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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
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751冊目 交換殺人には向かない夜
交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス)交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス)
(2005/09/26)
東川 篤哉

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評価:☆☆☆☆


 探偵鵜飼の下へやってきた依頼人から頼まれたのは、ごくありきたりのもの。即ち、夫が浮気をしていると思われるので、調査をして欲しいというのである。依頼人が夫の浮気相手と疑っているのは、親戚の女性。就職活動で居候をしながら、夫と通じているのではないか、というのだ。

 外泊しなければならない用事があるのだが、もし浮気をしているならその日に何かが起こるはず。そう睨んだ彼女は、鵜飼に浮気現場を確認してもらえないかとお願いに来たのだった。

 相棒(?)の朱美と一緒に捜査をはじめる鵜飼。一方、鵜飼の助手である流平は、前の事件で知り合った少女・さくらと共にさくらの友人を訪ねていた。

 なんともありふれた依頼に思われた仕事であるが、奇妙なことが続けざまに起こり、そして遂には殺人事件に結びついてしまう。鵜飼・朱美グループと流平・さくらグループを交互に舞台としながら、交換殺人の謎解きが行われていく。

 叙述トリックが仕掛けられているのだが、それはきちんと伏線で読者が見破れるようになっているあたり、正統的なミステリな感じで個人的なツボだった。終盤で、ばら撒かれていた伏線が一挙に回収される様は壮観。読み終わって、こりゃあ確かに交換殺人には向いてない夜だわ、と納得してしまったのだった。
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推理小説 | 2009/11/27(金) 23:54 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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750冊目 史記の風景
史記の風景 (新潮文庫)史記の風景 (新潮文庫)
(2000/04)
宮城谷 昌光

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評価:☆☆☆☆


 著者は重子や介子推、最近では三国志など、中国史に基づいた小説を多く著している。中国史を好きな方はよくご存知だろう。その著者が、産経新聞に連載した史記についての話をまとめたものが本書。

 まず読んで驚くのは、著者の圧倒的な勉強量だろう。金文や甲骨文にまで踏み入って、広く知識を漁っている。その努力には感服せざるを得ない。こうした広い勉強の中から小説が生み出されているのかと思うと、本当に圧倒される。

 さて、肝心の内容を。

 元々が新聞の一コーナーであったことから、一つ一つの話は短い。その短い中に、史記を深く読み込むと見えてくる意外な話が盛り込まれていて、驚きの連続がある。司馬遷の取捨選択もあれば、元にした文書の混乱など、色々な原因があるのだろう。その謎を正面から取り上げ、時に推測も交えながら読み解いていくのは推理小説のような面白さもある。

 史記の深さと楽しさを改めて教えてくれる良書。
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中国史 | 2009/11/25(水) 23:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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749冊目 黄金のビザンティン帝国―文明の十字路の1100年
黄金のビザンティン帝国―文明の十字路の1100年 (「知の再発見」双書)黄金のビザンティン帝国―文明の十字路の1100年 (「知の再発見」双書)
(1993/06)
ミシェル カプラン

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評価:☆☆☆


 ビザンティン帝国、またの名を東ローマ帝国。ローマ帝国の正式な後継者である。

 現代社会においてヨーロッパの東側が共産化したために没落したため、それを過去に投影して分裂したローマ帝国も西こそ主流のように思われることもある。しかし、実際に栄えたのは東ローマ帝国なのである。

 本書では東ローマ帝国の首都・コンスタンティノープル(現イスタンブール)が建国されてから、東西の分裂を経てオスマン帝国によって滅ぼされるまでの間に帝国が辿った道筋を簡略に紹介している。

 簡略になっているのは、ほんの厚みに対して図版が非常に多いため。ふんだんにカラーページが用いられ、発掘品や美術品をこれでもかと紹介してくれているので、歴史的・文化的な背景を感じることができる。画像の持つ力はやはり大きい。

 東ローマ帝国について本書一冊で大まかな姿を眺めることができる。入門書として優れていると思う。

 このシリーズ、図版が多くて結構好き。ページを捲るだけで楽しい。また面白そうなものを探してみよう。


関連図書:

コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)
(1991/04)
塩野 七生

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その他歴史 | 2009/11/22(日) 13:18 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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748冊目 外交敗戦―130億ドルは砂に消えた
外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)
(2006/06)
手嶋 龍一

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評価:☆☆☆☆☆


 フセインが電撃の如くにクウェートを占領したことに端を発する湾岸戦争。知っての通り、日本は総額130億ドルもの国家予算を投じた。

 先進諸国中、唯一増税に踏み切ってまで実施したこの資金援助は、しかし冷笑しか招かなかった。これも広く知られているように、戦後にクウェートが感謝を捧げた国のリストから日本は漏れていたし、資金援助をした最大の相手国であるアメリカともむしろ距離感の遠さが感じられるようになったほどだった。

 なぜこのようなことになったのか。本書は資金援助がなされるまでの流れを丁寧に追いかけることで、答えを見出している。

 理念が無く後手に回る外交、予算配分権を握る大蔵省による二元外交。これらがどれほど湾岸での対応を誤らせたかを克明に描く重厚なノンフィクション。非常に冷静な筆遣いで当時を蘇らせることに成功している。

 湾岸戦争が余りにもアメリカ側のワンサイドゲームだったことから誤解しがちだが、当初はフセインがサウジアラビアを席巻する脅威が現実のものだったこと。イランの動向が焦眉の問題だったときに日本のインテリジェンスが大きな役割を果たしたこと。それらが明確にされているのは価値が高い。

 現在もきしみをたてている日米同盟のあり方を含めた日本の外交や、国際問題への取り組み方など、示唆する内容の多い本だった。この重みを十分に受け取る人が多いと良いのだが、と思わずに居られない。
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ノンフィクション | 2009/11/18(水) 23:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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747冊目 ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー
ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー (光文社文庫)ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー (光文社文庫)
(2009/08/06)
北森 鴻

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評価:☆☆☆


 裏(マイナー)京都の大悲閣千光寺に、元裏世界の住人である有馬次郎が足を洗って寺男として住み着いている。この知られざる名刹に珍問を持ち込むのは自称”社会部のエース記者”折原けいとスチャラカ作家ムンちゃん。

 トリックだけは思いついたものの、残りがさっぱり浮かんでこないので考えてくれなどと、およそ作家としてダメダメなことを言ってくる「狐狸夢」、名は体をあらわすを地で行くデブ巨漢、フリーライターの横田太が死体で発見される、表題作の「ぶぶ漬け伝説の謎」など、全6編の短編集。

 いずれも京都ならではの文化と風習を織り込んでいるので、なかなかに雅な雰囲気がある。

 それにしても、作中で効果的にご馳走が使われているので食欲が刺激されてならない。作者の好みなのだろうか、日本酒とそれによく合う肴が随所に出てくる。秋の夜長に、あるいは冬のコタツで、お猪口を傾けながら読むのが良いかも。
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推理小説 | 2009/11/14(土) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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746冊目 それからの三国志
それからの三国志それからの三国志
(2009/06/01)
内田 重久

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評価:☆☆☆☆


 ”それから”の三国志。このタイトルは本書の内容を端的に言い表している。なにが”それ”に当たるのかというと、諸葛亮の死である。

 秋風の吹く五丈原での諸葛亮の陣没は、確かに三国時代の一つのターニングポイントではある。しかし、234年の諸葛亮の死の後も三国鼎立は続く。蜀滅亡は263年、魏滅亡は265年、呉滅亡は280年。約50年ほど、三国志の時代が続いてく。それなのに、巷で話題になるのは五丈原に星が墜ちたその時までで、後はとって付けたおまけみたいな扱いである。

 血湧き肉踊るような、豪傑猛将の活躍は確かに無い。それでも、各々の国に仕える文官武官は国を盛り立てようと苦心していた。本書が焦点を当てるのは、諸葛亮の遺志を継ぎ、中原回復を目指す蜀将・姜維である。読者は姜維を通し、蜀の滅亡と、その直後の成都混乱の模様を目の当たりにすることになる。

 元々が姜維について書こうとしたというだけのことはあり、呉の事情には余り触れられていない。例えば、孫権の後継者を巡る争いである二宮の変は無視されている。呉政権の性格を物語る事件なだけに、触れられていないのは惜しい。

