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497&498冊目 神の火 上下
神の火〈上〉 (新潮文庫)神の火〈上〉 (新潮文庫)
(1995/03)
高村 薫

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神の火〈下〉 (新潮文庫)神の火〈下〉 (新潮文庫)
(1995/03)
高村 薫

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評価:☆☆☆☆


 むかーしむかしのことじゃった。あるところに、あめりかというくにと、そびえとというくにが、あったそうじゃ。ふたつのくにはそりゃーなかがわるくて、なにかというとはりあっておった。(声:常田富士男)

 というのが昔話になってしまいそうな時代になった。ソヴィエトは建国当初からレーニンが率先してテクノクラートを虐殺しまくったお陰でジリ貧となり、遂には拡大するばかりの軍事費によって潰れたわけだけれども、それと同時にスパイ小説は設定に難しさを抱えるようになってしまった。

 古き時代を前提にしての話なので、現在から見るとどうにも現実感が無いのではあるが、高村薫による毎度ながらの硬質な文章、緻密な構成、大胆な行動によって面白さが色褪せていない。

 本書の主人公は、元原子力技術者の島田浩二。東側に最先端の原発の技術を流し続けてきた、スパイである。二年前にその世界からは足を洗ったはずだったのだが、父の葬儀で自分をスパイの道に引き入れた江口と幼馴染の日野にであったときから否応無くかつて袂を分かった世界に巻き込まれていくことになる。

 核技術を手に入れようとする北朝鮮、核拡散をなんとしても防ぎたいアメリカ、それにソヴィエトと日本の公安。四カ国の思惑が交差する中で島田は徐々に追い詰められ、遂には日野と原子炉侵入を企てる。二人は神の火を解き放つことができるのか。

 相手が原子炉という技術の粋を集めたところであっても著者は怯まない。細かい技術を丁寧に描き出し(当方に内容の正否を判断する能力は無いが)、分秒刻みの行動を丁寧に描ききる。危機小説として大変に面白い。まさに重厚長大。小説好きなら読むべし。

 惜しむらくは、どうにも感情移入のできない主人公と、原発への侵入を決めるあたりの機微が納得できないことか。
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その他小説 | 2008/04/28(月) 23:14 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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496冊目 植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ
植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書 821)植物の生存戦略―「じっとしているという知恵」に学ぶ (朝日選書 821) (朝日選書 821)
(2007/05/10)
「植物の軸と情報」特定領域研究班

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評価:☆☆☆☆☆


 植物に生存戦略がある、と言っても大抵の人はピンとこないだろう。自分で動くことはできず、種が落ちたところで芽生えていくだけの生き物。生態系において大切な存在かもしれないが、イマイチ面白みに欠ける。かくいう私もその一人だったのだが、知ってみれば植物にも興味深い世界が隠されていたのである。

 「植物の軸と情報」特定領域研究班という耳慣れない団体は、文部科学省の助成金を受けて研究してきたグループであり、競争の激しい世界で屈指の成果を上げてきた、という。その目的は、植物の軸とその軸を支える情報を解明すること。

 内容は10章に分かれていて、一つの章を一人の著者が担当している。ともすれば散漫になりがちなこのような構成なのに、全体を通して統一感があるのは流石に一つの研究目的の元に集った仲間であると思わされる。

 具体的には、花を咲かせる仕組みや根がどのようにして作られていくか、マメ科植物が窒素固定菌と共生する不思議な現象、植物ホルモンの影響などなどかなり深く突っ込んだ話が紹介されている。

 一般人対象だからと簡単にしすぎないことで得られる一番の魅力は、植物が極めて巧妙に進化してきたことが生き生きと伝わってくることだと思う。私が面白かったのは師菅と道管では役割が異なるが、これらがどのようにしてできてくるかというところ。道菅は死んだ細胞でできているのだが、これが繋がって通路を形成するための巧妙な仕組みには驚かされた。もう一つは、葉の形を決める遺伝情報の使われ方。これらは想像したことすらない世界の魅力を教えてくれた。

