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Author:Skywriter
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BK1書評の鉄人31号。
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663冊目 心理学への異議―誰による、誰のための研究か
心理学への異議―誰による、誰のための研究か (心理学エレメンタルズ)心理学への異議―誰による、誰のための研究か (心理学エレメンタルズ)
(2005/05)
フィリップ バニアード

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評価:☆☆☆


 有名な心理学上の実験というのがある。例えば人間は権威に従いやすいものだということを示したミルグラム実験。これはホロコーストで大きな役割を果たしたアイヒマンが、実は何処にでも居るような平凡な人物に過ぎなかったことを説明するのに使われる。あるいは社会的立場の強者と弱者の間に虐待が頻繁に発生することを示したスタンフォード監獄実験というようなものもある。

 これらの実験結果が、人間のある一面について説明していることはまず間違いないだろう。だからこそ、多くの人々が実験結果を受け入れているのだ。

 ところが、実験結果は国によって随分異なる、と聞けば意外ではなかろうか。心理学という学問を行う主体である科学者自身が、心理的なトラップに囚われている。研究者がアメリカに集中しているので、心理学が語る真実なるものはアメリカ人にとっての真実、ということにもなりかねない、と著者は指摘する。その証拠として挙げているのが論文の引用なのだが、アメリカ人の学者は引用する際にも他のアメリカ人の研究を引用し、イギリス人の学者はやはり他のイギリス人の研究を引用する。

 心理学の本を読んでいても触れられることの少ない、この事実は重要だろう。心理学は文系学問の中では比較的学術的な分野ではあるが、それでもこういった限界を抱えているというのは示唆に富んでいる。心理学に興味があり、研究成果を追いかけたい、という方はこの点に注意をしていかなければならないだろう。貴重な視点を与えてくれたことに感謝したい。
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医学・脳・精神・心理 | 2009/05/31(日) 16:45 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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662冊目 ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人
ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人 (中公新書)ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人 (中公新書)
(1996/04)
中村 方子

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評価:☆☆☆☆


 晴れた日なんかの道路で干乾びているのを見かける、ミミズ。この取るに足らないとも見える生物を、進化論で知られるダーウィンが深く研究していたのをご存知だろうか。ダーウィンが死ぬ一年前に、その成果は『ミミズと土』に結集した。

 著者はこのダーウィンの研究によってミミズへの興味を駆り立てられ、遂に世界各地のミミズを研究する機会に恵まれた。全長3.6m(!)の固体が発見されたこともあるオーストラリアの巨大ミミズを始め、パプワ・ニューギニア、ハワイ、ポーランド、ケニア、モンゴル等等と広く世界にミミズを尋ねることで、植生や気候とミミズの関係を明らかにしている。

 ミミズが多い場合と少ない場合で、有機物の分解速度が全く違うことを実験で示すなど、興味深い話題が尽きない。また、ミミズは食物連鎖上も重要な位置を占める。釣りの餌になるだけではなく、ミミズがいるから豊かな自然がある、と言っても過言はなかろう。

 本書は新書らしくミミズという身近にはいるのだが中々知る機会の無い動物についてよく纏められている。ミミズに親しみが沸くと共に、研究生活の記述から、フィールドワークへの興味も沸いてくる。自然科学好きには気に入られるのではないかと思う。
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生物・遺伝・病原体 | 2009/05/30(土) 17:28 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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661冊目 宇宙史の中の人間―宇宙と生命と人間
宇宙史の中の人間―宇宙と生命と人間 (講談社プラスアルファ文庫)宇宙史の中の人間―宇宙と生命と人間 (講談社プラスアルファ文庫)
(2003/04)
海部 宣男

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評価:☆☆☆☆


 人間に限らず、生物の材料に使われている主要な材料(原子)はCHONと言われる。即ち、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)である。ところが、ビッグバンで作られた原子は水素、ヘリウム、リチウムだけ。このことから分かるのは、我々の体そのものが宇宙の進化の結果であり、過程であるということだ。

 ビッグバンから140億年という長い歳月のうちに、生物を生み出す複雑な現象が起こってきた。本書は人間の存在を宇宙史の中から捉えなおそうとする意欲作である。

 ビッグバンから後の物質の進化、地球が惑星として辿ってきた道、地球上での生物の誕生と進化など、実に多くの話題を扱っている。人類誕生までの壮大な歴史を語るにはそれが必要なのだ、ということに改めて気付かされる。

