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510冊目 ピアスの白い糸―日本の現代伝説
ピアスの白い糸―日本の現代伝説 (日本の現代伝説)ピアスの白い糸―日本の現代伝説 (日本の現代伝説)
(1994/11)
池田 香代子高津 美保子

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評価:☆☆☆☆


 ピアスをしようとして耳に穴を開けたら白い糸が出てきて、引っ張ってみたら失明してしまった。

 誰もが一度は耳にしたことがある有名な話だが、耳に視神経が通っているわけも無く、これが本当の話ではないことは自明だ。しかし、明らかなウソでありながら伝説として語り継がれていたのは間違いない。そこには当時まだ一般に受け入れられていなかったピアスへアンビバレンツな思いが反映されていたのだろう。つまり、羨ましいという気持ちと、躊躇する気持ちである。

 このような都市伝説には、広まる理由があると思う。それは漠然とした不安や恐怖、更には偏見を刺激するからではなかろうか。口裂け女の話が小さい子供たちに怖がられたこともその例だろうし、日本人女性が海外のブティックで服を試着したところ誘拐され、手足を切り落とされた挙句に見世物にされてしまったという話も典型だろう。

 あるいはタクシーの消えた乗客の話を思い出しても良い。あの話は由緒正しい歴史を持つもので、自動車が発明される前から海外で語り継がれていたという(馬車に乗る幽霊となる)。だが、自転車の荷台やら人力車でまで出没していたというのは初めて知った。いやはや、人間の想像力は果てが無い。

 都市伝説を見ると、荒唐無稽なものもあるが、確かに背筋を冷たいものが走る話題が存在する。それはきっと、人が恐怖を感じるポイントが同じだからだろう。その点で笑いとは大きな違いがある。怖い話は誰がしても怖いのだが、面白い話はしゃべる人間によって左右されるのだ。

 社会に何が脅威と思われているか、それが民話からは伺えるのが面白い。ついでに、この手の本は暑い時期にこそ向いているのだろうから、類書はもうちょっと時間が経ったら読むことにしよう。
ノンフィクション | 2008/05/22(木) 23:58 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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