 また、最終章に食料の生産量を飛躍的に上げるための第二の緑の革命について紹介されているのも嬉しい。学術と実際の世界が深いつながりをもっていることを感じさせてくれるし、知的好奇心が実利に生きるというのもまた魅力である。植物の科学についてもっと知りたい気にさせてくれた一冊。
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生物・遺伝・病原体 | 2008/04/22(火) 23:54 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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495冊目 遺伝子・脳・言語―サイエンス・カフェの愉しみ
遺伝子・脳・言語―サイエンス・カフェの愉しみ (中公新書 1887)遺伝子・脳・言語―サイエンス・カフェの愉しみ (中公新書 1887)
(2007/03)
堀田 凱樹、酒井 邦嘉 他

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評価:☆☆☆☆


 本書はフランス語の”cafe de science”と日本語の”カフェでサイエンスを”というのをもじって付けられたサイエンスカフェの試みの記録である。従って、本題よりもサブタイトルの方が本書の試みを上手く表現しているし興味を引きやすいと思う。この試みは現在も続いているので、興味がある方はカフェ de サイエンスを覗いてみて欲しい。

 さて、このサイエンスカフェというのは、カフェなどでくつろぎながら一般の参加者が科学者と話しあうという貴重な機会である。登場するのは二人。堀田凱樹さんと酒井邦嘉さんである。

 で、のけぞったのが物理的な視点で生物をやろうとしていた堀田凱樹さんが辿り着いたのがシーモア・ベンザーの研究室、というくだり。この人、ハエの研究で大変に有名な人で、その功績は『時間・愛・記憶の遺伝子を求めて―生物学者シーモア・ベンザーの軌跡』に纏められている。こんなところで以前に読んだ本とつながりがあるというのは驚き。ゴジラに堀田さんのハエが出演していたなどの話題と絡めつつ、軽妙に脳科学の面白さを語っていくので、私も参加したかったとの念を強くした。

 もう一人の科学者、酒井さんは堀田さんの弟子にあたる。現在は脳と言語の研究をしているとのこと。言語を使いこなすための機能は人類に普遍的にあるわけだから、そこに脳が言葉を理解するための脳言語のようなものを仮定している点など、こちらも面白い話題が多い。

 脳が最後のフロンティアとばかりに多くの分野の科学者が参入したことが、更に多面的な見方を提供しているわけで、今後も脳科学の発展は続きそう。部外者としてとても楽しみである。

 残念なのは、双生児の脳科学と題した回。実際に一卵性双生児を前にしての話だったのだが、違いをアピールすることに終始してしまった感がある。しかし、多くの研究から養子同士が全く似ない事や、30を過ぎると性格特性のほとんど全てが遺伝の影響になるとの研究成果が紹介されていない。ここにも私は遺伝の不思議があるように思えてならないし、否定されるなら否定されるで面白さがあると思っているので残念だった。
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医学・脳・精神・心理 | 2008/04/20(日) 18:46 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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494冊目 変な学術研究 2
変な学術研究 2 (ハヤカワ文庫 NF 329)変な学術研究 2 (ハヤカワ文庫 NF 329)
(2007/11/21)
エドゥアール・ロネ

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評価:☆☆☆☆


 前の巻とはがらりと変わり、今度の研究は人間に特化したもの。いや、人間と言うか、人間の死に方に特化、とすべきか。人間は余りにも個性豊かなため、死に方までも個性豊かな人が少なくないことに驚く。

 例えば犬に射殺されてしまった飼い主や上に向かって打ち上げた祝砲によって亡くなる人の話は哀れなものとの一言で済むが、ガムテープで口と鼻を塞いで自殺となると訳が分からなくなってくる。もうちょっと楽な死に方ってものがあるんじゃないか、と。

 中には読んでいるこちらのあんなところやこんなところが痛くなるようなものもある。転んだ拍子におしりに棒が刺さってしまって死んでしまった人やら、掃除機に大事なところを吸われて中のスクリューで先端を切り取られてしまう事故やら、背筋がぞわ~~~っとくるのではなかろうか。