 そのため、あるときは宇宙論、あるときは古生物、あるときは歴史と、様々なジャンルに寄り道しつつ、人類の今を説明している。本書の価値を高めているのは、そのどれもおざなりになっていないことだろう。自然科学の面白さが凝集されているように思う。
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素粒子・宇宙論 | 2009/05/28(木) 23:46 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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660冊目 宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ
宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ (新潮文庫)宮崎勤事件―塗り潰されたシナリオ (新潮文庫)
(2003/08)
一橋 文哉

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評価:☆☆☆


 日本の重大犯罪のリストを作れば必ず載るであろう、宮崎勤事件。

 余りにも残虐で、悲惨で、そして犯人の訳分らなさによって知られるこの事件がなぜ起こったか、真に納得している人はいないだろう。著者も事件を報道から伝えられる情報だけでは到底納得し得ない一人として、自分なりに納得できるよう、調査を開始する。

 犯人の部屋、例のビデオやマンガで埋め尽くされたあの部屋の写真がマスコミによって流された経緯にも警察の裏事情が絡んでいたことのように、意外な事実が少なからず明らかにされている。また、公判や供述などを丁寧に追いかけることで、犯人が極めて狡猾であることにも改めて気付かされる。この20年ほども前の事件を掘り返して新たな事実を付け加えたこと、マスコミの多くが直近の事件にばかり注目することで忘れられがちな過去の事件の詳細を報じていることの二つは本書の価値を高めているだろう。

 それにしても、改めて見返せば見返すほど、陰惨すぎる事件としか言いようが無い。死体に加えられた暴虐は勿論、遺族を嘲弄する行動に幾度と無く怒りを覚えずには居られなかった。犯行後の隠蔽工作や犯行声明などを考えれば責任能力や判断力があったことは疑い得ないのだから、彼が死刑になるのは当然だ。で、正常かどうかという話をするのであれば、正常ではないだろう。ネズミ人間などという狂言を信じるからではなく、正常なら犯せない犯罪なのだから。

 では、犯人を知れば犯行を理解できるようになるのかというと、そうは思えない。犯人と近い精神構造を持つ人間以外には、決して彼の心は理解できない。人間は他人の心を理解なんて出来ず、自分の感じ方や考え方から相手のそれを推し量るしかできないのだから当然である。

 従って、再発を防ぐということならば、客観的な危険因子を見つけるための活動が必要なのだろう。それは遺伝的なものや栄養学的なものかも知れないし、生育歴や心理学的なものかもしれない。本書がそうした活動に繋がっていけば更に価値が高まるのかもしれない。
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ノンフィクション | 2009/05/25(月) 22:39 | Trackback:(1) | Comments:(0)

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659冊目 大学教授 コテンパン・ジョーク集 - Classic Jokes and Puns on Professors
大学教授 コテンパン・ジョーク集 - Classic Jokes and Puns on Professors (中公新書ラクレ (183))大学教授 コテンパン・ジョーク集 - Classic Jokes and Puns on Professors (中公新書ラクレ (183))
(2005/07/11)
坂井 博通

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評価:☆☆


 世の中には色々な種類のジョークがある。ロシアのブラックジョークやイギリスのユーモア、人類には決して笑いのツボを理解することができないと言われるアメリカンジョークなどが知られている。これらジョークは、思い込みを裏切るところに笑えるところがあるのだろう。前振りを聞いて勝手なストーリーを組み立てていたのが、オチで覆される楽しみ。

 では、大学教授と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。土屋教授?もっと他の教授を思い浮かべるようにしてください。え?大槻教授?もっとまともな教授を思い浮かべてください。

 上記のジョークそのものの人々を除けば、一般的に「お堅い」、「ジョークの通じない」、といったところではないか。そこに思い込みを覆すようなタイトルの本である。手に取らないでいられようか。

 勇ましく本書を手にとり、読み始めたのは良いのだけれども、残念ながら学部ごとの教授の違いというものに、私は全く知識が無かった・・・・・・。

 多くの学部の大学教授を熟知している人など少ないだろう。そのため、○○学部の教授はなんとかで、××学部のはなんとかで、とジョークをやられても笑うべきツボが分らないものが多々あった。ロシアのブラックジョークは、強制収容所の実際の恐怖を知らない人間にも笑えるところがあったのに、より身近であるはずの大学教授のジョークで笑えないというのは残念。