 加えて、著者が小説家ではないことから、構成や見せ方に、多少の疑問がないわけではない。私としては、著者の主観を述べたところはきちんと主観であると明記しているのは好感を持つ。しかしながら、それがために物語が脱線してしまい、ストーリーに引き込まれる機会が減っているのが実に残念。
 
 諸葛亮死後の流れについては本書一冊で抑えることができる。魏の文化、司馬氏のクーデターなど、広く読まれている吉川栄治や横山光輝などの三国志では触れられていないことが詳細に書かれているのは魅力が大きい。

 上記のとおり、満点の小説とは言えないと思う。それでも諸葛亮亡き後の歴史を上手くまとめ、文化面からも考察を加えて三国末期の歴史を蘇らせたことの価値は非常に高いのではないだろうか。三国志ファンなら読んで損することはないだろう。
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中国史 | 2009/11/12(木) 23:40 | Trackback:(0) | Comments:(4)

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745冊目 おまえが若者を語るな!
おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)
(2008/09/10)
後藤 和智

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評価:☆☆☆


 若者論は、常に年寄りから若者への侮蔑の念からなっている。太古、メソポタミアからも最近の若者はなっとらん、という落書きが見つかる通り、社会は常に若者を嫌っている。

 その一例として、日本においては明らかに減少している未成年者の犯罪が、なぜか増加と報じられる。何故か。新聞を読む層=年寄りに迎合するにはそれしかないからだ。マスメディアだって平気で嘘をばら撒く。評論については述べるまでもなかろう。

 本書はそんな巷に流布する若者論をばっさりと切り捨てる。そりゃあもう斬って斬って斬捨てる。その斬りっぷりは小気味よくなるのは否定しない。

 ただ、批判対象の文章を全て読んでいない読者には、著者が的確な批判をしているのか、片言隻句を取り上げて非難しているのか区別がつきづらいのが難点である。なので、評価はどうしても辛くなる。読んで楽しくなるわけでもないし。


 思うのだが、若者論というものの無理は、若者にも多様なタイプがあることを無視して、一つのタイプについて批判なり称揚なりをするために生じるのだろう。例えば、酒鬼薔薇事件の際に、多くの論者が「今の若者はおかしい」といった類の言説を垂れ流したが、残念ながら未成年者による残虐な殺人事件は過去も発生していた。そして、今後も発生する。それは、サイコパスは一定の割合で必ず生じるからだ。

 なのに、サイコパスの一例をもって、若者全体がおかしいなどというのはそもそもおかしい。論理として破綻している。でも、その程度のことを指摘できる能力を持つ人は少ない。昔、1950年代の方が今より3~4倍も未成年者の殺人が起こっていたじゃないか、と正しい指摘ができる程度の、物事を論じるうえで最低限必要な知識を持つ者も少ない。

 とすれば、嘆くべきは若者論の余りの低レベルさではなく、そもそも評論というものに携わる人の質の低さなのではないか。私にはそう思われてならなかった。ただ、本書の批判によって、質の低い若者論提唱者が淘汰されるのであればうれしい。香山リカとか。
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評論 | 2009/11/10(火) 23:48 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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744冊目 呆然!ニッポン大使館―外務省医務官の泣き笑い駐在記
呆然!ニッポン大使館―外務省医務官の泣き笑い駐在記 (徳間文庫)呆然!ニッポン大使館―外務省医務官の泣き笑い駐在記 (徳間文庫)
(2002/07)
久家 義之

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評価:☆☆☆


 サウジアラビア、オーストリア、パプアニューギニアの大使館で医務官として活躍した著者が、そこで見た外務省の呆れた実態を紹介している本。

 出世が無くなったと見るや、公金横領に邁進する大使、業務をひたすら面倒にするためだけに居るとしか思えない事務官、些細なことでいじましい権力合戦を繰り広げる夫人、etc…。どれを読んでも、最初は笑ってしまうが、噴飯物であることにすぐ思い至り呆然となる。何せ、彼らの無駄は全て我々の税金で賄われているのだから。

