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Skywriter

Author:Skywriter
あまり一般受けしない本ばかりが好きと言う難儀な管理人です。
お勧めした本を面白いと思ってもらえると最高です。

BK1書評の鉄人31号。
鉄人


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うちの子も元捨て犬です。今はすっかり我が家の一員。甘えるのは下手だけどとっても可愛い子です。

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意外と尽くす男なんです 後編
 というわけで、ウルトラマンフェスティバルに続いて行ってきたのはぐりんぱ。M78ウルトラマンパークが目当てである。なんと、ウルトラマンフェスティバルの半券を持っていけば入場料が割引になるという、囲い込み運動的な何かが行われている。

 入り口からシルバニアファミリーゾーンを抜けると、そこはウルトラの国。

 どう見てもウルトラマンの科学特捜隊(通称科特隊)の基地にしか見えない土産屋さんをはじめ、ウルトラマントレイン、ウルトラセブンコースター、フライングウルトラマン☆シュワッチなど、ウルトラマンにちなんだアトラクションが一杯。3歳になっていれば乗れるものばかりで、大人にとっては迫力が無いウルトラマンの主要閲覧者に親切な設計である。

ultraman08.jpg


 お昼ごはんはカレーにしたのであるが、さすがは円谷。カレーの海に浮かぶのは、ウルトラマンタロウにウルトラマンにバルタン星人だった。

ultraman07.jpg


 ウルトラマンタロウの額に燦然と輝くグリーンピースが凝っている。館内ではウルトラマンのどれかのストーリー映像が流れていて食事はなかなか捗らない。うーん、並んでいるときには有り難いけど、食事の時にはテレビ見させたくないんだよなあ。集中しなくなるし。ま、こういうときばかりは仕方が無いか。

 そして勿論、ここでもウルトラマンショーが開催されていた。12月公開のウルトラマンメビウスを中心に据えている。で、どうやらメビウスを見ていないと分からない設定が幾つか出てきて親にはチンプンカンプン。息子も分かってないはずなのだけど、天をも衝くほどの興奮っぷりで「がんばれー!!」と叫んでいる。ストーリー、どこまで分かってるんだろう。

ultraman05.jpg


 ベムスターに蹴りをくれるウルトラマンメビウス。写真だけ見ると、ベムスターの瞳があまりにもツブラ過ぎてとても正義が行われているようには見えない。メビウスの輪を辿っているうちに正義と悪とがひっくり返ってしまったのではなかろうかと思われるシーンである。もっとも、撮影者に問題がある可能性も否定はできない。

 終わったら恒例の握手会。

ultraman06.jpg

左から、宇宙剣豪ザムシャー(って何者?)、ウルトラマンメビウス(って何のn(略))、息子、ウルトラマンヒカリ(ってn(略))、ウルトラマンナ(略)

 息子は親ですら翻訳機が欲しくなるような何語かを一生懸命ザムシャーに伝えようとしていた。このマスク、口元が開いているのだが、そこから明らかに笑ってるのが見えましたよ?>中のヒト

 まあ、この日は曇り勝ちで涼しかったのでまだ良いが、晴れた日は笑ってなどいられないだろうなあ。お疲れ様でした。ついでに、怪獣の中のヒトも。


 富士山2合目というこの地で、父としては子にウルトラマンに加えて富士山の雄大な姿を見てもらおうと思ったのであるが、生憎と終日曇り。なんと、一度も山頂を拝むことなく静岡を後にせざるを得なかったのだったのだった。

 そんなわけで、ウルトラマンよ、暫しさらば。
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雑記 | 2009/08/31(月) 23:27 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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正義は保たれた
 こんにゃくゼリーには厳しいのにアムウェイには甘い、表現規制派の巨魁、野田聖子が落選。正義派保たれた。

 私は原理主義者で、表現の自由は保たれる必要があると思っている。それがロリは気持ち悪いとかなんとか、そんな理由で表現規制を行うのには反対せざるを得ない。実際気持ちわるいけどさ。

 それにしても、民主は勝ちすぎ。ここまでの勝ちは希望しなかった。”故人献金”含め、鳩山総理というのは恐ろしい。何も説明していないわけで、自民を批判してきたことの筋が通らない。おまけにボンボンで、こういったヒトが何か言ってもなあ。

 平沢とか野田の輩の、危険な表現規制者を排除さえしてくれれば喜んで自民に投票し、民主の圧勝を嘆いたのだがなあ・・・・・・。

 しかも、自民の場合にはそうか!がっかり!!と組んでいるのががっかり党は、党外の宗教指導者の影響が大きいという、恐るべき党である。この恐ろしさは、投票によって党のトップを国民が選ぶことができないということに由来する。かつて共産党は同じことをやったわけだけれども、こういうところには危惧を感じざるを得ない。

 残るはどこか。世界で1億人を虐殺した党と同じ名前を名乗るが誇りで堪らない共産党?私はかつて共産党員からトロツキストと呼ばれたことがある。歴史を勉強すればこれが死刑宣告なのは火を見るより明らか。社民党は保坂展人さえ当選してくれれば良かったのだが・・・・・・。