 エスニックジョークがたとえ忌避されるべきものだとしても、それが笑えるというのはどういうことか。恐らく、心の琴線に響くからこそ人々の間に広まったのだろう。それを下手に弄ってしまうと逆に面白くなくなってしまうのだろう。本人は楽しかったようだが・・・・・・

 気になるところもある。本書に収録されているジョークのほとんどはオリジナルなものというよりも有名どころのジョーク、とりわけエスニックジョークを教授に置き換えている。エスニックジョークにやや批判的な目を向けていながら、教授にはステレオタイプな見方で片付けてしまうのは矛盾ではないのか。

 と、不満も少なく無いのだけれども、ヒット率の少ないことを押さえた上で、ジョークの部分だけ読めば面白いジョークも少なからずあるので、そこだけ拾い読みするのが一番かもしれない。
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未分類 | 2009/05/23(土) 17:20 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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658冊目 告白
告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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評価:☆☆☆☆


 ある中学の終業式、女性教諭が「娘は殺された。しかも犯人はこの中にいる」、と語る。そこから始まる復讐の物語である。

 章ごとに視点が変わる。それによって各人物が事件でどのような役割を果たし、それに対してどう思ってきたかを重層的に描き出すことに成功していると思う。

 この小説は、犯人が誰なのかを巡って丁々発止の遣り取りをする物語ではないので、誰が犯人なのか、そして事件の概要はどのようなものであったか、第一章で明らかになる。ところが、章が進むにつれて事態は思わぬ方向へ向かっていく。

 事件の概要はそのままでも、張巡らされた伏線が回収されるたびに細部が明らかになるので、ページを捲る手が止まらなかった。この辺り、新人離れしているとの評判はそのとおりだと思う。

 子の親だからだろうか、冷静で淡々と復讐をやり遂げようとする女性教諭の気持ちがとてもよく理解できたように思う。でも、逆だったらどうなるんだろう。加害者の親になってしまったら。それは、いつかきちんと向かい合わないといけないのだろうと思う。そこに向かい合わないと、我が子を加害者にさせないために何ができるのかも考えられないだろうから。なんてことをつらつらと考えてしまった。

 本書は決して後味の良い話ではない。レビューで賛否が分かれているのは当然だろう。私としては絶賛には至らないが一気に読める小説だと思う。
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その他小説 | 2009/05/21(木) 22:07 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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657冊目 あほらし屋の鐘が鳴る
あほらし屋の鐘が鳴る (文春文庫)あほらし屋の鐘が鳴る (文春文庫)
(2006/03/10)
斎藤 美奈子

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評価:☆☆


 世のオジサンの勘違いをバッサリ切り捨ててしまうという、大胆なことに著者が挑む。切り捨てられてしまうのは、例えば『テロリストのパラソル』。なぜこれが支持されたかの理由を列挙した上で、ハードボイルド=男性用のハーレクインなんていう指摘は中々のもの。

 この調子で、『失楽園』やら竹内久美子やら石原慎太郎やらを次々と俎上に上げるのだけれども、的を射ていると思うものもあれば、何を見当はずれなことをいっとるのかと呆れるものもある。バッサリ斬るという既定方針がある以上仕方が無いかもしれないけれども、無理に突っ張ってみせる若者っぽさが感じられてしまう。で、若い人がやっていればまだしも、同世代のヒトがやってると、痛いなあ、と思ってしまうわけですよ。

 例えば『ゴーマニズム宣言』を取り上げた回では、若い層が民族主義や軍国主義をよりどころに暴れだしたらどうするのか、侵略戦争はできないだろうけど内乱になったらどうする、などと的外れな恫喝をしている。その根拠が、世界の経済的に破綻した国で起こっているのがそれだ、と。短絡的過ぎる。

 二次大戦の頃まで、戦場を支えた兵員はどういった人々だったのかと言えば、農家の次男三男なわけ。要するに、家に居てもあぶれるし、かと言って都会に出てもやることがない若者が沢山居たのですよ。信じられないというなら、貴方の祖父母が何人兄弟か考えてみれくれれば良い。

 過去の、現在とは全く違う状況の一面を取り上げて現在の不安を煽るのに何か効果があるのだろうか。少し冷静になって欲しいわけです。

 また、亡国五輪音頭というタイトルの回では、五輪報道のよいしょっぷりが戦時中の報道に似ていると指摘した上で、「しかし、万一もう一度戦争になったら、日本は勝てるのでしょうか。その点だけは不安です。」などとお気楽なことを言う。でも、この質問は無意味すぎる。どこの国とどのような戦争をするのかを考えないで、次に戦争やって勝てるか、なんて曖昧な質問、どんな答えも自由自在ではないか。

