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Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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BK1書評の鉄人31号。
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789冊目 となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)
(2007/05)
関根 眞一

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評価:☆☆☆☆


 西武百貨店にて3店舗のお客様相談室長を歴任された著者の経験から、クレーマーと相対するときに何が必要かを説いている。

 販売した商品に欠陥があったとき、もっとも早くその情報が入ってくるのがお客様相談室であるであろうから、そこには様々な苦情なり相談なりが寄せられることだろう。クレーマーはそれら普通の人びとの中に混じってやってくる。

 それにしても、よくこんな既知外がいるなぁ、と思わずにいられない。10年着たブラウスの生地が薄くなったから交換しろ?阿呆も休み休み言え。賞味期限が短い?んなもん黙って食え。賞味期限なんて安全率を見込んだ適当な数字に過ぎない。そんなのに騙されるな。明らかに機能がおかしい、味がおかしい、となって初めてクレームになるのだ。靴下に穴が開いたからってクレームなんてつけてる場合じゃないぞ。

 と、読みながらこちらの腹まで煮えくり返ってくるので、世のクレーム対応係りの大変さが思いやられた。

 驚くべきことに、これらのクレームに対して、著者を始めとするお客様相談室の方々が実に丁寧に対応されている。丁寧でありながら、決して無茶なクレームに唯々諾々と従いはしない。匙加減の絶妙さには本当に感心させられた。

 既知外と直接接しない立場からすれば、怖いもの見たさのストーリーを見るだけでも本書を楽しめるかもしれない。だが、絶対に引けないラインを設定し、相手に悪い印象を与えないようにしながらの交渉術は、普通の生活における会話でも役に立つことがあるのではないか。そういう立場から読んでも面白いのではないかと思った。
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ノンフィクション | 2010/02/28(日) 23:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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788冊目 危ないお仕事!
危ないお仕事! (新潮文庫)危ないお仕事! (新潮文庫)
(2006/05)
北尾 トロ

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評価:☆☆☆


 著者を知ったのは『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』。裁判傍聴に通い詰め、その魅力を語っているこの本はなかなかに面白かった。そこで手にしてみたのが本書。

 万引きバスターの話を聞いてみたり、超能力開発セミナーに潜入してみたり、探偵の浮気調査に同行させてもらったり、といった、中々身近には無い職業が紹介されているのは魅力的だった。

 特に、超能力セミナーやタイの日本人カモリ屋のものは、人から金を騙し取る人びとの怖さと言うか強かさと言うものを感じたものである。

 一方で危ないと言いながら、全然危なくない仕事も紹介されている。代表的なのは、リアルドール製作者のもの。月収100万円のメルマガライターも、その生活をするのにリスクはあっても危ないとは言い難い。なので、やや看板に偽り有り、といったところか。

 章の冒頭には本文に関連する1ページの漫画が載っているのだが、これがまた実に下手で、ちょっとだいぶ不安感を高めてしまう。おまけにオチも無ければウィットも無くて、あるだけ邪魔な存在だったのが残念。編集段階で止めて欲しかった・・・・・・。


関連図書:
裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
(2006/07)
北尾 トロ

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南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史
(2008/04/05)
高月 靖

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ノンフィクション | 2010/02/26(金) 23:34 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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787冊目 カラスはどれほど賢いか―都市鳥の適応戦略
カラスはどれほど賢いか―都市鳥の適応戦略 (中公文庫)カラスはどれほど賢いか―都市鳥の適応戦略 (中公文庫)
(2003/06)
唐沢 孝一

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評価:☆☆☆☆☆


 カラスは賢いとは良く言われることだ。曰く、人の顔を覚え、悪戯すると復讐される。曰く、罠のようにカラスを害そうとするものにはすぐに気がついてしまう。また、その賢さ以上に生ゴミを漁る害鳥としての印象も強い。

 ところが、一歩引いて考えてみると、我々は余りにもカラスについて知らないことに気づく。

 生ゴミを漁る以外の時間、カラスは何をしているのか。都会に住み着いているカラスはどんな種類なのか。夜はどこで寝ているのか。群れで行動するのか。望んでとは言えないにしても身近な生物だというのに。

