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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
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BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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739冊目 テロルの決算
テロルの決算 (文春文庫)テロルの決算 (文春文庫)
(2008/11/07)
沢木 耕太郎

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評価:☆☆☆☆☆


 1960年10月12日、社会党の党委員長・浅沼稲次郎が、演説中に右翼で17歳の少年・山口二矢(おとや)に刺殺された。

 なぜ少年は老政治家に、それも個人としては善人と評するしかない老人に、刃を向けたのか。一方にその問いかけがあれば、もう一方の問いかけはこうならざるを得ない。即ち、なぜ善人の老政治家は、少年から命を狙われることになったのか。

 本書はその二つの問いの間を行きつ戻りつしながら、刺殺事件の全貌に迫っている。生き急ぎ、死に急いだ少年へ過度な思い入れをせず、老政治家を無意味に称揚しない。あくまでも冷静に、しかし激しく、二人の人生が交錯したその一瞬と、そこに至るまでの二人の人生を描き出すことに成功している。

 本書を手に取らなければ、私の中で山口少年は自分の意見と相容れない政党のトップをテロルによって排除した、粗雑な人物としての姿しかなかっただろう。殺された側の浅沼委員長も、悲劇の主人公としてしか思わなかったはずだ。

 それが、二人の人生を丹念に追いかけたこの秀逸なノンフィクションを手にしたことで、褒められたものではないとしても純粋で、一途な少年の姿を知ることができた。もう一人の主人公、浅沼委員長にしても、なぜ彼が滅私奉公という言葉以外が思い浮かばないほど、党を守り立てようとしたのかも伝わってくる。

 私個人としては、二人の、どちらの立場も首肯し得ない。それでも本書によって生きた二人の姿が脳裏に刻まれることになったのは否定しがたいのだ。そう思ったとき、本書が”ノンフィクションの金字塔”と称される理由が分かった気がした。人間をしっかりと描き出した傑作だと思う。
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ノンフィクション | 2009/10/30(金) 23:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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738冊目 古代への情熱―シュリーマン自伝
古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)
(1977/08)
シュリーマン

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評価:☆☆☆


 古代、地中海世界にあってギリシアと覇を競った、トロイ。この伝説の都については、僅かにホメーロスの詩に語られるだけであった。その実在を信じる考古学者は、様々な史料からトロイの位置を確定しようとしたが、誰一人として成功したものはいなかったのである。

 状況を一変させたのが、ご存知シュリーマン。

 地方の貧しい少年が古代の世界の情熱に掻き立てられ、10ヶ国語以上を自在に操る裕福な商人になる。全て、少年時代の夢をかなえるために。

 シュリーマンが到達した、トロイの都の発見者というゴールは誰もが知っているのではないか。しかし、夢を育んだ子供の頃や商人時代は知られていないだろう。本書は第一部でシュリーマンの自伝があるため、立志伝中の人物としてのシュリーマンの姿が見て取れる。また、ホメーロスをひたすら信じたからこそトロイの発見へたどり着くことのできた顛末も細かに記されている。

 サクセスストーリーも面白い。正直、その手の話は好きではないのだが、シュリーマンが10数ヶ国語を操るようになるまでの勉強の仕方などは頭が下がる思いだった。この稀有な人物の素顔に触れたのは色々刺激になったと思う。
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ノンフィクション | 2009/10/29(木) 23:24 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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737冊目  数学放浪記
数学放浪記数学放浪記
(1992/03)
ピーター フランクル

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評価:☆☆☆


 ハンガリーで生まれ、フランス亡命を経た後に日本で暮らす数学者、ピーター・フランクル。本書は、著者が日本に住むことになるまでの半生を綴った自伝である。

 数学オリンピックへの参加、放浪の天才数学者で母国を同じくするポール・エルデシュとのこと、各国を股にかけての数学研究。そのどれにも魅力がある。だが、決して明るい話ばかりではない。著者がユダヤ人であるがゆえに受けてきた差別を知れば、反ユダヤ主義が過去の物でも、物語の中の物でもなく、現実であることが分かる。

