックしてなかったので知りませんでした)
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その他小説 | 2010/06/12(土) 21:06 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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829冊目 エイズ 死ぬ瞬間
エイズ 死ぬ瞬間エイズ 死ぬ瞬間
(1991/11)
エリザベス キューブラー・ロス

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評価:☆☆☆


 『死ぬ瞬間―死とその過程について』で名を馳せたE・キュブラー・ロスは、その後も死を目の前にした人々との触れ合いを続けていた。本書は、そのなかでもエイズで亡くなっていった方々とのことを書いたものである。

 本書が扱っているのは、エイズが世に知られるようになってから、まだそれほど時間が経っていない時期である。つまり、まだエイズがゲイと麻薬中毒者と血友病患者のものだった時代だ。

 特にゲイの病気としてフォーカスされてしまった不幸な始まりから、初期の患者たちは激しい差別に曝されてきた。その実態は本書で詳らかにされているが、入院はおろか、葬儀すら引き受けてくれる人が居ないというのは凄まじいものがある。

 隣人愛を説く教会すら、救いにならなかった。エイズは天が下した罰であると説教する宣教師が沢山いたというのだから、気分が暗くなる。

 僅かな救いは、ゲイコミュニティが示した同胞たちへの強力な支援だろう。仲間たちのためだけではなく、幅広くエイズを発症した人々を支援する姿には胸をうたれた。疫病によって人を差別することが、どれほど狭量で、問題に満ちた態度であるかを教えられたように思う。中でも、エイズに罹患した母親から出産時に感染してしまった幼い子供たちのホスピスへの反対運動には恐ろしいものが感じられてならなかった。

 こうした問題を突きつけて、エイズを社会に受容させてきた功績は大きいと思う。その究極の完成形は、恐らくエイズが完治可能になることだろう。その日が来ることを願って止まない。


 と、良いことも多いのだが、どうにも彼女の死生観が押し付けがましく感じられてならなかったのが残念。輪廻転生を信じているようで、別にそれを信じるのは構わないのだけれども、来世で救いが云々とされても困る。突然遠くない将来の死を突きつけられた当事者には切実な問題かもしれないが・・・・・・。それが無ければ、もっと高く評価していたと思うとやや残念である。



関連書籍:
死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)
(2001/01)
エリザベス キューブラー・ロス

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ノンフィクション | 2010/06/10(木) 23:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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828冊目 少年法―基本理念から改正問題まで
少年法―基本理念から改正問題まで (中公新書)少年法―基本理念から改正問題まで (中公新書)
(1999/09)
沢登 俊雄

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評価:☆☆☆


 未成年者の犯罪に甘いととかく言われる背景になっているのが、少年法である。凶悪な殺人事件を起こしても死刑にならない、というのが不条理さを感じさせる根底にあるのだろう。そしてその背景には、激増し、凶悪化し、低年齢化する少年犯罪についてのセンセーショナルな報道があるのは間違いない。

 こうしたイメージによって少年法は罰則の強化に動くことになったわけだが、ここでの問題は、少年犯罪は激増していない(むしろ凶悪犯罪は激減)、凶悪化もしていない、低年齢かもしていない、ということにある。本書でも、やや古い統計ながら、この点が丁寧に記述されている。

 凶悪事件に限って言えば、日本は件数も発生率も少ないのは間違いない。しかし、その一方で主要犯罪に占める少年の割合は、他国と比べて際立って高い、という。本書には1996年では以下の状況であることが示されている。

  日本  :49.2%(ここでは20歳未満、18歳未満は40%オーバー)
  アメリカ:30%
  イギリス:22%
  フランス:18%
  ドイツ :13%
  韓国  :7%

 日本の犯罪率を引き上げているのは、放置自転車の窃盗である。なんというか、凶悪化とか犯罪多発とかといったイメージからは程遠い。他国の状況は知らないのが、犯罪の態様は随分違うのではないかと思う。

 ともあれ、正しいスタート地点、つまり日本では少年による凶悪犯罪が少なく、悪化傾向も示していないことを踏まえた上で議論がされているため、冷静に少年法を取り巻く現状を理解できるのは嬉しい。

 ただ、少年法の理念を紹介しようとする余り、法思想が正しいという前提に立ちすぎている感が否めなかった。

 私の意見としては、たとえ凶悪犯罪は少なくても、凶悪化していなくても、低年齢化していなくても、被害者とりわけ遺族にとっては悲しみが癒えるわけは無い。である以上、許されざる犯罪を犯した少年には死刑を含む厳罰があっても問題がないと思うのである。