 カラスに魅せられた著者が、カラスについて何が分かってきたのかを驚くべき生態を交えながら語っているのが本書。本書を読み進めるにつれ、印象よりもずっと頭が良く、興味の尽きない生き物だと思うようになった。

 人間との付き合い、都会に住むに当たっての適応もそうなのだが、とりわけ興味を引かれたのは、彼らの脳細胞のネットワーク密度は鳥類は愚か、人類をすら越えているというところ。本書でも紹介されている、カラスが遊びをするというのは、この脳の発達と関係があるのかと思いながら読んだ。

 カラスの生きる姿そのものも興味をそそられるのだが、本書の魅力を高めているのには、研究を進めるに当たっての苦労話が面白いことも忘れてはならないだろう。著者はカラスの研究で生活の糧を得ているのではなく、本業の勤めを持ちながら趣味として研究を進めている。それゆえの苦労もあれば、相手がどこへでも飛んでいってしまうが故の苦労もある。

 カラスのねぐらを探る際、顔を覚えられないようにと目深帽を被りながら深夜路上に出れば職質に逢う。とりわけカラスに発信機を付けようとして機動隊に警戒されたとのエピソードは、ついつい研究に一途な研究者を見舞った意外な展開のシーンが脳裏に浮かんでつい笑みが浮かんでしまった。

 カラスの姿にも研究者の姿にも面白さの感じられる、優れた本だと思う。カラスにはまだまだ分からないことが多いようなので、新たな知見が加わるのが楽しみである。生物は奥が深いと改めて思わされた。
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生物・遺伝・病原体 | 2010/02/24(水) 22:37 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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786冊目 国家と神とマルクス 「自由主義的保守主義者」かく語りき
国家と神とマルクス  「自由主義的保守主義者」かく語りき (角川文庫)国家と神とマルクス 「自由主義的保守主義者」かく語りき (角川文庫)
(2008/11/22)
佐藤 優

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評価:☆☆☆☆


 国家と神とマルクス。それぞれ結びつけるのが難しい。共産主義は神を否定し、国家も過渡的なものとして認めなかった。国家と神となれば、これも結びつきが弱い。というのも、宗教的な権威を政治権力と切り離したことが近代国家成立に不可欠だったからだ。

 ところが、著者にかかればこの3点が見事に繋がってくる。

 大学では神学を学び、外務省に入省してソ連に勤める間にソ連崩壊を目にした国家主義者。鈴木宗男事件に巻き込まれ、有罪が確定したのは記憶に新しいところだ。

 驚くほどの知識と教養を縦横に振るっての語りは、読んでいる者の知的興奮を引き起こしてやまない。

 本書に置いて、著者は自分が逮捕・拘留され、有罪に追い込まれたことを国家の生存本能、という。ホリエモンについても同様。その拘留期間、著者は驚くほどの本を読んだという。それも、学術書、歴史書を大量に。加えて、有り余る時間に思索を深めることで著者の見識は驚くほどの広さを持ったのではないだろうか。

 私は、哲学や思想は現実を正しく分析しているものではなく、そういう視点から見ようと思えばそういう分析もできるという程度のものだと思っている。なので、著者の分析にも多少の疑問を感じなくも無い。

 それなのに知的好奇心が刺激される。読み進めるのが楽しくなる。評論は世界を見る一つの切り口を与えてくれる。その見方が刺激的かどうかが重要だと思う。本書を手に取れば、世界の姿を今までと違う形で見ることができるようになるのではないだろうか。
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ノンフィクション | 2010/02/22(月) 23:19 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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785冊目 穴があったら、落っこちたい!
穴があったら、落っこちたい! (角川文庫)穴があったら、落っこちたい! (角川文庫)
(2003/11)
中村 うさぎ