 著者について語るときに決して外すことのできないもう一つのことは、ジャグリングである。なんと、大道芸人としても活躍しているのである。そんなわけで、我々は悩み多き若者時代にジャグリングに魅せられ、そして修行の末に見事技を持ち、今もそれを愛する一人の芸人の来歴をも知ることができる。

 ついでに、本書は旅行記としても楽しめる。どこに行っても現地に溶け込んでしまうかのような著者に連れられ、インドやソ連など、様々な国を覗くことができるのも楽しい。そして、そららの国の多くに反ユダヤ主義があることに、私は驚かされた。

 思ったほど数学中心の話ではなく、別の楽しみがあった。数学が苦手な方も楽しめるのではないだろうか。それでも、著者の願いは数学を楽しむヒトが増え、自分の専門分野に入ってくる若者を育てることにあるらしい。才能豊かな若者、読んで、魅力を感じたら、数学で生きるのも楽しそうですよ。
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数学 | 2009/10/26(月) 23:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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735 & 736冊目  ナイチンゲールの沈黙 上下
ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
(2008/09/03)
海堂 尊

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ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
(2008/09/03)
海堂 尊

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評価:☆☆☆☆


 『チーム・バチスタの栄光』で鮮烈なデビューを果たした著者の2作目。

 チーム・バチスタのスキャンダルの影で設立された不定愁訴外来、通称愚痴外来。ここはその後も活動を余儀なくされていた。勿論、担当は田口医師。彼の安寧の日々は、またしても破られることになる。

 病院全体の忘年会の出し物でアヴェ・マリア(と、たぬき囃子)を歌い上げ、見事優勝を勝ち取った小児科の看護師・小夜は、友人と二次会へ繰り出す。そこで遭遇した男に誘われたのは、伝説的な歌手のシークレットライブだった。このライブは、歌手が突然喀血して倒れることで終わりを迎える。

 病院に搬送されたこの有名人を受け持つことになるのが、我等が田口医師。この歌手を巡り、一騒動が持ち上がる。この騒動に呼応するように、一つの事件が発生する。ある患者の父が殺されたのである。それも、バラバラに切り刻まれて。

 お馴染みのロジカルモンスター・白鳥らと共に再び事件解決の一端を担うことになる田口は、果たして答えを見つけられるのか。

 病院内のゴタゴタと、病院外の事件が見事に平行して進んでいくテンポの良さが魅力。白鳥の旧友で、これまた癖の強い警視の掛け合いにはついニヤリとさせられる。また、読んでいけば犯人は誰にでも分かるようになっているのだが、その後の行動が意味するものが明らかになったときには驚きがあるのも良い。なかなか楽しめる上質のミステリだと思う。

 それにしても、作中作のハイパーマンシリーズ、実際に見てみたいなあ(笑)
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推理小説 | 2009/10/24(土) 22:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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734冊目 理系バカと文系バカ
理系バカと文系バカ (PHP新書)理系バカと文系バカ (PHP新書)
(2009/03/14)
竹内 薫

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評価:☆☆


 タイトルが面白そうだったので購入。が、あまり当たりとは言いがたいなあ。

 理系バカと文系バカ、このあたりは話はもう論じられつくしていて、実際のところ新味が無い。私としては、娯楽が無かった時代に本を読むしかなかったヒトが、いまや絶滅危惧種である教養主義者になっているだけのような気がしてならない。もう一つは、大学に行くヒトが多くなればなるほど平均レベルは下がるので、それが利いているだけじゃないかな、ということ。

 まあ、私も自分が本読みなので、本を読むことは他人に勧めたいと思うし、だからこうやってなんちゃって書評ブログをいつまでも運営しているわけだけど、本に興味が無いヒトは興味が無いままだし、それはそれで正しいんぢゃ無いかなあ、と思う。

 理系バカと文型バカを色々と論じているのだけど、その根拠がイマイチ不明確で納得できなかった。勝手な決めつけ感があり、その点でも楽しめなかったのが残念。

 てか、文系だ、理系だ、という言葉自体がレッテルで、そこにはどうしても画一的な見方が付きまとうので、それを考えれば仕方が無いのかもしれない。

 著者の本は、99・9%は仮説竹内均の科学的人生論に続いて3冊目なのだが、どれも評価が高くない。私とは合わないのかも。
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エッセイ | 2009/10/23(金) 22:49 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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733冊目 ミャンマーの柳生一族
ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)
(2006/03/17)
高野 秀行

