![]() | トンデモ科学の大冒険―奇説・難問・謎に最先端宇宙科学が挑む (2004/09) 長谷川 洋一 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆
「奇説・難問・謎に最先端宇宙科学が挑む」とのサブタイトル、なんとも魅力的じゃあありませんか。こんなことまで書かれて読まないわけにはいかないと思ったのだけど、そんな大仰な話ではなかった。むしろ、奇説とか難問とか謎はあまり出てこない。面白そうな話を適当に摘み食いしたという感じで、最先端科学というには中途半端な位置づけに終わってしまっている。
科学書で、読んで楽しく知識は多く、と言うのであれば300冊目で紹介した『人類が知っていることすべての短い歴史』を読む方が遥かに目的に叶っている。
取り上げるべき点は、小惑星を追いかけるアマチュア達の活躍、ロシアの宇宙開発を支えた現場の技術(驚くべきことにローテクが大活躍)、宇宙から深海の姿を探らんとする超低価格の鯨衛星など、他所ではお目にかかれないようなネタがあること。
そんな中に混じって、軌道エレベーターや量子力学のコペンハーゲン解釈、量子コンピューターとお馴染みのネタが。そんなの聞いたことも無いという方にとっては分かりやすく紹介しているので楽しめるかもしれない。
残念なのは、SARSは宇宙からやってきたウイルスなのではないかという珍説を、面白く紹介してはいるものの、不利な証拠は出さない点。
宇宙空間に生物の種とでも言うべき高分子、アミノ酸やらアルコールやらアンモニアやらがあるというのはもう確固たる事実になっている。まだ生物の居なかった原始地球にも、彗星や隕石がこれらの物質を宇宙から運び込み、それが生物誕生のきっかけになった可能性も少なからず存在する。直接の証拠が有るわけでは無いからなんとも言えないが、壮大で面白いため、私も好きな説だ。
しかし、ウイルスそのものが宇宙から、となると大分様相が異なる。
というのは、今まで発見されたあらゆる生物やウイルスは、全て遺伝情報として同じ暗号システムを持つことが判明している。これは、全ての生物およびウイルスが同一の起源を持つことを強く示唆するのである。宇宙からのウイルスが、というのは面白くはあるかもしれないが現実性は余り無い。その辺りも冷静に評して欲しかったのが残念。
幾つか不満な点はあるけれども、著者が科学を楽しんでいることは文章の端々から伝わってきて良かった。科学を敬遠する人は多いけれども、面白いからこそ進歩してきた学問なのだから、こうして情熱を持って楽しさを伝えてくれる人は貴重である。
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