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508冊目 & 509冊目 リヴィエラを撃て 上下
リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)
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高村 薫

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リヴィエラを撃て〈下〉  新潮文庫リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫
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高村 薫

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評価:☆☆☆☆☆


 これは面白い。もう、こんな書評なんて読まなくて良いからさっさと読んでください、というくらい。私の中では、文句なしに高村薫の最高傑作。

 1992年、東京。二人の男女の遺体が発見される。なぜ二人は謀殺されなければならなかったのか。その裏には、《リヴィエラ》を巡る謎が隠されていたのだった。リヴィエラとは一体何者なのか。

 大雑把に時系列的な流れを言うのであれば、上巻はジャック・モーガンが死体となって発見されるまでの過去の経緯を明らかにしており、下巻はモーガンの死からリヴィエラの正体が明らかにされるまでを扱っている。

 主役格は二人。上巻の主人公はジャック・モーガンであり、モーガンの死後にリヴィエラを追うのは警視庁外事課の手島修三である。魅力的な登場人物として、世界的に著名な天才ピアニスト、ノーマン・シンクレアやCIAのエージェントの《伝書鳩》、イギリスの諜報機関やら警察やらの人物が絡み、複雑だが魅力的な物語が展開されていく。

 いかにも高村薫らしく、どの登場人物にも深いキャラクター造形がなされていて、生身の息遣いが聞こえてきそうなほどである。ジャック・モーガンと手島修三は、著者の得意とするキャラクターである。前者は心に空洞を抱えて虚無的に生きており、後者はハーフの故か自然体で溶け込める社会をもたない。この二人の探索を彩るキャラクターがまた誰も彼も癖がある。

 また、細部にわたる書き込みは、重苦しい雰囲気を遺憾なく伝えてくる。北アイルランドで、イギリスで、日本で、過酷な謀略戦が続く。IRAとイギリスの武装闘争に、中国との密約などが絡み合い、リヴィエラにまつわる秘密に接近したものには容赦なく諜報機関の手が伸び、多くの死者がでることになっていく。

 リヴィエラとは何者なのか。また、リヴィエラにまつわる秘密とは一体何なのか。読者はそれを追いながら、不条理な世界で男達が生き、そして死んでいく姿を追いかけることになる。圧倒的な筆致で描かれる迫真の小説。読み終わった後もしばし余韻に浸った。いつか再読しよう。再読すれば、きっともっと深くこの小説の世界を楽しめると思う。それだけの深みがある作品。
その他小説 | 2008/05/20(火) 22:41 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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