ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫) (2006/03/17) 高野 秀行 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
ミャンマーなのに柳生?なんだそりゃあ???そんな当然の疑問も、著者名を見れば氷解する。高野さんかあ。早稲田大学探検部でコンゴまで怪獣探しに行ったり、トルコまでやっぱり怪獣探しに行ったりする高野さん。ミャンマーでは何をしでかしてくれるのか。
というわけで、猛烈な興味が沸いてくるわけです。
肝心のタイトル。著者は、ミャンマー軍事政権は江戸幕府だ、というのである。鎖国しているくらいしか繋がりがないぢゃないかい、と思うのだが、そこはまあ強引に持っていく。で、これまた肝心の柳生一族だが、これに擬せられているのは軍情報部。柳生一族が江戸幕府から疎まれてヒマしているように見せかけ、実は幕府のために働いていたという隠密説を被せている。
今回の旅は、探検部の先輩・舟戸与一さんと一緒。これまた濃いヒトだ。そして行き先はミャンマー。この軍事政権が支配する国の、それも辺境をあちこち行きたいというのだが、全く向いてないであろう正面突破。合法的に入国する。勿論、過去ミャンマーに密入国したことのある著者を放っておく柳生でもない。そんなわけで柳生たちを引き連れてのミャンマー旅行が始まるのである。
船戸与一だけでもスゴイ旅になりそうなのに、そこに著者までいるのだから、もう普通ではありえない。もう、船戸さんが何をはばかることもなく、タクシーの運転手に政治の話題を振ってしまう。果ては、柳生にまで自分の政治意見を言ってしまうくらいの天衣無縫なヒトなので。読んでいる方がハラハラしてしまう。著者の苦労、いかばかりか。
笑いながら読み進めていると、どういうわけかミャンマーの状況が分かってしまうのが不思議。江戸幕府と柳生一族の関係がなんとなく頭に入ってしまうのがまた不思議。しかも、アウン・サン・スーチーの話もいつの間にか飲み込めてしまうのもこれまた不思議。なんとも不可解な雰囲気のうちに、俺もミャンマー行ってみたいなあ、などと思わされてしまうのが最大の不思議か。
兎に角、なんの枠も無い、恐るべき二人の珍道中を楽しめることだけは間違いない。電車のなかでは読んではいけませんよ。
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