 そんなわけで痛い話が多いこと、一見して死者への尊厳を欠いているようにも見えることから賛否は分かれると思う。だけど、死は生の延長なのだから、きっとここにも人間のあり方があるのだと思う。
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その他科学 | 2008/04/17(木) 23:59 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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493冊目 変な学術研究 1
変な学術研究 1 (1) (ハヤカワ文庫 NF 320)変な学術研究 1 (1) (ハヤカワ文庫 NF 320)
(2007/05)
エドゥアール・ロネ

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評価:☆☆☆☆


 科学にはどこか難しいと言うイメージがあるためか、あまり好まれないようだ。そりゃあ、聞いたことも無いたんぱく質が興味も無い現象をコントロールしていることが分かったとか言われても困る、というのが人情だろう。

 しかし、真面目に行われている学術研究の中にも視点を変えてみれば面白くなるネタが混ざっているものである。例えば、ペンギンは空を見上げて転ぶのか。トーストがテーブルから絨毯に落ちるときにはなぜ必ずバターを塗った面が下を向くのか。当人達は真面目に研究している分、面白さが増してくる。

 そう、本書のサブタイトル「光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷蔵庫」のような、一風変わった研究が実際に行われているのだ。

 研究者達の名誉のために言っておけば、これらの研究にもしっかりとした根拠があり、いずれも科学の発展に役立つものである。サブタイトルの中で最も意外な、火星人のおならの研究とはどのようなものか。それは、火星に生物がいるのならば、代謝をしているはずなので代謝の副産物があるはずだ、との考えに基づいている。

 例えていうのであれば、地球の大気は自然状態と比べて酸素の量が異常に多い。酸素は極めて反応しやすいため、たちまち他のものと結びついてしまうため、空気中にはほとんど存在しないはずなのだ。ではなぜ地球には酸素が大量に在るのかというと、植物が代謝の副産物として放出しているために他ならない。無機的な条件から外れた大気組成を持つ星には生物がいる証拠だ。

 真面目に解説したらどれだけの人の関心を引けるだろうか。ほとんどいないだろう。ところが、それを代謝の代表として「おならの研究」としてしまえば科学に興味を持たない人も読んでみようかとなるのではないか。

 本書は、科学の成果や意味などをバッサリと切り落とし、研究内容の面白さにのみ目を向けている。科学は面白いからこれだけの科学者がいるわけだから、このような取り上げ方は有益だと思う。特に専門を決める前の学生諸君にはお勧めしたい。

 そして、できればこの研究の裏にどんな意味が隠されているのかを考えてみて欲しい。きっと更に魅力的な世界が広がっているはずだ。

 なお、イグ・ノーベル賞受賞の研究も混ざっているので本書を読んで楽しめればこちらもどうぞ。

イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!
もっと!イグ・ノーベル賞
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その他科学 | 2008/04/16(水) 23:29 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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492冊目 中国古代の科学
中国古代の科学 (講談社学術文庫)中国古代の科学 (講談社学術文庫)
(2004/04)
藪内 清

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評価:☆☆☆☆


 現代科学がその起源を近代のキリスト教社会に辿ることができるというのはその通りだろう。しかし、世界が常に自然科学の法則に従ってきたことを考えれば、古代の世界に科学があってもおかしくは無い。そのうち特に有名なのはギリシア時代の数学だろう。ユークリッドの名は(苦手意識を持つ人を含め)広く知られている。詰まるところ、系統だった科学という営みは近代のものであろうが、科学的な探究心そのものは人類に備わった普遍的なものなのだろう。

 本書では文字通り近代以前、具体的には宋以前にに中国で発達した科学について系統立てて解説している。特長として、思想面にまで踏み込んで何故特定の分野の科学が発展し、また別の分野の科学は未発達だったのかを説明していることが挙げられる。

 特に人類社会が続く限り永遠の課題であろう、健康に絡む分野は中国でも発展を遂げた。とりわけ鍼灸という、世界で他に類例を見ない治療法は西洋医学とは別の切り口でも人体に大きなプラス効果を与えうることを示している。著者はこの点を指摘した上で、冷静に東洋医学が西洋医学に取って代わることは無いと喝破する。極めて冷静な視点を持っていると感じられて心強い。