 また、少年の更生についてかなりの紙幅をとって説明しているのだが、こうした教育刑的な体制が、果たして本当に少年を更生させることに成功しているのかは説明されていない。理念があっても結果が現れていないなら手段が悪いと判断せざるを得ないだろう。なので、結果を踏まえなければ議論できないことが多いと思った。

 性格には遺伝の要因も少なからずあるわけだし、良い環境を与えて攻勢させれば良いんじゃないか、というのは余りにもナイーブ過ぎる意見ではないだろうか。

 本書は初版が1999年、つまり少年法が改正される前なので、情報自体はかなり古い。しかし、本書が説こうとしているのは、第一に少年法の理念であり、実際の運営であるため、改正後の現在であっても有益な視点を与えてくれている。罰則の強化や年齢の引き下げについて考えるためにも読んでおいて損はないと思う。
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ノンフィクション | 2010/06/07(月) 23:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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827冊目 老人が社会と戦争をはじめるとき 超高齢化社会をいかに生きるか
老人が社会と戦争をはじめるとき 超高齢化社会をいかに生きるか老人が社会と戦争をはじめるとき 超高齢化社会をいかに生きるか
(2005/09/28)
フランク・シルマッハー

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評価:☆☆☆☆


 日本だけではなく、先進国では猛烈な勢いで高年齢化が進んでいる。その結果、各国で間もなく到来する超高齢化社会に向けた議論が盛んに繰り広げられている。日本でも連日のように関連するニュースが報道されているのでご存知の方も多いだろう。

 中でも社会リソース(取り分け税金)をどう振り分けるかは極めて重要な課題になっている。老人人口が増えれば当然医療費は嵩む。ところが、社会保険を使おうにも、負担すべき世代が少なすぎるのである。4人に1人が老人という社会になれば必然的に訪れる破局だ。

 年金問題も医療費問題も、ひいては老人が相対的に多すぎることがその根幹にある。しかも、彼らは新しく何かを生むわけではない。特に次世代の労働人口改善には(励まれても困るが)。

 ではどうするか。社会に大きな変革が要求されるのは間違いない。その一つは、労働人口の増加策として、老人に引退を許さない、ということが挙げられる。というか、強制的な安楽死等といった手段を取れない以上、それしかないのだろう。

 本書によれば、老人は幾つかの領域で反応が悪くなるのは事実だとしても、能力低下は想像されるほどではないそうである。これは大きな救いの一歩になりうるだろう。

 ただ、同時に、社会には「老人は動きが悪く、目も耳も悪いうえに判断力も無い」といったステレオタイプな捉え方が広がっていることも指摘されている。これは若者に老人を侮蔑させるだけではなく、当の老人本人へも萎縮効果を生んでしまうので良くない、との指摘は頷ける。

 一方で、本書はドイツについて書かれているのだが、日本にも全く同じことが当てはまるので、こうした指摘については活かしていくことが望ましいだろう。超高齢化社会についても問題点が的確に纏められていると思った。

 一方で、では、今後の社会は具体的にどう進んでいくべきか、という点については触れられていないのが残念。
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ノンフィクション | 2010/06/04(金) 23:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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826冊目 図書館の死体
図書館の死体 (ハヤカワ・ミステリ文庫)図書館の死体 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2005/03/09)
ジェフ・アボット

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評価:☆☆☆☆☆


 アルツハイマーに侵された母の看病のため、故郷に戻って図書館長になったジョーダン・ポティートは、大変な厄介ごとに巻き込まれる。

 本人が有害だと思い込むありとあらゆる本にいちゃもんをつけては図書館から排除しようとする困ったおばちゃんベータ・ハーチャーといつもどおりに揉めてしまう。いつもと違ったのは、ベータが手を上げたこと。ジョーダンは殴られた腹いせに、ついつい「いっそのことあの世に送ってやりたい」と言ってしまったのである。

 ベータが図書館で殺されたのは、その夜のことだった。

 勿論、第一容疑者はジョーダンになってしまう。彼は嫌疑を晴らすことができるのか。

 困ったおばちゃんを含め、登場人物たちが等身大の人間と感じさせてくれるのがとても面白い。そして、それよりもプロットが面白い。図書館で発見された死体、凶器にまつわる謎、事件の全体像等が明かされていくと爽快感を覚えるほど。

 殺人が起こり、自分は警察に睨まれ、おまけに病気の母親を抱えて家庭にも問題がある。それなのに、時に諧謔を交えての軽妙な語り口が妙に心地よい。

 事件が全て解決した後の、最後のシーンはちょっと感動した。殺人事件の解決を主題とすれば、人と人との付き合いが横軸になっているとでも言おうか。欠点を抱えながら生きる、普通の人たちの物語としてとても楽しく読むことができた。
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推理小説 | 2010/06/02(水) 23:19 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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