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評価:☆☆☆☆


 ミャンマーなのに柳生?なんだそりゃあ???そんな当然の疑問も、著者名を見れば氷解する。高野さんかあ。早稲田大学探検部でコンゴまで怪獣探しに行ったり、トルコまでやっぱり怪獣探しに行ったりする高野さん。ミャンマーでは何をしでかしてくれるのか。

 というわけで、猛烈な興味が沸いてくるわけです。


 肝心のタイトル。著者は、ミャンマー軍事政権は江戸幕府だ、というのである。鎖国しているくらいしか繋がりがないぢゃないかい、と思うのだが、そこはまあ強引に持っていく。で、これまた肝心の柳生一族だが、これに擬せられているのは軍情報部。柳生一族が江戸幕府から疎まれてヒマしているように見せかけ、実は幕府のために働いていたという隠密説を被せている。

 今回の旅は、探検部の先輩・舟戸与一さんと一緒。これまた濃いヒトだ。そして行き先はミャンマー。この軍事政権が支配する国の、それも辺境をあちこち行きたいというのだが、全く向いてないであろう正面突破。合法的に入国する。勿論、過去ミャンマーに密入国したことのある著者を放っておく柳生でもない。そんなわけで柳生たちを引き連れてのミャンマー旅行が始まるのである。

 船戸与一だけでもスゴイ旅になりそうなのに、そこに著者までいるのだから、もう普通ではありえない。もう、船戸さんが何をはばかることもなく、タクシーの運転手に政治の話題を振ってしまう。果ては、柳生にまで自分の政治意見を言ってしまうくらいの天衣無縫なヒトなので。読んでいる方がハラハラしてしまう。著者の苦労、いかばかりか。

 笑いながら読み進めていると、どういうわけかミャンマーの状況が分かってしまうのが不思議。江戸幕府と柳生一族の関係がなんとなく頭に入ってしまうのがまた不思議。しかも、アウン・サン・スーチーの話もいつの間にか飲み込めてしまうのもこれまた不思議。なんとも不可解な雰囲気のうちに、俺もミャンマー行ってみたいなあ、などと思わされてしまうのが最大の不思議か。

 兎に角、なんの枠も無い、恐るべき二人の珍道中を楽しめることだけは間違いない。電車のなかでは読んではいけませんよ。
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エッセイ | 2009/10/20(火) 22:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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732冊目 オリガ・モリソヴナの反語法
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
(2005/10/20)
米原 万里

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評価:☆☆☆☆☆


 旧友に薦められて手に取った。私も著者の米原万里さんのファンであるが、小説だから、というおよそ常軌を逸した理由で敬遠していたのだ。が、手に取らなかった自分が愚かだった。それくらい、あっという間に物語りに引き込まれた。

 舞台は1960年代前半のチェコスロバキア。その首都・プラハにはソヴィエト学校なるものが存在した。要するに、チェコスロバキアにやってきた外国人の子弟が通う学校である。チェコスロバキアにやって来たのにソヴィエト学校に通う、ということが、ソヴィエトが衛星国をどう扱っていたか垣間見える。

 この1960年代前半とはどのような時代なのか。スターリンの死とともにレーニン・スターリン体制が終わるように思われたのが、1950年代半ごろである。1953年にスターリンが死に、1956年にはフルシチョフによるスターリン批判が行われた。だが、収容所群島が終わり、自由がやってきたのかといえばそんなことは無かった。

 同年、ハンガリー動乱が発生、ソヴィエト軍がブダペストを制圧、ナジ・イムレ首相らは弾圧にあって刑場の露と消えた。また、彼女らが小学生時代を終えていたはずの1968年には、プラハで自由を求める動きがあり、これも圧殺される。プラハの春である。

 主人公の弘世志摩は、プラハのソヴィエト学校へ通う小学生。志摩らが送った小学生時代は、社会に不安定感が漂いながらも辛うじて混乱に巻き込まれてはいなかった時期である。