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評価:☆☆☆


 ご存知、借金買物女王・中村うさぎのエッセイ。

 彼女の強さというか凄みは、自分を曝け出してしまうところ。誰だって自分のことを書くときには、タフで利口で公正で教養溢れたようにする。ダメで間抜けでだらしがないようには書かない。そのようなことを書く場合には、自虐の奥に隠れた本心、つまり自分は大した奴だ、という思いがある。

 中村うさぎにも勿論その心があるのだろう。が、彼女の場合、守ろうとする部分が極めて小さい。あるいは、守ろうとする部分が極めて小さいように錯覚させる才に溢れている。そ

 本書においては中村うさぎの色々な初体験の数々が記されているのだが、その内容たるや『怪傑ハリマオ』が初恋相手だったとか、初めての学校の思い出はトイレ(大)の流し方が分からず逃走したとか、ザ・タイガースのレコードを買いたいと思ったが当時からあった浪費癖によりお小遣いは貯められずにステレオでウルトラマンのソノシートばかり聴いていたとか、そんな話ばかり。

 もうどれも脱力しながら楽しく読んでいるのだが、読み終わったら不思議と元気になっているような気がするのである。単に笑いの効能なのかもしれないけれども。

 前半はこんな感じなのだが、後半は彼女の印象に残っている事件についてのものとなる。吉展ちゃん誘拐殺人事件(本件の解決には国語学者の金田一春彦が一役買っている)、三億円事件、連合赤軍に大久保清、更に三島由紀夫割腹事件等。

 私は彼女より一回り程年下なのだが、私自身が犯罪に興味を持って色々本を読んできたためか、知っている事件が多かった。なので、犯人を彼女がどう考えるかという視点は興味深く読んだのだが、面白さでは前半より落ちるのは間違いなく、そこが残念だった。やはり、ノンフィクション的な内容を書くのなら、もっと実証的なものの方が私の好みである。

 なんにしても、力を抜いて読める本なので、難しい本を読んで疲れた後や、本など読みたくない気分のときに読む本として優れていると思う。
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エッセイ | 2010/02/20(土) 23:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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784冊目 環境活動家のウソ八百
環境活動家のウソ八百 (新書y)環境活動家のウソ八百 (新書y)
(2008/08)
リッカルド カショーリアントニオ ガスパリ

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評価:☆☆☆☆


 二酸化炭素による地球温暖化の根拠が怪しげであることへは多くの指摘がなされている。本書は、その他の環境問題についても実に怪しいプロパガンダが行われていることを示し、その背後に潜む人々の胡散臭さに警鐘を鳴らしている。

 本書で指摘されている通り、例えばDDTの生物蓄積が問題視された結果、マラリアが猛威を振るうようになったことは忘れてはならない。先進国の一部の人間にガンが生じる可能性がゼロではないことが根拠になり、今や毎年のように何十万、何百万といった人びとがマラリアで死んでいる。健康を守るために毎年数百万の命を必要とするのは筋が通っているのだろうか。

 マラリアの感染地域の広がりを、地球温暖化に求める説もまた根拠が無い。なにせ、近代に至るまで、現在の先進国地域、つまり欧米や日本など世界各地でマラリアは根付いていた。有名どころでは、ローマを攻めようとした異民族が罹患するために”ローマの友”と呼ばれた疫病はマラリアだったと言われる。残念なことに、この友は厄介な敵でもあり、ローマ皇帝の幾人かは”ローマの友”の手によって死を迎えた。

 こうした指摘には耳を傾ける価値がある。

 一方で、著者の二人はバチカンの関係者であり、一連の言説がキリスト教というフィルターを介したものであることには注意が必要だろう。バース・コントロールや人口過剰説に執拗な攻撃を加えているのも、「産めよ増えよ地に満ちよ」の宗教だからという背景がある、ある種のイデオロギーと感じられる。

 加えて、論理の飛躍が感じられる点も少なくない。例えば、アマゾンの森林破壊について、毎年膨大な面積が失われているという主張に対し、比率としては小さいとした上で、植林面積の飛躍的な増大があるから問題ないとの批判を行っている。しかし、植林面積の比率が上がったとしても、失われる量がそれを遥かに上回るのであれば効果は限定的である。