 どこが勝ってもちっとも喜べない悲惨な選挙だったわけだけれども、もっと他の選択肢こそ望まれてならないんじゃないかなあ。又吉とか幸福なるサイエンスとかそういうのじゃなくてさ。




 ・・・と思ったら、比例で復活しやがった。パチンコ業界のヒトとア×ウェイのヒト、よろこんでくださいねー。
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雑記 | 2009/08/31(月) 00:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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意外と尽くす男なんです
 なんにつくすのかというと、ウルトラマン尽くしだったわけですよ。

 まずはウルトラマンフェスティバル2009

ultraman01.jpg

 サンシャインの前に立ちはだかる(っていうと入るの邪魔してるみたい)のは我らがウルトラマン。スタート当初の顔が怖すぎて造形が変更になった、あのウルトラマンである。さっそくここに齧りつく息子。ああ、立ちはだかるの意味は間違って無かったよ。

 「この先にはもっと一杯ウルトラマンがいるんだよ」
 と説得することでなんとか切り抜ける。ふう、強敵だぜ、ウルトラマン。

 会場内は懐かしい怪獣やら宇宙人やらがいっぱい。今回はロボット特集ということでキングジョーやらエースロボットといったロボものが沢山。

 息子は大興奮。といっても、ウルトラマンシリーズを通して見ているわけじゃないので、彼が知っているのはほんのわずかなもの。それでも、展示の怪獣を見ては「これなに?」を連発。これはキングジョーだよ、というと、「そっかー、キングジョーかー。ホントだ!キングジョーだ!!」と一人納得。てか、君は見てないだろう。

 中にはミニショーをやっているブースもあり、子ども達が群がっていた。

ultraman02.jpg

 おお、右端の人形は懐かしの、ウルトラマンに出てきたアラシ隊員ではありませんか。このヒト、ウルトラセブンにもフルハシ隊員役で出てきたりするんだけど、私にとってはアラシ隊員なんですよ。

 ともあれ、時間になったのでウルトラマンショーへ。入場券を買う際に、どの時間帯のショーを見るかを選んだら指定席のチケットが貰える。なので、席の取り合いをすることが無いのはありがたい。

ultraman03.jpg


 主人公はウルトラセブンの強敵だったキングジョーである。人間が作ったキングジョーとウルトラマンが一緒になって、甦った怪獣たちと戦うというストーリー。親にも分かる怪獣もいれば、最近の若いもんにしか分からない怪獣もいるのだが、若いもんは全部分かっているので凄いものです。

 このショー、フラッシュ撮影&動画撮影は不可だけれども写真撮影はOKとのこと。フラッシュなしの静止画撮影ならぶれるからだな。

 それは兎も角、このお話は謎を残したまま終わるのだが、なんと12月公開の大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説に続くというあくどい商魂逞しい仕様と分かってびっくり。

 子どもの好きなのが続けば連れて行ってやるか。

 ショーが終わったら、アイスクリームを。なぜかというと、なにやらスペシャル配合があるらしく、それぞれウルトラマンの名前がついている。チョコレート大好きな息子が選んだのは、当然チョコ味のエース。なぜエースがチョコなのかは不明。とやっていると、広場にウルトラファミリーが登場。急いで駆けつける。

ultraman04.jpg


 しかし、現れたのはウルトラマンレオから登場し始めた、やたらと格好悪いマイナーキャラのウルトラマンキングだった。それでも息子は大喜び。

 「キングとあくしゅしたの!」

 他にも各種ウルトラマンが巡回しており、ウルトラマン80だとかウルトラマンキングだとか、他にもウルトラマンなんとか(父も息子も分かってない)だとかに遭遇しては握手。って、これもマイナーですね。てか、それは年齢の問題か。

 そうこうしているうちにも時は過ぎ、中央ステージの特別ライブを見て退散したのであった。子どもは勿論大喜びだったが、自身が子どもの頃ウルトラマンを好きだった人には楽しいところも少なからずあると思った。

 しかし、恐るべきことに、まだまだウルトラマンと過ごす夏休みは続くのだった・・・・・・。
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雑記 | 2009/08/30(日) 22:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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710冊目 モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」
モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」
(2007/11/22)
エフライム・ハレヴィ

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評価:☆☆☆


 世界最強の諜報機関と言われることもある、イスラエルのモサド。第三次中東戦争で、わずか6日にしてアラブ連合を打ち破った陰に諜報員エリー・コーエンの活躍があったことが知られる。また、ミュンヘンオリンピックで発生したイスラエル選手村の惨劇を引き起こした黒い九月の幹部らを暗殺した事実を描いた映画『ミュンヘン』で彼らの活動の一端を知った方も少なくないだろう。