 例えば、アメリカと全面戦争をする、となれば負けは分りきっている。では小国と限定戦争をやったらどうなるか、といえば日本が勝つ可能性が高い。でも、小国相手でもその国を占領し、維持することを目的にしたら勝てない。具体的に言えば、一部の大国を除いて、フォークランド紛争レベルの戦争をやるなら勝てるよ。

 だから、仮定をするなら、検証できるようにしてくれないと困る。どちらにでも取れるような文章で逃げていたら、言質を取られたくないだけだろ、となってしまう。

 後半の女性誌分析は無視。これまで読んだこともなければ今後読む予定も無い雑誌の内容を分析してくれても私には無価値である。それに、分析が正しいのか判断しようも無いし。

 全体としてみたら、やっぱりこの人の文章、余り好きじゃないなあ。一刀両断っていうのは、感性が合えば小気味よく感じるものだし、合わなければドンキホーテのような蛮勇に感じられるものだから仕方が無いかもしれないけど。

 というわけで、著者にはもうちょっとの成長を期待します。
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エッセイ | 2009/05/20(水) 23:19 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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656冊目 SとM
SとM (幻冬舎新書)SとM (幻冬舎新書)
(2008/03)
鹿島 茂

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評価:☆☆☆☆


 ご存知、フランス文学者鹿島茂さんの、SとMに関するエッセイ。その由来、Sは勿論、サド、Mはそれと比べると知名度がダントツに劣るマゾッホである。

 で、それらがどういう性癖を示すのかというのは多くの人がイメージでは知っているだろう。ところが、本書のプロローグで、いきなりこんな文章に出くわして、読者は仰天することになる。

 あなたは、郵便物をどんなふうに開封するでしょうか?
 「封筒に、ていねいにハサミを入れる」 →あなたはサディストです。
 「封筒を、ビリビリとやぶいてしまう」 →あなたは、マゾヒストです。
P.9より


 そこからSMとはどのようなものなのかという講釈が始まる。ところが、そこで通りいっぺんの説明だけで留まらないのが著者の著者たる所以だろう。キリスト教とSMの関係やら、SMの現場のヒトが語る現実のSMやら、日本のSMと西洋のSMの違いやらと話が様々な方向に向く。

 処女性を余りにも重んじたため、未婚の男女が愉しむために肛門性交が多用された、というような人間の欲望の果てしなさを示すエピソードが中々に笑える。そうだよなあ。したいよなあ。特定の社会集団、例えば青年だとか少年だとか女性だとか未婚者だとかに、性とは関係ないという幻想を抱くのは勝手かもしれないけど、性が生物にとって大切なものである以上、そんな決め付けは無意味だよなあ。そんな風に思ってしまう。

 なぜその自然の発露としての性欲が、SMという繁栄だとかなんだとかといった生物学的要請から離れた方向に行くのか。著者が提示する答えは、SMはある種、文明の産物である、というもの。本書を読めば、著者の思わんとするところがなんとなく伝わってくる。SMにも歴史やら伝統があって、これではもう文化というしか無いのだなあ、と。

 というわけで、本書は異色の文明論と言える。普段なら目に留まらない、裏の世界の広さと深さを垣間見せてくれる見事なエッセイと思う。

 ただ、本書は決してSMへの手引書などではないので、その手の本を期待する方は他に当たるのが良いだろう。


 余談だが、サドの小説、例えば『ソドム百二十日 』だとか『美徳の不幸』だとかといったものを、エロティックな期待を込めて読んだら多分失望する。なぜかというと、ええと、深くは聞かないでください。とにかく、ほとんどの日本人の感性には合わないと思いますです、ええ。Sのヒトも含めて。一方のマゾッホの『毛皮を着たヴィーナス』の方が分るのではないか。Sのヒト含めて。
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エッセイ | 2009/05/18(月) 22:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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655冊目 失われた化石記録―光合成の謎を解く シリーズ「生命の歴史」〈2〉
失われた化石記録―光合成の謎を解く シリーズ「生命の歴史」〈2〉 (講談社現代新書)失われた化石記録―光合成の謎を解く シリーズ「生命の歴史」〈2〉 (講談社現代新書)
(1998/03)
ジェイムズ・ウィリアム ショップ松井 孝典