 冒頭に登場するのが、オリガ・モリソヴナ。大仰な褒め言葉で生徒を罵倒する、異色の舞踏教師。50代と言い張っているが、どうみても実年齢はもっと上のはずである。その友人にして、やや痴呆がかっているのが、フランス語教師でのエレオノーラ・ミハイロヴナ。彼女たちには、重大な秘密があった――。

 小学生時代から、物語は一気に現代に飛ぶ。ロシア語翻訳家として生計を立てる志摩は、ロシアを訪れる。自由となったロシアを。再会した旧友と新たな友人とで、オリガ・モリソヴナの人生に迫る。そこに立ち現れるのは一体、何か。

 実際にプラハのソヴィエト学校で少女時代を送った著者だからこそ書けるリアリティには脱帽。また、旧友との再会についても『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で書かれている。つまり、この小説は著者の実体験が色濃く現れている。だからこそ、現実離れしたところがない。どの人物も命を与えられ、確固としたキャラクターとして存在している。そこに凄みがある。

 その登場人物たちと辿るのは、ソ連の現代史といって良い。ソ連の人々が辿らざるを得なかった時代を見事に描ききった傑作だと思う。

 私に本書を勧めてくれた旧友は、著者の小説がこれ一冊とは寂しいものだと言っていたのだが、本書が著者の生活を色濃く出すことでリアリティを出している以上、他の小説を書いても同工異曲のものになってしまうのではないかと思われた。それくらい、渾身の力を込めて書かれた小説だと思う。


関連書籍
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
(2004/06)
米原 万里

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その他小説 | 2009/10/18(日) 22:27 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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731冊目 僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活
僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)
(2008/06/30)
泉 流星

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評価:☆☆☆☆


 Stingの歌に、Englishman in New Yorkというのがある。ニューヨークのイギリス人は、余りにもそこの人々から浮いているので、自分がエイリアンになってしまったかのようだ、と歌う。本書も同じような境遇を語っている。すなわち、高機能自閉症(所謂アスペルガー症候群)の妻との結婚生活について、である。

 豊富な語彙、そしてどんなことでも知っているのではないかと思われるほどの知識の広さを持ちながら、普通の社会生活を送っているとどこか違和感を感じる。それは相手の表情を読めないことだったり、会話に隠された微妙なニュアンスを感じ取れないことだったりする。

 結婚してから、数々の軋轢を経て、なんと妻が一時アル中になるという経歴をも通り抜け、やがて妻は自分がアスペルガー症候群であることを知る。それにより、過去の生活で感じていた違和感の正体が掴めた、という。

 この妻の凄いところは、そうと分かれば猛烈に情報収集し、どのようにすれば社会に適応しやすいか、考えて実行していくところだ。それには夫の協力が必要不可欠。というわけで、夫はやや振り回されながらもエイリアン妻との生活を続けていく。

 勿論、このような発達障害を持たない夫婦でも揉め事はあるものだ。だから、この夫婦もしょっちゅう揉めているようだ。で、それを冷静になって振り返っている。そのときの夫婦のズレっぷりが意外で、(失礼ながら)読者には楽しめるポイントになっている。そして、ふと気がつくと夫婦が仲直りしていると安堵し、楽しそうにしているとこちらの気分まで明るくなっている。なんとも不思議な魅力がある。

 本書の最後には思わぬどんでん返しが待っている。その種明かしをされたとき、正直驚いた。なぜ驚いたのか、それは是非、皆様もご自分の目で確かめてみて欲しい。


関連図書

ずっと「普通」になりたかった。ずっと「普通」になりたかった。
(2000/04)
グニラ ガーランド

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生物・遺伝・病原体 | 2009/10/16(金) 23:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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730冊目 妄想力 ヒトの心とサルの心はどう違うのか
妄想力   ヒトの心とサルの心はどう違うのか妄想力 ヒトの心とサルの心はどう違うのか
(2006/11/21)
金沢 創

