![]() | まるくすタン―学園の階級闘争 (A‐KIBA Books Lab) (2005/11) おおつ やすたか 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆☆
ぴこていこくの紹介記事で吹いた本。マルクス主義の歴史を百合(しかも学園もの)で理解しようという頭が腐りそうな企画である。
まるくすタンと言いながら、まるくすタンが出てくるのは本書の前半のみ。まるくすタンがぶち上げた「この学園の女子生徒の社会的活動は、その下部構造によって規定されてい」て下部構造を支配する学園の矛盾は解決されなければならないというテーゼ(平たく言えば女生徒の恋愛関係は下半身の事情によって規定されている)を実現に移すのはれーにんタンである。
ところが、歴史をパロった百合小説にしようとする余りにどこかストーリーがおかしくなっている。はっきり言って、前半でぶち上げた話と後半の展開が違いすぎるのである。まあ、それは実際のマルクスの主張をレーニンが必ずしも忠実に実行したわけではないことに符合させているのかもしれないが。
まるくすタンとそのパトロンのえんげるすタンの関係は、えんげるすタンが一方的にまるくすタンを慕いつつ、進展しない。その代わりまるくすタンは自慰にふけるわけなのだけど、それを「下部構造の矛盾を解決する」と表現するわけですよ。もうバカすぎてこういうの大好き。
後半パートの見所は、れーにんタンが余りに酷いところ。農業のテクノクラートを圧殺した点など、レーニンの所業はもっと知られて良いと思うので、この設定には納得する。その後のスターリン体制へのつながりもうっすらと書かれているので笑えるのだが、実際の歴史に思いを馳せると笑えなくなるので注意。
歴史とのつながりを無理に持ってきているので、運動部の活躍が生徒会の進退問題になるなど、変な設定もある。この辺り、歴史パロディ小説としての出来はあまりよくない。マルクス、エンゲルス、レーニン、トロツキー、スターリン、ケレンスキー、ツァーリの大体の動きを知っていなければ理解できないとは思う。
酷評しているようだが、ロシア革命までの簡単な流れと人物同士のつながりは分かるわけで、その点は評価したい。兎に角、「下部構造の矛盾を解決する」なんてバカな言い回しで笑える人は楽しめるのではなかろうか。
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