 本書はそのモサドの長官を務めたハレヴィが、モサドで何をしてきたのかを綴った自伝である。

 まず驚かされるのは、イスラエルの利害がアメリカのそれと大きな齟齬を来たしているところだった。中東情勢でアメリカはイスラエルに甘い判断をしていると見られている。しかし、例えば湾岸戦争でイラクからの攻撃に対し、アメリカがイスラエルに反撃をしないよう求めたことはイスラエルに大きな不満を残した、と指摘する。それは、対外的にはイスラエルは攻撃されても反撃できないと思われることであり、対内的には自分のみを自分で守れないことがもたらす士気の低下だという。

 次に、外交関連。イスラエルは第四次中東戦争終了後にエジプトと平和条約を結ぶが、それ以外のアラブ諸国とは関係が悪いと思っていたのが、ヨルダンとはそれなりに信頼できるルートを持っていたということ。著者自身が担当したヨルダンのフセイン国王との交渉には実に意外な事実が盛り込まれており、驚かされた。

 中東情勢の大きなプレーヤーが次々と出てくることにも圧倒される。フセイン国王は勿論、ラビンやネタニヤフ、シャロンら歴代イスラエル首相、クリントン米大統領、アラファト、etc・・・。彼らの丁々発止の遣り取りから報道される裏側で何が行われていたかがダイナミックに伝わってくる。

 現代史で中々明らかにならない陰の世界を垣間見せてくれたことは大きい。加えて、日本にはこうしたインテリジェンスを取り仕切るしっかりした機関があるのか、不安になる。インテリジェンスの世界の重要さは今後も衰えない。それは、先日紹介した『自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来』からも明らかだろう。本書から学ぶべきことが、今後の施策に生かされることを願ってやまない。

 ・・・ただ、もうちょっとマシな訳をしてくれても良かったのではないだろうか。なかなか頭に入ってこなかったのが残念。



ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD]ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD]
(2008/10/17)
エリック・バナダニエル・クレイグ

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自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)
(2008/12)
グナル ハインゾーン

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ノンフィクション | 2009/08/28(金) 23:56 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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709冊目 搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!
搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)
(2006/10)
阿部 真大

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評価:☆☆☆


 著者は東京大学在籍中の社会学者(の卵)である。大学を1年休学し、バイク便のライダーに身を投じる。本書はその間に著者自身が経験し、あるいは見聞きしたバイク便の世界を論じたものである。

 バイク便の世界がどうなっているかというと、まず時給制と歩合制に分かれており、時給制⇒歩合制への移行は可能だが逆は不可といった”職場のルール”がある。これらは賃金の差があるのは勿論だが、従事する従業員の性格にも違いが見られるという。

 こういった基本的な条件を懇切丁寧に説明してくれることで、バイク便のライダーを取り巻く危険な状況が明らかにされる。危険というのは、バイクに乗るという行為が持つ原理的な危険に加え、過労に陥りやすい環境があること。

 なぜ過労に陥りやすいのか。その答えに辿り着くにあたって、同僚達との会話や、背後にあるシステムに光を当てることで搾取される若者=バイク便ライダーの姿を炙り出すのに成功している。

 恐らく、このような危険はバイク便の世界にだけあるものではない。本書ではベンチャー企業等がバイク便などの安い労働力に支えられていることが指摘されている。となれば、バイク便だけではなくほかの業種でも同じような現象が起きているのは間違いあるまい。著者も、本書をバイク便ライダーに限定して搾取を訴えているのではない。むしろ、趣味と仕事を同一のものにしたときに出てくる危険を指摘しているのだ。

 危険に気付くことが、まずは搾取を打ち破る手段になる可能性は大いにある。その点で、本書の存在意義は小さく無いと言えるだろう。
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ノンフィクション | 2009/08/26(水) 23:57 | Trackback:(1) | Comments:(0)

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708冊目 ぼくが医者をやめた理由
ぼくが医者をやめた理由 (角川文庫)ぼくが医者をやめた理由 (角川文庫)
(1998/06)
永井 明

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評価:☆☆☆


 元医者だった著者は、あるとき”これが潮時”と考え、医者を廃業してしまう。といっても、開業医だったわけではないので、病院をやめた、という話だ。

 なぜ長年の専門教育の成果と、それなりの地位を捨てることになったのか。なぜ潮時だと思ってしまったのか。そこに行き着くまでの著者の経歴と心の動きを綴ったエッセイ。ベストセラーにもなったということで、読まれた方も多いのではないだろうか。

 本書を読んで感じるのは、医者は尊敬される職業であるかもしれないけれども、その現場にはその他の職場と全く同じような苦労がついてまわるのだ、ということ。もう一つは、医者も一般人と同じようなことで葛藤し、不愉快に思い、大変な思いに苛まれている、ということだ。

 初めて患者を持つようになったときのこと、目の前で死んでいった患者のこと、医者だからこそ付きまとう厄介ごと。それらに対して、読者と同じように悩む医者の姿がそこにある。恐らく、この自分を飾ることなく、等身大に描き出したことが本書をベストセラーにしたのだろう。

 そうやって見れば、本書は単なる個人が燃え尽きるまでを追ったエッセイに過ぎないともいえる。著者が、例えば医者じゃなかったら、本になることなどなかっただろう。等身大の医者の姿が社会にとってそれなりに衝撃だった、というのが、本書が売れた原因ではなかろうか。

