![]() | ローマはなぜ滅んだか (講談社現代新書) 弓削 達 (1989/10) 講談社 この商品の詳細を見る |
評価:☆☆☆
ローマ帝国が滅んだ理由を探るには、ローマ帝国がどのような国家だったのかを知らなければならない。そんな意気込みを感じさせる。
なので、軍事的な敗北による滅亡をメインには据えない。むしろ、軍事にはほとんど触れずにローマを滅亡に追いやったと思われる社会システムを中心に解説されている。軍事が扱われるのは、ローマが勝つ話ばかりなのだ。
勝ち続け、地中海世界で長く覇を誇ったローマを滅ぼしたのは何か。著者は、一部の権力者に富が偏在しすぎたことや過度の奢侈、それを支えるための奴隷制度に原因を求めている。その点で、軍事的な観点から扱っている類書とは色彩を異にしている。
奢侈の実像については本書に詳しいが、宴席で満腹になれば吐き、また食事を続けた、などの事実は余りに有名である。そのような富の偏在はどうしても社会を不安定化させてしまう。もっとも、そういう世の中の方が文化が発達するという面もあるのだけれども。
ローマが取った政略、社会制度は優れていた点も多々あったからあれだけの帝国が長きに渡って維持されたのは間違いないだろう。しかし、さしもの帝国も腐っていくことからは逃げられなかった、ということか。
滅亡にいたる最後の時期について詳細を知ることはできないが、ローマ社会の様々な面を俯瞰しているのは間違いない。新書としてはなかなかのできなのではないかと思う。
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