 本書が出版されるきっかけになったのは、田中真紀子が外相を務めたときのゴタゴタ(というか、誰だよ、こんな既知外に重要な職務任せたの)、鈴木宗男失脚やら外務省機密費流用事件やらで外務省が注目されたことだ。

 外務省はネタになる、と踏んだ出版側が、医者として外務省以外の経験も持ち、医務官として外務省の社会を眺めた経験も持つ著者に白羽の矢を立てたのだろう。

 実際に公金横領に励む外交官や無能で威張るだけしか能のない者など、問題のある外交官は少なくないと思う。また、問題のある外交官を弾くチェック機構は確かに必要だと思う。こうした現実を白日の下に晒したことに、一定の価値を認めるべきだろう。

 しかし、本書はかなり一方的なため、まともに仕事をしている外交官など居ないような錯覚に陥ってしまう。それは、本書の性格が外務省のダメなところを紹介するという体裁を取っているための弊害にもなっていると思う。機密費についても、あたかも全てが無駄であるかのような表現があるが、581冊目で紹介した『自壊する帝国』などで見られるとおり、適切な使い方をされている機密費はある。

 また、ほとんどの時間を新聞を読むのに費やす人が居る、と非難しているが、これも的外れ。情報の90%以上は公開されている、つまりは新聞やテレビで明かされているものから得るというのが鉄則。なので、彼らが新聞を読むのは当然の業務なのだ。こういった、著者自身の不見識も見られるため、高く評価することはできない。

 むしろ、パプアニューギニアで水木しげると出会ったことなどの体験記の方がずっと面白い。自分が体験した中から出てくる、援助の効率化などの訴えは切実なものがある。一歩引いたところで楽しむのが正解だろう。


関連図書
自壊する帝国 (新潮文庫)自壊する帝国 (新潮文庫)
(2008/10/28)
佐藤 優

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体験記 | 2009/11/08(日) 22:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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743冊目 太陽に灼かれて―難病ポルフィリン症を生き抜く
太陽に灼かれて―難病ポルフィリン症を生き抜く太陽に灼かれて―難病ポルフィリン症を生き抜く
(1998/03)
タミー エバンズ

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評価:☆☆☆☆


 ポルフィリン症という難病がある。酵素異常により、ヘムの前駆体が蓄積されることで発症する病気であり、太陽光線への過敏が症状であり、日光に暴露した皮膚に湿疹が発生する。治療法は無く、日光を避けることと対症療法しかない。

 この余り知られていない病気は、知られていないが故に患者に悲劇をもたらして来た。何が原因か分からないために日光に当たり、苦しい症状を耐えるしかない人びとが大勢いる。

 著者自身も遺伝性のポルフィリン症を抱えている。子供の頃から絶え間なく現れる湿疹、原因不明のため治療法も見つからずにただひたすら苦しみに耐えてきたという。本書で詳らかにされるその症状の強烈さには、こちらの顔まで引きつりそうなものがある。

 不幸な結婚生活を送った末に幼い子供4を抱え、なんとか大学に入れば指導教官から心無い言葉を浴びせられる。そんな彼女が力をもつようになるのは、素敵な伴侶と巡りあってからである。彼女の苦しみに寄り添い、子供たちを愛する伴侶に恵まれた彼女を、しかし更なる不幸が襲う。長女が、ポルフィリン症を発症してしまうのである。

 ここから彼女の戦いが始まる。ポルフィリン症に苦しんできた過去を明らかにし、治療法の研究すらされていない原状を打破しようとするのである。

 前半がポルフィリン症に苦しんだ個人の記録であるとするなら、後半は難病ポルフィリン症の存在を社会に知らしめ、理解を求めようとする戦いの記録である。本書の価値は、勿論前半の、ポルフィリン症を紹介する所にもあるのだろうが、主には後半に集中している。前半だけなら不幸な病気の紹介に過ぎないのが、後半によって難病を捻じ伏せる戦いへ昇華されている。

