ランディ・カッシンガム著 / 鬼沢 忍訳
早川書房 (2006.7)
\819
評価:☆☆☆☆
たとえば、毎週毎週80個もハンバーガーを食べて太った人がマクドナルドを訴えた、となると、なんだこの莫迦は、と思うのが普通だろう。マクドナルドを好きではなくてもついつい既知外がいると大変ですねといいたくなってしまう。
もちろん、日本だったらそんな既知外は門前払いされて終わりだろうが、まじめに訴訟になってしまうアレな国が実在する。もちろん、我らがアメリカである。
雪道をシートベルトせずに100キロオーバーで走った挙句に事故死した息子を持つ母親が自動車メーカーを訴えた、というような類の馬鹿馬鹿しい実話が沢山載っている。恐ろしいのは本書で取り上げられているのが全て実話である、ということだ。
とにかく、読んでいるうちに笑いから怒りへ感情が移っていくのが分かる。こんな既知外と、既知外に便乗してカネをふんだくることばかり考える莫迦な弁護士が溢れかえってしまえば社会が住みにくくなるのは間違いないだろう。
いまや超被害者意識の塊みたいな人々が余りにも多すぎ、そして彼らの存在が社会を悪い方向に動かしてしまっている、と著者は指摘する。その指摘の一環として莫迦な裁判と裁判に群がってカネをふんだくろうとする困った人々の姿を赤裸々に描いている。彼らの存在が、ただ困った人が居るというだけにとどまらず、(まともな)訴訟の遅延など社会的な害悪であることを示した功績は大きいだろう。
もっとも、そんな社会的なことなんか考えず、ただひたすら遠い世界の莫迦な出来事として嗤って済ませてしまうのも良いかもしれないのだが。もっとも、あんな莫迦な制度を支える陪審員制を導入しようという既知外じみた国もあるから、嗤っているばかりではすまないかもしれない。
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