 同じく医者が書いたエッセイというのであれば、私としてはオリヴァー・サックスのようにもっと温かみのある視点で患者と触れ合おうとする方が好きだ(例えば『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』や『妻を帽子とまちがえた男』、『レナードの朝』など)。これについては趣味の問題なので、興味がある方はぜひ読み比べてみてほしい。
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エッセイ | 2009/08/24(月) 23:33 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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707冊目 自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来
自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来 (新潮選書)
(2008/12)
グナル ハインゾーン

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評価:☆☆☆☆☆


 残念なことに、中東で、南アジアで、南アメリカで、アフリカで、テロや紛争に関する悲惨なニュースが絶えることなく報道されている。その度に、我々は南北格差や危険な独裁者、民族や宗教を背景にした対立構造について解説を目にすることとなる。

 しかし、著者はこれら民族や宗教、貧困が悲劇の真の原因ではない、と喝破する。では何が原因なのか。その答えとして挙げられるのが、ユース・バルジ。

 この聞きなれない言葉は、戦闘能力の高い15~25歳の青年層を示す言葉である。ユース・バルジが人口の30%を超えると、自爆テロや内戦の恐れは一挙に高まると著者は指摘する。

 ユース・バルジが30%を超えるとなぜ、テロや内戦が起こるのか。それは、人口比率を考えてみれば答えが見えてくる。即ち、ユース・バルジの占有率が高いということは、一組の夫婦が産む子どもの数が多い、ということ。それは直ちに、次男、三男以下の男達が、社会からあぶれることを意味する。考えてみれば、たかだか10数年程度で産業の規模を倍々ゲームで増やせるわけも無いのだから当たり前の話である。

 社会に身の置き場のない若者は何をするのか。それは、自分の居場所を得るために、高い地位や報酬を目的に、何でも行うようになる。その結果が続発する自爆テロであり、自滅的な内戦である、というのだ。

 刺激的なこの仮説は、世界の過去と現在を上手く説明できている。本書で指摘されている通り、大航海時代にヨーロッパが世界を席巻したとき、将にヨーロッパではユース・バルジの占有率が高かった。エルナン・コルテスフランシスコ・ピサロといった南米の征服者達に従ったのは次男、三男たちだったのである。しかも、この時ヨーロッパにはまだ彼らの居場所は無いわけではなかった。悲惨なペスト禍から人口は回復しきっていなかったためだ。しかし、ユース・バルジは30%を大きく超えていたのである。

 悲惨なニュースの聞こえてくる地域と、ユース・バルジの占有率は本書の中で纏められている。その余りの相関の高さには驚かされるほどだ。日本のことを考えてみても、満州事変から太平洋戦争へと突き進んだ時期は例に漏れずユース・バルジが危険水準を超えていた。その後のベビーブーム世代がユース・バルジに差し掛かったとき、何が起こったか。それは全共闘や核マル、中核といった過激な若者たちだったことを想起すべきだろう。

 多くの実例を挙げていることから、本書の指摘はかなりのところ当たっていると感じさせる。ニュースで伝えられる事実の裏に潜む見えない原因に注意を喚起してくれている功績は大きい。今後も人口学からの警告に目を向けていくべきだろう。
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ノンフィクション | 2009/08/22(土) 23:58 | Trackback:(1) | Comments:(0)

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706冊目 幻獣ムベンベを追え
幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)
(2003/01)
高野 秀行

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評価:☆☆☆☆☆


 アフリカのジャングル奥まで怪獣を探しに行く。誰がそんな酔狂なことをするのかと言えば、早稲田大学探検部である。1986年11月、著者は探検部のミーティングでこの計画をぶちあげる。

 ここにコンゴの怪物・モケーレ・ムベンベ(別名コンゴ・ドラゴン)を発見するための探検隊が組織されることになったのである。

 とはいっても、コンゴ、である。どうやって行けばいいのか。そこで取り組むのはフランス語の勉強。旧宗主国がフランスということで、フランス語が必須なのである。それから様々な交渉が待ち受ける。コンゴに出発する前からして十分に奇抜な行動が開始される。

 ようやくムベンベ捜索の旅は出発にこぎつける。ここから後もまた苦労の連続。ガイドを頼む現地の人々との軋轢、機器の故障、病気。とにかく一筋縄ではいかないことばかり。艱難辛苦に耐えた先に、幻獣は現れるのか。

 奇想天外な旅のどこを切り取っても不思議なエネルギーが感じられてならなかった。それは、著者らが大真面目に怪獣探しに取り組んでいるからだろう。そこに異国・異文化ならではの苦労が加わる。おまけに、なんとも不思議な味わいの文章で、読者に探検を追体験させてくれるような雰囲気である。

 ネッシーやらヒバゴンやらイエティといった、UMA(未確認動物)に胸をときめかせた少年時代を思い起こさせてくれる、素敵な本であった。
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ノンフィクション | 2009/08/20(木) 23:52 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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705冊目 ホモセクシャルの世界史
ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)
(2008/08/05)
海野 弘