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評価:☆☆☆☆☆


 生命の歴史をどんどん遡って行ったとして、一般の人が辿り着くのは恐竜が関の山だろう。稀にカンブリア紀の怪物、オパビニアやらハルキゲニアやらアノマロカリスといった生物を思う浮かべる人もいるかもしれない。

 しかし、カンブリア以降の生物の歴史には、それに先行する生物の歴史がある。カンブリア紀は5億4500万年前から始まっているが、生物の歴史はどうやら35億年程もあるらしい。つまり、カンブリアの怪物が生まれる前、既に生物は30億年の進化の歴史を持っていたのだ。

 生命最初の時期(というか生命の歴史全体の殆どの時期なのだけど)に何が起こっていたのか。また、どうして35億年も前のことが分るのか。本書は無生物の時代から地球中に生物が広まって行った、興味を持つ人は少なくても今の生物にとっても極めて重要な、この太古の時代を生き生きと描き出している。

 また、研究者たちの姿が生き生きと表現されているのも魅力。最初の発見が攻撃され、無視されていったところや、一度生物の痕跡が間違いないとされた後の爆発的な知見の増大。これらは科学の営みそのもので、健全な懐疑主義もあれば、探究心や野心も見えるのが面白い。

 事実そのものの面白さと、科学者の営みの面白さ。その二つが揃っているのだから無敵といっていいだろう。一気に読んでしまった。


 尚、この辺りの話については随分前に紹介した『生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡』がかなり詳しく、より専門的なので、本書に興味が沸いた方にはこちらもお勧めしたい。

 また、この「生命の歴史」シリーズには 『カンブリア紀の怪物たち―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉 (講談社現代新書)』の著者、サイモン・コンウェイ・モリスはバージェス頁岩に閉じ込められたカンブリア紀の奇妙な生物を解明するのに中心的な役割を果した科学者。本書も面白いので古生物に興味がある方はぜひ。
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地球史・古生物・恐竜 | 2009/05/16(土) 14:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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654冊目 ボートの三人男
ボートの三人男 (中公文庫)ボートの三人男 (中公文庫)
(1976/07)
ジェローム・K.ジェローム

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評価:☆☆☆☆☆


 これまたマリさんのbook diaryこちらのエントリで本書の存在を知った。ユーモア小説ということで手にしたのだが、期待を上回る出来でとても困った。なぜ困ったかというと、電車の中で読んでいたから。

 どのような小説家というと、大英博物館の書籍より、自らの身がありとあらゆる類の重篤な病に犯されていることが判明した主人公が、同じような仲間と休暇を取り、テームズ川をボートで旅するという話。

 ストーリーの紹介としては上記でほぼ全てが足りてしまう。そんだけで一冊小説になるのか、と問われても、なってしまうのである。これが。具体的には、なにかが起こると付随して昔話をしてみたり、仲間同士で莫迦をやりあったりしてみたりと、話がわき道に逸れ続けることで。

 このあたり、随分前に読んだトリストラム・シャンディを髣髴とさせる。トリストラム・シャンディ 上は漱石がほれ込んだという話の、やはりイギリス小説。彼の地ではこういった諧謔小説が多いのだろうか。

 畳みかけるかのように次々とユーモアが飛び出してくるので笑いを止める暇が無い。それなのに、元は真面目な紀行文として書かれる予定だったというからますます驚き。確かにそれっぽい記述はあって、雰囲気が随分違うこともあるのだけれども、とてもそうは思えなかった。笑いの中に歴史やら文化やらを織り込むというのは大変なことだろう。そして、それができているから本書の評価は高いのだろう、と思った。

 などと七面倒くさいことを考えるよりも、とにかく楽しく読んで笑っておしまいにするのが一番の読み方かもしれない。
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その他小説 | 2009/05/13(水) 23:28 | Trackback:(0) | Comments:(2)

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653冊目 アフリカの白い呪術師
アフリカの白い呪術師 (河出文庫)アフリカの白い呪術師 (河出文庫)
(1996/11)
ライアル ワトソン

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評価:☆☆☆☆


 白人でありながらアフリカで呪術師となった青年の人生と、彼の発見について魅力的にまとめられている本。

 アフリカに残された多くの遺跡から読み取れることを紹介しているのだが、これが本当なら未開の状態のまま出アフリカを遂げたというのが信じられなくなる。アフリカで暮らした我々の祖先は、その時点からかなりの文明を持っていたという。

