![]() | 東アジア 民族の興亡―漢民族と異民族の4千年 (1997/12) 大林 太良、生田 滋 他 商品詳細を見る |
評価:☆☆☆
東アジアの歴史を語るとなると、やはり中国が中心になるのは当然だろう。王朝によってはモンゴル、チベット、朝鮮半島、ベトナムと広大な版図を誇った。中国の体制に組み入れられなかったとしても、日本のように文字をはじめとして多くの文物を輸入することで影響を受けた地もある。
しかし、中国は一方的に他の国々へ影響を与えてきたわけではない。古くは周も秦も異なる民族だったのが中原を支配する中で互いの文化を混交しあって来た。その後も魏晋南北朝、隋、唐、五代十国、金、元、清と異民族が豊かな中原の地で興亡を繰り広げた。
本書は中国から視線を広げ、東アジア全体に目を向けることで、世界史としての位置づけとして東アジア世界がどのように発展してきたかを探っている。
刺激的な指摘として、温暖化の時期は強大な農民国家が花開き、寒冷化した時期には異民族が南下している傾向があるということ。匈奴相手に戦功を誇った漢代は温暖な時期だったこと、三国志の動乱が始まるのに寒冷化が無視し得ない影響を与えたことは知っていたが、それが歴史全体を通しての姿だというのは知らなかった。
また、ベトナムや朝鮮が日本と同じく漢字文化圏でありながら、地理的な要因が日本とそれらの国々との中国文化の受容度における大きな違いを導いたというのも面白い。程々の距離があったことで文化を選択的に受容できたこと、中国支配が無かったために文化の混交が無かったことは大きいのだろう。
随所で日本の状況にも触れられているので、アジア史の中の日本という見方が出来ることも嬉しい。この辺りは『漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?』とも被ってくる。
ただ、北方の異民族については岡田英弘さんの一連の著作の方が知的好奇心を刺激されて楽しかった。興味がある方は是非『中国文明の歴史』、『紫禁城の栄光―明・清全史』、『世界史の誕生』に当たってもらいたい。
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