 また、人類活動の影響で多くの動物種が絶滅の危機に晒されているという論へは、陸続と新たな種が発見されていることで反論するのだが、これは反論になっていない。最大の絶滅は人類誕生後ではなく三畳紀や白亜紀の大絶滅で起こったというのも、牽強付会に過ぎるだろう。

 少なからぬ問題を抱えているとは思うが、巻末に付された環境テロ団体グリーンピースの内幕情報など、価値ある情報もあるのでやや高めの評点をつけておく。


関連図書:
地球温暖化は止まらない地球温暖化は止まらない
(2008/02/29)
デニス・T・エイヴァリーS・フレッド・シンガー

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 こちらの方が遥かに冷静で客観的な議論をしているので、環境問題に興味がある方は是非。
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ノンフィクション | 2010/02/19(金) 23:11 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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783冊目 ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下)
ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下)    新潮文庫ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫
(2002/05)
塩野 七生

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評価:☆☆☆☆


 前巻に引き続き、ローマより先を進んでいたギリシアの情勢から話は始まる。ギリシアの先進性は驚くほどで、ローマがギリシアに学ぶこと大だっただろう、と容易に想像が付く。

 が、驚くべきは、ローマはギリシアをそのまま手本にするようなことは無かった。具体的には、ギリシアの、とりわけアテネで発達した直接民主制は取り入れていない。また、市民として認められる要件についても、ローマは実に寛大であった。深い根拠は無いが、ローマがはぐれ者によって建国されたことに関係があるような気がする。

 ギリシアと比較がなされることで、ローマの独自性が明確に示されている。何がローマを世界帝国にのし上げたのか。少なくとも建国初期の段階において見られるこの寛容さは重要な意味を持つのだろう。

 ローマ初期の最大のピンチが訪れる。貴族と平民の間で権力闘争が起こり、混乱する間にも近隣国との諍いは続く。そして前390年、ケルトがローマ市を攻略してしまう。ローマはどのようにして復興を遂げるのか。その模様は詳しく記されているのだが、危機にあっての団結力の強さは特筆されて然るべきだろう。

 版図を広げるローマが次に衝突するのは、南イタリアのギリシア殖民都市。ギリシア殖民都市側は、同時代における最大の戦術家・ピュロスを雇いローマと衝突する。本書で詳らかにされているこの戦いでもローマの特質がはっきり出ていると思うので、ローマに興味がある方は是非読んでみて欲しい。

 これでローマは南イタリアまでをも手中に収めることになる。次に見えてくるのは、海の世界となる。ローマがどう変質しながら覇権を握っていくか、続きが楽しみだ。
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その他小説 | 2010/02/17(水) 23:30 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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782冊目 こちら救命センター―病棟こぼれ話
こちら救命センター―病棟こぼれ話 (集英社文庫)こちら救命センター―病棟こぼれ話 (集英社文庫)
(1992/08)
浜辺 祐一

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評価:☆☆☆☆


 救命センターに勤務する著者が、『ナースコール』誌に載せていたエッセイ。

 エッセイは、書き手の視点に共感できるかどうかが勝負になると思っている。で、私にはとっても合っていたことをまずは言わないといけないだろう。

 暴走族で、自爆した患者が来たと言われれば「もういい加減にしてくれってえの!」と嘆き、二階から飛び降りたという自殺未遂患者には「何だよ、狂言かい。二階から飛び降りたぐらいで死ねるわけがないじゃねえか。せいぜい足の骨を折るのが関の山だぜ」と、綺麗ごとに走らず一般人が抱くのと同じような本音をガンガン出してくれる。

 かと思えば、ガンによる疼痛を苦に自殺未遂を図った老人を救命した後、正しいことをしたとは思えないと苦悩し、アル中で問題ばかり起こす人を医療従事者側が見て”正しい姿”に矯正することなんて出来ないと割り切って、行動などを強制しない。

 痛ましい死を前にしてもジョークを口走ってしまうのはそうでもしないと居られないことも紹介されているが、救急で常に死を見ている人はきっとそうなのだろうと思う。小説でも死体安置所や解剖の最中にジョークを言う医師が出てくるのは、そうせざるを得ないのが人間と言うものなのかもしれない。