 俄かには信じられない話だろうが、実は私は信じていない。ストーリー・テラーとしてのライアル・ワトソンは高く評価されて然るべきだと思うのだけれども、イマイチ信用できないのが難点だから。なにせ百匹目のサルの人だからなあ・・・。事実として読むのではなく、小説として楽しむくらいの距離感で読むのなら、とても楽しい本だと思う。

 信用度は別として、アフリカの呪術的な生活が生き生きと描かれている。呪術が生活に密着しているのだが、そこには暗さが無く、人々は自然と調和して生きているように描かれている。この描き方はそれはそれでステロタイプなのかもしれないけれども、それでも遠い世界を近しく感じさせてくれる効果はある。

 ライアル・ワトソンの名を広く知らしめた本だけのことはあり、楽しく読むことができた。繰り返すが、信用ならないという欠点はあるが、読み物としては面白い。なので、眉から唾が滴り落ちるくらいにして読めばとても楽しめると思う。


 なお、百匹目のサルをパロった百羽目のペンギンという雑文、私はとても好きです。
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その他小説 | 2009/05/11(月) 23:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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652冊目 疑似科学入門
疑似科学入門 (岩波新書)疑似科学入門 (岩波新書)
(2008/04)
池内 了

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評価:☆☆☆


 人が夢見てきたことを叶えてきたのは科学であり、技術である。遠くまで楽に移動したいという夢は車や電車として結実し、空を飛びたいという夢は飛行機やヘリコプターとして実現した。遥か彼方の月に行きたいという夢すらアポロ計画が叶えてしまった。

 しかし、それらは永続的な幸せを意味しなかった。というよりも、すでにこれらの技術は社会に組み込まれ、空気のように当たり前の存在となっていったといのが正しいだろう。

 こういった社会基盤に、オカルトの出番は無い。どんなに占いが好きな人を連れてきても、占い師が設計した飛行機と普通の飛行機、どちらに乗るかと問われれば普通の飛行機が選ばれるに決まっている。

 ところが、社会基盤になっていない分野にはあらゆる類のオカルトが生きている。あるものは血液型やら星占いやらのように根拠が無いものであったり、あるものはマイナスイオンに見られるように科学用語を使って人々を幻惑する(その最たるものは二酸化炭素による地球温暖化論と私は思っている)。またあるものはホメオパシーのように健康を得られるというタイプの恫喝に走る。

 著者はこれら非合理的なものを3種類に分類する。以下の通りである。

第一種疑似科学・・・占い、超能力など非合理的なもの
第二種疑似科学・・・永久機関や水ビジネスなど科学を装ったもの
第三種疑似科学・・・科学が不得手とするもの

 こうやって分類しているお陰で、論そのものはとても分かりやすくなっている。加えて本書が独特なのは、第三種疑似科学として、狂牛病のプリオン説や地球温暖化論、電磁波がガンを引き起こすか、など、科学で正当とされている論まで取り上げているところだろうか。正しい疑問を持とう、自分できちんと考えよう、という著者の姿勢には全面的に賛同したい。

 考える根拠にするために、本書で取り上げられている事柄はとても役に立つのではないか、と思う。

 しかし、残念ながら褒めるだけでは済まない。第三章の”疑似科学はなぜはびこるのか”でインターネットを論じるあたりはどこかで聞いたような話ばかりで面白くない。

(略)例えば、自殺へと誘い込むサイトがあり、ポルノを自由に閲覧できるサイトが開設され、幼児の死体を展覧していたサイトもあった。倫理意識が希薄になり、一面的なものの味方を露骨に表現しているのだ。
P.104より。強調は引用者による


 強調の前と後ろ、論理展開が余りにも突飛過ぎる。こんなのは、実のところインターネットが齎した問題ではない。元々、人々の欲求にあっただけの話だ。特にポルノに関しては昔からビニ本やらアダルトビデオという形で連綿と続いてきたものがネット上に移っただけ。自殺へと誘い込むサイトだって、別に倫理意識が希薄になったからできたものでもあるまい。そこに集う人々にしても鬱やら何やらで死にたくなっただけの普通の人々だろう。

