ローワン・フーパー著 / 調所 あきら訳
新潮社 (2006.8)
\1,575
評価:☆☆☆☆
進化というものは何千年も何万年もかけて行われるもので、自分がその渦中に居るというのはなかなか想像のつくものではない。実際、自分の姿を見ても両親に良く似ている私の場合、多読傾向と偏屈具合が父親にそっくりらしい。あと皮肉屋なところも。父の名誉のために言っておくと、今はすっかり落ち着いて良いおじいちゃんになっている。
本書は連載されていたコラムを集めたものである。その性格上、扱う話題が広いこと、一つのトピックに割かれるページ数が少なく掘り下げは少ないことがある。そしてもう一つ付け加えるなら、その短いページに読者の興味をひきつけるため、面白い話題を集めているということが挙げられるだろう。
人気のあるコラムを続けるというのは、上記の条件を考えると至難の業であることが想像できる。文章が面白く、取り上げる話題が面白く、なおかつ飽きられないようにしなければならないのだから。だから、人気を誇ったコラムニストの本はいつまでも輝きを失わない。それはたとえばスティーブン・ジェイ・グールドであり、マーティン・ガードナーであり、アイザック・アジモフだったりする。
そこに本書の著者を付け加えようというのはちょっと意欲的過ぎるかもしれない。この一冊で評価を下すには早すぎる。それでも本書には面白いトピックが沢山載せられている。
最初に男の子を生むと流産しやすくなる理由や、浮気者と律義者を分ける遺伝子、過労死、記憶力、アスペルガー症候群、ガンの話題など、様々な話題を取り上げているので読んでいて飽きることがない。しかも、前述のとおり一つ一つのトピックは短いので、通勤電車の中でも十分に楽しめるのではなかろうか。
本書に限らず、科学系の本を読んでいて楽しいのは、知識が繋がる快感を味わえることであろう。全然関係のなさそうなこと同士が、実は深いところでつながりがあることを知れば、物事を多面的に見ることができるようになる。美しさも含めて。男が胸が大きくウエストが細い女性を好むのも遺伝的な背景がある、なんて面白いと思いません?だから私がそういう女性に惹かれても仕方がないのであるよ、うん。
進化と人間について興味深い話を沢山扱っている上に、読み物としてみてもとても面白い一冊。しかも著者には日本滞在経験もあることから少なからぬ話題で日本のことが取り上げられているので日本の読者にも親しみが湧きやすいだろう。ザ・我慢なんて久々に聞いたし。進化を巡る科学の面白さについて知るのに格好の一冊であると思う。
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