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評価:☆☆☆


 ギリシア・ローマ時代、人類が記録を取りはじめてから今日に至るまでのホモセクシャルを渉猟しているその扱う空間の広さと時間の長さは”世界史”と謳うに相応しい。

 プラトンがバイセクシャルだったことは広く知られている通り(そのため、プラトニックラブはバイセクシャルを指すべきだ)。しかし、当時、バイセクシャルは問題とされなかった。優れた教師と若い教え子がそういう関係になるのは、忌むべきことなどでは全くなく、自然な行為だったという。今に生まれたことを深く感謝せずには居られない。

 やがて、キリスト教がヨーロッパを席巻するようになると、快楽を得る手段としてのセックスは厳しく抑圧されていく。ホモセクシャルにとって受難の時代の幕開けである。宗教改革は更にこの流れを推し進める。この流れは今にまで至っており、現代ではホモセクシャルとヘテロセクシャルははっきりと区別されるようになっているのはご存知の通り。

 本書では著名なホモセクシャルを取り上げ、彼らが果たした文化的、社会的役割を論じるのと同時に、ホモセクシャルが社会にどう受け止められていたかを紹介している。私としては、ホモセクシャルであった個々の人物の話よりも社会の受け止めがどのような変遷を辿ったかの方に、より興味がある。それでも余りにも多様な人物が取り上げられているところに関心を呼び覚まされずには居られなかった。

 ただ、かなり広く取り上げているために、紹介されるエピソードは断片的になりがちで、どうにもまとまりの無さを感じてしまった。そのせいかどうか、中々頭に入ってこなかったのが残念。
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その他歴史 | 2009/08/18(火) 23:25 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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704冊目 三国志のすべてがわかる―駿馬・宝刀・武器・防具から探る英雄たちの戦略・戦術
三国志のすべてがわかる―駿馬・宝刀・武器・防具から探る英雄たちの戦略・戦術三国志のすべてがわかる―駿馬・宝刀・武器・防具から探る英雄たちの戦略・戦術
(2008/03)
阿部 幸夫

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評価:☆


 物凄く魅力的なタイトル。なにせ、私は三国志関連の本を少しは読んできたのだけれども、それでも分からないことばっかりです。と思って読んでみたのだけど、知ってるようなことばっかりだったよ・・・orz

 演義に立脚しているところはある程度は予想していた。それでも、まさか正史?なにそれ美味しいの?レベルで演義べったりとは思って居なかった。なので、武具については青龍偃月刀だとか蛇矛といったレベルに留まっている。駿馬は赤兎馬とか。せめて赤兎馬は通常の馬の寿命を超えているとかさあ、そういう話もして欲しいな。

 違うよ、俺が知りたいのはそんなことじゃないんだよ。兵士が持っていた武器だとか、その使い方だとか、兵種の組み合わせだとか編成だとか運用法だとか、そういうものなんだよ!!

 ・・・・・・商業的には失敗確定だろうけどさ。

 ただ、初めて三国志演義を読んだ人が復習として読む分には良いかも知れない。

 ヲタきもいって思われた方、その気持ちは分かります。分かるんですが止まらないんです。だってヲタですから・・・・・・。
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中国史 | 2009/08/16(日) 19:32 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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703冊目 父親のすすめ
父親のすすめ (文春新書)父親のすすめ (文春新書)
(2006/09)
日垣 隆

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評価:☆☆☆☆☆


 徹底した取材で知られる日垣さんが、3人の子の親として、自身が何を考え、どのように子育てをしてきたかを綴っている。

 まず、著者は世俗的な、高学歴やら一流会社への就職を子育ての成功と考えない。そう主張しながら我が子のこととなると途端に姿勢を変えるヒトもいるが、著者は違う。息子が生き物と関わって生きるのが好きだと言えば、子が偏差値30台の農学校に入るのを後押しする。

 では、何を重視するのか。それは、子が独り立ちするに当たって何が必要で、何が瑣末なことかということ。学歴だけ高くても無能であれば仕方が無い。その立場を徹底させている。その上で、学校に何を望みどう対応すべきか、親として何を成し何を禁じるのかについて、自分が行ってきたことを述べている。そのため、特に男親として何をすべきか、という点に集中している観もある。

 根本姿勢がずれていないのと、言行一致が著者の最大の特長だろうか。論理的で明快な文章をものとする著者らしく、読み易いのも魅力。そして、自分が無用と思うものをばっさり斬り捨てるところもまたそう。著者を苦手とする人は、将にそこを嫌うようだけど、私はこういう、ちょっと大人気ないところも好き。

 ただ、本代は小遣いと別に支出するとか、15歳になったら一人で海外旅行に行かせるべき、などは著者がある程度自由にできる金銭を持つから言えることのように思う。私もそうありたいとは思うが、なれるとは到底思えない。そのあたり、著者は知っていて書いていると思うのだが・・・・・・。まあ、それらの何が必要なのか、ポイントは分かるように書いてあるので、再現しようとする人は類似のことをやってみればいいと思う。
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ノンフィクション | 2009/08/15(土) 23:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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702冊目 気になる部分
気になる部分 (白水uブックス)気になる部分 (白水uブックス)
(2006/05)
岸本 佐知子