 こういった、著者の想像で書いているところはどうしても評点を下げることになってしまう。科学者が書いたというだけの、あまり面白みのないエッセイになってしまっているのが残念。全体的には面白いのだが・・・・・・。
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反疑似科学・反オカルト | 2009/05/09(土) 16:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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651冊目 明石元二郎―日露戦争を勝利に導いた「奇略の参謀」
明石元二郎―日露戦争を勝利に導いた「奇略の参謀」 (PHP文庫)明石元二郎―日露戦争を勝利に導いた「奇略の参謀」 (PHP文庫)
(2005/06)
野村 敏雄

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評価:☆☆☆☆


 日露戦争では多くの傑物が活躍している。その中の一人に、明石元二郎を数えることは不当なことではなかろう。

 児玉源太郎よりロシア後方撹乱を命じられた明石は、レーニンを始めとする反ロマノフ朝グループと接触、これに協力することで見事に命令を果たすことになる。国家の総合力では大差のつくロシアとの戦いは緒戦で勝って講和に持ち込む以外の手段は存在しない。事実、奉天会戦では敗走する敵を追撃することすらできない状況だった。補給線が短く、大軍を動かし得るロシアと全面戦争を続けるわけにはいかない。

 後方撹乱は講和に持っていくために必要な手段だった。外国の地で、一癖も二癖もある反政府勢力と渡りを付け、当局とも渡り合うだけの度胸のある人物。明石はその資格を十分に持っていた。だからこそ任務を果たすことが出来たのだろう。

 本書はこの不世出の人物の辿った数奇なる人生を追っている。破天荒な少年時代からしてなかなかに面白いのだが、枠から外れっぱなしのこのような人物が重用されたところがまた鷹揚な時代を感じさせてくれる。

 特にロシア後方撹乱に従事するようになってからが本書の真骨頂。ロシアの秘密警察はレーニンやスターリンの動向をかなり詳しく掴んでいたというが、本書でも明石の作戦も少なからずが当局に筒抜けだったことも紹介されている。地下組織と当局の争いがどのようなものか垣間見せてくれていてとても興味深い。

 破天荒な人物伝と社会の裏面史が複雑に絡み合い、読み応えのある一冊だった。
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太平洋戦争・二次大戦・現代史 | 2009/05/06(水) 15:44 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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650冊目 ナイルの海戦―ナポレオンとネルソン
ナイルの海戦―ナポレオンとネルソンナイルの海戦―ナポレオンとネルソン
(2000/05)
ローラ フォアマンエレン・ブルー フィリップス

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評価:☆☆☆☆☆


 ヨーロッパ全域を手中に収めることにほぼ成功したナポレオンの、その野望を打ち砕いたのはイギリスであった。ナポレオンの没落を決定付けたロシア戦役すら、大陸封鎖に絡むイギリスとの争いが根底にあったのだから当然だろう。

 ナポレオンが破滅したワーテルローの戦いで、イギリス軍を率いたのはウェリントンだが、敗北に至るまでの歴史を振り返ってみればナポレオン最大の敵はネルソンだった。

 そもそも、海戦に負けイギリスを征服できなくなった代わりにヨーロッパから締め出そうとしたのが大陸封鎖で、これに応じなかったロシアを攻めて大敗を喫したのがロシア戦役である。フランス海軍がイギリス海軍を打ち破っていれば、歴史は全く違った動きをしていたのは間違いない。

 本書はそのナポレオンの野望を打ち破った男、ネルソンに光を当てている。しかも、英仏間の争いの最終局面的な戦いであり、ネルソンが戦死することになるトラファルガー海戦ではなく、ナイルの海戦に着目している点で極めて珍しい立場の本ではなかろうか。

 なぜこのような本が生まれ得たのか。それは、考古学的な発見が背後にある。ナイル海戦で沈んだ軍艦が海底で発見され、遺物の少なからずが引き揚げられた。本書はそれを枕に、歴史に残るナイル海戦の模様を描き出している。

 面白いのはナポレオンとネルソンの性格の対照さかげんだろう。身勝手で、自分のことしか考えていないようなナポレオンと、国の名誉のために戦うネルソン。その性格の違いがナイルの戦いが始まるまでの両軍の振る舞いに現れている。それが勝敗を分けたことも。

 戦闘シーンの描写は圧巻。両海軍がどのように動き、戦闘の帰趨がなぜ決まったのかを克明に描き出している。ネルソンの大胆さ、熱狂さに迫力を感じてしまうのは私だけではあるまい。

