いい加減にしろよ〈笑〉 (2006/01) 日垣 隆 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
細木数子、平山郁夫、警察、司法、選挙制度、マスコミ、少年犯罪法、郵政選挙、三宅島早期帰還。レベルは様々、被害の程度も様々。でも、どこにもおかしいと思うべき点は転がっている。問題の在り処に目を向けたときに、気付くかどうかは別として。
平山郁夫のところで語られていた、日本独自の画家評価システムは以前から私も不快感を抱いてきた。評価が固まっていないからと自分で値段を付ける事もできない画商たち。彼らが何をやっているのかというと、政治献金の代わりに絵を遣り取りさせて上がりを抜いているだけだ。評価が全て内向き。だからだろう。本書において、平山郁夫の絵は、海外のオークションで売れたことが無いと明らかにされる。それって芸術なのかね?
警察や司法への不快感には私も完全に同意する。
まず、警察。彼らはまともな捜査活動をやらなさすぎる。凶悪犯罪の検挙率の高さが物語るように、人死にが出れば話は別だ。しかし、そうでもなければ警察はろくに捜査もしないことが明らかにされている。
例えば見知らぬ少年達によって集団リンチを受けた少年の話。警察は捜査を開始すらしなかった。
私自身、少年犯罪によって入院させられたことがあり、警察にも訴えたが彼らが何もしていないことは分かっている。被害届だけ受理して、後は被害者が泣き寝入りするのを待っているのである。この国の警察は、加害者に優しく被害者には優しくないのだ。
司法も酷い。ここで取り上げられているのは、わずか7歳の女児を誘拐、殺害した小林薫は同様の事件を過去に起こしていた。このときに司法がまともに働いていれば、後の被害者は救われたはずだ。自称人権派の人々らが跳梁跋扈し、犯罪被害者を量産するのに手を貸している。私としては、最低限凶悪犯罪を犯した人間の情報に関しては近隣住民に公開して欲しいと思わずには居られない。なにせ、再犯率は無視できないほど高いのだから。
司法の、余りに異常な加害者擁護はさすがに近年トーンダウンしてきた。異常な犯罪が増えたから、ではない。実態は逆で、異常で凶悪な犯罪は激減した。その実態が明らかにされたことで一般人の憤激を買ったのだ。司法の世界の異常さは法曹関係者だけではとても解消できないという立場から裁判員制度ができたと勘ぐりたくなるくらい、酷い。この本ではないが、犯罪被害者の遺族が故人の写真を持って裁判所に入ろうとしたら裁判官に罵られた挙句に退廷させられた、なんて話もある。
こういう異常さを、少しでも糺していく必要があるのではなかろうか。著者の魅力である、鋭い分析力と調査力を縦横に発揮し、読みやすく且つ考えさせられる本に仕上がっている。多くの人に手にとって貰いたいと思う。
それにしても、この人の攻撃的な文体は不要な敵を作っている気がしてならない。相手が誰であっても物怖じせずに切り込むのが著者の真骨頂ではあるのだが。もっとも、この二つは表裏一体のもので、攻撃性が無くなったとしたら同時に鋭さも無くなってしまうのかも知れない。
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