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514冊目 12月のベロニカ
12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)
(2003/01)
貴子 潤一郎

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評価:☆☆☆


 女神ファウゼルに仕える巫女。それがベロニカ。ベロニカに選ばれた女性は、以後眠りの中で人生を過ごさなければならない。ベロニカに就任する際、彼女は一人の男性を自らの護り手に任じることができる。ベロニカの騎士と呼ばれるその護り手はファウゼルの力によってベロニカが死ぬまでの間、不老不死の力を与えられる。

 14歳の少女アマンダは、ファウゼルによって次期ベロニカに選ばれる。幼馴染のフレイルは、アマンダと交わした約束を守るために兵士となり、異例の出世によって騎士に任じられる。そして、遂にアマンダを護衛する13人の騎士にまで選出される。ベロニカの騎士は、この13人の中から選ばれるのだ。

 彼らはトリゼアとの国境近いカウセージュで修養に励むアマンダをルグナスへつれてこなければならない。しかし、旅は順調にはいかなかった。宗教を同じとする隣国トリゼアが、ベロニカを奪わんと兵を差し向けたのである。

 襲撃によって味方はほぼ壊滅し、隊長まで重傷を負う。全滅寸前まで追い詰められた彼らを救ったのは、ハキュリーと名乗る謎に包まれた隻腕の戦士だった。かくして、得体の知れない同行者を伴っての不安な旅は続く。

 登場人物の行動パターンに関しては概ね紋切り型。登場人物の生き方・死に方が紋切り型ということは、ストーリーの運び方も必然的に紋切り型にならざるを得ないところが辛い。主要人物が出揃ったところで展開が全て読めてしまったのはマイナスポイント。

 また、主人公とヒロインの掘り下げも浅い。主人公のフレイルと親友のライアン、謎の戦士ハキュリーの三人について、キャラを作るときに集中力が切れたか。ライアンの屈折した性格は上手く書けているように思うのだが、フレイルからは余り人間らしさを感じられない。ヒロインのアマンダに至っては大人しいだけの女の子で、この後眠り続けるだけの人生を歩まねばならないことへの葛藤すらほとんど表現されていない。これではただの人形だ。

 また、世界観に関しての掘り下げは弱い。例えば、なぜ敵国との国境付近を少数の護衛だけで目的地まで送らなければならないのか。しかも、以前にも同様の状況で紛争があったことが示唆されているともなれば、どうしても設定が腑に落ちない。

 そういう甘さはあると思う。しかし、最後の決戦のあたりの雰囲気は、やはり読ませるものがある。人物造形よりも、運命に導かれたかのような冒険のプロットを楽しむのが最適な読み方ではないかと思った。


 以下、ネタバレ含むので気になる人だけ続きを見てください。
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SF・ファンタジー | 2008/05/28(水) 22:01 | Trackback:(0) | Comments:(3)

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