 ナイルの海戦後、ナポレオンの描写はどんどん少なくなり、トラファルガーまでネルソンの人生を追うようになってくる。この類稀な名将がいかにしてナポレオンを破滅させたか、ヨーロッパの歴史や近代史に興味がある方は好奇心をくすぐられながら読むことができるのではなかろうか。歴史としても人物評伝としても面白く、満足のいく一冊だった。
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その他歴史 | 2009/05/05(火) 23:53 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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649冊目 面白南極料理人
面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
(2004/09)
西村 淳

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評価:☆☆☆☆


 本書を知ったのは牛くんの母さんの心に残る本このエントリから。この時期、たまたま244冊目で紹介(ふるっ)した『南極に暮らす―日本女性初の越冬体験』を読んでいたこともあり、いつか読んでみようと思ったのですよ。大分前の話だけど。

 極地研究は科学者達が大気状態がどうだの宇宙線がどうだの、といったことを調べるために行うものなので、基本的には科学者の仕事だ。でも、科学者だけでは対応できないことも沢山ある。そこで後方支援というか、設営関連で駆り出される人々がでる。

 著者はこの設営関連のメンバーとして越冬隊員になり、2度南極を訪れている。一度目は昭和基地で過ごしたそうだが、二回目は、その昭和基地よりも更に1000キロも内陸の、おまけに標高3800メートルにあるドームふじ観測拠点を根城にすることに。富士山より標高の高いところで、平均気温マイナス57℃、まさに極限の地である。

 ここに監禁される居を構えるのは著者を入れて9人の男達。生きていくことだけで十分に重労働っぽい、そんな環境にあって設営関係で重労働をこなしつつ、著者は美味しい食事を提供することにも努力を傾ける。で、本書は苦労部分がほとんどなく、料理の話ばかりになっている。

 同僚の誕生日を祝う話や食材に困る話など、とにかく食にまつわる話ばかりなのだが、これがまた美味しそうなのだ。この人が作る料理を食べるためだけに越冬隊員になっても良いのぢゃなからうか、などと錯覚を覚えてしまうくらい。

 ついでに、状況の表現が実に面白いので、美味しそうな話に胃袋を刺激されながら笑いまで満たされてしまうという優れもの。電車のなかでさえ読まないのであれば文句なしの逸品。間違いなく大変な環境なのだろうけど、そこでも楽しさを忘れないというのは、強さに繋がるのだろうな、と思った。
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ノンフィクション | 2009/05/03(日) 11:21 | Trackback:(2) | Comments:(2)

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648冊目 「心の傷」は言ったもん勝ち
「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)
(2008/06)
中嶋 聡

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評価:☆☆


 タイトルの勝利。もう、タイトルだけで著者の言いたいことの殆ど全てが伝わってきてしまう。逆に、全部読んでもタイトルを読んだときほどの刺激が無い。

 まず取り上げられるのは朝青龍の話。2007年の朝青龍問題で心の傷があったのかどうかという話から入るのだが、私は世の普通の人々と同じく相撲になど全く全然これっぽっちも興味が無いので中身が分らない。ついでに本書を読み終わった今でも興味が無い。ので掴みは失敗。

 ただ、「心の傷」やら鬱やらを言い訳にしているんじゃないだろうか、という問題提示にすぎないのだが、ここには問題があると思う。というのは、著者は朝青龍を診察したわけではない。診察しても居ないのに、特定の個人の状態を推測するのは適切ではないのではないか。(診察していた場合には患者の秘密保持の点から問題があるが)

 朝青龍に代表される、「心の傷」を前面に押し出す人々に、小気味よく言い返しているので溜飲が下がる、という面があるのは否めない。しかし、根拠となると「自分はこんな患者を診た」くらいの話であり、残念ながら床屋の政談レベルに終始してしまっているのではないか、と感じられてならなかった。

 全体として見ると、精神論が先行し、自分の経験ばかりという点で説得力に欠ける。新書ラッシュだから出せた、というレベルに感じられ、それが残念。

 また、「セクハラは犯罪だろうか」、「理不尽な医療訴訟」という、タイトルとは掛け離れた内容の章もあり、話が散漫に感じられるのも残念。それでも医療訴訟については納得行く点もあるので良しとするが、「セクハラ~」については他にまともな本は沢山あるのでわざわざ本書を読む必要も無いだろう。

 タイトルは絶妙だし、言いたいことが分からなくも無いけど、それでも本にするなら他にやるべきことがあったのではないか。ちょっと残念な出来であった。
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医学・脳・精神・心理 | 2009/05/02(土) 16:00 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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