 もう一つ、中国の科学で避けて通れないのは天文である。古代中国では地球が丸いという概念に、遂に辿り着くことは無かった。そのため、後には日食や月食という天文現象の事前把握に失敗することになる。しかし、その一方で、天は為政者の功罪に応じて怪異を起こすと信じられていたため、天文学上の異常事態の観察には大変に熱心だった。超新星や彗星、日食月食といった記録は現代の科学者たちすら利用するほどだという。

 漏刻と呼ばれる水時計や、コンパスの働きをした指南車(ただし、これは磁石を使ったものではなく本体の回転と反対向きに回ることで常に一定方向を指すようにしたカラクリのようだ)、更には地震が起こった際に方角を検知するための機械なども発明されていた。

 優れた発見としては他にも、紙や羅針盤、火薬といった世界に近代化をもたらしたものも挙げられる。現代史におけるアヘン戦争の大敗やその後の列強の圧力に屈していった姿から、近代化に失敗した後進国というイメージがあるかもしれない。しかしながら、古代においては西洋やイスラーム社会と比較しても決して引けをとらなかったのだ。

 ただ、科学というよりは技術に属する話題の方が多いように感じた。この二つ、分け難い点があるのも事実だろうけれども、科学と銘打ったからにはもうちょっと分けて欲しかった。それと、冒頭で中国文明が一貫して漢民族によって作られたとでも言うようなことが書いてあったがそれは違うと思う。異民族の支配の間にも文化は変容して行ったわけで、歴史上も現代も中国文明というものは単一民族が作り上げたものではないことに注意を払っても良いのではないか?

 残念な点もあるが古代中国の科学という、中々触れられない話題に光を当てている功は大きいと思う。古代史における科学、技術は一国の興亡を大きく左右してきたのだから、このような本は過去に迫るための視点を与えてくれるのは嬉しい。
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中国史 | 2008/04/13(日) 22:12 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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491冊目 ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代
ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代ゾウを消せ----天才マジシャンたちの黄金時代
(2006/02/11)
ジム・ステインメイヤー

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評価:☆☆☆☆


 ドラマやら映画やらでTRICKを見たことがある人は多いだろう。ご存知、日本科学技術大学の物理学助教授の上田と自称本格派の(売れない)手品師の山田が次々に奇怪な事件に巻き込まれていく物語である。超能力に見せかけたトリックに、物理学者の上田がころりと引っかかるのに、手品師の山田が次々に超能力の正体を暴いていくのであるが、その過程がコミカルで楽しい作品だ。狂言回しとなってしまっている上田の妙な博識さと法螺吹きっぷりも楽しい。

 これを見たときに、「あ、フーディニだ」と思ったものである。

 ハリー・フーディニは手品師で、交霊術がイカサマであることを暴いて回った頼もしい(?)人物である。交霊術などといっても、なんてことはない、手品や手品とも言えないようなテクニックが使われていたのだ。ありとあらゆる類のオカルトにころりと引っかかる、脅威の信じやすさを誇るコナン・ドイルや、科学者たちが次々騙される中で手品師たちがイカサマを暴いてきたというのは中々に面白い。まあ、今もスピリチュアルがどうとかいう低脳な輩が蔓延っているので往時を笑えないが。

 そんなわけで、フーディニの話を探していて本書に巡り合ったのである。

 本書が取り上げているのは、手品の黎明期における天才的マジシャン達の歩んだ道のりである。まず取り上げられるのが、フーディニがゾウを消したマジック。大きな箱の中にゾウを入れ、窓を開けるとあら不思議。ゾウは影も形も無い、というわけだ。

 ところがこの手品、全然ウケなかったらしい。フーディニは引田天工の元祖のような人で、脱出術は広く知られていて人気もあったのだが、手品のやり方はヘタだった、という。見せ方がいかにも稚拙だったこともあり、注目されないままゾウ消しのマジックは歴史の闇に埋もれていった。

 この逸話に始まり、手品師たちがどのように物を消し去ることに挑んできたかが語られている。手品とは巧みな仕掛けや錯覚を織り込んだ芸術品である、とつくづく思わされた。なにせ、これらの公演を見たくて堪らなくなるのだ。