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評価:☆


 人間の脳の進化をもたらしたものは何か。答えとして最も取り上げられているのはコミュニケーション、という答えである。しかし、著者はそこに異を唱える。コミュニケーションの前に、相手が自分の考えを理解してくれる、あるいは他人の考えを理解することができる、という妄想が大事なのではないか、と。

 確かに妄想は人類進化に少なからぬ役割を果たした可能性がある。ヒトが社会的に生きるために脳の巨大化が必要だったのではなく、妄想を逞しくするのがコミュニケーションに先立っていたとはなんとも刺激的ではないか。

 しかし、刺激的なことを主張しようとするには、どうにも根拠が弱いと感じられてならなかった。故カール・セーガンが唱えたように、とんでもない主張にはとんでもない根拠が必要である。そうでなければ他人を説得などできはしない。

 その点で、本書は失敗作だ。自分はこう思う、こうではないか、のオンパレードであり、主張を裏付ける緻密な理論も、驚くべき根拠も存在しない。低レベルな新書レベルのものが単行本にまで進出してしまったような不安感を覚えさせられた。責任は複雑なことを書かせようとしない編集にあったかもしれないけれども。

 脳や精神の進化に興味があるのなら、もっと他の本を手にしたほうが良いと思う。

 惜しいのは着眼点が面白いところ。是非ともしっかりした証拠を手に、一般書の世界に戻ってきて欲しい。そうなればきっと面白い作品になると思う。
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医学・脳・精神・心理 | 2009/10/14(水) 22:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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729冊目 ホームズのいない町―13のまだらな推理
ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS)ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS)
(2008/03/19)
蒼井 上鷹

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評価:☆☆☆☆


 ホームズに接したことがある方なら思わずニヤリとさせられるタイトル。それは本書のタイトルだけでは納まらない。なんと、章ごとに付けられているサブタイトルもホームズをネタにしている。それどころか、登場人物が読んだ推理小説、としても元ネタに言及されているので、ホームズを思い出しながら読むのが楽しい。

 私自身、目次で”6本のナポレオン”とか、”四つのサイン入り本”とか、”まだらのひもで三kg”とかを見ただけで元ネタが脳裏を駆け巡って頬が緩みましたよ。

 ホームズ好きには堪らない、ということでちょっと評価は甘め。

 さて、本書について少々。ストーリーは13のパートに分かれている。それぞれのパートの中で事件が起こり、解決していくのだが、最終的には全てのパートが結びついてくる。あの章で出てきた人物がこちらに顔を出し、別の人物がまた他の章と絡んで、とやっていくうちに、伏線が回収されていくところはなかなか見事。

 加えて、それぞれで探偵役を務める人物がいずれも名探偵とは程遠い。当てずっぽうだったり、行き当たりばったりだったりする。ホームズのような名探偵は滅多にいるものではない、ということでそうなったようだ。この迷走っぷりに、読者は振り回されながらも楽しむことができるのが魅力だと思う。
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推理小説 | 2009/10/12(月) 23:15 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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728冊目 トンデモ本1999―このベストセラーがとんでもない
トンデモ本1999―このベストセラーがとんでもない (カッパ・ブックス)トンデモ本1999―このベストセラーがとんでもない (カッパ・ブックス)
(1999/01)
と学会

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評価:☆☆☆☆


 古本屋で本書を見かけたとき、”あの1999年は、もう10年も前になっちゃったのか!”との思いが駆け巡った。かのノストラダムスの大予言、1999年7の月に合わせて、そりゃあもう色々なオカルトネタが流行ったものだ。

 中でも我々ダメ人間の話題をさらっていたのは、マガジン史上最高のギャグマンガとして名高い、MMR。”事実に基づいたフィクション”だとか、”MMR緊急報告”などの煽り、おどろおどろしいタイトル。それなのに、まじめにやればやるほど面白くなってしまうこの不思議。なんでもかんでもノストラダムスに結びつける牽強付会さがそうさせたのか。ともあれ、登場人物たちが荒唐無稽意外な説を聞かされた時に発せられる「な、なんだってーー!!」は名台詞として今も語り継がれている。なにせ、google検索で約 10,900,000も見つかってしまうのだから、その愛されっぷりは凄い。