 本書の執筆も、病気の理解を求めるのが動機なのだろう。こうした難病と向き合い、それを広く知らしめる。その努力が報われる日が来ることを願って止まない。まずは、私自身、この病気の知識を忘れないようにしたいと思う。
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ノンフィクション | 2009/11/06(金) 23:10 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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742冊目 試験に出るパズル―千葉千波の事件日記
試験に敗けない密室―千葉千波の事件日記 (講談社文庫)試験に敗けない密室―千葉千波の事件日記 (講談社文庫)
(2005/09)
高田 崇史

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評価:☆☆☆


 696冊目で紹介した、千葉千波くんが活躍するシリーズ。主人公の八丁堀と千波くんは、八丁堀の悪友と一緒に千波くんの親戚の家へ遊びに向かう。

 ところが生憎のトラブルで目的地には辿り着けず、地方の宿に泊まる。ところが、更なるトラブルが。雨のために土砂崩れが発生し、鉄道は止まるわ山道は封鎖されるわで、主人公たちは鄙びた寒村に閉じ込められた格好になってしまうのだ。

 宿に閉じこもっていても仕方が無いから、というので、名跡巡りをするうちに遭遇する事件の数々。洞窟に閉じ込められたり、宿の女将が密室で縛られているのが見つかったり、美女が部屋から消えてしまったり。いずれも密室がらみ。なぜこのようなことが起こってしまったのか。その謎を、千波くんは解くことができるのか?(八丁堀は役立たずなので最初から頭数に入りません)

 密室がどれも上手いパズルになっていて、理詰めで考えれば解けるのが面白い。ただ、八丁堀がどうにもダメ人間で雰囲気を盛り下げてしまうのがマイナス。ワトソンとかヘイスティングスを期待するのは無理だろうけど、もうちょっと魅力的でも良いのではないかなあ。

 それにしてもやっぱり、登場人物たちが揃って薀蓄を垂れ流そうとするのは気持ち悪いなあ。最近の作家の特徴か?「俺はこんなに物知りなんだぜー。すげーだろ!」という雰囲気がぷんぷんして嫌らしくて仕方が無い。それがあるから評価が下がる、という点があると思う。


関連図書
試験に出るパズル―千葉千波の事件日記 (講談社文庫)試験に出るパズル―千葉千波の事件日記 (講談社文庫)
(2004/08)
高田 崇史

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推理小説 | 2009/11/04(水) 22:29 | Trackback:(1) | Comments:(1)

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741冊目 「空気」の研究
「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
(1983/01)
山本 七平

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評価:☆☆☆☆


 空気とはまことに不可思議な存在である。なにせ、これが支配するところ、合理的な判断は退けられ、空気が決定権を握ってしまうのだ。

 以前から私は、この「空気」という言葉が少々気にはなっていた。そして気になり出すと、この言葉は一つの”絶対の権威”の如くに至る所に顔を出して、驚くべき力を振るっているのに気づく。「ああいく決定になったことに非難はあるが、当時の議会の空気では・・・・・・」「議場のあのときの空気からいって・・・・・・」「あのころの社会全般の空気を知らずに批判されても・・・・・・」「その場の空気も知らずに偉そうなことを言うな」「その場の空気は私が予想したものと全く違っていた」等々々、至る所で人びとは、何かの最終決定者は「人でなく空気」である、と言っている。


 いささか長めに引用したが、なにやらどこかで聞いたことがあるような言葉のオンパレードではないだろうか。「空気」の支配の例として著者が挙げるのは、戦艦大和の特攻である。援護する航空戦力を欠いた戦艦が無事に戦闘地域に辿り着くなど、大和出撃の決定に携わったうち誰一人として信じていなかった。しかし大和は特攻した。その結果、誰もが予想したとおりに大和は米海軍の攻撃を受け、2700人余の戦死者と共に海底に沈んだ。なぜ、この無駄な特攻が行われたのか。そこでも出てくるのが、やはり「空気」なのである。(wikipedhia-大和参照)

 著者はこの「空気」が支配するということと、その結果何が起こるのかを辛辣に述べている。そして、なぜ日本では「空気」による支配がかくも容易に起こってしまうのか、そこに切り込んでいる。つまり、明治時代、西洋文化を取り入れる中で表面的な合理主義だけを取り入れ、背後に儒教的な思想体系を残したからではないか、というのだ。

