![]() | ウソの歴史博物館 (文春文庫) (2006/07) アレックス バーザ 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆☆
文字通り、世間に流布したウソやペテンを集めた本。264冊目で紹介した『詐欺とペテンの大百科』と同じ趣向といえる。違うのはボリューム。なにせ、かなり厚いハードカバー(2段組)と文庫だ。ボリュームで比較する方が間違っている。
本書が『詐欺とペテンの大百科』と異なる点は、誰もが楽しもうと思って付かれたウソ、即ちエイプリル・フールも大きく取り上げている点や、より新しいウソについても集められている点だろう。
マーク・トゥウェインらが捏造した新聞記事、アビシニアの皇族を装った若者たちにドレッドノート戦艦(ド級の語源になった戦艦ですね)を案内したイギリス海軍、斑点のある四角い卵(どこからどう見てもサイコロ)斑点のある四角い卵(どこからどう見てもサイコロ)などを発見したとする『カワ漫遊記』の顛末、オーソン・ウェルズが読んだ『宇宙戦争』によるパニック、スイスでのスパゲッティ農家の収穫シーン、左利き用ハンバーガー発売などなど、これでもかとばかりにウソが並ぶ。
人々は活字になった情報をたやすく信じることが分かる。恐らく、そこに権威を感じてしまうため、友人から聞けば容易にウソと見破れる話でも真実であるかのように思われてしまうことが原因ではないだろうか。
本書でもそのパターンが実に多い。無影派とのタイトルで紹介されているのはこんな話だ。
キュビズムなどの抽象芸術を茶化した絵を、”無影派”(架空の流派)の創始者である”ロシアの画家パーヴェル・ジョルダノヴィチ”(架空の人物)という触れ込みで展覧会に出品した。説明を適当にでっち上げてそれらしく見せかけたところ、作品は賞賛されたという。
ロシアの画家を名乗ったのは、外国産の方が有難がられると思ったためとのことで、舶来の品を有難がる心情はどこも変わらないのかもしれない。無影派という架空の流派を使い、それも創始者と主張する。たったそれだけのことで、ナンセンスな絵が芸術に化ける。なんとも奇妙な話では無いか。
その他、ポール・マッカートニー死亡説だとか、ピルトダウン人といった有名な話が加わる。なお、日本からは藤村新一による旧石器の捏造事件が唯一のもの。新しい話だと、9.11にワールド・トレード・センターで撮られたとする写真がある。これについては、その後に出没したパロディ(WTCにマシュマロマンが迫る)の方が楽しい。
それにしても、次から次へとウソを思いつき他人を騙す方も騙す方だが、どう見ても嘘っぱちの話に騙される方も騙される方だ。騙された後で笑えるのであれば良いが、株の投資話では笑うに笑えない。せめて楽しめるウソは楽しもう。本書を読めば笑ってしまうこと間違いなし。電車の中で読んでしまった私が言うのだから間違いない。ただ、同じ轍を踏まれないことを願う。
なお、本書はMuseum of Hoaxes(英語)で紹介されていた話を書籍化したらしい。もし英語が得意で本書を気に入られたのなら更なる楽しみが待っているものと思う。文中にいくつかリンクを貼っておいたので是非どうぞ。
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