 胡散臭さとは無縁なのは、こうしたざっくばらんな態度に起因するのだろう。読んでいて、やっぱりそう思うんだなあ、と思わされることがしばしばあった。

 こうした、その道のプロの、率直な意見が聞けるチャンスなど滅多にないわけで、読んでいて楽しかった。続刊もあるようなので、そのうち手を出してみたい。
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エッセイ | 2010/02/14(日) 23:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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781冊目 呉・三国志 長江燃ゆ〈1〉孫堅の巻
呉・三国志 長江燃ゆ〈1〉孫堅の巻 (集英社文庫)呉・三国志 長江燃ゆ〈1〉孫堅の巻 (集英社文庫)
(2003/02)
伴野 朗

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評価:☆☆☆☆


 本書は、なんとも珍しいことに呉を中心に据えた三国志物語である。従来の小説で劉備が主人公だったのは、なんといっても彼が対曹操の最前線に居続けたために、年代順に追いかけるのが楽だから、である。彼の死後には孔明を主人公になるが、これも魏・蜀の争いと、そのバックボーンを為す蜀・呉の同盟を両方扱うのに都合がよいためである。

 問題は、呉である。呉は長江以南にあって、中原の争いにはほとんど参加していない。特に、後漢末トップクラスの戦術家・孫堅が横死してしまった後は、赤壁まで中央の争いに関与できなかった。

 そんな呉がメインを張るのだから、展開が楽しみになるのも不思議は無いだろう。

 第一巻では、孫堅の誕生から、黄巾族相手の奮戦、董卓戦での目の覚めるような活躍を経て、袁術旗下にあって足場を固めていながら劉表の部将である黄祖との戦いで急逝するまでを描いている。

 創作キャラクターの配置も上手い。彼らの活躍により、著者が考える三国時代の姿は幅と深みを持っていると感じた。こうした、正史の隙間を埋める作業は賛否両論あるだろうが、本書が歴史学を扱うものではなく小説である以上、こうして成功しているのを拒否すべきではないと思う。

 袁術に吸収されていた孫堅軍を孫策が率いて揚州に地盤を確立するあたりの破竹の活躍、曹操に吸収されかかった赤壁の戦いといった、血湧き肉踊る戦いをどう書くか、魯粛以降の沈黙が長い時代をどう表現するか、今後が楽しみである。


 それにしても、この人の文体、どうしても好きになれないなあ・・・・・・。
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その他小説 | 2010/02/10(水) 23:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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780冊目 日本海軍の興亡
日本海軍の興亡(愛蔵版)日本海軍の興亡(愛蔵版)
(2008/11/26)
半藤 一利

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評価:☆☆☆


 勝海舟らの努力によって種を蒔かれ、西郷従道や山本権兵衛らによって雄飛した日本海軍は、1905年、日本海海戦によってロシア艦隊を壊滅させることでその頂点を迎える。だが、その40年後には、日本から海の守り手は喪われていた。本書は、タイトルどおりに日本海軍の誕生から太平洋戦争によって壊滅するまでを、人物中心に描き出している。

 著者は相当に海軍のファンらしく、熱い思いが溢れてくるかのようだ。従って、海軍がアメリカを仮想敵国とし、戦争に向かって突き進んでいく流れからは悲痛な叫びが込められているように感じられてならない。予算を確保するためにアメリカを仮想敵国とするのに理があったものが、いつの間にか現実の仮想敵国として確定されていたという指摘には悲劇を感じる。

 私としても、アメリカとは戦争できないことを冷厳に見抜いてた人びとが組織から排除されていき、精神論が支配的になってしまうところには嘆かわしい思いをせずには居られなかった。日本海軍が犯した失敗から、少なくとも海自には学んで欲しい点が沢山ある。