 消失の原理を応用して、かの人体浮遊術や美女の胴体切りといった著名なマジックが生まれては消えていった。その功績が消えていくのは確かに惜しい。舞台裏を知ってしまえば興が醒める、という方には向かないかもしれないが、手品を愛する人々は楽しめるのではないか。
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未分類 | 2008/04/10(木) 23:32 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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490冊目 確率と統計のパラドックス―生と死のサイコロ
確率と統計のパラドックス―生と死のサイコロ確率と統計のパラドックス―生と死のサイコロ
(2004/12)
スティーヴン セン

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評価:☆☆☆☆


 残念なことに、人間はそんなに客観的な生き物ではない。本当に人間が客観的に判断できるなら宝くじなんて成り立たないだろうし、朝鮮半島への送金機関にすぎないパチンコ屋があれほど暴利を貪ることが可能にもなっていない。誰もが他人に降りかかる損は自分と無縁だとの根拠の無い自信を持ってしまうことが、これらを招いている。

 どうすれば世界を客観的に判断することができるのだろうか。その答えは、統計学にある。本書は統計学の発展の歴史を、数学者達の来歴と併せて紹介している。

 数式こそ出てこないが、かなり突っ込んだ話もしているので、一部の人は統計学の授業を思い出すかもしれない。しかし、取り上げている例がなかなかに面白いものが多いので読み物としても楽しめるようになっている。なぜ統計と確率がセットで語られるのかも分かるのは利点ではないか。

 ただ、パラドックスと銘打っている割にはパラドックスの紹介は少ないのが残念。それでも不思議に思える話題はある。例えばこうだ。

 子供が二人いることが分かっている人に、「男の子は居ますか?」と聞き、「はい」という返事を貰ったとする。この場合、もう一人の子供が女の子の確率はどれくらいか。答えは、50%ではない。67%になる。ところが、「上の子は男の子ですか?」と聞いて「はい」と言われた場合には、下の子が女の子の可能性は50%になる。うーん、面白い。

 医療の分野でどれほど統計が必要か、という点についてもかなりの紙幅を割いており、健康というものがどのようなものかと考えるのには役に立つと思う。
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数学 | 2008/04/03(木) 23:01 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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489冊目 ウマ駆ける古代アジア
ウマ駆ける古代アジアウマ駆ける古代アジア
(1994/03)
川又 正智

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評価:☆☆☆☆


 古より人と共にあり、人の歴史を大きく変えた存在。それがウマである。

 ウマが占めた高い役割から、ウマに関する記録は事欠かない。ある時には有力者の墳墓に埋められ、ある時には戦争の原因ともなり、ある時には諺となってきた。馬氏の五常、白媚最も良し、とか。

 本書では、古代においてウマと人が辿った歴史を大まかに辿っている。具体的に言えば、西暦1年より前の時代である。考古学の成果を頼りに人類のウマ利用の歴史を辿ることで、ユーラシア大陸に跨る人類史を追いかけることになっているのが興味深い。

 ウマが飼育され始めたのは紀元前4000年ほどのことらしい。食肉用として飼われはじめたウマは、やがて馬車を引くようになり、更には騎馬へと進化していった。進化の過程で与えた人類社会へのインパクトの大きさは、本書が説くのが正しいとすると信じ難いほどのものだ。具体的には、遊牧という生活様式を生み出したこと。遊牧というスタイルの完成が持った力は、俄かには信じられないくらいだ、ということだけ指摘したい。

 歴史好きには面白いエピソードがちりばめられているのも魅力である。中国の戦国時代における趙の武霊王による胡服騎射の導入(ただし、騎馬そのものは以前からあったという指摘には自分の思い込みを正された)や、エジプトのラムセス二世とアッシリアの戦争などを読むにつけ、ウマの与えた影響の大きさを実感した次第。

 やや古い本なので手に入りづらいとは思うが、歴史好きなら手にとって損は無いと思う。
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その他歴史 | 2008/04/01(火) 23:51 | Trackback:(0) | Comments:(0)

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