 このマンガ、1999年7月に向けてどんどん内容をエスカレートさせ、「俺たちの戦いはこれからだ!」と、掲載すべき雑誌を間違えているようなノリで終わってしまった。(そりゃあ、8月になっちゃったら信用性暴落だからなあ・・・・・・)

 ああ、懐かしい。

 ちなみに、MMRはこんなのです。





 ともあれ、ノストラダムスの大予言と惑星が十字に並ぶように見える珍しい天文現象グランドクロスが重なったことで、トンデモな人々が多数湧いていたのですよ。10年前は。そんなわけで、巷に溢れたアレなネタを、ご存知と学会が取り上げていたのがこの本。

 『脳内革命』、『神々の指紋』、『聖書の暗号』などはもう批判されまくっているのでいまさら新味はないのですが、歴史を感じさせてくれる。歴史系トンデモ、科学系トンデモ、環境系トンデモなど、オカルト系トンデモなどなど、ダメな本の多さにクラクラさせて貰えるのが最大のメリットか。また、初期のころとは違い、トンデモを批判する側の本を紹介しているのも魅力。

 古い本だし、もう旬を過ぎ去った本が多く取り上げられている点はある。しかし、紹介されている本それぞれのトンデモなさが笑えたので満足。
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反疑似科学・反オカルト | 2009/10/10(土) 13:08 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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727冊目 数学の遺伝子
数学する遺伝子―あなたが数を使いこなし、論理的に考えられるわけ数学する遺伝子―あなたが数を使いこなし、論理的に考えられるわけ
(2007/01)
キース デブリン

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評価:☆☆☆☆


 私の予感が正しければ、あなたは数学が苦手なはずだ。だから、きっとタイトルを見てぎょっとするだろう。数学遺伝子?そんなの、あるわけないじゃないか、と。

 しかし、数学の根本は、数を数えることだという。確かに、その程度であれば遺伝子を認めるに吝かではない気がする。本書の主張が説得力を持ってくるのはその先、乳幼児ですら数を数える能力を持つこと、脳の損傷によって数えられなくなる人が存在することなどの証拠が挙げられてからだ。

 数という抽象的なものを扱うことがなぜ遺伝で決まるのか。その謎を解くために、著者は言語学の世界へと読者を誘う。なぜか。それは、言語を操る能力は遺伝によるという証拠があるからだ。

 本書の魅力は、この数学する遺伝子と言語を操る遺伝子が、なぜ二つながらに人間に備わっているかについて、大胆な仮説を取り上げているところにある。すなわち、数学する能力と言語能力が、車の両輪の如くに、人間の脳を発達させたのではないか、というのだ。

 にわかには信じがたい主張かもしれない。しかし、豊富かつ興味深い事例を目の当たりにすると、数学する能力が人類進化の根底にあった、という刺激的な主張に肩入れしたくなってくる。

 また、個人としての成功を左右する因子に高等数学の履修歴があるというのも面白い。なんと、成績に関係なく、履修するだけで効果があるというのだ。著者は中傷的な思考を鍛えることによって、全般的な能力が上がるのだろうと推測している。これもなんとも面白いではないか。

 数式はほとんど出てこないので、数学が嫌いな方も安心して読めると思う。ただ、数学を知りたいという方よりも、人類進化の過程で何が起こったのかに興味がある方の方が、本書を楽しく読むことができるだろう。

 脳の進化についてはなかなか証拠が残らないため、本書の内容が絶対的に正しいかどうかはわからない。それでも、とても魅力的な仮説を提供してくれていると思う。
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数学 | 2009/10/08(木) 23:55 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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726冊目 神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く
(2007/09)
石井 光太

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評価:☆☆☆☆☆


 人間は余りに多様だと思う。趣味や信条は人それぞれ異なるし、世界の認識の仕方も違う。おかげで個性豊かな集団が保たれている。

 生が複雑であるように、性もまた複雑である。欲求が多い人も居れば、少ない人も居る。同性に惹かれる人も居れば、大勢の異性を必要とする者も居る。だが、そこに一つのルールを持ち込んで、ルールから外れた者を容赦なく排除しようとしたらどうなるだろうか。それが、本書で描かれている世界である。