 西洋では良くも悪くもキリスト教という思想的根幹がある。その根幹から派生する一つとして合理主義があるので、文化的に衝突も無く、自分の意見を貫くことができるのではないかというのが著者の指摘である。それに賛同するしないは別として、「空気」の奥に切り込むその姿勢は高く評価されているのも当然だろう。

 ただ、例えばイタイイタイ病の原因がカドミウムである、ということも「空気」支配の一つとしている点などは先走りしすぎているように思われてならなかった。(イタイイタイ病の化学的・生理学的な原因追求は未だなされていないとは言うが、疫学的調査によりこの関連は示されている)

 それよりも、同著者の『日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条』に繋がる、日本軍がなぜ敗れたのか、との問いが根底にあるように思えてならない。日常のちょっとした失敗であれば、”「空気」に流された”で済むかも知れないが、大きな判断で空気の支配を許してはならないのだろう。KY(空気が読めない)などという略語が流行ったことを思えば、まだまだその道は遠いのかもしれない。


関連図書
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)
(2004/03/10)
山本 七平

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未分類 | 2009/11/03(火) 13:38 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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740冊目 心にナイフをしのばせて
心にナイフをしのばせて (文春文庫)心にナイフをしのばせて (文春文庫)
(2009/04/10)
奥野 修司

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評価:☆☆


 神戸連続児童殺傷事件、あの酒鬼薔薇の名で行われた一連の事件で、まず驚かされたことは、14歳の少年が、被害者の首を切り取るという残虐な殺人事件を犯したことだった。

 酒鬼薔薇事件でもう一つ驚かされたのが、犯人に対する余りといえば余りの厚遇と、それに反比例すかの如き、愕然とするほどの被害者無視の行政である。いや、少年法のあり方、というべきか。

 酒鬼薔薇は、もう既に出所している。2004年に少年院を仮退院、2005年に本退院していることから考えれば、少年院への入院がたったの7年。二人を殺害し、他にも三人を襲撃したことは、たったこれだけで償えてしまうことだとでも言うのか。

 他に類例が無く、対応する法律が考えられていなかった、というなら分からないでもない。しかし、酒鬼薔薇事件より28年も前に、同じような事件があった。高校生首切り殺人事件がそれである。本書はこの事件の被害者側に立ち、被害者の一家が以後どれほど艱難辛苦を舐めたかをまとめている。

 家族を奪われた人々の苦しみや重みは計り知れない。実際、母親は倒れて寝込み、妹は感情を表せなくなった、という。父親がそれを必死に支えていたようだ。

 ただ、どうにも、遺族にも感情移入できない雰囲気があった。おそらく、著者がずっぽりと被害者側に浸っているので読者として一歩退いてしまうのが原因ではないだろうか。確かに遺族にしてはやり切れない思いをするのは分かる。でも、ノンフィクションなら、それを上手く表現しつつ、しかし一歩離れたところから文章を綴らないといけないのではないだろうか。

 本書のラスト近くになって、加害者が弁護士として活躍していることが明かされる。被害者遺族の苦しみに対比されるように持ってこられるこの事実が、本書を一層重苦しくしている。この事例は、犯人の更生としてもとりあげられることもあったようだ。しかし、本書からはその雰囲気は伺われなかった。

 いや、本人が真摯に反省して、遺族もそれを受け入れて、というのであれば更生も信じられないわけではない。しかし、いじめが背景にあったとしても、遺族への謝罪は無し、裁判の和解で決められた賠償金は払わない、では更生と思われなくても仕方が無いだろう。

 「(略)するとA君は、
『少しぐらいなら貸すよ、印鑑証明と実印を用意してくれ、五十万ぐらいなら準備できる。今は忙しいから一週間後に店に持っていくよ』
 そうまくしたてて、電話を切ってしまったんです」


 少年法の目指す更生って、なんなんだろう。そう思わずには居られなかった。


 なお、本書については批判も少なくないようで、少年犯罪データベースでもサレジオ首切り事件精神鑑定書のエントリで取り上げられている。こちらも是非参照して欲しい。
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ノンフィクション | 2009/11/02(月) 23:37 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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