![]() | ハンガリーを知るための47章―ドナウの宝石 (エリア・スタディーズ) (2002/05) 羽場 久美子 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆
あなたはハンガリーについて何を知っていますか。そんなこと聞かれたらどうしますか。
「ああ、ええと、ちょっと急いでますので失礼しますです」
となってしまうのがオチではないか。私にしても、知っていることと言えば1956年のハンガリー事件くらいのもの。って、知るなら他のことにしろよ。もう一つ知っていることは行かなければ行けないということくらい。
というくらい馴染みの無い国ではあるハンガリー。知らないからこそ全ての情報が興味深い。
ハンガリー王国の主としてキリスト教の普及に努めたイシュトヴァーン王や、ハプスブルグ家のマリア・テレジアが団結を訴えるため即位直後に訪れた、といった歴史上のできごとから、二次大戦後の決して明るくは無い事実の数々を広く紹介してるので、ハンガリーという国を手っ取り早く知ることができるのは大きな利点だと思う。特に、ハンガリー出身の偉人や、周辺国との関係などは知っておいて損は無い。自国のことを知っている人を嬉しく思うのはどこの国もかわらないだろうから。
また、1956年にソ連がハンガリーに介入し多くの犠牲者を出したハンガリー事件の簡単な経緯や、その後、共産圏に在ってユニークな発展を遂げたことなどはこの中欧の国に関する興味をかき立てる。政治家としては、1956年以降にハンガリーを率いたカーダール・ヤーノシュへの興味が尽きない。ソ連の後押しを受けながら、独自の自由経済、文化を持つことで一味違う国づくりをしたことは、困難な情勢にあっての見事な舵取りだったのだろう。トルコのアタチュルク同様、もっと紹介されて良い人物のように感じた。
観光、食事、ワインや土産についての情報は素直に嬉しい。トカイ・アスーという貴腐ワインが楽しみになってきた。食事はどんなものか未知数だが・・・・・・。他にも、クラシックの分野で名を残すコダーイや、レオ・シラード、フォン・ノイマンといった科学者、放浪の数学者エルデシュらを輩出し、人口当たりのノーベル賞数では世界トップクラスというのは知らなかった。宇宙人は既に地球にやってきていて、ハンガリー人と名乗っていると言われるほど難しい言葉を操り天才が多いというのは伊達ではないのだろう。
とはいうものの、流石に経済やら少数民族情勢などは読み飛ばすことになった。そこまでは頭に入れる必要が無いし。
必要な情報を選んで読むのであればかなり役に立つのだが、全体を通して読むとなると不向きである。多くの著者が自分の得意な分野を書いているために全体として散漫になってしまっているのは否めない。ハンガリーに赴こう、という方にはそこそこ有益なのではないか。
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