 例えば娼婦。例えば、僅かな日銭を稼ぐために体を売る子供たち。あるいは、同性愛者。彼らは望んでそうした生き方をしているわけではない。已むに已まれぬ理由があってそうしている。

 しかし、彼ら・彼女らを待ち受けているのは過酷な現実である。

 性器を破壊された過去がありながら、それでもどうしても男性と一緒に居たくてたまらない女性。早くに親と死に別れ、路上生活をしながら時に体を売る子供たち。この子たちは、セックスの間だけは大人と触れ合うことができるから、それを厭うことをしない。

 どの話も、胸の奥深く、感情の宿るところを鷲掴みにしてくる。抑圧された性の世界の現実は、余りに重い。

 著者はこの取材の狙いを、こう記す。

 どんな社会にだって娼婦はいるだろうし、オカマもいるだろう。一日中、手淫ばかりしている物乞いだっているはずだ。もちろん、男を支配して喜ぶ女だっているに違いない。そうしたことを一つずつたしかめていくことによって、これまで目を向けられなかったイスラームの別の側面を浮き彫りにしたいと思ったのである。
(P.2)


 著者がイスラームの世界で何に巡り会ったか。ちょっとでも興味をもたれた方は是非本書を取って欲しい。メディアが報じる画一的な世界ではない、生きたイスラームの社会が目の前に現れてくると思う。

 事実によって読む者を圧倒する、ノンフィクションにおける文句なしの傑作である。見知らぬ世界を垣間見せてくれたことだけではなく、メディアとは違う世界をしっかりと見せてくれたことに深く感謝したい。


 著者のサイトへリンクを貼っておきます。興味をもたれた方は是非どうぞ。石井光太公式ウェブサイト【コウタイズム】

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ノンフィクション | 2009/10/05(月) 23:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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725冊目 戦争請負会社
戦争請負会社戦争請負会社
(2004/12)
P.W. シンガー

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評価:☆☆☆☆


 力の中でも最も強力で大規模なものが軍隊であることは議論の余地が無いだろう。ではその軍隊を使役するのは誰か。その問いに国と答える人が多いのではないか。しかし、15年ほど前には正しかっただろうその答えは、今では必ずしも正しいとは言えない。

 なぜか。本書のタイトルにもなっている、戦争を請け負う私企業、民営軍事請負企業、本書ではPMF(Privatized Military Firm)と略称される一群の企業が少なからず誕生し、活躍しているためである。

 まず紹介されるのは、アフリカの小国・シオラレオネの事例。ダイヤモンド鉱山を抱えるこの国は、本来なら国全体が潤っていて良いはずの国である。しかし、鉱山を巡って不安定な政府へ反乱が起こったため、国としてのまとまりすら失われかけていた。そこに現れたのが、謎の軍隊。顔を黒く塗り、人種すら想像できなくした異形の軍隊は、瞬く間に反乱軍をジャングルの奥深くへと追いやったのである。

 後に判明したのは、彼らは南アフリカに拠点を持つPMF、エグゼクティブ・アウトカムズ社に属する人々ということ。

 シエラレオネを皮切りに、読者は中東、ボスニア、アフリカ、南アメリカといった地域で思いもよらないほどに戦争が外注化されている現実を眺めていくことになる。外注されるPMFの性格も千差万別。中には直接戦闘を行う企業も有れば、訓練に特化する企業もある。あるいは、兵舎の建設や地雷除去などの兵站を担う企業もある。

 これらのPMFを丁寧に分類し、PMFが抱える様々な懸念点を丹念に掘り下げている。おかげで、現在の世界が抱える不安定さや軍事的な課題を理解するのが容易になっている。

 また、中世の傭兵から始まる国以外が担ってきた暴力機関の歴史を追っているのも本書の魅力を高めている。従って、本書はまた傭兵の歴史でもあると言える。



 それにしても内容が中々頭に入ってこなかった。訳者の文章と私の好みがズレているのか、私の理解力が悪いのか。折角興味深い内容を扱っているのに、のめりこめなかったのがちょっと残念。
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ノンフィクション | 2009/10/03(土) 22:22 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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