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評価:☆☆☆☆


 なんとも評価の難しい本である。とにかく言えるのは。めくるめく怪しい世界がここにあるということか。

 著者は上智大学を卒業後、洋酒メーカー宣伝部を経て翻訳家として活躍している、とのこと。しかし、訳している本がどうやらとってもヘンなものばかり。ヘンな本に引き寄せられる訳者は、本人もヘンなヒトだった、というのが本書のエッセイから伝わってくる。

 で、難しいのはこの先だ。本書は面白い。なんというか、常人には無い切り口で世界を切り取っていることが伝わってくるのだが、常人であるところの私にはどうしてもその切り口を上手く説明することができないのだ。

 嗚呼、こうしたとき、語彙が少なく、理解し得る世界観の狭い自分が呪わしくなる。だからこそ、言いたい。まずは読め。話はそれからだ。

 でも、話し始めたら、この本、ヘンだよねー。ばかりが連呼されそうなそんな予感がする。



 本書の存在はどこかのblogかウェブサイトかで知ったのだが、失礼ながらどこか失念してしまった。教えてくださった方にお礼を言えないのが残念。
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エッセイ | 2009/08/13(木) 23:02 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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701冊目 捏造の世界史
捏造の世界史 (祥伝社黄金文庫)捏造の世界史 (祥伝社黄金文庫)
(2008/04/11)
奥菜 秀次

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評価:☆☆☆


 世の中には、ヒトを担ごうとするヒトが沢山いる。もちろん、その背景には何らかの欲望がある。一番はカネ。次は、多分、名を残したいというものか。

 そんなわけで、金になりそうな捏造話というものが、世間には流布している。多くはあっという間に都市伝説の類に堕するが、一部は都市伝説の領域を超えて少なからぬ人が真実と信じ込むところまで行く。本書が扱っているのはこれら、捏造話について、である。

 扱われているネタは5つ。切り裂きジャックの日記、ヒトラーの側近マルティン・ボルマン、JFK暗殺、悪魔の棲む家、稀代の大富豪ハワード・ヒューズの数奇な人生。切り裂きジャックやマルティン・ボルマンは単一のネタを深く取り上げ、JFKは陰謀説の闇を広く照らす。悪魔の棲む家はノンフィクションとして売り出された本が最初から捏造だったことが暴かれ、ハワード・ヒューズでは一つの捏造話と、いかにもインチキっぽくはあるが謎の多い一つの事件を取り上げる。

 そのいずれも、実にマニアックに調査が行われている。陰謀論によほど造形が深いのだろうか、一般人にはただただ遠い世界に思われてしまう。マニアの世界の深さを感じられるのが印象的な一冊。

 ただ、世界史と名乗るには、余りにも現代の話に集中しているところが気になった。
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ノンフィクション | 2009/08/11(火) 23:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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幼稚園に包丁男現る
 幼稚園のイベントで、園庭にて親子手作りピザのイベントが開かれたのでした。嫁のヒトはバイトのため、男2人で包丁持って幼稚園へゴー。私が持つのでも既に既知外に刃物と思う方も居るかもしれないが、それでも息子が持つ方が更にヤバイ。なので、刃はタオルでぐるぐる巻き。

 辿り着くと、結構な数の親子が集まっている。それなのに母親欠乏なのはうちともう一組くらいだったり。同じ座席に着いた組で順繰りにピザを作るということに。結果は、恐らく偶然ではなく母親欠乏症のうちともう一組が組むことになった。

 偶然じゃない、というのは、一般に母親同士のコネクションが強いため、仲の良い母親どうしで組を作ってしまうからだろう。決して私が雰囲気も読まずに読書に励んでいたためではないことを、強く申し上げたい。

 なんと、まずはかまど作りからスタート。ダンボールで工作をするのであるが、昔から私が得意なのは破壊工作くらいなので、一抹の不安を覚える。しかも、斬った貼ったが大好きな息子がやる気満々。不安は倍増だ。それでも何とか組み立てを終えると、後はピザを作るばかりなり。

 既に調合された白い粉末に、無色透明の化学物質であるところのジヒドロ-モノオキサイド(DHMO)を添加。これを攪拌することで有機化学反応を誘発させる。ここにある種の菌を散布し、酸化還元反応を行わせると、ピザの生地の完成である。この際、グループ内で菌の散布量を変えることにより、酸化還元反応量を制御し、同じタイミングで生地を練り始めても焼く時間をずらす。なにせ、グループに一つしかかまどが無いからね。

 包丁によるバラバラ事件が勃発するのはこのタイミング。息子と一緒にベーコンを叩き斬ると後は危ないので息子にはおやつを与えて体よく厄介払い。引き続き、茄子、パプリカ、玉葱を斬って斬って斬りまくる。玉葱は切る前に水に浸しておいて涙を防止。涙は良いのだけど、鼻水塗れだとイヤンな感じだから。舞茸に至っては、千切っては投げ千切っては投げで、かくして具の準備も完了。