 比較的早くから、陸軍=悪玉、海軍=善玉という世に溢れたイメージが現実どおりではないことを指摘していた功績は高いだろう。一方、本書はいくつかの雑誌に掲載されたものを寄せ集めているので、内容が重複しているところが多いのはマイナスポイント。また、幾人かの人物に焦点を当てているが、海軍内の対立には目を向けさせてくれるメリットはあるが全体の流れは掴みにくくしている観があるのは否めないのがちょっと残念だった。
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太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2010/02/06(土) 22:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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779冊目 ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)
ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)    新潮文庫ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 新潮文庫
(2002/05)
塩野 七生

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評価:☆☆☆☆


 遂に手を出してしまった。本シリーズ、知ったのはもう遥か昔、大学生の時代である。友人が刊行されるたびに買うのを、俺は続刊が出るまで一年も待つのは嫌だから完結するまで待つ、と言っていたものだ。

 1巻ではまず、ローマ建国の神話から始まる。木馬作戦により滅亡したトロイの生き残りから、ロムルスとレムスという双子が出る。このうちの、ロムルスによってローマは建国された。貴種流離譚、双子の相克と、神話要素に満ち溢れているので、巷間伝えられる話はロムルスに仮託された複数の英雄の物語なのだろう。

 中国の黄帝、日本の神武、アメリカのワシントンの桜の木伝説に見られる、事実ではないが民族にとって重要な神話なのだ。

 本書で扱うのは、ロムルスから7代目の王を経て共和制に移行するまでのローマの歴史と、ローマと関係の深いギリシアの同時代史である。読んで驚くのは、建国から続く困難な時代に、名君が次々と立ったこと。これによりローマは後に雄飛するのだから、特筆すべきものであるだろう。

 とはいえ、まだまだローマは小国である。ギリシアの都市国家のように、まだひとつの都市の物語でしかない。だが、その性格のユニークさは類を見ないように思う。戦いで破った相手を、ローマに連れてきては自国民に取り込んでいったという点である。ギリシア文明が奴隷に支えられていたことを考えれば、その異色さが分かると思う。

 こうした、初期ローマの持った特色を余すところ無く描き出している。その表現力はさすがというべきだろう。次の巻以降も読むのが楽しみである。
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その他歴史 | 2010/02/04(木) 23:25 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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778冊目 UMAハンター馬子―完全版〈1〉
UMAハンター馬子―完全版〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)UMAハンター馬子―完全版〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
(2005/01)
田中 啓文

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評価:☆☆☆


 空飛ぶ未確認物体がUFOなら、未確認動物はUMA(Unidentified Mysterious Animal)である。ネッシーツチノコイエティと言った、弩級に有名なUMAについては名前を耳にしたことがある方も多いだろう。人魚や河童、天狗なども仲間に入れても良いかもしれない。

 UMAにはやはりロマンがある。太古の昔に絶滅した生物が秘境でひっそり生き残っていた、あるいは人の手が及ばない魔境に知的生物が棲む、とはなんとも魅力をそそられる。ヴェルヌは地底人との戦いを、ホームズの生みの親コナン・ドイルは南米の奥地に恐竜が生き残っていた物語を書き、ラヴクラフトは太古に訪れた宇宙生物が南極の山深くに潜んでいたことを暴いた。

 ことほどさように、人びとは怪異が好きなのである。そんな怪異を愛するものの中には、下品で太ったおばはんが居てもおかしくない。本書の主人公・蘇我家馬子は、UMA を探しては日本中を徘徊する、超弩級に迷惑な大阪のおばはんである。

 おんびき祭文の語り部(それもかなりの腕前らしい)の馬子は、弟子イルカを引き連れて迷惑千万な放浪を今日も重ねる。ネッシー、ツチノコ、雪男らを訪ねて。

 それぞれの話の中で、該当するUMAについてもかなりマニアックなまとめがなされているのが魅力で、この手のネタが大好きな人の琴線に触れてくる。オチはどれも好みではないのにページを捲るのが楽しみ、という妙な楽しみ方をしてしまった。次なるUMA探索はどうなるか、また、謎の黒服集団との確執はどうなるか、先が楽しみである。
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その他小説 | 2010/02/02(火) 23:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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