![]() | インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書) (2006/11) 手嶋 龍一、佐藤 優 他 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
インテリジェンス、即ち情報戦は国家の死命を制す。
日露戦争における明石元二郎大佐の謀略、独ソ戦開幕当時のドイツ軍の大攻勢も謀略戦に支えられたものだった。戦前の日本はその情報のほとんどを解読され、海軍軍縮会議で苦杯を舐め、やがては太平洋戦争の惨敗へと繋がった。
しかし、情報戦は同時に通常の世界からは隠されたものでもある。新聞を読み、ニュースを見るだけではその姿を垣間見ることすらできない。情報を広く集め、正しく判断できる者だけが情報戦の勝者となれる。
本書はジャーナリストと外務官僚として情報が集約される機関で活躍した二人の対談である。情報戦についてあるべき姿を思い描く二人が縦横に情報戦について語り合っている。
ある時には日本の情報網が捨てたものではないどころか、世界でも有数のものであることが示され、またある時には余りにも常識からかけ離れた組織運営がなされたことへ苦言が呈される。事件としては大韓航空機撃墜事件であったり、911であったり、ソ連時代の高官についての秘密情報だったりするわけだが、それらの機微に触れる情報を如何に手に入れ、用いるかが議論される。
恐らくは決して語られることのない深い背景と複雑な動きがあるのだろうが、それを理解しても一般人からは隠された秘密の世界で何が行われているかに触れられるのは知的好奇心をくすぐられる。
本書のように日本の情報機関の問題を情報戦の渦中に居る人々が炙り出す本が、ベストセラーとして読まれることにはとても価値があると思う。私にはとても情報戦に加われるような頭脳も無ければタフさもないが、せめてその存在価値を認めることはできるようでありたいと思った。
ただ、冒頭で互いを褒め合うような流れがあって、残念だった。特に佐藤優氏の方は鈴木宗雄との関係で毀誉褒貶が激しく、彼が有能な人物であることを示す必要があったのかもしれないがどうしても公開の場での馴れ合いに感じられてしまった。それが残念。
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