 程よく化学反応の進んだ生地を引き伸ばし、ピザソースの塗布&具とチーズを散らす。このあたりは親子でできる楽しいイベントである。といっても、子どもの集中力が続く時間に限り、だけど。

 かまどに放り込んで、お片づけが終わると、暫し園庭で遊ぶ。息子は砂場でウルトラマンごっこに興じ、傍でままごと遊びをする女の子からいかにも邪魔そうな目を向けられていた。男女の間には深くて広い溝がるのだよ。この頃から。学んで置きなさい。

 そうこうしているうちにピザが完成。

ピザ


 食欲に負けた父は、完成品の写真を撮る予定をすっかり忘れ、ピザを取り分けてから己の失策に気付いたわけです。

 ところが、息子ときたら待っている間におやつを食べて満足してしまい、ピザは食べなかった。おとーさん、自作ピザを食べるために休日を使うのは嫌だよう。

 これを骨折り損のなんとやら、というかは難しい判断だなあ。まあ、嫁のヒトのいない休日を、それなりに息子に楽しい思いをさせて過ごせたのだから良いとするか。
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雑記 | 2009/08/09(日) 23:36 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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700冊目 自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝
自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝
(2007/02)
レスリー デンディメル ボーリング

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評価:☆☆☆☆


 様々な分野において、人体実験は必要である。例えば薬の治療効果。これらは治験などという見目麗しい名前を与えられているが、やっていることは人体実験に他ならない。極力安全に配慮して行われているということだけが唯一特筆されるべきことだろう。あるいは宇宙飛行士。彼らが行っているのは、将に実験に他ならない。だからこそ、地球に戻った後は厳密な医療検査が行われてきた。

 本書は、その人体実験の中でもとりわけ、自分の体を使って実験を行った科学者たちを取り上げている。

 人間はどこまで熱に耐えられるのか。消化とはどのような現象なのか。麻酔や心臓カテーテルが用いられるようになるまで。致死性の高い疫病の感染経路を突き止める。危険に対処する。

 取り分け胸を打つのは、医学実験であろう。キューバやアメリカで多くの犠牲者を出していた黄熱病の感染経路を調査するために、自ら実験台となったジェシー・ラジアは、蚊が黄熱病の病原体を媒介することを示すことに成功した。しかし、彼の命は黄熱病に奪われてしまったのである。このあたりは『ウイルスの脅威―人類の長い戦い』にかなり詳しく書かれている。

 また、手術の際に先人に感謝せずに居られない、麻酔。3人の男が、誰が第一発見者かを巡って激しく争ったものの、誰も麻酔によって満足のいく人生を送ることができなかった。こちらは120冊目で紹介した『エーテル・デイ―麻酔法発明の日』がメインテーマとしている。

 有名どころも顔を見せる。その最大の人物はマリ・キュリーだろう。キュリー夫人として知られる彼女は、夫のピエールと共に1903年にノーベル物理賞、1911年には単独で同化学賞を受賞する。おまけに娘のイレーヌも夫婦で同化学賞を受賞するという偉業を成し遂げる。

 彼女を取り上げているのは、夫婦で病気の細胞に放射線を照射すると、病気の細胞が死んで健康な細胞が再生されるという発見を自らの体で行ったものである。しかし、本書で紹介される他の点は、単純に科学者として新たな元素であるラジウムの発見に注力した、

 次の有名人はJ・B・S・ホールデンだろう。危険なガスとどう付き合えばいいのか、ホールデンとその父は熱心に研究したという。それがなければ、炭鉱や潜水艦などで更に多くの犠牲者が出たに違いない。

 なぜ彼らは自分の体を使っての過酷な実験に挑んだのか。それは、危険である以上、他人の体を使うわけに行かないと考えたためである。彼らの実験は可能な限りコントロールされたものが中心であり、単なる無謀とは一線を画すべきものだ。そして何より、それらの実験から得られたものの多さは特筆すべきである。

 異色の科学者列伝であり、異色の科学史でもある。加えて、読み物としてとても面白い。科学が拓いてきた地平の一端を垣間見ることができる本だと思う。



 これで700冊目。随分来たなあ。
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科学者 | 2009/08/08(土) 22:38 | Trackback:(0) | Comments:(1)

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699冊目 戦争する脳―破局への病理
戦争する脳―破局への病理 (平凡社新書)戦争する脳―破局への病理 (平凡社新書)
(2007/12)
計見 一雄

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評価:☆☆☆☆


 「戦争は人類最大の狂気」と言われることがある。しかし、この言葉は思考停止だ。戦争についても狂気についても何も説明できていない。著者は喝破する。

 では、戦場で実際にある狂気とは何か。著者は精神科医として、救急医療に携わった経験と文献を元に、どのような精神疾患が兵士に襲い掛かるのかを説明してくれている。加えて、治療方法が如何にして見出され、どのような治療効果が期待できるのかも示されている。

