デヴィッド・M.バス著 / 三浦 彊子訳
PHP研究所 (2001.5)
\1,680
評価:☆☆☆
好い加減、この手のだっさいタイトル辞めてほしいなぁ。『話を聞かない男、地図が読めない女』が売れたから柳の下の何匹目か数え切れないドジョウを狙ってるんだろうけど。サブタイトルの嫉妬と性行動の進化論でいいじゃないか。と、まずは出版社に苦情。いや、『話を聞かない男、地図が読めない女』は確かに面白かったけどさ。
本書は進化心理学上、嫉妬がなぜ誕生し、ここまで普遍的な感情となったのかを解き明かしている。嫉妬はどの民族でも見られ、特に自分の妻が他の男と同衾しているところを見た夫による妻殺しは極めて広範な社会において許容されてきた歴史を見れば、嫉妬は人間に組み込まれた自然な感情であることを認めないわけにはいかない。
また、同時に取り上げられているのが浮気である。世界中で、戸籍上の父親と血縁関係の無い親子が約10%ほどいるという。もちろんこれは養子だとか連れ子のことを言っているのではなく、不倫の結果の話。
なぜ嫉妬や浮気がこれほどまでに広く見られるのだろうか。そこに道徳の乱れだとか家父長的な制度だとかといった一面的な見方を排し、嫉妬にも浮気にも進化の上で意味があったのではないか、という視点で人間の姿を見つめなおしている。
自由恋愛市場において有利な立場の配偶者が浮気をしやすいし実際に浮気をする率が高いという紛れもない事実。この場合、男性だと権力や経済力、女性だと若さと美しさが自由恋愛市場での自分の立ち位置を決める。
配偶者間において、女性の方が経済的に高いことは良い結婚生活を導かない。それはその男性が狭量なためではなく、人間に組み込まれた、生まれもっての性格とはなかなかに面白いでは無いか。
嫉妬も負の感情でプラスになることは無いと思われてきたわけだが、実際には配偶者間の愛情を引き止める上で役に立つ側面もあると言う。もちろん、嫉妬が発露した場合の最悪の結果は、嫉妬に狂った相手によって殺害されてしまうことにある。しばしば別れ話のもつれから(そのほとんどの場合で男性が女性を)殺害してしまうことがある。そんな感情でも使い方によっては愛を深める役に立つ。意外である。
男と女で性戦略が違う以上、相互の間の競争は排除できないわけで、それでも独占的排他権(自分以外とはセックスするな、ということ)を得たい、そんな都合が発達させたのが嫉妬なのかもしれないと思わせてくれる。身近な感情が、思わぬところで進化の洗礼を受けて人類に組み込まれたものであると教えてくれるのは貴重。ただ、冗長に過ぎるのが欠点か。このあたり、多くの日本人好みにさらりと流してくれた方が良かったかもしれない。
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