 戦争を積極的に進めようとするのは、戦場を観念的にしか知らない人々だという。我々、戦争をリアルに知らない人々が観念だけで判断するのがどれほど危険か、その一端を見せてくれていると思う。議論は十分にするべきだろうけれども、そこにリアルがないことを直視せよ、といったところだろう。

 リアリティのない戦争は、日本がつい先の戦争で体験したものだ。兵士をリアルに扱わず、補給も休息も不足した状態で戦いを継続させた。その結果が、余りにも多くの餓死者であり、戦病死者だった。このあたりの、リアルさを欠いた戦争の悲惨さについてもかなり触れられている。こちらは参謀などの脳といった扱い。

 兵士たちに何が起こるのかと平行して、戦争指導者、軍の上層部など、広く取り上げていてバランスが取れている。いかにも入門に相応しい新書としての役割を十分以上に果たしていると思う。
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医学・脳・精神・心理 | 2009/08/05(水) 23:47 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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698冊目 そこにシワがあるから──エクストリーム・アイロニング奮闘記
そこにシワがあるから──エクストリーム・アイロニング奮闘記そこにシワがあるから──エクストリーム・アイロニング奮闘記
(2008/10/16)
松澤 等

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評価:☆☆☆☆☆


 極限に挑むスポーツ。それがエクストリーム・スポーツである。スケートボードでハーフパイプを攻めるような、将に極限に挑むスポーツ。他にエクストリーム・聖火リレーが知られる。

 とりわけ認知度が高いのが、このエクストリーム・アイロニングであろう。極限のアイロンがけ。イギリス人のユーモアから始まったであろうこのスポーツ(?)は、いつしか英国のを超え、世界に広がって行った。

 大変に興味深い、この異端のスポーツを知らないと言う方のために動画を貼っておく。



 本書は、日本におけるエクストリーム・アイロニングの第一人者であり、エクストリーム・アイロニング・ジャパンの代表である松澤さんが、エクストリーム・アイロニングに出会うまでと、出会ってから現在までの活動の記録を記したものである。

 アウトドアスポーツの面白さとアイロンがけによる精神の充実を共に味わうというこの競技だが、しかし余りにも奇抜なスタイルから世間の理解は中々得られないという。それでもEIJのメンバーは、今日も爽快なアイロンがけを目指して過酷なトレーニングを行う。あるときは山頂で、ある時は海底で、あるときはカヌーで、彼らはアイロンをかけ続ける。

 まったく、ジョークも行き過ぎではないか。

 そう思う向きもあるかもしれない。しかし、本人達が至って真面目であることが本書を読めばしっかり伝わってくる。遊びやジョークで終わらせない、真剣な取り組みだ。だから、例えばアイロンがけも、ポーズだけではない。例え山頂に赴くのだとしても、25キロの発電機を担いでよじ登り、スチームアイロンでしっかりとシワを伸ばす。そして、帰りはゴミ拾いまでして帰ることで、競技場への敬意も忘れない。

 また、無謀なことはやらない。自然を相手にする以上、危険は避けられない面もある、しかし、エクストリーム・アイロニングはスポーツであるから、単なる無謀なマネはしない。しっかりと元になるスポーツを極めた上で、初めて成り立つ過酷なスポーツなのだ。

 私もジョーク本の積もりで手に取ったのではあるが、著者の一途さに感銘を受けてしまった。この、ジョークセンスに溢れてはいながらも過酷なスポーツがどう進化していくか、見守っていきたい。
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雑記 | 2009/08/03(月) 23:03 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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697冊目 物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国”
物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)
(1994/11)
波多野 裕造

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評価:☆☆☆


 アイルランド。イギリスの西方に浮かぶこの島国で知られていることと言えば、長くイギリスの支配によって苦難を舐めてきた歴史だろう。

 ヘンリー8世の離婚問題に絡み、プロテスタント化したイギリスはカトリックが大勢を占めるアイルランドにもプロテスタントを押し付け、大量の移民を経済発展の進んだ北部に送り込んだ。それが、IRAの爆弾闘争などのテロに結びついていく。

 では、なぜ、どのようにしてアイルランドはイギリスの支配を受けるようになったのか。それを知るには、もっと過去に遡ってアイルランドの歴史を辿らなければならない。

 本書はローマ時代、ライバルの文献に現れるケルト民族とアイルランドから筆を起こしている。ケルトは文字を持たなかったので、アイルランドの歴史を知るには他民族の記録を見なければならないのである。この点、日本の歴史を知るために漢書や三国志を紐解かなければならないのと状況が似ている。

 中世の豪族同士の争いが外国勢力を呼び込み、それがイギリス支配を招いたこと、イギリスからの独立運動の流れ、ジャガイモ飢饉など、現在のアイルランドを知る上で欠かせない知識が一通り網羅されているのが魅力。なにぶん、やや古い本なのでIRA停戦後の状況など、最新の情報には欠ける。しかし、アイルランドに興味がある方は手に取ってみて欲しい。
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その他歴史 | 2009/08/01(土) 14:50 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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